フィールドの探索にも最適なフィッシングボート“TF

フィー ル ド の 探 索 に も 最 適 な フィッ シ ン グ ボ ー ト
多少のうねりは全然へっちゃらのTF-250SC。フィッシングポイントにほど近い海域にて。
トーハツ
TF-250 SC
今年から始まった
TF-250SCとのボートライフ
こで福井さんはボートを買い換えることに
が多い。そのため福井さんたちにとって
した。2009年3月のことである。
はキャビンがあることがまず大前提だっ
2009年の「ジャパンインターナショナル
たという。
冬でも比較的暖かであるため、避寒地
ボートショーin横浜」に弟の福井 忍さん
「それからナビシートが付いていることと、
として有名な千葉県館山市。内房と呼ば
(29歳)
とともに出向いた福井さん。そこ
まぁあとは値段と。最初は別メーカーの
れる穏やかな東京湾と、外房と呼ばれる
であらかじめ狙いを付けていたフネ、
トー
23ft艇の中古艇があって、これでもいい
太平洋と2つの顔を持つ海に面してい
ハツTF-250SCをじっくり吟味することに
かとも思ったんですね。でも館山で乗る
て、両方のマリンレジャーを楽しめるのが
した。例えば東京湾奥のシーバスのガイ
ことを考えたら、別に23ftじゃなくてもい
大きなアドバンテージとなっている。そん
ド船の多くはオープンボートだが、時には
いかなと思って。外房に出れるフネで最
な館山の海でマリンライフを楽しんでいる
波を被ったり、冬場は寒かったりすること
低のラインって考えたら25ftが妥当かと。
のは福井 猛さん。以前はウェイクボード
を中心に楽しんできたというが、現在は
ホームポートにて、釣りの準備に余念がない福井さんご兄弟。
ルアーフィッシングにご執心なのである。
トーハツがリリースするフィッシングボート「TFシリーズ」。
釣りの使い勝手はもちろん、走航性能も高く
どのモデルもロングセラーを続けている。
今回はそんなTFシリーズの最高峰とされる、
TF-250SCを駆ってフィールドに繰り出している
福井猛さんのボートライフをお伝えしていこう。
福井さんがボートフィッシングにのめり
込むようになったのは、ここ3年ぐらいと
いう。それまでは近隣の野池などでブラ
ックバス釣りを楽しんできたというが、そ
の野池では釣りが禁止となってしまう。
「大人が禁を破るわけにもいかないです
からね」
ということで、同じスタイルででき
Owuer’s Profile
福井 猛 さん
(36歳)
東京都在住で職業は会社員。もともとは千葉県館山市で生まれ育っており、
今愛艇を浮かべる海は
「よく知る海」
とのこと。
現在の愛艇トーハツTF-250SC「トリトン」
を駆って
頻繁にルアーフィッシングに使用する。
以前楽しんでいたウェイクボードはほとんどやらなくなってしまったという。
ほかにPWCを2艇所有し、アクティブにマリンライフを楽しんでいる。
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OCEAN LIFE
るシーバス釣りを始めることにしたという。
チャーターボートや乗り合い船も楽しんで
きたが、ウェイク艇(当時はベイライナー
2052を所有)
も所有しており、自艇で獲
物を求めるようになるのにそう時間はか
からなかったようだ。ただ、以前のフネは
全長が20ftちょっとしかなく、外房まで出
て行くにはサイズ的に不安があった。そ
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フィッシングポイントにて、それぞれの釣り方で楽しむ。
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値段も求めやすいし、これが一番いいか
なって」
1:スターンに付くロッドホルダー。各所
に使い勝手良く装着されている。
2:こちらもロッドホルダー。フィッシング
時に使用する。
3:バウ側のキャビン先端にもロッドホ
ルダーを装着。満艦飾になった姿は壮
観であろう。
4:日産製のオートスパンカーを装備。
5: シンプルなインパネにはフルノ製レ
ーダーが装備されている。
6:1基掛けなのでスロットルも1本とシ
ンプル。使用感のある雰囲気だ。
7:スポットライトにレーダードーム、オー
トスパンカー用の風向計などが付く。
8: フロントウインドウには左右を見渡
せるミラーを装着。
9:キャビン内のスペースには救命胴衣
や予備タンクなどが収まっている。
10: スターン左側のストレージには給
油口があるほか、スターンロッカーとなっ
ている。
11:スターン左側のストレージはバッテ
リーロッカーとなっている。
12:エンジンはトーハツMD115を1基
掛け。必要にして十分な走りを披露する。
12
オートスパンカーをセットする弟の忍さん。役割分担も絶妙だ。
と同様にルアーフィッシングにハマってお
マッチングのよさは機能も追求されている
り、ジギング、キャスティング、タイラバなど
からかもしれない。
んで、波切りもいい感じですね」
エンジンはトーハツMD115の1基掛け
かくして福井さんは自身にとって2艇目
獲物に応じてさまざまな釣りを一緒に楽
の愛艇、
トーハツTF-250SCのオーナー
しんでいるという。用途に応じて使い分
になった。2009年6月のことである。
けるということで、使うロッドもけっこう多
「キャビンがあるのはやっぱり良いですよ
まってしまう
トラブルに見舞われたというが、
い。が、使い勝手良く備えられたロッドホ
ね。荒れる時はものすごいんで、
(キャビ
些細な初期トラブルだったようで、それ以
ルダーにぴったり納まっている感じだ。レ
ンが)
なかったら悲惨だったろうなって。
降は調子よく回ってくれるそうだ。堅牢性
使い勝手は良好、
釣り専用艇の雰囲気も抜群!!
購入して4ヶ月が経過したが、愛艇の
印象はどうかうかがってみた。
だが、普通に走ってくれるとのことで、パワ
ー充分のようだ。購入早々にエンジンが止
ーダーや電動バウモーター
(日産製のオ
あと、今まで21ftないぐらいのフネだった
に関しても、以前横波を受けた際に
「軽自
取材日は穏やかな天気で、まさに釣り
ートスパンカー)
なども装備。フィッシング
んで、やっぱり25ftあると安定感がありま
動車が突っ込んできたような衝撃」
を受け
日和といった感じだ。この日は福井さん
艇の雰囲気を醸し出しているが、すべて
すよね。横幅も多少は違いますしね。そ
たこともあるという。重量が軽いこともあり
と、忍さんが同行する。忍さんも福井さん
の装備は必要にかられて装着している。
れに、前のVもけっこうきつくなっている
さすがに
「マズイかな?」
と思ったそうだが、
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OCEAN LIFE
ファーストヒットは忍さんだった。イナダを釣り上げまずは「ホッ」
(後リリースした)
。
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ビ ギ ナ ー か ら ベ テ ラ ン ま で が 納 得 の 使 い 勝 手 の 良 い フ ィッ シ ン グ ボ ー ト
トーハツ TF-250SC
シンプルで飽きのこないデザインがロングセラーを続ける秘訣なのでは?
回ご紹介した、福井さんご兄弟が
今
スペック
愛 用して いた の がトーハツ T F SPECIFICATIONS
250SCだ。バウからスターンまで容易に
続いて福井さんにもアタリが!!なかなかの引きを楽しみながら味わう。
福井さんにはカンパチが。その後もう1尾を釣り上げた
(後リリースした)
。
移動できるウォークアラウンドを採用し、
すいようレイアウトがなされている。キャビ
船体重量
ンは突然の荒天時や航行時に波をかぶ
エンジン トーハツMD115 EPTOUL(115馬力)
×1
トーハツMD90B EPTOUL(90馬力)
×2
ってしまった際に重宝する装備で、後部が
燃料容量
165L
航行区域
限定沿海
価格
することが多いという。今でも乗り合い船
話をうかがっていると、お二人とも本当
も
「後部スペースが広く、釣りがしやすい」
やチャーターボートも利用することはある
に釣りが好きなんだなぁっていう感じがバ
るドア付きのもの
(SC)
とがある。福井さ
ところがいいと語ってくれた。
というが、自分たちのペースで楽しめる愛
シバシ伝わってくる。次期艇
(なんでもFB
ん艇に搭載されるエンジンはトーハツ
艇での釣りがお気に入りの様子である。
付きのフネが欲しいとか……)
の希望もお
MD115 EPTOUL(115馬力)が1基掛
「
(釣りの)
フィールドを自分たちで開拓して
持ちのようだが、まだまだ当面はこのフネ
け。動力的に申し分ないとのことだが、さ
いくっていう楽しさがありますね。今まで
でホームグラウンドである館山の海を探
らに パ ワフルさを求 める人で あ れ ば 、
福井さんは現在東京にお住まいだが館
は高尾商会さんのレンタルボートとかも借
索していくとのことである。
MD90B EPTOUL(90馬力)
の2基掛け仕
山には実家があり
(お母様がお住まいとの
りたこともありましたけど、自分のフネだと
こと)
、
「顔見せ」
も兼ねて頻繁に愛艇を出
自由に移動もできるので、やっぱりマイボ
すという。フネの面倒を見てもらっている高
ートは必要ですね
(福井さん)
」
尾商会のバックアップにより、出航前夜に
「ガイド船みたいな感覚じゃなくて、自分で
釣りのシーンを撮らせていただくため
「下ろしておいて」
と頼み、翌朝出航。日が
探せるっていう、魚を。連れて行ってもら
に、福井さんご兄弟の釣行に同行した。
暮れるまで獲物を追い求めるのが常とい
うんじゃなくて、探すっていうプロセスが
沖に出るに従い風が出てきて、若干うねり
う。忍さんか福井さんのカノジョさんと出航
オモシロイですね
(忍さん)
」
が見られるようになってきた。が、福井さ
2.51m
全深
とりあえずは問題ないようである。忍さん
釣り領域探索は
これからも続いていく……
7.82m
全幅
スターンデッキは広々として釣りに使いや
オープンのもの
(ST)
と完全クローズにな
釣りのフィールド開拓に
欠かせない愛艇の存在
全長
様もある。シンプルな形状にタフなボデ
ィ、そして素性の良い走りなどビギナーか
らベテランまでが納得できる一艇である。
文=大沼
1.40m
1,050kg
3,832,500円(MD115 Aセット)
4,410,000円(MD90B×2機セット)
寛
text by ONUMA Hiroshi
写真=近藤浩之
photography by KONDO Hiroyuki
取材協力、
トーハツ
(株)
、高尾商会、ほか
問い合わせ/トーハツ
(株)
[ TEL]03-3966-3116
[ URL]www.tohatsu.co.jp
福井さん艇はトーハツMD115が1基掛
仕様。MD90の2基掛け仕様もある。
んご兄弟は手馴れた感じで愛艇「トリトン」
これからも釣り場探索は続いていく。そういえばTFって福井さんのイニシャルと同じ?
を出し、力強く走っていく。走りも申し分な
いようだ。やがて、魚探に反応が見られた
ポイントにフネを泊め、オートスパンカーを
セット。オートスパンカーを利かせ、二人は
ロッドを出す。まずは忍さんがジギングを、
そして福井さんはタイラバで様子をうかが
っていく。と、ほどなく忍さんのロッドに当
たりが!
!手堅くキャッチすると、型はそこそ
福井さんご兄弟のボートライフをバックアップしている
Special Thanks
高尾商会
[ADD]
千葉県館山市
船形1044
[TEL]
0470-27-2170
[FAX]
0470-27-4921
い、福井さんが以前乗っていたボート
(ベイライナー
2052)
の頃から面倒をみてもらっているとのこと。高
尾商会は1960年代後半からこの地で創業している。
当初はオートバイ専門店だったが、近隣にボートの
エンジンを看れるところがなく、港からほど近いとい
うこともあって修理依頼が多く舞い込む。
「同じエン
引き受けていたのが高じ、現在はボート系メインに
らジギングにチェンジし、瞬く間にカンパチ
事業を行っている。業務はボートの販売・修理・保
を2匹釣り上げる。手際のよさはさすがで
管・レンタルと幅広くおこなっている。船形港の近隣
ある。見ているこちらも楽しくなってくるボ
に保管ヤードを持ち、保管艇も募集中とのことだ。直
克さんにトーハツの印象を伺うと、
「市場の声を反映
ートフィッシング、福井さんがハマるのがうな
づける。これからも館山、そして外房の海
域で福井さんの駆るTF-250SCの姿が
頻繁に見受けられるに違いない。福井さ
んの
「釣り領域探索」
はまだまだ始まった
ばかりなのである。
OCEAN LIFE
なおよし
同社の高尾直克さんとは幼少時から顔馴染みとい
ジンだから」
と直克さんの父、音三郎さんが気軽に
このイナダであった。福井さんもタイラバか
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のが高尾商会である。館山が地元という福井さんと
上:保管ヤードにあるメンテ
ナンス場。保管艇はまだま
だ募集中とのことだ。
下左:高尾商会の二代目・
直克さん
(左)
とお父様の音
三郎さん
(右)
。
下右:お店は船形港への入
り口の角にある。ヤードは港
にほど近い別所となる。
してくれるところはいいなぁと思います。お客さんに
も評判はいいですね。他メーカーから乗り換えた方
とかでもクレームとかは少ないですよ」
とのこと。音
三郎さんは「まじめっていうんかなぁ。いいエンジン
を作ることは確かですね。あと、中身がシンプルな
のもいいですよね」
と語ってくれた。
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