AMステレオ放送方式と実用化

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AMス
オ放送方式と実用fヒ
テ
JAlDM
中波 ラジオ は放送 の原 点 で あ る
放送 の歴 史 は今 年
海老沢政 良
ガ レー ジに あった無線電話実験局 8XKか
この 8XKが
を放送 した
数 を占めて い る 放送技術 者 の 多 くの先輩 が 中波 ラジ
オで技術 を磨 き,新 しい放 送分野 を開拓 した 。 中波 ラ
で最初 の ラジオ放 送局 とな った といわれ てい る。
ジオ は,受 信機 の 普 及 数,サ ー ビスエ リアの広 い こ と,
して正 式 なライ セ ンス を発行 され放送 を開始 した
安定 した 移動受信 の可能 な こ とな ど他 の メデ ィア にな
い優 れ た特 徴 が あ る
しか し,最 近 の ニ ュ ー メデ ィアの急速 な発 展 に比 べ
る と中波 は技 術 革新 に取 り残 され た感 もあ る. これ は
中波 の 弱点 で あ る電 波 の ス ペ ク トル を100%活 用 して
い るため ,新 規 の情 報 を多重 す るのが困 難 な こ とが ひ
とつの原 因 であ ろ う
しか し,最 近 の技 術 の進 歩 が 中
後 に KDKAと
ら音 楽 や歌
で69年にな るが ,中 波 ラ ジオ はその歴史 の時 間 の 過半
な り,世 界
同 じ頃 ,他 にWHA,WWJ,WBZ局
が 放 送局 と
一 方 ,英 国 で は 2年 後 の1922年 ,BBCが
放 送 を開
始 した.英 国 で は当初 か ら,放 送局 は 1法 人 に しか 免
許 しな い と議会が決定 して い たの で ,米 国 の よ うに 多
数の放送会社 が 設立 され る ことはなか った
これ らの 外 国 での放 送開始 の 情 報 に束」
激 され ,わ が
国 で もラジオ放送 を開始 す る要望 が 高 ま り,逓 信 省 は
1924年 (大正 13年 )8月 ,東 京,大 阪,名 古 屋 に 放送
波 に もステ レオ を可能 に した すで に ,米 国,カ ナ ダ,
オ ース トラ リアな どで AMス テ レオ放 送 が 開始 され て
局 を公益 法人 として認 可 す る方 針 を明 らか に した
N H K50年 史 に よる と,東 京 では 「
社 団法メ 。東 京
い る。
放送局 」 が設立 され ,1925年
我 が 国 で も1986年か ら放 送技af開発協議会 が 中波 ス
テ レオの技 術検 討 を実施 し,昨 年 11月,幸長告 書 を ま と
芝浦 の仮 放送所 か ら我 が 国 で 最初 の ラジオ放送 が J0
AKの コール サ イ ンで発射 され た この 局 の設 備 は,
め郵政省 に提 出 した。郵政省 で は これ を受 けて ,電 気
テ レオの 技11的条件 につ い て
米 国 ゼ ネ ラ ル 社 製 の送 信 機 で ,周 波 数800kHz,出
通信技術審議会 にAMス
諮問 した これ に よ り,い よい よ我 が 国 で も中波 ス テ
レオ放送 の 実現 に 向 けて その一歩 をあゆみだ した と見
しる
らオ
そ こで , 新 しい技術 であ るA M ス
テ レオ につ いて,
放 送技術 の基 本 で あ る 中波放 送全般 も含 めて 解 説 して
み よう
(大正 14年 )3月
22日 ,
力
220Wで あ った
これ らの設備 は東京市 か らの 借 lllであ った ため ,東
京放送局 は愛宕 山 で本放送 局 の設 備 の建設 を開始 した
本 放 送局 の 設 備 は,出 力 lkWの 送 信機 (第 1装 置 は
‐
米 lIEウエス タ ン社製,第 2装 iは 山中電 気事9,空
中
線 は 高 さ45inの逆 L型 で あ った .
大 阪 で は,社 団 法 人 大 阪 放 送 局 が1925年 6月 1日
AM放
送の あ ゆみ
19肛紀後半 に マ ック ス ウエ ル ,ヘ ル ツに始 まる電 磁
波 の発 7FL.その後 ,マ ル コニー が1899年,イ ギ リス ・
500Wで 仮 放 送 を開 始 し,翌 年 12月 lH,上
lkWで
本陶 か ら
本放 送 を開始 した
また,名 古 屋 で は,社 f17
法人名 古屋放 送局 が1925年 7月 15日,南 外堀 町 か ら 1
kWで 本放送 を開始 した .
フラ ンス 間 の無 線通信 に成 功,さ らに1901年大西 洋横
ところで ,当 時 の逓 l.省 は この 3局 に よる放送 の反
断 に も成功 した こ とが 無線 通信 の 実 用化 に大 きなイ ン
パ ク トを与 えた と くに,米 国 で は個人 が 開設 した実
響 と成果 か らラジオ放 送の重要 さを認 ―lし,全 Eど こ
験 局,ハ ム局 が増 加 し無線 通信 の実用 化 が 促進 され た
この ような背景 にあ る1920年,ピ ッツバ ー グに住 む
で も鉱石 ラジオで ラジオ放送 が 聞 ける こ と,お よび技
術 ,事 業運 営 の 効 率化 を目標 に 「10kW大 電 力放 送 局
の建設計 画」 「
既設 3局 を合 同 した統 一 公益 法人 の設
ウエ ステ ィ ン グ ハ ウスの技 初ftt F.コ ン ラ ッ ドが彼 の
立 」 の 構想 を1926年 2月 に決定 した
92
HA4′ ノθ
′ ″′
`/″
2放 送 は埼 玉 県 lllケ谷町 (当時)里 に設 置 され た
こ
これ を受 けて,同 年 8月 2日 社 団法人 日本 放 送協会
の設立総会 が 開催 され ,こ こに我 が 国 として 統 一 され
の送信機 は,当 時 ,国 産 で は最初 の大電 力送 信機 で あ
た全 国的 な放 送態勢 が確立 され る こ とにな った。 この
統
ときか ら大 平洋戦 争終結 まで ,我 が 国 で はNHKが
った が ,当 初 は100kWで 1937年 に仮 放 送 を開 始 し,
1939年 5月 か ら本放 送 とな った。空 中線 は,当 時 の 技
一的 に技術 ,番 組 での放送 の発 展 に大 き く寄与 す る こ
術 として は最新式 の ア ンチ フェー ジング型 で長 さ053
λとした高 さ3128mの ス テ ー 式 を採 用 した。
とになった。
●技術 の 進 歩
我 が国 で放 送 が 開始 され た当初 の放 送機 は,ほ とん
どが 外 国製 の放送機 で あつた。 NHKの
資料 に よ る と
コニー
マル
として
当時 の 放送機 の製 造者
,テ レフ ンケ
ン社 な どが記録 されて い る。 また ,当 初 は自励 発振 方
この 東 京局 の 大電力設備 が ,我 が 国 が 太平洋戦争 に
突入 す る まで は最新 の放送 機 で あ った。
●戦後 の 技 術革新
太平洋戦争 中 は軍部 に よる電 波管制 と,レ ー ダ ー な
どの軍事技術 開発優 先 で ラ ジオ放 送 は,片 隅 に押 しや
式 で あった が ,1929∼ 30年頃 の送信機 にな る と水 晶発
られて い た。 ところが ,敗 戦 に よ り電波関係 の法律 も
信 式の装 置 が 使 用 され るよ うになって きた
大 き く変貌 し,放 送 に も民間放送 が認 め られ る こ とに
一 方,1930年 に な る と,国 産 の放 送機 も使 用 され る
よ うにな って きた.最 初 の国産 機 は福 岡放送 局 に設 置
な った 。
1950年 (昭和 25年 )6月
放送 開始 当時 の受信機 は,鉱 石式 と真空管 式 とで あ
ジオ 年鑑 に よる と受信機 の 種 別 は1925
った .NHKラ
,い わ ゆ る電波三法 の施 行
民 間放 送 の 2本 立 て とす
で ,我 が 国 の放 送 はNHKと
る こ とが決 定 され た .そ して ,翌 1951年 9月 ,我 が 国
で最初 の民放 局 として大阪 に新 日本放 送 (毎 日放 送 の
年 に は 鉱 石 式 が73%,真 空 管 式 が27%で あ っ た が ,
1932年 には真空管 式 が84%,鉱 石式 が16%に なった.
前身),名 古 屋 に 中部 日本放送 が 開局 し,ラ ジオの 新
しい歴 史 が 始 まった 。
真空管式 も当初 は電池管 を使 用 して い たが ,1927年
頃米 国 で 実用化 され た ,傍 熱管 を使 用 した交流式 受信
当時 の 中波 の送 信機 の電 力増幅 管 は,少 電 力 の もの
は 自然 空冷 で ,大 電力 の もの は水 冷 で 装置 は大 きか っ
た 。 ところが ,文 化放 送 が 1952年 (昭和 27年)米 国 R
され た500W機 で安立電気製 で あった
機 に逐 次変換 され ,1931年 には新規 契約者 の 約 8割 が
交 流式受信機 とな って い た .
CAか
ら輸 入 した10kWの 送信 機 は,電 力増 幅 管 に強
0大 電 力放送
制空 冷 の球 を使 用 して お り,装 置 は非常 に小型 化 され
逓信 省 の全 国的 な10kW放 送局建 設 計 画 に沿 って 開
始 された放送局 の建 設 は,ま ず東京 と大阪 で1928年 に
完成 した .東 京 の10kW局 は埼 玉 県,新 郷 (現在 の川
ていた
お り, リミッタ ー ・ア ンプ な ど性 能 もよ く,こ れ は,
国市 赤井)に 設 置 され たが ,こ の場所 は,現 在 文化放
送の送信 所 として使 われて い る その後 ,札 幌,熊 本 ,
米 国製 の真 空管 の発 生 ノイズの少 な さか ら くる性能 向
上 で ,雑 音 レベ ルが -125dB以 上 は楽 に 得 られ たのが
当時 の 国産機 の約 半分 の設 置面積 であった 。
また ,RCAの
機器 はス タジオ装 置 も小型 化 され て
仙 台,広 島,名 古 屋 も開局 し10kW局 は 7局 とな った 。 素 晴 らしい こ とで あつた。
この よ う に,太 平洋戦争期 間 中 に,我 が 国 と米 国 と
しか し,こ の 頃 か ら外 国混信 が 問題 にな り,我 が 国
で技術 の 差 が これ ほ ど大 き く開 い たの には,た いへ ん
で も大 電力 に よる放送 が計 画 され ,東 京 の第 1,第 2
放 送 を150kWに 増 力 す る こ とに した .
この 増 力 を機 に第 1放 送 は埼 玉 県川 口 市青 木 に,第
驚 い た もので あ つた。
ところで ,こ の 頃 か ら10∼50kWク ラ スの 中波送 信
0
写真 1
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1,θ θ
文化放送送信所
写真 2
文化放送送信機 (10kW時 代)
93
中波放 送 の電 波 の 特質 の一 つ として ,夜 間 の電 離 層
に よる反 射 で空 間波 が遠距 離 まで伝搬 す る こ とが あ る.
このた め,周 波 数 に よって は夜 間 に 外 国電 波 の混信 が
写真 3
現在の文
放送
`ヒ
送信所外観
起 こ り受信 を妨 害 す る.こ の混信局 の キ ャ リア周波 数
が希 望局 の周波 数 と若千 ズ レてい る と,キ ヤ リア ・ビ
ー トが発生 し受信 に大 きな障害 とな る.
この 混信妨害 の程 度 は ビー ト周波 数 に よ り異 な り,
ビー ト周波数 が 零 の場合 を基準 にす る と, 1∼ 2 kHz
の ビー トの場 合 は,妨 害 が10dB程 度 も悪 化 す る.し
たが って ,希 望局 と完全 に同 じ周波 数 の混 信 で ビー ト
が 発生 しな い場合 と,周 波 数 が 少 しズ レて いて ビー ト
混信 とな る場 合 とで は,ビ ー ト混信 の あ る場 合 の ほ う
が混 信 が ひ ど くな る
第 1
そ こで ,ピ ー ト混信 をな くす 目的 で , ITUの
地域 ,第 3地 域 の各加 盟 国 が 1974∼75年 に会 議 を開 き
(長中波放送 に関 す る地域 主管庁 会議 ),ヨ ー ロ ッパ ,
機 は,ほ とん どが強制 空 冷式 とな って きた 強制 空冷
式の送信機 は,冷 却水 の パ イ プ,水 漏 れ な どの トラブ
ルが な く構 造 が 簡 単 にな り, また ,保 守 も容 易 で あ つ
た 。 しか し,強 制空 冷用 冷却 フ ァ ンな どの騒 音 が 発 生
す るので,フ アンの掃 除 には神 経 を使 った 。 と くに,
細 か い砂 な どの 付着 に よるフ ァ ンの 羽根 の汚 れ ,球 の
冷却 フ ィ ンの汚れが騒音発 生 の原 因 にな った
ア フ リカ ,ア ジアの各国の長 中波放 送 の周波 数間 隔 を
9 kHzに 統 一 す る こ とを決 定 した。
実 際 に ,周 波数 を 9 kHzに 変 更 したの は1978年11月
23日 であ つた 。 この変 更 に よって, ビー ト混信 で悩 ま
され ていた局 の混信 は大幅 に改善 された この 協 定 の
有効 期間 は11年間 だが ,改 正 され る まで は期 限 が きて
も効力 が あ る ことになって い る。
ら中波 ラジオの受信環境 が 悪化 して きた。 そ こで ,郵
●プ リエ ンフ ァシ ス
中波 ラジオ は音 が 悪 い といわれ て い る. と くに, F
M放 送 の 音 質 が 良 い こ とと比較 され て い われ るが ,本
政省 は 中波局 の 増力 ,周 波数変更 な どを決 定 し,1971
年,東 京 の民放 が100kW,大 阪 は50kWな ど民放局 も
当 に中波 の音 は良 くな い の だ ろ うか
'
され てい る部分 が 多 い ようだ .
その後 ,都 市圏 での高層 ビルの 増加 ,各 種 電 気機器
の 普及 な どに よる雑音 の増 加,外 国混信 の増 加 な どか
中波放送機 の 特性 は,そ の出力 まで は FM放 送 と変
大電 力局 となった
この 頃 か ら,100kW放
これ は,誤 解
送機 の冷 却 には冷却効 率 の
良 い蒸発 冷却 方式 が 採 用 され る よ うにな った.蒸 発 冷
却 は,水 が 蒸発 す る際 に奪 う気化 熱 を冷却 に利 用 す る
わ らな い 良 い特性 が 保証 され てい る.た とえば,周 波
数特性 はほ とん どの 放送機 が10kHzま で フラ ッ トで あ
もので ,フ ラ ンスの トム ソ ン社 が 蒸 発 冷却管 として実
用化 した技術 で あ つた .蒸 発 冷却方式 の 放 送機 は,冷
る。 ところが ,実 際 に ラジオ を受信 す る と音 が 悪 くな
るの は何故 だ ろ うか
'
これ は,夜 間 の 外 国混信
を軽減 す るた め ,一 般 の 中
却効 率 が 良 いため 装置 が小 型 にな り,ま た ,冷 却 用 の
フ ァ ンが な いため騒 音 も発 生 せ ず,さ ら に蒸 発 冷却管
波受信機 は選択度 特性 を狭 くして い る こ とが原 因 で ,
周波 数特性 が 悪 くな り音 質の劣化 を招 い てるた めで あ
は強制空冷用 フ ィ ンが 不要 で ,そ の分 だ け球 の重量 も
る.市 販 受 信 機 を測 定 した 例 で は, 5 kHzで 10∼20
軽 くな る。
dBも 下 が つて い る ものが 多 い.こ れ で は,い くら放
送機 の 特性 が 良 くて も中波 の音 は良 くな らな い.
また ,大 電 力 の FETの
開発 が 進 み 1∼ 3kW程 度
の放送機 は個体 化 が 可能 とな った 。 また ,こ の放 送機
を複 数個組 み 合 わせ ,出 力 を合 成 して10kWの 放 送機
も製造 され る よ う に な り,10kW放 送 機 は個 体 化 が 一
しか し,外 国混信 も年 々 増加 して きてお り,選 択度
を広 くす る ことも現実 的で はな い.そ こで ,受 信機侶1
で 下 が って い る周波数特性 を,送 信側 で補償 す る こ と
般 的 に な っ た が ,50∼ 100kWが 個 体 化 され る に は,
が で きれ ば総合 的 に音 質 が 良 くな る.
さ らに時間が必要 で あ った .
このため ,レ コー ドや FM放 送 で使 われ てい る プ リ
エ ンフ ァ シス技術 を中波 に も利 用す る こ とが考 え られ ,
100kWの 個体 化 放 送 機 は1987年頃 に 実 用 機 が 発 表
され ,東 京放送 で1989年 6月 か ら使 用 す る予定 に な っ
ている.
米 国 で は1980年 頃 か ら採 用 され て い た .我 が 国 で も
1982年 1月 ,郵 政省 が その導入 を認 め 導入 に 関 す るガ
●9 kHz移行
イ ドライ ンを決定 した。 この 決定 で ,同 年 1月 末 に南
94
″
HA′ピ ノ
♭″/″
第 1表 FCCの
なって か らで あ つた
レオ化 とともにAM放
AMス テ レオ方式比較
1 現 減 晨 , ■●■1 1
(15,
(1)Avenge lい rmolic D sloIlo■
( 2 ) N I s t u n ‖〕
gI]ffecis(5)
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( )内 は11喘 11
`年
12
5
当時 ,米 国 で は FM放 送 の ステ
送 のス テ レオ化 も提案 され たが ,
テレ
FM放 送 の普及 を優先 したた め,AMス
オ は見送 りとな った 。 その後 ,1970年 代 にな り米 国 で
は FM放 送 の 普及 が AM放 送 に迫 る勢 い とな り,AM
FCCは
放送 の危機感 か ら,改 めて 中波 ステ レオの 実 用化 にむ
けての動 きが活発 化 した 。
1975年 9月 ,米 国 の EIA(電
2 ■ 訓 波付 ‖
(1)Occupied bandwidい (10)
(2)Pit)tecloll r●
10s(lo,
子機 械 工 業会 ),N
AB(全
米放送事業 者 連 盟)な ど 4団 体 が NAMSR
C(全 米 AMス テ レオ ラ ジオ 委員会 )を 結成 し,中 波
3
7
ステ レオ の 組織 的検討 を始 めた NAMSRCは
.。)
3 COVERACE(Rc屁 lnve tO、1。
(1)Sici e。 lo nlollo lcceiVer(5)
(5)
(2)Ste〕 eo to stcleo l(ceivc「
5
5
提 案者 に協 力 を求 めた 。 この 呼 びか けに,次 の 3者 の
中波 ス テ レオ方式提案 者 が応 じて ,実 験 に協力 した
マ グナボ ック ス社
5
モ トロー フ社
ベ ラ ー社
I
8
イ ,●
`“
6
│ ス テ レ オ込 1 , : 1況
人
(1)D sto1lk)n(10)
( 2 ) I ' l e n u e i l C IヽC S ' O n s c ( 1 ( ) )
(3)Sc)alを
tl ol)(10'
(1)Noisc(10)
5 ス テ レ オ■ は1 人わι
円: を
l 印1 1 + アンテナ 仁t 1 4 1i キ
度
に 入れ た ステ レ オ■ ( , ■
の
`は
総 合‖ M I ( “) )
中波
ス テ レオ の検討 を開始 す るため ,中 波 ステ レオ方式 の
9
8
9
5
76
71
72
58
この 3方 式 に つ いて室 内,野 外 実験
NAMSRCは
提 出 した 。
を実施 しその検討 結果 を1977年12月 FCCに
一 方, FCCは
きな
どAM放
この NAMSRCの
動
5
送業界 の AMス
65
1 1 8 2 年3 月失 l L
この緊急警報信号 送信装置 は,す でにNHK,民
放
テ レオ ヘ の要望 の 高 ま りを見 て1977年
7月 Notice of lnquirely(公 開質 問 告 示)を 発 行 し,
中波 ステ レ オの実施 に関 して広 く意見 を求 め た 。 この
告示 に対 し中波 ス テ レオ放送実現 の 要 望 の 高 い こ とを
,1978年 10月 Notice of Proposed
Rulemakillg(規 則作 成提 案 告 示)を 発 行 し,標 準 方
の多 くの局 に設置 されて い る
認 め た FCCは
中波ステ レオ放送
中波 ステ レオ放送 の原理 は,稲 富氏 (元NHK技 研
主任研究員)の リポー トに よる と,米 国 のR K Pot
terが今 か ら63年 も前 の1926年に米 国特許 を取 得 して
い るそ うであ る。 この特許 は,左 信号 と右信号 に よる
直角変調 によるステ レオ方式 との ことで,先 見 の明の
ある発明 にはただ驚 き,感 心す る。
しか し,当 時 はモ ノラル放 送 の実用化が当面 の課題
で,ス テ レオ放送技術 の開発 にはさ らに長期 の時 間 が
式の決定 と規則作 成 に関 して意 見 を募 集 した 。
その後 , FCCは 部 内検討 の 結 果 1980年 4月 ,マ グ
ナ ボ ック ス 方式 を米 国の標準 方式 とす るこ とを内定 し
部 に も反対 が
たが,放 送業界 の反対 が 多 く,FCC内
こで
さ らに意
FCCは
あ りこの内定 を取 り消 した。 そ
見 を 求 め る た め, F u r t h e r N o t i c e o f P r o p o s e d
Rulemaking(規 則 作 成提 案 追 加 告 示 )を 1980年 9月
に公表 した .
FCCの
標準 方式決定 の方法 は, 5種 類 の比 較 項 目
を立 てた比較表 を作 り,方 式別 に技術特性 に応 じた 得
必要 であ った
●米国の状況
中波 ステ レオが具体 的な研究課題 にのぼ るようにな
点 を当て ,そ の 合計点 数 の もっ とも優 れ た方式 を標 準
方式 とす る考 え方 であ った (第 1表 )。 この 考 え方 は,
ったのは,米 国で FM放 送 が普及 した頃 の1950年代 に
一応 合 理的 で はあ るが ,比 較項 目の 点数配分 に よって
周 波 数 特 性
1 0 0 H 2 - 5 k H z の 範 囲 でl k H z 基
準 2dB以 内
ひ ず み 幸
高調度8 4 % ま で5 % , 9 5 % ま
,5%以 下
S/7V
変調度 100%で 45%dB以
で
*80dBま たは43+10o詢
OPw
第 2表
FCCの
技術規準
上
セパ レー シ ョン
‖ 付 後 5 年 円 1 0 0 H z ∼5 k H z で
は以F 1 / は
300H z∼
1 5 d B 以上 . 5'年
5k Hzで
2 0 d B 以上
占有 帯 域 幅
右図に よる
HAル グ´θ
″″α′
プ リエンファシスによる特性改善
リエ ンフアシスカ ーフ
生炒,(カ ー ラ ジオ )
TRも︺ R ヨ
Hz〕
周波数 〔
(b)プ リエンフアシスによる特性改善
変
波数 (Hz〕
"周
(al送信機総合周波数特性
海 放 送 が 我 が 国 で 最 初 に 中 波 の プ リエ ン フ ァ シ ス を導
の緊急情 報 を迅速 ,確 実 に市 民 に連 絡 す るため に設 定
入 し好 評 を得 た
され た信号 で あ る。 この 信号 は,1980∼ 82年にか けて,
民放 の プ リエ ンフ ァ シス放 送 は,米 国製 の オ プ チ モ
ー ドAM機
を使 用 して い る.こ の 装置 は,テ ー プ録 音
機 の ノイズ ・リダ ク シ ョン・シス テ ム に採 用 され てい る
電波技術 審議会 で検 討 され答 申 され た もの で ,1985年
6月 1日 施行 され た
この信号 は,中 波 ,Tvな
どす べ ての放 送 に共通 の
ドル ビー Cタ イ プ とその動 作原 理が よ く似 て い る. こ
信号 として決 め られ た もので ,緊 急情報 を放 送 す る前
れ は,入 力信号 の レベ ル に よってプ リエ ンフ ァ シスの
エ ンフ ァシ ス量 を変 える こ とで 平均変調度 を高 く保 持
す る と自動 的 に受信機 の電源 ス イ ッチがオ ン にな る緊
す る工夫 が され て い る装 置 で あ る.
急警報 受信機 も発 売 され た
中波放送 は変 調 度 が100%を 超 え る と,原 理 的 に ク
リ ピ ッ ン グ歪 み を発 生 し急激 に歪 率 が 増 大 す る. この
に際 して受信機 メー カーか ら同町 に この 受信 機 が 寄 付
に,ア テ ンシ ョン として放送 され る
この信号 を受 信
先 の 大島,三 原 山の噴 火
され てい る.
ため ,最 高変調度 を100%に 抑 える必 要 が ある.
プ リエ ン フ ァ シス は 5kHz付 近 の周 波 数 を10dB程
1種 信 号 と津波情 報 な ど特 定地域 向 けの第 2種 信 号 と
度 強調 す るの で ,最 高変調度 は この 周波数 で ほぼ決 定
に 区別 され る.信 号 は,1024Hz,640Hzの
され , lkHz付
近 の周 波 数 の 変 調 度 は低 く抑 え られ
て しまう.し たが って ,仮 に固定 した プ リエ ンフ ァ シ
スカー プで プ リエ ンフ ァ シス を行 う と,平 均 変調 度 が
る毎 秒 64ビ ッ トの FSK信
号 で ,音 声 信 号 を止 め て
(無変調 とす る)音 声 回路 に流 す.こ の 信 号 は 音 声帯
域 で ピ ロ ピ ロ と聞 こえ るの で,聴 取 者 の 耳 に直接訴 え
低 く抑 え られ ,音 量感 が 低下 して しまう.
そ こで ,オ プチモー ド機 は入力信号 の レベル が 低 い
る こ とに もな る (第 2図 ).
時 はプ リエ ンフ ァ シス を大 き くか け,入 力信 号 の レベ
ルが 高 い時 はプ リエ ンフ ァ シスの程 度 を減 ら し,平 均
信号 は,大 規模 地震 の予 知情 報 な どに使用 され る第
2波 に よ
第 2図 緊急警報信号のフォーマット
変調度 を高 くして い る (第 1図 ).
文化放送 の例 で は,オ プチモー ド機 を使 用 して プ リ
エ ンフ ァ シス をか けた場合 の周波 数特性 の 改善度 は 5
kHzで 平 均 5∼ 6dB得
F
られ た .ち な み にNHKは
M放 送 と同様 の 考 えかたで ,10レ Vの 固定 プ リエ ンフ
ァ シス となってい る 現在 ,民 放 局 は全社 が プ リエ ン
フ ァ シス を採用 してお り, また,NHKも
な どで採 用 して い る.
(a)符 号 のプ ロックの構成
東 京,大 阪
●緊 急警報信 号
2フ ロ ック
我 が 国 は世 界 で も有数 の地 震 国 で あ る。 と くに,大
規模 地震 が 発 生 す る とその被 害 は計 りしれ な い もの に
な る と想定 され る.こ のた め,国 土庁 で は大規 模地 震
の 予知 に力 を入 れ てお り,そ の 一 環 として ,放 送電 波
を利用 し緊急 情 報 を放 送 す る こ とにな ってい る.
この 緊 急情 報信号 は ,地 震予知情報 や津波 警報 な ど
ハ 6′ ′
`θ
"9
( 2 ブロ ックオロ当期 間 を単位
と して 送 出 )
(Cl終 了信号の構成
95
結果 が左 右 され る欠点 が あ り,多 くの賛成 を得 られ な
第 3表
か った もの と見 られ た
1982年 3月 ,結 局 FCCは
オ ー ス トラ リア
標準 方式の 統 一 が で きず
周波数特性
Report and Order(報
告 と命 令 )で ,市 場 の 自 由競
争 に よ り方式 を統 一 す る市場原 理方式 を採 用 す る こ と
を発 表 した (第 2表 )こ
の 結 果 ,米 国 の 中波 ス テ レ
歪
分
幸
離
度
オは 5方 式 が 混在 しなが ら放 送 が 開始 され ,聴 取 者 は
どの方式 を受信 す るのか と惑 う こ とにな った 。
実際 に 中波 ス テ レ オの放送 を開始 したの は,い ずれ
とKTSA局
で,
もカ ー ン方式 を採 用 した KDKA局
1982年 7月 で あった 世界 で最初 の 放送 を開始 した歴
史的 な 名門放 送局 KDKAは
各国の技術規準
,中 波 ステ レオ放 送 で も
米 国最初 の 局 とな る名 誉 を獲得 した 。
約 1年 半経過 した1984年 3月 の 資料 に よる と,方 式
8
9
3
9
ハ リス方式
カ ー ン方式 ( I S B )
0 0 日′∼5 k ′ 変
'1,80ウ
l18(11,
た1 「
サ
タ ミー ル 1 い
プ ラ ジル
周波数特性
モ ノラ , ιとI J し
分
]"1′ヽテ5ヽレ
離
度
タ』1彙 ″ 3 ktい
'1ク
移行準備期 間 とした モ トロー ラ方式 を国の 標準 方式
としたの は,オ ー ス トラ リア に次 い で 同│二
│が 2番 目 の
国 であ る
1989年 2月 の 資料 に よる と,カ ナ ダでの 中渡 ステ レ
オ放送局 数 は66局 とな って い る.
4
局 局 局
月1の放送 局 数 は次 の とお りであ る
モ トロー ラ方式 (C―QUAM) 120局
コ11′∼75k11′ 少,‖彙Ы °
″ ± laB,ソ勺
80°
10(1レ
ー5 ヽ
I レ 変, 1 1 生
. タ ミー ヽ″
″
4',11″ ″
マ グナボ ックス方式
ベ ラー 方式 を採 用 した放 送局 は 1局 もな く,事 実上
市場 原理競争 か ら脱 落 した 。 また ,ハ リス方 式 は,エ
キサ イタ ー の型 式認 定問題 で トラブ ル を起 こ し, FC
Cか ら 1か 月 の 使 用禁止処 分 を受 けた こ とな どか ら,
モ トロ ー ラ方 式 に合併吸収 され て しまった .
この 結果,米 国 で はモ トロー ラ,カ ー ンの 2社 の方
式争 い に しぼ られ る こ とにな った 。
1989年 2月 の 資料 に よる と,米 国 でモ トロー ラ 方式
を採 用 して い る局 数 は約 520局,カ ー ン 方式 は約 60局
0オ ー ス トラ リアの 状況
オ ー ス トラ リアの放送 もカナ ダ と同様 に,公 共放 送
のABCと
民放 とか らな って い る 民放 局 は米 国 の よ
うに番FElが専門化 され てお り, トー ク局 ,ベ ス トし ッ
ト局,ロ ック ンロール 局 な どにわ かれ てい る。
これ らの民放局 が1980年 頃 か ら通 信省 (DOC)に
中波 ステ レオ の実施 を要望 し,独 自 に研究 を開始 して
い た そ こで ,DOCは
1983年 5月 か ら室 内実験 と民
放局 を使 用 した野外 実験 を実施 し報 告書 を ま とめた
その結果 ,DOCは
1984年 3月 か ら期 限 つ きで ,米 国
4方 式 の試 験放送 を許 可 した
■て0ヽる
とい わオ
これ らの実験 結果 か ら,DOCは
1984年10月,モ ト
ロー ラ方 式 をFul国の 標 準 方 式 とす る こ とを発 表 し,
●カナ ダ の 状 況
1985年 2月 か ら本放 送 にはい った
カナダの 中波放送 は,日 本 と同 じよ うに公共 放送 の
CBCと
民放局 の並立 方式 で あ る.同 国 で は1982年 9
月 ,米 国方式 での 中波 ス テ レ オの実用化試験放 送 を暫
定 的 に許 可 した そ こで 当時米 国 で提 案 され て い た ベ
ラー を除 く4方 式 で 約30局 が 試験放送 を開始 した .
この 間,1984年 5∼ 6月 に CBCは
自社 の CBOF
当初 は約 35局 が ス
レ
テ オで放 送 を開始 したが ,1989年 2月 現 在73局 が ス
テ レオで放送 して い る。 同国の 中波 ステ レオ暫 定基 準
のお もな項 目 は,第 3表 の よ うな もの とな って い る.
0プ ラジルの 状 況
ブラジ ル は1986年 1月 ,同 国 の 中波 ス テ レオ標準 方
式 を モ トロー ラ方式 に決定 した。 現在 同国 で は約 15局
が 中波 ステ レオ を放送 中 とい われ てい る.同 国 の技 術
局 を使 用 して野外 実験 を実施 し報告書 に ま とめた。
1986年 5月 の 官報 で 標 準
また ,通 信省 (DOC)は
基準 の お もな項 目 も第 3表 を参照 され た い.
方式 につ いて の意見 を公募 した。 さ らに,DOCは
0メ キ シコの 状 況
各
種 プ ロ グ ラムで変調 した 2方 式 の 中波 ス テ レ オの 占有
帯域幅 の湘1定を行 い 1987年 4月 に報 告書 を ま とめた 。
同国 で は1979∼80年 に通信省 (SCT)が
臨時 に 中
モ トロー ラ方式 をカナダの標 準 方
波 ステ レオの 放送 を許可 して実験 を認 めた この 実験
方式 は統 一 しない ままステ レオの正
結果 か らSCTは
式 とす べ きだ との 意 見書 を提 出 した。 また ,カ ナ ダ ラ
ジオ諮 問委員会 の メ ンバ ー もこの意見 を支持 した
式放送 を認 めた 。 現在 ,カ ー ン方式 で テ ィ フ ァー ナ の
50kW掲 な ど 3局 が 放 送 中 で あ る.
この 間,CBCは
この よ うな経過 を経 て,DOCは
1987年 3月 ,モ ト
ロー ラ方 式 をカナダの標準 方式 とす る こ とを官 報 で発
表 した 。 また ,中 波 ステ レオの本放 送 は1988年 4月 1
日か らとし,そ れ までの 1年 間 を モ トロー ラ方式 へ の
No
62
,989
●その 他 の 国
以上 の 5カ 国 の ほか に 中国,台 湾,タ イ,チ リ,ベ
ネ ズエ ラ,ス ペ イ ン,南 ア フ リカ連 邦 で も中波 ス テ レ
オ放送 を実施 中 と伝 え られ て い る.
97
(a)エ ンコー ダー
第 3図
モ トロー ラ方式
の原理
(b)デ コーダー
第 4図
エ ンベ ロー71A波 方式
+θ)
イIT七F喜う'oOsl`,″
下︱︱︱︱●+
中波 ステ レオ方式
ERROR OF
INCOMPATIBILITY
√( r 「 「ぅせ
-1+S+ERROR
`ァ
QUADRATURE MODULAT10N
COMPATIBIL TY ERROR
98
現在,実 用化 され てい る中波 ス テ レオ放送 の技 術 方
式 は基本 的 には,ス テ レオの右 (R)信 号 と/・ (L)
キ ャ リアの AM変 調 で ,差
信号 の 和成分 (L+R)を
成分 (L― R)を キ ャ リアの PM(FM)変
る ことで ステ レオ情報 を伝 送 して い る
調 にの せ
ここで は,現 在,米 国 の マー ケ ッ トで競争 して い る
代表 な 2方 式 の回路 につ いて 簡単 に説明 した い
●モ トロー ラ方式
′
り′
rみ44/ /12″
`″
L+R
TO TRANSMITTER
第 5図
送信 エキサ イター
M o d e 1 3 0 0 の プ ロッ
ク ・ダイヤグラム
TO TRANSMTER
L ―R
同方式 の原理 を第 3図 ,第 4図 に示す.
L , R の 音声信号 はマ トリックス回路 で, そ れぞれ
通 して送信機 の R F 入 力 ( 水晶発 信器 出 力) に 送 り,
搬送波 とす る.
一方, もう一 つの L + R 信
号 を送信機の音声入力回
路 に送 りA M 変 調用信号 とする.
なお, 直 交変調方式 の ままでは, 差 信号 の レベルが
歪
に加 え, そ の出力 を和 回路 に導 き直交変調信号 とす る。 高 い時 にエ ンベ ロープ検波器 ( モノラル受信l r l ) で
ー
ロ
ー
ラ方式 は直交変調信号
A M 成 分 を取 り去 るため, この出力 を リミッタ に
みが大 き くな るので, モ ト
L + R , L ― R の 信号 になる. 一 方搬送波 は9 0 度移相
器 を通 して9 0 度位相 の異 なった 2 種 の搬送波 を作 る.
この それぞれの信号 を図示の ように 2 組 の平衡変調器
第 6図
モ トローラ方式の復調部プ ロック ・ダイャグラム
To Tu,ei
Audio
Oulputs
Nole l
イ9σ
N(}
62
2989
99
第 7図
カー ン方式の IS日 エキサイター部
FREQ
TRANSLATOR
波 にcosθを乗算 して両 立性 を得 て い る (第 4図 ).
同方式 の 実際 の送信 エ キサ イタ ー 。モ デ ル 1300型 の
系統図 を第 5図 に示 す 。
●カ ー ン方式
近 い原 理 で
同方式 は,ハ ム に もな じみ深 い SSBに
ステ レオ情 報 を伝 送 して い る.す なわ ち,同 方式の信
号 の スペ ク トラ ム はLower Sidebandに 左 信号情 報 を,
Upper Sideba1ldに 右 側信 号 1青報 をの せ て い る。 この
た め, カ ー ン 方 式 は I S B 方
式 (Independent
Sideband Sy"em)と
も呼 ばれ て ,ゝる。 原 理 図 を第 7
図 に示す
ステ レオの L信 号 とR信 号 が マ トリック ス に加 え ら
れ不
Π信号 (L+R),差
信号 (L― R)が 作 られ る.
この 両者 をそれ ぞれ45度の移 相 回路 に通 し,90度 の位
相差 をつ ける.和 信号 に よるAM変 調 と差信 号 に よ る
PM変 調 で の 被 変調 波 をそれ ぞ れ加 え る と,180度 の
位相差 のあ るサ イ ドバ ン ドが 消 えて,ス テ レオ L,R
信号情報 が それ ぞれの サ イ ドバ ン ドに乗 せ られ る。 こ
の様 子 を第 9図 に示 す.
我が国での 現況
我 が国 では1980年前後 か ら,米 国での中波 ステ レオ
放局 な どで
の研究 に力」
激 され,メ ー カー,NHK,民
研究が始 め られた. とくに,受 信機 メーカー は受信機
を米国 に輸 出 していたため,米 国のステ レオの検討状
意見公募 の告示 を
況 を詳細 に把握 してお り,FCCが
れぞれ
意見 を提 出 して いた。 しか
発表 した際 には,そ
し,AM放 送局側 は,米 国 ほ どFMの 脅威 を感 じな い
ためか,今 一 つ盛 り上 が りにかけていた.
その ような状況 にあった1982年,在 京 ラジオ社の要
望で民放連 の技術委員会 に中波 AMス テ レオ放送分科
会が設置 され,中 波 ステレオ を研究す ることになった。
その後 ,同 分科会 は室 内実験 な ど約 3年 間 の研 究結果
を報告書 に まとめ1985年3月 に発表 した。 その結論 は
「
我 が国 での 中波 ステ レオの 実施 に大 きな問題 は無 い
と考え られ るが,今 後野外実験 で詳細 な検討 を行 うべ
きであろ う」 で あつた
ち ょうどこの頃,我 が国の放送新技術 の研究開発 を
一元的に行 うため郵政省 の指導で 「
放送技術開発協議
,受 信機,送 信
会 (8TA)」 が発足 した.BTAは
機 メー カー,放 送事業者 な ど放送 関連業者 が参加 した
放送技術 では我 が 国最高 レベルの団体 と考 えられ る.
第 8図
カー ン方式の復調部
プ ロック ・ダイヤグラム
100
″″
島4″ ヵ ′
ι
ラジオ部会 に 中波 ステ レオ委
員会 が 設 置 され ,我 が 国 での 中波 ステ レ オの実施 に関
しての問題点 の有無 な どを検 討 す る こ とにな った。 同
第 9図
1986年 1月 ,BTAの
カー ン方式の位相関係
L― R=0
委員会 は,理 論検 討,室 内実験 ,野 外実験 な ど約 3年
にわ た り詳細 な検 討 を行 い ,1988年 11月 ,そ の 成 果 を
報 告書 に ま とめた .報 告書 の ま とめ は詳細 にわ た るが ,
結論 は次 の ようで あ つた.
「
検討 した米 国 5方 式 は,ハ リス 方 式 の 両 立 性 を除
き通 常 の 受信環 境 で は各方 式 ともス テ レオ化 に よ る大
きな問題 はな く, また,各 方式 間 の 特性 にはほ とん ど
ど差 が な い J
検 討 で 我 が 国 の中波 ステ レ オ標 準 方
当初, BTAの
式 の メ ドが つ くか と思 われ て いたが ,検 討 の 結 果 は ど
k
´
の方式 も優劣 は つ け難 く互 角の勝 負 とな って しまった。
この 報 告書 を受 け,郵 政省 は去 る 2月 の電 気 通信技
術審議会 に 中波 ス テ レオに ついて諮 問 した 。審議 会 は
検 討 に約 1年 を予定 してお り,来 年 の は じめ頃 には結
論 が 下 され る と見 られ てお り,そ の 結果 には大 き く期
OuTPUT lil瀞
待 され て い る
BTAの
検討
(a)
関係,国 際協 定 との調 和,モ ノラル 受信機 との 両 立 性 ,
ス テ レ オ諸特性 な どを明 らか にす る こ とを目的 とした
した .
委 員会 で あ る。
●室 内実験
(C)
理論検 討結果 に もとづ き,室 内実験 に よ り理 論検 討
す なわ ち,中 波の ス テ レ オ化 に よ り現在 の受信 機 で
聴取 して い る場 合 に 問題 が 発生 しないか,ス テ レ オ特
結果 を確認 した .
性 は十分 得 られ るかの 2点 が重 要 な ポイ ン トで あ った .
0野 外 実験
野外実験 は,方 式 が基 本 的 と考 え られ るモ トロー ラ,
●理論検 討
まず ,理 論検討 で 各 方式 の 特性 を解析 し,両 立 性 な
ど必 要 な技 術特性 につ いて の検 討 を行 つた.さ らに ,
この理 論検 討結果 を実験 結果 と比 較 し確認 す る こ と と
第10図 野外実験特性例 ・C QUAM周
歪幸
波数特性 ・
分離度 ・
%〕
〔
盾波数 (HZ〕
カ ー ンの 2方 式 を中心 に実施 しデ ー タを収 集 した。
●実験結果 の 概 要
・占有 周波 数幅 :通 常 の プ ロ グラムで は15kHzの 帯域
第11図 野外実験特性例 ・ISB周 波数制 士・分離度 ・歪率
B
分離度 周波 数特 性 d
分 離 度 周 波 数特 性 “
歪
率
σ′ 2お 9
‐
千
さT lj[::″
BTAの
中波 ス テ レ オ委 員 会 は,我 が 国 で 中波 ステ
レオ放 送 を実用 化 す る際 に,現 行 チ ャネ ルプ ラ ン との
ハ′
θ
klLINPuTIDfWiキ
歪
卒
〔
%)
周′
反数
101
第 12図
室内実験特性例 ・歪率 など
に関す る両立性
刊
_
得
d B 〕_
〔
歪
率
〔
%〕
月′
皮衣 (Hz〕
0
見::::
第13図
室内実験特性例 。
低周波 ステ レオ特性
荘 3 0■分
11 -40
:dB〕-50
度
18:一
I
率
(%〕
-60
周 ,ll教 (Hz〕
内
・阿部久郎
・サー ビスエ リア :モ ノラル と上ヒ
較 しほ とん ど変 わ ら
ない
・混信妨害 特 性 :ス テ レオ化 して もモ ノラル とほ とん
ど変わ らな い
。モ ノラル 受信機 との 両立 性 :ハ リス方式 は悪 いが ,
他 の 4方 式 は問題 な い
。ステ レオ特性 :モ ノラル と上し較 しほ とん ど同 じで あ
る。分離度 は 5kHz以 下 で 約 25dBあ る
。同期放送特性 :ス テ レオ 化 に よる問題 はない
各種実験 デ ー タ を第 10図∼ 第 13図 に示 す
以上,中 波 ス テ レオ に関 す る我 が 国の現状 ,諸 外 国
の状況,中 波 ステ レ オの技 術 特 性 な どを簡単 に ま とめ
た
少 しで も皆様 の理 解 の お役 に立 てば幸 い で あ る.
日参考 資料 日
「Bloadcasting Arou1ld The
ヽ
VorldJ ヽ
V E ヽ
バacCa、ltt
「
50年史J NHK・ 総合技術研究所 昭和56年 3月
「
放送用空中線60年史J同 編集委員会 1985年 11月
「
長中波放送に関す る地域主管庁会議報告書J 郵政省
・杉 田忠IL「中波放送 におけるプ リエ ンフ ァシス システム」放
「
再 びA M 受 信機 をめ ぐってJ
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I
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4月
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「
電波技術審議会答申J 郵 政省
■ H」 ■
送技術 1976年
102
μ4 7 1 / 力 ″″′
“
AMス テ レオ
テ レ オ放 送 の うち,モ トロー ラの C― QUA
Mは ア メ リカの 自動 車 メー カ ー の一 部 の 純正 カ ー ・ラ
ジ ォ として採用 され て い る こ ともあ り,デ コー ダ ー 部
AMス
は早 くか らチ ップ化 が 進 め られ て い ます .そ の カー ・
ラジオ用 デ コー ダ ー として開発 された うちの ひ とつが ,
このM C 13020です .
卜信 号検 出時 間 が 長 くな るの で ,注 意 が 必要 です
C―QUAMの
詳 しい 説 明 は別 の機 会 に ,ず り,M
C13020へ 加 わ る信号 の 説 明 の み を各 ピ ン番号 別 に下
記 に示 してお きます 。
波 器 フ ィ ル タ ー .Rout4 3k,450
kHzフ ィ ル タ ーの た めに ,Vccへ 00033″Fを 接続
・ピ ン 1, 2:検
M C 13020は,完 全 な フ ンチ ップ に よる AMス テ レ
パ イ ロ ッ ト検 波 シス テムで ,常 に全波
ス ・デ コー ダ ー ・
・ピン 3:455kHz IF入 力
・ピ ン 4:レ ベ ル 検 知 フ ィ ル ター .Rout8 2k GN
エ ンベ ロー プ検 波 を L+R信
Dに 1い Fを 接 続 して ACC時
定 数 を設 定。高 イ ン
ピー ダ ン ス出力 の た め,バ ッ フ ァが必 要
・ピン 5:Var Cai11.フ ィー ドバ ック ・ル ー フを安定
号用 として使 用 してお り,
レ
が
ステ
る場
な
オ送信
あ
合 の み L一 R信 号 をデ コ
有効
ー ドす る ものです。 したが って , これ までの放 送波 も
させ るためのErrOr Amp補 償
その まま聞 くこ とが可能 で す
お もな特徴 は ,
・コ イ ル 不 要 で 調整 箇所 もな い
。周辺 コ ンポー ネ ン トをほ とん ど必 要 としない
。L+Rの
・ピ ン 6:Vcc 6∼
10V D C tt ml」
車用 に すが
'■
「
ハ イ ・ラ イ ンJ状 態 か ら保 t・
の こと
ミ ッタ ・
・ピン 7, 8:左 ,右 の 出力端 子 NPNエ
場 合,真 の全波 エ ンベ ロー プ 検波 とな るた
め,通 常 の AM放 送 と互 換性 が 高 い
・内部 の レベル 検 波 をAGCと
して使 用 で きる
な どが あ ります なお ,L― Rの 受 信 に は2511zの
パ イ ロ ッ ト信号 が 必 要 な こ とと,強 い信 号 の場 合 は,
MC130201'
υ) タ
ト
観
パ イロ ッ ト信 号検 出時 間 に300ms必 要,ま た ,ノ イズ
が あ る場 合 は 「
疑 似信号 」 を防 止 す るた めに パ イ ロ ッ
第 1図
標準回路
D
m
師
E
﹂
/
y扉
m
+
ハ ム ラ タ セ ラ ロ ック… C S A 3 6 M T ア
* ■ 品度 補償 用 コ ンデ ンリ ー C S C 5 0 0 K 7
ヽ6
δコ ノ
"'
》
103
フ ォロ ワ
・ピン 9:強
・ピン1 6 : G N D
rlモノラル MOSま
・
た はTTLで
強制
可能
・ピン10:ロ ッ ク検 波 器 フ ィル ター Rout271( GN
Dへ 22″ 「の接 続 を推奨
・ピン11:ACCの
Q出 力.エ ミッター か ら ヒン11ヘ
400Ω抵抗 を接続 す る NPNエ
・ピン12:同 一 チ ャ ネル 入力
フ ィー ドバ ック56k
ミッタ ・フ ォ ロ ワ
入 力 に抵 抗 15k直 ,」
・ピン1 3 : オ ヘ ア ンフヘの ハ イ ロ ッ ト ・フ ィ ル タ ー 人
力端子
・ピン1 4 : ′ヽイロ ッ ト ・デ コー ド入力 ( オペ ア ンフ ロ│
力 ) , エ ミッタ ・フ ォ ロ ワ R O u t 1 0 0 Ω
・ピ ン1 5 : ス テ レ オ ・ラ ンブ N P N 共
通 エ ミッタ
ー ・ステ ー ジの オー フ ン ・コレ ク クー 5 0 n l A ま で シ
・ピ ン1 7 : 発 振 入力 R h 〕 = , 1 0 k ヒ ン1 8 また ま1 1 世
に │まDC接 続 しな t,こ と
・ピン19:位 本
E流 潟:
H検 波器 HIカ フ ィル ター 、の 「
ア
・ピン20:検 波 器 フ ィル ター Rout4 3k 4,H(H´
ー
ル
にはVccへ
00033″
1'の
タ
ィ
接続 を1年奨
以上 が 標Jt回路 の 慨略 とな ってい ます
テ レ オ川 テ ′│イ ス L
なお ,モ トロー ラで は,AMス
して, カセ ッ ト・レコー ダー (ラ ジカセ ), ウ ォー クマ
ン ・タ イ フ の テ レコ な どへ の 需 要 に対 応 す るた め に,
さらに集積 度 を Lげ た チ ッフの 出1発が 終 rし て ら
',
今年 の 秋 には市場 に登場 す る予 定 です
現 在 の ところ,“ ステ レ オ"レ )信 ち ,原ヒな る放送 は
日本 で は実 lJLさ
れ てい ませ たが ,今 後 の動 向が 注 1き
れ る ところです
ン ク可 5 0 n l A にお け るV s a t は0 3 V
■ H」 ■
第 2図
プロ ック ダイヤグラム
01
ム(lC
To l
O
=
´
22(│
1 , 〔c a ( , │
Force Tじ
(声
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レオ ・デ コー ダ ー MC 13020を 同社 の ご厚意 に よ リム
ラタの セ ラ ロ ック と温 度補正 コ ンデ ンサー を付 けて ,
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