本番環境への展開で起きやすい 「うっかりミス」を防ぐ

システム開発と運用の現場の課題と解決策
開発が順調に終わっても油断は禁物
本番環境への展開で起きやすい
「うっかりミス」を防ぐ
システム開発と運用の
「うっかりミス」が最も起こりやすく重要視されるポイントは、開発環境から本番環境へシステム
を反映させるフェーズである。特に開発と運用の職務分掌が明確な場合において、リリース担当者は大量のモジュール
1つ1つについて、手順書を見ながらリリース作業を行っている。こうした手作業でミスをなくそうとしても限界がある。
しかし、このリリースプロセスに特化した自動化を進めれば、ミスを無くして品質を向上させることができる。
うっかりミスに気づかないケースも。気づいたときにはすでに重大な障害が!
システム開発と運用の現場において、
まう。例えば、コマンドの入力ミスが原
なぜ、うっかりミスはなくならないの
十数年前から問題視されているのが
因で、古いバージョンのモジュールを本
か―。そこには、手作業に頼ったリ
「うっかりミス」である。システムリリー
番環境にリリースしてしまうケースがあ
リースプロセスの限界がある。とりわけ、
スの失敗や遅延、もしくは水面下で対処
る。
この問題が切実なのは銀行、保険、証券
してきた「ヒヤリ」
「ハット」をもたらす
こうしたミスでアプリケーションが止
などの金融業界だろう。そこには、
「開
「うっかりミス」はいまだに残っており、
まれば、すぐに気づいて対処することが
発と運用の分離」というルールがある。
二重、三重のチェック体制を敷いている
できる。しかし、気づかないまま見過ご
開発者がそのまま運用を担当すれば不
ものの完全になくならないのが現状だ。
されるケースも少なくない。ようやく気
正の可能性を排除できないとの理由で
品質の高い開発を行ったとしても、本番
づいたときには、重大な障害に発展し
設けられた統制だが、複雑な手順書を
環境へのリリースでミスをすれば、今ま
ていたり、顧客に迷惑をかけたりしてし
介した手作業がミスにつながることが
での努力の何もかもが無駄になってし
まっているかもしれない。
多い。
システム開発と運用の現場の課題と解決策
しかし、開発した部隊が運用を担当
する場合には、このようなミスは起こり
■ コマンドを間違って本番環境に
リリースしてしまうケース
にくい。ただし、開発されたプログラム
のモジュールは、開発 SIerが異なれば、
別の方法で管理されている場合が多い。
プログラムは企業として一元管理され
ていないがために、バージョン管理も担
当者任せ。ミスが起こる余地はなお残
されている。
開発スピード向上が求められるなか、人海戦術のリリースは限界がある
以下では、開発と運用の分離が求め
発など大きなプロジェクトになれば、多
て、IT 部門のリリース担当者は開発者
られる企業、特に金融業界を念頭にリ
くの開発者が参加している。金融機関
が作成した手順書を見ながらコマンド
リースプロセスの品質向上と効率化に
のIT 部門には、毎日のように新たに開
を打ち、間違いないことを確認したうえ
ついて考えてみたい。
発されたモジュールと手順書が開発者
で本番環境への移行作業を行っている。
先に、煩雑な手順書について触れた。
から送付されてくる。数年に及ぶ大規
金融機関のなかには、専任のリリース
この手順書は多くの場合、Excelで記述
模プロジェクトなら、モジュールの数は
担当者として数人配置しているケース
されており、開発者によって手順書の形
万単位になるかもしれない。
も少なくない。ただ、手順書のコマンド
式もバラバラだ。勘定系システムの開
膨大な数のモジュール1つ1つについ
の意味を理解できるスキルを備えた担
当者を配置する余裕のない現場もある。
■ 複雑な手順書のサンプル。形式がバラバラな
「手順書」を見ながら本番環境にコマンドを入力。さらに二重三重の確認
これらの意味が分からなければ、入力ミ
スの確率は高くなるだろう。
人海戦術のリリースプロセスには、あ
ちこちに大小の落とし穴がある。例え
ば、コマンドの入力間違い。何千、何万
というモジュールについて、それぞれに
対応する手順書に沿ってコマンドを入
力するのは骨の折れる仕事だ。しかも、
開発者ごとに手順書の形式が違ううえ、
OSによってコマンドも変わる。リリー
スにかかわる業務は複雑であり、
「ミス
をするな」というほうが酷である。
システム開発と運用の現場の課題と解決策
ほとんどの企業においては、開発され
で管理しているケースも多く、それが工
に立たない。今後のIT 技術者不足や人
たアプリケーションのモジュールを格納
数を増やしている。またスクリプトを用
材の国際化が進む中、このような手順
する場所が一元化されていない。ある
意するケースもあるが、汎用的なもので
書に頼ったリリース作業には限界がく
担当者はファイルサーバに、別の担当者
はなく開発するシステムが変われば役
ると思われる。
はライブラリーのツールに保管してお
り、バージョン管理も不十分だ。こうし
た環境では、最新バージョンのつもりで
■ 従来はコマンドだらけの手順書とチェックリストを2人がかりでチェック。
それが簡単なフローと手順になれば本番環境への展開で「うっかりミス」が無くなる
古いものをリリースしてしまうといった
ミスを防ぐことはできない。
業務効率の観点でも、従来のリリー
スプロセスには大きな課題がある。開
発者によって異なる形式の手順書を見
ながら、担当者がコマンドを入力してい
るのだから相当の工数がかかる。また、
作業履歴を残すためにチェックリスト
一元管理で業務効率を高め、ガバナンスを向上させる
リリースプロセスにおける複雑性、非
効率といった課題に対するソリューショ
ンとして、近年注目が高まっているのが
リリースオートメーション、つまり自動
化というアプローチである。
リリースプロセスの複雑性について
言及したが、実は、その業務の中身は
「モジュールをアップデートする」
「ファ
イルを転送する」のように定型的なもの
である。手順書の形式を統一するだけ
で一気に単純化することができる。単
純化できるなら、退屈してミスを起こ
しやすい人間の手に頼るよりも、コン
ピュータに任せるのが得策だ。それが、
リリースオートメーションである。
■ 操作性に優れたグラフィカルユーザインタフェースを備えた
「CA Release Automation 」
システム開発と運用の現場の課題と解決策
リリースプロセスにはいくつかのパ
を受け取ったリリース担当者がこれを
だ。加えて、ガバナンスの確立という効
ターンがある。典型例は「AがBに対し
コンピュータに入力すれば、自動的にリ
果もある。分散して保管されていたモ
て、Cを実行する」というもの。自動化
リースプロセスが進行する。変数とし
ジュールは、プラットフォーム上で一元
プログラムとして必要なパターンの数
てのリストとプロセスを切り分けること
管理される。バージョン管理や変更管
だけバリエーションを用意しておけば、
で、汎用的なプロセスを使い回すことが
理も実現できるので、コマンド間違いに
開発側に求められるのは、
「A 」
「B 」
「C 」
できる。
よるリスクは最小化される。もちろん、
などに該当するサーバ名やプログラム
リリースオートメーションにより、リ
名などのリスト(XMLファイル)だけ。
リース業務は大幅に効率化される。お
面倒な手順書の作成は不要だ。リスト
そらく、専任の担当者は不要になるはず
「誰が、いつ、何をリリースしたか」とい
う情報はログとして残される。
■「CA Release Automation 」導入で、3 日間のリリース作業を数秒に短縮
以 上 で 説 明 し た リ リ ー ス オ ー ト
目度が高まっている。
にはコーディングスキルもいらない。画
メ ー シ ョ ン を 実 現 す る の が、C A
CA Release Automationの特長の
面上でアクション部品を選択し、ドラッ
Te c h n o l o g i e s の「C A R e l e a s e
1つが、700種類以上のアクション部品
グ&ドロップで並べるだけで、簡単にリ
Automation 」である。CA Release
である。そこにはファイル操作やOS操
リースプロセスをつくることができる。
Automationは世界中の多くの企業で
作、メール、SNMP、XML操作などの自
CA Release Automationは人間系
導入されている。導入実績は約 200
動化アクションに加えて、アマゾン ウェ
の作業をなくしてミスを排除するとと
社。そのなかには、毎 日 膨 大 な 数 の
ブ サービス(AWS )など外部クラウ
もに、職務分掌も担保する。すでにCA
サービスを更新している大手インター
ドサービスやVMwareの仮想化ソフト
Release Automationを導入した国内
ネット企業も含まれる。インターネッ
ウェア、WebSphereやJBossなどのア
金融機関の事例では、従来 2 人がかり
トバンキングや勘定系システムの運用
プリケーションサーバ、各種 CA 製品に
で3日を要していたリリース作業が数秒
で、CA Release Automationを活用
対応する部品も含まれている。
に短縮された。もちろん、一元管理によ
している金融機関も少なくない。多く
また、操作性に優れたグラフィカル
るガバナンス向上にも貢献するソリュー
の運用現場で実証されたCA Release
ユーザインタフェースも大きなポイント
ションだ。
Automationは、日本企業の間でも注
だ。コマンド入力は不要なので、担当者
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CA Technologies
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お問い合わせ窓口:CAジャパン・ダイレクト 0120-702-600
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2015年11月現在