Domaine Christian Binner ア ル ザ ス 地 方 の コル マー ル よ り す ぐ 北の Ammerschwihr と い う 村に 位 置 す る Domaine Christian Binner は 1770 年からワイン造りを行っている、非常に名門の 家族です。代々受け継がれた畑は現在⑥ヘクタール、その 7 割が丘の斜面にあり、もちろ んそのなかには 2007 年グランクリュとなった Kaefferkopf(ケフェルコフ)があります。 全くの家族経営のワイナリーで、従業員2名のほかは、ブドウの栽培、収穫、ワイン醸造、 そして販売にいたるすべてを現当主であるクリスチャン・ビネールを筆頭に、両親、妻の オードレイ、最近では姉のベアトリスも加わり家族全員でまかなっています。 現在の地で本格的なワイナリーとして誕生する以前、つまり 1770 年より以前もビネール 家はライン河下流でワイン農家を営んでいた。ワインのすべてを一家で手がける姿勢は遠 い祖先より受け継がれてきたもので、これからも変わることはないでしょう。 現当主クリスチャンの祖父のウジェーヌ・ビネールは、この Ammerchewhir の村にあっ て、樽ではなくボトル詰めになったワインの販売をはじめた先駆者であり、戦前のこの祖 父の時代には、卸業者をたよらずに自分のワインを市場にだすことはまだ珍しかったので す。 しかしながら、ほかのアルザスの村の例にもれず、大戦によりこの Ammerchewhir も壊 滅的な被害を受け、祖父ウジェーヌはワイン保管のための新しいカーヴをつくることを決 意。村から離れた場所に地下カーヴをつくったのでした。 それから祖父と父ジョゼフ・ビネールの2代にわたり、豊富なヴィンテージストックを誇 る現在のワイナリーを築いていったわけです。 父ジョゼフ・ビネールは、現在のように自然派が注目されるどころか手間のかからない新 しい農法としてまだ化学ものが崇められていた時代にあっても、一貫して化学物質を使用 することなく、ブドウやワインに対して労力を惜しまないという考えの持ち主でした。 その甲斐あって私たちの畑やカーヴそしてそこに眠って時を待つワインのなかにも、優れ た働きをしてくれる微生物たちが常に存在し現在のビオロジックにいたっており栽培醸造 に関して農業本来の姿をモットーとして無農薬を徹底してほとんど SO2 も使用しません。 古いヴィンテージのワインくストックも数多く残っており、アイテムが多い為に各スト ック場所が Cave の地図で管理されているのです。歩いていると偶然 1955 年のリー スリングを発見、珍しいビンテージなので、譲ってくれないかと申し出たら、瓶を見せ てくれて、目減りがすごいので譲る事は譲りたいが残念ながら出来ないと、品質に関す る徹底した姿勢が伺えました。 (実際は大丈夫な程度なものですが…) 又、お父様がワインのテイスティング用に開発した、白ワインの温度を保ち、香の広が りやすい2重のグラスを重ねた、スペシャル・グラスでテイスチィングさせてもらいま した。なんて発想豊なお父様なのでしょうか。お父様の Joseph 氏は今は引退して息 子さんの Christian 氏がシェを守っておりますが、収穫や醸造は何だかんだオブザーヴ ァーとして手伝っているようです。味わいは自然な味わいと一言。飲んでみないとこの 風味は表現できませんが、スーパーアルザスワインの登場と言っても過言では有りませ ん。 ( 2010.2.7 第 12 回目 訪問 ) Les Terroirs <ビネール家の畑> ビネールの本拠地である Ammerschwihr(アメルッシュウィール)は、地質学的な区分で 言うと花崗岩の層が主体となっており、この粘土と砂地の性質を併せ持つ土壌からは、非 常に洗練されたワインが生まれます。さらにところどころ黄土、砂岩、石灰、そして泥灰 土の地質も見られ、このように多様性に富んだ土壌は、多様な品種とバラエティ豊かなワ インの源となっています。 Ammerschwihr:アメルッシュウィール 栽培はリースリングのみ。 泥土と花崗岩砂のまじった土地で、グランクリュの Kaefferkopf の下方に位置する。 フルーティでいきいきとしたワインを産する。 Kaefferkopf:ケフェルコフ ケフェルコフの歴史 記録によるとすでに 1328 年には Zim Kaefersberg(スカラベの山)の名でアペラシオ ンとして言及されていた。もっとも古い Kaefferkopf のラベルには 1834 年の年号がは いっており、1866 年になると「アルザスの優れたワイン」と明示したラベルも見受けら れる。しかしながら高まる名声と人気の一方には、偽物の横行という由々しき問題も発生 し、ついに 1932 年コルマールの法廷にて Kaefferkopf としての境界線がはっきりと定 められた。これは 1962 年に初めて今日の AOC アルザスが定められるよりも前の話であ る。 (そののち 1975 年と 1992 年に AOC アルザスグランクリュが定められる) ただしこれだけの歴史と名誉あるテロワールにもかかわらず、所属する村やその所有者の 問題により、Kaefferkopf は長らくグランクリュとなることができずにいた。 そして迎えた昨年 2007 年1月 14 日、Kaefferkopf はついに 51 番目のアルザスグラン クリュとして仲間入りを果たす。 ケフェルコフについて ミュスカ、リースリング、ゲヴェルツトラミネールを栽培。西南西に位置する重要なテロ ワール。バリエーションに富む恵まれた地質で、表層は砂利状の砂岩質であっても、その 下にある黄土の石灰岩の層によってしっかりとした土壌のバランスが保たれている。この 石灰質が生命力みなぎる豊かな味わいを、そして酸性の砂岩質が洗練されたエレガントな 味わいをワインに与えている。 ビネールは、とりわけ Kaefferkopf においてミュスカの品種を持っている唯一の生産者。 ミュスカはいわゆる今どきの品種ではないため、グランクリュの Kaefferkopf では、ゲヴ ェルツトラミネールあるいはピノグリが一般的。INAO は Grand Cru Kaefferkopf とし て使用すべき品種からミュスカを除外する。 (従って、Kaefferkopf のミュスカからつくっ たワインは Kaefferkopf でありながらグランクリュを名乗れない) しかしながら 30 年以上にわたって大切に育ててきた Kaefferkopf のミュスカはビネール 家の誇りでもあり、何より世界中で 愛 さ れ 称 賛 さ れ て い る VendangesTardive や Sélection Grain Noble はこのミュスカから 作られている。2007 年のグラン クリュ昇格は喜ばしいことではあ ったと同時に以来、ビネール家では 品種の規定の改正を求めるべくこ のミュスカの区画を守り続けてい る。 Alsace Riesling Ammerschwihr 2009 Non Filtre リースリングを作らせたら右に出るものがいないクリスチャンの同品種 のカジュアルワイン。 泥土と花崗岩砂の混じったこの畑は実はグランクリュ Kaefferkopf の下 方に位置している為、本当に上質の葡萄が産出され、結果コスパが良 いです。2011 年 1 月 4 日に開けたこのワインを 1 月 17 日の朝試飲、2 週間程経過しても味がへたっておりません。これには吃驚です。11 か月 間薄い澱の上で自然熟成、瓶詰めの時に 1mg のみ SO2 を添加しました。天然アルコール 度数、12.61 度。 非常に奇麗でクリーンなリースリング♪レンゲや白い花を連想させる春の薫が、上品に纏ま ったバランスの良い味わいを引き立てます。たっぷりとミネラル豊富なワイン。食べるものを 邪魔しないで引き立たせる、縁の下の力持ち。空気のような存在のようなワインです。 Alsace Pinot-Gris 1998 Cuveé Beatrice 今までリースリングのイメージが強かったビネール家ですが、実は全品 種を生産しているドメーヌで、他の品種も素晴らしいワインを生産して おります。アルザスの主要品種‘トカイ・ピノ・グリ’、やや灰色帯びた紫 色の葡萄ですが、非常に香り高く豊でコクの有る品種の1つです。ピノ・ ノワールの突然変異種の1つで、葉も良く似ている為、昔はブルゴーニ ュの畑にピノ・ノワールと一緒に植えられ混ぜられた時代もあったと聞 きます。アルザスではきます。リースリング・ゲヴルツトラミネ-ルと共に高貴な御三家 と唄われておりますが。他の2つに比べ生産量は圧倒的に少ないです。畑の土壌は石灰 花崗岩質で肥料を使わず耕作しており、雑草も生えた状態です。収穫は 10 月末に十分 熟したブドウを手摘みし、貴腐ブドウのみをその場で選別。補糖や酵母を添加せずに数 か月オークの容器で発酵させ、その後薄い澱の上で熟成。天然アルコール度数 12.66 度、 実はこれ以上発酵が進まなく、残糖が 20~30g あり若干甘いです。気になる甘味ではあ りません。 13 年熟成したピノ・グリを是非お楽しみ下さい。 Alsace Gewurztraminer 2005 Cuvee Beatrice Binner 家のワインで物凄く良く出来た Cuvee に名付ける‘キュべ・ ベアトリス’ ご存知ケフェルコフ畑は 2007 年にグラン・クリュとして正式に認定さ れましたが、このビンテージはまだ名乗れません。でもこういう特級 制度がなくてもこのワインを飲めば一目瞭然です。 アルコール度数は何と 14.1 度、この価格は決して高くはありませ ん。2007 年からは勿論正式名称で GC をラベルに記載できるので、 勿論価格はぐっと上がります。 畑は肥料を使わず耕作し、雑草もはえた状態です。 全てのキュベ・ベアトリスや貴腐ブドウと同様、10 月末に十分熟したブドウを手で収 穫。Botrytis cinerea(ボトリティスシネレア/貴腐菌)により、糖分や香りが凝縮される。 その後、糖や酵母を添加せずに数か月オークの大樽で発酵させる。11 か月間薄い澱の 上で熟成。 過剰なフィルターを避け、不干渉の醸造法により、ブドウの質を最大限保持する。 Pinot Noir 2003 Cuvée Excellence Christian BINNER 氏のワインは Riesling のスペシャリストとい うイメージより、最近は Alsace の Top の Pinot Noir を醸造するイ メージの方が強いかもしれません。 このワイン、覚えて入らっしゃいますか?実は今から4年程前に一 度日本に輸入されました。生産量が少なかったので覚えていらっし ゃらない方の方が多いと思いますが、瞬時に売れました。私もすっ かり忘れておりました。今年のお正月に Binner 家の隠し在庫から 出てきて、それを食事の時に飲ませて貰い、後何本か聞いたら 70 本位との事。 なので急遽彼らの個人のストックから 60 本のみ入荷させて頂きました。 2003 年の熱波のお陰で例外的に素晴らしく熟したブドウの中から更に特別に素晴らし いピノ・ノワールのみを使用しております。10 月末に手摘みで収穫。2000 年モノのオ ークの大樽で、薄い澱の上に寝かせ 24 カ月間自然熟成。清澄、フィルター、SO2 添加 やその他安定化させるものは一切添加しておりません。 補糖をしていないのに天然アルコール度数、何と 16.35 度、アルザスのワインでは考えられ ません。だって収穫を待って待って待ったのですから…。味わいは最初厚みから甘い風味を 感じますが、辛口です。それだけ非常にボリューム感あふれる出来栄えです。以前のリリース は 18 ヶ月樽熟成ですが、今回のプライベートリザーブは実は 24 ヶ月熟成です。(バックラベル には 18 カ月と記載されてますが。) ですからもし前のこのワインをお持ちの方がいらっしゃったら味わいは若干違っております。 こうやって時を経て飲んでみると、ゆっくり開花し始めました。 これからどんどん味は向上する事でしょう。Bourgogne を楽しむのも楽しいですが、たまには アルザスの熟成した Pinot を味わいのも趣があると感じました。 Vinaigre de Gewurztraminer 2007 50ml 南仏に BIO の生産者の間で有名なビネガーのスペシャリストのマダ ムがいらっしゃいます。人知れず作っておりますが、ワイン生産者も自 分たちが使う分しか頼まないのです。Binner 家も前からそのマダム の事は知っており ましたが、初めて 2007 年の BINNER 家の Gewurtyraminer のワインでビネガーを作って貰う事を依頼しまし た。アルザスとカタルーニャの友情から生まれたビネガーです。 アメルシュヴィールの花崗岩質の素晴らしい丘の畑で、収量を抑 えて作られたゲベルツトラミネールを使います。 酢酸発酵を中央フランスのオーク材で出来た 100 年物の Foudre と呼ばれる大きな木の樽で 行い、もちろんその間、補糖や酵母の添加は一切行いません。発酵終了後、2007 年秋~ 2009 年秋の2年間まるまるゆっくりゆっくりと熟成させました。そして秋以降の柔らかい太陽 のもとで熟成を続け、落ち着いたらボンボンヌと呼ばれるガラスの容器に移し替えされ、太陽 の下で落ち着かせます。そして 2010 年の秋に瓶詰めです。 今年の 1 月 16 日に Binner 家のワインの毎年の試飲に行きました。 その日の夕食で出たサラダにかけたビネガーの美味しい事。何のビネガーかと聞いたら、我 が家のビネガー(Vinaigre a la Maison)不思議に思いラベルを見たら Binner 家のいつもの ラベルで Gewurtyraminer 2007 って書いているではありませんか! 長い年月熟成させたので、味わいは非常にまろやか。通常のビネガーよりふくよかで複雑。 香はさすが Binner 家のワインから作っただけあって芳熟、味はまろやかでアフターも長いで す。これを通常に使ってしまうとどんなビネガーも敵いません。 「これは販売しているのですか?」と思わず聞いてしまいました(笑)普通は販売用でないけど、 今回だけ特別に 120 本だけ分けて下さいました。ご興味のある方は早い者勝ちですのですの で、ちょっとだけ急がれて下さいね。Binner ファンなら絶対に Get したいはずです。
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