Li 電池起電圧計算 Li3V2(PO4)3 結晶を用いた電池の起電力を量子力学計算より求めた。 量子力学計算によるエネルギー計算 絶対0度近似 結晶格子 Li3V2(PO4)3 は結晶群14 - 9 ( P21/n) に属す。主な特徴は ・ V は VO6 の8面体、 P は PO4 の4面体を形成する。 ・ これらの4面体と8面体は頂点の酸素を共有したフレームワークを形成する。 ・ Li は O の4配位の位置( 18系 Li )と5配位の位置( 19系 Li 及び 20系 Li )の3種類がある。 ・ 3種類の位置の Li は周囲の元素配置が異なる。このため結晶に於けるポテンシャルは異なると 考える。 ・ 同様に V も2種類の位置では周囲の元素配置が異なり離脱反応過程での荷電子状態などの 挙動は異なると考える。 最適格子定数 結晶格子データをベースに エネルギー的考察から 最適格子定数を求めた。 設定フロー; トータルエネルギーを格子定数補正係数( 0.9 ~ 1.1) の関数として量子力学計算により算出 トータルエネルギー = 原子間反発エネルギー + 電子結合エネルギー 格子定数補正係数は a 、 b 、 c について設定 γ は文献値を用いた。 ⇓ トータルエネルギーが最小となる格子定数補正係数を算出 周期境界条件でのエネルギー最小 格子定数補正係数 × 1.02近傍でエネルギー最小となる。 周期境界条件 トータルエネルギー トータルエネルギー (e V) - 18000 対Bykov補正係 数 x1.02あたり で エネルギーmin. - 18050 Li含有量 Li含有量 Li含有量 Li含有量 - 18100 - 18150 0 1 2 3 - 18200 - 18250 0.9 0.95 1 1.05 1.1 格子定数補正係数 ベースとした格子定数 Li 含有量 at at at at x=0 x=1 x=2 x=3 格子定数(Å、度) 参照データ a b c γ 8.23289 11.53885 8.51182 89.00644 推定値 8.30060 11.65260 8.51760 89.60500 Shi h -Chieh 8.45670 11.89580 8.62080 90.23600 Shi h -Chieh 8.56220 12.00530 8.61220 90.51200 Bykov § ) x=1,2、3のデータからの外挿値(平均) Superionic Conductors Li3M2(PO4)3 Synthesis Structure and Electrophysical Properties A.B.Bykov 他 Solid State Ionics 38 (1990) p31-52 Charge Ordering in Lithium Vanadium Phosphates:Electrode Materials for Lithium-Ion Batteries Shih-Chieh Yin 他 Journal of American Chemical Siciety 125 (2003) p326-327 200個クラスター条件でのエネルギー最小 格子定数補正係数 × 0.99近傍でエネルギー最小となる。 200個クラスタ トータルエネルギー トータルエ ネル ギー(eV) - 44400 対B ykov補正係数 x0.99 あたり で エネルギー min. - 44500 - 44600 - 44700 18Li中心 19Li中心 20Li中心 - 44800 - 44900 - 45000 - 45100 0.9 0.95 1 1.05 1.1 格子定数補正係数 Li 離脱モデル Bykov らの結晶データをベースに Li 抜け有り無しでのエネルギー計算を行った。 Li 抜けなしと18~20系 Li が一個抜けた後のトータルエネルギーを計算 エネルギー差や格子 の歪について検討。 トータルエネルギー対格子定数 トータルエネルギー(e V) - 18218 - 18220 19系のEnergy min.(x0.988) 18系Li 19系Li 20系Li Li抜けなし ↓ - 18222 - 18224 ↑ 18系のEnergy min.(x0.994) ↑ 20系のEnergy min.(x0.996) - 18226 ↓ Li抜けなしのEnergy min.(x0.996) - 18228 - 18230 0.98 0.985 0.99 0.995 1 1.005 1.01 格子定数(arb.unit) この図より 3種類の位置の Li の動き易さについて 下記の傾向が見出される。 エネルギーレベルから・・・ 格子歪から・・・ 高(動きにくい)・・・ 18系>19系>20系 ・・・低(動きやすい) 大(動きにくい)・・・ 19系>18系>20系 ・・・小(動きやすい) 起電圧算出 M.K.Aydinol et al の論文に従い Li のケミカルポテンシャルより起電圧( Open Circuit Voltage) を算出する。 0 K での起電圧は 自由エネルギーのエントロピーと体積項は0となり 内部エネルギーのみを 考慮すればよい。 本系での反応式 及び 起電圧は 下記により与えられる。 反応式 ; (x2-x1)Li ( 陽極) + Lix1 Host ( 陰極) → Lix2 Host ( 陰極) 起電圧 ; E = -ΔG / (x2-x1)・z・ F ここで ΔG ; 自由エネルギーの変動量。 x1、x2 ; 反応式中の反応種の量 ( 含有量)。 z ; Li 荷電。 F ; ファラデー定数。 First-Principles Prediction of Insertion Potentials in Li-Mn Oxides for Secondary Li Batteries M.K.Aydinol et al Journal of Electrochemical Society 144 1 1997 ここではトータルエネルギー差から評価した3種類の位置の Li の動き易い20系 Li から離脱しは じめ 18系、19系の順に離脱するモデルで計算。 起電圧 対 Li離脱数 4.0 3.5 電圧 ( V ) 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0.0 0 2 4 6 Li離脱数 8 10 ◆ ; 起電圧 ━ ; 平均 12
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