平成28年度 事業計画書 - 日本計量機器工業連合会

平成28年度
事業計画書
方
針
我が国経済は、世界経済の先行きの不透明感から資本財を中心に伸び悩む傾向が見ら
れたものの、企業体力の回復、コスト削減を背景とした企業業績の改善などにより、緩
やかではあるが回復基調のなか、新年度を迎えている。
本年は経済を中長期の成長軌道に乗せてゆく大事な年であり、成長のカギを握る環太
平洋経済連携協定(TPP)をにらんだ経済施策、IoT、ビッグデーター、人工知能など
に見られる投資促進・生産性革命に向けた動き、法人実効税率の 20%台への引き下げ、
あるいは最低賃金・賃金引き上げを通じた消費の喚起等が図られることとなる。また、
高齢化や人口減少などから国内市場が伸び悩む傾向にあるなか、国際間の競争は一段と
厳しさを増してきており、競争力強化のための新たな方策が求められている。
このような状況のもと計量計測機器業界は、イノベーションへの挑戦、グローバル市
場への展開、付加価値の高いビジネスモデルの構築、更には人材の育成に積極的に取り
組み、科学技術の発展、地球環境への貢献や安全・安心な社会構築のため、たゆまぬ技
術革新に努めることが重要である。
このため本会としては、ユーザーニーズを的確に把握し、大学や研究機関との共同研
究・開発を推し進めるなどして一層の技術開発力の向上を図り、産業界の要請に応えて
ゆく必要がある。具体的には、競争の源泉となる新製品・新技術などの開発力強化に資
する事業、製品の技術的優位を確保するため OIML・ISO・JIS 等の基準作りへの積極
的な参画、グローバルな人材、技術やノウハウを持つ人材の確保及び育成を図るための
支援事業、調査団を派遣して諸外国の法定計量制度、型式承認制度、輸出手続き等に係
る情報・資料の収集を図り、データベースに取りまとめるなどして海外市場の開拓、進
出を支援する。更には、9 月に INTERMEASURE 2016(第 27 回計量計測展)を開催
して、会員企業が 2 年間にわたり研究開発した新製品、新技術を一堂に展示・紹介し、
国内外へ最新の計量計測機器情報を発信して需要の開拓を推進することとする。
以上、技術開発力に係る事業、規格の作成と普及に係る事業、高度化に係る事業、需
要開拓に係る事業など、以下に記す諸事業に取り組み、計量計測機器産業の発展に資す
ることとする。
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事
業
1.技術開発に係る事業
(1)IoT、ビッグデーターの利活用に係る調査研究
自動車、医療、環境・エネルギーをはじめとする多くの産業で IoT、ビッグデータ
ーの利活用が進み、販売促進、出荷予測、生産性向上など生産性革命に向けた動きが
加速してきている。当業界においてもこれらを積極的に導入し対応を図ってゆく必要
がある。このため、計量計測機器と情報通信技術との融合に係る調査研究を行い、合
わせてデーターの活用方法、分析手法、取り扱いの課題について研究会などを開催し、
技術開発及び新市場の開拓に資する。
(2)新技術導入・活用に係るセミナー・講演会の開催
技術革新及び多様化する計量計測ニーズに対応するため、学識者・会員有志による
研究会を設けて、輸送分野(航空機・鉄道等)に焦点を当て、新材料、ナノテク、光
技術、情報通信等々の高度化技術の導入、活用についてセミナー・講演会を開催し、
新製品・新技術の開発に資する。
(3)製品・技術開発のための産学官連携に係る調査研究
産業構造・社会構造の変換への対応、グローバル市場における競争力の強化には、
新製品・新技術の開発が不可欠である。これら新製品・技術の開発には、産学官連携
による研究開発の推進が有効な手段の一つといわれている。このため、大学・研究機
関等が所有する計量計測関係の研究内容・成果、共同研究開発事例等々について調査
し、結果をデータベースに取りまとめ公表する。また、同施設の見学・交流、セミナ
ー、講演会を開催するなどして会員の研究開発の推進に資することとする。
(4)計量機器校正技術に関する調査研究
質量及び微少体積に係る校正、検査技術について調査研究し、計量標準の供給、普
及に努める。
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2.規格の作成と普及に係る事業
(1)戦略的国際標準化加速事業(受託事業)
水素燃料計量システム等に関する国際標準化
①
先進各国ではエネルギーの安定供給確保及び地球温暖化防止の観点から水素燃料
電池自動車の開発・普及が加速している。また、水素燃料取引に使用される計量器の
開発・評価技術の標準化が議論されている。
我が国では、技術開発の成果として前年度、水素燃料計量システム-自動車充塡用
-JIS 原案の作成を終了しており、その規格内容を OIML 国際勧告に反映させるため、今
年度、OIML 国際プロジェクトグループの発足及び我が国が幹事国となることを提案する
予定である。本会は国際プロジェクトグループの事務局として勧告案の策定を目指す。
②
国際法定計量機関(OIML)勧告審議調査及び規格策定
貿易の円滑化、国際取引の公正化には、国家間で承認した基準が大きな役割を果たし
ており、国際法定計量機関(OIML)の勧告もその一つである。国際的な規格等の標準
化が進む中、当該国際勧告と国内基準との整合は重要な課題であり、国内基準を国際展
開するため OIML 国際会議へ積極的に出席し、同機関・勧告の動向を把握するとともに、
勧告草案に対する国内意見の反映に努める。また、これらの対応を推進するため、OIML
勧告に対する国内審議体制を整備し審議・調査等々を経済産業省の委託を受けて行う。
(2)国際標準化機構(ISO)規格策定への参画
ISO 国内審議団体として、以下の技術委員会/小委員会について国内意見の取りま
とめにあたるとともに、日本意見の反映に努める。
ISO/TC28/SC2(石油及び関連製品の計測)
ISO/TC30/SC7(水道メーター)
ISO/TC30/SC5/WG3・4(質量流量計)
(3)計量法特定計量器の技術基準の JIS 化に関する調査研究及び原案作成
燃料油メーター
TS 原案作成(継続)
水銀使用特定計量器
改訂原案作成(新規)
(4)一般計量計測機器の JIS 原案の作成及び改定原案の作成
充填用自動はかり
Part2改訂原案作成(継続)
コンベヤスケール
改訂原案作成(継続)
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3次元トラックスケールの試験・校正方法等の調査研究(新規)
開水路流量計(排水流量計)性能試験方法等の調査研究(新規)
自動車用新エネルギー対応計量器(CNG ディスペンサー)等の調査研究(新規)
(5)JIS 原案の作成及び改定原案の作成(公募)
非観血式電子血圧計
改訂原案作成(継続)
水銀充満式温度計及び蒸気圧式温度計
ピペットディスペンサー
改訂原案作成(新規)
原案作成(新規)
(6)JMIF 規格(計工連規格)の作成及び改定案の作成
圧縮天然ガス自動車用計量システム
自動車用尿素ディスペンサー
改訂(新規)
作成(継続)
3.高度化に係る事業
(1)諸外国の計量制度等に係るデータベースの構築
我が国のモノ創り産業は、経済のグローバル化に伴い厳しい価格競争にさらされて
いる。また、人口減少・少子高齢化等から、中・長期的には内需の拡大は難しい状況
にあり、会員企業にあっては、海外市場の開拓あるいは製造・販売拠点を ASEAN を
はじめとするアジア地域等に移す動きが加速している。
このため、国別・地域別の法定計量制度、製品認証制度、輸出入手続き等々に係る
情報資料のデータベースを構築し、会員の海外市場の開拓、進出支援に資する。
(2)グローバル化に向けた人材育成支援及び技術やノウハウを持つ人材の育成
経済活動のグローバル化が進展する中、成長の著しい地域、関心の高い国の歴史、
文化、産業等についてシリーズ的に研修会を開催し、グローバル化に対応した人材の
育成を図る。また、中堅・若手社員を対象に計量計測機器に係る技術基礎講習会、計
量法解説のための講習会、新規又は改訂 JIS 普及のための講習会を開催するなどして
基礎技術力の強化を図る。
(3)経営者研修セミナーの開催
これからの経営・人事管理、人材育成策等について研究するセミナーを開催し、会
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員各社の経営・労務対策の参考に資する。
(4)人材確保に係る合同会社説明会の開催
計量計測機器業界へ就職を希望する理工系学生への業界 PR 及び優秀な人材の確保
を目的として、会員による合同会社説明会を開催し、各社の採用支援に資する。
4.需要開拓に係る事業
(1)INTERMEASURE 2016(第 27 回計量計測展)開催
計量計測機器及び企業の一大 PR の場として INTERMEASURE 2016(第 27 回計
量計測展)を次のとおり開催し、需要の喚起を図る。
名
称
INTERMEASURE 2016(第 27 回計量計測展)
テ ー マ
はかる技術が明日を創る
会
期
平成 28 年 9 月 28 日(水)~30 日(金)
会
場
東京国際展示場(東京ビックサイト)
展示規模
300 小間
後
経済産業省
援
環境省
(国研)産業技術総合研究所
文部科学省
(独)製品評価技術基盤機構
(独)日本貿易振興機構
協
賛
(公社)計測自動制御学会
(一社)日本プラント協会
日本チェーンストア協会 等 68 団体・機関
来 場 者
30,000 人以上を予定
併催行事
講演会、出展製品・技術説明会、NMIJ 法定計量セミナー
計測標準フォーラム、アカデミープラザ 等
企画展示
同時開催
「自動車技術ゾーン」
「ロボット技術ゾーン」の設置
Sensor Expo Japan 2016
第 8 回総合検査機器展
地盤改良技術展 2016
ITS テクノロジー展
(2)広報宣伝誌「はかる」-計量計測-の刊行
広報宣伝誌「はかる」―計量計測―を次のとおり刊行し、計量計測機器のユーザー
をはじめとする関係者とのコミュニケーションを図る。
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体
裁
A4 判
内
容
巻頭言「語る」、特集、会員トーク、New Technology
計測の世界、世界の街角から、エッセイ、本会の活動報告
Products File(製品紹介)、生産統計情報、お知らせ
発
行
No.122 平成 28 年 7 月 15 日発行
No.123 平成 28 年 9 月 10 日発行/INTERMEASURE 特集
No.124 平成 29 年 1 月 15 日発行
No.125 平成 29 年 3 月 15 日発行/製品特集号
発行部数
3,500 部~8,000 部
(3)計量計測機器等のデータベースの拡充と同総覧の頒布
前年度に作成した計量計測機器総覧 2016/2017 年版を広く内外のユーザー、計量
計測機関等へ頒布し、需要の開発に資する。
また、ホームページに掲載している製品データベースを 2016/2017 年版総覧をベ
ースに拡充・更新を行い、最新の計量計測製品・技術情報をインターネットを活用し
て国内外のユーザーへ発信し、需要の開拓に努める。
(4)計量計測マニュアルの頒布
会員各社の協力により作成した健康管理用計測機器、レベル計、はかり、流量計の
マニュアルを頒布し、ユーザーの計量計測機器の適切な選定と最適な使用、保守管理
等に資する。
5.市場動向等調査研究に係る事業
(1)計量計測機器の需要動向調査
環境・エネルギー、医療・介護・健康、バイオ、新材料、ナノテク、情報通信等々
新成長産業分野の中から特定の産業分野を取り上げて、その産業分野における計量計
測機器の需要動向を調査把握し、新しい計量計測機器、システム等の開発に資する。
(2)海外の計量計測機器市場・投資環境等動向調査
アジアをはじめとする経済成長の著しい国や地域の市場、流通、技術、投資環境及
び計量制度等について、調査団を派遣するなどして現地の実情を把握する。
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6.環境対応に係る事業
(1)環境規制等に係る国内外の動向把握と会員への周知
水銀に係る水俣条約、EU、中国等の有害物質規制(RoHS)、化学物質規制(REACH)、
環境省、地方自治体等内外の環境規制の動向把握に努め、会員へ周知するとともに対
応を図る。
(2)環境情報に係る講演会、セミナー等の開催
環境保全を図るため計量計測機器についても、省資源、省エネルギー、3R(リデ
ュース、リユース、リサイクル)など、環境への影響を考慮した製品づくりが求めら
れている。このため環境情報に係る講演会、セミナー等を開催して、会員の環境対応
に資することとする。
(3)二酸化炭素(CO2)排出量削減に係る調査研究
会員企業の CO2 排出量の実態について調査把握するとともに、計量計測機器業界
の排出量削減に向けた取り組みについて研究する。
7.国際協力・交流に係る事業
(1)「社会・産業インフラとしての法定計量コース」研修生受け入れ
法定計量制度で対象としている計量機器の適切な管理及び計量標準の維持・供給に
は、それを担う職員の能力が極めて重要である。
アジア諸国では、法定計量制度を担う計量公務員の資質向上に取り組んでおり、そ
の取り組みを支援するため国際協力機構(JICA)と協力し、国別研修対象国と連携
し実施する。
(2)CECIP(欧州はかり工業会)との交流
本会と CECIP は法定計量制度に係る技術、法令、規格等々について相互理解の促進
を図ることを目的に定期的な交流を行ってきている。6月にオーストリア・ウイーン
で開催される同会の定時総会へ出席するとともに、我が国の特定計量器に係る JIS の
開発状況及び欧州の MID(計量器に係る欧州議会及び理事会指令)並びに NAWID(欧
州における非自動はかり指令)等の勧告案について協議を行うため代表団を派遣する。
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(3)外国の計量計測機関、団体等との交流
INTERMEASURE 2016 の開催にあわせ、海外の計量計測関係団体、機関を招待
し、貿易の促進をはじめとする国際関係事業の円滑な推進を図るための情報交換を行
うなどして交流を促進する。
8.行政施策等に関する協力事業
(1)各種法令・行政施策等への意見具申及び協力
各種法令及び行政施策に対し、意見の具申を行うとともに施策の実施に協力する。
とりわけ計量法令については、本年、見直しの審議が開始されることから、計量行政
審議会等を通じ制度改革に係る業界意見の反映に努める。
(2)校正事業者登録制度(JCSS)に基づく技能試験の実施
(独)製品評価技術基盤機構の要請を受けて校正事業者登録制度(JCSS)に基づ
く質量及び圧力に係る技能試験を実施し、同機構業務に協力する。
9.業務活動
(1)生産性向上設備投資促進税制に係る証明書発行業務
生産性向上設備投資促進税制については平成 26 年 1 月 20 日から実施されている。
本会は、同制度の計量計測機器に係る機械装置及び器具備品の証明書発行団体に指定
されている。同制度の周知を図るとともに、対象設備(先端設備)の確認並びに証明
書発行業務を行い、計量計測機器の販売促進活動を支援する。
(2)業界振興・助成策の活用
厳しい経済情勢に対応するため、セーフティネット保証 5 号、雇用調整助成金制度、
金融・税制等の各種対策、振興・助成制度等の周知・活用に努める。また、これら対
策、振興・助成制度について会員が利用し易いよう迅速な情報収集と提供を行う。
(3)委員会・部会活動
次の委員会等によって、事業の実施・遂行及び事業運営の提案を行うとともに、部
会では業界共通の課題等について協議し、意思の疎通を図る。
政策委員会
総務委員会
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労務委員会
技術委員会
市場開発委員会
国際事業委員会
広報委員会
環境委員会
長さ測定機器部会
はかり部会
レベル計部会
流体計測機器部会
等々
(4)情報資料の刊行
次の情報資料を刊行する。
会報(年 12 回)
、景気・業況・施策等に対する会員の意見調査報告書(年 2 回)
労務情報(春期昇給、夏・冬賞与、各種規程類に係る調査報告)
、海外情報
生産・出荷等の統計情報
はかり(毎月)
、ガソリン計量機(毎月)
、長さ計(四半期)
、流量計(四半期)
レベル計(四半期)
、ロードセル(四半期)
、速さ・回転計(半期)
輸出入通関統計(暦年)
(5)講演会・講習会・見学会等の開催
内外の経済情勢、環境の変化に伴い労務、財務、技術等に係わるテーマを適宜取り
上げて講演会・講習会・見学会などを開催する。
(6)ホームページの運営
本会の事業活動の周知、情報資料の提供・公開のためホームページを設置している。
本ホームページを管理運営し、整備拡充に努める。
(7)第 58 回計量機器事業振興功労者表彰の実施
総会に引き続き表彰式を行い、表彰状と記念品を贈呈する。
(8)勲章・褒章、大臣表彰への候補者の推薦
基準適合者を関係機関へ推薦する。
10.上記事項のほか、本会の目的を達成するために必要な事業及び業務を行う。
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