平面アンテナの設計 授業資料は http://www.amplet.co.jp/tdu または、 http://amplet.com/tdu からダウンロードできます。 2011年6月25日 改訂 東京電機大学 ユビキタス無線工学 講義資料 根日屋 英之 工学博士 Dr. Hideyuki Nebiya 1 平面アンテナの設計 2 1 代表的な平面アンテナ パッチアンテナ (第一電波工業社ホームページより転載) 3 誘電体による波長短縮 λ 自由空間における周波数 f の 1波長の長さ λg = λ ε rel λg λg : 誘電体により波長短縮された 周波数 f の 1 波長の長さ λ : 自由空間における周波数 f の 1 波長の長さ 実効誘電率 εrel の誘電体 グラウンド板 εrel : 実効誘電率 誘電体上の周波数 f の 1波長の長さ 4 2 誘電体による小形化 誘電率 : 誘電損失を伴うときは : ε r = ε r '−iε r " ε = εr ⋅ε0 ここで, と誘電率を複素数で表 す. ⎧ε:誘電率 ⎪ ⎨ε :比誘電率 r ⎪ε :真空の誘電率 ⎩ 0 このとき, tan δ = εr" εr ' を誘電正接という. 5 静電容量とは d S S C = ε0 d ε 0 = 8.85 ×10 −14 (F / cm ) S’ C = ε rε 0 d S' S' =ε d d 6 3 比誘電率と実効誘電率 金属板 電界 金属板 電界 誘電体 誘電体 金属板 金属板 比誘電率 実効誘電率 7 比誘電率から実効誘電率を計算する 実効誘電率εrel と 比誘電率εr の関係式(実験式) ⎧W / h < 1のとき ⎪ ⎧ ⎫ ⎪ 2 ⎪ ε r + 1 ε r − 1 ⎪⎪ 1 ⎛ W ⎞ ⎪⎪ + + 0.04⎜1 − ⎟ ⎬ ⎨ ⎪ε rel = 2 2 ⎪ h⎠ ⎪ h ⎝ ⎪ 1 + 12 ⎪ W ⎩⎪ ⎭⎪ ⎨ のとき ≥ / 1 W h ⎪ ⎪ ⎧ ⎫ ⎪ ⎪ ⎪⎪ 1 ⎪ε = ε r + 1 + ε r − 1 ⎪ ⎨ ⎬ rel ⎪ 2 2 ⎪ h 1 + 12 ⎪ ⎪ ⎪⎩ W ⎪⎭ ⎩ L h W t εr:比誘電率 グラウンド板 8 4 実効誘電率εrel 比誘電率と実効誘電率の変換グラフ 5 4.8 4.6 4.4 4.2 4 3.8 3.6 3.4 3.2 3 0.1 1 10 100 W/h 比誘電率εr = 4.8 9 パッチアンテナの設計事例 マイクロストリップラインに相性のよい パッチアンテナ λg/2 薄くて小形で高利得な平面アンテナ グラウンド板 εrel:実効誘電率 10 5 パッチアンテナとは 偏波面 (直線偏波) 導体 プリント基板 導体 給電線 (同軸ケーブル) 11 具体的な平面アンテナの設計事例 L =W = 2L 2L L h W λ 2 ε rel ⎧λ:自由空間での波長 ⎪ 122mm @ 2.45GHz ⎨ ⎪ε :実効誘電率 ⎩ rel グラウンド板 εrel:実効誘電率 パッチアンテナ放射素子 給電点 h=1.2mmのガラス エポキシ基板の 比誘電率εr:4.8 εr ≒εrelと考えると, W=27.8mm W/h=23.2 12 6 パッチアンテナの具体的な設計例 給電点インピーダンスが50Ωの2.45GHz用方形パッチアンテナの設計の手順 (1)真空中の2.45GHzの1波長λの長さ λ = 3 × 10 8 光速 = = 0.122[m] 周波数 2450 × 10 6 λ L =W = (2)Lの値を概略で決めるため, において,実効誘電率ε rel 2 ε rel の代わりに比誘電率εrを用いて計算する.ここで,使用するプリント基板 に厚さh=1.2mmのガラスエポキシ基板(比誘電率はεr=4.8)を用いると, L(=W)は以下の値となる. L =W ≈ 0.122 λ = = 0.0278[m] 2 ε r 2 4.8 13 パッチアンテナの具体的な設計例 ここで,実効誘電率εrelを求めるために,W/hを計算すると, W/h=27.8/1.2≒23.2となる. この値から,128ページの式を用いて実効誘電率εrelを求めると, εrel≒4.44を得る. このεrel≒4.44の値を前ページのεr=4.8の代入して,再度,Lを 計算する.・・・ この計算を数回繰り返してLの値の精度を高めてゆく. 14 7 パッチアンテナの具体的な設計例 100 80 60 40 20 0 給電点インピーダンス (Ω) パッチアンテナの給電点インピーダンス 250 200 150 100 50 0 端からの距離 a/L(%) a 給電点インピーダンス を50Ωにするには,上 記,実測カーブから a/L≒24% L 15 給電点インピーダンスを求める式 給電点インピーダンス Zfeed =50Ωを,以下 の式(0.15 < a/L < 0.85の範囲で)より求める と,εr=4.8 のときには,a/L≒0.25 となる. ⎛ a 1⎞ Z feed = 50 tan⎜ − ⎟π ⎝ L 2⎠ [Ω] a L 給電点インピーダンス (Ω) 300 250 200 150 100 50 0 0 0.2 0.4 0.6 給電点位置 a/L 0.8 1 16 8 試作アンテナの実測データ インピーダンス特性 17 試作アンテナの実測データ リターンロス特性 18 9 試作アンテナの実測データ VSWR特性 19 試作アンテナの実測データ Z Z Y X φ Y X φ 水平偏波の座標系 垂直偏波の座標系 放射パタンを測定したときの座標系 20 10 試作アンテナの実測データ パッチアンテナ X = 0度 0 -5 -10 -15 -20 -25 -30 5dB/div 4度/目盛 水平偏波 垂直偏波 水平面内の放射指向特性 21 パッチアンテナ給電点方法 (その1) 105Ω λg/4 Qマッチ回路 パッチアンテナ 放射素子 50Ω 220Ω 22 11 パッチアンテナ給電点方法 (その1) 105Ω λg/4 Qマッチ回路 パッチアンテナ 放射素子 50Ω Z [Ω] = R1 × R2 = 220 × 50 = 105 220Ω 1/4波長 R1 Z R2 23 パッチアンテナ給電点方法 (その1) L h W t ZT = εr:比誘電率 グラウンド板 120π [Ω] ⎛W ⎞ ⎜ + 1⎟ ε r + ε r ⎝h ⎠ マイクロストリップ線路の 特性インピーダンス 24 12 パッチアンテナ給電点方法 (その2) パッチアンテナ放射素子 50Ωマイクロストリップ 線路(任意長) 50Ω 50Ω給電点 25 パッチアンテナ円偏波の発生方法 アニメーションは, http://www-antenna.pe.titech.ac.jp/~hira/hobby /edu/em/polarization/index-j.html より転載 右旋 円偏波 直線 偏波 左旋 円偏波 26 13 パッチアンテナ円偏波の発生方法 パッチの面積 S パッチアンテナ ・F ・F ・F の無負荷Q=Q0 (Q0は80程度) 左旋アンテナ 右旋アンテナ 切りかき部分 の面積 ΔS ・F は給電点 ΔS 1 = S 2Q0 27 パッチアンテナ円偏波の発生方法 ① ② 電流 電流 電流 電流 ・F ・F ③ ④ 電流 電流 電流 電流 ・F ・F 直線偏波の方形パッチアンテナ ・F は給電点 28 14 パッチアンテナ円偏波の発生方法 ① 電流 電流 電流 ② ・F 電流 ・F ④ 電流 電流 ③ ・F 電流 ・F 電流 円偏波の方形パッチアンテナ ・F は給電点 29 パッチアンテナ円偏波の発生方法 円偏波の方形パッチアンテナ アニメーションは,http://www.melinc.co.jp/Japanese/main_fi6.html より転載 30 15 パッチアンテナの絶対利得 比誘電率εr 指向性利得Gd[dBi] プリント基板材質 1 約+10dBi 空気 2.3 約+7dBi デュロイド 2.55 約+6.7dBi テフロンファイバーガラス 4.8 約+6dBi ガラスエポキシ 6.8 約+5.6dBi ベリリア 10 約+5.3dBi アルミナ 31 16
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