複合材料性のグレーチングの使用について

Loss Prevention Circular
複合材料性のグレーチングの使用について
こちらは、英文記事「LP Circular: Use of composite
deck gratings」(2016 年 9 月 2 日付)の和訳です。
各国の規制当局は、海洋構造物のオペレー
ターに対して、炭化水素火災に対する耐火
性能が確認されていない複合材料製のグレ
ーチングの使用について、警告を発していま
す。
Gard が実施した移動式海洋構造物(MOU)
に関するサーベイによると、オフショア業界で
は、ここ数十年来、複合材料製のグレーチン
グを使用する動きが広がっています。船齢の古い MOU でも同様の傾向が見られ、既存のスチール製のグレーチン
グから複合材料製のグレーチングへの交換が進められています。
複合材料は、スチールなどの従来の材料に比べて、軽量で耐食性があり、メンテナンスも少なく済むなど多くの利点
を備え、「耐火」製品認定が付与されているものもあります。しかし、規制当局の多くは、炭化水素火災に曝されるお
それのある場所に複合材料製のグレーチングを使用することについて「警告」を発しています。複合材料製の耐火
グレーチングの中には、ごく短時間、炭化水素プール火災に曝されただけで、外見上は損傷を受けていないように
見えても、その上を歩行・走行したときに掛かる荷重を支えるだけの強度を失ってしまうものがあるようです。グレー
チングが脆弱化すると、その上で消火活動にあたる消防士や救助隊員を深刻な二次災害に巻き込みかねません。
Gard は、一部の複合材料製の耐火グレーチングに安全上の問題があることが十分に理解されておらず、そうした危
険性が十分に考慮されないまま避難経路となる通路や階段に設置されてしまっている現状を危惧しています。
各国の規制当局も警告を発している
こうした懸念が生じる発端となったのは、2012 年に英国の Health and Executive (HSE)が行った調査です。その調
査において、繊維強化プラスチック(FRP)製のグレーチングの認定に用いられることの多い、炭化水素プール火災
やジェット火災を想定した適格性審査では、海洋構造物での安全な使用が必ずしも担保されないことが明らかにな
りました。この適格性審査の内容は、米国コーストガードの「Policy File Memorandum on the use of fiber reinforced
plastic (FRP) gratings and cable trays(繊維強化プラスチック(FRP)製のグレーチングとケーブルトレイの使用に関
する Policy File Memorandum)」に定められた性能要件に沿ってはいるものの、それはセルロース系火災の場合の標
準的な温度上昇曲線を前提に、グレーチングを 60 分間耐火試験した場合の性能要件を規定したものです。セルロ
ース系火災の温度上昇曲線は緩やかで、出火から 1 時間をかけて 900°C に達するのに対して、炭化水素プール
火災の場合は、発生からわずか 5~10 分で 1,000°C を超えることがあります。
HSE が実施した試験では、炭化水素火災に曝された(セルロース系火災を前提に認定を受けた)FRP 製のグレーチ
ングは、セルロース系火災の場合よりも、短時間に脆弱化または破損することが示されました。火災が発生した場合、
外見上問題がないように見えても、グレーチングが脆弱化して、人が歩行・走行するときに掛かる荷重を支えるだけ
の強度を喪失してしまっている可能性があることが判明したのです。
この HSE による調査を受けて、各国の規制当局から警告が相次いで発出されました。
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2012 年 10 月、HSE は Bulletin を通じてその調査結果を発表し、炭化水素火災に曝された場合、複合材料で
作られた耐火グレーチングは破損する可能性があると警告しました。HSE は同 Bulletin において、炭化水素火災
に曝される可能性がある区域に複合材料製のグレーチングが使用されているかどうかを確認し、脆弱化したグ
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レーチングの上を歩行しても安全が確保できるように対策することをオペレーターに求めています。詳細につい
ては、HSE の Bulletin No. HID 2-2012 をご覧ください。
2014 年 10 月、オーストラリアの国家海洋石油安全環境管理庁(NOPSEMA)は Safety Alert を発し、グレーチ
ング素材をスチール製から FRP 製に変更する際の影響とリスクを評価するよう MOU のオペレーターに求めまし
た。NOPSEMA の調査により、海洋構造物の避難経路に用いるグレーチングが、スチール製のものから FRP 製の
ものに交換されるようになってきているが、その際、炭化水素火災に対する FRP 製グレーチングの脆弱性が考
慮されていないことが明らかになりました。詳細については、NOPSEMA の Safety Alert No. 60 をご覧ください。
さらに、2015 年 11 月には、ノルウェー石油安全局(PSA)が業界向け Circular を通じて、炭化水素火災に曝さ
れる可能性のある場所での複合材料製のグレーチングを使用することの妥当性について懸念を表明しました。
ノルウェーの大陸棚で操業している海洋構造物を監査したところ、複合材料製のグレーチングの製品証明書に
は、セルロース系火災に対する耐火性能や耐荷重能力しか記載されておらず、炭化水素火災に対する記載が
ないことが判明しました。
また、PSA の監査では、潜在的爆発性雰囲気のある区域において発火源を管理する際に重要となる、複合材料製
のグレーチングの静電気特性に関する記載がないことも明らかになりました。詳細については、PSA の 2015 年 11
月 16 日付Circular をご覧ください。
推奨事項
海運業界やオフショア業界では、不燃性の建設資材を使用することが規制上の基本要件であり、この要件に適合し
ない資材を使用する場合には、安全性の観点から当該資材の使用の妥当性を文書で立証しなければなりません。
複合材料製のグレーチングは、それが脆弱化した場合に避難や消防活動の妨げとなる可能性のある区域に使用す
ることは原則として認められていません。また、原則として、爆発のおそれのある区域で使用する装置・材料は、そう
した危険区域で使用することの承認・認定を得た型式、種類のものでなければならず、このことは、発火源の管理に
関する MOU の安全戦略の骨格の一部をなすものでもあります。
避難経路となる通路、階段などに複合材料製のグレーチングを設置する前に、下記を実施することを推奨します。
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グレーチングを設置する予定の箇所について、耐火性能と発火源(静電気)の管理に関する要求性能を定める。
例えば、火災危険分析により、火災荷重(すなわち、火災の温度と継続時間)を判定するとともに、危険区域の
図面を作成し潜在的に爆発のおそれのある区域を特定する。
製造業者に、複合材料が要求性能を満たしているか否かを確認する。例えば、炭化水素火災とセルロース系
火災の両方について製品の脆弱性、静電気特性に関する関連書類を入手し、必要に応じて、石油安全機関、
旗国、船級協会等から資材変更の承認を得ておくようにする。
また、人身事故を招きかねない設置不良が生じないように、グレーチングの設置作業自体に対しても、注意を払う
ようにしてください。
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