奨励賞受賞者発表

第 6 回FP向上のための小論文コンクール
奨励賞受賞者発表
受賞者および受賞作品を発表するとともに、
作品の要約文をご紹介させていただきます。
(順不同)
銀行員 FP の活躍に必要なもの
白土 浩三 氏(AFP 認定者)
株式会社りそな銀行
銀行員には、FP 資格の保有者が相当数いると思われる。その全員が、もっと知識を活用し、
自らの顧客に対して適切なファイナンシャル・プランニングを行っていけば、FP の普及は
もっと進んでいくであろう。ここでは、アンケート等により、FP 資格を持つ銀行員が、ど
の程度日常の業務でその知識を活用しているか、また現状の問題点は何か、等を考察し、
課題をあぶりだしていく。その上で、どのような解決策があるかを提示し、「顧客軸」の実
行や若年層との面談率向上等を提案する。また、銀行員の FP 資格保有者を「B(BANK)
FP」と称することも提唱、
「BFP」全員が高い認識や使命感を持って業務にあたることで、
FP 知識の普及に貢献することができると考える。
住宅ローン『変動金利』が今なお“変動しない”理由につ
いての考察
山口 哲史 氏(AFP認定者)
東京海上日動あんしん生命保険株式会社
“アベノミクス・消費増税”がスタートし、最近、金利上昇リスクを訴える金融機関が
増えている。確かに日本国債の利回りの動向と併せて金利は日々動いており、世間では“変
動金利は変動している”と思われている。しかし、こと“変動金利”においては 2008 年の
リーマンショック以降全くもって金利は動いていない。またリーマンショック前にやや上
昇したもののそれ以前もほぼ金利は変化していない。
今回はこの住宅ローン・変動金利と固定金利の違いや変動金利の根拠について詳しく分
析し、変動金利の上昇は住宅ローン利用者にとって、本当に問題があるのか考察する。ま
た、考察するなかで、私たち FP が正しい認識と知識をもち物事の本質を読み解く力をもつ
必要があるはずであると認識した。
この時代の変わり目こそ私たち FP の重要性がもっとも求められている時期であり、来たる
べき明るい未来を私たち FP は今こそ“リード”する立場にならなければならない。
1
若手 FP として若年層への NISA を普及していくプラン
拓殖大学中村竜哉 4 年ゼミナール B 班(応募当時)
長谷川 拓人氏・松島 昌平氏・本村 沙紀子氏
尾崎 陽一氏・佐藤 亮介氏・亀井 雄平氏
2014 年にイギリスにおける個人貯蓄口座制度をモデルとする、少額投資非課税制度 NISA
が導入された。この NISA の導入には株式市場への新規参入を促し、貯蓄から投資へと資
金の流通を促すことで停滞する景気を活性化させようという日本政府の狙いがあった。そ
こで我々は、NISA のメリット・デメリットを洗い出し 2016 年から新規参入が検討されて
いる子ども版 NISA について考えていきたいと思う。NISA が始まってから 1 年余り経つわ
けだが、若年層の利用者が増えないことが現在の NISA の悩みどころである。また、NISA
のことをよく理解していないため利用に踏み切れない人もいるだろう。それらの人々をど
のようにして取り込んでいけるかが今後の課題になるだろう。そして、それらの NISA の
課題を解決できるやもしれないキーとなる一手が、
『子ども版 NISA』である。ここでは、
子ども版 NISA の発展のための具体案を提案していく。
FP としてのキャリアプラン~投資家と海外移住を検討し
ている方々へ自身が FP として海外から情報提供を行う~
小園 菜都氏(AFP 認定者)
昨今投資のニーズが非常に高まってきている。その中で私は FP として、投資に関するきっ
かけづくりを広く行っていきたいと考えている。そのためにも海外に滞在し現地の投資や
生活に関するホットな情報を SNS 等や経済紙と連携し発信していきたいと考えている。投
資家に対しては、投資市場の活発性や現地の話題のニュースを伝え、海外移住を検討して
いる方々に対しては、移住先の生活関連・税金・保険・介護・現地コミュニティ関連の情
報を発信していきたい。私は消費者目線で現地の良い部分だけでなく悪い部分も併せて情
報発信することで、より投資家・海外移住を検討している方々に投資への一歩を踏み出す
きっかけを提供することが出来、さらに投資家自身の投資知識の向上につながると考える。
そうすることによって、私自身 FP としてキャリアを積み、日本の投資家の成長を支える一
人として活躍していきたいと考えている。
2
個人事業に求められる交渉術と
ブランド戦略構築に関する提言
佐藤 栄一氏(CFP®認定者)
横浜上大岡FP事務所 / ベスト・コンサルティング・プランナーズ
コンサルタント・FP として活躍・成功するには、競争の中から顧客をつかむ交渉術が重
要である。顧客維持と関係強化(Customer Relationship)、交渉術の重要さを述べた。ハ
ーバード流交渉術を参考に FP としての能力アップおよび繋がりの持つパワーの共同作業
への重要性を解いた。
ブランドの個人資産としての価値の大きさについて解き、個人ブランドの確立が個人事
業の最大の武器となることを推奨した。
FP として相続相談業務での意識改革の必要性と
コンプライアンス、スキルアップについての提言
河合 洋嗣人氏(AFP 認定者)かわい歯科クリニック
子から親への相続の話は、一般的に切り出しにくいと考えてしまう。なぜそう思ってし
まうのだろうか。FP 自身もそう考える人もいるであろう。しかし、本来前もって贈与や相
続の準備をしておけばお互い笑顔で相続ができるはずである。そのように FP は、親子関係
における意識改革を持ってフラットな考えで顧客にアドバイスすべきであると考える。
また FP が行う相続相談において、一般的な内容を超えた個別相談は税理士法・司法書士
法・弁護士法に抵触する恐れがあり、それぞれのコンプライアンスを理解して各業法の制
約の中で、より顧客が満足するコンサルティングをしなければならない。
平成 27 年度の相続税改正により、ますます FP に対しても相続相談が増えることが予測
される。士業の FP にとって、広義のサービス業としての対人接客技術、またはそのスキル
アップが重要であり、相続を含めたリタイアメントプランニングをアドバイスできる専門
家として知識、技術、理論の向上を図っていくべきである。
3
時代を見据えた FP の役割
宮本 尚子氏(CFP®認定者)
FP を普及し広く「お金のホームドクター」と理解してもらうには、治療に先立ち医者の的
確な診断が大切なように FP にはお金(=貨幣)の本質を見極めたアドバイスが経済環境の
厳しい時代には求められる。
グローバリゼーションのもとではデフレに向かう傾向にあ
る。そこからの脱却を図るため各国の中央銀行は、金融の量的規制緩和政策をとっている。
その先に待ち受けるのはハイパーインフレの懸念である。無論、中央銀行の金融政策によ
ってインフレは制御できると考えている。が、グローバリゼーションの時代には一国の思
惑だけでは、金融をコントロールすることは困難である。FP が相談者と信頼関係を築き、
人生に寄り添う生活設計を求められるならば、豊かな人生を実現するために何が必要なの
か明らかにすることは大事である。資本主義のあり方が問われ始めた今日、FP にはお金だ
けに頼る人生の危うさを共有認識することが重要な課題となる。そのことを本稿で問題提
起し、専門職の連携を視野に入れた FP の新たな役割を考察していく。
復興税と金融機関勤務の FP を活用した
二重ローン問題の解決策-FP キャリアプラン拓殖大学中村竜哉 4 年ゼミナール A 班(応募当時)
中島英人氏・高橋正弥氏・阿部圭亮氏・飯野哲平氏・内山絢香氏
現在、二重ローンで苦しんでいる人は少なくない。二重ローンとはすでにあるローンに加
えて、新たにローンを組むことである。二重ローン問題の一番良い解決法は、一律に債務
を減免することだが、反対意見がある。そこで私たちは二重ローン問題を解決するために、
復興税の活用について提案してみた。本来復興税は、復興施策に必要な財源を確保するた
めに課されることとなった税金だが、まったく違う所で使われていることが分かった。使
い道が不透明かつ本来の使い道から逸脱していると感じる。そこで、震災による二重ロー
ン問題の解決に復興税を活用することを推奨する。復興税が自分とは無関係なところで使
われてしまうという反論もあるが、いつ自分が被災者になるかは分からない。つまり、大
地震が起きる前に二重ローン問題と向き合い、対策をすることが必要である。
4
専業主婦に自己実現の夢を与える FP のライフプラン相談
横山 沙織氏(AFP 認定者)
FP HEROES 株式会社
専業主婦でいる女性の中には、働きたいけれど働けない、という思いでいる方が多くい
ます。行政は眠っている労働力を呼び戻そうと、女性が働きやすい環境整備に力を入れて
いますが、
「働けない理由」は必ずしも環境に原因があるとは限りません。例えばキャリア
の途中でキャリアを捨てて専業主婦になった女性の場合、家庭がありながら「自己実現」
を追求することに対し、すごく後ろめたい気持ちになることがあります。この後ろめたさ
が心のハードルとなり、
「働けない理由」に繋がっている場合があるのです。行政の環境整
備をハード面からのアプローチとするならば、心のハードルを取り除く為のソフト面から
のアプローチも同様に必要です。私は、このソフト面からのアプローチに FP によるライフ
プラン相談が最も適していると考えており、これを提言します。働きたいけれど働けない
専業主婦にとって、FP によるライフプラン相談は、行政の進める環境整備と合わせて広く
普及されるべき重要性があると考えます。
希望を繋げるために、FP だから出来ること
池田 忠氏(AFP 認定者)
今までも若年者向けのパーソナルファイナンス教育の重要性については多く述べられ実
施されていますが、あらためて政策の方向性を確認し、今回受講対象とする最近の大学経
営と増え続ける奨学金財政事情等から、そのキャリア教育にパーソナルファイナンス教育
を積極的に取り入れることにより、学生が希望を持ち意欲的に社会に参加するための提言
です。
以上
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