画像解析を利用した水質汚濁とそれに基づく景観の評価 (化学景観学)

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1
総 合 都 市 研 究 第5
3号
1
9
9
4
画像解析を利用した水質汚濁とそれに基づく景観の評価
(化学景観学)
1.はじめに
2
. 試料と実験
3
. 結果と考察
4
. まとめ
落合正宏申
中島拓男**
大拙博善*叫
佐々木重太郎**村
嬰
約
多摩川の丸子調布堰において 1
9
8
8年 1
0月より 1
9
9
0年 1
2月まで水質測定 (
M
B
A
S
) と視覚観測j
(写真撮影)を行った。水温の低下に伴う河川水中での微生物の活性の低下のため、 MBASや
アンモニア濃度は冬期に高い濃度を示した。 M
BAS濃度が高くなると水面のアワの面積が増加
した。しかし、 M
BAS濃度とアワの面積の聞には有為な相関は見られなかった。アワを指標と
した景観と水質について考察を行った。
解明される。
1.はじめに
)視覚、 2
)臭覚、 3
)聴覚、 4
)
人は環境の変化を 1
触覚、 5
)味覚の五感を通して感じることになる。
従来、水質に関する環境問題は水質の化学的分
環境の変化に対して最も大きく、第一に気がつく
析結果にもとづき、水中での化学物質の濃度を基
ものは視覚であろう。その結果として水質の汚れ
準に考えられて来ている。しかしながら、水中の
に関しては「水質汚濁」という、視覚情報を主と
窒素、りんの測定による富栄養化の判定、 B
OD、
した言葉が使用されている。視覚情報は科学的な
CODや界面活性剤 (
M
B
A
S
) の測定による水質汚
正確さは別にして、写真記録として誰にでも容易
濁の指標は人間が現場において直接感じる水質の
に記録、保存することが出来る。
汚濁とは必ずしも一致していない。微量汚染物質
環境に対する感覚は化学分析結果のような数値
による水質汚濁は汚染物質が微量成分のみの場合
により示されても、必ずしも受け入れられるもの
には化学的な精密測定を行ない、はじめて汚濁が
ではない。視覚的に汚濁が進行した水質が必ずし
*東京都立大学理学部化学
**滋賀県琵琶湖研究所
***アトリエ大脳
****アトリエ佐々木
7
2
総 合 都 市 研 究 第5
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号
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9
4
も法律に規制された特定の化学物質を含むとは限
うに吹き上げられては、風に飛ばされて行く。そ
らない。しかし、特定化学物質は限定されたもの
れはときには花のように散り、ときにはしぶきの
であり、その化合物が検出されなくとも、生物的
0メートル近い鉄橋の上を通
ように舞い上がる。 1
に有害である、たとえば、変異源性を示すことが
る東横線の電車に窓から飛びこんでくるという話
ある (
H
e
n
d
r
i
k
se
ta
,
.
l1
9
9
4
)。水質の汚濁を特定
は、これを見るまで信じられなかったが、いま、
の化合物のみにより判定するのではなく、水質を
目の前でそれが演じられている。あの粘っこい汚
構成する全体として判断することが重要であると
点が乗客の洋服についたら取れないだろう。 J少
されている(中西、 1
9
9
4
)。
し長いが引用してみた。この引用からもわかるよ
人間の五感による感覚はきわめて主観的で科学
うに、著者は水質汚濁を臭覚と視覚より捉えてお
データとはなりにくく、かつ長期間保存すること
り、最後に現場にて河川水に手を触れる触覚にい
が難しい。しかしながら、感覚に基づく主観的デー
たる。最初は臭覚により汚染を捉えたものの、次
タを水質の科学データと対応させることは、人聞
には視覚情報の大きさにより、感覚のほとんどが
をとりまく環境科学を進めて行く上で重要な課題
視覚によるものであるかのような印象を受ける。
の一つである。
また、これに先立つ、 1
9
6
1年には玉川浄水場に
我々は、都市における水質汚濁の原因として主
て多摩川から取水した水を沈殿池へ分ける接合井
要な要因となる陰イオン界面活性剤 (
M
B
A
S
)濃
から泡が噴き出して 2メートル近く盛り上がった
度と MBASに起因する水面の発泡現象に着目し、
とされている。この記録に関しでも、アワの盛り
以下の観測を行った。
上がり方に対するび、っくりした様子がうかがえる
多摩川丸子調布取水堰において、少なくとも
9
7
3
)。原因物質の解明、処置も重要で
(加藤、 1
1
9
7
0年代前半までは、多摩川の河川水が取水堰か
あるが、この様に水質汚濁の第一検知として視覚
ら落ちる部分での洗剤に起因するアワの量は大変
情報が重要であることがわかる。
なもので、風により上を走る東横線にまで到達す
少なくとも 1
9
6
0
年後半より 1
9
7
0
年前半には多摩
1
9
7
3
) の「都市が滅ぽし
るほどであった。加藤 (
川の調布取水堰においては今日では考えられない
た川 j のなかに次のような記述がみられる。「玉
ほどのアワが発生し、存在していた。
川浄水場が取水停止になったあと 4カ月ほどたっ
丸子取水堰にて取水し東京都西部へ給水を行っ
た冬の日曜日、私は調布取水堰を見に行った。東
ていた玉川浄水場の取水が停止されたのは 1
9
7
0
年
横線多摩川園前で降りて目の前の崖に沿って左に
9月である。玉川浄水場の取水停止が必ずしも科
まわると多摩川べりにでる。堤防に近づくとまず、
学的な根拠に基づいて行われたものであるかどう
ぷーんとドブ川の臭いがしてきた。渇水期の多摩
かについて、多くの議論がある。しかし住民感情
川の臭いである。しかし堤防に立ってみたとき私
として多摩川の視覚的な汚濁状況と合わせて考え
は思わず声をあげそうになった。水面が見えない
ると、取水停止をやむなしとする雰囲気があった
0メートルは離れている
ほとな真っ白な泡!堰から 5
はずである。
というのに、川一面が泡で覆われている。それは
この様な河川におけるアワの問題等を経て、家
少し先から条状にのぴて 1キロ近く、下流の丸子
庭において使用される洗剤の質が同じ合成洗剤で
橋の先にまで達している。水面に近づいてよく見
あっても A
BSからより生分解性の高い LASある
ると 1
0センチ近く盛り上がった泡には、なにか褐
いは天然、油脂を使用した石鹸にシフトした。その
色の粘液のようなものがべっとりとからみついて
結果、丸子調布取水堰をはじめ多くの同様な地点
いる。ふれると指先にくっついて悪臭を放ち、紙
において大変なアワの観察は減少した。しかし、
でふいても容易に落ちない。堰のほうを見ると、
首都圏の多摩川流域では人口が急劇に増加し、下
南風に吹きょせられてその近くでは 1メートル近
水道の整備の遅れも加わり、完全にアワが観察さ
く盛り上がっており、ときどきそれが紙吹雪のよ
れなくなったわけではない。丸子調布取水堰では
落合・中島・大脳・佐々木:画像解析を利用した水質汚濁とそれに基づく景観の評価
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3
現状においても季節により、かなりのアワが観察
する頃、には少なくなるようである。この変動は
される。
年により異なり、気温や降水の変化とも関係があ
丸子調布取水堰の丁度上の部分を東横線が通過
る様である。
しており、渋谷に向かい左側の窓より堰の部分を
アワの原因物質が洗剤であると仮定すると、洗
観察することができる。電車が多摩川を通過する
剤は有機物である。有機物の増減は微生物の活動
ときには原則としてアワの観察を行うことにして
と関係し、その微生物の活動を制限する重要な因
いた。しかし、必ずしもアワを良く観察できる位
子は水温であり、アワの変動が水温と関係がある
置に乗ることができないことがある。その様な時
と考えることは当然である。それとアワの量とそ
には車内の乗客の様子を観察する事にしていた。
の原因物質と考えている洗剤の間に関係があるか
乗客の向けている顔の方向を観察したり、乗客の
否かと言うことが重要な問題となる。
何気ない会話をもれ聞いたりしていた。少なくな
水面に洗剤に起因するアワが存在することは、
い数の乗客が窓の外を見て、時によるとアワ、洗
環境面すなわち、視覚的な環境、景観の点より問
剤の話をしていることがあった。この観察はアン
題にすべきである。水質と水質汚濁にともなう視
ケート調査をしたものではなく、従って定量的で
覚的な環境問題および景観を定量的に結び付ける
はないが、多摩川の水質汚濁に関連してアワや洗
ことができないかと考えてこの研究を始めた。そ
剤に関心を示す人々が乗客の中にかなりの数いる
れで、この様に水質と視覚的環境に与える影響を
ことは確かなようである。
取り扱う研究を「化学景観学Jと名前を付けるこ
川の表情は毎日のように変化している。丸子調
とにした。化学景観学として取り扱う項目はここ
布取水堰においては、その表情として、洗剤j
によ
で取り扱ったアワと洗剤の関係のほかたとえば、
るアワの発生が顕著な現象として観察される。そ
栄養塩とアオコ(霞ヶ浦、諏訪湖の様な富栄養化
れでは、そのアワが川の表情にもたらす影響とは
した湖沼においては、夏期にらん藻の一種である
どんなものであろうか。
ミクロキスティスほかの植物プランクトンが大発
川の表情は、特に季節により著しい変化をみせ
生し、湖面を覆いつくし景観上大きな問題となっ
る。その時に洗剤に起因するアワはどの様に変わ
ている。また秋期にこれらのプランクトンが大量
るのであろうか。アワの原因となる洗剤は有機物
に分解し、その臭気により周辺住民は戸を開けて
である。有機物は非保存性の化合物で河川水中の
いることが出来ないほどである。)の問題等いろ
微生物により分解を受けることになる。洗剤は非
いろと考えられる。化学景観学はまだ生まれたか
保存性であるため、仮に多摩川全体での供給量が
どうかと言うところで、多くの批判があると思う
変化しなくても、分解等の作用により河川水中に
が、今後足りない部分を詰めてゆかなくてはいけ
観測される量に変動が生じる。それで、いつアワ
ない。
が多く、いつアワが少ないか。基本的には冬期に
本研究においては人聞の視覚にもとづく水質汚
なると観察されるアワの量が増加することが定性
濁と化学的、生物的観測とを総合的に組み合わせ、
的に観察される。それも、何年間かの観察より 1
0
視覚的な観点に立脚した水質汚濁の新しい判定法
月ないし 1
1月の少し寒く感じられる季節になると
を研究し、視覚的な水質汚濁が河川景観におよほ
ある日突然に増加する様な気がする。特に、朝の
す影響を研究することを目的とした。
気温が天気予報で、今朝はこの冬一番の寒さを記
具体的には、水面のアワの量を観察することに
録しました、と伝えた日にはアワの存在が増加す
よりその水質を推定すること、およびアワの存在
る気がする。冬に一度このアワの増加が観測され
により河川、水辺の景観が絵画的に損なわれるも
ると、その後は気温が上昇して自然にアワが観測
のであるかどうかを評価することである。今回の
されなくなるまで、アワの存在が継続する。そし
レベルではアワの存在と水質に重点をおき研究を
て 5月ないし 6月頃、気温にともない水温が上昇
行った。
7
4
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3
号
2
. 試料と実験
2
. 1 試料採取と化学分析
1
9
9
4
2
. 2 画像解析操作
画像解析機による面積測定は以下の要領により
行った。
試料は多摩川の丸子調布取水堰の定点にて、写
1)一定の大きさに引き伸ばした写真をフラット
真撮影、採水、水温、 pH
、 EC (電気伝導度)の
ベッド型スキャナーにて取り込む。このとき全画
9
8
8年 1
0月より 1
9
9
0年 1
2月
測定を行った。期間は 1
面を取り込むと後からの処理が困難になるので、
に週 1回の割合で行った。試料採取、撮影時間は
面積測定をする部分を残し黒色のマスクにて覆
基本的に定時としほほ午前 9:
0
0より 1
0:0
0の聞
い、スキャナーにて取り込む。マスクはアワの色
に行った。時によりずれた場合もあるが、ずれた
が白色であるので、黒色に塗っておくことが必要で
回数は 5%以内であった。この採水時間は、周辺
ある。取り込みはアワの色が白色のためモノクロ
の家庭で出勤、登校が完了し、洗濯の廃水が通過
で取り込む。定点からの写真には水面だけではな
する時間とを考慮し時間を設定した。写真撮影は
く、撮影の目標として橋脚や堰が写っており、こ
丸子調布取水堰を見おろすことの出来る、水位測
れらがアワの部分のみを計測する時に妨害となる。
定点の台の上にて毎回同じ位置より撮影できるよ
2)取り込みの 2段階目として 3倍拡大にて取り
うに足の位置を決め一定の目標に合わせ行った。
込む。これで、写真の原版がサービスサイズの場
採水は取水堰の下流の左岸にて表層水を採取し
合には丁度良い大きさとなる。操作上、丁度操作
た。釣り人等の存在によりやむを得ず定点より
が行い易いサイズを画面上に得る。
50m程度下流にて採水する場合もあった。 1
9
8
9年
3)モノクロ画面に対し、サンプリング操作にて
4月までは水温測定と写真撮影のみを行った。採
アワの部分に一定の色を付ける 2値化処理をす
水は 1
9
8
9年 5月より開始した。採水された試料の
る。この 2値化処理が問題で,アワの白色度(明
5
0
.
Cにて 2時間加熱し有機物
一部をあらかじめ 4
度)により 2値化処理を行っているために,撮影
を除去したワットマン GF/Fフィルターにてろ過
された写真の質により常に同ーの 2値化処理を行
し、残りの一部には洗剤等の有機物の分解を防ぐ
うことはできない。写真のコントラストが同じで
ためにクロロホルムを添加し、いずれの試料も-
あれば同ーの 2値化処理を行い、一定の安定した
2
0Cにて分析時まで凍結保存した。
凍結保存した試料について、 DOC (溶存有機炭
メチレンブルー
素)、アンモニア、りん酸、 MBAS(
2値化処理を行うことが出来るが、実際の写真で
なり、同じ処理では希望のアワの面積を計数する
活性物質)を測定した。写真撮影された写真に付
事が出来ない。この結果、 2値化処理に際し、ど
0
は撮影した日の光線状態によりコントラストが異
いては、画像解析機(ネクサスキューブ:株式会
の範囲をアワと認識するかについて人間の主観が
社ネクサス)によりアワの部分の面積を測定した。
介在する。
. 2に詳細に述べる。
面積の測定に関しては 2
DOCは試水 3r
n
eI
こ1
5
0
μ
tの 3%りん酸を加え、
2分間窒素ガスによりパプリングを行い水中の無
機炭酸成分を除去し、 30μ を全有機炭素分析計
O
C
5
0
0
) に注入し測定した。
(島津 T
4
) 2値化処理ができたら、アワの面積の計数実
行をおこない、アワの数と平均値より TOTALの
アワの面積を計算する。
5) 2値化処理に人間の主観が介在するために同
ーの試料からでも面積を測定にするたびごとに相
アンモニアはフェノールハイポクロライト法に
違が出ることになる。 2値化処理にともなう面積
陰
より発色後、吸光光度法にて測定した。 MBAS(
の誤差は::1::1
0%程度であった。写真というかなり
イオン界面活性剤指標として)はメチレンブルー
暖昧なものが原点となるため、士 1
0%が限界に近
法にて発色し同様に吸光光度法にて測定した。
1
9
9
2
) は画像解析を用いて多摩
い。森川、杉立 (
川水中の微生物を計数し、画像解析での計数は目
落合・中島・大脳・佐々木:画像解析を利用した水質汚濁とそれに基づく景観の評価
7
5
視による計数よりも約 15%低い値となるとしてお
3
. 結果と考察
り、本研究で、の面積測定においても類似の誤差を
考えることが出来る。
6)アワの面積測定をした代表的な写真 2枚(写
3
.
真 1 :A、 B) を示す。この 2枚の写真は 1990年
水温、電導度、アンモニア、 MBASおよ
び溶存有機炭素の季節変化
の 4月 9日 (A) と2
0日 (B) に撮影したもので
1)水温の変動
ある。印刷になると写真のコントラストが鮮明で
多摩川丸子調布取水堰での水温の変動を図 1に
なくなるが、両方の写真を見て明らかなように、
同じアワと言っても水面における状態としては大
示す。夏期に高く冬期に低くなり、1O.
Cを切る期
きな差がある。 4月 9日分はアワが光に輝いて鮮
2月末から 2月半ばまでで、冬期の最低水温
間は 1
明に写っており、またアワが盛り上がった状態と
は約 5.Cであった。しかし、水温の変動は年によ
言える。しかし、 4月20日の写真では水面上にア
り異なり、 88年においては 1
1月末にから 2月末ま
ワがうすく広がった状態であり、アワのエッジが
での期間 1
0
.
Cを切っていた。水温の最高値は
はっきりしない。これらを画像解析機によりアワ
2
7
.
3
.
Cで 7月に記録された。
の面積を測定すると、それぞれ、指定の範囲内に
2)電気伝導度の変動
7
8
1、6115の値を得ることが出
相対面積値として 9
電気伝導度の変動を図 2に示す。電気伝導度は
来る(相対面積値は画像解析機のドットの数を計
水中に溶解するイオン性物質の総量により決まる
数したもので、ディメンジョンはない。)。この時
値で、河川水の場合、特別な流入がなければ通常
e
の MBASの濃度はそれぞれ、 522、345μg/ であ
は変動しないと考えられる。しかし、多摩川のよ
る
。 MBAS1μg当りの面積はそれぞれ、 18.7、
うな人為汚染の大きな河川においては人間活動に
1
7
.
7となりよい一致を示す。しかしながら、この
基づく塩化物イオンの量が関係する。それと、流
様に常によい一致が見られるわけではなく、川の
域の人口が夏期と冬期で大きく変動するわけで、は
3
状況により大きく変動する。画像解析を行った 1
ないので、電気伝導度の変動は主として河川流量
例を平均すると 14.7で、最大値は 22.2、最小値は
によるものと考えらる。電気伝導度は年聞を通し
3
.
3であった。現状においては、この様に大きな
て
、 200-400μS/cmの範囲で、変動し、冬期に電
値の聞きがある。
気伝導度が上昇すると言う傾向は見られなかっ
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図 1 多摩川丸子関布取水堰における水温の季節変化
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第5
3
号
総合都市研究
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図 3 多摩川丸子調布取水堰におけるアンモニアの季節変化
た。電気伝導度の変化からは冬期に流量が特に減
少している様子は読み取れない。
3)アンモニアの変動
アンモニアは無機態窒素の一形態で、アンモニ
濃度が上昇した(図 3
)。これは、冬期には硝酸
に酸化する微生物の働きが鈍くなり人為活動とし
て出されるアンモニアが硝酸に酸化されないた
め、アンモニアとして直接測定されるからと考え
アだけを論じることは必ずしも水中の栄養塩の議
られる。この変化は顕著でした。硝化細菌の活動
論をすることにはならない。ここでは栄養塩の議
できる水温についてはいろいろあるが、多摩川の
論ではなく特定の現象、すなわちアワが季節によ
場合、だいたいlOo
Cを境として活動が鈍くなるよ
り増減することと関連のある項目を捜すことにあ
うである。
ります。多摩川におけるアンモニアが冬期に高く
4) MBASの変動
MBASの変動を図 4に示す。 MBASは夏期に低
く冬期に高い傾向を示した。夏期の 6-8月には
なる傾向は従来から観察されており(落合他、
1
9
8
6
)、本研究においても、アンモニアは冬期に
落合・中島・大脳・佐々木:画像解析を利用した水質汚濁とそれに基づく景観の評価
7
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図 4 多摩川丸子関布取水堰における M
BAS
の季節変化
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2 C 5 2 q
図 5 多摩川丸子踊布取水堰における溶存有機炭素の季節変化
平均で 3
48μg/Rと低い値を示したが、冬期の 1
2
察を行った時期は、冬期でもあり、現在よりかな
-2月には 758μg/Rと高い値であった。多摩川
り高い値が観測されたはずである。
において洗剤の泡が水面を覆い尽くした時期の
冬期に MBAS濃度が高くなる原因としては、
1
9
7
2
年当時の MBAS濃度は1.0-1
.6μg
/
R (小倉
紀雄他、 1
9
7
2
)、1.06μg
/
R (落合他、 1
9
7
5
)で
、
6μg/Rの値は採水が夏期の 8月であり、水温
1
.0
水温の低下、流量の低下が考えられる。流量の低
下は、電気伝導度が必ずしも冬期に高くならない
ことより、大きなものではない。冬期においては
も高い時期でありながら、現在の最も高い値とほ
水温が、 1
0"C以下にまで低下し、この冬期におけ
ぼ同じであった。この時に 3
0
時間の観測を行い、
る水温の低下により、アンモニア同様に微生物の
夜明けには、多摩川の調布取水堰の上流部分は
活動が不活発となるため、微生物による生分解が
真っ白な泡で埋め尽くされていた。当時の冬期に
進まなくなるためと考えられる。一般に微生物あ
おける値、すなわち、加藤(19
7
3
) が多摩川の観
るいは酵素に基づく反応速度はlOo
Cの上昇により
7
8
総合都市研究
第5
3
号
1
9
9
4
約 2倍速くなるといわれ、微生物反応は温度依存
5)。溶存有機炭素の場合人為起源により供給さ
性である。 MBASが冬期に高い濃度を示すことは
れるものとその後に水中の生物活動によりこ次的
多摩川以外の他の流域においても見られる現象
に付け加えられるものとがある。そのために微生
で、かなり一般的なものと言える。さらに水温と
物の活動が少ない冬期に高く、活動の活発な夏期
MBASとの関係について、水温が2
0
.
C上昇すると
に低くなるとは限らない。夏期においては水中お
水中の MBAS濃度が 85%減少するとされている
よび河床の藻類からの有機物の供給が考えられ、
9
9
0
)、多摩川においても減少傾
が(古武家他、 1
そのために人間活動により一方的に供給される物
向は観測されるが、必ずしも一致していない。
質とは挙動が異なる。
5)溶存有機炭素の変動
3
. 2 水温と MBASお よ び 相 対 ア ワ 面 積 と
i
容存有機炭素 (
DOC) の変動は冬期に高い傾向
MBASの関係
を示すものの、他の季節においても高い値が観測
1)水温と MBAS
され、必ずしも冬期に高いとは言い切れない(図
1
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C
水温 。
図 6 多摩川丸子調布取水槽における水温と MBAS
の関係
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•
•
3
0
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400
-
500
MBAS μ m o 1/1
図 7 多摩川丸子調布取水堰における MBASと相対アワ面積の関係
600
落合・中島・大脳・佐々木:画像解析を利用した水質汚濁とそれに基づく景観の評価
7
9
水温と MBASの聞には明確な関係が見いださ
況や風などの気象状況により左右されるため同じ
れ、図 6に示すように、水温の上昇にともない
MBAS濃度でも同じようにアワが発生し水面に浮
MBAS濃度は滅少した。しかし、この減少も 1
7
.
C
かんで存在するとは限らない。写真を撮影した時
前後までで、これより高い水温条件では特別に水
の状況に関し多くの状況記録を残しておくことが
温と MBASの関係は見られなくなる。すなわち、
必要である O
水温がl
1
"
C以上においては、少なくとも多摩川の
アワが発生するための条件として、 MBASがあ
場合、 MBASを分解する微生物の活動はそれほど
る程度の濃度になることは必要であるが、これは
変化がないことを示唆している。 MBAS分解菌は
必要条件で、あり、十分条件で、はない。アワが発生
水温が上昇しでも MBASを分解する速度に変わ
するためには MBASを含む河川水がある程度の
りがないことあるいは、 MBAS分解菌が使用でき
落差をもって滝のように落ちるとか、風が適当に
る他の栄養塩が別の微生物に使用されてしまい
吹いて波が生じるとかの、水を動かす条件が必要
MBAS分解菌が十分に活動できないかどちらかで
となる。また、水が落下しただけでもアワは生じ
あろう。しかし、多摩川の場合栄養塩が常に豊富
るが、アワが一定時間水面に存在するためには水
に存在し栄養塩の欠乏が生じることは考えられな
中の MBAS濃度がある程度高くなくてはいけな
い
。 MBAS分解菌の活性が多摩川においてはほぼ
い。さらに、丸子調布取水堰のような感潮領域に
2
0
"
Cで飽和するのではないかと考えられる 一般
的な酵素反応を考えると、 2
0
.
Cで反応速度が飽和
おいては水中の塩濃度も関係してくるかも知れな
することは考えにくい。酵素反応は約4
0
.
Cが最適
在するため、天然状態において感覚的、定性的に
温度であると言われており、多摩川の場合、水温
はアワの量と MBAS濃度は関係を有するように
O
い。アワの発生に対してこの様に多くの要因が介
だけが反応速度を飽和させる原因ではないかもし
見えるが、定量的には多くの要因を考慮した上で
れない。
考察することが必要である。今後、より沢山のデー
2)相対アワ面積と MBAS
タを集めて解析することが重要である。
アワと MBASの聞の関係を図 7に示す。アワ
本研究において丸子調布取水堰が調査期間のか
の量と MBASの聞に関係があるように見えるが、
なり長期にわたり堰の修理をしており、その関係
直線として相関を求めると 0
.
3
5でほとんど相関は
上堰が開いた状態が続いていた。たとえ、 MBAS
ない。すでに述べたように単位 MBAS当りの相
濃度が高い場合でも堰が開いた状態のため水の落
対アワ面積の値は 22.2-3.3で変動幅が大きい。
差がなくアワが発生しにくい状況に長くおかれた
アワの量は MBAS濃度が高くなれば増加するこ
ことがあり、十分なデータを蓄積することが出来
とは容易に想像はつくが、アワがその時の水の状
なかった。今後、冬期の MBAS濃度が高くかっ
写真 1A 多摩川丸子調布取水槽景観 1
鈎O
年4月9日
写真 1B 多摩川丸子調布取水壇景観 1
9
9
0
年 4月2
0日
総 合 都 市 研 究 第5
3号
8
0
1
9
9
4
アワの観測がしやすい状況の時にデータを集める
参考文献
ことが重要である。
4
. まとめ
1)感覚的に冬期になると水面のアワが目立つよ
うになり、水中の MBAS濃度も高くなる。
Z
) アワの面積測定において、水面上のアワの広
がりがどこまでであるかを見極めることが困難で
ある。
3) アワの発生は MBAS濃 度 の み に 起 因 す る も
のではなく撹祥等の他の要因も関係する。
4) アワの面積は MBAS濃度が高い場合に高く
なる傾向があるが、一次の相関関係は見られない。
5) ア ワ の 面 積 測 定 を す る 写 真 と し て 科 学 的 な
データとして有効な写真撮影状況を考える。
6) はじめににおいて加藤 (
1
9
7
3
) の文章を引用
したように、都市河川での洗剤に起因するアワは
純白のものではなく、視覚上からの景観に対して
マイナスの要因を附加することは間違いがない。
しかし、アワが水面の何パーセントを覆うことに
より、景観がどれだけ損なわれるかは、今後、ア
ンケート調査等により検討してゆくことが必要で
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) 都市が滅ぼしたJlU
、中央公論社
2
) 加藤辿 (
3
) 古武家善成・天野耕二・高田秀重(19
9
0
) 広い地
域の河川にみられる MBASの長期変動とその要
因」、『日本陸水学会第 5
5回大会講演要旨集』
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0
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.
1
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) 水の環境戦略』岩波書庖
4
) 中西準子 (
5
) 森川和子・杉立年弘 (
1
9
9
2
) 画像解析システムを
用いたアタリジンオレンジ染色による河川細菌群
集の計数J
、『陸水学雑誌J5
3、1
6
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1
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2
.
1
9
7
9
)
6
) 落合正宏・山崎正夫・黒田良隆・小椋和子 (
「多摩川水中の溶存有機物組成の時間変化j、『水
0、4
0
7
4
0
9
.
処理技術J2
7
) 落合正宏・岡沢剛(19
8
6
) 多摩川下流域におけ
るアミノ酸態化合物 j、『水処理技術j 2
7、 2
9
7
8
3
1
.
8
) 小倉紀雄・安部喜也・小椋和子・石渡良志・水谷
達夫・佐藤泰哲・松島肇・片瀬隆雄・落合正
宏・田所孝生・高田利彦・杉原慶一・松本源喜・
中本信忠・船越真樹・半谷高久 (
1
9
7
5
) 多摩川水
中の有機物の化学組成」、『陸水学雑誌j 3
6、
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0
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(多摩)11)
落合・中島・大脳・佐々木:画像解析を利用した水質汚濁とそれに基づく景観の評価
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