インデアンレッドの地の壁画

ジャクソン・ポロックの「インデアンレッドの地の壁画」考
……スケジュール表
伊藤 眞作
Ⅰ
序論 意外と身近な数学
① はじめに
②「円い三角形」の数学(前半)
③ 今後の進行スケジュール表 (数学の苦手な読者のために)
④「円い三角形」の数学(後半)
(ゲーデル「不完全性定理の意味するもの)
⑤ 分数の割り算は、なぜ、逆さにして掛けなければならないのか?
⑥オスプレイ、TPP、消費税などの意味するもの
⑦a0=1が成り立つのはなぜか
⑧(補講):10個のデーターを調べただけで、全体を95%の正し
さで予測する計算方法
Ⅱ
本論(α) 見えたまま描くのは、画家の仕事ではなくなった。
⑨ 銀板写真術の発明(ダゲール、ニエプス)
⑩ 印象派の場合
⑪ 後期印象派の場合
⑫ ダダイズムの場合
⑬ 立体派の場合
⑭ シュールレアリスムの場合
⑮ 抽象絵画の場合
⑯ 抽象表現主義の場合
⑰ 現代アメリカ絵画の場合
Ⅱ
本論(β) 絵画と数学の関係について
⑱ 一点透視図法
⑲ 黄金比・白銀比
⑳ 色彩学
(21) 大学者「カントール」を発狂させたもの {部分=全体}
(22){部分=全体}の実例
(23) フラクタル幾何学
(24) モナリザ、ゲルニカ、フクシマ
(25) ポロックの求めた空間
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Ⅲ 結論
ポロックの生涯の実像
ピカソの「泣く女」のリアリズム
(28)「弁証法哲学」とは何か
(29) ピカソ絵画の弁証法
(30)「美」を「武器」に変えた男、ピカソ
(31) 民族性
(32) 時代性
(33) 傑作の条件
(34) あと書き
(26)
(27)
注①、これは、最小限の項目です。途中で前後することもあるだろう
し、また思わぬ袋小路に迷い込むこともあるかもしれません。この
方向で努力していきますので、よろしくお願いします。
注② 訂正
「みなせ57号」に掲載の「ジャクソン・ポロックの『インデアンレ
ッドの地の壁画』考②」
(2013年2月1日発行)は、一旦、没に
します。理由は「国際数学者協会が、「『インデアンレッドの地の壁
画』について、
「サインの位置が違うのでないか」というコメントが
ついた」という主旨の一文がありましたが、国立国会図書館システ
ムによる検索の結果、そうした事実は確認できませんでしたので、
一旦、没にして、後に書き直します。
」
注③ 訂正
「みなせ58号」
「円い三角」の哲学(2013年5月1日発行)の
ものに誤りがありましたので訂正いたします。
今回の文章は、ジャクソン・ポロックとは、直接関係はありません。
いわば「数学は、無矛盾であれば、完全ではない」(ゲーデルの不完全
性定理)とでも言えましようか。
そんなわけで、今回は、関心のおありの方のみ、お読みください。
では、若干訂正させていただきます。
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「数学が苦手な人」のために
「ジャクソン・ポロックの『インデアンレッドの地の壁画』考」にあっ
た「円い三角形の哲学」
(前半)について、まず、若干解説します。
まず、
「円い三角形には、二種類ある、ということです。
Ⅰは、正三角形△OABの O を固定して、グルグル回転させれば、レ
コードのような円ができることは、誰でもご存知でしょう。ただし、
フラッシュをたけば正三角形だけしか写りません。どんな傾きの正三
角形なのかを正確に測定するために、サイン、コサインが出て来ただ
けのことです。
Ⅱは、直角二等辺三角形が与えられており、その三つの頂点A,B,
Cから出発した、極く小さな円(サークル(C)変数)が、それに内接
しながら、中心 O に向って、次第に大きくなっていくと、ついには、
三つの円は合体して、一つの大円 O となる過程。またはその逆の過程
もあるということを、数学の言語で表わしただけです。これを完全に
理解するには、微分の知識が必要になります。
しかし、150頁の上の図をよく見詰めると、途中の計算をしなく
とも結論を察することが出来るのではないでしょうか。日本語の部分
を読みながら、図をじっくり見極めることがコツです。
もし、これらの運動の途中でフラッシュをたけば、三つの円か、ま
たは大きな円 O が内接している映像が写るでしょう。それを詳しく計
算しただけの話です。興味のある方は読み直してください。
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一般に、哲学の世界では、「円い三角」は、これまで、「実在しない」と言われ
てきました。ギリシャ時代では「形容矛盾」というひと言で、実在性を却下されて
来ました。しかし、今では、ニュートン、ライプニッツ、関孝和などの発見した微分
法のおかげで全ての物事は「運動」している、ということが公認されました。そし
て実際、数学上では、「円い三角」の一連の式が成り立っているのです。「形容
矛盾」どころか、実在しているのです。
三角形は全ての多角形の基礎ですから、当然、丸い四角形、丸い五角形、
……などが考えられます。
11月には、この「円い三角形」の真のねらいが書かれます。現在では、相対
性理論があたりまえであり、ブラックホールなど誰でも知っています。数学におい
ても「弁証法的唯物論」が必要だという結論部分を書くために、目下研究中、乞
うご期待。
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私の「ジャクソン・ポロックの『インデアンレッドの地の壁画』考」には、数学
がよく登場しますが、その真のねらいは、ジャクソン・ポロックに名を借りて、
現在の日本の抱える諸問題、それらの解決の可能性とその必然性を、難解
な哲学用語をなるべく使わずに説くことです。
また、数学と絵画とは、古来より、極めて密接な関係を保ち続けて来まし
た。新しい絵画には新しい数学理論が必要だったのです。たとえば、黄金
分割、遠近法、色彩学、etc……。誰でもそうかと、思いあたるでしょう。絵画
理論を説くためには、若干の数学の知識は欠かせないのです。(出来るだけ
最小限に抑える努力はするつもりですが……)。
私は、あの「3.11」の災害のあと、「日本の絵画はこれでいいのだろう
か?」という、根本的質問が浮かんできました。それが今回の執筆の最大の
原因です。毎日、いろんな美術に思いをはせ、「あの悲惨な東北三県、中で
も特異な被災者フクシマ県民の心を救える絵画は必ずあるはずだ」という思
いの毎日です。
私はすぐ隣の宮城県が田舎です。あそこには、「女川原発」がデンと居す
わっています。決して、フクシマで起きていることとは、無縁ではないので
す。
先日、「フランシスコ・ベーコン展」を見て、こちらの方に解決のカギが存在
することを教えられました。しかし、私も、もうすぐ74歳ですので、立ち入る余
力はありません。
「インデアンレッドの地の壁画」が、たとえ保険金とはいえ時価200億円も
する理由を知りたいのです。(あのピカソの最高傑作でさえも101億だという
のに)。
それから老婆心ながら、付け加えておきますと、わからない用語や美術用
語、専門用語が出てくることもありますが、そんなときは、インターネットで検
索して下さい。カラーで図解され、わかりやすく表現されて瞬時に出てきま
すから、ぜひ、活用をおすすめします。
読者のなかには「数学が出来る人は特別な人だ」とあきらめている方もお
られるのではないでしょうか。それは完全な誤解です。自分の過去をふり返
ってみて、自分が数学が嫌いになった時はいつなのかを思い出してみて下
さい。そこの所、例えば分数だったら分数で、「一汗かくこと」が大切です。な
ぜなら、水泳なら、体が浮くところまでやらないといつまでたっても水泳が嫌
いなままです。一汗かけば、必ず数学は誰でも好きになります。そして数学
は美しいのですから。誰もが、こうやれば好きになれます。全盲目の数学者
オイラーという大天才もいたほどです。目あきの我々は、必ずできるはずで
す。
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