地方都市のフルサービス型ホテルの新たなビジネス展開 -----「箱外」

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株式会社ホテルマネージメントジャパン 2013 年度 社内提案書
最優秀賞受賞作品
2013 年 12 月
地方都市のフルサービス型ホテルの新たなビジネス展開
------「箱外」ビジネスの展開と優秀な人材確保 -------
株式会社ホテルマネージメントジャパン
オリエンタルホテル広島 総支配人 荒木潤一
I. 地方都市のフルサービス型ホテルの現状
1)マーケット環境の変化に苦戦する地方都市のフルサービス型ホテル
リーマン・ショック、東日本大震災で急激に落ち込んだ景気が、持ち直しに転じて
います。アベノミクス、観光立国推進あるいは訪日外国人旅行者増加傾向など、ホテ
ル業界を取りまく環境も同様に好転しているかに思えます。しかしながら、地方都市
のフルサービス型ホテル(以下、「地方フルサービス型ホテル」と言います。)にとっ
ては、環境は依然厳しい状況が続いています。
地方フルサービス型ホテルは、その多くが1980年から1990年代前半に建て
られた施設であり、宴会場やレストランを中心としています。そのビジネスモデルは、
地方の人口増加や内需成長が前提とされていました。その後、21世紀に入り、脱工
業化社会への移行が顕著になると、大都市圏への一極集中が加速していき、地方都市
は人口減少時代を迎え、内需成長も減速してきています。その結果、ここ数年、地方
都市に新規出店しているホテルは、宴会場やレストランを持たない宿泊特化型で、観
光需要にも適応するビジネスホテルばかりです。
注:本文書の著作権は株式会社ホテルマネージメントジャパンに帰属します。
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しかし、地方フルサービス型ホテルの苦境は、こうしたマクロ経済の変化のみによ
るものなのでしょうか。
2)専門性を持つホテル外競合の存在
地方フルサービス型ホテルにおけるコア・ビジネス(宿泊、宴会、婚礼、レストラ
ン)は、現在、非常に高い専門性が求められています。その理由は、ホテルのコア・
ビジネスの領域に、新たな専業者が参入していきているからです。
新たな専業者とは、宿泊では全国チェーンの宿泊特化型ホテルがそれに当たります。
彼らはビジネス需要に留まらず、地方フルサービス型ホテルの主要ターゲットである
観光需要の取り込みも視野に入れ、出店を加速させています。同様に、婚礼ではハウ
スウエディング業者等、宴会では貸会議室を主としたオフィスビル等、レストランで
はチェーン展開する路面店等、それぞれが新たな専業者に該当します。
婚礼ビジネスを例にとれば、ハウスウェディング業者のブライダル担当者は日々ブ
ライダルのビジネスのことだけを考えています。そもそも会社そのものがブライダル
専業であり、社員は全員ブライダルのプロです。ゼネラリストが多勢を占めるホテル
のスタッフとの問題意識や危機感のレベルが違い、それがビジネスの結果の差となっ
て顕在化しても何ら不思議ではありません。
それぞれのコア・ビジネスの専門性を高めていかないと、顧客の嗜好の多様化や趣
向に合った商品とサービスを継続して提供出来ず、顧客離れに繋がってしまいます。
II. 地方フルサービス型ホテルの潜在力と可能性
1)地方フルサービス型ホテルの強み
バブル崩壊後10数年、地方フルサービス型ホテルは売上の低迷を経費削減などの
効率化により、収益ダウンを最小限に留める努力をこれまでしてきました。しかし、
それも限界を迎えようとしています。また、ホテルは装置産業であるためビジネスの
根幹である箱(ハード)をマーケット環境に合わせて広げることも狭めることもでき
ません。変えられない箱を持っているのであれば、
「箱」をとことん活用し、攻めに転
じるべき時なのです。
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ここで着目しなければならないことは、地方フルサービス型ホテルの強みです。地
方フルサービス型ホテルは、多くの場合、その歴史があります。過去からこれまでの
間にあらゆる需要と情報が顧客とともに集積されています。永年に亘り街に根ざして、
街を知り顧客を知り、情報とノウハウを積み重ねてきた実績、その広範囲な情報・顧
客の蓄積こそが競合となる専業者、異業種には無い地方フルサービス型ホテルの一番
の特徴であり強みなのです。
2)
「箱外」ビジネスの大きな可能性
「箱外」とは耳慣れない言葉ですが、まずここでの意味を説明します。そもそもホ
テルは、その「箱」の中にお客様のニーズを取り込むことをビジネスとしてきました。
言い換えれば、ホテルという「箱」をいかに効率良く一杯にするかを考えてきました。
そして、同時に、「箱」の中に押し込めないものは、その大半をビジネス外としてきま
した。もっと言えば、地方フルサービス型ホテルは「顧客のニーズを探し、それを取
り込む」ことはしてきましたが、
「ニーズを創る」ことには積極的に取り組んできませ
んでした。
しかし、今、地方フルサービス型ホテルは、顧客ニーズに気付きを与え、競合相手
より優位にその顧客ニーズを獲得するという戦略を実行すべき時にきています。
「箱外」
の真意は、狭義に捉えればホテル館外のことになりますが、広義に捉えれば、
『ニーズ
を満たす』から『ニーズを創造する』への進化という意味も込められています。
「箱外」
ビジネスとは、つまり既存のビジネスに捕らわれず新たな需要を創造し、ホテル内外
に関わらず収益獲得を図ることなのです。
「箱外」ビジネスを成立させるには、社外との協力関係が不可欠になってきます。
さらにはホテルが地域の信頼を得ていることも必要になってきます。地方フルサービ
ス型ホテルは永年に亘り、街と一体となってビジネスを続けて来たホテルがほとんど
であり、地域・行政・市民の信頼はもちろん、それに伴うホテル外での数限りないビ
ジネスチャンスを得ていたはずです。進出したばかりの専業者や宿泊特化型ホテルで
はそうはいきません。地域に根ざすには一定の時間とともに街の信頼が必要なのです。
大型宴会場やレストランなどを持ち地域の多種多様な需要を取込み、人が集まる場を
提供出来るフルサービス型のホテルだからこそ地域密着が可能とも言えます。
ホテルは「装置産業・資本集約型産業」と言われますが、それだけでは長く地域で
ビジネスを続けて来た意味がありません。今後の地方フルサービス型ホテルは、ホテ
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ルの持つ「労働集約型産業的側面」と「アイデア集約型産業的側面」を活かしていく
必要があるのです。
3)優秀な人材に「箱外」ビジネスという活躍の場を提供
「箱外」ビジネスの推進には、情報とネットワークをビジネスに繋げることの出来
る経験を重ねた優秀な人材が不可欠です。しかし、その優秀な人材も今やホテルビジ
ネスに魅力を感じなくなっており、業界の門をたたく若者も減っているのが現実です。
これまでのホテルマンの多くは、ゼネラリストの代表である総支配人を目指しまし
たが、誰もがそれになれるわけではありません。また、専門性が求められるマーケッ
ト環境で、以前のように3年毎に部署異動をさせてゼネラリストを育てるトレーニン
グプログラムを実施しても専業に遅れをとることになります。ホテルマンの成長の道
は、総支配人になるためのだけの道ではなく、専門的スキルを磨いていく道というの
も必要不可欠になってきています。
今やホテルのコア・ビジネスには、専門性に優れホテル外の競合相手に引けをとら
ない魅力と運営能力が求められているにもかかわらず、
「箱」としてのホテルはキャパ
シティーが決まっており、収益を確保するにコストを一定以下に抑えなければなりま
せん。したがって、優秀な人材に適切な労働還元をすることが出来ず、離職とノウハ
ウの蓄積ができない環境が生まれています。
図①.
人材がもたらす成果創出の推移
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そこで、優秀な人材には「箱外」ビジネスにチャレンジさせ、
「箱外」から収益を確
保することで労働還元する仕組みを考えなければなりません。上図①は従来の地方フ
ルサービス型ホテルと新たに提唱する進化系ホテルで、優秀な人材がもたらす成果創
出の推移を表したものです。
ホテルは優秀な人材に対して、さらなるスキルを磨く機会、その活躍の場を提供す
ることが求められています。そして、正当な労働還元ができるビジネス環境を整備す
ることが、まさに生き残りのカギと言えます。
III.
「箱外」ビジネスの基礎を築く
1)関係構築
「箱外」ビジネスを現実のものとするには、まず取り掛かりのアクションとして「地
域貢献」がテーマである必要があります。ホテルは社会インフラとしての公的側面を持
ち合わせており、地方フルサービス型ホテルにおいてはなおさらです。この公的側面が
無ければ、
「箱外」での活動は地域にネガティブに捉えられかねません。キーワードは
「信頼できるホテル」であることです。そのための有効手段として、下記の関係構築が
重要です。
① 行政とのコラボレーション:
- この手法の利点はホテルのイメージアップ、メディア広報上有利であること、
さらに資金援助も受けられる可能性もあります。
② 地元優良企業との提携やパートナ-シップ:
- この利点は実績を積み上げていくことによる可能性の拡大にあります。
③ メディアとの良好な関係構築:
- 築き上げた信頼がもたらす取材誘致とメディア露出により、販売・認知度を向
上させることでより効率的にビジネスを展開していく事ができます。
ただ、「箱外」ビジネスは、単にビジネスだけを目的にしているのではありません。
一般に地方都市には地方フルサービス型ホテルは数社しかなく、ホテルの発展は地域
の発展と一蓮托生なのです。したがって、ホテルは街と WIN・WIN の関係であるべき
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なのです。そういった点を踏まえ、実際に現在当ホテルで取り組んでいること、又、
今後の展開事項を挙げてみます。
① 平和大通り空港リムジンバス定期路線化:
- ホテルが密集する広島市中心部への観光客のアクセス改善
②
行政と連携した、婚礼活性化パーティー主催:
- 晩婚化少子化対策及びセカンド婚マーケット創造
③
パーティープロデユース:
- 市の休眠施設・遊休地・公園河川を活用し、様々な種類のパーティを展開
- 市の所有する休眠施設・遊休地の有効活用
④
行政と提携したインバウンドビジネス獲得
- インバウンド誘致による地元消費の向上
⑤
地方ブランド食品とのコラボレーション販売
- 地域特有の食材の全国展開→ホテルで展開・販売
⑥
企業との合同企画パーティー
- TV局との共催ディスコイベント・服飾ブランド・セレクトショップとのコラ
ボイベント・地元アーティストとのコラボレーションディナーショー他
⑦
空民家の活用制度提唱、運営
- 田畑同様、戸建て住居(特に田舎)の空屋問題が出てくることを見越した解消
ビジネス
- ホテルは予約ソースと販売手法をすでに持っており、異業種よりも参入は容易
この段階で目指すことは、
「箱外」ビジネスへ向かうための土壌作りであり、行政や
地域を代表する企業とパートナーシップを形成し、
「箱外ビジネスを当たり前のように
展開していくにふさわしいホテル」として地域の信頼を得ることです。これらはほん
の一例ですが、これまでのように箱内ビジネスに限定していては、景気変動や人的リ
スクが大きく、さらにノウハウの有効な収益への転換を阻害していきます。したがっ
て、当ホテルでは、柔軟に発想し、まずは低リスクでリターンを期待出来るものから
箱外ビジネスの基盤を創っていきます。
2)婚礼パーティーを利用した関係構築
婚礼活性化ビジネスは地域貢献、行政協力、広島市を代表する民間企業との関係構
築に加え、メディアへの好印象にも繋がります。ホテルは地域の発展とともに、地域・
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行政・メディアの信頼を得たとき、さらなるビジネスチャンスが自然発生的に生まれ、
人材とノウハウの有効活用と収益アップの可能性が広がると考えています。ここで、
事例として実際に活動に移している婚礼活性化ビジネスの具体的戦略について触れま
す。
婚礼活性化ビジネスの課題:
婚礼活性化と言えば地方行政はどこも何らかの取り組みを行っている時代です、市
や県レベルではなく国の大きな問題です。しかもホテルビジネスに直接的に大きな影
響を及ぼすものが晩婚化・非婚化です。
インターネットで「婚活パーティー」と検索すると、聞いたことがない社名ばかり
です。顧客は、恐らく「いったいどんな会社が運営しているのか?」、「費用はいくら
かかるのか?」、「信用出来るのだろうか?」といった不安を感じているでしょう。信
用が重要な大手企業やホテルが手をだすべき領域では無いのが現状です。
一方、ホテルにとっては、婚礼披露宴は重要なビジネスです。売上の多寡が大きい
こともさることながら、ホテルという「箱」を少しでも有効に活用する必要がありま
す。さらには、婚礼披露宴は顧客の志向性も高くホテルの人気のバロメーターのよう
なものです。デートもプロポ-ズもホテルで行われているにもかかわらず、なぜホテ
ルはその入口である出会いビジネスに無関心なのでしょうか。理由として次のような
ことが考えられます。
①
責任問題、トラブルで信用の失墜のリスク
②
一部にあるグレービジネスであるという見方
③
出会いを創造して、お金をもらうわけにはいかないという意識
④
集客が難しく、販売促進費用と収益とが見合わない
⑤
やる気・企画力がない
逆に言えば、これらのネガティブ要素を排除すれば、ビジネスに転換できると言え
ます。ではどうすればそれらの問題を解消できるのかを考えていきます。
ホテルがアレンジする婚礼活性化ビジネス:
「婚活パーティー」は、行政・公的機関が主催者となるか、もしくはホテルと共同
で開催すべきです。その上で、地域の複数のホテルがパーティーの企画・運営を行う
のです。これにより、
「婚活パーティー」の信頼性や公共性が増し、顧客が安心して参
加してもらえ、かつ、お洒落で期待感のあるパーティーを開くことが可能になります。
そして、もう一つ重要なポイントは、
「期待が持てる男女が参加するだろうか」という
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点です。この点を解消するために、地元優良企業に参画してもらうことも必要です。
具体的には協賛企業を募ります。ここで行政が主催に絡んでいることが、その効果を
発揮します。行政によって参画企業を募っていただきます。
予算の観点から見ても、行政の負担も大きくはなりません。チラシ製作費や広報全
般にかかる費用のみが行政の役割であるからです。
ホテルにおける収益面についても懸念はありません。先の集客のための費用が行政
負担であることに加え、パーティーの開催日を閑散日の夜にすることで他の収益機会
を犠牲にすることは回避できます。公共性を帯びているため、広島市を代表する司会
者やタレントも低予算での出演依頼が可能です。会費の金額は低めに抑える必要があ
るため、
「ハード・ベネフィット(直接的な収益増加のメリット)」は薄いものの、ホ
テルのイメージアップ、行政とのパイプ強化、市民の信頼、企業・メディアとの関係
構築といった「ソフト・ベネフィット」は小さくありません。
ホテル側の留意点は、1 つです。この「婚活パーティー」で生まれたカップルの婚礼
披露宴をホテルで受注しようなどいう短絡的戦略は捨てることです。
こうした一連の取組は、地域住民には、
「行政主催であり、地元優良企業が賛同参画
し、さらに広島の代表的なホテルで定期的にパーティーが開催される」と映ります。
IV.
「箱外」ビジネスへの挑戦
1)本格的な「箱外」ビジネスへの進化
婚活パーティーで公共性と信頼性を獲得したホテルが、次に行うべき行動は、趣向
性で囲ったパーティーの開催です。
「ゴルフ好き」、
「ワイン好き」
、「セカンド婚」など
をコンセプトとしたパーティーです。
地元企業やホテル顧客を対象に集客します。婚活パーティーを定期的に公共性と安
全信頼をもって行ったホテルだからこそ、安心して参加できる仕組みがここで生まれ
ます。そして、こうしたパーティーの開催自体がマーケットの創造になります。もち
ろん、パーティーの開催により得た顧客情報をフルに活用し、ホテルの他のビジネス
への大きなシャワー効果も期待できます。
ホテルは、地域貢献をテーマに、行政や地域優良企業、メディアとの関係構築が出
来ることにあります。機能面やスキル面を考慮しても出会いビジネスはホテルがリー
ドすべき案件なのです。マーケットはどんなに変化しても、ホテルは「人と人が出会
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う場」であり「人が集まる場」であるべきなのです。
ビジネスを地域と一体となり、誠意をもって着実に推進しているホテルには、顧客
のみならず、様々な方々を引き寄せる力が備わってきます。地元オーナーホテルの運
営、指定管理者、第三セクター運営、市の観光課、レストランなどのコンサルタント
などが代表例です。
この段階にくると、ホテルの優秀な人材にさらなる成長の機会
を与えることが可能になります。全国の地方都市型ホテルに、現状を打破するための
ノウハウと人材を送り込めます。地域ネットワークを活用し、資産管理業務・運営支
援業務獲得を優位に進める事も十分考えられます。
2)進化系地方都市型ホテルがもたらすのは、参入障壁の高いビジネスモデル
優秀な人材を確保し、適切な労働還元ができるビジネス環境を整え、箱内外でビジ
ネを展開していきながら地域密着型経営を続けていくとホテルはどう変化していくで
しょうか。下図②は進化系地方都市型ホテルが変化する過程をまとめたものです。
図② 進化系地方都市型ホテルが変化する過程
第一ステージでは、
「箱」を出るに足る環境整備と実績作りが必要です。低リスクで
負担の少ない小規模ビジネスから取り組みます。この段階では、収益を追いつつも、
行政とメディアと地域の信頼を獲得しながら関係構築を強固にする事が重要です。
第二ステージでは、実際に大きな収益獲得へのアクションに移行していきます。中
規模ビジネスの受託となると、もはや低リスクの業務に限ったものではなくなってき
ます。そのためリスクを分散するために、行政やメディア、さらには地方優良企業を
参画させることも必要となってきます。
そして「箱外」ビジネスを拡大・維持していくことで、最終となる第三ステージに
到達するのです。実際に、民間や地銀とのコンサルタント契約や運営委託契約、第三
注:本文書の著作権は株式会社ホテルマネージメントジャパンに帰属します。
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セクターの運営支援業務(指定管理者)など、大規模な受託ビジネスが地方にはたく
さん眠っています。それらを受託するとなると、幅広いサービス産業への参入に欠か
せない、優秀な人材をさらに囲い込むことが可能となり、ゆえに加速度をつけてビジ
ネスが拡大していくことが推測できます。地域において事業ポートフォリオ拡大を目指
すのです。
結果、最終的にはビジネスチャンスも、それを実現する優秀な人材も向こうからや
ってくる好循環が生まれてくるのです。これら一連の流れはフルサービス型地方都市
型ホテルが生き残る道であり、地方都市型ホテルだからこそ実現可能なビジネスモデ
ルと言えます。
図③
進化系地方都市型ホテルがもたらすビジネスモデルのイメージ展開
上図③はこのビジネスモデルのイメージ展開を表したものです。引き付けた優秀な
人材を、地方だけでなく全国レベルで共有することで、経営難に苦しむホテルのコア・
ビジネスを支え、ホテルの収益を拡大させつつ、地方に眠るビジネスチャンス獲得を
視野に入れています。
最終的にはホテルという業態そのものの存在価値を高め、異業種から人材を求めら
れるような業態に変革する事も期待できます。日本の現状の課題、キーワードは、生
注:本文書の著作権は株式会社ホテルマネージメントジャパンに帰属します。
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き残りをかけた地域間競争、おもてなしの心をもった観光立国推進、少子晩婚化、地
域活性化
など考えてみればホテルが絡めるものばかりです。ホテルビジネスは考え
方次第で、無限の可能性を秘めていると言えます。
以上
注:本文書の著作権は株式会社ホテルマネージメントジャパンに帰属します。