リアルタイムOSで音切れなし ハイレゾFLAC再生に挑戦!

第3部
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特集 本格デビュー! ハイレゾ Linux オーディオ
製品レベルで作りたい人向け! 3M バイト オープンソース・
第 13 章
RAM 内蔵 RZ マイコンならワンチップで! ライブラリでサッ
リアルタイムOS で音切れなし
ハイレゾ FLAC 再生に挑戦!
秋澤 泰孝,境 章仁
表 1 Cortex-A9 搭載 RZ マイコンとリアルタイム OS を組み合わせると音切れのないハイレゾ FLAC オーディオ再生を行える
項 目
動作周波数
代表的な CPU コア
(チップ型名)
ワンチップ・マイコン
組み込みプロセッサ
〜 50MHz
〜 100MHz
〜 200MHz
〜 400MHz
〜 1GHz
RL78
(RL78/F12)
RX
(RX610)
SH-2A
(SH726B)
Cortex-A9
(RZ/A1L)
Cortex-A8/A9/
A15 など
FPU
なし
OS
あり
OS レス
リアルタイム OS
汎用 OS
自作モニタなど
μITRON
μITRON
RTX
Linux
-
2.5 μs
1.1 μs
1.156 μs
数 ms オーダ
価格
安価
安価
お手頃
お手頃
お手頃〜高価
メモリ拡張性
苦手
苦手
数十 M バイト
数百 M バイト
数 G バイト
約 500mA
A15 なら 1000mA
以上
代表例
タスク切り替え時間
およその消費電力
パッケージ(面積)の例
ピン数の例
(ファイルの扱い)
8mA
100mA
QFP
QFP
QFP
QFP
BGA
(7mm × 7mm) (13mm × 13mm) (20mm × 20mm) (28mm × 28mm) (25mm × 25mm)
64
144
144
208
400 以上
×
△
△
△
◎
再生困難
制限付きなら可能
Linux は,ファイル・システムやネットワーク通信
機能だけでなく,各種圧縮 / 伸長機能も備えており,
音楽ファイルの取り扱いが非常に便利です.反面,リ
アルタイム性がないため,1GHz レベルの十分に高速
な Linux ボードが出てきているとはいえ,音切れを起
こさないようにおそるおそる音楽再生しないといけま
せん.Linux のために大容量メモリや高性能 CPU が
必要なため,大げさな回路が必要ですし消費電力も大
きくなりがちです(表 1).
ここで紹介する Cortex-A9 搭載 RZ/A1L(ルネサス
エレクトロニクス)は,3M バイトの SRAM を内蔵し
ています.ほぼワンチップで 96kHz/24 ビットていど
のハイレゾ音楽再生を行える性能があり,リアルタイ
ム OS と組み合わせれば,Linux のように音切れを心
配しないで済むように使うことが可能です.
本稿では,1 万円ていどで入手できるボード CEVRZ/A1L(コンピューテックス)注 1 と ARM 純正リアル
タイム OS RTX,オープンソース・ライブラリを使っ
て,ハイレゾ対応音楽ファイル・フォーマットの一つ
である FLAC(Free Losless Audio Cordec)ファイル
98
115mA
ハイレゾ FLAC 再生
できて音切れも大丈夫
音切れの不安はある
の 96kHz/24 ビット / ステレオ音切れなし再生に挑戦
してみます(写真 1)
.
ハードウェア
本稿で使用するハードウェア構成を図 1 に,対応で
きるオーディオ・フォーマットを表 2 に示します.
FLAC 音楽ファイルを USB メモリから読み込んで,
USB- オーディオ変換アダプタに出力します.使用す
る RZ マ イ コ ン・ ボ ー ド CEV-RZ/A1L( コ ン ピ ュ ー
テックス)のUSBポートは1ポートしかないため,USB
ハブを使用します.
図 2 に示すように,RZ/A1L は 3M バイトの SRAM
やサンプリング周波数変換回路 SCUX,USB 通信回
路などを備えており,ほぼワンチップで済みます.
FLAC ファイルの再生制御はまず,RZ マイコン・
ボードに搭載されている USB- シリアル(RS-232-C 互
換)変換 IC を利用して,PC からシリアル通信で行い
ます.自動再生機能も追加してみます.
注 1:CEV-RZ/A1L ボードは,提供元:コンピューテックス,CQ 出版社,マルツパー
ツ館などで販売している.基板や関連記事の情報は本誌ウェブ・サイト「ルネサス
ARMコンピュータ RZボードの部屋」
(http://www.kumikomi.net/inter
face/contents/rene_arm.php)参照
2014 年 9 月号