漕ぐ漕ぐ自転車、新春の芦屋~宗像~福津海岸を行く!の巻 栗秋和彦 (1)新春の事始めは山?、或いはロングライド? どっちにすべきか会社のアウトドア志向トリオ(М木、T田、栗秋)間で議論百出した(でもないか)。曰く「新 春登山はよく聞くけど、新春自転車漕ぎ」はあまり聞かないねぇ、とはT田氏。М木兄も例年の如く宝満山方面 を考えているらしく同調しきりだ。 一方、新春第一号は芦屋から宗像、福津方面の海岸線ライドを!と主張する筆者は多勢に無勢で窮地に 立たされていた(とそこまで大袈裟ではないけれど・・)。そこで営業日が始まって六日連続の下げとなった今 年の株価に象徴されるように、不透明なご時世を鑑み、今までの延長線上でかつ旧態依然とした思考でい いのか、ここは旧弊を打破すべきではないのか!と真摯に訴えたのだ。この熱意が功を奏したのか二人も 漕ぐ漕ぐ方面へ傾いたのだった(どうも真相は下山後、馴染みの酒処、南福岡の某所の定休日と重なったた め、宝満山を諦めたらしい・・・嗚呼、軟弱な!)。 JR遠賀川駅をスタートして~芦屋海岸~波津~鐘崎~さつき松原~宗像~津屋崎~新宮~アイランドシティにゴールするまでの軌跡 さて新春の事始めは初乗りエクササイズに決まったものの、冬の響灘~玄界灘沿岸サイクリングは寒風 に晒されて、けっこう難儀そうで、腹を括って決行した(つもり)。ところがこれが意外にも快適ライドだったの だ。さすがに出だしは寒風と向かい風には苛むこともあったが、海岸線に出ると思いがけぬ陽光に恵まれ、 まばゆいばかりの海の蒼さにも魅了された道中であった。その意味では冬の日本海の固定観念を打ち破る 驚きの連続だったと言っていいだろうし、走り出してしまえば身体も温まり、自らの力で前に進むシンプルさ が心地いい。この季節のハンディをもろともせず、新たなる感慨に耽った。うんうん、冬のサイクリングもなか なかのもの、やってみなければ分かるまいて、と。以下、遠賀川駅から沿岸をグルっと廻ってアイランドシテ ィまで 60 ㌔弱の自転車漕ぐ漕ぐ新春物語である。 (2)遠賀川駅~芦屋海岸~波津の海岸線に魅了される JR遠賀川駅舎内で組立てる 芦屋海浜道入口にて 木枠のトンネルを抜ける 寒風をもろともせず漕ぐ漕ぐの体 遠賀川駅で合流し、10時16分おもむろに出発。我が出で立ちはヒートテックのTシャツにサイクルジャージ を重ね着し、ウインドブレーカーを羽織る。厚手の手袋にネックウォーマーで上半身は完璧だ。一方、下半身 はラン用のロングショーツ 1 枚なのが寒さ対策としては懸念材料か。実際、遠賀川左岸の堤防道に出ると、 向かい風が手薄な下半身を攻めて、あからさまに弱点を浮かび上がらせたが、それもちょっとの辛抱で気に ならなくなる。身体を動かし温まれば、寒さが相殺されることを身を持って体感するのだ。ここはめげずひた すら漕ぐしかなかろう。 で芦屋の街中を通り抜け、海浜公園から波津方面へのサイクリングロードに入ると、右手真近に広がる海 原は冬の荒波がくだけ散る。自然のダイナミックさにはただただ畏敬の念を抱くしかないが、次第に蒼空が 広がり、伸びやかな海浜一帯を視界いっぱいに漕ぐ爽快さに優るものなし。そりぁもう気分は高揚するわな。 そして真正面には昨年末忘年登山で歩いた宗像四塚連峰の孔大寺山から湯川山のスカイラインがくっきりと 浮かび、かの縦走の軌跡を愛でつつ、連峰の東麓へと向かった。そぅ麓の波津海岸と湯川山は至近の距離。 海岸では子供空手教室の寒稽古真っ最中であったが、波津の冬の風物詩そのものであって、絵になってい たものと思う。 (3)波津から鐘崎へ荒磯を愛で、さつき松原を漕ぐ漕ぐ自転車 波津STにて小休止 陽だまりの鐘崎漁港で さつき松原を疾走する鶴田君 道の駅むなかたにて屋外昼食風景 波津ST(サイクリングターミナル)からは県道を波津漁港~波津城~黒崎鼻と荒磯の海岸線を愛でつつの走りだ。 波津城手前で振り返ると丘陵帯の果てに皿倉山方面と企救山塊(たぶん)を遠望し、海上はるかには本州・ 山口の陸影(おそらく)が浮かぶ。しかし黒崎鼻を越すと風景が変わり、前方海上に地島とその向こうに大島 を捉えて、宗像の沿海に来たことが分かった。この辺りは向かい風もさほど強くはなく、行け行けドンドンであ る。で本道を離れ、旧道らしき小路を直進すると、松林を気持ちよく下ったところで古びた集落に出た。そして 視界が開け鐘崎漁港へと導かれた。青い海は凪ぎ、上空にはトンビが「ピ~ヒョロ、ロ~」と謳いながら輪を 描く。大寒真近の睦月とはいえ、岸壁はのどかな風景が広がり陽だまりの埠頭はしばしの休憩に最適だ。指 呼の距離に地島のこんもりとした山がお出迎え。まるで「おいでおいで!」と誘っているかのように。 さて漁港を離れると鐘崎の町並みを通り抜け、さつき松原へと入った。はるかいにしえ1980年代、玄海トラ イアスロン大会のバイクパートでこの松原を走って以来、ノスタルジックな邂逅であったが、見事な松林は松 くい虫の被害か、昔の面影はなかったなぁ。ほどなくの道の駅むなかたの賑わいと比して、さつき松原の衰 退は筆者には侘しさが伴ったことを記しておこう。 (4)初見参の宮地嶽神社の賑わいに正月気分を味わう 宮地嶽神社にて三態(境内から一直線に宮地浜へ延びる参道、本殿周辺の賑わい) 宮地嶽神社の門前町を闊歩する 腹ごしらえを終えエネルギー満杯となって意気軒昂。釣川を渡り、神湊への集落を右手に見て国道 495 号 をスタコラサッサと駆け抜ける。車の多さにはあきれるが、渋滞気味の車列を尻目にぐいぐいと追い抜く快感 もまた愉しだ。しかしほどなく国道を離れ中の海方面への市道へ入ると車は殆どいなくなり、寂しさも伴う・・・ てな訳ないか。一方で快調なペタリングでどんどん南下するも、目指すべき中の海がなかなか現れないの だ(後刻、地図で確認すると国道分岐から 5~6 ㌔はあった。これまたいにしえのトライアスロン大会はバイク パートで恋の浦を目指した際、アッと言う間に中の海の縁に達した記憶とは食い違ったが、ロートルエンジン 付小径車とフルパワーのロードバイクではスピードが違うわな)。 さて予め参拝を希望していた宮地嶽神社が近づいてくると、往来はにわかに騒がしくなり交通量も一気に 増えた。新春の参拝客で賑わうこの社に、筆者は未だ詣でたことがなく、我儘を聞いてもらい立ち寄ったのだ。 して思いの一つは境内から宮地浜へ一直線に延びる参道のいさぎよさをこの目で確かめること。そしてここ を参拝することで今正月の三社参りが成就すると言ったゲン担ぎもあった。すなわち 4 日の博多区住吉神社 に9日の英彦山神社を経て、仕上げは霊験あらたかな宮地嶽神社と位置付けたのだ。初見参の社とあって、 大袈裟に言えば本懐を遂げたことになったが、密かな含み笑いは同行者に気が付かれていまい。 (5)福津~香椎へ旧 3 号線を激走! 賑わいの照葉の湯入湯 目論見どおり宮地嶽でご利益を受け気分は上々、後はゴールのアイランドシティは新興温泉・照葉の湯ま で一気呵成に攻めるだけである。福津からは旧3号線を新宮~香椎へと南下したが、この旧3号線は片側1 車線でいつも込み合うとのこと(T田君談)。しかしサイクリストたるもの、こんなシチュエーションこそ道端を ひるむことなくガシガシ攻めるのが生きがいなのである(まさか?)。とは言っても我が車速はのろのろ車と 互角ぐらいか。そんな抜きつ抜かれつを演じながら前方に 7~8 台のハーレー軍団を捉えてしまっては、更 にスピードアップして抜き去るしかなかった、フフフ・・・。けたたましい爆音が我々の後に遠のき、快哉を上げ たのは言うまでもない。しかし少し前が空くと背後から爆音は迫り、今度は彼らの後塵を浴びる。交差点たん びにこれを繰り返しながら、小径車とて意地を見せつけたのだ。まさにつばぜり合いを演じながら、新宮中央 駅付近まで活劇は続いたが、次第に車の流れがよくなれば勝負は見えている。福工大前駅手前では完全に 振り切られてしまったのが事の顛末だったのよねぇ。それでもよくやったぜ、小径車トリオおじさんよ(手前み そだが)、とサイクリストの愉しみをしみじみと味わったのだった。 香椎浜に架かるあいたか橋にて小休止 照葉の湯の湯上り、食事処で新年会 照葉の湯から香椎駅めがけて最後のライド そんなこんなの激走もゴールのアイランドシティは照葉の湯に午後2時半過ぎに到着して幕。ゆるゆる湯 ったりと浸かりながら、都合 56 ㌔の小旅を反芻したかったが、けっこう広い浴場も芋の子を洗うが如く、館内 もごった返しの混雑ではのんびりとはいかなかった。その意味で昨年夏のオープンゆえ、まだ物珍しいとは いえ福岡都市圏の集客力はすごいなぁ、と改めて思いいずった次第。であれば湯上り、館内居酒屋でのプチ 新年会ではこの喧噪に負けぬよう気勢を上げたのは言うまでもない。 (後記)この時期でも特に芦屋海岸~津屋崎沿岸ロードはたくさんのサイクリストと出会い、冬でも自 転車乗りには人気コースというのが分かった。もっとも我々みたいな小径車は皆無で、殆どがロ ードレーサーだったけど。 (参加者)М木、T田、栗秋 (コースタイム)JR門司駅 9:07⇒(電車)⇒JR遠賀川駅 9:58 10:16 →芦屋海浜公園サイクリング道入口(9 ㌔)10:45 52→波津海岸サイクリングターミナル(16 ㌔)11:14 18→鐘崎漁港(22 ㌔)11:37 40→(さつき松 原経由)→道の駅むなかた(27 ㌔)11:54(昼食)12:27→(津屋崎干潟経由)→宮地嶽神社 12:57 13:27→ (JR福工大前駅経由)→あいたか橋(54 ㌔)14:22 27→アイランドシティ照葉の湯(56 ㌔)14:32 (入浴&小 宴会) 17:26→JR香椎駅(59 ㌔)17:41 57 ⇒(電車)⇒JR 門司駅 19:03 走行距離 63 ㌔(自宅門司駅往 復 4 ㌔を含む)・・・・ 各地点の()は遠賀川駅起算の距離 (平成 28 年 1 月 10 日)
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