2015 年 10 月 13 日 アイドルストップシステム世界市場に関する調査結果 2015 - 回生技術やモータアシストも本格化、48V 化も見据えハイブリッド車に迫る - 【調査要綱】 矢野経済研究所では、次の調査要綱にてアイドルストップシステムの世界市場について調査を実施した。 1.調査期間: 2015 年 7 月~9 月 2.調査対象: 自動車メーカ、カーエレクトロニクスメーカ等 3.調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mail によるヒアリング、ならびに文献調査併用 <アイドルストップシステム市場とは> アイドルストップシステムとは停車時に自動的にエンジンを休止させ、発進時にエンジンを再始動させるシステ ムを指す。本調査ではすべての乗用車および商用車を対象に、アイドルストップシステムの主要なパワーマネジ メントシステム、再始動システム等について調査した。なお、アイドルストップはハイブリッド車の 1 機能でもある が、モーターのみでの EV 走行が可能なフルハイブリッド車については、エンジンのみが駆動力源であるアイドル ストップシステムとは大きく異なるため、本調査では対象としていない。またアイドルストップシステムの延長線上 にある 48V システムについてはアイドルストップシステム世界販売台数には含んでいない。 【調査結果サマリー】 アイドルストップシステム搭載車両の 2014 年世界販売台数は約 1,433 万台 北米・中国が市場を牽引し、2020 年で 3,970 万台、2025 年で 5,370 万台まで拡大すると予測 2014 年のアイドルストップシステム搭載車両の世界販売台数は、約 1,433 万台と推計。地域別にみると 西欧・日本市場が牽引しているが、既に高い搭載率の高いこれらの地域では、今後従来型内燃機関車の 減少に伴い、台数ベースでは減少に転じるのに対し、アイドルストップシステム搭載率の低い北米・中国が 市場を牽引すると予測する。 機能別では高付加価値化が進む日・欧を中心に、2 電源式が大きく伸長 高効率な回生制御や惰性走行、さらにはモータアシストといった高付加価値機能の搭載に伴い、現状 主流の DC-DC コンバータを搭載した 1 電源式から、サブバッテリを搭載した 2 電源式への移行が進むと 予測。2014 年時点で約 320 万台だった 2 電源式は、2020 年には 1,125 万台にまで拡大すると予測する。 48V システムは 2020 年で 238 万台、2025 年で 895 万台までの拡大を予測 アイドルストップシステムの進化の先にある 48V システムについては、燃費規制への対応を睨んだ欧州で の市場が牽引し、世界販売台数は 2020 年で 238 万台に達すると予測する。また、その後は中国や、アジア 等の新興国でも普及が期待され、2025 年には 895 万台までの拡大を予測する。 ◆ 資料体裁 資料名:「新世代アイドルストップシステム市場の徹底分析 2015」 発刊日:2015 年 9 月 30 日 体 裁:A4 判 156 頁 定 価:130,000 円(税別) 株式会社 矢野経済研究所 所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝 設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/ 本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/) ㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected] 本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。 本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報チーム迄お問合せ下さい。 Copyright © 2015 Yano Research Institute Ltd. 2015 年 10 月 13 日 【 調査結果の概要 】 1. 市場概況 世界的な地球環境問題を受けて、主要先進国を中心に厳しい環境・燃費規制が施行されるなか、 昨今ではハイブリッド車や電気自動車が注目を集めている。その一方で、依然として世界の新車販売 の大半は通常のガソリン・ディーゼルエンジン車両が占めており、これらの燃費をいかに向上させるか が、主要な開発テーマとなっている。アイドルストップシステムはこれらエンジン車両の燃費改善技術の 1 つとして注目されており、2007 年頃、西欧市場から本格的な市場が立ち上がった。 2014 年のアイドルストップシステム搭載車両の世界販売台数は、約 1,433 万台と推計する。この市場 は、従来から同システムの搭載を進めてきた欧州、近年急速に搭載を拡大させている日本が牽引して おり、両地域で市場全体の約 86%を占めている。両地域の同システムの内燃機関車への搭載率は、 2014 年時点で 50~60%程度であるが、2020 年までにはともに約 80%にまで拡大すると予測する。し かし、こうした普及率の高い地域では、今後ハイブリッド車や電気自動車の普及に伴い、従来型の内 燃機関車の減少が見込まれ、同システムの搭載車両としては今後数年内に減少に転じることが推測さ れる。 一方、アイドルストップに消極的と言われてきた北米・中国では、厳格化する燃費規制に伴い同シス テムの搭載が活発化しており、今後急速な普及拡大が見込まれる。既に現地自動車メーカから搭載モ デルが投入されつつあり、2020 年には北米で 740 万台、中国で 1,060 万台まで市場が拡大すると予 測する。ともに新車販売台数が多い地域であり、今後の市場拡大が期待される。 また、2025 年の同システム搭載車両の世界販売台数は 5,370 万台、2014 年比で約 3.7 倍にまで拡 大すると予測している。アイドルストップシステムは、既にある程度確立された技術であり、地域によっ ては汎用化しつつあるともいえるが、まだ開拓余地の高い地域を残しており、さらなる成長が期待され る。 2. 注目すべき動向 サブバッテリを搭載した 2 電源式のシステムが普及拡大 アイドルストップシステムにおけるパワーマネジメントシステムについては、高効率な回生制御、減速 時のエンジン停止、高速運転時の惰性走行、モータアシストといった高付加価値機能の搭載に伴い、サ ブバッテリの搭載が主流となることが見込まれる。1 電源式の DC-DC コンバータに加えて、現在実用化さ れているだけでも鉛バッテリ、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、電気二重層キャパシタといったサ ブバッテリが用いられている。2014 年時点で約 320 万台だった 2 電源式は 2020 年に 1,125 万台にまで 拡大すると予測しており、特に同システムの高付加価値化が著しい日本市場では 2020 年以前に、欧州 においても 2025 年までには 2 電源式が主流となるとみている。 再始動システムでは ISG 式の伸長が期待 アイドルストップシステムの再始動システムとしては、現在高耐久性スタータ式、減速時のエンジン停 止を可能にした改良スタータ式が主流である。しかし、再始動時間の短縮化や発進時の騒音が少ない ベルト駆動式スタータ兼オルタネータ(ISG)が国内でも普及してきており、今後も普及拡大が見込まれる。 ISG を搭載すれば、サブバッテリの付加によってモータアシスト等も可能となるため、アイドルストップシス テムの高付加価値化を図る上で、有力な選択肢となることが見込まれる。 48V システムの市場が立ち上がり、12V システムとの棲み分けが焦点に アイドルストップシステムの延長線上として、さらなる高効率化や高まる自動車の電力需要に対応する ため、欧州を中心に 48V システムへの移行が検討されている。なお 48V システムについては、本調査に おけるアイドルストップシステム世界販売台数には含まれていない。 欧州では 2016 年~2017 年に実用化される予定であり、アイドルストップシステムとハイブリッドシステ ムの隙間を埋める存在として普及が期待されている。今後上市が期待される同システムについては、 2020 年で 238 万台、2025 年で 895 万台まで世界販売台数が拡大すると予測する。厳格化が進む欧州 の燃費規制に対応するため、普及初期には欧州が主導するとみられる。その後は、今後導入が期待さ れる中国やアジア新興国での普及が進めば、世界的な販売台数拡大に繋がるとみている。 Copyright © 2015 Yano Research Institute Ltd. 2015 年 10 月 13 日 図表 1. 地域別アイドルストップシステムの世界販売台数予測 (単位:千台) (単位:千台) 地域別 2014年 2015年 (予測) 2020年 (予測) 2025年 (予測) 欧州 9,700 10,600 14,800 13,400 北⽶ 850 1,350 7,400 9,200 中国 600 1,500 10,600 18,400 ⽇本 2,600 2,500 2,800 2,500 580 750 4,100 10,200 14,330 16,700 39,700 53,700 その他地域 アイドルストップシステム 世界販売台数(合計) 矢野経済研究所推計 注1. 新車搭載台数ベース 注2. 2015 年以降は予測値 注3. 48V システムを含まず Copyright © 2015 Yano Research Institute Ltd. 2015 年 10 月 13 日 図表 2. 機能別アイドルストップシステムの世界販売台数予測 (単位:千台) (単位:千台) 機能別 アイドルストップシステム(ISS)のみ (1電源:拡張ISS含む) ISS+⾼出⼒回⽣制御 (2電源:マイクロハイブリッド) ISS+回⽣+モータアシスト (2電源:マイルドハイブリッド) アイドルストップシステム 世界販売台数(合計) 2014年 2015年 (予測) 2020年 (予測) 2025年 (予測) 11,140 13,000 28,450 36,000 3,010 3,260 8,200 11,800 180 440 3,050 5,900 14,330 16,700 39,700 53,700 矢野経済研究所推計 注4. 新車搭載台数ベース 注5. 2015 年以降は予測値 注6. 48V システムを含まず Copyright © 2015 Yano Research Institute Ltd.
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