別紙-2 女川1号機 原子炉建屋天井クレーンの損傷に係る原因と対策の概要 1.損傷状況調査 3.推定原因 地震後の走行確認において確認された当該クレーン軸受の損傷について、4カ所ある走行部の うち軸受損傷を確認した南西側走行部を分解し、軸受損傷の状況を調査した。 調査の結果、南西側走行部に8個ある軸受(3列軸受×4個、2列軸受×4個)全数について、 破損が確認された。損傷は、軸受コロを押さえる軸受側面のつば部に多く確認され、内輪および 外輪の一部および軸受コロにも損傷が確認された。 また、当該走行部以外の走行部(3カ所)の分解調査を実施した結果、南西側と同様に損傷が 確認された。 当該クレーン走行部軸受損傷の原因は、要因分析調査の結果から東北地方太平洋沖地震の影響に よるものと推定した。詳細は以下のとおり。 ① 東北地方太平洋沖地震に 伴い、水平方向(南北方向)の 大きな地震荷重が走行レー ルから車輪に伝達された。 南 北 20mm 車輪に伝わる 車輪に伝わる 軸受(外輪) 車輪ギア コロ 14mm 軸受(内輪) 地震の揺れ 車軸 コロ つば部 車輪 3列軸受 レール 油受け 2列軸受 軸受詳細 走行部断面 2.要因分析調査 軸受損傷の要因について、以下の項目を抽出し、調査を実施した。 (1)使用環境による影響 使用環境による影響の観点から「軸受内の磨耗」、 「腐食」、 「疲労」、 「吊荷過大荷重」について、 軸受内部の潤滑剤の確認や異物混入確認、点検・使用状況確認等を実施し、これらが軸受損傷の 要因とならないことを確認した。 (2)設計、製作、メンテナンスによる影響 設計、製作、メンテナンスによる影響の観点から「構造不良」、「材料不良」、「組立不良」に ついて、設計確認や寸法計測確認を実施し、これらが軸受損傷の要因とならないことを確認した。 (3)地震による影響 地震による影響の観点から「地震荷重による破損」について、破損した軸受の金属調査(破面 観察)や地震荷重評価を実施した。 その結果、金属調査(破面観察)では、疲労破面の特徴は認められず、延性破壊の様相が認め られたことから、今回の損傷は大きな荷重が付加されたことによるものと推定される。 また、地震荷重評価では、当該クレーンの落下を防止するために取り付けされている脱線防止 ラグと建屋に設置された走行レールの架台(ランウェイガータ)に接触痕が確認されたことから、 今回の地震により大きな荷重が付加されたことで、これらが接触したものと推定される。 地震の揺れ 走行レールから車輪への地震荷重伝達イメージ ② 車輪に伝達された地震荷重が 軸受を通じてクレーン本体に 伝達される際、2列軸受の つば部に大きな水平荷重が 付加され、軸受つば部が損傷 した。 (車輪固定側) 地震荷重伝達経路 (クレーン本体固定側) 軸受への地震荷重伝達イメージ つば部 ③当該クレーンの地震後走行確認運転において、軸受内部に混入した軸受つば部の破片が軸受コロに 挟まれ軸受の回転不良が発生した。(異音発生) ④その後の当該クレーンの異音調査走行に伴い、軸受に大きな荷重が付加され、軸受が損傷した。 ⑤損傷した軸受が、走行部内部の隙間から油受けに落下した。 4.再発防止対策 当該クレーンに4カ所ある走行部について、水平方向の荷重の影響を受けにくい軸受(女川2、 3号機と同一仕様)を採用した新品の走行部に交換した。 従来軸受 隙間あり(軸方向が拘束されない) 取替軸受(女川2、3号機と同一仕様) 隙間なし(軸方向拘束) (車輪固定側) (車輪固定側) (クレーン本体固定側) (クレーン本体固定側) 拘束点が多いため、水平荷重が分散される。 従来軸受と取替軸受との比較 以 上
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