レポート課題の提示

コイン投げ100回
(レポート課題付き)
私達の身の回りで起こる現象には、
不確実(ランダム)な要素が含まれて
いるのが普通です。
しかし、身の回りの現象を、何度も繰
り返し経験することはできません。
そこで、確率実験を通して、ランダム
について学んでゆきます。
1
ランダム(random) とは?
結果を確実に言い当てることのできない
現象をランダムな現象という。
 ランダムにも、程度の差があり、

1.
コインやサイコロのように、確率がほぼ分
かっているランダム。
 ペットボトルのフタを投げるときには、確率が
想像できない。
2.
3.
確率分布の形状しか分らないランダム。
確率分布の形状さえ、はっきりしないラン
ダム。
2
確率はランダム(不確実)な現象を理
解するのに必要な考え方.





「確実に起こらないこと」や「確実に起こること」は、
わかりやすい。
しかし、起こったり、起こらなかったりするややこし
い現象を、ランダム(不確実)な現象と呼ぶことにし
よう。
ランダム(不確実)な現象を、どう取り扱うかについ
て、昔の人々は悩んで、確率の考え方を導入した
のです。
不確実な現象の中でも、最も単純な、コイン投げを
取り上げ、確率とランダムの関係を説明する。
確率とランダムとの関係を体験しよう。
3
ランダムな現象の例

コイン(サイコロ)投げ(実際にやってみると,
意外な発見がある).
1.
2.


フランスの博物学者ビュフォン(1707-88)は4040回投げ
て2048回表が出た.
イギリスの数学者カール・ピアソン(1857-1936)は
24000回投げ12012回表だった.
天気予報の降雨確率、宝くじの当選番号。
身の回りの現象も、サイコロやコイン投げと
同じように起こると考えてよいのだろうか?
4
宝くじ当選番号



宝くじの当選番号は,完全にランダムな現象である.
言い換えると,完全なランダムになるように苦労を
重ねて確立した抽選方法を用いている.
しかし,人はそれにランダム以外の法則を見いだそ
うと努力する.
完全にランダムな現象でも,ある番号が出やすいと
いった、傾向が存在しているのかもしれない。
5
私たちはランダムを勘違いして
はいないか?
人類はこれまで、様々な現象の規則性を
発見しながら、進歩してきた。
 ランダムの中にも、一定の規則があり,
確率法則と呼ばれる。
 一度、純粋にランダムな現象であるコイ
ン投げ、あるいは、サイコロ投げを体験
してみよう。

6
カジノ用のサイコロ
典型的な約1.9cm幅のサイコロは,セルロー
スやプラスチックの矩形の棒から正確に切り
取られる.各面には深さ0.043cmの穴を彫り,
彫り出されたプラスチックと同じ重さの塗料
で埋め,色をつける.角は通常,鋭く,直角
にする.
 市販のサイコロには,偏りがあると見てよい.
12面体,20面体はなおさらである.

7
捏造ランダムと実験ランダムとの差は
どこにあるのか(レポート課題1)





コインを投げずに、100回のコイン投げデータを捏
造してみよう。表ならH(head)、裏ならT(tail)と書き
込んでゆこう。
次に,十分回転を付けることを心がけ,実際に100
回投げ、同様に記録して行こう。
両者を,様々な方向から,比較してみよう.
実際のランダムは、捏造されたランダムと、どこが
違うのか.
はたして、捏造を見破ることはできるのだろうか?
8
コイン投げの際のランダム性



完全なランダムとは:表の出る確率と裏がでる確率
がそれぞれ 0.5 であり,以前の表裏の出方が次に
全く影響を与えない.
中途半端なランダムとは:コインの回転数不足のう
えに,漫然と同じ投げ方をしていると,直前の結果
が次に影響を与える可能性が否めない.コインを
机のうえで回転させると,コインの形状が影響を及
ぼす.
完全なランダムにするには,通常人が文句を言わ
ないようにすればよい.???
9
自分のデータを比較して、法則
を見つけよう。
たとえば、“表の出た数が、50に近い方が
捏造データである”、のような法則を見つ
けてみよう。
 ほかにも、“10回毎の合計が散らばってい
る方が捏造である”、“連の長さの最大が
大きい方が捏造である”、といった法則が
考えられる。
 自分でも何か考案してみよう。

10
表の出た回数を比較する-1
去年までのデータでは
表の数の比較(119人データ)
45
40
35
捏造データ
30
25
20
実験データ
15
10
5
0
30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65
11
表の出た回数を比較する-2
去年までのデータでは
20回中表の数(119人データ)
250
200
150
捏造
実験
100
50
0
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
12
連の長さに注目しよう
コイン投げで,表が出たら1,裏が出たら0と
記録するとしよう.
 すると,結果は 01100011110・・・のように表
される.
 表の出た回数と裏の出た回数ではなく,同じ
面がどの程度連続するかに注目してみよう.
 01100011110・・・・では,長さ1の連(0)に続
き,長さ2(11)の連,長さ3(000)の連,長さ4
の連(1111)が続いている.

13
連の長さの度数分布表を作ろう
捏造データ
連の長さ
度数
累積度数
1
30
2
10
3
6
4
4
5
1
6
1
7
0
8以上
0
合計(Σ)
52
30
40
46
50
51
52
52
52
相対度数
累積相対度
数
長さが3以下の
連の数
14
連の長さの度数分布表を作ろう
捏造データ
連の長さ
度数
累積度数
1
30
30
2
10
40
3
6
46
4
4
50
5
1
51
6
1
52
7
0
52
8以上
0
52
合計
52
相対度数
累積相対度
数
30  52  0.58
10  52  0.19
15
連の長さの度数分布表を作ろう
捏造データ
連の長さ
度数
累積度数
相対度数
1
30
30
0.58
2
10
40
0.19
3
6
46
0.12
4
4
50
0.08
5
1
51
0.02
6
1
52
0.02
7
0
52
0.00
8以上
0
52
0.00
合計
52
累積相対度数
30  52  0.58
40  52  0.77
46  52  0.88
16
連の長さの度数分布表を作ろう
捏造データ
連の長さ
度数
累積度数
相対度数
累積相対度
数
1
30
30
0.58
0.58
2
10
40
0.19
0.77
3
6
46
0.12
0.88
4
4
50
0.08
0.96
5
1
51
0.02
0.98
6
1
52
0.02
1.00
7
0
52
0.00
1.00
8以上
0
52
0.00
1.00
合計
52
17
連の長さとその確率について考え
よう
理論値
連の長さ
相対度数
累積相対度数
1
2
3
4
5
6
7
8以上
合計
18
実際にコインを投げて観察しよう
連の長さ1
1
2
違う面
最初の
面
連の長さ2
1
2
1
2
違う面
再度投げる
同じ面
1
2
同じ面
19
同様の作業を繰り返すと、
連の長さ1
連の長さ2
違う面
違う面
最初の面
同じ面
違う面
同じ面
違う面
同じ面
同じ面
連の長さ3
20
連の長さの理論値を考えよう
理論値
連の長さ
相対度数
累積相対度数
1
0.5
0.5
2
0.25
0.75
3
0.125
0.875
4
0.0625
0.9375
5
0.03125
0.96875
6
0.015625
0.984375
7
0.0078125
0.9921875
8以上
0.0078125
1
合計
1
21
連の数についても考えよう
違う面
違う面
最初の面
違う面
違う面
最初の面
最初の面
最初の面
最初の面
違う面
違う面
最初の面
違う面
最初の面
最初の面
22
グラフを作り,比較する
連の長さの分布比較
0.70
0.60
0.50
相対度数(捏造)
0.40
相対度数(実験)
0.30
0.20
連の長さの累積分布比較
1.20
1.00
0.10
0.00
0.80
0.60
累積相対度
数(捏造)
0.40
累積相対度
数(実験)
0.20
0.00
1
2
3
4
5
6
7
8以上
23
連の数を比較する
連の数の分布
16
捏造データ
14
12
実験データ
10
8
6
4
2
0
35 37 39 41 43 45 47 49 51 53 55 57 59 61 63 65 67 69 71 73 75 77 79 81 83 85 87 89 91
24
連の最大長を比較する
最長の連の長さの分布
60
50
捏造データ
40
実験データ
30
20
10
0
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
25
連の長さの平均と分散・標準偏差
頭の中で行ったコイン投げと,実際にコイン
を投げたコイン投げにおける連の長さの比
較をするために,連の長さの平均,分散・標
準偏差を求めよう.
 この場合、度数分布表から平均・分散・標準
偏差を求める方法を用いる方が効率的であ
る。

26
度数分布表から分散を計算する
表にまとめられる前のデータは、
連の
度数
1,1,1,1,1, 1,1,1,1,1,
長さ
2,2,2,2,2,
10
1
3,3,3,3,
5
2
4
4
3
である。
4
1
27
これまでの計算方法
i
xi
xi  x
1
1
2
1
:
:
10
1
11
2
:
:
15
2
16
3
17
3
18
3
19
3
20
4
合計
36
平均 36  20  1.8
x  1.8
1 1.8  0.8
1 1.8  0.8

1 1.8  0.8
2 1.8  0.2

2 1.8  0.2
3 1.8  1.2
3 1.8  1.2
3 1.8  1.2
( xi  x) 2
0.64
0.64

0.64
0.04

0.04
1.44
1.44
1.44
3 1.8  1.2
1.44
4 1.8  2.2
4.84
17.2
17.2  20  0.86
分散は s 2  0.86
標準偏差は
s  0.86  0.93
28
分散は s 2  0.86
標準偏差は
s  0.86  0.93
度数分布表から分散を計算する
連の
長さ
度数
長さ×度数
偏差2
1
10
1×10=10
(1  1.8) 2
0.64 10  6.4
2
5
2×5=10
(2  1.8) 2
0.04  5  0.2
3
4
3×4=12
(3  1.8) 2
1.44  4  5.76
4.84 1  4.84
4
1
4×1=4
(4  1.8) 2
合計
20
36
------
平均
36÷20=1.8
分散
偏差2×度数
17.2
17.2  20  0.86
29
標準偏差は
相対度数を用いると、
連の
長さ
1
相対
度数
0.5
長さ×相対
度数
偏差2
偏差2×相対度数
1 0.5  0.5
(1  1.8) 2
0.64  0.5  0.32
2  0.25  0.5
(2  1.8) 2
0.04  0.25  0.01
1.44  0.2  0.288
4.84  0.05  0.242
2
0.25
3
0.2
3 0.2  0.6
(3  1.8) 2
4
0.05
4  0.05  0.2
(4  1.8) 2
1
1.8
------
合計
s  0.86  0.93
平均は x  1.8
0.86
分散は s 2  0.86
30
コイン投げによるランダムウォーク
コインを投げて,表(H)裏(T)を記録する.
 表ならば1ポイント儲け(+1),裏ならば1ポ
イント損をする(-1)と考える.
 この作業を繰り返すときの累積ポイントはど
のようになるのだろうか?
 エクセルでは,=IF( RAND()>0.5,1, -1)とす
ればランダムな ( 1, -1) を発生できる.

31
ランダムウォークの作成法
表なら1、裏なら-1
32
ランダムウォークの作成法
33
頭とコインのランダムによる

頭で考えて作成したランダムな系列から作られ
るランダムウォークと,コインを投げて作成した
ランダムな系列から作られるランダムウォーク
とを,グラフを描くことにより比較せよ.
酔歩の比較
20
頭の中
コイン
15
10
5
0
-5
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
-10
-15
-20
34
ランダムウォークの実現例-1
30
ランダムウォーク
20
10
0
-10
-20
-30
1
101
201
35
ランダムウォークの実現例-2
ランダムウォーク
30
20
10
0
-10
-20
-30
1
101
201
36
ランダムウォークの実現例-3
ランダムウォーク
30
20
10
0
-10
-20
-30
1
101
201
37
ランダムウォークの実現例-4
ランダムウォーク
30
20
10
0
-10
-20
-30
1
101
201
38
ランダムウォーク現象

コイン投げの結果を累積したものが、実
際の現象を説明するのだろうか?
39
Toyota株の分析
値上がり
+1
値下がり
-1
この+1と-1が作る
系列の累積和はラ
ンダムウォークと言
えるのだろうか?
40
トヨタ株の値動きはランダム・
ウォークと言えるのか?
トヨタ株の値動き
値上がり:+1 値下がり:-1
70
60
50
40
30
20
10
0
-10
-20
-30
-40
-50
-60
-70
連の長さ
度数
相対度数 理論確率
20090917
20090423
20081125
20080630
20080204
1
129
0.51807
0.50000
2
54
0.21687
0.25000
3
32
0.12851
0.12500
4
16
0.06426
0.06250
5
12
0.04819
0.03125
6
2
0.00803
0.01563
7
3
0.01205
0.00781
8
1
0.00402
0.00391
9
0
0.00000
0.00195
10
0
0.00000
0.00098
11
0
0.00000
0.00049
合計
249
41
その他の銘柄の場合
オリエンタルランド4661
Topix1002
70
70
60
60
50
50
40
40
30
30
20
20
10
10
0
0
-10
-10
-20
-20
-30
-30
-40
-40
-50
-50
-60
-60
-70
-70
20090930
20090507
20081203
20080708
20080213
20090930
20090507
20081203
20080708
20080213
42
その他の銘柄の場合
味の素2082
70
富士フィルム4901
70
60
60
50
50
40
40
30
30
20
20
10
10
0
0
-10
-10
-20
-20
-30
-30
-40
-40
-50
-50
-60
-60
-70
-70
20090930
20090507
20081203
20080708
20080213
20090930
20090507
20081203
20080708
20080213
43
レポート提出期限と注意事項



期限は7月3日(土曜日)~7月10日(土曜日)
提出先:第2学舎授業支援ステーション
配布プリントを完成した上で、レポート用紙(A4)1
枚に800字程度の感想を書くこと。
44
まとめ




連続して起こる現象(運・不運)は,何らかの流れが
あるのか,全くのランダムかの区別がつき難い.
株価の変動も,なにか理由があってのことか,ラン
ダムなのか実際のところ分からない.
不確実性が増しつつある現代社会では,確率とい
う考え方を導入し,どのようなメカニズムでランダム
な現象が起こっているのかを探ることが大切なので
は?
誤差の存在を認めることは,現実を認識する際に
有用となる.
45
これまでの計算方法
i
xi
xi  x
1
1
2
1
:
:
10
1
11
2
:
:
15
2
16
3
17
3
18
3
19
3
20
4
( xi  x) 2




合計
平均
46
度数分布表から分散を計算する
連の
長さ
度数
長さ×度数
1
10
1×10=10
2
5
2×5=10
3
4
3×4=12
4
1
4×1=4
合計
20
36
平均
36÷20=1.8
偏差2
偏差2×度数
-----分散
47
相対度数を用いると、
連の
長さ
相対
度数
長さ×相対
度数
偏差2
偏差2×相対度数
1
2
3
4
合計
-----48