国別の労働安全衛生制度について ―連合王国(United Kingdom:UK)― 2015/2016 の災害統計 summary を踏まえた更新版 1 目 Ⅰ Ⅱ 次 国名、国旗及び領域の地図 1 国名 2 国旗 3 領域の地図 英国の国情 Ⅱ-1 一般事情 1 面積 2 人口 3 首都 4 言語 5 宗教 6 国祭日 7 略史 Ⅱ-2 1 政治体制・内政 政体 2 2 元首 3 議会 (ア)構成 (イ)選挙制度(下院) 4 政府 5 内政 6 英国王室 Ⅱ―3 外交・安全保障 1 外交・安全保障政策の概要 2 国防予算等 Ⅱ-4 経済 1 主要産業 2 主要貿易品目 (1)輸出 (2)輸入 3 通貨 3 4 為替レート 5 経済概要 Ⅱ-5 二国間関係 1 政治関係 2 経済関係 (1)日本の対英国貿易 (ア)貿易額 (イ)主要品目 (2)日英投資関係 (ア)フロー (イ)進出企業数 (ウ)ストック(2015 年末) 3 文化・知的交流 4 在留邦人数 5 在日英国人数 6 訪日英国人数 7 訪英日本人数 4 8 要人往来(略) 9 二国間条約・取極 Ⅱ-6 英国の就業者数及び産業別就業者の割合(2014 年) Ⅱ-7 Ⅲ 英国の雇用者数及び産業別割合(2014 年) 英国の労働災害発生状況について 1 英国の労働災害統計について 2 グレートブリテン(グレートブリテン島域内に限り、北アイルランドを含まない。以下同じ。)における労働災害統計の 2016 年版 の要約版(Health and safety at work, Summary statistics for Great Britain 2016) Ⅳ 英国における労働安全衛生関係法令の概要 1 歴史的背景 2 1970 年のローベンス報告の概要 3 1972 年の HSWA の制定及び同法の概要 4 2008 年の HSWA の改正 5 主要な Regulations について (1)職場での健康安全管理規則(Management of Health and Safety at Work Regulation 1992) (2)有害物管理規則(The Control of Substances Hazardous to Health Regulations 2002) (3) Ⅴ 石綿管理規則(The Control of Asbestos Regulations 2012) 英国における労働安全衛生を所管する行政機関等について 1 総括的事項 2 HSE の組織 5 (1) 理事会(Board) (2) 附属研究機関 (3) HSE の本部の組織及び地方の事務所 (4) 職員数 (5) 職員の専門的知識・能力の維持向上 (6) HSE と地方自治体(Local Authority)との役割分担 (7) HSE 及び地方自治体(Local Authority)の労働安全衛生行政の運営の基本政策等 (8) HSE は、実際にはどのように、労働安全衛生確保のための業務を遂行するか? 3 Enforcement(施行状況) 4 HSE による労働安全衛生行政について (1) (2) (3) リスクアセスメント 有害物管理対策 アスベスト対策 Ⅵ 今までに紹介した以外の安全衛生機関、団体等の組織、活動等について Ⅶ 参考資料 6 Ⅰ 国名、国旗及び領域の地図(以下の資料出所は、特記しない限り外務省ホームページ:中の 英国(グレートブリテン及び北アイルラン ド連合王国: United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland): http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/uk/index.html ) 1 国名 英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)(以下単に「英国」という。) 英語では、“United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland” 2 国旗 3 領域の地図 7 Ⅱ 英国の国情 Ⅱ-1 一般事情 1 面積 24.3 万平方キロメートル(日本の約 3 分の 2) 2 人口 6,511 万人(2015 年) 3 首都 ロンドン(人口約 854 万人、2014 年) 4 言語 英語(ウェールズ語、ゲール語等使用地域あり) 5 宗教 英国国教等 6 国祭日 女王公式誕生日(毎年決定される。6 月の第 2 土曜日が多い。) その他の祝祭日( 2016 年版)( 独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ:Japan External Trade Organization(JETRO)の資料に 8 よる。) 日付 曜日 1月1日 金曜 新年 New Year's Day 3 月 25 日 金曜 聖金曜日 Good Friday 3 月 28 日 月曜 復活祭月曜日 Easter Monday 5月2日 月曜 アーリー・メイ・バンク・ホリデー Early May Bank Holiday 5 月 30 日 月曜 スプリング・バンク・ホリデー Spring Bank Holiday 8 月 29 日 月曜 サマー・バンク・ホリデー Summer Bank Holiday 12 月 26 日 月曜 ボクシング・デー Boxing Day 12 月 27 日 火曜 クリスマス(※) Christmas Day 新年 New Year's Day ※ 12 月 25 日(日曜)の振替休日。 スコットランド 1月1日 金曜 9 1月4日 月曜 新年休み(振替休日) 2nd January(Substitute Day) 3 月 25 日 金曜 聖金曜日 Good Friday 5月2日 月曜 アーリー・メイ・バンク・ホリデー Early May Bank Holiday 5 月 30 日 月曜 スプリング・バンク・ホリデー Spring Bank Holiday 8月1日 月曜 サマー・バンク・ホリデー Summer Bank Holiday 11 月 30 日 水曜 セント・アンドリューズ・デー St Andrew's Day 12 月 26 日 月曜 ボクシング・デー Boxing Day 12 月 27 日 火曜 クリスマス(※) Christmas Day ※ 12 月 25 日(日曜)の振替休日。 北アイルランド 1月1日 金曜 新年 New Year's Day 3 月 17 日 木曜 セント・パトリック・デー St Patrick's Day 3 月 25 日 金曜 聖金曜日 Good Friday 3 月 28 日 月曜 復活祭月曜日 Easter Monday 5月2日 月曜 アーリー・メイ・バンク・ホリデー Early May Bank Holiday 10 5 月 30 日 月曜 スプリング・バンク・ホリデー Spring Bank Holiday 7 月 12 日 火曜 オレンジ党勝利記念日 Battle of the Boyne 8 月 29 日 月曜 サマー・バンク・ホリデー Summer Bank Holiday 12 月 26 日 月曜 ボクシング・デー Boxing Day 12 月 27 日 火曜 クリスマス(※) Christmas Day ※ 12 月 25 日(日曜)の振替休日。 7 略史 年月 略史 1066 年 ノルマンディ公ウィリアム、イングランドを征服 1707 年 スコットランド王国及びイングランド王国合併、グレートブリテン連合王国成立 1801 年 グレートブリテン及びアイルランド連合王国成立 11 年月 略史 1858 年 日英修好通商条約締結 1902 年~1923 年 日英同盟 1922 年 グレートブリテン及び北アイルランド連合王国へ改称(南アイルランドの分離) 1952 年 エリザベス二世女王即位 1973 年 拡大 EC 加盟 1979 年 5 月 サッチャー保守党内閣成立 12 年月 略史 1990 年 11 月 メイジャー保守党内閣成立 1997 年 5 月 ブレア労働党内閣成立 2007 年 6 月 ブラウン労働党内閣成立 2010 年 5 月 キャメロン保守党・自由民主党連立内閣成立 2015 年 5 月 キャメロン保守党内閣成立 2016 年 7 月 メイ保守党内閣成立 Ⅱ-2 政治体制・内政 13 1 政体 立憲君主制 2 元首 女王エリザベス二世陛下(1952 年 2 月 6 日即位) 3 議会 上院及び下院の二院制 (ア)構成 下院(庶民院) 議席数:定数 650 議席 任期:5 年(解散あり) 下院の党派別内訳(2016 年 8 月現在) 政党 議席数 保守党 330 議席 労働党 230 議席 スコットランド国民党(SNP) 54 議席 14 下院の党派別内訳(2016 年 8 月現在) 政党 議席数 自由民主党 8 議席 その他(小政党、無所属、議長) 27 議席 欠員 1 議席 上院(貴族院) 議席数:定数なし(2016 年 8 月現在 797 議席)任期:なし(原則終身、聖職者は職にある期間) (上院は一代貴族(任命制)、一部の世襲貴族(世襲貴族内の互選)、聖職者(国教会幹部)等から構成され、公選制は導入されていない。) 上院の党派別内訳(2016 年 8 月現在) 政党 議席数 保守党 243 議席 労働党 209 議席 15 上院の党派別内訳(2016 年 8 月現在) 政党 議席数 自由民主党 105 議席 中立(クロスベンチ) 173 議席 その他(小政党、無所属) 41 議席 聖職者 26 議席 (イ)選挙制度(下院) 小選挙区単純多数代表制、全国 650 選挙区 有権者:18 歳以上の英国民、英連邦諸国民、又はアイルランド共和国民で英国居住者 被選挙権者:有権者と同じ。ただし、居住要件なし。 投票方法:一人一票、秘密投票 前回の総選挙:2015 年 5 月 7 日、次回総選挙予定:2020 年 5 月 7 日 4 政府 16 メイ保守党内閣(2016 年 7 月発足) (1)首相: テリーザ・メイ(保守党) (2)外相: ボリス・ジョンソン(保守党) 5 内政 (1)保守党単独政権の発足 2015 年 5 月に行われた総選挙の結果、保守党が単独過半数の議席を獲得し(650 議席中 331 議席)、保守党単独政権が発足した。前期に連立政 権を組んでいた自民党は 8 議席と総選挙前の 56 議席から大幅に議席を減らし、最大野党の労働党も 232 議席へと議席を減らした一方で、スコット ランド国民党(SNP)は 56 議席と大躍進した。 (2)EU 国民投票の実施とメイ政権の発足 キャメロン首相(当時)は EU との間で権限を見直す交渉を行った上で、総選挙での公約でもあった、EU 残留・離脱を問う国民投票の実施を決 定した。キャメロン政権は EU への残留を訴えるキャンペーンを展開したが、2016 年 6 月 23 日に実施された国民投票では EU 離脱(約 52%)が EU 残留(約 48%)を上回った。この結果を受け、キャメロン首相は首相(党首)辞任を表明し、これを受けて実施された保守党党首選でメイ内 相(当時)が保守党党首となり、2016 年 7 月にメイ政権が発足した。 6 英国王室 2016 年、女王エリザベス二世陛下は歴代君主最高齢となる 90 歳を迎え、各種行事が開催された。なお、2015 年には在位期間が歴代最長となった。 Ⅱ―3 外交・安全保障 17 1 外交・安全保障政策の概要 2010 年 5 月に発足したキャメロン前政権は、国内経済及び財政再建のため、外交を英国の経済発展・繁栄に結びつけることに重点を置き、貿易・投資 を推進するとともに中国・インド等の新興経済諸国との経済関係を重視した。 2015 年 5 月の総選挙後に発足した第二次キャメロン政権は、引き続き自由貿易協定や新興経済諸国との外交を通じた貿易、投資、雇用機会の創出を 推進するとともに、GDP の 2%を防衛費に充てるという 2015 年 9 月の NATO ウェールズ首脳会合のコミットメントと、国際開発予算の対国民総所得 比 0.7%目標を掲げ、強い英国を打ち出した。 2016 年 7 月にキャメロン前首相の後を継いで就任したメイ首相は、各国首脳との会談等で、英国は EU を離脱する決断をしたが引き続き欧州の一員 であり、世界からの後退を決断したわけではなく、国際社会に引き続き積極的に貢献していくと表明している。 2 国防予算等 (1)国防予算(2014 年) 約 658 億ドル(ミリタリー・バランス 2016) (2)兵役 志願制 (3)兵力 陸軍約 8.8 万人、海軍約 3.3 万人、空軍約 3.4 万人、陸海空予備役約 8.4 万人(ミリタリー・バランス 2016) Ⅱ-4 経済 1 主要産業 自動車、航空機、電気機器、エレクトロニクス、化学、石油、ガス、金融 18 2 主要貿易品目 (1)輸出 原油・石油製品、自動車、医薬品、発電機 (2)輸入 原油・石油製品、自動車、食料品、電気機器 主要貿易相手国: 3 ドイツ、米国、オランダ、フランス、中国 通貨 スターリング・ポンド 4 為替レート 1 ポンド=約 131 円(2016 年 8 月 15 日付) 5 経済概要 (1)英国経済は、内需の下支えにより成長が継続していたが、2016 年 6 月 23 日の EU 国民投票の結果、英国の EU 離脱が決定したことで不確実性 が大きく増し、企業景況感と消費者信頼感は大幅に低下している。英国の EU 離脱の決定を受け、IMF、BOE、民間金融機関等は今後数年間の英 国経済の見通しを下方修正した。 (2)英国政府は,財政健全化のため、2010 年 6 月に 1)「構造的経常財政収支を 5 年度以内に黒字化」することを主目標、2)「純債務残高対 GDP 比を 2015 年度までに減少」させることを補完的な目標に掲げたが、欧州経済危機等経済情勢の悪化を受け、右目標の達成が難しくなった。このた 19 め、2015 年 1 月、この目標の改訂案が下院で可決され、1)の主目標は「今後 3 年度以内に黒字化」、2)の補完的目標は「2016 年度から減少」 に改訂された。 その後成立した保守党単独政権下においても、「2019 年度の財政収支の黒字化」、「純債務残高対 GDP 比の毎年度減少」と目標が改訂されつつ も財政健全化の方針が維持されたが、EU 国民投票結果を受け、今後、上述の財政健全化目標の改訂等、これまでの緊縮財政策からの政策変更が予 想される。 (3)金融政策では、2013 年 7 月に就任したカナダ出身のカーニー新イングランド銀行新総裁は、2013 年 8 月、失業率が 7.0%を上回る間は現在の政 策金利(0.5%)及び量的緩和の規模(3,750 億ポンド)を維持するという指針を明示(フォワードガイダンス)し、2014 年 4 月に失業率が 7.0% を下回ったのを受け、2014 年 5 月からは失業率を含めた複数の指標から総合的に金利引上げ時期を判断する段階に移行した。 しかし、英国の EU 離脱決定に伴う英国経済の見通し悪化を受けて、2016 年 8 月に、政策金利の 0.25%への引下げ、資産買取プログラムの 4,350 億ポンドへの増額、ターム資金供給策(TFS)の導入、社債買取スキーム(100 億ポンド)の導入からなる一連の金融緩和策の実施を決定した。 (4)政府は、緊縮財政を進める一方で、成長には投資と輸出の促進が必要との認識の下、法人税の引下げ、経済インフラへの公共投資(クリーン・ エネルギー、交通等)を進め、経済特区の新設・拡大や各種優遇策により欧州一のビジネス環境整備を目指すとしている。併せて、中小企業によ る輸出、新興国向け輸出の強化を目指し、重要産業(医療・ライフサイエンス、自動車等)への集中的な支援策を実施している。 英国経済に関する各種指標については、次の表を参照されたい。 20 (出典:IMF、英国統計局) <各種指標> 単位 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 GDP(実質) 10 億ポンド 1,659 1,589 1,614 1,646 1,665 1,701 1,750 1,789 GDP(名目) 10 億ポンド 1,520 1,486 1,556 1,619 1,665 1,735 1,817 1,864 24,750 24,044 24,984 25,590 26,139 27,072 28,132 28,634 -0.5 -4.2 1.95 2.0 1.2 2.2 2.9 2.2 一人当り ポンド GDP 経済成長率 % (実質) 21 (出典:IMF、英国統計局) <各種指標> 単位 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 消費者物価 % 3.8 2.2 3.3 4.6 2.7 2.0 0.9 0.1 失業率 % 5.7 7.6 7.9 8.1 8.0 7.6 6.2 5.4 輸出額 10 億ポンド 421 399 444 497 499 518 512 510 輸入額 10 億ポンド 467 433 487 524 536 557 548 549 財政収支 年、GDP 比% -5.0 -10.7 -9.6 -7.7 -7.7 -5.6 -5.6 -4.4 上昇率 22 (単位:10 億ポンド)(出典:英国統計局 輸出 英国の EU28 域内貿易 輸入 2015 年数値) 収支 134 (-100%) 223 (-100%) -89 ドイツ 31 (-23%) 62 (-27%) -31 オランダ 17 (-16%) 31 (-14%) -14 フランス 18 (-13%) 24 (-11%) -6 アイルランド 17 (-13%) 13 (-6%) 4 (内訳) 主な相手国 23 (単位:10 億ポンド)(出典:英国統計局 輸出 英国の EU27 域外貿易 輸入 2015 年数値) 収支 151 (-100%) 197 (-100%) -46 米国 48 (-32%) 35 (-18%) 13 中国 13 (-9%) 38 (-19%) -25 スイス 7 (-5%) 8 (-4%) -1 インド 4 (-3%) 7 (-4%) -3 (内訳) 主な相手国 24 Ⅱ-5 1 二国間関係 政治関係 (1)日英両国は、1600 年に英国人航海士ウィリアム・アダムス(三浦按針)が、豊後(現在の大分県)にオランダ船で漂着して以来、約 400 年にわたる 交流の歴史を有する。1858 年の日英修好通商条約締結により外交関係を開設し、1902 年には日英同盟が結ばれた(1923 年失効)。第二次世界大戦前 後の一時期を除き、両国は良好な二国間関係を維持している。2008 年には、外交関係開設 150 周年を迎えた。 (2)日英間では、幅広く価値を共有していることを背景に、政治、安全保障・防衛、経済、文化、科学技術、教育等、様々なレベル・分野において緊密な 協力関係を有している。最近でも、アフガニスタン支援、ソマリア沖海賊対策、バーレーン沖の多国間掃海訓練(日英米)、中東・北アフリカ情勢、 国際開発や G20・G7 など多岐に渡る分野で具体的な協力が進められている。 (3)英国は国連安全保障理事会の常任理事国であり、また、我が国と価値を共有する G7 のメンバーでもあることから、日本にとって英国との緊密な関係 の維持・強化は重要である。また、グローバルな関心を有する英国としても、アジア太平洋地域に位置し、基本的価値を共有する日本との協力関係を 重視している。 (4)2012 年 4 月にはキャメロン首相(当時)が訪日して両国首脳は共同声明「世界の繁栄と安全保障を先導する戦略的パートナーシップ」を発表、その 後 2013 年 7 月には、「防衛装備品等の共同開発等に係る枠組み」及び「情報保護協定」が署名され、日英間のより緊密な防衛装備・技術協力のための 法的枠組みが整備された。 (5)2014 年 4 月に安倍総理が訪英した際には、両首脳は日英共同声明「21 世紀のためのダイナミックな戦略的パートナーシップ」を発表し、民主主義、 法の支配、人権及び開かれた透明性の高い市場という共通の価値に基づく両国間の戦略的パートナーシップを再確認し、世界の平和と安全保障、世界 の成長と繁栄、科学技術・イノベーション・教育・文化の分野における協力の強化に合意した。物品役務相互提供協定(ACSA)交渉の開始や、外務・ 防衛閣僚会合の開催合意、2020 年東京オリンピック・パラリンピックの成功に向けた日英間の協力についても確認された。これを受け、2015 年 1 月 には日英間で初となる日英外務・防衛閣僚会合(「2+2」)をロンドンで開催した。2016 年 1 月には東京で第 2 回目の「2+2」が開催され、本会合は 定期化されている。 25 (6)このような関係強化への取組を受け、2015 年 5 月に発足したキャメロン第二次政権が同年 11 月に発表した、今後 5 年間の英国の国家安全保障戦略を 記述する「戦略防衛・安全保障見直し(SDSR)」の中では、日本は「アジアにおける最も緊密な安全保障上のパートナー」と位置づけられている。 (7)2016 年 5 月には安倍総理が訪英し、日本の現職総理として 1998 年以来初めてエリザベス二世女王陛下に拝謁するなどの厚い歓迎を受けた。安倍総理 は、英首相官邸及び宿泊先の英首相公式別荘「チェッカーズ」で、G7 伊勢志摩サミットの成功と日英関係の強化に向けて、キャメロン首相との間で長 時間の意見交換を行った。また、2016 年 5 月 25 日から 27 日にかけてキャメロン首相が G7 伊勢志摩サミット出席のため訪日した際には,安倍総理と 再び会談し、幅広い分野で日英二国間関係を強化していくことを確認するとともに、サミットに先立って突っ込んだ意見交換を行った。 (8)2016 年 7 月のメイ政権発足後、安倍総理及び岸田外務大臣は、それぞれメイ首相、ジョンソン外相と電話会談を行った。 2 経済関係 (1)日本の対英国貿易 日本にとって、英国は EU 諸国中、ドイツ、オランダに次ぐ輸出先、ドイツ、フランス、イタリア、アイルランドに次ぐ輸入元であり、日本の輸出超 過が続いている。英国にとって、日本は EU 域外では米国、中国、スイス等に次ぐ第 8 位の輸出先、米国、中国、ノルウェー等に次ぐ第 8 位の輸入元で ある。以下の表のデータを参照されたい。 (ア)貿易額 (単位:10 億円)(出典:財務省貿易統計) 年 2005 年 対英輸出 1,664 対英輸入 740 (2.7) 26 収支 (2.7) 923 (単位:10 億円)(出典:財務省貿易統計) 年 対英輸出 対英輸入 収支 2006 年 1,770 (6.4) 781 (5.5) 989 2007 年 1,917 (8.3) 887 (13.6) 1,031 2008 年 1,707 (-11.0) 774 (-12.7) 933 2009 年 1,102 (-35.4) 531 (-31.3) 571 2010 年 1,241 (12.6) 557 (5.4) 681 27 (単位:10 億円)(出典:財務省貿易統計) 年 対英輸出 対英輸入 収支 2011 年 1,304 (5.1) 579 (3.4) 723 2012 年 1,064 (-18.4) 582 (0.0) 482 2013 年 1,084 (1.8) 641 (10.0) 443 2014 年 1,184 (9.2) 675 (5.3) 509 2015 年 1,300 (9.8) 788 (16.7) 512 28 (イ)主要品目 輸出: 自動車、原動機、自動車部品等 輸入: 医薬品、自動車、原動機等 (単位:億円)(出典:財務省貿易統計 輸出(日本→英国) 品目 2015 年数値) 輸入(英国→日本) 金額 シェア 品目 金額 シェア 自動車 3,357 26% 医薬品 1,137 14% 原動機 880 7% 自動車 872 11% 29 (単位:億円)(出典:財務省貿易統計 輸出(日本→英国) 品目 自動車部品 2015 年数値) 輸入(英国→日本) 金額 シェア 669 品目 5% 金額 原動機 シェア 697 9% (2)日英投資関係 2015 年中の対英投資(フロー)は 2 兆 1,351 億円と、過去最高となった。対外投資相手国別に見て、米国に次いで第 2 位の投資先である。日本 から英国への新規直接投資(プロジェクト件数)は 107 件と、米、仏、印、中に次いで第 5 位。 最近の主な社会インフラ整備にかかわる大規模事業は航空機リース、原子力発電、都市間高速鉄道、送電資産の集約など。 (ア)フロー 30 (単位:10 億円)(出典:日銀「国際収支統計」) 年 日本の対英直接投資額 英の対日直接投資額 2006 年 -842 209 2007 年 -374 63 2008 年 -676 -125 2009 年 -205 528 2010 年 -386 417 31 (単位:10 億円)(出典:日銀「国際収支統計」) 年 日本の対英直接投資額 英の対日直接投資額 2011 年 -1,122 146 2012 年 -948 97 2013 年 -1,308 59 2014 年 -812 129 2015 年 -2,135 121 (注)ネット・フロー:資本撤退や投資回収を含む。マイナス数値は日本からの資金の流出超過を表す(日本の対英直接投資額の「-」は資金が日 本から英国に流れ、日本からの投資が行われたことを表す)。 32 (イ)進出企業数 (出典:東洋経済(海外進出企業総覧、外資系企業総覧)) 年 日本→英 英→日本 2004 年 839 277 2005 年 803 278 2006 年 784 232 2007 年 795 225 2008 年 785 225 33 (出典:東洋経済(海外進出企業総覧、外資系企業総覧)) 年 日本→英 英→日本 2009 年 777 219 2010 年 781 223 2011 年 799 221 2012 年 847 224 2013 年 (未公表) (未公表) 34 (出典:東洋経済(海外進出企業総覧、外資系企業総覧)) 年 日本→英 英→日本 2014 年 871 220 2015 年 875 220 英国に進出している日本企業数は約 1,000 社で、ドイツに次いで欧州第 2 位(平成 28 年海外在留邦人数調査統計)。 英国における日系企業による雇用者数は約 14 万人。EU 全体の約 3 割を占め、欧州で第 1 位(経済産業省第 45 回海外事業活動基本調査)。 (ウ)ストック(2015 年末) 日本→英国 10 兆 4,053 億円 日本の対外直接投資残高に占める英の割合は 7%(EU 諸国ではオランダに次いで第 2 位)。 英国→日本 1 兆 5,873 億円 対日直接投資残高に占める英の割合は 8%(EU 諸国ではオランダ、フランスに次いで第 3 位)。 35 (出典:日銀「国際収支統計」) 3 文化・知的交流 (1)1987 年に始まった JET プログラム(1978 年に開始された「英国人英語指導教員招致事業(BETS)」を米国との類似事業と統合したもの)に 2015 年までに参加した英国青年は、約 1 万名を超える。2016 年度の新規参加者は 160 名。 (2)2001 年 4 月、日英両国の青年がアルバイトをしながら相手国に 1 年間滞在するワーキング・ホリデー制度が発足し、2008 年末より、Youth Mobility Scheme と名前を変え、2 年間の滞在が認められている。また、2003 年 5 月、英国人に対するボランティア査証発給が開始された。 (3)日英のオピニオン・リーダーが二国間関係、共通の諸課題等に関し幅広く議論する場として、1984 年の両国首脳間の合意に基づき、「日英 21 世紀 委員会」が 1985 年より毎年日英で交互に開催されている。2015 年(第 32 回)の 21 世紀委員会合同会議は、9 月 3 日から 6 日までロンドン及びデ ィッチリーで開催され、日本、英国両国の政治・経済の現状のほか、欧州及びユーロ圏の将来、気候変動とエネルギー政策、防衛及び安全保障の課 題、科学技術のイノベーションにおける日英協力、社会福祉へのアプローチ等について議論した。 (4)在英国日本国大使館では、年間を通じて、大使館主催行事・展示を実施している。2015 年は、和紙展、薩摩藩留学生渡英 150 周年記念行事、江戸 木版画展、邦楽コンサートなど各種文化行事を開催した。毎年ロンドン中心部で開催されている「ジャパン祭り」には約 7 万人の来場があり、2015 年には鹿児島県の伊作太鼓踊り等が公演した。2016 年は英国の日本協会が創立 125 周年を迎える。 (5)2012 年 5 月、女王エリザベス二世陛下からの御招請を受け、天皇皇后両陛下は女王陛下御即位 60 周年記念行事に御出席になるため英国を御訪問さ れた。また、2015 年 2 月から 3 月には、ケンブリッジ公爵殿下(ウィリアム王子)が日本を御訪問された。 (6)自治体、民間の交流も非常に盛んである。 36 (7)日英間の大学交流の促進、2020 東京五輪や 2019 ラグビーワールドカップに向けた日英協力、国際交流基金と連携した日本語教育のプロモーショ ン等も積極的に行われている。2015 年のラグビーワールドカップ・イングランド大会では、日本代表が 3 勝と活躍したことを地元メディアが大きく報 じた。 4 在留邦人数 67,997 名(2015 年 10 月) 5 在日英国人数 15,262 名(2014 年 12 月)(外国人登録者数 6 出典:法務省入国管理局) 訪日英国人数 258,488 名(2015 年確定値)(出典:日本政府観光局(JNTO)) 7 訪英日本人数 549,000 名(2014 年)(短期滞在者数 8 出典:英内務省) 要人往来(略) 9 二国間条約・取極 通商居住航海条約、航空協定、文化協定、原子力平和利用協力協定、領事条約、租税条約、査証免除取極、科学技術協力協定、社会保障協定、防衛装備品等 の共同開発等に係る枠組み協定、情報保護協定 37 Ⅱ-6 英国の就業者数及び産業別就業者の割合(2014 年) 業種(国際標準産業分類第 4 2014 年雇用者数 業種別就業者の割合 版による。) (単位:千人) (%) G 4,019 13.1 Q 4,084 13.3 P 3,176 10.4 C 3,008 9.8 F 2,235 7.3 M 2,140 7 O 1,824 6 I 1,598 5.2 H 1,473 4.8 J 1,199 3.9 K 1,175 3.8 X その他の業種 4,711 15.4 30,642 100.0 就業者合計 38 注:国際標準産業分類(ISIC-rev.4)(ここでは、就業者数の多い順に並べてある。以下雇用者数についても同じ。) G:卸売・小売業並びに自動車及びオートバイ修理業 Q:保健衛生及び社会事業 P:教育 C:製造業 F:建設業 M:専門・科学・技術サービス業 O:公務及び国防・義務的社会保障事業 I:宿泊・飲食サービス業 H:運輸・保管業 J:情報通信業 K:金融・保険業 X:その他の業種(その他のサービス業、芸術・娯楽及びレクリエイション、不動産業、水供給・下水処理並びに廃棄 物管理及び浄化活動等) 39 2014 年における英国の就業者の業種別割合(単位:%)の円グラフ Ⅱ-7 英国の雇用者数及び産業別割合(2014 年) 業種(国際標準 2014 年英国業種別 産業分類第 4 版 雇用者数(単位:千 による。) 人) 業種別就業者の 割合(%) Q 3,761 12.3 G 3,604 11.8 40 P 2,944 9.6 C 2,792 9.1 O 1,787 5.8 I 1,451 4.7 F 1,318 4.3 H 1,213 4.0 N 1,106 3.6 K 1,079 3.5 Xその他の業種 4,821 15.7 25,876 100.0 合計 41 英国の雇用者の産業別割合(単位:%)の円グラフ(2013 年) 42 Ⅲ 1 英国の労働災害発生状況について 英国の労働災害統計について 英国安全衛生庁(以下「HSE」という。)は、自国の労働災害発生状況(業務上の死亡事故、負傷、疾病等に関するものを含む。)に関して、多彩な統 計資料を、そのホームページ上で公表している。これら(名称、公表時期、概要等)は、おおむね次の表のとおりである。本稿では、これらの公表され た統計等のうち、日本の労働災害統計資料と類似性があるものを中心として、次の 2 以下に、現時点で公表された最新のデータ(2016 年 11 月 2 日に、 グレートブリテン(グレートブリテン島域内に限り、北アイルランドを含まない。以下同じ。)における労働災害統計の 2016 年版の要約版(Health and safety at work, Summary statistics for Great Britain 2016)として HSE のホームページで公表された。)に基づき、英国における主要な労働災害の発 生状況に関して紹介する。 番号 名称 公表時期 概要 1 Health and Safety Statistics 毎年 10 月下旬。現時 英国の年度(4 月 1 日から翌年 3 月 31 日まで)における Ill Annual Report for Great Britain 点の 最 新版 は 、2015 health(健康障害)、Injuries(負傷)、 Working days lost(労働 (健康安全統計、グレートブリテンについての 年 10 月 27 日に公表 損失日数)、Economic costs to Britain(ブリテン(グレートブ 年報) された。 リテン島域内に限り、北アイルランドを含まない。)に対する経 済的コスト)等 2 Health and Safety Statistics 同上 上記の統計の要点を「一目でわかる」ものとして、その要点をま At a glance とめたもの (一目でみる健康安全統計) 3 Fatal injury statistics, Summary 毎年 7 月初旬 (死亡事故、要約版) 43 2014 年度までの死亡災害を速報値としてまとめたもの 4 Mesothelioma in Great Britain 2014(グレー 同上 英国では、石綿へのばく露が主要な原因となって遅発的に発症す トブリテンにおける中皮腫、2014 年) る中皮腫が、毎年度 1000 件を超えて発症しているため、1968 年 から公表する時期の前年度まで(今年度の場合は、1968~2013 年度)の石綿による中皮腫の発生状況及び将来の死亡者数予測等 をまとめたもの 5 LFS - Labour Force Survey - Self-reported 毎年 10 月下旬 work-related ill health and workplace injuries 労働力調査の一環として(以下、次の 6 及び7において同じ。)( 労 働者が) 自己報告した作業関連疾病の統計 Self-reported illness 6 Estimated total and new cases of self-reported 毎年 10 月下旬 work-related illness by type of illness, for people 過去 12 カ月間働いた人々についての疾病の種類別の自己報告疾 病に関する見積もられた合計及び新規の疾病(数)に関する統計 working in the last 12 months 7 New cases of self-reported work-related illness 毎年 10 月下旬 作業関連の新規の自己報告疾病に関する統計 8 Reports of ill health by doctors and specialist 毎年 10 月下旬 マンチェスター大学職業及び環境保健センター(COEH)によっ physicians てネットワーク化され、解析されており、その指定した医師及び 内科専門医によって(作業関連又は環境関連の)新規に診断され た不健康事例に関する任意的な報告 9 Ill health assessed for Industrial Injuries 毎年 10 月下旬 労働年金省(Department for Work and Pensions (DWP))による 2013 年度における労働不能給付の対象となった産業災害の評価 Disablement Benefit (IIDB) in 2013 (2013 年度における労働不能給付の産業災害に関す る不健康の評価) 44 10 Employer-reported non-fatal injuries under 毎年 10 月下旬 RIDDOR (The Reporting of Injuries, Diseases and Dangerous Occurrences Regulations: 傷害、疾病及び危険事象報告規則) RIDDOR に基づく雇用者からの報告による非致死的傷害 45 2 グレートブリテンにおける労働災害統計の 2016 年版の要約版(Health and safety at work, Summary statistics for Great Britain 2016) 英国安全衛生庁は、このたび(2016 年 11 月 2 日に)グレートブリテン(グレートブリテン島域内に限り、北アイルランドを含まない。 以下同じ。)における労働災害統計の 2016 年版の要約版(Health and safety at work Summary statistics for Great Britain 2016。 訳者注:2015 年 4 月 1 日から 2016 年 3 月 31 日までの労働災害等の統計)を公表しました。 (作成者注:以下の記述のうち、「 イタリック体で表記されているもの 」は、作成者が文意を補足するために加えたものです。) 原資料の題名及び所在 Health and safety at work Summary statistics for Great Britain 2016 http://www.hse.gov.uk/statistics/index.htm (訳者注:その資料の表紙は、次のとおりです。) 46 Ⅰ はじめに 英国安全衛生庁(Health and Safety Executive)は、2016 年 11 月 2 日に、グレートブリテンにおける労働災害統計の 2016 年の要 約版を公表しました。今回公表された統計資料は、読者の理解しやすさをより高めるために昨年までのものとはそのスタイルや図表類 等がかなり変更されています。 そこで、本稿においては、先ず原典の記述、図表類等をそのままコピーして引用し、次にこれらの記述、図表類等における英語の原 文を日本語仮訳にしたものとして、作成してあります。 47 48 ○鍵となる事実(Key facts) (訳者注:前頁の英語原文の記述について、各列の最左端の列の上から下、次に左の列から右の列に向けて順次日本語仮訳を作成してあ ります。) 2015/2016 では、130 万人の労働者が作業関連疾患に罹患している(新規又は長期的な罹患者)。 (資料出所:労働力調査からの自己報告に基づく見積 もり) 2015/16 では、非致死的な労働者の傷害は、60 万人(件)である。(資料出所:労働力調査からの自己報告に基づく見積もり) 2014 年では、過去の石綿へのばく露と結びつく中皮腫による死亡者は、2,515 人で、 (別に)同じような肺がん死亡者の数を伴っている。 (資料出所: 死亡証明) 2015/16 では、50 万人の労働者が筋骨格系の障害に罹患している(新規又は長期的な罹患者)。(資料出所:労働力調査からの自己報告に基づく見積 もり) 2015/16 では、使用者によって報告された被雇用者の非致死的な傷害は、72,702 人(件)である。 (資料出所:RIDDOR(Reporting of Injuries, Diseases and Dangerous Occurrences Regulations 2013:傷害、疾病及び危険事象の報告に関する規則 2013 年。以下同じ。) 2015/16 では、作業関連疾病及び非致死的な傷害によって 3,040 万労働日が失われた。 うつ 2015/16 では、50 万人の労働者が作業関連のストレス、鬱 又は不安に罹患している(新規又は長期的な罹患者)。(資料出所:労働力調査からの自己 報告に基づく見積もり) 2015/16 では、労働者の死亡災害は、144 人(件)である。(資料出所:RIDDOR) 2015/16 では、すべての法執行機関によって発行された (法令違反を指摘する) 通告書の数は、11,403 件であった。 2014/15 では、がんのような長期的な潜伏期間のあるものを除いて、新規の作業関連疾患の年間のコストは、93 億ポンドである。 (資料出所:安全衛 生庁のコストモデルによる見積もり) 2014/15 では、年間の作業場での傷害によるコストは、48 億ポンドであった。(資料出所:安全衛生庁のコストモデルによる見積もり) 2014/15 では、年間の作業関連傷害及び新規の疾病のコストは、がんのような長期的な潜伏期間のあるものを除いて、141 億ポンドである。(資料出 49 所:安全衛生庁のコストモデルによる見積もり) 50 Work-related ill health 51 ○作業関連の疾患 (訳者注:前頁の記述及びグラフについては、次のとおり 3 段表にして、英語原文及びその日本語仮訳を作成した。) 前頁の左欄 前頁の中央の欄 前頁の右欄 130 万人の労働者が作 業関連 作業関連疾患の種類(訳者注:英語原文の記述を、疾病の割合の多い順番に変えて日 自己報告によるすべての不健康報告 疾患に罹患している(新規又は 本語仮訳を作成してあります。) 及び特に筋骨格系障害の発生率は、お 長期的な罹患者)。 新規又は長期的な罹患者:2015/16 の労働力調査における自己報告(LFS: The およそ 2011/2012 ごろから一般的に 50 万人の労働者が筋骨格系の Labour Force Survey)による。 減少傾向にあり、より最近では発生率 傷害に罹患している(新規又は 41%は、筋骨格系障害によるもの は横ばいである。 長期的な罹患者)。 37%は、ストレス、鬱又は不安によるもの 自己報告によるストレス、鬱 又は不安 50 万人の労働者が作業関連の 22%は、他の種類の疾病である。 は、10 年間以上横ばいである。 ストレス、鬱 又は不安に罹患し 新規の罹患者:2015/16 の労働力調査における自己報告(LFS: The Labour Force ている((新規又は長期的な罹 Survey)による。 うつ うつ 自己報告の健康障害による労働者 1 うつ 患者)。 2,590 万労働日が、作業関連疾 患のために失われた。 42%は、ストレス、鬱 又は不安によるもの 人当たりの労働損失日数は、2009/10 33%は、筋骨格系障害によるもの ごろから一般的に減少傾向を示して 25%は、他の種類の疾病によるもの おり、それ以来発生率は横ばいであ 新 規 疾 病 ( 専 門 の 産 業 医 及 び 開 業 医 に よ る 報 告 ( Specialist physician and general practitioner reporting (THOR and THOR-GP)によるもの 50%は、筋骨格系障害によるもの うつ 35%は、ストレス、鬱 又は不安によるもの 15%は、他の種類の疾病によるもの 52 る。 (訳者注:次のグラフは、説明のために再掲してあります。) (訳者注:労働者 10 万人当たりの自己報告健康障害の見積もり。「濃く塗られた実線の部分 点線の部分「 」 は、95%信頼性のある期間を示し、 」 は、「2002/03 及び 2012/13 の期間は、健康障害のデータが収集されなかった期間」を示す。) 53 54 前頁の左欄の英語原文 前頁の中央の欄の図及び英語原文の日本語仮訳 の日本語仮訳 毎年 13,000 人の死亡 前頁の右欄の英語原文の日本語仮 訳 (訳注:次の図は、説明のために再掲してある。) (中皮腫の)罹患が減少し始める前 が、第一義的には化学 のこの年代では、毎年おおよそ 物質又は粉じんへの過 25,000 の中皮腫による死亡が見積 去のばく露と結び付い もられている。 ていると見積もられて ------------------------------ いる。 毎年、胸部内科医により、過去 3 年 2014 年では、過去の石 間の平均として 150 例の職業性喘息 綿へのばく露と結びつ のケースが見られている。これは、 く中皮腫による死亡者 2000 年代の早期よりは少ないが、過 は、2,515 人で、 (別に) 去 10 年間ではほとんど変化してい 同じような肺がん死亡 作業関連疾病による現在の年間の死亡者の見積もり ない。 者の数を伴っている。 英語原文 日本語仮訳 ------------------------------ 労働力統計からの自己 10% Non-respiratory cancer 10%は、非呼吸器系のがん 鍵となる数字の背後にある説明に 報告によれば、毎年 33% Chronic Obstructive 33%は、慢性の肺障害疾患及び他の呼 ついては、 14,000 件の新規の呼吸 Pulmonary Disease(COPD) and 吸器系疾患 www.hse.gov.uk/statistics/causdis/ 器又は肺 (機能の問題) other respiratory disease の罹患がある。 を参照されたい. 36% Asbestos-related cancer 36%は、石綿関連のがん 21% Other respiratory cancer 21%は、他の呼吸器系のがん 55 訳者注:中欄のグラフにおいて、 実線は実際の死亡者数を、点線 は、見積もられた死亡数を、そ れぞれ、示している。 点線のピンク塗りの領域 は、見積もりによる上限値及び 下限値の範囲を示している。 (上のグラフ)グレートブリテンにおける中皮腫:年間の死亡実数及び予測死亡 者数 (訳者注) 日本においても、石綿による業務上疾病としての中皮腫、肺がん等は、大きな問題である。 平成 28 年 6 月 28 日に厚生労働省労働基準局補償課職業病認定対策室から発表された次の表 1 及び表 2 によれば、 ① 平成 27 年度 (2015 年度)に石綿による肺がんとして業務上の認定がなされた件数は、360 件(業務上認定申請件数のうち、認定率 87.6%)に達して いる。 ② 平成 27 年度 (2015 年度) に石綿による中皮腫として業務上の認定がなされた件数は、539 件(業務上認定申請件数のうち、認定率 94.9%)に達し 56 ている。 資料出所:厚生労働省労働基準局 労災保険法に基づく保険給付の石綿による疾病別請求・決定状況(過去 5 年度分) 57 58 59 (訳者注:前頁の「 」は、95%の信頼性のある期間であることを示す。 ○職場での傷害(Workplace injury) 前頁の図の左欄に記載されている英語原文 前頁の図の中欄に記載されている英語原文の日本語仮訳 の日本語仮訳 前頁の図の右欄に記載されている英語原文の日 本語仮訳 2015/16 に、職場で 144 人の労働者が死 自己報告による非致死的な傷害―休業 7 日を超える傷害は、 死亡災害は、長期的に減少傾向にあるが、近年 亡した。 152,000 件 ではこの傾向は、横ばいである。 2015/16 の労働力調査からの自己報告に 休業 7 日までの傷害は、469,000 件 ――――――――――――――――――――― よれば、621,000 件の非致死性の傷害が 職場での災害の選ばれた原因別の傷害の割合は、次のとおり 労働者にあると見積もられている。 である。 RIDDOR(傷害、疾病及び危険事象の報 自己報告による労働者の非致死的な傷害は、 2010/11 までは減少傾向であったが、それ以来、 高所からの墜落 告に関する規則 2013 年)に基づく使用 死亡災害では、26% 者によって報告された非致死的な傷害 自己報告による非致死的な災害(3 年間平均)では、 ――――――――――――――――――――― は、2015/16 では 72,702 件である、 6% 2015/16 での労働力調査からの自己報 発生率は長期間横ばいである。 使用者によって報告された被雇用者にとっての 動いている車両による打撃 告によれば、非致死的な傷害による労働 死亡災害では、19% 損失日数は、450 万日と見積もられてい 自己報告による非致死的な災害(3 年間平均)では、 び特定の傷害だけを包含する。)は、2015/16 で る。 不明(利用可能なサンプルが少ないため) 非致死的な傷害の発生率(7 日を超えるか、及 60 は減少して、長期的な傾向が続いている。 動いている物体にたたかれたか、ぶつけられた。 死亡災害では、10% 鍵となる数字の背後にある説明については、 自己報告による非致死的な災害(3 年間平均)でも、 www.hse.gov.uk/statistics/causdis/を参照され 10% たい。 (物を) 取り扱う、荷を上げる、又は運搬する。 死亡災害では、1% 自己報告による非致死的な災害(3 年間平均)では、 20% 滑る、つまずく又は落下 死亡災害では、1% 自己報告による非致死的な災害(3 年間平均)では、 19% (訳者注) 死亡災害を示す。 (訳者注) 自己報告による非致死的な傷害(3 年間の平均) Rate of self-reported non-fatal injury (訳者注:このグラフは、説明のために再掲してある。) per 100,000 workers(労働者 100,000 人当たりの自己報告非致死的な傷害の 発生率の線グラフ) 61 (訳者注:中欄の点線のグラフは、95%信頼性 のある区域であることを示している。) 62 ○Costs to Britain £14.1billion Annual costs of work related Total costs showed a downward injury trend between and 2014/15, latency illness excluding illness such in long 2004/05 and 2009/10; since then as the annual cost has been broadly cancer level. This fall was driven by falls £9.3billion in injury costs. Annual costs of new cases of work related 2014/15, latency illness excluding illness such in Total costs include long financial costs and human as costs. Financial costs cover cancer loss of output, healthcare costs and other payments £4.8billion made. Human costs are Annual costs of workplace the monetary valuation injury given to pain, grief, in 2014/15 suffering and loss of life Find out the story behind 63 the key figures.Visit http://www.hse.gov.uk/ statistics/cost.htm HSE has recently published research on the costs of work-related cancer. See http://www. hse.gov.uk/research/ rrhtm/rr1074.htm 2012/13 の期間には、データが収集 (訳者注) されなかったことを示す。 64 ○ブリテンに対するコスト(Costs to Britain) 前頁の図の左欄に記載されている 前頁の図の中欄に記載されている英語原文の日本語仮訳 英語原文の日本語仮訳 141 億ポンド 前頁の図の右欄に記載されて いる英語原文の日本語仮訳 2014/15 における職場での傷害及び新規の作業関連疾患の事象の種類別割合 全体のコストは、2004/05 及び がんのような長期的な潜伏期間の 事象別(type of incident) 2009/2010 までの間では減少 あるものを除いた、2014/15 にお 66%が疾患によるもの、34%が障害によるもの の傾向を示していたが、それ ける作業関連の傷害及び疾患の年 間のコスト 以後年間のコストは、長期間 コスト(費用)の負担者別 横ばいであった。この減少の 80 億ポンドが個人の負担 傾向は、傷害のコストの減少 93 億ポンド 33 億ポンドが政府による負担 によって促進された。 がんのような長期的な潜伏期間の 28 億ポンドが使用者による負担 あるものを除いた、2014/15 にお 全体のコストは、財政的なコ ける作業関連の疾患の年間のコス スト及び人的コストを含む。 ト 財政的コストは、生み出され るべき (財貨の) 損失、医療 コスト及び他のなされた支払 48 億ポンド いをカバーしている。人のコ 2014/15 における作業関連の傷害 ストは、苦痛、悲しみ、罹患 の年間コスト 及び生命の損失を金額に評価 したものである。 65 鍵となる数字の背後にある説 明については、 www.hse.gov.uk/statistics/ca usdis/ を参照されたい。 HSE は、最近、作業関連がん のコストに関する研究(の成 果 ) を 出 版 し た 。 http://www.hse.gov.uk/resea rch/ を参照されたい。 中欄の注は、次のとおりであ る。 実線の影付きの期間は、95% 信頼限界の期間を示し、 点線の期間は、2012/13 のデー 職場における傷害及び作業関連の新規の健康障害のブリテンへのコスト(単 タが収集されなかった期間を 位:2014 年の価格で 10 億ポンド) 示す。 66 ○Industries(産業別の状況) Industries with ill health rates statistically significantly higher than the rate for all industries were Human Health and Social Work activities, Agriculture, Forestry and Fishing, Public Administration and Defence and Education. Agriculture, Forestry and Fishing, Construction, Accommodation and Food Services, Transport and Storage, Manufacturing and Wholesale and Retail Trade had statistically significantly higher injury rates than for all industries. Find out the story behind the key figures. Visit http://www.hse.gov.uk/statistics/industry/index.ht m 67 前頁の中欄の英語原文 左欄の日本語仮訳 前頁の右欄の英語原文の日本語仮訳 Industry Section 疾患の発生率が全産業 (平均) よりも高い (訳者注:以下の欄における“SIC”とは、英国における標準産 のは、人の健康及び社会 (保障) 活動、農 業分類を意味する。) 業、林業及び漁業、公務行政/国防及び教育 Human health and social work activities (SIC Q) 人の健康及び社会 (保障) 活動(SIC Q) Agriculture, forestry and fishing (SIC A) 農業、林業及び漁業(SIC A) Public administration/defence (SIC O) 公務行政/国防(SIC O) 農業、林業及び漁業、建設業、宿泊/食品サ Water supply/waste management (SIC E) 水道供給/廃棄物処理(SIC E) ービス活動、運輸/倉庫、製造業及び卸売及 Education (SIC P) 教育(SIC P) び小売業は、全産業(平均の)傷害発生率 Construction (SIC F) 建設業(SIC F) に比較して統計的に有意に高い傷害発生率 Transport/storage (SIC H) 運輸/倉庫(SIC H) である。 Other service activities (SIC S) 他のサービス活動(SIC S) Utility supply (SIC D) 用益供給(SIC D) 鍵となる数字の説明については、次のウェ Arts, entertainment and recreation (SIC R) 芸術、娯楽及びレクリエイション(SIC R) ブサイトを訪問されたい。 Administrative and support service activities (SIC N) 管理及び支援サービス活動(SIC N) Financial and insurance activities (SIC K) 金融及び保険活動(SIC K) Manufacturing (SIC C) 製造業(SIC C) Real estate activities (SIC L) 不動産業(SIC L) Professional, scientific and technical activities (SIC M) 専門的、科学及び技術活動(SIC M) 68 である。 http://www.hse.gov.uk/statistics/industry/ index.htm Wholesale/retail trade (SIC G) 卸売及び小売業(SIC G) Information and communication (SIC J) 情報及び通信(SIC J) Accommodation/food service activities (SIC I) 宿泊/食品サービス活動(SIC I ) Mining and quarrying (SIC B) 鉱業及び採石(SIC B) (左欄の色での表示は) 統計的有意性―高い。 (左欄の色での表示は)統計的には差異はない。 (左欄の色での表示は)統計的な有意性―低い。 ⋆ indicates sample cases too small to provice reliable estimate Source: Labour Force Survey annual average 2013/14-2015/16 ⋆ 信頼性のある見積もりを出すためにはサンプ ル数が非常に少ないことを示す。 資料出所:2013/14 から 2015/16 までの労働力 調査の平均 69 英語原文 日本語仮訳 ○ヨーロッパとの比較 ( 欧州の主要な経済圏(英国、ドイツ、ポーランド、イタリア、EU 加盟 28 カ国(の平均)、スペイン及びフランス)における被雇用者 10 万人当 たりの標準化された死亡災害発生率(2013 年)は、左欄の棒グラフのと おりである。) 2013 年には、英国における被雇用者の標準化された死亡災害発生率は、 ユーロスタートによって公表された諸国の中では最も低い。英国の死亡 災害発生率は、継続して他の欧州の主要な経済圏及び欧州全体の平均よ りも良い実績である。 英国における非致死的傷害は、2013 年には他の欧州主要経済圏と同様な 水準にある。 --------------------------------------------------------------- (英国における) (傷害による)疾病休業を伴った自己報告である作業関 連傷害の発生率は、ほとんどの他の EU 諸国よりは低い。 ---------------------------------------------------------------鍵となる数字の説明については、次のウェブサイトを訪問されたい。 www.hse.gov.uk/statistics/european 70 英語原文 日本語仮訳 (傷害による)疾病休業を伴った自己報告である作業関連傷害(欧州労働 力調査、2013 年)の割合(%)は、左欄の棒グラフのとおりである。 方法論の問題により、ドイツは除外されているので、その結果として EU28 カ国のデータは、この目的のためには利用できない。 71 (傷害による)疾病休業を伴った自己報告である作業関連の健康問題(欧 州労働力調査、2013 年)を持った労働者の割合(%)は、左欄の棒グラ フのとおりである。 方法論の問題により、ドイツは除外されているので、その結果として EU28 カ国のデータは、この目的のためには利用できない。 72 ○Sources(資料出所) 英語原文 日本語仮訳 The Labour Force Survey (LFS) 労働力調査(略称:LFS) The LFS is a national survey run by the Office for National Statistics. 労働力調査は、国家統計局によって実施されている全国調査である。現在では、 Currently around 38,000 households are surveyed each quarter. HSE おおよそ 38,000 の事業所が四半期ごとに調査される。安全衛生庁は、労働力 commissions annual questions in the LFS to gain a view of self-reported 調査に対して、個人の申告に基づく自己報告された作業関連疾患及び作業傷害 work-related illness and workplace injury based on individuals’ の状況を知るために、毎年質問をしている。これらのデータの分析及び説明は、 perceptions. The analysis and interpretation of these data are the sole 安全衛生庁のみの責任である。 responsibility of HSE. The Reporting of Injuries, Diseases and Dangerous Occurrences 負傷、疾病及び危険事象の報告に関する規則(略称:RIDDOR) Regulations (RIDDOR) Requirements under which fatal, over-seven-day and specified non-fatal 致死的、7 日を超える、及び労働者に対する特定の非致死的傷害が、使用者に injuries to workers are reported by employers よって報告されることを要求する規則 Specialist physician and general practitioner reporting (THOR and 専門の内科医及び一般開業医の報告(略称:THOR and THOR-GP) THOR-GP) Cases of work-related respiratory and skin disease are reported by 作業関連の呼吸器及び皮膚疾患の症例が、保健及び職業研究ネットワーク specialist physicians within The Health and Occupation Research network (THOR)の内部で、専門の内科医によって報告され、及びあらゆる種類の作 (THOR), and cases of any type of work-related ill health are reported by 業関連疾患が、THOR-GP スキームの内部で一般開業医によって報告される。 general practitioners within the THOR-GP scheme Death Certificates 死亡証明書 Some occupational lung diseases, including the asbestos-related diseases 石綿関連疾患である中皮腫及び石綿肺を含めて、ある種の職業性肺疾患は、死 73 mesothelioma and asbestosis, can be identified from the recorded cause of 亡の記録された原因から特定できる。 death Enforcement 施行 The enforcing authorities are HSE, local authorities and, in Scotland, The 施行機関は、安全衛生庁、地方自治体及びスコットランドでは王立事務所及び Crown Office and Procurator Fiscal Service (COPFS). 地方検察官事務所(略称:COPFS)である。 In Scotland, HSE and local authorities investigate potential offences but スコットランドでは、安全衛生庁及び地方自治体は、犯罪の嫌疑を捜査するが、 cannot institute legal proceedings and the COPFS makes the final decision 起訴手続きは行えない、そして王立事務所及び地方検察官事務所(略称: on whether to institute legal proceedings and which offences are taken. COPFS)が起訴すべきかどうかに関して、そしてどの違反を提起するかについ て最終的な決定を行う。 HSE Costs to Britain Model 安全衛生庁のブリテンコストモデル Developed to estimate the economic costs of injury and new cases of ill 多くは現在の労働条件から生ずる負傷及び新規の疾患の症例の経済的コスト health arising largely from current working conditions. を見積もるために開発された。 The economic cost estimate includes both financial and human costs. 経済的コストは、財政的及び人的の両方のコストを含んでいる。 Eurostat ユーロスタート Eurostat (the statistical section of the European Commission) publishes ユーロスタート(欧州委員会の統計部門)は、職場での死亡災害に関するデー data on fatal accidents at work. The fatalities are standardised to take タを公表している。死亡災害は、欧州連合加盟各国を通じて雇用の異なる産業 account of the different industrial structure of employment across 構造を考慮するために標準化されている。 European Union member states. European Labour Force Survey (EU-LFS) 欧州労働力調査(EU-LFS) A large household survey carried out in the Member States of the European 大規模な事業所調査が、欧州連合の加盟国で実施された。2013 年には、欧州 Union. In 2013 the EU-LFS included an ad-hoc module asking about 労働力調査は、過去 12 カ月における職場での災害及び作業関連健康問題に関 74 accidents at work and work-related health problems in the previous 12 して質問する臨時のモジュールを含んでいた。 months. More information about our data sources can be found at 我 々 の デ ー タ ソ ー ス に 関 す る さ ら な る 情 報 は 、 www.hse.gov.uk/statistics/sources.htm www.hse.gov.uk/statistics/sources.htm 75 で見出される。 ○Definitions(定義) 英語原文 日本語仮訳 Rate per 100,000 10 万人当たりの発生率 The number of annual injuries or cases of ill health per 100,000 employees 年間の被雇用者又は労働者 10 万人当たりの傷害又は疾患の症例の数 or workers, either overall or for a particular industry. 95% confidence Interval 95%信頼性期間 The range of values which we are 95% confident contains the true value, 我々が 95%の信頼性があるとしている価値の範囲は、バイアスなしで真値を in the absence of bias. This reflects the potential error that results from 含んでいる。これは、全体の人口よりはサンプルを調査することから生ずる潜 surveying a sample rather than the entire population. 在的な誤差を反映している。 Statistical Significance 統計的有意性 A difference between two sample estimates is described as ‘statistically significant’ if there is a less than 5% chance that it is due to sampling error 評価されている二つのサンプルの間の差は、もしもサンプリングの誤差のみに よる 5%以下の確率であれば、「統計的に有意である」と評価される。 alone. Standard Industrial Classification (SIC) 標準産業分類(SIC) The system used in UK official statistics for classifying business by the 従事している活動のタイプによる事業の分類のための連合王国公式統計にお type of activity they are engaged in. The current version is SIC 2007. いて用いられるシステム Industry estimates presented here are at SIC Section level. National Statistics 国家統計 The LFS, RIDDOR, deaths from occupational lung disease, THOR, こ の 報 告 に お け る “ The LFS, RIDDOR, deaths from occupational lung enforcement and Costs to Britain figures in this report are National disease, THOR, enforcement and Costs to Britain figures”は、国家統計で Statistics. ある。 76 National Statistics are produced to high professional standards set out in 国家統計は、実践国家統計コードで設定されている高度の専門的な標準に沿っ the National Statistics Code of Practice. て作成されている。 They undergo regular quality assurance reviews to ensure that they meet これらは、その利用者の必要性に応ずることを保障するために、定期的に品質 customer needs. They are produced free from any political interference. 保障のために再評価される。これらは、政治的な影響なしに生み出される。 HSE Chief 安全衛生庁主席統計官 Statistician Alan Spence Contact アラン [email protected] Last updated Next update スペンス 連絡先:[email protected] November 2016 更新 October 2017 2016 年 11 月 次の更新 2017 年 10 月 Resources 資料出所 More information about our data sources can be found at 我々のデータソースは、次で見い出すことができる 。 www.hse.gov.uk/statistics/sources.htm HSE’s statistics revisions policy www.hse.gov.uk/statistics/sources.htm can be seen at 安全衛生庁の統計改訂政策は、次で知ることができる。 http://www.hse.gov.uk/statistics/about/revisions/index.htm http://www.hse.gov.uk/statistics/about/revisions/index.htm Additional data tables can be found at 追加的なデータ表は、次で見い出すことができる。 www.hse.gov.uk/statistics/tables/ www.hse.gov.uk/statistics/tables/ For information regarding the quality guidelines used for statistics within HSE 内での統計のため用いられている品質ガイドラインに関する情報は、次 HSE をみられたい。 77 See www.hse.gov.uk/statistics/about/quality-guidelines.htm www.hse.gov.uk/statistics/about/quality-guidelines.htm 78 Ⅳ 1 英国における労働安全衛生関係法令の概要 歴史的背景 (1)労働と災害や職業性疾病の歴史を振り返ると、史料として整理されたものがあるかどうかは別として、数千年前から築かれてきたエジプトのピラミッ ドや古代中国の巨大な王墓等の建設工事においては、幾多の墜落、転落、崩壊等の死傷災害や事故が発生していたであろうし、職業病については、史料と して残されているものとして、医学の始祖と言われているヒポクラテス(Hippocrates、BC460 ごろ~370 ごろ)が記録した鉱山作業従事者と金属加工業従 事者にみられた鉛中毒等、さらには日本の天平年間(AD743 年ごろ)における大仏鋳造の際に発症した水銀中毒、佐渡金山でみられたじん肺症等、また、 17 世紀から 18 世紀にかけてイタリアで活動し、 「働く人々の病気」を著したベルナルデイノ・ラマチーニが記述した鉱山労働者の病気等にみられるように、 18 世紀の産業革命に至る前の時代には、労働に伴う災害、事故、職業病等やこれらの防止については、歴史的には、労働に伴う負の経験が先行し、事後的 にこれらの防止対策が講じられてきたといえよう。 (2) その次の時代として、18 世紀ヨーロッパでの産業革命以後特に顕在化してきた労働災害に対応するために、法令により事業者に対して、労働災害を防 止するための措置が義務付けられた。その嚆矢は、19 世紀前半に英国で制定された一連の「工場法」 (Factory Acts)であって、当初は、綿紡績工場で働く 10 歳代の若年労働者の労働時間、衛生状態等を規制するものであったが、徐々に工場における労働災害を防止する規則が制定、施行され、産業の発展とと もに労働災害が多発したことを踏まえて、これらの労働安全衛生に関する規則は、拡充されていった。これらは、 「法規遵守型」と称される労働災害防止対 策であり、事業者に法的な義務として、一定の労働災害防止措置を講ずることについて罰則をもって強制するものであった。このことは、事業者による労 働災害防止対策を定着させるという大きな効果があった反面、安全衛生関係法令が膨大で、細分化され過ぎ、事業者の責任や自主的、自発的な取組みが軽 視される傾向をもたらすとともに、技術革新への迅速な対応をしにくくしたという側面がある。 (3) その次の時代には、上記(2)のような反省に立って、 ① 自主的対応型であること、 ② 法律では原則的な規定を置き、それを補完するものとして、規則や実施準則等を設けること、 等を基本とした労働安全衛生対策が導入されることになった。この代表的な例が、1970~1972 年の調査結果に基づき 1972 年に公表されたイギリスのロー ベンス報告(Report of the Committee1970-72, 委員長 Lord Robens (ローベンス卿))及びこの報告に基づき 1974 年に制定・施行されたイギリスの「職場 79 における保健安全等に関する法律」 (Health and Safety at Work etc. Act 1974。略称「HSWA」)並びにイギリスの安全衛生関係行政組織としての保健安全 委員会(Health and Safety Commission: 略称 HSC)及び HSC のリーダーシップの下での執行機関としての保健安全庁(Health and Safety Executive: 略 称 HSE)の設置とその活動の開始が挙げられる(これらに関しては、後述する。)。また、2008 年の HSWA の改正(職場における保健安全行政のより効率 的な執行を狙いとする法的な制度改正)によって、従来あった HSC と HSE はいったん廃止されて、その安全衛生行政機構は、統合された HSE に一本化 された。 2 1970 年のローベンス報告の概要 1972 年6月にイギリスの雇用省に提出された報告「Safety and Health at Work」 (労働における安全と健康)で、 「第1章 を初めとして、 「第4章 新しい法令の枠組み」、 「第5章 現システムのどこが悪いのか?」 新しい立法の形態と内容」等の報告の中で、イギリスの工場法以来の労働安全衛生システムの問 題点等にメスを入れるとともに、これらの改善方策を提言した。 この提言の要点は、次のとおりである。 ・ 安全衛生問題を所管するあまりにも細分化された行政組織(8 つの省庁に分かれていた。) ・ 膨大で細分化されすぎた関係法令(8 つの法律、500 以上にものぼる規則類) ・ 細分化された法律、規則に依拠し過ぎて、事業者の責任や自主性、自発的な取組みが軽視される結果となっていたこと。 ・ 細分化され過ぎた行政組織、法令等が要因となって、人的、組織的な要因等が十分には考慮されず、技術革新への速やかな対応ができるシステムにな っていないこと。 3 1972 年の HSWA の制定及び同法の概要 (1)このローベンス報告を踏まえて、1974 年に「Health and Safety at Work etc. Act 1974」(職場における保健安全法)が制定され、統合された行政組 織として、 「Health and Safety Commission」 (「保健安全委員会」。略称「HSC」)及び HSC のリーダーシップの下での執行機関としての「Health and Safety Executive」(「保健安全庁」。略称「HSE」)が発足した。 その基本的考え方としては、①自主的対応型であること、②法律では原則的な規定を置き、それを補完するものとして、規則(Regulations)、指針(Guidance)、 HSC が承認した実施準則(Approved Code of Practice。以下「ACOP」という。)等が設けられていること、等が特徴的なことであるとされている。 80 (2)職場における保健安全法の概要は、次のとおりであるが、同法のうち最も重要な第 2 条から第 7 条までの規定を、英語原文と日本語仮訳の対訳として、 次の別記 1 に記載した。また、同法の内容の全体(目次。ただし、Schedules(別表)は除く。)は、次の別記 2 のとおりである。 ア 「事業者が労働者に対して負う一般的な義務」 (同法第 2 条)の内容として、 「就業中の安全、衛生、福祉」、 「安全であり健康への危険のない機械設備」、 「物品、物質の使用、操作、貯蔵並びに輸送に関連した安全と危険の除去」等が規定されている。但し、そのいずれも「合理的に実行可能な限りにおいて」 (so far as is reasonably practicable)との限定が付されている。 なお、この「合理的に実行可能な限りにおいて」(so far as is reasonably practicable)との限定に関しては、イギリスの労働安全衛生関係の法体系との関 連において、次のようなものと理解する必要がある。 ⅰ イギリスの職場における保健安全法体系においても、合理的に実行可能な限り、法律の規定が遵守されるべきことは当然であるが、規則(Regulations) も当然遵守されなければならない。この場合において、これらの法令違反に関する訴訟が提起されたときは、被告(事業者)は、これらの法令で規定され ている義務又は要件を満たすために実際に行われたこと以外は実行不可能であったか、又はこれらの法令で規定されている措置が合理的に実行不可能であ り、若しくは実際に行われていたこと以上の最良の手段がなかったことを証明する義務がある(同法第 40 条)。 ⅱ 指針(Guidance)、承認実施準則(ACOP)等については、事業者(使用者)は、遵守することは強制されないが、もし、これらの指針(Guidance) 又は承認実施準則(ACOP)が遵守されていない状況の下で災害が発生した場合には、事業者は、他の方法によってこれらの指針又は承認実施準則と同等 以上の防止対策を講じていたことを証明しない限り、責任を問われることになる。特に、承認実施準則(ACOP)については、職場における保健安全法第 17 条においては、刑事訴訟における承認実施準則(ACOP)の適用に関して、事業者が他の方法で同等以上の措置を講じていたことを証明しない限り、この承認 実施準則(ACOP)が刑罰法規としての効力を有する旨の規定が置かれている。 ⅲ これらの指針(Guidance)、承認実施準則(ACOP)等については、多様な分野で、たくさんのものがあって、HSE の Website からダウンロードでき る形、HSE の Book Store から有料で入手できる形等で公開されている。これらについて、主要なものを例示的に示すことは難しく、次に関連する Website を掲げるので、アクセスされることをお勧めする。 ① HSE Guidance; http://www.hse.gov.uk/guidance/index.htm 81 HSC が承認した実施準則(Approved Code of Practice ACOP) ② テーマごとに選択して、それぞれの Website にアクセスすれば、入手できる。次に、いくつかの例を示す。 The Control of Substances Hazardous to Health Regulations 2002 (as amended) The Control of Substances Hazardous to Health Regulations 2002, Approved Code of Practice and guidance http://www.hse.gov.uk/pubns/books/l5.htm Managing and working with asbestos Control of Asbestos Regulations 2012. Approved Code of Practice and guidance: http://www.hse.gov.uk/pubns/books/l143.htm 上記アに規定されている法的義務の違反に対しては、罰則が適用される。たとえば、同法第 2 条から第 6 条までの違反については、2008 年改正後の同 イ 法の別表第 3 A に次のとおり規定されているように、罰則が適用される。 違反の条項 略式裁判による場合 正式裁判による場合 ある者が第 2 条から第 6 条までの義務の履行を 12 カ月を超えない禁固若しくは 20000 ポンドを超え 2 年を超えない禁固若しくは罰金(上限のない判 怠ったことによる第 33 条第 1 項(a)の違反 ない罰金又はこれらの両方が併科される。 決によって定められる。) 又はこれらの両方が併 科される。 ある者が第 7 条の義務の履行を怠ったことによ 12 カ月を超えない禁固若しくは法定の限度を超えな 2 年を超えない禁固若しくは罰金(上限のない判 る第 33 条第 1 項(a)の違反 い罰金又はこれらの両方が併科される。 決によって定められる。) 又はこれらの両方が併 科される。 ウ このようなイギリスの職場における保健安全対策は、国際労働機関(ILO)や欧州連合(EU)を中心とするヨーロッパ諸国での安全衛生対策にも大 82 きな影響を与えた。 別記 1 (これらの原典(HSWA の最新の条文)は、http://www.legislation.gov.uk/ukpga/1974/37/contents からダウンロードできる。 英語原文 日本語仮訳 2 General duties of employers to their employees. 2 (1)It shall be the duty of every employer to ensure, so far as is reasonably (1) 雇用者は、合理的に実行可能な限りにおいて、その全ての従業員の就労中 practicable, the health, safety and welfare at work of all his employees. の衛生、安全、及び福利厚生を実現する義務を負うものとする。 (2)Without prejudice to the generality of an employer’s duty under the (2) 上の項目における雇用者の義務の一般性を損なうことなく、この義務が適 preceding subsection, the matters to which that duty extends include in 用される事項には特に以下が含まれる。即ち、 雇用者の従業員に対する一般的な義務 particular— (a)the provision and maintenance of plant and systems of work that are, (a) 合理的に実行可能な限りにおいて、安全であり健康への危険のない機械設 so far as is reasonably practicable, safe and without risks to health; 備及び労働システムに関する規則とその維持。 (b)arrangements for ensuring, so far as is reasonably practicable, safety (b) 合理的に実行可能な限りにおいて、物品及び物質の使用、操作、貯蔵及び and absence of risks to health in connection with the use, handling, 輸送に関連した安全と危険の除去を実現するための取り決め。 storage and transport of articles and substances; (c)the provision of such information, instruction, training and supervision (c) 従業員の就労中の衛生・安全を、合理的に実行可能な限りにおいて確保す as is necessary to ensure, so far as is reasonably practicable, the health るために必要な情報、指示、訓練及び監視に関する規定。 and safety at work of his employees; (d)so far as is reasonably practicable as regards any place of work under (d) 合理的に実行可能な限りにおいて、雇用者の管理下にある労働の場及びそ the employer’s control, the maintenance of it in a condition that is safe の維持が安全であり健康への危険のない状態にあること、及びこうした場所へ and without risks to health and the provision and maintenance of means の出入りを安全かつ健康への危険のないものとするための規則とその維持。 83 of access to and egress from it that are safe and without such risks; (e) the provision and maintenance of a working environment for his (e) 従業員の労働環境が、合理的に実行可能な限りにおいて、安全かつ健康へ employees that is, so far as is reasonably practicable, safe, without risks の危険を持たず、また、施設面で適切なものとするための規則とその維持及び to health, and adequate as regards facilities and arrangements for their 就労中の福利厚生に関する取り決め。 welfare at work. (3)Except in such cases as may be prescribed, it shall be the duty of (3) 別に定められている場合を除き、全ての雇用者はその従業員の就労中の every employer to prepare and as often as may be appropriate revise a 衛生・安全に関する一般的方針及びこうした方針を遂行するために差し当たっ written statement of his general policy with respect to the health and て実施されている機構及び取り決めを内規として作成し、また、適切と思われ safety at work of his employees and the organisation and arrangements る頻度でこれを改訂し、こうした内規及びその改訂を全ての従業員に知らしめ for the time being in force for carrying out that policy, and to bring the る義務を負うものとする。 statement and any revision of it to the notice of all of his employees. (4)Regulations made by the Secretary of State may provide for the (4) 所轄大臣によって作成される規定では、別に定められた場合について(当 appointment in prescribed cases by recognised trade unions (within the 該規定の意味するところにより)認定された労働組合が、従業員の中から安全 meaning of the regulations) of safety representatives from amongst the 代表者を任命することができ、また、こうした代表者は以下の項目(6)により employees, and those representatives shall represent the employees in 雇用者と協議の上で従業員を代表しまた別に定められた他の機能を持つもの consultations with the employers under subsection (6) below and shall とする。 have such other functions as may be prescribed. (5) (repealed) (5) (廃止) (6)It shall be the duty of every employer to consult any such (6) 全ての雇用者は、労使が効率的に協力することによって就労中の従業員の representatives with a view to the making and maintenance of 衛生・安全の確保手段を促進、開発し、また、こうした手段の有効性を検査す arrangements which will enable him and his employees to co-operate るため協定の作成及び維持を目的として、こうした代表者と協議する義務を負 84 effectively in promoting and developing measures to ensure the health うものとする。 and safety at work of the employees, and in checking the effectiveness of such measures. (7)In such cases as may be prescribed it shall be the duty of every (7) 別に定められた場合について、全ての雇用者は上の項目(4)に言及された安 employer, if requested to do so by the safety representatives mentioned in 全代表者から要請があった場合、所轄大臣の作成する規定に応じて安全委員会 subsection (4) above, to establish, in accordance with regulations made by を設置し、就労中の従業員の安全・衛生の確保手段を検討する機能及び別に定 the Secretary of State, a safety committee having the function of keeping められたこうした他の機能を持たせる義務を負うものとする。 under review the measures taken to ensure the health and safety at work of his employees and such other functions as may be prescribed. 3 General duties of employers and self-employed to persons other than 3 従業員以外の者に対する雇用者及び自営業者の一般的な義務 their employees. (1)It shall be the duty of every employer to conduct his undertaking in (1) 全ての雇用者は、合理的に実行可能な限りにおいて、その企業によって影 such a way as to ensure, so far as is reasonably practicable, that persons 響を受けるその雇用する以外の者が、これによってその健康又は安全に危険が not in his employment who may be affected thereby are not thereby 及ばないように、その企業を運営する義務を負うものとする。 exposed to risks to their health or safety. (2)It shall be the duty of every self-employed person to conduct his (2) 全ての自営業者は、合理的に実行可能な限りにおいて、その企業によって undertaking in such a way as to ensure, so far as is reasonably 影響を受ける自ら及びそれ以外の者(従業員ではない者)が、これによってその practicable, that he and other persons (not being his employees) who may 健康又は安全に危険が及ばないように、その企業を運営する義務を負うものと be affected thereby are not thereby exposed to risks to their health or する。 safety. (3)In such cases as may be prescribed, it shall be the duty of every (3) 別に定められた場合について、全ての雇用者及び自営業者は、別に定めら 85 employer and every self-employed person, in the prescribed れた状況及び別に定められた方法により、自らの企業の遂行の様態によって影 circumstances and in the prescribed manner, to give to persons (not being 響を受ける者(従業員ではない者)に対して、その企業の遂行が健康又は安全 his employees) who may be affected by the way in which he conducts his に如何なる影響を及ぼすかについて別に定められた情報を提供する義務を負 undertaking the prescribed information about such aspects of the way in うものとする。 which he conducts his undertaking as might affect their health or safety. 4 General duties of persons concerned with premises to persons other 4 施設に関係する者が、従業員以外の者に対して負う一般的な義務 than their employees. (1)This section has effect for imposing on persons duties in relation to (1) 本条は、以下の人々に対して関わりを有する者に義務を負わせるものであ those who— る。即ち、 (a)are not their employees; but (a) その従業員でない者。但し、 (b)use non-domestic premises made available to them as a place of work (b) 仕事場、あるいはそこで使用するために供給された機械設備又は物質を使 or as a place where they may use plant or substances provided for their 用するための場所として、非居住用の施設を利用している者。 use there, And applies to premises so made available and other non-domestic さらに本条は、こうした施設及びこれに関連して用いられている他の非居住用 premises used in connection with them. 施設に対して適用される。 (2)It shall be the duty of each person who has, to any extent, control of (2)本条が適用される施設、又はその出入りの手段、あるいはこうした施設内 premises to which this section applies or of the means of access thereto or の機械設備又は物質の管理者は、管理の程度を問わず、全ての施設、その施設 egress therefrom or of any plant or substance in such premises to take を使用する者によるそこへの全ての出入りの手段、施設内にある、又は場合に such measures as it is reasonable for a person in his position to take to よってはそこで利用するために供給された機械設備又は物質が、安全であり健 ensure, so far as is reasonably practicable, that the premises, all means of 康への危険を持たないようにするための手段を、合理的に実行可能であり、か access thereto or egress therefrom available for use by persons using the つ、その立場の者にとって妥当な限りにおいて取る義務を負うものとする。 86 premises, and any plant or substance in the premises or, as the case may be, provided for use there, is or are safe and without risks to health. (3)Where a person has, by virtue of any contract or tenancy, an obligation (3) 契約又は借用により、以下に関して何らかの義務を有する者、即ち、 of any extent in relation to— (a)the maintenance or repair of any premises to which this section applies (a) 本条が適用される施設、あるいはそこへの出入りの手段の維持又は修理。 or any means of access thereto or egress therefrom; or (b)the safety of or the absence of risks to health arising from plant or (b) こうした施設内の機械設備又は物質から生ずる衛生への危険の除去又は substances in any such premises; that person shall be treated, for the 安全性。 purposes of subsection (2) above, as being a person who has control of the こうした者は、上の項目(2)の目的のため、その義務の及ぶ事項を管理してい matters to which his obligation extends. る者として扱われるものとする。 (4)Any reference in this section to a person having control of any premises (4) 本条において施設又は事項の管理者とされる者は、その取引、事業、又は or matter is a reference to a person having control of the premises or 他の企業(営利的であるか非営利的であるかを問わず)の運営と関連した施設 matter in connection with the carrying on by him of a trade, business or 又は事項を管理している者を指す。 other undertaking (whether for profit or not). 5 General duty of persons in control of certain premises in relation to 5 大気中への有害な排出物と関連したある種の施設を管理している者の一般 harmful emissions into atmosphere.(omitted) 的な義務 6 General duties of manufacturers etc. as regards articles and substances 6 (省略) 労働に用いられる物品又は物質に関わる製造者の一般的な義務 for use at work. (1)It shall be the duty of any person who designs, manufactures, imports (1) 労働に用いられる物品を設計、製造、輸入、又は供給する者は、以下の義 or supplies any article for use at work or any article of fairground 務を負うものとする。即ち、 87 equipment— (a)to ensure, so far as is reasonably practicable, that the article is so (a) 合理的に実行可能な限りにおいて、こうした設計又は製造による物品が適 designed and constructed that it will be safe and without risks to health 切に使用された場合、安全であり衛生への危険を持たないようにすること。 at all times when it is being set, used, cleaned or maintained by a person at work; (b)to carry out or arrange for the carrying out of such testing and (b) 前述の規定によって課された義務の遂行に必要となる試験及び検査を実 examination as may be necessary for the performance of the duty imposed 行するか、あるいは実行のための手配を行うこと。 on him by the preceding paragraph; (c)to take such steps as are necessary to secure that persons supplied by (c) 労働に用いられる物品に関して、設計及び試験を経たその使用法及びその that person with the article are provided with adequate information 使用時の安全と衛生への危険除去に必要な条件についての十分な情報が得ら about the use for which the article is designed or has been tested and れるように、パラグラフ(a)で言及されたとき及びその物品が撤去され、又は about any conditions necessary to ensure that it will be safe and without 廃棄されるときに、必要な手段を取ること。そして、 risks to health at all such times as are mentioned in paragraph (a) above and when it is being dismantled or disposed of; and (d)to take such steps as are necessary to secure, so far as is reasonably (d)合理的に実行可能な限りにおいて、前項の規定により、提供された情報の practicable, that persons so supplied are provided with all such revisions 全ての変更がいったん情報を提供された者に確実に提供されるために必要な of information provided to them by virtue of the preceding paragraph as 手段を取ること。これは、どんなものでも健康及び安全に対して深刻な危険を are necessary by reason of its becoming known that anything gives rise to もたらすことが知られるようになったため、必要とされるものである。 a serious risk to health or safety. (1A)It shall be the duty of any person who designs, manufactures, imports (1A) or supplies any article of fairground equipment— 又は供給する全ての者の義務である。 88 次のことは、博覧会場における施設のあらゆる物品を設計し、輸入し、 (a)to ensure, so far as is reasonably practicable, that the article is so (a) designed and constructed that it will be safe and without risks to health ために、又はその催しと関連して、使用される場合はいずれのときにおいても、 at all times when it is being used for or in connection with the 安全であり、健康に危険をもたらさないように確実に設計され、及び建設され entertainment of members of the public; ること。 (b)to carry out or arrange for the carrying out of such testing and (b) 前項の規定によって課せられた義務を履行するために必要となるかもし examination as may be necessary for the performance of the duty imposed れない試験や検査を実行し、又はそのための手配をすること。 on him by the preceding paragraph; (c)物品を供給された者が、その物品が設計され、検査された使用方法に関し (c)to take such steps as are necessary to secure that persons supplied by て、また、一般人のための催しのために、又はその催しと関連して、使用され that person with the article are provided with adequate information る場合はいずれのときにおいても、確実に安全であり、健康に危険をもたらさ about the use for which the article is designed or has been tested and ないようにするために必要なあらゆる条件に関して、十分な情報が確実に提供 about any conditions necessary to ensure that it will be safe and without されるようにするために必要な手段を講ずること、そして、 合理的に実行可能な限りにおいて、その物品が、一般人のための催しの risks to health at all times when it is being used for or in connection with the entertainment of members of the public; and (d)to take such steps as are necessary to secure, so far as is reasonably (d) 合理的に実行可能な限りにおいて、前項の規定により、提供された情報の practicable, that persons so supplied are provided with all such revisions 全ての変更がいったん情報を提供された者に確実に提供されるために必要な of information provided to them by virtue of the preceding paragraph as 手段を講ずること。これは、どんなものでも健康及び安全に対して深刻な危険 are necessary by reason of its becoming known that anything gives rise to をもたらすことが知られるようになったため、必要とされるものである。 a serious risk to health or safety. (2)It shall be the duty of any person who undertakes the design or (2) 労働に用いられる物品の設計又は製造に携わる者は、当該設計又は物品に manufacture of any article for use at work or of any article of fairground 起因する衛生又は安全への危険を発見し、さらに合理的に実行可能な限りにお equipment to carry out or arrange for the carrying out of any necessary いて、これを除去するか、あるいは最低限に抑えるために必要な研究を実行す 89 research with a view to the discovery and, so far as is reasonably るか、あるいは実行のための手配を行う義務を負うものとする。 practicable, the elimination or minimisation of any risks to health or safety to which the design or article may give rise. (3)It shall be the duty of any person who erects or installs any article for (3)その物品が就労中の者により用いられる場所におけるあらゆる建物内で労 use at work in any premises where that article is to be used by persons at 働に用いられる物品を、組み立て、若しくは設置する者又は博覧会の装置を組 work or who erects or installs any article of fairground equipment to み立て、又は設置する者は、合理的に実行可能な限りにおいて、上記の第 1 ensure, so far as is reasonably practicable, that nothing about the way in 項のパラグラフ(a)又は第 1 項のパラグラフ(a)又は(1A)で言及されたいかなる which the article is erected or installed makes it unsafe or a risk to health ときにも、その物品が組み立てられ、又は設置されている際に、不安全又は健 at any such time as is mentioned in paragraph (a) of subsection (1) or, as 康に対するリスクが確かにないようにする義務がある。 the case may be, in paragraph (a) of subsection (1) or (1A) above. (4)It shall be the duty of any person who manufactures, imports or (4) 労働に用いられる物質を製造、輸入、又は供給する者は、以下の義務を負 supplies any substance— うものとする。即ち、 (a) (a) 合理的に実行可能な限りにおいて、当該物質が、就業中の者によって、又 to ensure, so far as is reasonably practicable, that the substance will be safe and without risks to health at all times when it is being used, は上記の第 4 項が適用される建物の内部で、使用され、取り扱われ、処理され、 handled, processed, stored or transported by a person at work or in 貯蔵され、又は輸送された場合に、それが確実に安全であり、衛生への危険が premises to which section 4 above applies; ないようにすること。 (b)to carry out or arrange for the carrying out of such testing and (b) 上記の規定によって課された義務の遂行に必要となる試験及び検査を実 examination as may be necessary for the performance of the duty imposed 行するか、あるいはその実行のための手配を行うこと。 on him by the preceding paragraph (c)to take such steps as are necessary to secure that persons supplied by (c)その者によって物質を供給された者が、その物質の固有の性質がもたらす that person with the substance are provided with adequate information かもしれない健康又は安全に対するリスクに関する十分な、実施された関連す 90 about any risks to health or safety to which the inherent properties of the るあらゆる検査の結果又はその物質と関連して上記のパラグラフ(a)で言及さ substance may give rise, about the results of any relevant tests which れた全てのとき及びその物質が排気された場合に、確実に安全であり、及び健 have been carried out on or in connection with the substance and about 康に対するリスクがないようにするためのあらゆる条件について十分な情報 any conditions necessary to ensure that the substance will be safe and が提供されるようにするために必要な手段を取ること、そして、 without risks to health at all such times as are mentioned in paragraph (a) above and when the substance is being disposed of; and (d)to take such steps as are necessary to secure, so far as is reasonably (d) 合理的に実行可能な限りにおいて、前項の規定により、提供された情報の practicable, that persons so supplied are provided with all such revisions 全ての変更がいったん情報を提供された者に確実に提供されるために必要な of information provided to them by virtue of the preceding paragraph as 手段を講ずること。これは、どんなものでも健康及び安全に対して深刻な危険 are necessary by reason of its becoming known that anything gives rise to をもたらすことが知られるようになったため、必要とされるものである。 a serious risk to health or safety. (5)It shall be the duty of any person who undertakes the manufacture of (5) 物質の製造を行う者は、上記のパラグラフ(a)及び第 4 条で言及されている any substance to carry out or arrange for the carrying out of any すべてのときに、その物質がもたらすかもしれない健康又は安全に対するあら necessary research with a view to the discovery and, so far as is ゆるリスクを除去し、又は最小化するその物質に起因する衛生又は安全への危 reasonable practicable, the elimination or minimisation of any risks to 険を発見し、さらに合理的に実行可能な限りにおいて、これを除去するか、あ health or safety to which the substance may give rise at all such times as るいは最低限に抑えるために必要な研究を実行するか、あるいはその実行のた are mentioned in paragraph (a) of subsection (4) above. めの手配を行う義務を負うものとする。 (6)Nothing in the preceding provisions of this section shall be taken to (6) 本条の上記の規定では、ある者又はその依頼によって行われたわけでは require a person to repeat any testing, examination or research which has ない試験、検査、又は研究の結果を、当該規定の目的のためにその者が用いる been carried out otherwise than by him or at his instance, in so far as it is ことが合理的である場合、これらを繰り返すことを求めるものとは解釈されな 91 reasonable for him to rely on the results thereof for the purposes of those いものとする。 provisions. (7)Any duty imposed on any person by any of the preceding provisions of (7) 本条の上記の規定により、ある者に課せられる義務は、その者によって遂 this section shall extend only to things done in the course of a trade, 行される取引、事業、あるいは他の企業(営利的であるか非営利的であるかを business or other undertaking carried on by him (whether for profit or 問わず) 、又はその管理下にある事項の途上において成された物事に限られる not) and to matters within his control. ものとする。 (8)Where a person designs, manufactures, imports or supplies an article (8) ある者が職場での使用のための物品又は博覧会での設備を設計、製造、輸 for use at work or an article of fairground equipment and does so for or to 入、又は供給し、後者の文書による約束に基づき、当該物品が使用された上記 another on the basis of a written undertaking by that other to take の項目(1)の(a)又は上記の第 1 項のパラグラフ(a)又は(1A)における場合のすべ specified steps sufficient to ensure, so far as is reasonably practicable, てのときに安全であり、また、健康への危険をなくするための十分かつ特定の that the article will be safe and without risks to health at all such times 手段を、合理的に実行可能な限りにおいて取っている場合、約束という表現が as are mentioned in paragraph (a) of subsection (1) or, as the case may be, 合理的に意味する限りにおいて、当該約束は、その課せられる義務を、前者か in paragraph (a) of subsection (1) or (1A) above, the undertaking shall ら免除する効力を持つものとする。 have the effect of relieving the first-mentioned person from the duty imposed by virtue of that paragraph to such extent as is reasonable having regard to the terms of the undertaking. (8A)Nothing in subsection (7) or (8) above shall relieve any person who (8A)上記の(7)項又は(8)項においては、いかなる物品及び物質を輸入す imports any article or substance from any duty in respect of anything る者の次のような義務を何ら軽減するものではない。 which— (a)in the case of an article designed outside the United Kingdom, was (a)連合王国外で設計されたある物品が輸入され、取引、専門家による又は他 done by and in the course of any trade, profession or other undertaking の約束が実施される途上にあるか、管理できる範囲内にある場合には、その物 92 carried on by, or was within the control of, the person who designed the 品を設計した者、又は、 article; or (b) in the case of an article or substance manufactured outside the United (b)連合王国外で製造されたある物品又は物質が輸入され、取引、専門家によ Kingdom, was done by and in the course of any trade, profession or other る又は他の約束が実施される途上にあるか、管理できる範囲内にある場合に undertaking carried on by, or was within the control of, the person who は、その物品又は物質を製造した者 manufactured the article or substance. (9)Where a person (“the ostensible supplier”) supplies any article or (9) ある者(「見かけ上 (ostensible) の供給者」)が、分割払い購入契約、条 substance] to another (“the customer”) under a hire-purchase agreement, 件付き販売契約、又は信用販売契約により、別の者(「顧客」)のために、労働 conditional sale agreement or credit-sale agreement, and the ostensible に用いられる物品、あるいは労働に用いられる物質を供給しており、さらにこ supplier— の見かけ上の供給者が以下である場合、即ち、 (a)carries on the business of financing the acquisition of goods by others (a) こうした契約によって他者が財を取得するための資金提供を事業として by means of such agreements; and 営んでおり、 (b)in the course of that business acquired his interest in the article or (b) こうした事業の途上において、顧客が第三者(「実質(effective)供給者」) substance supplied to the customer as a means of financing its acquisition から物品又は物質を取得するための資金提供の手段として、顧客に納入された by the customer from a third person (“the effective supplier”), the 当該物品又は物質に対する利子を取得している場合、本条の目的のため、顧客 effective supplier and not the ostensible supplier shall be treated for the に物品又は物質を供給しているものとして扱われるのは見かけ上の供給者で purposes of this section as supplying the article or substance to the はなく実質供給者であり、したがって本条の上の規則が供給者に課する義務は customer, and any duty imposed by the preceding provisions of this 見かけ上の供給者ではなく、実質供給者に課せられるものとする。 section on suppliers shall accordingly fall on the effective supplier and not on the ostensible supplier. (10)For the purposes of this section an absence of safety or a risk to (10) 本条の目的のため、それが生じた場合又はそれが生じたことと関連して、 93 health shall be disregarded in so far as the case in or in relation to which 合理的に予見できなかったものであることが示された限りでは、そして、上記 it would arise is shown to be one the occurrence of which could not の第 1 項の(a)、(1A)の項又は第 4 項によって課されていたいずれの義務が reasonably be foreseen; and in determining whether any duty imposed by 履行されていたかどうかを判断する際に、注意は、その物品が設計され、製造 virtue of paragraph (a) of subsection (1), (1A) or (4) above has been され、輸入され、又は供給された者、又はあり得る場合としてその物質が製造 performed regard shall be had to any relevant information or advice され、輸入され、又は供給された者によって、誰かに提供された関連する情報 which has been provided to any person by the person by whom the article 又は助言であったとすれば、安全の欠如又は健康へのリスクは、無視されなけ has been designed, manufactured, imported or supplied or, as the case ればならない。 may be, by the person by whom the substance has been manufactured, imported or supplied 7 General duties of employees at work. 7 It shall be the duty of every employee while at work— 就労中の全ての従業員は、以下の義務を負うものとする。即ち、 (a)to take reasonable care for the health and safety of himself and of other (a) 自らの行為、又は職務上の不作為によって影響を受ける他の者及び自分自 persons who may be affected by his acts or omissions at work; and 身の衛生・安全に妥当な注意を払うこと。 (b)as regards any duty or requirement imposed on his employer or any (b) 関連法定規則のいずれかによって、あるいはその下でその雇用者あるいは other person by or under any of the relevant statutory provisions, to 他の者に課せられる何らかの義務又は要件について、こうした義務又は要件の co-operate with him so far as is necessary to enable that duty or 遂行、あるいは遵守に必要な範囲でこうした者に協力すること。 requirement to be performed or complied with. 94 就労中の従業員の一般的な義務 別記 2 HSWA の目次 Introductory Text. Part I Health, Safety and Welfare in connection with Work, and Control of Dangerous Substances and Certain Emissions into the Atmosphere Preliminary 1. Preliminary General duties 2. General duties of employers to their employees 3. General duties of employers and self-employed to persons other than their employees 4. General duties of persons concerned with premises to persons other than their employees 5. General duty of persons in control of certain premises in relation to harmful emissions into atmosphere 6. General duties of manufacturers etc. as regards articles and substances for use at work 7. General duties of employees at work 8. Duty not to interfere with or misuse things provided pursuant to certain provisions 9. Duty not to charge employees for things done or provided pursuant to certain specific requirements The Health and Safety Commission and the Health and Safety Executive 10. Establishment of the Executive 11. Functions of the Executive 12. Control of the Executive by the Secretary of State 13. Powers of the Executive 14. Power of the Commission to direct investigations and inquiries 95 Health and safety regulations and approved codes of practice 15. Health and safety regulations 16. Approval of codes of practice by the Executive 17. Use of approved codes of practice in criminal proceedings Enforcement 18. Authorities responsible for enforcement of the relevant statutory provisions 19. Appointment of inspectors 20. Powers of inspectors 21. Improvement notices 22. Prohibition notices 23. Provisions supplementary to ss. 21 and 22 24. Appeal against improvement or prohibition notice 25. Power to deal with cause of imminent danger 25A. Power of customs officer to detain articles and substances 26. Power of enforcing authorities to indemnify their inspectors Obtaining and disclosure of information 27. Obtaining of information by the Commission, the Executive, enforcing authorities etc 27A.Information communicated by Commissioners for Revenue and Customs 28. Restrictions on disclosure of information Special provisions relating to agriculture 29.(repealed) 96 30. Agricultural health and safety regulations.. 31, 32. (repealed) Provisions as to offences 33. Offences 34. Extension of time for bringing summary proceedings 35. Venue 36. Offences due to fault of other person 37. Offences by bodies corporate 38. Restrictions on institution of proceedings in England and Wales 39. Prosecutions by inspectors 40. Onus of proving limits of what is practicable etc 41. Evidence 42. Power of court to order cause of offence to be remedied or, in certain cases, forfeiture Financial provisions 43. Financial provisions 43A.Railway safety levy Miscellaneous and supplementary 44. Appeals in connection with licensing provisions in the relevant statutory provisions 45. Default powers 46. Service of notices 47. Civil liability 97 48. Application to Crown 49. Adaptation of enactments to metric units or appropriate metric units 50. Regulations under the relevant statutory provisions 51. Exclusion of application to domestic employment 51A. Application of Part to police 52. Meaning of work and at work 53. General interpretation of Part I 54. Application of Part I to Isles of Scilly....Collapse Part II The Employment Medical Advisory Service 55. Functions of, and responsibility for maintaining, employment medical advisory service 56. Functions of authority responsible for maintaining the service 57. Fees 58. Other financial provisions 59. Duty of responsible authority to keep accounts and to report 60. Supplementary...Collapse Part III Building Regulations, and Amendment of Building (Scotland) Act 1959 61, 62 (revealed) 63. Miscellaneous provisions as to the approval of plans 64—69 (revealed) 70. Power to make building regulations for Inner London.. 71—74 (revealed). 98 75. Amendment of Building (Scotland) Act 1959. . 76 .(revealed) Part IV Miscellaneous and General 77. Amendment of Radiological Protection Act 197 78. Amendment of Fire Precautions Act 1971 79 (revealed) 80. General power to repeal or modify Acts and instruments 81. Expenses and receipts 82. General provisions as to interpretation and regulations 83. Minor and consequential amendments, and repeals 84. Extent, and application of Act 85. Short title and commencement 4 2008 年の HSWA の改正 2006 年に英国議会に提案された法案は、法的及び規制改革に関する法律 2006 年(a)の第 2 章(section 2 of the Legislative and Regulatory Reform Act 2006(a) )として議会に提案され、その改正内容は、“the Health and Safety at Work etc. Act 1974”を改正して、グレートブリテンにおける保健及び安全 を規制する責務に任ずる行政機構を近代化するためのものであった。同法は、2008 年に議会を通過して成立し、議会からの授権によって、所管する国務大 臣の命令“ the Legislative Reform (Health and Safety Executive) Order 2008”として 2008 年 3 月 31 日に公布され、翌日の 2008 年 4 月 1 日から施行され た。この命令の主要な内容は、前述したとおり、従来あった HSC と HSE はいったん廃止されて、これらの安全衛生行政機構は、統合された HSE に一本 化された。 99 5 主要な Regulations について HSE が所管し、及び施行している法律(Acts owned and enforced by HSE;アルファベット順に表示されている。)については、次のウェブサイトか ら検索し、及びダウンロードすることができる。 http://www.hse.gov.uk/legislation/acts.htm “Statutory Instruments owned and enforced by HSE / local authorities ” また、HSE 又は地方自治体が所管し、及び施行している規則等については、 (ウェブサイトは、http://www.hse.gov.uk/legislation/statinstruments.htm ;アルファベット順に表示されている。)から検索し、及びダウンロードするこ とができる。 これらで検索し、及びダウンロードできる労働安全衛生関係法令は、数多いので、本稿では、これらのうち、リスクアセスメント、有害物管理及びアス ベスト対策に関係するものに限って、以下にこれらの概要を紹介する。 (1)職場での健康安全管理規則(Management of Health and Safety at Work Regulation 1992) (作成者注:この規則の原典は、http://www.legislation.gov.uk/uksi/1999/3242/made からダウンロードできる。) この規則は、EU の枠組み指令、中でもリスクアセスメントの実施をイギリス国内に取り入れることを目的として、1992 年に制定され、HSE が最も重 要視している規則の一つである。英国では、EU の労働安全衛生に関する枠組み指令(89/391/EEC (OJ No L 183, 29.6.89, p.1))の取り入れが法律では なく規則で対応され(ドイツでは法律で対応された。)、この枠組み指令とこの規則との適合性を一層向上させるために、その後 1999 年に改正されて今 日に至っている。 この規則は、全部で 30 か条及び 2 つの別表(Schedules)で構成され、その全体の条文の目次は、次の表のとおりである。 なお、この表中の section の No.は、作成者が参考のために付けたものである。これらの原文は、次のウェブサイトからダウンロードできるが、1999 年の制定時及び 2003 年の改正を統合化したバージョンは利用できないので、これらの個別の改正を併せて読む必要がある。) http://www.legislation.gov.uk/uksi/1999/3242/made (1999 年の制定時のバージョン) http://www.legislation.gov.uk/uksi/2003/2457/made (2003 年の改正) 100 Citation, commencement and interpretation Disapplication of these Regulations (section 1) (Section2) Risk assessment(section3) Principles of prevention to be applied (section4) Health and safety arrangements(section5) Health surveillance(section6) Health and safety assistance(section 7) Procedures for serious and imminent danger and for danger areas(section8) Contacts with external services(section9) Information for employees(section10) Co-operation and co-ordination(section11) Persons working in host employers' or self-employed persons' undertakings(section12) Capabilities and training(section13) Employees' duties(section14) Temporary workers(section15) Risk assessment in respect of new or expectant mothers(section16) Certificate from registered medical practitioner in respect of new or expectant mothers(section17) Notification by new or expectant mothers(section18) Protection of young persons(section19) Exemption certificates(section20) 101 Provisions as to liability(section21) Exclusion of civil liability(section22) Extension outside Great Britain(section23) Amendment of the Health and Safety (First-Aid) Regulations 1981(section24) Amendment of the Offshore Installations and Pipeline Works (First-Aid) Regulations 1989(section25) Amendment of the Mines Miscellaneous Health and Safety Provisions Regulations 1995(section26) Amendment of the Construction (Health, Safety and Welfare) Regulations 1996(section27) Regulations to have effect as health and safety regulations(section28) Revocations and consequential amendments(section29) Transitional provision(section30) 上記の表にあるとおり、定義等、リスクアセスメント、安全衛生対策、健康調査、安全衛生対策支援、重大・切迫した危険への処置手順、雇用労働者への 情報、協力と調整、混在作業、能力と訓練、雇用労働者の義務、等が規定されている。中でも、リスクアセスメントの実施については、(section2 でこの規 則の適用が除外されている船員、船上作業、家事労働従事者等を除いて)全ての雇用者に対して、 「事業所での活動によって影響を受ける全ての雇用労働者 及び公衆に対するリスクアセスメントを適切かつ十分に行う」ことを義務づけ、5人以上規模の事業所は、このリスクアセスメントの結果を記録しなけれ ばならないと規定した。 なお、実際のリスクアセスメントの実施方法、評価基準等については、関連する認証実施準則(approved code of practice)等が定められており、さらに、 HSE から中小零細事業者や軽工業の雇用者に対するリスクアセスメントの簡便な方法を紹介するガイドとして、A brief guide to controlling risks in the workplace(INDG163 (rev4):2014 年発行:http://www.hse.gov.uk/pubns/indg163.htm )、How to control risks at work(HSG268:2014 年発行: http://www.hse.gov.uk/pubns/books/hsg268.htm )、業種ごとにリスクアセスメントを実施した例、各種の e-tool 等、豊富な参考資料が提供されている。 102 このように、HSE ではリスクアセスメントを最も重要な安全衛生対策の一つと位置づけている。 また、より危険有害度の高い作業に対しては個別規則(健康に有害な物質管理規則、アスベスト規則、騒音規則等)によってより厳格なリスクアセスメ ントを行う義務が規定されている。 ここでは、この規則のうち、最も重要な section3、section4 を、英語原文と日本語仮訳として、次に紹介する。 英語原文 日本語仮訳 Risk assessment リスクアセスメント (規則 3) 3.—(1) Every employer shall make a suitable and sufficient assessment 3-(1) of— を行わなければならない。 (a) the risks to the health and safety of his employees to which they are (a) 作業中に被雇用者がさらされる健康及び安全に対するリスク (b) the risks to the health and safety of persons not in his employment (b) 関連する法令の規定又は火災危険(職場での)警戒規則 1997 年によっ arising out of or in connection with the conduct by him of his undertaking, て、雇用者に課された要求事項及び禁止事項を遵守するために講ずる必要の for the purpose of identifying the measures he needs to take to comply with ある対策を特定する目的のために、雇用者により遂行される業務から生じ、 the requirements and prohibitions imposed upon him by or under the 又はそれと関連する被雇用者ではない者の健康及び安全に対するリスク、 それぞれの雇用者は、(次の事項に関して) 適切で十分な事前評価 exposed whilst they are at work; and relevant statutory provisions and by Part II of the Fire Precautions (Workplace) Regulations 1997. (2) Every self-employed person shall make a suitable and sufficient (2) assessment of— 行わなければならない。 (a) the risks to his own health and safety to which he is exposed whilst he (a) is at work; and るリスク、 103 (次の事項に関して)適切で十分な事前評価を それぞれの自営業者は、 自営業者が働いている際に、彼自身がさらされる健康及び安全に対す (b) the risks to the health and safety of persons not in his employment (b) arising out of or in connection with the conduct by him of his undertaking, 事項を遵守するために講ずる必要のある対策を特定する目的のために、雇用 for the purpose of identifying the measures he needs to take to comply with 者により遂行される業務から生じ、又はそれと関連する被雇用者ではない者 the requirements and prohibitions imposed upon him by or under the の健康及び安全に対するリスク、 関連する法令の規定によって、雇用者に課された要求事項及び禁止 relevant statutory provisions. (3) Any assessment such as is referred to in paragraph (1) or (2) shall be (3) reviewed by the employer or self-employed person who made it if— 雇用者又は自営業者により、もし、次の事由に該当する場合には、再評価が (a) there is reason to suspect that it is no longer valid; or 行われなければならない、 (b) there has been a significant change in the matters to which it relates; (a) パラグラフ(1)又は(2)に関連するいかなる事前評価も、それを行った この事前評価がもはや妥当でないことを疑う理由がある、 and where as a result of any such review changes to an assessment are (b)その事前評価に関連することに重要な変化がある場合、そして、 required, the employer or self-employed person concerned shall make そのような事前評価の結果として、事前評価に対する変更が求められる場合 them. には、関連する雇用者又は自営業者は、これらを行わなければならない。 ((4),(5), omitted) ((4)及び(5) (6) Where the employer employs five or more employees, he shall record— (6)5 人以上の被雇用者を使用する雇用者は、次のことを記録しなければな (a) the significant findings of the assessment; and らない。 (b) any group of his employees identified by it as being especially at risk. (a) 事前評価の重要な知見 (b) その事前評価によって特別のリスクがあると特定された被雇用者の集 省略) 団のすべて Principles of prevention to be applied 適用されるべき予防の原則 4. Where an employer implements any preventive and protective 4 measures he shall do so on the basis of the principles specified in Schedule の別表1で特定される原則に基づいてそうしなければならない。 104 雇用者が予防的及び保護的対策を講ずる場合には、雇用者は、この規則 1 to these Regulations. Regulation 4 規則4 SCHEDULE 1 GENERAL PRINCIPLES OF PREVENTION 別表1 (This Schedule specifies the general principles of prevention set out in (この別表は、(EEC の)理事会指令 89/391/EEC)の第6条第 2 項で設定 Article 6(2) of された一般原則を規定するものである。) Council Directive 89/391/EEC) 予防の一般原則 (a) avoiding risks; (a) リスクを回避すること、 (b) evaluating the risks which cannot be avoided; (b) 回避できないリスクを評価すること、 (c) combating the risks at source; (c) リスクとその発生源で対抗すること、 (d) adapting the work to the individual, especially as regards the design of (d) 特に、作業場の設計、作業設備の選択及び生産方法について、また、特 workplaces, the choice of work equipment and the choice of working and 別に、単調労働及び事前に決定された作業速度を軽減させるという観点に立 production methods, with a view, in particular, to alleviating monotonous って、作業を個人に適合させること、 work and work at a predetermined work-rate and to reducing their effect on health; (e) 技術の進歩に適合させること、 (e) adapting to technical progress; (f) 危険なものを危険がないか、より危険が少ないものに置き換えること、 (f) replacing the dangerous by the non-dangerous or the less dangerous; (g) 工学技術、作業の組織化、作業条件、社会的関係及び作業環境に関連す (g) developing a coherent overall prevention policy which covers る影響因子をカバーする首尾一貫した、総括的な予防政策を発展させるこ technology, organisation of work, working conditions, social relationships と、 and the influence of factors relating to the working environment; (h) giving collective protective measures priority over individual protective (h) 個々の防護対策よりも集合的な防護対策を行うこと、 (i) 被雇用者に対して適切な教育を行うこと、 measures; and (i) giving appropriate instructions to employees. 105 有害物管理規則(The Control of Substances Hazardous to Health Regulations 2002) (2) ① この規則(以下、英国での呼称に沿って、「COSHH」という。)の要点 COSHH は、雇用者に対して、次のような対応をすることによって、健康に有害な物質を管理することを義務付けている。 ・何が健康に有害かを見い出し、 ・健康に対する危害をいかにして防ぐかを決定し(リスクアセスメント)、 ・健康に対する危害を減少させる管理対策を講じ、 ・これらの対策が確実に用いられるようにし、 ・すべての管理対策が秩序だっていることを保ち、 ・被雇用者及び他の者に対して、情報、教育及び訓練を提供し、 ・適切な場合には、監視及び健康評価を与え、 ・緊急事態に備える、 ② COSHH の目次(別表(Schedule)1~9 を含む。) 次の表のとおりである。(次のウェブサイトからダウンロードできるが、1999 年の制定時、2003 年及び 2004 年の改正を統合化したバージョンは利用で きないので、これらの個別の改正を併せて読む必要がある。) http://www.legislation.gov.uk/uksi/2004/3386/made http://www.legislation.gov.uk/uksi/2003/978/made 106 英語原文 ARRANGEMENT OF REGULATIONS 1. Citation and commencement. 2. Interpretation. 3. Duties under these Regulations. 4. Prohibitions relating to certain substances. 5. Application of regulations 6 to 13. 6. Assessment of the risk to health created by work involving substances hazardous to health. 7. Prevention or control of exposure to substances hazardous to health. 8. Use of control measures etc. 9. Maintenance, examination and testing of control measures. 10. Monitoring exposure at the workplace. 11. Health surveillance. 12. Information, instruction and training for persons who may be exposed to substances hazardous to health. 13. Arrangements to deal with accidents, incidents and emergencies. 14. Provisions relating to certain fumigations. 15. Exemption certificates. 16. Exemptions relating to the Ministry of Defence etc. 17. Extension outside Great Britain. 18. Revocation and savings. 107 19. Extension of meaning of “work”. 20. Modification of section 3(2) of the 1974 Act. 21. Defence. Schedule 1. Other substances and processes to which the definition of “carcinogen” relates. Schedule 2. Prohibition of certain substances hazardous to health for certain purposes. Schedule 3. Additional provisions relating to work with biological agents. Schedule 4. Frequency of thorough examination and test of local exhaust ventilation plant used in certain processes. Schedule 5. Specific substances and processes for which monitoring is required. Schedule 6. Medical surveillance. Schedule 7. Legislation concerned with the labelling of containers and pipes. Schedule 8. Fumigations excepted from regulation 14. Schedule 9. Notification of certain fumigations. ③ COSHH 中の重要な規定(第 6 条~10 条)の英語原文―日本語仮訳 次の表のとおりである。 英語原文 日本語仮訳 Assessment of the risk to health created by work involving substances hazardous to 健康に有害な物質を包含する作業によって作り出された健康に対するリスク health の事前評価 6.—(1) An employer shall not carry out work which is liable to expose any 6-(1)雇用者は、次のことを実施していないならば、健康に有害ないかな employees to any substance hazardous to health unless he has— る物質にその被雇用者がさらされやすい作業を実施してはならない。 108 (a) made a suitable and sufficient assessment of the risk created by that (a) その作業により被雇用者の健康に対して作り出されたリスク及びこれら work to the health of those employees and of the steps that need to be の規定の要求事項に対応するために講ずる必要のある手段について、適切で、 taken to meet the requirements of these Regulations; and 十分な事前評価がなされたこと、そして、 (b) (b) サブパラグラフ(a)における関連する手段が実施されたこと、 (2) The risk assessment shall include consideration of— (2) リスクアセスメントは、次の事項に関する考慮を含まなければならない。 (a) the hazardous properties of the substance; (a) その物質の危険有害な性質 (b) information on health effects provided by the supplier, including (b) 関連する安全データシートに含まれた情報を含む、その危険有害な物質 information contained in any relevant safety data sheet; の供給者が発行した健康への影響に関する情報 (c) the level, type and duration of exposure; (c) ばく露の程度、類型及び期間 (d) the circumstances of the work, including the amount of the substance (d) 包含される物質の量を含む作業の状況 (e) 高いレベルのばく露があり得るところでは、点検作業のような行動 (f) 関連する作業場でのばく露限界値又は同様な職業性のばく露限界値 (g) 規定 7 に適合して講じられたか、又は講じられる予防及び管理上の措置 implemented the steps referred to in sub-paragraph (a). involved; (e) activities, such as maintenance, where there is the potential for a high level of exposure; (f) any relevant workplace exposure limit or similar occupational exposure limit; (g) the effect of preventive and control measures which have been or will be taken in accordance with regulation 7; の効果 (h) the results of relevant health surveillance; (h) 関連する健康診断の結果 (i) the results of monitoring of exposure in accordance with regulation 10; (i) 規定 10 に適合して、ばく露の監視の記録 (j) in circumstances where the work will involve exposure to more than one (j) その作業が、健康に有害な一種類以上の物質へのばく露を含む場合には、 substance hazardous to health, the risk presented by exposure to such そのような物質に組み合わせてばく露することによってもたらされるリスク 109 substances in combination; (k) the approved classification of any biological agent; and (k) いかなる生物的因子についても承認されたその分類 (l) such additional information as the employer may need in order to (l) 雇用者がリスクアセスメントを完結するために必要となるであろう、その complete the risk assessment. ような追加的な情報 (3) The risk assessment shall b (3) e reviewed regularly and forthwith if— に見直さなければならない。 (a) there is reason to suspect that the risk assessment is no longer valid; (a) そのリスクアセスメントが最早妥当でないと疑う理由がある、 (b) there has been a significant change in the work to which the risk (b) リスクアセスメントが関連する作業に重要な変更があった、又は (c) the results of any monitoring carried out in accordance with regulation (c) 規定 10 に適合して実施された監視の結果が、リスクアセスメントが必要 10 show it to be necessary, であることを示している、 そのリスクアセスメントは、もし、次の場合には、定期的に、及び直ち assessment relates; or and where, as a result of the review, changes to the risk assessment are そして、その見直しの結果として、リスクアセスメントに対する変更が求め required, those changes shall be made. られている場合には、これらの変更がされなければならない、 (4) Where the employer employs 5 or more employees, he shall record— (4) 雇用者が 5 人以上の被雇用者を使用している場合には、雇用者は、次 により記録しなければならない、 (a) the significant findings of the risk assessment as soon as is practicable (a) after the risk assessment is made; and アセスメントの重要な知見 (b) the steps which he has taken to meet the requirements of regulation 7. (b) Prevention or control of exposure to substances hazardous to health 健康に有害な物質へのばく露の予防又は管理 110 リスクアセスメントがなされた後、実行可能な限り早期に、そのリスク 規定 7 の要求事項を満たすため、雇用者が講じた処置 7.—(1) Every employer shall ensure that the exposure of his employees to 7-(1) 雇用者は、その被雇用者の健康に有害な物質へのばく露の防止措置 substances hazardous to health is either prevented or, where this is not が取られ、又はそれが合理的に実行可能でない場合には、確実に十分に管理さ reasonably practicable, adequately controlled. れなければならない。 (2) In complying with his duty of prevention under paragraph (1), (2)パラグラフ(1)の義務を遵守する場合において、雇用者は、合理的に実 substitution shall by preference be undertaken, whereby the employer 行可能な限りにおいて、作業場で健康に有害な物質の使用を避けることができ shall avoid, so far as is reasonably practicable, the use of a substance るよう、代替措置を優先して取らなければならない。そのため、有害な物質を、 hazardous to health at the workplace by replacing it with a substance or process 使用条件下で被雇用者の健康リスクを除去・低減する物質で代替するか、又は which, under the conditions of its use, either eliminates or reduces the risk to the プロセスで代替しなければならない。 health of his employees. (3) Where it is not reasonably practicable to prevent exposure to a substance (3)健康に有害な物質へのばく露を防止することが、合理的に実行可能でな hazardous to health, the employer shall comply with his duty of control under い場合には、雇用者は、次の優先順位に従って、行動及びリスクアセスメント paragraph (1) by applying protection の結果に適切な防護手段を適用することによって、パラグラフ(1)の下での measures appropriate to the activity and consistent with the risk assessment, 雇用者の義務を遵守しなければならない。 including, in order of priority— (a) the design and use of appropriate work processes, systems and engineering (a) 適切な作業プロセス、システム及び工学的管理及び適切な作業設備及び物 controls and the provision and use of suitable work equipment and materials; 質の設計及び使用 (b) the control of exposure at source, including adequate ventilation systems and (b) appropriate organisational measures; and そして、 (c) where adequate control of exposure cannot be achieved by other means, the (c) provision of suitable personal protective equipment in addition to the measures (a)及び(b)で要求される手段に加えて、適切な個人用保護具の供給 required by subparagraphs (a) and (b). 111 十分な換気システム及び適切な組織的手段を含む発生源でのばく露管理 他の手段では十分なばく露の管理ができない場所では、サブパラグラフ (4) The measures referred to in paragraph (3) shall include— (4)パラグラフ(3)に関連する手段は、次のものを含まなければなら ない、 (a) arrangements for the safe handling, storage and transport of substances hazardous (a) to health, and of waste containing such substances, at the workplace; の安全な取扱い、貯蔵及び輸送の準備 (b) the adoption of suitable maintenance procedures; (b) 適切なメインテナンスの採用 (c) reducing, to the minimum required for the work concerned— (c) 関連する作業のために要求される次のことを最少にする、 (i) the number of employees subject to exposure, (ⅰ) ばく露される被雇用者の数 (ii) the level and duration of exposure, and (ⅱ) ばく露の程度及び期間、そして、 (iii) the quantity of substances hazardous to health present at the workplace; (ⅲ) 作業場所にある健康に有害な物質の量 (d) the control of the working environment, including appropriate general (d) 作業場所において、健康に有害な物質及びそのような物質を含む廃棄物 適切な全体換気を含む作業環境の管理、そして、 ventilation; and (e) appropriate hygiene measures including adequate washing facilities. (e) 十分な洗浄設備を含む適切な衛生手段 (5) Without prejudice to the generality of paragraph (1), where it is not reasonably (5) practicable to prevent exposure to a carcinogen, the employer shall apply the 止が合理的に実行可能でない場合には、雇用者は、パラグラフ(3)に加えて、 following measures in addition to 次の手段を講じなければならない、 パラグラフ(1)の一般性を損なうことなく、がん原性物質へのばく露の防 those required by paragraph (3)— (a) totally enclosing the process and handling systems, unless this is not reasonably (a) practicable; 体の密閉化 (b) the prohibition of eating, drinking and smoking in areas that may be (b) がん原性物質による汚染があり得る場所では飲食及び喫煙の禁止 (c) 一定の間隔ごとに、及び必要なときはいつでも、床、壁及び他の表面の 合理的に実行可能でない場合を除き、プロセス及び取り扱うシステム全 contaminated by carcinogens; (c) cleaning floors, walls and other surfaces at regular intervals and whenever 112 necessary; 清掃 (d) designating those areas and installations which may be contaminated by (d) carcinogens and using suitable and sufficient warning signs; and 切で、十分な警戒標識を使用すること、 (e) storing, handling and disposing of carcinogens safely, including using closed and (e) clearly labelled containers. 貯蔵、取扱い及び廃棄 (6) Without prejudice to the generality of paragraph (1), where it is not reasonably (6)パラグラフ(1)の一般性を損なうことなく、生物的因子へのばく露の防止 practicable to prevent exposure to a biological agent, the employer shall apply the が、合理的に実行可能でない場合には、雇用者は、パラグラフ(3)で要求され following measures in addition to those required by paragraph (3)— た手段に加えて、次の手段を適用しなければならない、 (a) displaying suitable and sufficient warning signs, including the biohazard sign (a) shown in Part IV of Schedule 3; 識の表示 (b) specifying appropriate decontamination and disinfection procedures; (b) 適切な浄化及び消毒の手順の特定 (c) instituting means for the safe collection, storage and disposal of contaminated (c) 適切な場合には、適応した処理の後、安全で、特定可能な容器の使用を waste, including the use of 含む、汚染された廃棄物の安全な収集、貯蔵及び廃棄のための手段を講ずるこ secure and identifiable containers, after suitable がん原性物質に汚染される可能性のある場所及び装置を指定し、及び適 密閉され、明確に表示された容器の使用を含む、 がん原性物質の安全な 別表3で示されているバイオハザードの標識を含む適切で十分な警戒標 treatment where appropriate; と、 (d) testing, where it is necessary and technically possible, for the presence, outside (d) the primary physical confinement, of biological agents used at work; 因子の第一義的な密閉措置の外側の検査 (e) specifying procedures for working with, and transporting at the workplace, a (e) biological agent or material that may contain such an agent; し、及び作業場所で輸送するための手順の特定 (f) where appropriate, making available effective vaccines for those employees who (f) are not already immune to the biological agent to which they are exposed or are 因子に免疫が未だない被雇用者のために効果的なワクチンを利用可能にして 113 それが必要で、技術的に可能な場合には、作業場で使用された生物的 生物的因子又はそのような因子を含んでいる可能性のある物質と作業 適切な場合には、被雇用者がさらされるか、又はさらされやすい生物的 liable to be exposed; おくこと、 (g) instituting hygiene measures compatible with the aim of preventing or reducing (g) the accidental transfer or release of a biological agent from the workplace, including させる目的に対応できる、次のことを含む衛生措置の設置、 — (ⅰ)適切で十分な洗浄及び洗面設備の供給、そして、 (i) the provision of appropriate and adequate washing and toilet facilities, and (ⅱ)適切な場所では、飲食、喫煙及び生物的因子で汚染されるリスクのある (ii) where appropriate, the prohibition of eating, drinking, smoking and the 作業区域における化粧することの禁止、そして、 作業場での生物的因子の事故的な移動又は放出を防止するか、又は減少 application of cosmetics in working areas where there is a risk of contamination by biological agents; and (h) where there are human patients or animals which are, or are suspected of being, (h) infected with a Group 3 or 4 biological agent, the employer shall select the most 患者又は動物がいるところでは、雇用者は、感染のリスクを十分に抑制すると suitable control and いう観点の下で、別表Ⅱの第 2 部に掲げられているものから、最も適応する制 containment measures from those listed in Part II of Schedule 3 with a view to 御及び密閉の対策を選択しなければならない。 第 3 類及び第 4 類の生物的因子に感染しているか、又はその疑いのある controlling adequately the risk of infection. (7) Without prejudice to the generality of paragraph (1), where there is exposure to a (7)第 1 項の一般性を損なうことなく、健康に有害な物質へのばく露がある substance hazardous to health, control of that exposure shall only be treated as ところでは、そのばく露の制御は、もし、次のことが処置されている場合のみ、 adequate if - 十分なものである。 (a) the principles of good practice for the control of exposure to substances (a) hazardous to health set out in Schedule 2A are applied; の良い実践の原則が適用されていること、 (b) any workplace exposure limit approved for that substance is not exceeded; and (b) 別表 2A に設定されている健康に有害な物質へのばく露を制御するため その物質について超えてはならないことが承認されている作業場でのば く露限界が超えられていないこと、 (c) for a substance - (c) 114 次の物質について、 (i) which carries the risk phrase R45, R46 or R49, or for a substance or process (ⅰ) リスクフレイズ R45,R46 又は R49 を持つもの又は別表Ⅰに掲げられて which is listed in Schedule 1; or いる物質又はプロセスについて、又は、 (ii) which carries the risk phrase R42 or R42/43, or which is listed in section C of (ⅱ)リスクフレイズ R42 又は R42/43 を有するか、又は HSE の出版物“ ぜん HSE publication "Asthmagen? Critical assessments of the evidence for agents そく誘起物質か?職業的ぜんそくにおいて関係付けられている、常に最新のも implicated in occupational asthma" as updated from time to time, or any other のとされている因子についての決定的な証拠の評価 ”で掲げられているもの、 substance which the risk assessment has shown to be a potential cause of 又はリスクアセスメントが職業的なぜんそくの原因となり得ることを示した occupational asthma, exposure is reduced to as low a level as is reasonably 他の物質について、合理的に実行可能な限りにおいて、ばく露が最大限に減少 practicable. されていること、 ((8) deleted) ((8) 削除) (9) Personal protective equipment provided by an employer in accordance (9)この規則に適合して雇用者によって与えられる個人用保護具は、その目 with this regulation shall be suitable for the purpose and shall— 的に適したものでなければならず、 (a) comply with any provision in the Personal Protective Equipment (a) Regulations 2002(a) which is applicable to that item of personal protective いかなる規定をも満たすものでなければならない、 個人用保護具の設備の問題に関する「個人用保護具規則 2002 年(a)の equipment; or (b) in the case of respiratory protective equipment, where no provision (b) referred to in subparagraph(a) applies, be of a type approved or shall ないときには、HSE により承認された型式のものであるか、又は(HSE により) conform to a standard approved, in either case, by the Executive. 承認された基準を満たすものであるか、のどちらかでなければならない、 (10) Without prejudice to the provisions of this regulation, Schedule 3 shall (10)この規則の規定を侵害することなく、別表 3 は、生物的因子との作業に have effect in relation to work with biological agents. 関して有効である。 (11) In this regulation, “adequate” means adequate having regard only to (11) この規則における“十分な”とは、その物質の性質及び健康に有害な the nature of the substance and the nature and degree of exposure to 物質へのばく露の性質及び程度のみに関して十分であることを意味し、及び 115 呼吸用個人用保護具の場合には、サブパラグラフ(a)の規定が適用され substances hazardous to health and “ adequately ” shall be construed “十分に”とは、それに従った意味である。 accordingly. Use of control measures etc. 制御手段の使用等 8.—(1) Every employer who provides any control measure, other thing or facility in 8-(1)制御手段、これらの規定に適合する他のこと又は手段を講ずるいかな accordance with these Regulations shall take all reasonable steps to ensure that it is る雇用者も、その場合があるであろうとして、それが確実に適切に使用され、 properly used or applied as the case may be. 又は適用されるための合理的なすべての手順を取らなければならない。 (2) いかなる雇用者も、これらの規定に適合して講じられるいかなる制御 (2) Every employee shall make full and proper use of any control measure, other 手段、他のこと又は他の手段が完全に及び適切に使用されるようにしなければ thing or facility provided in accordance with these Regulations and, where relevant, ならず、 shall— (a) その制御手段等が使用された後、与えられる収容施設に確実に返される ための全ての合理的な手順を取らなければならない、 (a) take all reasonable steps to ensure it is returned after use to any accommodation (b) provided for it; and ればならない、 もし、 (彼が)そこに欠陥を発見したならば、直ちに雇用者に報告しなけ (b) if he discovers a defect therein, report it forthwith to his employer. Maintenance, examination and testing of control measures 制御手段のメインテナンス、検査及び試験 9.—(1) Every employer who provides any control measure to meet the requirements 9-(1)規定 7 の要求事項に適合するいかなる制御対策を設置するいかなる雇 of regulation 7 shall ensure that - 用者も、次のことを確実にしなければならない、 (a) in the case of plant and equipment, including engineering controls and personal (a) protective equipment, it is maintained in an efficient state, in efficient working order, それが十分な状態、効率的な作業の順序で、良い修理状態で、そして清潔な状 in good repair and in a clean condition; and 態で維持されること、そして、 (b) in the case of the provision of systems of work and supervision and of any other (b) 116 工学的制御及び個人用保護具を含むプラント及び設備である場合には、 作業の組み方の設定及び検査そして他のいかなる手段の場合には、それ measure, it is reviewed at suitable intervals and revised if necessary. が適切な間隔で見直され、及びもし必要ならば改訂されていること、 (2) Where engineering controls are provided to meet the requirements of regulation (2) 7, the employer shall ensure that thorough examination and testing of those controls では、雇用者は、これらの制御の検査及び試験を通じて、次のことが確実に実 is carried out— 施されなければならない、 (a) in the case of local exhaust ventilation plant, at least once every 14 months, or for (a) local exhaust ventilation plant used in conjunction with a process specified in の第 1 欄で特定されているプロセスと結びついて使用されている局所排気装 Column 1 of Schedule 4, at not more than the interval specified in the corresponding 置についてはその別表の第 2 欄の相当する記載で特定されている期間以下で、 規定 7 の要求事項に適合して、工学的な制御が与えられているところ 局所排気装置の場合には、少なくとも 14 カ月ごとに 1 回、又は別表 4 entry in Column 2 of that Schedule; or (b) in any other case, at suitable intervals. (b) (3) Where respiratory protective equipment (other than disposable respiratory (3) 呼吸用保護具(使い捨て呼吸用保護具以外の)が、規定7の要求事項に protective equipment) is provided to meet the requirements of regulation 7, the 適合して与えられているところでは、雇用者は、検査により、及び適切な場合 employer shall ensure that thorough examination and, where appropriate, testing of にはその装置の試験が、適切な間隔で確実に実施されなければならない。 他の場合には、適切な間隔で、 that equipment is carried out at suitable intervals. (4) Every employer shall keep a suitable record of the examinations and tests carried (4)いかなる雇用者も、パラグラフ(2)及び(3)に適合して実施された検 out in accordance with paragraphs (2) and (3) and of repairs carried out as a result of 査、試験及び修理を、その検査及び試験の結果として、適切な記録を保持し、 those examinations and tests, and that record or a suitable summary thereof shall be その要約をその記録がされた日から少なくとも 5 年間利用できるようにして kept available for at least 5 years from the date on which it was made. おかなければならない。 (5) Every employer shall ensure that personal protective equipment, including (5)いかなる雇用者も、保護衣を含む個人用保護装置については、次のこと protective clothing, is: をしなければならない、 (a) properly stored in a well-defined place; (a) 良く定められた場所に適切に保管され、 (b) checked at suitable intervals; and (b) 適切な間隔で点検され、 117 (c) when discovered to be defective, repaired or replaced before further use. (c) 欠陥が見つかったときは、修理され、さらに使用される前に置き換えら れていること、 (6) Personal protective equipment which may be contaminated by a substance (6)健康に有害な物質によって汚染されている可能性のある個人用保護設備 hazardous to health shall be removed on leaving the working area and kept apart は、作業区域から取り去られ、汚染されていない衣類及び装置から離されてい from uncontaminated clothing and ること、 equipment. (7)雇用者は、パラグラフ(6)の関連する設備が、その後に汚染が確実に除 (7) The employer shall ensure that the equipment referred to in paragraph (6) is 去され、清潔にされ、又はもし必要であれば、破壊されなければならない。 subsequently decontaminated and cleaned or, if necessary, destroyed. Monitoring exposure at the workplace 作業場におけるばく露の監視 10.—(1) Where the risk assessment indicates that— 10-(1) (a) it is requisite for ensuring the maintenance of adequate control of the exposure of (a) それが、被雇用者の健康に有害な物質へのばく露の十分な管理の確実な保 employees to substances hazardous to health; or 守点検のために必要不可欠である場合、又は、 (b) it is otherwise requisite for protecting the health of employees, the employer shall (b)それが、被雇用者の健康の保護のために別のこととして必要不可欠であ ensure that the exposure of employees to substances hazardous to health is monitored る場合、 in accordance with a suitable procedure. 雇用者は、健康に有害な物質への被雇用者のばく露が、適切な手順に適合して リスクアセスメントが、次のことを示す場合には、 確実に監視されなければならない。 (2) Paragraph (1) shall not apply where the employer is able to demonstrate by (2) another method of that the requirements of regulation 7(1) have been complied with. に収集されていることを実証する場合は、適用しない。 (3) The monitoring referred to in paragraph (1) shall take place— (3)パラグラフ(1)に関連する監視は、次の場合に実施されなければなら パラグラフ(1)は、雇用者が他の方法で規定 7(1)の要求事項が既 ない。 (a) at regular intervals; and (a) 118 規則的な一定の間隔で、 (b) when any change occurs which may affect that exposure. (b) ばく露に影響するかもしれない変更が起こったとき、 (4) Where a substance or process is specified in Column 1 of Schedule 5, monitoring (4)別表 5 の第 1 欄で特定されている物質又はプロセスであるときは、監視 shall be carried out at least at the frequency specified in the corresponding entry in は、少なくともその別表の第 2 欄の相当する記載で特定されている頻度で、行 Column 2 of that Schedule. われなければならない。 (5) The employer shall ensure that a suitable record of monitoring carried out for the (5)雇用者は、この規則の目的のために行われる監視の適切な記録が確実に purpose of this regulation is made and maintained and that that record or a suitable 作成され、保持され、その記録又は適切な要約が次の期間、閲覧可能な状態に summary thereof is kept available— あるようにしなければならない。 (a) where the record is representative of the personal exposures of identifiable (a) employees, for at least 40 years; or 場合には、少なくとも 40 年間、 (b) in any other case, for at least 5 years, from the date of the last entry made in it. (b) (6) Where an employee is required by regulation 11 to be under health surveillance, (6)被雇用者が規定 11 によって健康診断を受けなければならない場合には、 an individual record of any monitoring carried out in accordance with this regulation この規則に適合して実施されたいかなる監視の個別の記録は、作成され、保持 shall be made, maintained and kept in respect of that employee. され、そしてその被雇用者のために保存されなければならない。 (7) The employer shall— (7)雇用者は、 (a) on reasonable notice being given, allow an employee access to his personal (a) monitoring record; を利用することを許さなければならない、 (b) その記録が特定できる被雇用者の個人ばく露を代表しているものである どのような場合でも、最終の記載がされた日から少なくとも 5 年間 合理的な通告がなされた場合には、被雇用者がその個人的な監視の記録 HSE が要求できるように、そのような監視の記録の写しを HSE に提供し (b) provide the Executive with copies of such monitoring records as the Executive なければならない、 may require; and (c) (c) if he ceases to trade, notify the Executive forthwith in writing and make available 雇用者が保存している監視のすべての記録を HSE に利用可能にしなければな to the Executive all monitoring records kept by him. らない。 119 もし、雇用者が事業を廃止するならば、直ちに書面で HSE に通告して、 (3) 石綿管理規則(The Control of Asbestos Regulations 2012) 石綿管理規則(2012 年)は、2012 年に改正され、同年 4 月 6 日から施行された。この改正は、従来の英国の石綿管理規則(2006 年)について、EU 委 員会が、石綿に関する EU 理事会指令( Directive 2009/148/EC)の関連する規定のすべてを必ずしもカバーしていないという指摘をしたことを踏まえて、い ったん 2006 年の石綿管理規則を廃止して、石綿管理規則(2012 年。以下「2012 年規則)という。)を制定し直したものである。この EU 委員会の指摘に 係る事項は、ある種のタイプの石綿関連作業が、届け出の対象になっていないこと、石綿に関する健康診断の対象になっていないこと等であったので、 2012 年規則ではこれらに関する規定が盛り込まれたが、この改正部分はごくわずかで、他の主要な規定は、従来の 2006 年規則を踏襲している。 2012 年規則の主要な内容は、次のとおりである。 既存の石綿を含有する物が、良い状態にあって、損傷を受けにくいならば、これらの物は、そのままにしておくことができる。この場合、これらの 状態は、監視され、脅かされないことが保証されなければならない。 もし、非個人用の建物のメインテナンス責任を有する者である場合には、その者は、その建物に石綿が使用されている限り、その建物を利用し、又 はその中で働いている者を石綿にさらされるリスクから守るため、必要な管理を行う義務がある。 もし、石綿を含有する可能性のある建物、プラント又は設備を建設し、又はメインテナンス作業を行うことを望む者は、そこに石綿があるかどうか、 その種類及びその状態を同定し、これらのリスクを事前に評価し、管理し、及びこれらのリスクを制御する必要がある。 次に掲げる作業は、石綿に関する作業を行うことについて免許を有する者に実施させなければならない。 ⅰ 労働者の石綿へのばく露が散発的なものでなく、その程度が低いものでないもの ⅱ リスクアセスメントの結果で、石綿の濃度が空気 1 立方センチメートル当たり 0.1 繊維(4 時間平均で)を超えないことが立証できないもの ⅲ 石綿がコーテイングされている箇所での作業 ⅳ 石綿による絶縁がある個所又は石綿絶縁ボードがある個所で、リスクアセスメントの結果で、その作業が短時間(7 日間のうちいつの日でも 2 時 間以上でないこと)でなく、そのうち 1 時間以上誰も石綿にさらされる作業を行わないことが立証されないもの 120 免許を要しない石綿関連作業であっても、監督機関への届け出が必要であり、その届け出の写し、作業に従事した労働者のリスト、これらの労働者 が石綿にばく露したレベルの考えられる程度等を記録しておかなければならない。 2012 年規則の目次は、次の表のとおりである。(次のウェブサイトからダウンロードできる。) http://www.legislation.gov.uk/uksi/2012/632/made The Control of Asbestos Regulations 2012 Table of Contents PART 1 Preliminary 1.Citation and commencement 2.Interpretation 3.Application of these Regulations Expand +/Collapse PART 2 General requirements 4.Duty to manage asbestos in non-domestic premises 5.Identification of the presence of asbestos 6.Assessment of work which exposes employees to asbestos 7.Plans of work 8.Licensing of work with asbestos 9.Notification of work with asbestos 10.Information, instruction and training 121 11.Prevention or reduction of exposure to asbestos 12.Use of control measures etc 13.Maintenance of control measures etc 14.Provision and cleaning of protective clothing 15.Arrangements to deal with accidents, incidents and emergencies 16.Duty to prevent or reduce the spread of asbestos 17.Cleanliness of premises and plant 18.Designated areas 19.Air monitoring 20.Standards for air testing and site clearance certification 21.Standards for analysis 22.Health records and medical surveillance 23.Washing and changing facilities 24.Storage, distribution and labelling of raw asbestos and asbestos waste Expand +/Collapse PART 3 Prohibitions and related provisions 25.Interpretation of prohibitions 26.Prohibitions of exposure to asbestos 27.Labelling of products containing asbestos 28.Additional provisions in the case of exceptions and exemptions Expand +/Collapse - 122 PART 4 Miscellaneous 29.Exemption certificates 30.Exemptions relating to the Ministry of Defence 31.Extension outside Great Britain 32.Existing licences and exemption certificates 33.Revocations and savings 34.Defence 35.Review Signature SCHEDULE 1 Particulars to be included in a notification SCHEDULE 2 Appendix 7 to Annex XVII of the REACH Regulation – special provisions on the labelling of articles containing asbestos 1.(1) Subject to sub-paragraphs (2) and (3), the label to...2. The dimensions in millimetres of the label referred to in...3. The label must be clearly and indelibly printed so that...4.(1) Where a product containing asbestos may undergo processing or...5.(1) Labelling of packaged and unpackaged products containing asbestos in... SCHEDULE 3 Amendments Explanatory Note 123 Ⅴ 英国における労働安全衛生を所管する行政機関等について 1 総括的事項 英国において、労働安全衛生を所管する行政機関は、1974 年の職場における保健安全等に関する法律(the Health and Safety at Work etc Act 1974: 略称 HSWA)の下で設立された、安全衛生庁(The Health and Safety Executive :略称 HSE。以下単に「HSE」という。)である。HSE は、法的には 女王陛下の下での特殊法人であり、労働年金省から支援を受け、労働年金大臣が政府の保健及び安全に関する第一義的な責任を持っている。 HSE の最も重要な機能は、職場における保健安全及び福祉を確保するとともに、労働活動から他の人(訳者注:事業所の近隣の住人、来訪者等)を保 護することである。HSE は、HSWA に基づきグレートブリテンにおける労働に関連する保健及び安全を規制することに責任があり、共同の規制者である 地方自治体(local authority)と協力して活動している。HSE は、また、連合王国の大陸棚にある海上の石油及び天然ガス(製造)産業における労働活動 から生ずる保健安全に対するリスクを規制する責任をも有している。 HSE は、臨海の化学プラントや海上の天然ガス及び石油生産装置のような主要な危険有害要因がある場所をはじめ、より在来型の倉庫、農園、工場、 廃棄物処理施設及び建設現場を含む、各種の分野や産業部門に対して、横断的に保健安全を規制している。 2 HSE の組織 (1) 理事会(Board) HSE は、その長である者が議長を務める非常勤の理事(現時点では 10 人。これらの非常勤理事は、事業者団体、労働組合、地方自治体(Local Authority)等との調整を経て任命されている。)によって構成される理事会(Board)によって指導され、その理事会は、HSE の長期的な方向性、戦 略及び目的を定める。これらに沿いつつ、通常の HSE の業務の執行は、事務局長及び上級管理チームの責任である。 なお、関連する行政組織の簡素効率化を狙いとした 2008 年の HSWA の改正によって、従来あった保健安全委員会(HSC)は、HSE に合併され ている。 (2) 附属研究機関 Health and Safety Laboratory があり、マンチェスター空港から自動車を利用すれば約 45 分で到着する Buxton に所在している。同研究所は、お およそ 350 人の科学、医学、工学の専門家を擁している。 124 (3) HSE の本部の組織及び地方の事務所 本部には 9 人の局長クラスの下で、関連する部局が置かれている。 また、7 か所の地方事務所が次のとおり置かれており、その地方事務所(ロンドンを除く。)の下に、数か所の地域事務所が置かれている。これらの 全体の配置図は、次の地図のとおりである。 East & South East London Midlands North West Scotland Wales & South West Yorkshire & North East 125 (4) 職員数 職務の分類ごとの職員数は、次の表のとおりである。 職務の分類 2016 年 3 月 31 日現在 2015 年 3 月 31 日現在 2014 年 4 月 1 日現在 (原子力規制事務所の要 員を除く。) 第一線の職員(( )内は、監督官の数(内 1,048(979) 1,047(972) 126 1,059(981) 数)) 第一線以外の職場で勤務している監督官 その他の専門的・技術的職員 その他の職員(( )内は、研修生(内数)) 臨時的要員 合計 58 66 1,108 1,086 360(2) 375(18) 2 1 2,576 2,575 70 1,111 381(3) 0 2,621 資料出所:The Health and Safety Executive, Annual Report and Accounts 2015/16:http://www.hse.gov.uk/aboutus/reports/index.htm からダウンロードできる。)中の 58 ページの table 13 (表 13)から 2013 年度、2014 年度年度及び 2015 年度分を抜粋した。以下次の(5)におい て同じ。 (5) 職員の専門的知識・能力の維持向上 HSE は、職員が彼等に課せられた役割を効率的に果たせることを可能にするために、専門的能力の維持向上を図ることを継続的に保証することを約 束し、例年、職員が次のような教育訓練を受ける措置を講じている。 市民サービス能力向上プラン及び省庁間で行われる指導力向上プログラムを受講させている。 監督官の専門的能力を支援するため、新たに任命された遵守/専門監督官が NEBOSH(訳者注:英国安全評議会が運営する National Examination Board for Occupational Safety and Health (NEBOSH) の教育訓練課程)の (法令に関係する )労働保健及び安全コースを受講して、その修了証が 授与されるようにするとともに、技術的及び法令的な教育訓練課程を実施している。 5 日間の指示された自己学習を通じて、専門的能力の自己評価ができるソフトウェア―ツールを使った HSE の職員としての能力向 上を促進している。 他の者と協力して職務を果たし、及び職務活動の実践能力の向上を図るための指導力習得講習会及び個人教授への参加への奨励や 127 新たに任命されたライン管理者に対して支援するための指導体制を構築し、及び実施している。 (6) HSE と地方自治体(Local Authority)との役割分担 HSE と地方自治体(Local Authority)は、HSWA に基づき、ともに保健及び安全法令を施行する責任を有している。そこで、両者の役割分担が必要 となるが、これらは一般に次の表のとおり区別されている。 なお、HSE と地方自治体(Local Authority)との役割分担については、Health and Safety (Enforcing Authority) Regulations 1998: A-Z guide to allocation(http://www.hse.gov.uk/lau/lacs/23-15.htm HSE が施行の責任がある主な対象 からダウンロードできる。)により詳細に整理して規定されている。 地方自治体(Local Authority)が施行の責任がある 主な対象 工場 事務所(政府のものを除く。) 農場 店舗 建設現場 ホテル 鉱山 レストラン 学校及び大学 レジャー用の建物 博覧会場 託児所及び保育所 ガス、電気及び水道 (供給) システム パブ及びクラブ 病院及びナーシングホーム 私設の博物館 中央政府及び地方政府の建物 礼拝所 海上に設置された施設 (老人等の) 保護施設及びケアホーム (7)HSE 及び地方自治体(Local Authority)の労働安全衛生行政の運営の基本政策等 128 これについては、Enforcement Policy Statement( 施行に関する政策声明書: http://www.hse.gov.uk/pubns/hse41.pdf からダウンロードできる。) で詳細に HSE(地方自治体を含む。)の労働安全衛生行政の施行に関する基本的政策が示されている。その中に盛り込まれている項目は、次のとおりで ある。 英語原文 日本語仮訳 Introduction 序論 The purpose and method of enforcement 施行の目的及び方法 The principles of enforcement 施行の原則 Proportionality 均衡性 Targeting 対象 Consistency 首尾一貫性 Transparency 透明性 Accountability 説明性 (説明責任) Investigation (職権による) 調査 prosecution 訴追 England and Wales イングランドとウェールズ Scotland スコットランド Prosecution of individuals 個人の訴追 Publicity 公表 Action by the courts 法廷による行動 129 Representations to the 法廷に対する代表者 courts Death at work 作業における死亡 Crown bodies 王室 (への適用) Penalties for health and safety offences 保健安全についての罰則 (8) HSE は、実際にはどのように、労働安全衛生確保のための業務を遂行するか? これについては、“ How HSE enforces health and safety” (website: http://www.hse.gov.uk/enforce/enforce.htm#enffinp )において、次の課題ご と に 具 体 的 な マ ニ ュ ア ル 等 が 示 さ れ て お り 、 よ り 詳 細 に は 、 Operational procedures home ( website : http://www.hse.gov.uk/foi/internalops/og/ogprocedures/inspection/index.htm )に具体的な活動の手順等が示されている。 Inspection (監督) Investigation (調査) Complaints (申告又は苦情への対応) Enforcement decisions (違反通告や HSE が行った労働安全衛生に関する許可の見直し等の施行活動) Notice (違反通告) Prosecution (訴追) Major incident (一度に多くの傷害、業務関連疾病又は死亡災害が起きるような事態等への対応) Penalties (罰則の適用) Work-related deaths (作業関連の死亡への対応) 本稿では、上記の項目のうち、 Inspection (監督ないしは臨検)のみについて、これらの具体的なマニュアル等を、次のとおり紹介する。 130 なお、他の項目の内容については、それぞれのウェブサイトにアクセスすれば、入手 できる。 ○ Inspection (監督) 英語原文 日本語仮訳 Inspection 監督 Introduction はじめに 目的 Purpose To provide a common, transparent procedure for HSE’s Operations Group staff to inspect duty holders’ undertakings consistently and enable HSE to 職場における保健安全等に関する法律 (HSWA) 上の義務保持者が義務 を遂行しているかどうかについて、首尾一貫して監督し、及び HSE が、 職場における保健安全等に関する法律(HSWA)の下で、その義務を満 fulfil its duties under the Health and Safety at Work Act. たすことができるように、HSE の実行グループの要員のために、共通で、 透明性のある手順を与えること。 Scope 適用範囲 This procedure covers inspection by HSE warranted inspectors for ensuring この手順は、法令の遵守並びに健康及び安全の促進を確実にするため legal compliance and promoting health and safety, including inspections に、HSE が任命している監督官による監督(許可を与えるための要件を associated includes 確かめるための監督を含む。)をカバーしている。それは、法令上の inspection of work activities undertaken by contractors, service providers, 義務保持者のために、又はこの監督の目的若しくは義務保持者の活動 or others acting on behalf of the duty holder or in the vicinity of their に関連する場合に、その近隣で行われる請負者、サービス提供者その with verifying permissioning requirements. It 131 undertaking, where this is relevant to the purpose of the inspection or to the 他の者が作業活動の監督をも含むものである。 duty holder’s activity. それには、他の手順の主題である調査、申告(又は苦情)のフォロー It does not cover activities relating to investigations, complaint follow up or アップ及び許可を行うことに関連する活動は、含まない。 permissioning, which are the subject of other procedures. 政策 Policy HSE will use inspection, within a legal framework of duties, standards, and sanctions, to obtain assurance that duty holders adequately control health and safety risks from work activities and meet relevant statutory provisions HSE は、義務、標準及び制裁の法的な枠組みの範囲内で、義務保持者が 作業活動から生ずる健康及び安全上のリスクを十分に管理し、及び職 場における保健安全等に関する法律の関連する法的な規定に適合して いるかを確認するために、監督するものである。 of the Health and Safety at Work Act. 定義 Definition 監督は、HSE が任命した監督官によって実施されるプロセスであって、 Inspection is the process carried out by HSE warranted inspectors which involves assessing relevant documents held by the duty holder, interviewing people and observing site conditions, standards and practices where work activities are carried out under the duty holders control. Its purpose is to secure compliance with legal requirements for which HSE is the enforcing authority and to promote improving standards of health and safety in organisations. 132 義務保持者が保有する書類の評価、作業活動が義務保持者の管理の下 で行われている場所で、人々に質問し、現場の状態、基準及び実践を 観察することを含むものである。その目的は、HSE が施行を掌る当事者 である法的要求事項の遵守を保証し、組織における健康及び安全の状 態の改善を促進することである。 Roles 役割 Line Managers should: ライン管理者は、 manage the work of their inspectors to achieve set objectives 彼らが管理する監督官の作業が、設定された目的を達成すること を管理し、 support and guide their inspectors as necessary 必要に応じて、彼等監督官を支援し、及び導くかなければならな い。 Inspectors should: 監督官は、 Apply their knowledge and skills to promote compliance of legal 彼等の知識及び技術を適用して、義務保持者による法的要求事項 requirements by duty holders and to influence them to improve their の遵守を促進し、及び義務保持者に対して、法的要求事項の遵守 management of health and safety apply their knowledge and skills to を促進するために、彼等の知識及び技術を適用するように、そし promote compliance of legal requirements by duty holders and to て健康及び安全の管理を改善するように、影響を与えなければな influence them to improve their management of health and safety らない。 Responsibilities 責任 Line managers are responsible for: ensuring that HSE’s strategic plans are reflected in appropriate ライン管理者は、次の責任がある。 HSE の戦略計画が適切な監督プログラムに反映されることを保証 inspection programmes すること。 nominating and assigning competent inspectors 専門的な能力のある監督官を指名して任命すること。 ensuring that competent inspectors carry out inspections 専門的能力のある監督官が監督を実行することを保証すること。 133 ensuring that inspection programmes are met in timely fashion 監督プログラムがそのときどきの方向性に適合していること。 Inspection staff and inspection team leaders are 監督の要員及び監督チームの指導者は、 responsible for:ensuring inspections are planned, carried out, and reported effectively following the appropriate enforcement decision making procedure where they identify a requirement for enforcement action meeting performance standards allotted to them within the procedure or discussing with line management to agree revised performance standards when necessary. 必要なときには、改訂された実施基準に合意するためのその手順 又はライン管理者との協議の範囲内で彼等に割り当てられた実施 基準に適合している施行行動のための要求事項を、彼らが同定で きる場合には、適切な施行の決定策定手順にしたがって、監督が 計画され、実施され、及び効果的に報告されることを保証しなけ ればならない。 Procedure overview An overview of the procedure is provided in the attached flowchart . 総括の手順 総括の手順は、添付されたフローチャートのとおり(略)である。 Monitoring 監視 Line managers should ensure, via normal management activity, that those involved in operating this procedure carry out their responsibilities in line with the standards and timescales described. They should make sufficient documented checks to satisfy themselves, and to prove to any subsequent ライン管理者は、通常の管理活動を通じて、この実行手順に取り込ま れている彼等が、定められている基準及び時間的な範囲内に沿って、 彼等の責任を実践しなければならない。彼等は、この手順が正しく実 施されていることを彼ら自身が満足するために、及びその後のいかな audits, that the procedure is being operated correctly. る監査に対しても証明するために、十分な書類上の点検をしなければ 134 ならない。 135 ○ Enforcement(施行状況) (資料出所) Health and safety at work Summary statistics for Great Britain 2016;http://www.hse.gov.uk/statistics/index.htm 660 The cases prosecuted, or prosecuted by HSE and, in referred to COPFS Scotland, the Crown Office for and prosecution Scotland, by in HSE number of Procurator cases Fiscal Service (COPFS) has shown that resulted in a an upward trend in recent conviction in 2015/16 years. The number of notices issued £38.3million by all enforcing bodies has in shown a downward trend in fines from resulting prosecutions instituted, recent years. The number of or notices issued by HSE has referred to COPFS (訳者注:安全衛生庁によって、又はスコットランドの場合は王立事務所及び地方検察 fluctuated over the last five for 官に付託され、起訴された件数(□)及び有罪となった件数(■)) prosecution in Scotland, by HSE in 2015/16 136 years. 11,403 Find out the story behind notices issued by all the key figures. enforcing bodies in Visit http://www.hse. 2015/16 gov.uk/statistics/ enforcement.htm (訳者注:すべての法執行機関による違反通告書の発行件数(□)及び安全衛生庁によ る違反通告書の発行件数(■)) 137 (前頁の記述グラフ等の記述の英語原文―日本語仮訳) 左欄 中欄(略。前頁の中欄に日本語仮訳を掲げた。) 右欄 安全衛生庁(HSE。以下同じ。)によれば、2015/16 には、 安全衛生庁によって、又はスコットランドに 660 件がスコットランドでは王立事務所及び地方検察官 場 合 は 王 立 事 務 所 及 び 地 方 検 察 官 ( the ( the Crown Office and Procurator Fiscal Service Crown (COPFS))に付託され、又は安全衛生庁によって起訴さ Service (COPFS))に付託され、起訴された れ、有罪となった。 件数(□)及び有罪となった件数(■) Office and Procurator Fiscal 安全衛生庁によれば、2015/16 には、起訴され、又はス コットランドでは王立事務所及び地方検察官に付託さ れた結果として、3,830 万ポンドの罰金(が科せられた。) 2015/16 には、すべての法執行機関で 11,403 件の違反 すべての法執行機関で発行された違反通告 通告書が発行された。 書の数は、近年では減少傾向にある。安全衛 生庁によって発行された違反通告書の数は、 過去 5 年間では上下している。 138 3 HSE による労働安全衛生行政について HSE のホームページにアクセスすると、HSE が多くの分野に関して、多様な活動をしていることが示されている。これらの HSE の活動を要約することは、 その内容の豊富さ、きめの細かさ等から非常に困難である。そこで、本稿では、リスクアセスメント、有害物管理対策、アスベスト対策の 3 つに的を絞 り、しかもこれらのテーマについても HSE は多様で、豊富な法令、ACOP、ガイダンス、リーフレット等に基づき盛んな活動を展開しているので、これら のテーマについて、HSE が示している包括的な資料等の表題、それが入手できる Website を示すことで、これらの HSE の活動の紹介に代えることとする。 (1) リスクアセスメント A brief guide to controlling risks in the workplace http://www.hse.gov.uk/pubns/indg163.htm The health and safety toolbox How to control risks at work http://www.hse.gov.uk/pubns/books/hsg268.htm (2) 有害物管理対策 Working with substances hazardous to health: A brief guide to COSHH http://www.hse.gov.uk/pubns/indg136.htm Control of substances hazardous to health (Sixth edition) http://www.hse.gov.uk/pubns/books/l5.htm 139 EH40/2005 Workplace exposure limits http://www.hse.gov.uk/pubns/books/eh40.htm (3) アスベスト対策 Managing and working with asbestos Control of Asbestos Regulations 2012. Approved Code of Practice and guidance http://www.hse.gov.uk/pubns/books/l143.htm Asbestos essentials A task manual for building, maintenance and allied trades of non-licensed asbestos work http://www.hse.gov.uk/pubns/books/hsg210.htm 140 Ⅵ 今までに紹介した以外の安全衛生機関、団体等の組織、活動等について 英国には多くの民間団体が、労働安全衛生に関する普及啓発、教育訓練、技術的資料の作成発行、コンサルタントなどを行っている。これらのうち、 主なものについて、次に紹介する。 1 イギリス安全衛生評議会(The British Safety Council(略称:BSC):ウェブサイト:https://www.britsafe.org/ ) 1957 年に設立され、法人会員数約 6,000(英国以外の 60 カ国以上での会員をも含む。)で、政府登録の慈善的団体として金銭的寄付の免税措置を受けて いる。労働安全衛生に関する多くの教育訓練コース(通信教育コース(e-learning)を含む。)を設置・運営しており、そのうちでよく知られているのは、 National Examination Board for Occupational Safety and Health(略称:NEBOSH)での修了の認定が得られる、約 2 週間以上の安全衛生専門家の教 育訓練コース(修了試験を含む。)である。 2 王立災害防止協会(The Royal Society for the Prevention of Accidents; (略称:RoSPA:ウェブサイト:http://www.rospa.com/about/mission-vision/ ) 1917 年に道路交通安全運動で発足し、現在でもその分野には力を入れているが、それ以外に職場、家庭、学校、水上でのスポーツ活動及びレジャーを含 む多くの安全の分野で教育訓練、情報提供、助言、コンサルタント等を幅広く行っている。 3 イギリス労働衛生工学会(British Occupational Hygiene Society:略称:BOHS:ウェブサイトは、http://www.bohs.org/aboutus/ 専門家としての認証を受けた労働衛生工学専門家(Qualified Occupational Hygienists)を組織している英国で唯一の専門団体で、王室からの許可状を 授与されている学会(Chartered Society)である。その運営する The Faculty of Occupational Hygiene(労働衛生工学部)では、高度の専門的能力を 有する Occupational Hygienist を教育訓練する研修コースを運営(修了試験を含む。)しており、そのコースを修了して修了試験に合格した者に対して は、その旨の認証(Certificate)及び修了証 (Diploma qualifications)を授与している。また、国際労働衛生工学協会(International Occupational Hygiene Association:略称 IOHA)の創立(1987 年)以来、その事務局として活動している。 4 イギリス規格協会(British Standards Institute(略称:BSI:ウェブサイトは、http://www.bsigroup.com/en-GB/ ) 1901 年に設立された世界的にみても最も伝統のある標準化団体で、各種の工業的標準のほか、品質管理、環境管理、労働安全衛生等に関する BS 規格等 を策定している。また、生産物や商品の品質保証及び EU の機械指令に基づく CE マークの付与等の認証業務も行っている。 141 Ⅶ 参考資料 1 外務省 HP:http://www.mofa.go.jp/mofaj/ 中の英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国:United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland:http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/uk/index.html 2 英国 HSE-HP:http://www.hse.gov.uk/index.htm 3 財団法人(当時) 産業医学振興財団発行 産業医学ジャーナル 別刷り 唐沢 正義; 「ドイツ及びイギリスにおける産業医活動の実情を垣間見て」 (1998 年、平成 10 年) 4 財団法人(当時) 産業医学振興財団発行、産業医学レビュー2005 年 8 月号、唐沢 正義;「労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)、機械 の安全性等をめぐる内外の動向と将来の展望」 5 データブック 2016 国際労働比較 Databook of International Labour Statistics 、独立行政法人 労働政策研究・研修機構: http://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/databook/2016/index.html 6 欧州連合 労働安全衛生機構(European Agency for Safety and Health at Work) HP:https://osha.europa.eu/en#documentContent 7 Health and Safety Statistics Annual Report for Great Britain, 2014/15: http://www.hse.gov.uk/statistics/overall/hssh1415.pdf 8 Health and Safety Statistics At a glance:http://www.hse.gov.uk/statistics/at-a-glance.pdf 9 HSE, Enforcement Policy Statement: http://www.hse.gov.uk/pubns/hse41.pdf 10 Statement of commitment between HSE and Local Authority representative bodies:http://www.hse.gov.uk/lau/statement.htm 11 Acts owned and enforced by HSE:http://www.hse.gov.uk/legislation/acts.htm 12 Statutory Instruments owned and enforced by HSE/local authorities:http://www.hse.gov.uk/legislation/statinstruments.htm 13 A-Z of guidance by topic:http://www.hse.gov.uk/guidance/topics.htm 14 Legal status of HSE guidance and ACOPs:http://www.hse.gov.uk/legislation/legal-status.htm 15 16 Health and safety at work 厚生労働省労働基準局 Summary statistics for Great Britain 2016, http://www.hse.gov.uk/statistics/index.htm 労災保険法に基づく保険給付の石綿による疾病別請求・決定状況(過去 5 年度分): 142 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000128595.html 17 The Health and Safety Executive Annual Report and Accounts 2015/16、http://www.hse.gov.uk/aboutus/reports/index.htm 143
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