経済指標の影響力 2013年7月9日 John W. Labuszewski マネージング・ディレクター 調査・商品開発 +1 312-466-7469 [email protected] 多くの要因が、価格動向や市場参加の多寡に影響を与えていま す。 しかし、いろいろな要因のうち最も基本的はものは、ファンダ メンタルズの中に見出されます。 言い換えれば、一般的に価格 動向や市場参加を誘導するものとして、市場における基本的な 供給と需要の指標に目を向けます。 本考察の目的として、CME グループの主力商品のパフォーマン スに対する様々な経済指標による影響に焦点をあてることとしま す。 対象となる商品には、E-ミニ S&P500 先物(「ES」)、ユーロド ル先物(「ED」)、そして米 10 年物中期国債先物(「TY」)があげら れます。 こうした商品は、国内の株価、短期、長期の金利、に対 する主要な基準指標にあたります。 これら基準指標商品を左右 する基本的な市場指標は、経済の満ち引きを説明するさまざま な経済指標の中に見出すことができます。 指標を格付けする さまざまな経済指標の有意性に関して、おおよその評価を入手 するために、インターネットを参考にしてみました。 あるインター ネットのブログ・サイトが、下記のテーブルに示されているように、 経済データの有意性について格付けを行っていました。 それぞれの指標は、A から D の範囲で格付を与えられています。 テーブルでハイライトされているリストのトップをおおよそ占めてい て、広く参考にされている7つの経済指標を選びました。 予想誤差 金融市場は、経済状況の意味合いや、株価や金利に与える影 響を決定すると思われる、すべての関連する指標を検討します。 一般に、強い経済の前兆となる堅調な数値は、株価の上昇と金 利の上昇(固定金利商品の価格は下落)をもたらします。 一方、 弱い経済の前兆となる経済発表は株価の下落と、金利の下落 (価格は上昇)をもたらすと、予想されます。 もちろん、さまざまな米国の政府機関や民間の情報源によって発 表される数多くの経済指標があります。 それぞれの測定は、一 般の見方からすると、知名度は異なります。 最も有意性があり、 広く受け入れられている経済指標としては、非農業部門雇用者 数(NFP)、国内総生産(GDP)、住宅着工件数、全米供給管理協 しかし、通常市場は経済指標を予想し、実際の発表に先立って 会(ISM)指数、小売売上高 、鉱工業生産指数、そして食品・エ ネルギー価格を除くコア CPI(消費者物価指数)があげられます。 反応します。 しばしば、「コンセンサス」あるいは予想数値は、間 近に迫った発表の水準に関しての、一般の期待を示すと説明さ れています。 本考察の目的は、これらの最も有意性のある経済指標が CME グ ループの主力商品に与えてきた影響について、十分に理解する ことにあります。 特に、出来高、ボラティリティ、そして価格方向性、 したがって、その予想された数値と実際の発表との間の相違、す なわち「予想誤差」や「サプライズ」は、市場が市場価格を競り上 に対する影響を検証していきます。 げたり、押し下げたりする反応を引き起こすほど、最も有意性のあ るものとなりえます。 何故、これらの指標か? 本考察で焦点をあてることができたはずの多くの指標があります。 市場が、いずれの指標に焦点をあてるかという程度は、時間とと もに、そして金融、財政政策に応じて変化します。 今日の市場では、多くのアナリストは、労働統計局(BLS)による 毎月の NFP 発表が、最も有意性のある唯一の経済発表として際 立っている、ということについては意見が一致しています。 NFP は心待ちに、予測されています。何故ならば、経済成長に対して インフレーションとの平衡を保とうとする米連邦公開市場委員会 (FOMC)によって、しっかりと見守られているからです。 NFPは、 毎月第一金曜日に発表されます。したがって、それは、前月の活 動を伝える時宜を得た発表となります。 しかし、ポール・ボルカー氏が FED 議長であった 1980 年代に、 最も心待ちに予想された経済指標は、毎月発表される、特に M1 の形式での、マネーサプライの数値でした。 ボルカー氏は、イン フレが二桁の数値に高騰した非常に困難な時期を通して、FED と国家を方向づけたことにより、記憶されるでしょう。 M1 によって 測定されるマネーサプライの目標は、FED がインフレをコントロー ルしようと奮闘する際の、主要な手段となりました。 1 | 経済指標の影響力 2013 年7月9日 | © CME GROUP 経済指標の格付け 経済指標 非農業部門雇用者数(NFP) GDP 新築住宅販売 住宅着工件数 ISM 指数 小売売上高 個人所得・支出 鉱工業生産指数 コア CPI 週間新規失業保険申請件数 フィラデルフィア連銀製造業景気指数 ニューヨーク連銀製造業景気指数 シカゴ購買部協会景気指数 耐久財受注 ISM 製造業景況指数 ケース・シラー住宅価格 NAR 中古住宅販売仮契約指数 NAHB 住宅市場指数 貿易収支 MBA 住宅担保ローン返済遅延率 LPS 住宅担保ローン返済遅延率 コアロジック・ネガティブ・エクイティ報告 AIA 建築費請求指数 格付 A A B B B B B B B B C C C C C C C C C C C C C C C D D D D D D D D D D D D D D D D D D D D D D ライス・オフィス、モール、アパートの非使用率 NMHC アパート調査 ロイター/ミシガン大学消費者信頼感指数 MBA 住宅ローン申請指数 BLS 求職・離職率 建設支出 住宅空所状況調査 上級融資担当者調査 AAR 鉄道交通量 ATA トラック輸送量 Ceridian-UCLA ディーゼル燃料消費指数 NFIB 小規模事業調査 FED 資金循環 ホテル客室稼働率 CRE 価格 製造業者軽車両販売 NRA レストラン業績指数 FED 消費者信用残高 DOT 自動車運転距離 LA 港湾航行量 BLS 生産者物価指数 ADP 全米雇用報告 カンファレンスボード信頼感指数 NAR 中古住宅販売仮契約 取引出来高 さまざまな経済指標の有意性にとどまらず、上述したように「特別 なもの」として、取引出来高は、現在のトレンドや状態の関係にお いて評価されるべきです。 つまり、特定の取引相場における平 均出来高と異常な出来高を区別するために、その期間での日々 の出来高を、「標準的な」出来高と比較してみることができます。 したがって、経済指標が発表される歴月の間に観測された1日平 均取引出来高と対比して、日々の取引出来高を照らし合わせる ことができます。3種類の市場における出来高が、グラフのように 2007 年1月から 2013 年5月まで、かなり急激に変動していると いうことに留意してください。 最初の過程として、指標が発表された暦月の間の 1 日平均出来 高に対して、7つの指標に対する各発表日における1日平均の 各出来高(ADV)を確認することができます。 E-ミニ S&P500 先 物の ADV は、2007 年1月から 2013 年5月までの全期間で、 112 万 4528 枚となっています。 1日平均出来高 出典:www.calculatedriskblog.com (月次ベーシス) 4,000,000 (例)www.briefing.comのウェブサイトでは、2013 年5月3日に、 2013 年4月のNFPは、プラス 15 万 5000 となるというコンセンサ スの数値が発表されました。 報告された、つまり実際の数値は、 16 万 5000 の就業者数でした。 したがって、予想誤差は、1万の 職でした。 3,500,000 3,000,000 2,500,000 2,000,000 1,500,000 単位 NFP 51.7 変化(千単位) GDP 0.297% 四半期の変化(%) 住宅着工件数 44.1 千単位 ISM 指数 1.562% 指数ポイント 小売売上高 0.405% 毎月の変化(%) 鉱工業生産指数 0.336% 毎月の変化(%) コア CPI 0.065% 毎月の変化(%) 本考察は、これらの予想誤差が、E-ミニ S&P500 先物、ユーロド ル先物、そして米 10 年物中期国債先物における、日々の出来 高、日々の高値-安値のレンジによって計測されるボラティリティ、 そして終値間の価格変動幅によって計測される相場の方向性、 これらに対して及ぼす影響に焦点をあてています。 2 | 経済指標の影響力 2013 年7月9日 | © CME GROUP Jan-13 Jul-12 Jan-12 Jul-11 Jan-11 Jul-10 Jul-09 Jan-10 Jul-08 Jan-09 Jul-07 0 E-mini S&P500 500 Futures E-ミニ S&P 先物 10-Yr Futures 米 10T-Note 年物国債先物 (2007 年1月~2013 年5月) 絶対値の 平均予想誤差 500,000 Jan-08 絶対値による平均予想誤差 1,000,000 Jan-07 実際の報告と www.briefing.comのサイトに報告されたコンセン サスの数値とを比較して、以下の項目ごとに 2007 年1月から 2013 年5月の間の絶対値による平均予想誤差を確認することが できます。 Eurodollar Futures ユーロドル先物 比較によって、NFP の発表日の出来高が平均 129 万 4633 枚で あることがみてとれます。 このことは、コア CPI、住宅着工件数、 ISM 指数、GDP、小売売上高、そして鉱工業生産指数の発表時 における出来高へと続きます。 興味深いことに、小売売上高と鉱 工業生産指数の発表日における出来高は、実際には全体の平 均出来高よりも少ない平均値でした。 E-ミニ S&P 500 1日平均出来高 米10年物国債 1日平均出来高 (2007年1月~2013年5月) NFP NFP (2007年1月~2013年5月) 1,294,633 GDP GDP ISM Index 指数 ISM 1,129,670 ISM ISM Index 指数 Retail Sales 小売売上高 1,123,634 Retail Sales 小売売上高 900,000 1,000,000 1,100,000 1,200,000 1,300,000 1,400,000 予期せぬことでしたが、NFP は、ユーロドルの出来高に対してそ れほど影響を与えていないようでした。 ユーロドルの出来高は、 2007 年1月から 2013 年5月まで1日平均で 212 万 9108 枚で した。 しかし、NFP の発表日における平均出来高は、やや多い 221 万 6001 枚でした。 より明白な有意性のあるのは、小売売上 高でした。住宅着工件数、コア CPI、そして鉱工業生産指数がそ れに続きます。 あまり有意性を感じないものは、GDP と ISM 指数 でした。 ユーロドル 1日平均出来高 (2007年1月~2013年5月) 2,216,011 GDP GDP 2,126,728 住宅着工件数 Housing Srts 2,399,477 ISM 指数 ISM Index 2,227,489 2,397,183 2,067,652 0 2,000,000 3,000,000 当該期間の一般的な条件に対して、ユーロドル先物に関しての 明らかな反応性の欠如や、まばら結果を説明することはできます。 特に、FED は、2008 年以来、目標となるフェデラルファンド・レー トを 0-25 ベーシスポイントで維持してきてきました。 さらに、 FED は、金融政策を引き締めることを考慮するより先に、依然とし て、さらなる経済の回復が必要であるということを広く明らかにし てきました。 利回り曲線の手前部分が通常、FED の金融政策に よって支えられる程度まで、経済データポイントの定期的な発表 は、FED の政策に対する市場の予想にほとんど影響を与えない でしょう。 対照的に、歴史的な出来事として、利回り曲線の先端 部分は、経済成長やインフレに関する市場予想によって動かさ れていると言われています。 このように、米 10 年物中期国債は、 より最近の何年かにおいて、FED が目標となるフェデラルファンド のレートをほぼゼロに押し下げたので、経済発表に対してさらに 反応し易くなっていると思われます。 E-ミニ S&P 500 高値-安値のレンジ 2,428,447 鉱工業生産指数 Ind Prod 2,331,701 コア CPI CPI Core 2,397,183 平均 Average 2,129,108 2,000,000 2,200,000 (2007年1月~2013年5月) NFP NFP 23.77 GDP GDP 22.41 住宅着工件数 Housing Srts 2,400,000 2,600,000 米 10 年物中期国債先物に関する結果は、期待以上のものでし た。 NFP の発表日における出来高は、206 万 7652 枚の平均出 来高と比較して、277 万 9526 枚の平均でした。 NFP の後に、コ ア CPI、住宅着工件数、小売売上高、鉱工業生産指数、ISM 指 数、そして GDP が続きます。 23.60 ISM 指数 ISM Index 24.49 小売売上高 Retail Sales 22.36 鉱工業生産指数 Ind Prod 21.19 コア CPI CPI Core 22.93 平均 Average 22.47 18 3 1,000,000 2,061,984 小売売上高 Retail Sales 1,800,000 2,291,418 平均 Average 1,124,528 NFP 2,132,097 コア CPI Core CPI 1,188,752 Average 平均 2,313,503 鉱工業生産指数 Ind Prod 1,081,814 Core CPI コア CPI 2,066,562 Housing Srts 住宅着工件数 1,142,770 Ind Prod 鉱工業生産指数 2,779,526 GDP GDP 1,125,315 住宅着工件数 Housing Srts NFP NFP | 経済指標の影響力 2013 年7月9日 | © CME GROUP 20 22 24 26 高値-安値のレンジ 米10年物国債 高値-安値のレンジ (2007年1月~2013年5月) 単純で直観的なボラティリティの尺度は、1日の高値-安値のレン ジに見出されます。 関心のある各市場で観測される高値-安値 のレンジの平均と、全期間における高値-安値のレンジの平均と を、経済指標の影響を評価する調査の中で、比較することができ ます。 NFP NFP 0.134 0.097 住宅着工件数 Housing Srts 0.764 住宅着工件数 Housing Srts 0.817 ISM 指数 ISM Index 0.831 0.789 鉱工業生産指数 Ind Prod 0.097 コア CPI Core CPI 0.860 0.764 0.0 0.100 0.098 0.734 コア CPI Core CPI 平均 Average 0.106 小売売上高 Retail Sales 0.5 1.0 1.5 10 年物米国中期国債先物におけるボラティリティは、NFP、コア CPI、ISM 指数、住宅着工件数、小売売上高、GDP の発表によっ て最も大きく影響を受けました。 鉱工業生産指数の発表日にお けるボラティリティは、平均より少し下落しました。 0.111 平均 Average 0.00 GDP GDP 鉱工業生産指数 Ind Prod (2007年1月~2013年5月) ISMIndex 指数 ISM 1.018 小売売上高 Retail Sales ユーロドル 高値-安値のレンジ GDP GDP NFP NFP ボラティリティ評価基準としての絶対値による日中の変化 0.097 0.05 0.10 0.15 2007 年1月から 2013 年8月まで期間で、E-ミニ S&P500先物の 1日の高値・安値レンジの平均は、22.47 指数ポイントでした。 ボ ラティリティは、NFP、住宅着工件数、そしてコア CPI に続く ISM 指数の発表によって、もっとも劇的に影響されていれるように思 われます。 GDP、小売売上高、そして鉱工業生産指数の発表日 におけるボラティリティは、実際には、観測された平均よりはあまり はっきりしないものでした。 高値-安値のレンジがボラティリティの一般的な指標として使われ る一方で、取引出来高は、取引に対する関心度の一般的な目安 としてみることができます。さらに、終値間の絶対値による価格変 動幅を、もう1つのボラティリティの指標とみています。 最後に、 終値間の絶対値による価格変動幅は、経済指標の発表に対す る価格方向性の反応の指標としてみることができます。 E-ミニ S&P 500 絶対値による日中の変化 (2007年1月~2013年5月) ユーロドルのボラティリティは、コアCPI、住宅着工件数、ISM指数、 小売売上高、GDP、鉱工業生産指数に続くNFPによってもっとも 影響を受けました。 1 NFP NFP 11.10 GDP GDP 11.59 住宅着工件数 Housing Srts 11.74 ISMIndex 指数 ISM 14.72 小売売上高 Retail Sales 10.56 鉱工業生産指数 Ind Prod 10.75 コア CPI Core CPI 12.00 平均 Average 11.61 0 1 4 E-ミニS&P500と米10年物中期国債先物における最初の期近の先物 取引を参照する一方で、5番目の四半期限月における高値-安値の レンジと相場の動きを参照します。ユーロドルは、繰り延べられた限 月における著しい取引活動をひきつけ、将来へ向け10年間にわたり 上場されております。 FEDの方針が、ユーロドルが通常属するショー ト-エンドの利回り曲線を固定している限り、おおよそ固定された金融 政策の環境において、大きな価格変動を見つけるためには、期近限 月より繰り延べられた限月を調べてみるでしょう。 しかし、株価指数、 長期金利を含むほとんどの先物は、期近限月で最も取引が行われま す。 | 経済指標の影響力 2013 年7月9日 | © CME GROUP 5 10 15 20 終値間の絶対値による日々の価格の変化をボラティリティの指標 とみると、ISM 指数、コア CPI、住宅着工件数が、E-ミニ S&P500 先物におけるボラティリティに最も大きな影響を与えているように 思われるます。 絶対値による終値間の価格変動幅は、GDP、 NFP、鉱工業生産指数、小売売上高の発表で平均以下に落ち 込みました。 ユーロドルは、NFP の発表に対して最も敏感で、その次に住宅着 工件数、コア CPI、鉱工業生産指数、小売売上高、GDP が続き ます。 ユーロドル 絶対値による日中の変化 (2007年1月~2013年5月) NFP 上記で示唆したように、ポジティブな予想誤差、つまり発表内容 が予想よりも強い状況は、一般的に株価を押し上げ、また金利を 押し上げる(価格を下げる)結果をもたらすと予想します。 同様に、 ネガティブな予想誤差、つまり発表内容が予想以上に弱いときは、 株価を下げ、また金利を下げる(価格を上げる)結果をもたらしま す。 0.070 GDP GDP こ れ ら の 予 想は 、散 布 図 を 検証 す る と 確 認で き ま す 。 E-ミ ニ S&P500 先物についての回帰の勾配(あるいはベータ)はポジテ ィブであることに留意してください。 ユーロドルや米 10 年物中期 国債先物についての回帰の勾配は、ネガティブです。 0.049 住宅着工件数 Housing Srts 0.067 ISM 指数 ISM Index 0.046 小売売上高 Retail Sales 0.054 鉱工業生産指数 Ind Prod R2とT-Stats 0.057 コア CPI CPI Core 0.058 平均 Average 0.049 0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 米 10 年物中期国債先物は、NFP、コア CPI、住宅着工件数、 ISM 指数、小売売上高の発表に最も鋭く反応しました。 回帰分析の副産物であるR2とT-statsを検査するため考察を拡張 してみましょう。 具体的には、(1)各経済指標における予想誤差 に対しての、発表月の間の平均出来高に対する発表日における 出来高の偏差、(2)予想誤差に対しての、発表月の間の平均の 高値-安値のレンジに対する発表日の高値・安値レンジの偏差、 (3)予想誤差に対する発表日の終値間のネットの価格の変化、 これらを回帰します。 T-statsは、統計的な有意性を示唆し、下の テーブルに示されています。 方向性をもった指標としての日々の変動幅 米10年物国債 絶対値による日中の変化 (2007年7月~2013年5月) 0.528 0.396 住宅着工件数 Housing Srts ISM 指数 ISM Index 10 0 -10 -20 -40 y = 0.0551x - 1.0346 R² = 0.053 -100 0 NFP 予想誤差 (000) 100 200 0.435 小売売上高 Retail Sales NFP は、首尾一貫して統計的な有意性の水準まで上昇しており、 したがって、最も有意性のある経済指標として考慮されるべきで す。 この結論は、取引活動、ボラティリティ、価格方向性に対す る指標の影響を考慮するしないにかかわらず、有効です。 0.412 鉱工業生産指数 Ind Prod 0.369 コア CPI CPI Core 0.449 平均 Average 0.397 0.0 0.2 0.4 0.6 E-ミニ S&P500、ユーロドル、米 10 年物中期国債先物における NFP の影響に焦点を当てて、グラフに示されているような単純な 散布図を作図することができます。 5 20 -50 -200 0.445 E-ミニ S&P 500 先物 30 -30 NFP NFP GDP GDP 40 日々の変動幅 価格方向性に対しての経済指標の影響を評価するために、各指 標の絶対値による予想誤差を調べて、それを各市場での絶対値 による終値間の価格変動幅と比較しました。 単一変数の通常の 最小二乗推定すなわち回帰分析を、価格方向性について、経済 指標の予想誤差に対する相関性および有意性を検定するため に、適用します。 | 経済指標の影響力 2013 年7月9日 | © CME GROUP ユーロドル先物 0.30 0.20 日々の変動幅 0.10 0.00 -0.10 -0.20 -0.30 -0.40 y = -0.0007x - 0.0090 R² = 0.2069 -0.50 -0.60 -200 -100 0 NFP 予想誤差 (000) 100 200 この点に関して、住宅着工件数と小売売上高も、「選外佳作」とし ての価値があります。また、それらは頻繁に、一律ではないにし ても、統計的有意性の水準まで達することに留意してください。 住宅着工件数は、住宅市場の状況を表すという点で、非常に有 意性があるかもしれません。また、サブプライムローン危機が特に 国内の住宅市場に有害な影響をもたらしたことに留意してくださ い。 小売売上高は、米国の消費者の力を直接表わす指標であり、 グローバルな経済成長の先導役を果たしてきたとみなされていま した。 米10年物国債先物 2.00 y = -0.0045x - 0.0632 R² = 0.2171 1.50 日々の変動幅 1.00 0.50 0.00 -0.50 -1.00 -1.50 -2.00 -200 -100 0 NFP 予想誤差 (000) 100 200 さいごに 非農業部門雇用者数は、CME グループの主力商品のパフォー マンスに影響を与える最も有意性のある経済指標であることは明 白です。 この見解は、出来高、ボラティリティ、価格方向性にお ける一般的な活動を検証するかどうかにかかわらず、有効です。 依然として、NFP は、最近の何年かにおいて予想したかもしれな いよりも、ユーロドル先物に与える影響は少なくなっています。 こ のことは、サブプライムローン危機時代以降から今日までの、固 定された金融政策の結果と考えられます。 6 | 経済指標の影響力 2013 年7月9日 | © CME GROUP 回帰分析の結果対 経済指標の予想誤差 R2と(t-Stat) 出来高 NFP GDP 住宅着工件数 ISM 指数 小売売上高 鉱工業 生産指数 コア CPI 0.041 (1.792) 0.010 (-0.876) 0.002 (0.415) 0.007 (0.735) 0.003 (0.443) 0.001 (0.327) 0.002 (0.354) E-ミニ S&P500 先物 高値-安値の レンジ 0.060 (2.182) * 0.030 (1.518) 0.006 (0.675) 0.029 (-1.496) 0.008 (-0.769) 0.067 (2.301) * 0.009 (0.824) 純増減 出来高 0.129 (3.334) * 0.006 (0.674) 0.000 (0.050) 0.000 (-0.008) 0.003 (-0.475) 0.018 (1.171) 0.007 (0.726) 0.130 (3.347) * 0.017 (1.137) 0.013 (0.980) 0.102 (-2.899) * 0.003 (-0.443) 0.000 (-0.143) 0.015 (1.055) ユーロドル先物 高値-安値の レンジ 0.184 (4.114) * 0.000 (0.161) 0.101 (2.890) * 0.010 (0.864) 0.006 (-0.655) 0.010 (0.875) 0.005 (0.624) *統計的に有意性のある結果 7 | 経済指標の影響力 2013 年7月9日 | © CME GROUP 純増減 出来高 0.068 (2.345) * 0.000 (0.083) 0.152 (3.647) * 0.001 (0.258) 0.002 (0.367) 0.000 (-0.166) 0.009 (0.841) 0.053 (2.050) * 0.004 (0.517) 0.059 (2.155) * 0.029 (1.485) 0.119 (3.167) * 0.011 (-0.890) 0.000 (0.126) 米 10 年物中期国債先物 高値-安値の 純増減 レンジ 0.207 0.217 (4.423) * (-4.561) * 0.022 0.000 (-1.278) (-0.166) 0.027 0.000 (-1.441) (-0.101) 0.023 0.032 (-1.316) (-1.562) 0.080 0.094 (-2.541) * (-2.776) * 0.087 0.013 (-2.656) * (-0.975) 0.021 0.001 (-1.272) (0.309) 添付:経済指標の説明 この添付説明では、本考察の主題である7つの経済指標の説明 をします。 非農業部門雇用者数 非農業部門雇用者数(NFP)は、他の一連の雇用情報とともに毎 月第一金曜日の午前7時半(米国中部時間)に労働統計局(BLS) によって発表されます。 実際、NFP を計算するのに使われる約 37 万 5000 件の事業の調査と、失業率を算出するのに使われる 約6万世帯の調査を含む、別々の調査から作られる2つの異なっ たレポートがあります。 住宅着工件数 米国の 国勢調査局は、 住宅・都市開発局(HUD)とともに、新規 住宅建設レポートを毎月発表しています。 このレポートは、建設 許可、住宅着工、住宅完成の項目を含みます。それらのすべて が一般的に緊密に相互に関係しています。 これらの数値は通常、 住宅について千件単位で表示されています。 建設活動が、ビジネスサイクルの始まりの頃、通常力強く成長し ていることから、前述した2つの数値は、有用な先導役を果たす 指標とみなされています。 居住用住宅セクターにおける活動は、 サブプライムローン危機がそのセクターにおける問題によって動 かされたという点で、最近の何年かにおいてさらなる関心がもた 失業率レポートは、月の最初の主要な経済発表で、前月の経済 活動を描写しています。 米連邦準備制度理事会は、例によって、 れています。そして、この関連における回復は、一般的な経済回 復に対する鍵となるでしょう。 NFP、失業率や、1週間の平均労働時間、平均時間外労働、時 間あたりの平均賃金を含む雇用レポートに抜け目なく焦点をあて ています。 ISM 指数 国内総生産 国内総生産(GDP)は、米国商務省の一翼を担う経済分析局 (BEA)によって編纂れています。 GDP は、経済活動の最も広範 にわたる測定となるものです。 その数値は、前の暦四半期にお ける活動を表しています。 実際のところは、数値は段階的に報告されています。 前の暦四 半期の活動を表すそれぞれの暦四半期の最初の月には、「事前」 発表があります。その後で、その暦四半期の真ん中の月の間に 「予備」発表によって修正され、さらに、それぞれの暦四半期の最 後の月の間に「最終」修正により完了します。 修正は大幅なもの になることもあり、過去数年の活動に反映された数値に影響を与 える場合もあります。 GDP は、よく年率%の変化で表わされます。 GDP の中で最も有 意性のある要素は、消費、投資、純輸出高、政府購入、在庫があ げられます。 消費は、これらの要素の中でも最も有意性のあるも のです。 BEA はさらに、GDP デフレーター、すなわち GDP の構成要素の 価格の変化の測定値を発表していますが、それはインフレ圧力 の主要な指標とみなされています。 GDP のデフレーターは、そ れが財・サービスの固定されたバスケットに関係しているのではな く、むしろ創出された財・サービスの実際の混合を意味している、 という意味において、CPI よりも少し有用と考えられます。 8 | 経済指標の影響力 2013 年7月9日 | © CME GROUP 供給管理協会(ISM)は、午前9時(米国中部時間)に ISM 指数 を、月の最初の営業日に発表し、それは前月の数値を表してい ます。 ISM 指数は、購買管理者の全国的なアンケートをもとに作 られています。 その指数は、新たな注文(30%)、生産(25%)、 使用(20%)、引き渡し(15%)、そして在庫(10%)を合わせてウ エートを置いています。 50%を超えた指数は、前月と比較して経済的拡張を示唆してい ます。つまり、50%を下回る指数は、前月と比較して経済的縮小 の指標になり得ます。 ISM 指数はおそらく、最も有意性のある私 的に発表された経済レポートです。 小売売上高 小売売上高レポートは、米国商務省の国勢調査局によって公表 されています。 それは、月の 13 日あるいはその前後日の午前 7時 30 分(米国中部時間)に発表され、前月のデータを表してい ます。 それは、小売店のレシートの総計により測定されるもので す。 数値は、消費者による支出の有用な指標として入念にチェ ックされています。 アナリストは、自動車メーカーの戦略を割り引くことによって、自動 車販売における潜在的に劇的に推移する好調と低迷に注意深く 留意して、しばしば「エックスオート(自動車売上高を除く)」ベー スに関するレポートを調査します。 小売売上高の指数における 食品とエネルギーの構成要素は、同じようにボラティリティのある ものとしてしばしば除外されますが、必ずしも常に持続可能な要 因というわけではありません。 サービスは、小売売上高に含まれ ず、その数値はボラティリティがあり大きく修正されやすいというこ とに留意してください。 鉱工業生産指数 鉱工業生産指数は、米連邦準備制度理事会により毎月発表され ます。 それは、製造業、鉱業、電気・ガス産業を含むさまざまな セクターからの生産を表します。 その指数は、2002 年の時点を 100 と設定されています。 生産データは、一般的に、さまざまな事業者団体同様、労働統 計局から直接標本が抽出されます。 コア CPI て購入される、固定化されたバスケットの財・サービスの価格を測 定するものです。 それは、公的および私的な労働協定の関係に おいて、広く生計費調整(COLAs)を決定するのに用いられます。 アナリストは、自然における季節的・サイクル的なボラティリティの 高い食品・エネルギー価格を除外した CPI(コア CPI)をしばしば 調査します。1字句を残し、「コア」インフレと読みます。 これらの 数値によって、明敏な消費者が、激しいインフレにさらされた商 品やサービスの代替物、統計ごとに認識されていないパターンを 見つける傾向にあるという意味において、インフレの本当の影響 を大げさに表現する傾向があるかもしれません。 コア CPI は、米国労働省の労働統計局(BLS)によってデータな どが集められ、 その月の 13 日あるいはその前後の日の午前 7時 30 分(米国中部時間)に発表されます。 CPI は、消費者よっ CME Group は、CME Group Inc. とその子会社であるシカゴ商業取引所、シカゴ商品取引所、ニューヨーク商業取引所、ニューヨーク商品取引所、ミズーリ州のカンザス商 品取引所の商標です。 本資料に掲載されている情報は、一般情報の提供のみを目的としており、いかなる投資運用サービスやアドバイス、あるいは投資商品の募集もしくは勧誘を目的としたもの ではなく、また、CME グループの取引/清算サービス/事業や、デリバティブ取引の執行全般に関わる投資判断、取引活動(取引代理人を通してか否かに関わらず)、ある いはその他の事業活動(総称して事業活動と呼ぶ)に関して頼るべき情報でもありません。 お客様がかかる事業活動を始める前には、常に、資格を有するアドバイザーにご相談になり、専門のアドバイスを受けるよう、お勧めいたします。CME グループおよびその子 会社、もしくはその従業員や代理人は、本資料に含まれる情報に関し、一切の責任を引き受けたり、また一切の賠償責任を負うこともありません。 本資料に含まれる事業活動もしくは情報提供の行為が制限されている管轄地域が一部にある可能性もありますので、その旨ご留意ください。本資料に掲載されている情報 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