関 西 国 際 空 港 CS R報 告 書 2008 01 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT 目次 社長メッセージ 3 空港とCSR 7 経営の基盤 コーポレート・ガバナンス 13 お客様とともに 安全・安心な空港の実現 17 お客様第一主義の実践 21 地球環境とともに 環境保全・創造への積極的取り組み 27 地域社会とともに 地域社会との共存共栄 43 従業員とともに 人権の尊重と働きやすい職場環境の実現 45 第三者意見 49 会社概要 50 編集方針 関西国際空港株式会社では、これまで環境保全への取り組みを主 体とした環境報告書「エコ愛ランドレポート」を2007年度まで発行してき ました。2008年度は、 その報告内容を企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)に拡大し、 さまざまなステークホルダーの皆様に 向けて報告する、初めての「CSR報告書」を発行しました。 本報告書では、当社グループの「企業行動憲章」の考え方・方針とそ れに基づく取り組み状況について、写真や図表を使ってわかりやすく紹 介するよう心掛けました。また、活動状況を生き生きとお伝えすることが できるように、随所に当社従業員や関係者の方の声を掲載しています。 ● 参考にしたガイドライン GRI「サステナビリティ・リポーティング・ガイドライン2006」 環境省「環境報告ガイドライン(2007年版)」 ● 報告対象範囲 レポートの対象は、関西国際空港株式会社の活動を中心に、一部に おいてグループ会社全体あるいはグループ会社の活動について報告し ています。これに加え、環境活動にかかわる部分については、 「関西国 際空港エコ愛ランド推進協議会」などを通じて連絡調整を行っている関 西国際空港内の事業者の方々の活動も含めています。 ● 報告対象期間 2007年度(2007年4月∼2008年3月)の活動を中心に、一部対象期 間前後の活動についても報告しています。 ● 発行 2008年9月 ● お問 い 合わ せ 先 関西国際空港株式会社 計画技術部 [報告書全般について] CSR報告書編集事務局 TEL:072-455-2182 FAX:072-455-2049 [環境活動について] 環境グループ TEL:072-455-2169 FAX:072-455-2050 〒549-8501 大阪府泉佐野市泉州空港北1番地 関西国際空港会社ビル K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT 02 社 長 メッ セ ー ジ 03 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT Top Message ● 巻 頭 関西国際空港は新たなステージへ 動するパートナーとともに取り組んでいます。こうした努力が評価 され、 「SKYTRAX」社の「Airport of the year」で2004年から5 2007年8月、第2滑走路がオープンしたことにより、関西国際 年連続ベスト10入りしているものと自負しております。 空港は新たな一歩を踏み出しました。 日本初の完全24時間空港となったことは、経済のグローバル化、 成長するアジア経済との連携という視点から、 日本にとっても必 社 長 メ ッ セ ー ジ 私たちは地球環境的視点に立った 空港への取り組みを進めていきます 要不可欠な機能となります。この機能を活かし、世界、特にアジ アとの経済・文化交流のゲートウェイとして、 また国際貨物ハブ 関西国際空港は公害のない環境に配慮した空港として造ら 空港として、関西国際空港を発展させていくことが私たちの重要 れました。これまで、空港の根幹的な問題である騒音公害への な使命です。この一歩は当社だけの社会的役割ではなく、関西 対応だけではなく、空港で発生する排水やごみを自ら処理し、海 そして日本にとっても大切な役割を担う第一歩と感じています。 域環境の創造も行うことで、環境負荷の少ない「エコ愛ランド」 として地域とともに歩んできました。 私たちは「安全・安心」と「顧客満足」を 最大の価値として追求していきます 今後、私たちは地域だけにとどまらず、地球市民として積極的 に地球環境問題にも取り組んでいく必要があります。特に地球 温暖化対策への要請が一段と強まっている昨今、従来の計画を 私たちは公共交通インフラの運営において、空港の安全を堅 見直し2008年度より新しい環境行動計画として「エコ愛ランド 持することを何よりも重要だと認識しています。空港の安全には 推進計画」を策定しました。ここでは、地球温暖化に対して温室 大きく、 テロなどに対する「セキュリティ」の面と、安全運航・自然 効果ガス削減の数値目標を具体的に掲げるなど、 より具体的な 災害などの「セーフティ」の二つの面があります。これらの安全を 目標を設定しています。空港の環境活動をより一層進めるために、 徹底的に追求していくことが私たちの最も基本的な使命です。 2008年3月に空港内事業者が参画した「エコ愛ランド推進協議 すべてのお客様に安心してご利用いただき、信頼される空港の 会」を発足させました。空港内で活動している多くのステークホ 実現に向けて、常に取り組んでいます。 ルダーと一緒になって取り組むことで可能性はまだまだ広がって もちろん、 「お客様第一主義の実践」も基本中の基本です。 いきます。 当たり前ではありますが、当社グループでは「安全・安心」と並ぶ また、航空業界全体として環境問題に取り組んでいこうという 最大価値は「お客様満足」ととらえています。お客様というのは 機運が高まっており、2008年4月に世界の航空関係の団体が集 企業が存在する時の最終的な価値のよりどころであり、十分な まって行われた「航空産業と環境」サミットでは、航空産業が責 お客様満足なしには企業は存在できません。この信念のもと、 お 任ある方法で気候変動対策に取り組んでいくことを公約した環 客様の声にも真摯に耳を傾けています。お寄せいただいた声の 境宣言が出されました。当社もこれに参加し、世界に対して温室 一つひとつに対して迅速に対応することを心掛けています。また、 効果ガス削減への強い意思表明をしました。関西国際空港は「人 空港全体でお客様満足を高めていくためには当社グループだけ と環境にやさしい空港」として、環境リーディング空港を目指して の力では実現できません。これについてはCS向上協議会を設置 いきます。 して、お客様と接する航空会社やテナント、官公庁など空港で活 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT 04 社 長 メッ セ ー ジ 新しい未来にチャレンジするために 第2滑走路オープンという新たなスタートを迎え、当社グループ 最後に 当社グループのCSR活動をより深くご理解いただくために、 の企業行動憲章を10年ぶりに改定いたしました。グループの基 従来の環境報告書「エコ愛ランドレポート」を2008年度から「C 本的な使命は変わりませんが、企業への責任や期待も刻々と変 SR報告書」に刷新しました。初めてとなる当社のCSR報告 化している中で、 もう一度グループ一丸となって未来へ向かって 書をお読みいただき、忌憚のないご意見を心からお待ちして チャレンジしようという想いを込めたものです。 おります。 この憲章には3つの経営理念があります。一つは企業市民と 関西国際空港株式会社 して社会的な責任を果たし、 ステークホルダーの皆様との信頼関 係を構築し、空港を運営していくことによって収益を確保していく ことです。その基礎となるのがコンプライアンスと経営の透明性 です。二つ目は、人づくりに対する私から社員一人ひとりへの強 いメッセージとして、4つのキーワードを入れています。 「意欲」 「多 様性」 「創造力」そして「チームワーク」。これによって空港の活 動を活性化し、いきいきと働ける環境をつくっていこうというもの です。 三つ目は、世界最高水準の基幹国際空港を実現することで、 人とモノの交流を通じて人々の相互理解と世界の平和と繁栄に 貢献することです。これは私たちの最終目標であり、 こうありたい という私たちの願いを込めたものです。空港が発展することは、 す なわち世界が平和であるということです。国際交流は、平和を推 進します。関西国際空港が発展し、楽しく使いやすい空港として 平和のシンボルとなること、社員全員がこの想いを実現できるよ う努力してまいります。 05 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT 代表取締役社長 Top Message KIACグループ企業行動憲章 はじめに 関西国際空港株式会社(KIAC)は、航空輸送の円滑化を図り、もって航空の総合的な発達に ● 巻 頭 資するため、関西国際空港の設置及び管理を効率的に行うといった会社の目的を実現すべく、 会社の役員・社員が共通の認識のもとに心をひとつにしてこの目的を達成することができるよ う、1997年に企業行動憲章を制定しました。 2007年に第2滑走路オープンという第2の開港とも言える節目を迎え、 このたびKIACグループ 一丸となって関空の新しい未来にチャレンジするため、企業行動憲章を改定しました。 経営理念 社 長 メ ッ セ ー ジ わたしたちは、安全安心と顧客満足を基本におき、 一、世界最高水準の基幹国際空港を実現し、人とモノの交流を通じて人々の相互理解と世界 の平和と繁栄に貢献することを目指します。 一、良き企業市民として、法と社会のルールを遵守し、公正で透明な経営を追求するとともに、 地球との共生、人間性の尊重、地域社会との調和に努めます。 一 、社員一人ひとりの向上への意欲と多様性を尊重し、創造力とチームワークを高める企業 風土を作ります。 行動指針 1 国際拠点空港としての更なる発展を目指して 24時間稼働する日本初の完全空港としての特色を活かし、 世界、特にアジアとの経済・文化交流のゲートウエイとして、 また国際貨物ハブ空港として、国の内外にわたる旺盛な航 空需要に対応できる国際拠点空港への発展を目指します。 2 安全・安心な空港の実現 安全確保はもとより、すべてのお客様に信頼され、安心してご 利用いただける空港づくりを行います。 3 お客様第一主義の実践 すべてのお客様に親しまれ、 より多くの皆様にご利用いただ けるよう、お客様第一主義の「使いやすく来て楽しい空港」 を実現します。 4 空港価値最大化の追求 経営基盤の一層の強化を図りつつ健全な収益の確保に努め、 効率的な経営を行うことにより、早期の完全民営化を目指し ます。また、完全供用に向けて必要な施設整備を戦略的に 行い、二期島のフル活用を目指します。 5 KIACグループ全体としての持続的発展 グループ各社が目的を共有し、広い視野と高い能力を有す る人材の育成に積極的に取り組みます。また、 グループの持 つ経営資源を最大活用しつつ円滑かつ効率的な空港運営 を行い、 グループ全体の健全な発展を目指します。 6 地域社会との共存共栄 地域社会の一員として、地域に支えられ、愛され親しまれる 空港運営に努めます。 7 環境保全・創造への積極的取り組み より良い環境の保全・創造に自主的、積極的に取り組み、人 と自然に優しい地球環境に配慮した空港運営に努めます。 8 人権の尊重と働きやすい職場環境の実現 人権を尊重する意識の定着を図り、空港を利用する多様な人々 の共感が得られる空港づくりと、誰もが働きやすい職場環境 づくりに向け積極的に取り組みます。 9 コンプライアンス経営の徹底 法令の遵守はもとより、社会のルールや企業倫理に沿って 公明正大な企業活動を行います。また、社会的使命を深く 自覚し、反社会的勢力および団体には毅然とした態度で対 応します。 10 透明性の高い開かれた企業活動の実践 株主はもとより、広く社会とコミュニケーションを行い、透明 性の高い開かれた経営を実践します。 11 倫理意識の向上 役員・社員は、本憲章を遵守するとともに、高い倫理観の涵 養に努め、良き社会の一員として行動します。 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT 06 空港とCSR 空港 の 果たす役割 「空港」は人、 モノ、 カネのすべての交流の基礎となる重要な の経済力や文化・観光などの魅力度に依存する一方で、地域の インフラであり、国際経済の中で国や地域経済を支える役割を 経済を支え、雇用を創出する点で地域との強いつながりを持って 担っています。アジアの国々では国際空港を国家戦略として位 います。また近年は、空港間での競争が激しくなり、経済効率を高 置付けて空港の競争力強化に努めています。また、空港は公 め、需要に対応しつつ、快適で利便性の高いサービスを提供する 共交通インフラという役割から、安全性を確保しつつ安定的な ことが求められるようになっています。 航空輸送の提供が基本的な要請です。空港事業は周辺地域 関 西 国際空港が果たしてきた役 割 関西地域では、大阪国際空港(伊丹空港)が騒音問題を抱え 鉄道、道路、船といった多様な交通アクセス手段を確保した空港で、 ることで、急激に伸びる航空需要に対応できず、経済の発展を 広く地域のお客様の利便性を支えています。 阻む一因となっていました。この関西圏の「空の鎖国」状態を 関西国際空港は、1994年に開港して以来14年が経過し、伊丹 打開し、航空需要の増加への対応、 さらに伊丹空港の騒音問 空港時代と比較して、 日本国内における関空での航空需要シェ 題の抜本的な解決を目指して建設されたのが関西国際空港で アを拡大し、関西地域の発展に資するだけでなく、 日本の重要な す。こうした背景から関西国際空港には4つの基本コンセプト 公共インフラとしての役割を果たしてきました。関西国際空港建 があります。 設の原点である4つの役割をさらに発展させ、 その能力を最大限 一つ目は、騒音公害のない空港。騒音公害が地域に及ばな 活用していくことが、関西だけでなく、 日本、 アジアの発展にとって いよう5キロメートル沖の海上に建設されました。二つ目は、 日本 重要だと考えています。 初の24時間空港。海上空港のメリットとして、国際空港のスタ 騒音公害のない空港 ンダードである夜間でも発着できる空港としています。三つ目は、 国内国際の乗り継ぎに優れた空港。成田空港が首都圏の需 関西国際空港建設の原点 要に対応するのに対して、関西以外の地域のニーズを集めて、 日本初の24時間空港 国内国際の乗り継ぎに優れた空港 多様なアクセスを備えた空港 充たすことのできる日本第二の玄関を目指しました。四つ目は、 日本人出入国者の割合 輸出航空貨物の割合 伊丹空港 その他 7% 福岡空港 16% 関西国際空港 22% 中部空港 12% 56% ※端数処理のため、合計値は合致しません。 出典:入国管理局発表資料2007年確定版 07 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT 14% (関西国際空港開港前のシェア:1993年実績) その他 1% 4% 成田空港 伊丹空港 (関西国際空港開港前のシェア:1993年実績) 福岡空港 中部空港 2% 関西国際空港 24% 7% 成田空港 66% 出典:財務省貿易統計2007年実績 ● 巻 頭 就航都市 貨物便のみの都市 ヘルシンキ イエテボリ フランクフルト ソウル アムステルダム アンカレッジ 釜山 ウランバートル シカゴ バンクーバー ロンドン ウラジオストク パリ ハノイ ローマ イスタンブール カイロ 関西国際空港 ホーチミン タシケント ドバイ デリー ムンバイ カトマンズ ロサンゼルス ダラス ホノルル スービック バンコク ペナン クアラルンプール シンガポール デンパサール インディアナポリス メンフィス サンフランシスコ クラーク マニラ 空 港 と C S R ニューヨーク オークランド 済州 台北 ドーハ デトロイト サイパン グアム ハルピン 瀋陽 北京 コタキナバル 成都 パペーテ ケアンズ ヌーメア ブリスベン オークランド シドニー 桂林 昆明 広州 マカオ 天津 烟台 南京 杭州 大連 青島 上海 福州 厦門 シンセン 香港 (2008年夏期スケジュール) 稚内 国際ネットワーク 旭川 女満別 世界30ヵ国・地域71都市 札幌 帯広 釧路 函館 国内ネットワーク 国内20都市 就航都市 貨物便のみの都市 秋田 花巻 仙台 福島 福岡 佐賀 東京(羽田) 松山 高知 那覇 関西国際空港 鹿児島 宮古 石垣 発着回数 航空旅客数 (万回) 15 (万人) 国際線 貨物取扱状況 (千トン) 輸出 国内線 1400 12.9 12 1200 1,101 1000 9 800 600 6 568 400 3 0 (2008年7月スケジュール) 200 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 (年度) 0 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 (年度) 500 450 400 350 300 250 200 150 100 50 0 輸入 輸出 輸入 合計(兆円) 8 7.8 7 407 384 4.8 6 5 4 3 2.9 2 1 0 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 (年度) K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT 08 空港とCSR 関西国際空港 の 目指す姿と今 後 果たす べ き役 割 日本初の完全24時間空港としての特色 2007年8月、第2滑走路がオープンしたことにより、関西国際 空港として新たなスタートを切りました。空港の処理能力が増大 空港は我が国唯一の世界標準の空港、 すなわち同時離発着可 したことに加え、利便性が良く需要に迅速に対応できる十分な 能な長距離の複数滑走路を持ち、完全24時間運用が可能な 展開用地も備えています。 アジアと経済・文化交流のゲートウェイとしての発展 アジア地域では急速な経済成長や国際水平分業の進展など アクセス改善などを通じて、国際競争力の強化を図ることとして により、人やモノの動きが急速に拡大しています。こういった情 います。また、関西地域は位置的にも経済的にもアジアに近く、 勢を踏まえ、2007年5月、国において、アジアの成長と活力を日 今後ますますアジアとのつながりの中で存在感を高めていく必 本に取り込み、新たな「創造と成長」を実現することなどを目的と 要があります。アジアとのゲートウェイ機能を強化することで、関 した「アジア・ゲートウェイ構想」が取りまとめられました。この中で、 西における観光交流の拡大と関西企業のグローバル化を支え 関西国際空港は重要な社会インフラと位置付けられ、 アジア各 る役割を担っています。 国との間における航空自由化や連絡橋料金の改善を含む空港 国際貨物ハブ空港としての発展 航空物流は我が国の経済基盤を支える重要な役割を担って 国際競争力の強化の観点から求められます。関西国際空港の います。必要な時に必要な量の貨物を、必要な場所へ、 より速く、 強みと特徴を活かし、 「国際貨物ハブ空港」として発展させるこ 安全に輸送するための機能強化が我が国の経済活動および とは、我が国の国際競争力強化に資するものです。 2期計画案 09 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT Our Mission 経 営 資 源を最大活用しつ つ 空 港 価 値 の 最 大 化を追 求 ● 巻 頭 完全民営化に向けた取り組み 当社では、 「関空新中期計画(2006∼2008年度)」を策定し、 トセールスや完全24時間化の利点を活かした貨物便の誘致な 完全民営化に向けた経営基盤強化や収益力向上に取り組ん どに取り組んでいます。2007年12月、国による連絡橋道路部分 でいます。この計画では、経費削減30億円、人員削減40名を目 の買い取りが発表されました。これにより通行料金の引き下げ 標に掲げ、一層の経営効率化を図ることとし、収益力向上の具 が可能となり、旅客・貨物の双方で利便性が向上し、当空港の 体策としては、航空需要とネットワークの拡大に向けたエアポー 国際競争力強化につながるものと期待しています。 空 港 と C S R 地 元 経 済 界 、自治 体と連 携した取り組み 関西国際空港エアポートプロモ ーションの展開 産学官による国際物流戦略チームとの連携 地元自治体・経済界では「関西国際空港全体構想促進協議 「国際物流戦略チーム」は、国際物流の効率化を通じて関西 会」を結成し、当空港の需要喚起、利用促進を図るためのプロ 経済の活性化を目指し産学官のオール関西プロジェクトとして設 モーション活動を行っています。これは、関西の自治体・経済界 立された組織です。ここでは、24時間空港の活用推進のための のトップ自らが先頭に立ち、国内外のエアラインや海外政府など 深夜貨物便を活用した実証実験を行うなどの取り組みを行ってい を訪問し、関空路線の開設・増便に向けたエア ます。当社もこのチームと連 ポートセールス活動および関西のPRを行うもの 携し、国際物流のさらなる効 です。当社も地元の皆様方と一体となって積極 率化と関西の物流機能強化 的にプロモーション活動を行い、2007年度は中 に向けた取り組みを進めてい 国、台湾、韓国、 タイなどの航空会社へのプロモ ます。 ーションを30回実施しました。 エアポートプロモーション 2期島のフル活用を目指して 関西国際空港は、 アジアのゲートウェイとして機能強化を図り ながら、 フル活用していくことが求められています。特に、国際貨 物輸送へのニーズの高まりから、近年、当空港での国際貨物施 設の立地が急速に進んでおり、 1期島での国際貨物用地は飽 和状態にあります。当社としては、完全24時間運用を活かした 迅速な国際航空物流を実現する観点から、2008年度より、2期 島における国際貨物地区の整備を進めていきます。 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT 10 空港とCSR ステ ークホ ル ダ ーとの か か わり 関西国際空港の原点は、地域との共生、環境との調和です。 当社のステークホルダーは、空港をご利用されるお客様、株主・ 当社は、会社設立当初から「関西国際空港推進会議」といった 投資家、従業員、空港内事業者の皆様などさまざまです。当社 地域との対話の場を持つとともに、環境情報の公開や地域社 はそれぞれのステークホルダーの皆様とさまざまなコミュニケーシ 会との交流イベントなどを通じてコミュニケーションを図ってきま ョン手段を通じて、信頼関係と協力関係を構築し、関西国際空 した。地域や環境の他にも、空港を運営する会社という側面から、 港をより良いものへと発展させていきます。 ・お客様 の 声 ・案 内カウンター ・空 港ウェブサイト など お客 様 ・株 主 総 会 ・有 価 証 券 報 告 書 ・中 期 経 営 計 画 ・投 資 家 説 明 会 など 株主 ・ 投資家 地域社会 ・ 環境 ・地元公共団体との 対 話 ・地域交流イベント ・環 境センター・ 環境ウェブサイト など 関西国際空港 グループ ・C S 向 上 協 議 会 ・エコ愛ランド 推進協議会 など 従業員 空港内事業者 ・調 達 情 報 ・技 術 情 報 など 取引先 ・社長訓示 ・イントラネット など すべての ステークホルダー ・C S R 報告書 ・社長定例記者会見 ・プレスリリー ス など 11 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT Our Stakeholder ● 巻 頭 空 港 と C S R お客様 地域社会・環境 株主・投資家 空港内事業者 従業員 取引先 安全・安心な空港運用はもちろんのこと利便性・快適性の向上に努め、お客様の信頼と 満足を獲得していきます。とりわけ、 お客様の声に耳を傾け、迅速な対応に努めていきます。 地域社会の一員として、地域に支えられ、愛され親しまれる空港運営に努めていきます。 また地球的な視点に立った環境保全・創造へ自主的・積極的に取り組みます。 株式会社としての適正な利益を上げることで企業価値の向上に取り組んでいきます。また コーポレート・ガバナンスを強化し、適切な情報開示を行うことで経営の透明性に努めます。 空港内で活動する事業者の方々と一緒になってお客様サービス向上や環境保全への取 り組みを行うことで、空港全体の価値向上に努めていきます。 人権、多様性を尊重し、従業員にとって生き生きと働ける職場環境を提供できるよう努めて いきます。 調達情報を広く公開するとともに、公正かつ透明な調達を実践できるように努めています。 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT 12 経営の基盤 コー ポレート・ガ バ ナンス 「KIACグループ企業行動憲章」ではコンプライアンス経営の徹底、透明性の高い開かれた企業活動の実践を掲げ、 重要課題の一つと位置付けています。 コンプライアンスは法令の遵守だけではなく、社会のルールや企業倫理の遵守と定義し、公明正大な企業活動を行っています。 企業の社会的責任を果たすため、経営の透明性を確保しステークホルダーの皆様の信頼を構築すること、 利益の基礎はコンプライアンスにあることを認識し、 コーポレート・ガバナンスの強化に努めています。 内 部 統制システム コーポレート・ガバナンス体制図 株主総会 取締役会 監査役会 常勤役員会 監査役 社長 監査室 業務監理室 取締役 執行役員 事務部門 情報管理体制 ●情報セキュリティ委員会 リスク管 理 体 制 ●危機管理委員会 ●飛行場安全管理委員会 ●環境管理委員会 効率化体制 ●業務効率化推進委員会 法令遵守体制 ●コンプライアンス委員会 ●契約審議委員会 ●入札監視委員会 企業集団体制 ●グループ経営会議 業務執行体制 13 企業としての持続的な発展を図り、社会からの信頼を獲得する 監督機関としては取締役会があり、 その配下の執行機関として ため、経営における意思決定の迅速性、的確性、公正性および 常勤役員会を設置しています。常勤役員会は、全般的な業務執 透明性を確保することをコーポレート・ガバナンスの基本的な方 行方針に関する事項、重要な個別の執行方針に関する事項な 針としています。そのため経営の監督機能と執行機能の分離を どについて決定します。また当社では、経営の実効性を高めるた 行うことによって意思決定を迅速に行っています。当社の経営の めに分野ごとに担当する執行役員を配置しています。 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT Management 監査体制 監査機能としては監査役(会)があります。監査役は、取締役会 有効性を検討、評価し、業務の改善および経営の効率化につい および常勤役員会など経営執行における重要な会議に出席し、 ての指摘・提言を行います。加えて外部機関による監査も受検 取締役会および執行機能の監査を行います。また、内部監査組 しています。当社グループの会計監査業務は監査法人トーマツ 織として2007年度に「業務監理室」を設置しています。監査は、 により実施されているとともに、定期的に会計検査院など国の機 当社グループの業務に係る法令および諸規定の遵守、 リスク管 関による検査も受検しています。 ● 経 営 の 基 盤 理状況その他内部管理体制全般について、 その適切性および 内部統制システムの体制整備 当社では会社法施行に伴い、2006年5月の取締役会決議に 今の情報管理の重要性から、情報セキュリティポリシーの運用 より内部統制システムの整備に関する基本方針を定めています。 状況の確認や事故に係る改善策の検討などを行う「情報セキュ 2008年4月には、 より内部統制システムの実効性を高めるため、 リティ委員会」や効率化体制として「業務効率化推進委員会」 必要な委員会を設置・改組しました。ここでは、情報管理体制、 リ を新たに設置しました。内部統制体制の整備については、執行 スク管理体制、効率化体制、法令遵守体制および企業集団体 担当部門を定め、責任を持って内部統制体制の構築を進めてい 制として各種委員会を設けています。情報管理体制としては、昨 ます。 コンプライアンス経営 の 徹底 コ ー ポ レ ー ト ・ ガ バ ナ ン ス コンプライアンス体制 コンプライアンス委員会 情報セキュリティと個人情報保護への取り組み 昨今、企業不祥事が多発し、 コンプライアンス意識が高まる中で、 当社では、空港運営にあたって、業務に関わる各種情報、空港 当社においてもコンプライアンスを意識した経営をより一層進め、 に関わる機密情報やお客様の個人情報など重要な情報を膨大 会社の社会的信頼を維持し業務の公正性を確保するため、従来 に扱っています。 しかしながら、 ネットワークへの不正アクセス、重 設置されていた「綱紀粛正委員会」を2008年度から「コンプライ 要区画への不正侵入など多岐にわたる脅威により、 これらの重 アンス委員会」に改組しました。 要な情報が被害を受ける可能性が増大しています。そのような状 今後は、定期的にコンプライアンス委員会を開催し、倫理意識 況の中、重要な情報資産を保護することを目的として、2008年4 の向上や綱紀粛正に取り組むとともに、法令違反に対する是正 月に「情報セキュリティポリシー」を定めました。さらには社内全部 措置や再発防止、内部通報の適正な処理などについて討議を行 長がメンバーとなる「情報セキュリティ委員会」を設置し、情報セ っていきます。 キュリティ推進体制を確立しています。個人情報保護については、 「個人情報保護方針」を定め、当社ウェブサイトに掲載しています。 公正かつ透明な契約制度と法令遵守体制 また、当社が保有する個人情報に関するお問い合わせ窓口を開 当社における工事などの契約については、取引を希望される事 設しています。 業者の方々を広く募ることを原則とし、透明性や公平性に留意の 上、調達活動を推進しています。そのため、取引先の選定などを適 Web 個人情報保護方針 http://www.kiac.co.jp/public/privacy.html 正に行うための機関として、 社長を委員長とする「契約審議委員会」 を設置しており、 また、 それらの契約手続きの適正性・透明性を第 情報漏えいの発生と対応について 三者の観点から担保するため、外部有識者により構成される「入 2008年3月、当社の従業員が自宅で使用している個人所有のパ 札監視委員会」を設置しています。なお、関連法令やそれらの精 ソコンから、 ファイル交換ソフト「Winny」を通じて、業務関連情報が 神を遵守するとともに、発注に関係する従業員のコンプライアンス 意識の向上にも努めています。 ネットワーク上に流失していることが判明しました。当社はこの事態 を重く受け止め、再度このような事態が発生しないよう、 すべての役 員および従業員が情報セキュリティポリシーを遵守し、 さらなる情報 管理徹底の取り組みを図っていきます。 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT 14 経営の基盤 コー ポレート・ガ バ ナンス コンプライアンス意識浸透のために コンプライアンス研修 公益通報制度 近年、企業不祥事が頻発しており、企業に対する社会からの目 当社ではコンプライアンス意識の向上に努めているところです が年々厳しくなっています。当社では、KIACグループ企業行動憲 が、問題の早期発見、未然防止のため、 「公益通報制度」を導入 章の行動指針のひとつに倫理意識の向上を掲げており、役員・ しています。これは2006年4月に施行された「公益通報者保護法」 従業員一人ひとりに企業倫理の意識を定着させるために当社グ にあわせて整備したものです。この制度を広く社内に周知すると ループ役員・従業員を対象にコンプライアンス研修会を実施しま ともに、制度、相談・受付窓口を常時「社内ポータルサイト」に掲 した。2007年度に実施した研修会では、弁護士による判例をまじ 示しています。通報は匿名で行うことが可能で、 いかなる報告・相 えた講義を通じてコンプライアンスマインドの知識の習得を図りま 談であっても、通報した人が決して不利益を被ることのないよう保 した。 証しています。 KIACグループ企業行動憲章の改定 当社グループは1997年に企業行動憲章を制定しましたが、 2007年に第2滑走路がオープンし、第2の開港とも言える節目を 迎えたこと、 さらには企業の社会的責任への要請をふまえ、2008 年1月、企業行動憲章を改定しました。これは、国際空港としての 目指すべき姿、良き企業市民としてのあり方、社員のあり方につ いての「経営理念」と11項目の 「行動指針」からなっています (P6参照)。その全文をリーフ レットにまとめ、 すべての役員 および従業員に配布し、携 帯することとしています。 企業行動憲章リーフレット 透 明 性 の 高 い 開か れた企業 活 動 の 実 践 IR情報の発信 当社では、株主・投資家の皆様への適切な情報開示をタイム リーに行うことを基本に、IR情報を積極的に発信しています。 ウェブサイトにおいて、有価証券報告書をはじめ、格付情報や 公募社債情報、中期経営計画など、重要な経営情報を開示し、 迅速に伝えることを心掛けています。 Web IR情報 http://www.kiac.co.jp/company/ir/index.html 当社ウェブサイト「IR情報」の画面 15 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT Management 株主・投資家の皆様とのコミュニケ ーション 当社では、企業の最高意思決定機関である株主総会を、株主 ナリストの皆様とのオープンマインドな直接対話を通じて、双方 の皆様と直接対話できる貴重な機会であると考えており、 オープ 向コミュニケーションの活性化を図っています。なお、会場にお越 ンな株主総会の開催に努めています。株主総会では、経営方針 しいただけない方のために、説明会で使用したプレゼンテーショ や事業概況をより深く理解していただくために、2008年6月総会 ン資料は当社ウェブサイトで公開しています。 より資料のビジュアル化を導入いたしました。報告書は年2回送 ● 経 営 の 基 盤 付しています。 また、関西国際空港の事業を理解していただくために、全株主 を対象とした見学会を開催し、第2滑走路などを見学していただ いています。 当社では、機関投資家・アナリストの方々を個別に訪問し、決 算の概況や関西国際空港の現状などについて説明するとともに、 年度決算発表時には東京で説明会を開催しています。説明会 では、社長自らが説明し、質疑応答にも対応するなど、投資家・ア 株主総会(2008年6月) 情報開示 情報公開制度 社長定例記者会見 当社は、 「独立行政法人等の保有する情報の公開に関する テレビや新聞などメディアを通じて報道される情報は、 お客様の 法律」(情報公開法)により、外部から請求があった場合、対象と 理解やイメージを大きく左右するため、当社は、報道機関への情 なる法人文書を開示することが義務付けられています。そのため、 報提供を積極的に実施しています。 情報公開制度を設け、法人文書の公開が適切かつ円滑に実施 報道機関を通じて、 ステークホルダーの皆様に当社の現況やト されるよう努めています。なお、制度の詳細についてはウェブサイ ップの考え方を直接かつ広く伝えるために、社長定例記者会見を トで公開しています。 毎月行っています。また、報道機関の方からの取材にも、迅速か Web 情報公開制度について http://www.kiac.co.jp/public/info/pub_info/index.html コ ー ポ レ ー ト ・ ガ バ ナ ン ス つ的確に対応し、正確な情報を発信するよう努めています。 今回、内部統制システムを見直し、 より実効 定着化に取り組んでいきます。企業行動憲章 性のある体制へと改善を図りました。今後は、 に掲げている透明性の高い開かれた企業活動 内部統制に係る各種委員会を着実に運用して の実践やコンプライアンス経営の徹底と倫理 いきます。また、情報流出事故を重く受け止め、 意識の向上を通じて、 ステークホルダーの皆様 新たに構築した情報セキュリティポリシーの徹 に信頼される企業を目指していきます。 底や研修などを通じてコンプライアンス意識の K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT 16 お 客 様とともに 安 全・安 心 な 空 港 の 実 現 当社グループでは、 「空港」という公共インフラを管理する事業者として、 お客様に空港を安全に安心して利用いただくことが基本使命です。 そのため、安全な空港運用に努めるとともに、 テロや災害など緊急事態に備えた取り組みを行っています。 また、災害に強い空港づくりを進めることで、 より一層の安全向上を図っています。 航空機の安全運航に向けて 、 第 1 滑 走 路 を 全 面リニュー ア ル 24時間空港の関西国際空港は、夜間も滑走路を使用して います。これまで滑走路を1本で運用していた際には、週3回、 各3時間という限られた時間内でのメンテナンスを余儀なくさ れてきました。2007年8月に第2滑走路がオープンしたことから、 十分なメンテナンス時間が取れるようになり、1994年の開港 以来初めて、第1滑走路の全面改修が実施できました。改修 にあたっては、工事を夜間に行うなど、航空機の発着の多い 昼間の時間帯は2本の滑走路が使用できるようにしました。ま た、24時間必ずどちらかの滑走路が使用できるように、工事と メンテナンスの日程を工夫しました。全面改修により、開港以 来13年間の使用で傷んだ第1滑走路は、引き続き安全・快適 に利用できるように生まれ変わりました。 T O PI C S 17 2007 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT With Customers セキュリティの 強化と緊急事態に備えた取り組 み 保安体制の強化 インライン検査方式 ※ 関西国際空港では、お客様の安全・安心を考え、ハイレベル なハイジャック検査および受託手荷物検査を行っています。また、 従来の手荷物検査 国際標準に適合した保安対策の強化を目的とし国土交通省が 受託 手荷物検査 定めた「国家民間航空保安プログラム」に基づき、保安体制を 強化しています。 チェックイン インライン 方 式 搭 乗 2007年10月より国際線チェックイン時の手荷物検査を「イン チェックイン ライン検査方式」に変更したほか、駐機中の航空機や貨物上屋 の保安強化などを行っています。 ※インライン検査方式:お客様がチェックインカウンターで荷物をお預けになった後、 コン ベヤで荷物を搬送しながら、高性能の検査装置により検査を行う方式で、手荷物検査 のセキュリティレベルが大幅に向上します。 ● お 客 様 と と も に 災害、緊急事態に備えた取り組み 当社では、空港および周辺で航空機事故が発生した場合に 備えて、 緊急連絡体制、 活動内容および相互調整などを定めた「関 AEDの設置 関西国際空港では、2008年3月現在で計35台のAEDを設 西国際空港緊急計画」を策定しています。さらに、事故や災害な 置しており、これまで累計で2,000人以上のスタッフに対して使 どが発生した場合に消火救難 用法の教育を実施しました。教育にあたっては、単に使い方を および救急医療活動を迅速か 主な訓練 ハイジャック初動措置訓練 学ぶだけでなく、心肺蘇生までできるようになる内容となっていま 不法侵入事案対処訓練 す。2005年8月には、旅客ターミナルビルにて心肺停止状態に つ適切に実施できるように各 航空機事故消火救難総合訓練 陥られたお客様にAEDを使用し、かけがえのない命を救うことが 種訓練を行っています。 初期消火活動訓練 できました。 安 全 ・ 安 心 な 空 港 の 実 現 消火活動訓練 VOICE 「緊急事態に備え、 日々、訓練を実施しています」 航空機事故など緊急事態に備え、各種訓練を行っています。練習をしないで試 合に臨むスポーツ選手がいないように、セキュリティを担う者にとって訓練は、空港 の安全を守るために欠かすことのできないものだと認識しています。また、空港内の さまざまな事業者で構成される空港保安委員会、消火救難協力隊の方々などと、訓 練の計画段階から連携を密にして訓練を実施しています。訓練後の反省検討会で も、次回以降の訓練をより良いものにするために前向きな意見を交換しています。 「安全・安心こそがお客様への最大のサービスである」という意識を常に持ち、 実際に事案が発生したときに備えて、 日々訓練を行っています。 セキュリティ部 安全グループ 尾崎 勝 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT 18 お 客 様とともに 安 全・安 心 な 空 港 の 実 現 安 全 な空港運用 へ の 取り組み 施設や設備のメンテナンス 当社は、滑走路やエプロン(駐機場)、旅客ターミナルビル、連 絡橋など、多種多様な施設を所有しています。当社グループでは、 これらの施設を万全に維持管理することで、24時間円滑な空港 安全運航を支える航空灯火のメンテナンス 航空灯火は、灯光により離着陸する航空機に情報を与える 重要な施設で、24時間空港の航空機安全運航を支えています。 運用を支えており、職員の技術力向上のための研修やヒューマ 関西国際空港には約9,000もの航空灯火があり、これらを最良 ンエラー防止のための教育などを実施しています。 な状態に維持するため、深夜のメンテナンス作業と24時間リア ルタイムの監視を行っています。 制限区域の安全管理 「制限区域」は航空機の運航に直接関係する重要区域で、 するとともに、当社および航空局関西空港事務所、航空会社な 滑走路では昼夜航空機が離着陸を行い、駐機場周辺では航空 どで構成する「関西国際空港飛行場委員会」を設置し、空港全 機のほか貨物・手荷物運送、給油作業、航空機牽引の車両など 体での安全管理の向上を図ります。 慌ただしく通行しています。この区域の安全管理は当社の重要 な使命であり、航空機の運航、車両交通、地上支援作業のため のルール作りと管理、教育などを行っています。2008年1月には、 飛行場の安全管理の充実を目的として、安全管理体制を整備し ました。社内体制では、副社長を委員長とし、関係役員、部長をメ ンバーとする「関西国際空港飛行場安全管理委員会」を設置 VOICE 「責任とやりがいを持って滑走路を点検しています。」 滑走路の定時点検は早朝と夕方に1日2回実施しており、必要に応じて臨時点 検も実施しています。万一、滑走路面にひび割れや陥没が発生したり、落下物な どが散乱していると、航空機のタイヤのバーストやエンジンへの吸引により大事故 につながる可能性があるため、特に注意して点検しています。滑走路に異常があ った場合にどう対処すべきかは、すべて点検者の判断にかかってきますので、責任 は重いのですが、非常にやりがいある業務です。 毎日の点検業務は、お客様から見えない部分ですが、お客様に「安全・安心」と いう基本的なサービスを常に提供できるよう努めています。 オペレーション部 運用室 長谷川 勇輝 19 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT With Customers 自 然 災害に強い 空港づくり 集中豪雨や高潮への備え 地震・津波への備え 関西国際空港は、海上人工島ゆえに台風などの水災害を受 空港は、数万の人が活動する場です。公共インフラを管理す けやすい環境にあります。 1期空港島では、空港を取り囲む止水 る立場から、地震・津波といった災害に対しても万全の備えが必 壁や雨水排水ポンプを設置することで、 これらの課題に対し万全 要です。阪神・淡路大震災では、関西国際空港においても強い な対策となっています。止水壁により、地下への海水の流入がな 揺れが発生しましたが、大きな被害はありませんでした。当社では、 くなり、地下水の上昇によ さらなる安全・安心の備えとして、空港内にある高架道路の耐震 る問題はなくなりました。ま 補強工事を進めています。また、東南海・南海地震による津波に た、豪雨があっても空港 対しても備えが必要です。これについては、空港周りのコンクリー 内10カ所に取り付けた巨 ト壁(護岸) をかさ上げするなどして、万全を期しています。 大なポンプで速やかに排 ● お 客 様 と と も に 水します。 排水ポンプ 止水壁のイメージ 耐震補強工事 安 全 ・ 安 心 な 空 港 の 実 現 沈下への対応 旅客ターミナルビルは、多くの機能が集積した長さ約1,700m の巨大な建物であり、不同沈下は建物の構造に悪影響を与え ます。このためターミナルビルの柱、1本1本の沈下を自動計測し、 問題が発生する前にジャッキアップにより修正し、建物を健全に 維持しています。ターミナルビルにある約900本の柱のすべて が調節可能であり、不同沈下に対しても安全・安心を実現して います。 また、沈下の仕組みや沈下への取り組みについてよりご理解 いただけるよう当社ウェブサイトで情報を開示しています。 Web 沈下への取り組み http://www.kiac.co.jp/tech/sink/index.html ジャッキアップ 空港の最も基本的な施設の一つである第1 を着実に実施し、運用面での制限区域の安全 滑走路の全面改修を行い、安全・快適な滑走 性向上を図ります。保安や防災面については、 路へとリニューアルしました。今後も、継続的に 保安の高度化に対応したマニュアルの見直し メンテナンスを行うことで安全で安定した空港 や危機管理マニュアルの拡充を図ってまいりま 運用を支えていきます。また、2007年度に構築 す。 した「関西国際空港飛行場安全管理システム」 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT 20 お 客 様とともに お客様第一主義の実践 当社では、空港の安全・安心を基本としつつ、 「お客様第一主義」の徹底と「お客様満足」の充実を目指したサービスの向上に取り組んでいます。 一つひとつのお客様の声に徹底してこだわり、積極的に対応することでサービスの改善、向上に取り組んでいます。 完全24時間の国際空港として多様化するお客様のニーズに応えるべく、 施設機能の改善、商業サービスの充実なども行っています。 また、空港事業者で構成する協議会を設置し、空港全体のCS向上に取り組んでいます。 国 際 線 イン ラ イン 化 とフ ロ ア の 再 配 置 に より混 雑 緩 和 を 実 現 2007年10月より、国際線チェックイン時にお客様が航空会 社へお預けになる手荷物の検査をインライン検査方式(P18 参照)に変更しました。これにより、 チェックインカウンター前で 行われていた受託手荷物検査がなくなり、 スムーズなチェック インが実現できました。同時に、 お客様が安全・快適にご利用 頂けるよう国際線出発フロアのレイアウト変更を行いました。 具体的には、手荷物検査装置やフェンスを撤去し、 ゆとりのあ 「インライン化と国際線フロアの施設の再配置を行った際、素 材の工夫を行ったことで国際線出発フロアがより明るく開放的な 空間に生まれ変わりました。インライン化後の フロア状況を見ますと、 お客様の動線の確保、 るお客様動線を確保するとともに、 お客様が利用しやすいよう、 視認性が向上したことによりチェックインをス 団体受付カウンター、案内/保険カウンターの位置の改善、 ムーズに行っていただけるようになりました。 自動販売機や公衆電話などの整理を行いました。 これにより、 お客様が気持ち良く海外の旅へ 出発していただけると思います。」 T OP I C S 21 2007 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT 施設管理部 設備グループ 養父 碧 With Customers C S 向上 のため の 仕組み CS:Customer Satisfaction(お客様満足) CS推進体制 お客様のニーズに迅速かつ的確に取り組むためのCS推進専 港内事業者が一丸となってCS向上に取り組む組織として「関西 属部署として、 「CS推進センター」を設けています。また、全社的 空港CS向上協議会」を設置しています。協議会は、航空会社、 にCSを推進していくための組織として「CS推進本部実行委員会」 行政機関、 テナント事業者など33団体で構成されています。 を設け、施設改善やサービス向上に取り組んでいます。さらに、空 「お客様の声」をかたちにする取り組み お客様の声の内訳(2007年度) 当社では、 お客様からの声を、 「関西国際空港をより良い空港 の一つひとつに感謝の気持ちで取り組んでいます。旅客ターミナ 3% 7% 4% 4% ルビル内に設置しているご意見箱などを通していただいた声は、 9% にしていくための貴重な財産」と受け止め、お寄せいただいた声 22% 旅客ターミナル施設・設備 ● お 客 様 と と も に 接客態度・マナー 飲食・物販・サービス 総件数 案内 出発・到着手続き関係 CS推進センターで集約し、翌日には経営層から担当者まですべ 1480件 空港アクセス関係 20% 13% ての従業員にメールで伝え、迅速に対応する仕組みになっていま 就航先 たばこ関係 19% す。また、お客様からいただいた声への取り組み方法についても その他 全社で共有しています。 2007年度お客様の声をかたちにした事例 ● 傘のリサイクル 2007年12月より、空港内の不要 な傘をお引き取りし、お客様にご自 由にお持ち帰りいただく「リサイク ル傘サービス」を開始しました。 お 客 様 第 一 主 義 の 実 践 ● 手荷物カートのリニューアル 2007年10月より、高齢の方や女 性にも利用しやすい、軽量で操作 性の良い手荷物カートを導入しまし た。新しいカートは、従来のものより 8kg軽くなりました。 「お客さまの声」が「かたち」にかわるまで VOICE Web お客様の声をかたちにした事例 http://www.kansai-airport.or.jp/cs/voice/index.html 「お客様の一つひとつの声に誠実に対応しています」 私の業務は、毎日、寄せられた「お客様の声」を集約し、 につながるよう努めています。また、お子様連れのお客様 内容確認をした上で社内担当部署や関係機関にお伝え からのご意見も多く寄せられています。 するとともに、社員全員に配信しています。お客様からお叱 今後は、 こうしたお客様にも快適にご利 りの声を受けることも多いですが、 「空港スタッフがとても 用いただけるように、授 乳 室やキッズ 親切だった」など、接遇に関するお褒めの声が寄せられた ルームの設 備などの見 直し、増 設に 時は、 とてもうれしく思います。お客様から感謝の言葉をい 取り組んでいきます。 ただいた際は、関西国際空港のスタッフ表彰制度「CSエ クセレント」へ推薦し、表彰することでスタッフの志気向上 CS推進センター CS推進グループ 黒川 真理 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT 22 お 客 様とともに お客様第一主義の実践 空 港スタッフ全員 の C S意識 向 上 関西空港CS向上協議会で行っている取り組みについて紹介します。 CSキャンペーン 空港スタッフ表彰制度 毎年9月の1カ月間、 「キープスマイリング・クリーンエアポー 関西国際空港で働くスタッフのCSに対する関心度を高め、空 トキャンペーン」を実施しています。これは、空港でお客様と直接 港全体のサービスレベルを向上させることを目的に、 お客様に素 接するスタッフを主役とし、CS向上につながる接遇・環境美化 晴らしいサービスを提供し、CS向上に大きく貢献したスタッフを表 意識の高揚を図ることを目的としたキャンペーンです。また、混雑 彰する制度「CSグランプリ」を設けています。表彰にあたっては、 が予想されるゴールデンウィーク、夏季、年末年始の期間に、空 お客様から寄せられた声をもとに、関西空港CS向上協議会によ 港スタッフが一丸となったお客様への「おもてなし」の意識向上 る厳選な選考の上に決定しています。 のため、 「ハッピーホリデーキャンペーン」を行っています。 さらに、接遇マナーの向上を目指すため、空港スタッフを対象 とするCS講演会を開催しています。 CSグランプリ表彰式 ポケットハンドブック/マナーポスター 空港内でお困りのお客様をスマー クリーンエアポートキャンペーン トにご案内するために、空港スタッ フは携帯マニュアル「POCKET HAND BOOK」を常備しています。 このほか、 マナー啓発ポスターを作 るなど、空港スタッフのマナー意識 の向上に努めています。 マナー啓発ポスター CS講演会 「CSグランプリを受賞して」 2007年度 CSグランプリ受賞者紹介 VOICE お客様が機内販売で購入された 整備は、お客様に直接触れない部分での仕事が多いのですが、客室での整備作業において ペンダントを機内のお手洗いで試 着される際に、便器内に落として しまわれたという事態があり、乗務 は、お客様にご満足いただけるように維持する事はもちろんのこと、機内に入 る際にはカーペットを汚さないように靴カバーを着けるなど、常にお客様の視 員より探してほしい旨の連絡があ 点に立った仕事を心がけています。 りました。到着後、迅速にラバトリ 整備に携わる職場でCSグランプリを受賞させていただいたことは、大変 ー内の紛失物捜索を実施した結果、 光栄なことで感謝しています。私どもの整備の仕事は安全性はもとより、 ペンダントを発見することができ、 より高品質な機材を提供できるよう、強い責任感と使命感を持って、 お客様に大変喜ばれたという事 今後も一便一便の安全運航に寄与していきたいと思います。 例に対し贈られました。 株式会社JAL航空機整備成田 (※肩書きは当時のものです) 宮下 雄基 氏 23 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT With Customers す べ て のお客様に快 適にご利 用 い ただ ける施 設 づくり すべての方に安心して快適にお使いいただけるよう、施設面や人的サービス面でさまざまな工夫をして、 空港のユニバーサルデザイン化を進めています。また、身体障がい者団体の方に空港施設をチェックしていただき、 改善結果の確認や問題点の抽出を行っています。 快適トイレへリニューアル 身体障がい者駐車場スペースの改良 空港特有の利用形態に対応しト イレを改修しています。大きな荷 物の持ち込み、お子様用便座、 オ ● お 客 様 と と も に ストメイト対応や折りたたみ式の 着替え台を設置するなど、多様な 用途に対応しています。 案内サインのピクトグラム化 どなたにもわかりやすい表示を心 掛け、旅客ターミナルの案内サイ 「駐車場の身体障がい者用スペースに健常者の人が車を停めてい ンにピクトグラム(絵文字) を使用 て利用できない」との声を受けて、駐車場スペースを改修し、身体障 しています。 がい者の方に優先的にお使いいただけるようにしました。駐車スペ ースにゲートバーとカメラを設置し、 その場で身体障がい者手帳の 確認ができるようになりました。さらに、駐車位置を見直し、安全な移 動ルートを確保しています。 お 客 様 第 一 主 義 の 実 践 国 際 空 港として の 多 様 な サ ービス 関西および日本の玄関口として、多様なお客様に接しています。 祈祷室の設置 中国語の語学研修の実施 お客様の「お祈りや瞑想などがで 多彩な国々のお客様に接するため、 きる施設がほしい」という声にお 空港スタッフを対象に中国語の 応えするため、旅客ターミナルビル 基礎研修を行いました。 内に「祈祷室」を設置しています。 案内サインを4カ国語表示へ 観光情報センターの設置 当空港はアジアからのお客様の 訪日外国人旅行者を中心とする 比率が高いことから、主要な案内 お客様へ、歓迎の意を込めて観 表示板を日本語、英語に加え、中 光情報が充実した「観光情報セ 国語、韓国語を表示することで、 よ ンター」を設置しています。観光情 り多くの国の方に利用しやすくし 報の発信拠点として、関西や日本 ています。 各地の情報が入手できます。 設置者:関西圏内15自治体 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT 24 お 客 様とともに お客様第一主義の実践 多 様 なニ ーズに応える店舗 の 展 開 当社では、 「使いやすく来て楽しい空港」の実現を目指して、 さ まざまなお客様の利便向上を図っています。24時間空港として お客様のニーズに対応できるよう24時間営業の空港ラウンジを 24時間営業の空港内ペットホテル 最近のペットブームにより、旅行に行かれるお客様のペットホ オープンさせたほか、航空機の運航スケジュールに合わせて、各 テルのニーズも高まっています。関西国際空港では日本で初め 店舗・施設の早朝・深夜営業対応に取り組んでいるのもその一 て空港内に「ペットホテル」を設置しました。24時間営業なので、 つです。出発時間の遅い便をご利用されるお客様から「営業時 深夜、早朝便でも出発直前までペットと一緒にいられ、到着後す ぐにペットに逢えます。 間が短い」という声も多く寄せられたことから、国内線出発口前 にある物販エリアや、国際線出発コンコースにあるレストランや 免税店などの営業時間を延長しました。 また、限られたお時間の中で、数多くのお客様に快適なお時 間を過ごしていただくため、既存レストランエリアをフードコートス タイルの「ダイニングコート町家小路」としてリニューアルしました。 これにより、出発前のお時間のないお客様にも素早く商品を提 供できるようになりました。 VOICE 「24時間ラウンジを幅広くご活用いただいています。」 フライトまでの時間を有効に使っていただくため、 また空港 内でゆったりとくつろいでいただくために、2007年3月、旅客タ 線到着便のお客様がシャワーを利用されたり、家族旅行の方 ーミナルビルの2階において「KANKU LOUNGE」の営業を がグループスペースやキッズルーム、 レディーススペースをご活 開始しました。これは、 インターネットカフェ機能が加わった日 用いただくなど多様なニーズでご利用をいただき好評を得てい 本初の24時間空港ラウンジで、高速インターネット、 コミック・ ます。台風などにより航空機の運航に支障が出た場合の必 雑誌、映画鑑賞など多彩な楽しみ方ができます。 要施設として、航空会社の方などにも認知されています。 「KANKU LOUNGE」はオープン以来、幅広い方々にご利 ターミナル営業部 営業開発グループ 上林 光明 25 用いただいています。ビジネスニーズはもとより、早朝の国際 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT With Customers 鉄 道アクセス の 安定運行に向 けた取り組 み 防風柵の設置 関西国際空港と対岸を、JRと南海電鉄の2つの鉄道で結ん でいますが、 これまで風速26m/秒以上の風が吹くと、安全のため 列車の運転を規制しなくてはなりませんでした。このため、台風シ ーズンや冬の季節風シーズンにたびたび列車が運休し、 お客様 にご迷惑をおかけしていました。 そこで、列車に影響を与える風を弱めるため、防風柵を設置す る工事を実施し、2008年3月末に完了しました。列車の運行は風 連絡橋 速30m/秒までできるように改善され、運休回数はこれまでの約3 分の1※に減少する見込みです。 ● お 客 様 と と も に ※防風柵設置による効果(運転規制回数および時間) 【完成前】 (平成6∼18年度までの年平均) 回数 11.3回 時間 27.2時間 【完成後】 (上記に基づいた見込み) 回数 3.3回 時間 3.9時間 防風柵 外部からの評価 関西国際空港は、 イギリスの調査会社であるSKYTRAX社 「AIRPORT of the YEAR 2008」 総合結果 が実施した空港格付調査「AIRPORT of the YEAR 2008」 1位 香港国際空港 中国 において、総合ランキングで第6位にランクインしました。前年 2位 チャンギ国際空港 シンガポール 3位 インチョン国際空港 韓国 4位 クアラルンプール国際空港 マレーシア 5位 ミュンヘン国際空港 ドイツ 調査の結果、旅客ターミナルビルの清潔さについて高い評 6位 関西国際空港 日本 価をいただきました。今後も、お客様にすみずみまで配慮した 7位 コペンハーゲン国際空港 デンマーク 空港と評価していただけるよう努力を重ねていきます。 8位 チューリッヒ国際空港 スイス 9位 ヘルシンキ国際空港 フィンランド ケープタウン国際空港 南アフリカ 度に引き続き、 日本の空港では5年連続、唯一のベスト10入り となりました。 お 客 様 第 一 主 義 の 実 践 10位 当社グループでは、企業行動憲章で「お客 着実に行っていきます。また、深夜・早朝の店 様第一主義の実践」を目標に掲げ、空港内事 舗営業の充実など24時間空港に対応した商 業者と連携した空港全体のCS活動を行うとと 業サービスの強化に努めていきます。すみずみ もに、 お客様の声に耳を傾けサービスの改善に まで配慮された空港としてお客様に評価される 努めてきました。今後ともCS向上協議会の活 よう、今後ともサービスの改善・充実を図ってい 動を推進していくとともに、 「お客様の声」の対 きます。 応をより強化するため、対応状況の進捗管理を K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT 26 地 球 環 境とともに 環 境 保 全・創 造 へ の 積 極 的 取り組 み 浄化センター 関西国際空港は、環境と共生する21世紀型空港として、 公害のない、地域と共存共栄する空港を目指すとともに、 地球環境的視点に立った環境対策にも積極的に取り組み、 循環を基調とする持続的発展可能な「人と環境に優しい」空港を目指しています。 「 関 西 国 際 空 港 エ コ 愛 ラ ンド 推 進 協 議 会 」の 設 立 関西国際空港におけるこれまでの環境への取り組みの輪 をさらに広げ、空港内事業者の方々と力を合わせ、 「エコ愛ラ ンド推進計画」を進めていくことを目的として、2008年3月、 「関 西国際空港エコ愛ランド推進協議会」を設立しました。この 協議会には、当社グループを含めて計40の事業者や団体が 参加しています。 協議会では、関西国際空港での環境活動の推進やPR活 動などを行っていきます。2008年度は、協議会の会員を対象 としたアイドリングストップキャンペーンの開催や環境見学会 なども計画しています。 T O PI C S 27 2007 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT (協議会マーク) With Environment 環 境 マネジメント 新環境プラン「エコ愛ランド推進計画」(2008∼2012年度) 当社では2001年度に、 空港全体を対象範囲として策定した「関 への取り組みを継続・発展させていくために新環境プラン「エコ 西国際空港環境管理計画(エコ愛ランド・プラン)」に基づいて、 愛ランド推進計画」を策定しました。 大気や水質といった環境への負荷を可能な限り低減するために、 環境保全目標の達成に取り組んできました。2007年度、第2滑 エコ愛ランド推進計画 http://www.kiac.co.jp/env/eco/index.html Web 走路オープンに伴い、 この計画期間が終了したことから、環境 新環境プラン「エコ愛ランド推進計画」の概要 空港施設からのCO2削減目標 1.取組内容 ①「快適な地球環境を守る空港に向けた取組」 ②「地球環境への負荷の少ない空港に向けた取組」 ③「循環型の空港に向けた取組」 ④「自然を大切にし、ふれあいのある空港に向けた取組」 ⑤「地域の人々や利用者とともに生きる空港に向けた取組」 航空機からのCO2削減目標 (航空機発着回数当たり) (トン-CO2/回) 1.5 (航空機発着回数当たり) 10% 削減 1.2 0.9 2.特徴 0.6 ①数値目標の設定:すべての取組に対して目標を設定し、数値化が可能な項 目については数値目標を設定することで、取組の推進とその管理を行います。 ②計画期間:2008年度から2012年度までの5年間 0.3 0.0 2003 2004 2005 2006 2012 (年度) (トン-CO2/回) 4.0 3.5 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0.0 2003 2004 2005 2006 10% 削減 2012 (年度) 環境マネジメント体制と環境監視体制 「エコ愛ランド推進計画」に合わせて推進体制をより実効性 推進を図ります。また、内部監査体制として常勤監査役による のあるものに見直しています。社長を委員長とする「環境管理 環境監査も行います。 委員会」で、引き続き計画の取り組み状況の評価・改善を行い 地域への影響を把握するため、環境監視体制を整えています。 ます。また、副社長を「環境管理推進責任者」に任命し、社内 航空機騒音、大気質、水質、海域生物などについて監視を行い、 の各部に「環境管理推進者」を置き、全社的な推進体制を取 実施にあたっては、大阪府知事および泉州9市4町長で構成さ っています。 れる「関西国際空港環境監視機構」から指導・助言を得ていま これまで独立していた「省エネルギー委員会」を環境管理体 す。調査結果は関係行政機関などに報告するとともに、当社の 制の中に位置付け、省エネルギーとCO2排出抑制の効果的な ウェブサイトなどでも公開しています。 環境マネジメントシステム 環境推進体制図 環境管理 委員会 ・エコ愛ランド推進協議会 ・省エネルギー委員会 ・エコ愛ランド推進計画 Plan ・環境活動の見直し、改善 ・環境管理委員会 Action ●委員長 (社長) ●委員 (役員) Do ・エコ愛ランド推進計画の実践 常勤監査役 環境管理推進 責任者 副社長 Check ・環境監視 ・活動の成果、 目標達成度の確認 ・環境パフォーマンス集計 ・環境監査 監査室 環 境 監 査 環境管理推進者 ● 地 球 環 境 と と も に 環 境 保 全 ・ 創 造 へ の 積 極 的 取 り 組 み エコ愛ランド 推進協議会 ●会長 (施設整備本部長) ●会員 (空港内事業者等) 省エネルギー 委員会 ●責任者 (施設整備本部長) 各部等の長 環境管理推進員 各部等総括担当 グループリーダー K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT 28 地 球 環 境とともに 環 境 保 全・創 造 へ の 積 極 的 取り組 み 環 境コミュニケ ーション 情報発信 ウェブサイトや発行物での情報公開 「環境センター」での開示 当社のウェブサイトに環境情報のページを設けています。ここ 関空展望ホール「スカイビュー」2階に、 「関西国際空港環境 では、 「エコ愛ランド推進計画」や航空機騒音観測結果などの センター」を設置しています。ここは、測定した航空機騒音や大 情報を公開しているほか、環境のお知らせや空港内事業者の取 気質などのデータを集計し、報告書を作成するための施設ですが、 り組みを紹介する「環境ひろば」を設けています。当社の関連会 一般の方でも見学できるようにして、騒音データの閲覧やパソコ 社である関西国際空港用地造成株式会社のウェブサイトでは、2 ンで騒音を体験できるようにしています。 期工事に関連した大気質や水質などの環境情報や活動につい て紹介しています。また、環境に関する方針や取り組みを紹介し た「エコ愛ランドレポート」を2002年より毎年発行しています。 2008年からは、環境以外の情報も盛り込みCSR報告書(本報 告書) としています。 Web 環境情報について http://www.kiac.co.jp/env/index.html エコ愛ランドレポート2007 当社ウェブサイト「環境情報」 環境学習の場の提供 大 阪 府貝塚 市に空 港、地 域 VOICE 「空港と身近に交流できる場です」 そして自然・環境をテーマとした 自然・環境体験学習施設「関空 「関空交流館」は、パリのシャルル・ド・ゴール空港にある「環境の家」をモデルに、地域と 交流館」があります。当館は、財 共存共栄しつつ関西国際空港をもり立てていくことを目的に建設されました。交流館屋上で 団法人関西空港調査会が運営 は常に騒音測定を行っており、騒音状況がリアルタイ しており、空 港をP Rできる大 切 ムにわかる仕組みになっています。お客様からは、 「航 な施 設として情 報を提 供するな ど連携を図っています。2007年 度は24,095人が来館しています。 空機騒音と日常の生活騒音を比べると、航空機騒音 のほうが小さいことがよくわかって、びっくりした」とい う声が多く、空港周辺=すごくうるさい、 といったイメー ジを持たれている方がまだまだ多いのだなと感じ、関 空交流館の重要性を実感しています。今後も、地域 の人々が関西国際空港について身近に楽しく学べる 場として、 さまざまな情報を発信していきます。 関空交流館 事務長 六条 孝子 さん 29 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT With Environment 環境交流活動 主要空港環境連絡会議の開催 「エコプロダクツ」への出展 空港が抱えるさまざまな共通課題にともに取り組んでいくため、 当社および関西国際空港用地造成株式会社は、東京ビッグ 2007年9月、関西国際空港、成田国際空港、中部国際空港の サイトで行われる日本最大級の環境展示会「エコプロダクツ」に、 空港会社による「主要空港環境連絡会議」を発足させました。 2004年度から毎年参加しています。2007年も、国土交通省航 2008年5月に行われた第2回会議では、各空港の環境管理計画 空局、成田国際空港、中部国際空港などとともに参加しています。 やGPUの利用促進方法(P32参照)について意見交換を行い ました。 海外研修生の受け入れ 国際協力銀行(JBIC)および国際協力機構(JICA)の依頼 ● 地 球 環 境 と と も に により、2007年8月に18名の海外研修生を受け入れました。研 修では、当空港における環境への取り組みについて学ぶとともに、 空港施設の見学を行いました。 環 境 保 全 ・ 創 造 へ の 積 極 的 取 り 組 み 航空業界の環境宣言に署名 2008年4月にスイスのジュネーブにおいて、世界の航空関係の団体 が集まり「航空産業と環境」をテーマにサミットが行われ、気候変動に関 する航空業界宣言が出されました。これは、航空業界全体が一致団結 して気候変動対策に取り組んでいくことを世間に公約し、CO 2 排出のな い未来に向かって進んでいくことを宣言したものです。当社もこの宣言 に署名し、気候変動への問題に積極的に取り組んでいくことを世界に 対して決意表明しました。 今後もステークホルダーの皆様との環境コミ また、環境センターや関空交流館との連携によ ュニケーションを積極的に図るとともに、騒音・ り、引き続き当社グループ一体となった環境配 大気質・水質などの環境データや「エコ愛ラン 慮への企業風土を醸成し、関西国際空港エコ ド推進計画」の実施状況について、CSR報告 愛ランド推進協議会を通じた空港内事業者全 書などを通じて情報を随時公開していきます。 体の取り組みを広げていきます。 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT 30 地 球 環 境とともに 環 境 保 全・創 造 へ の 積 極 的 取り組 み 地 球 温暖化防止に向けて 空港全体のCO 2 排出量 当空港の事業活動により排出されるCO 2は、2007年度は り発着回数が増加したこと、航空機の地上走行距離が増加した 58.1万トンとなっています。そのうち、航空機の排出するCO 2は ことによりCO2総排出量が6.8%増加しましたが、航空機の小型 75.5%を占め最も多く、次いで旅客ターミナルビルなど空港施設 化などにより航空機発着回数当たりのCO2排出量は2.8%減少 が13.7%を占めています。2007年度は第2滑走路オープンによ しています。 CO2排出量の内訳(2007年度) 関西国際空港のCO2排出量の推移 [排出量の算定条件] (万トン) 80 60 (トン) 5 4.65 航空機発着回数当たりの CO2排出量 0 2006 58.1 空港全体の CO2排出量 2007 (年度) ・航 空 機 からの 排 出 量 は、 ICAOが規定するLTO(Leading and Take-off:高度3,000フィ 4.5 54.4 その他施設など 7.7% 当社管理施設 4.52 40 20 車両 3.1% 13.7% ートと地上間における着陸から 総排出量 58.1万トン 航空機 4 75.5% 離陸までの航空機の動き)サ イクルを空港分として算入。 ・車両からの排出量は、制限 区域内車両を対象とし、空港 を出入りする電車、船舶、通行 車両を除く。 省エネルギ ーとCO 2 排出量の削減 省エネルギーの推進 連絡橋道路照明の改修 当社では2002年に「省エネルギー委員会」を設置して、旅客 連絡橋の中央部分(1.8km)には、欄干に蛍光灯を埋め込ん ターミナルビルとエアロプラザを中心に空調や照明などについて だ「高欄照明」を採用していましたが、2008年4月より、効率的に 運用の改善や改修工事を行い、省エネルギー対策を推進してき 前方を照らす「低位 ました。このうち、情報システムを利用した旅客ターミナルビルの 置プロビーム照明」 を導入しました。これ 空調の効率化により、2006年度省エネルギー優秀事例全国大 により、約143トンの 会「経済産業大臣賞」を受賞しています。これは大空間となって C O 2 が 削 減 可 能と いる旅客ターミナルビルのゲートラウンジ部分の空調運転制御 なりました。 について、航空機の発着情報を提供する「旅客案内情報システ ム」から情報を取り込むことにより、ゲートラウンジの使用状況に 合わせて空調機の運転を大幅に低減することが可能となりました。 これにより、約1,400トンのCO2削減につながっています。 ETCの導入 オフィスでの取り組み 当社のオフィスでの環境活動を推進していくために、 「オフィス 環境管理マニュアル」を制定しています。マニュアルでは、 「電 3月より、ETCが利用できるようになりました。料金支払い時に繰り 返す停車・発進がな くなることで、約35ト 気使用量の削減」 「冷熱・温熱使用量の削減」 「OA用紙使用 ンの C O 2 の 削 減 に 量の削減」などについてルールを定めており、当社従業員に対し つながっています。 て周知を図っています。また、各部署で環境管理推進員を任命し て、 マニュアル運用の推進を図っています。 31 関西国際空港と対岸を結ぶ連絡橋の料金所において、2007年 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT With Environment 航空機のアイドリングストップ 当社では、駐機中の航空機から排出される大気汚染物質など の削減を図るため、APU ※1の使用を制限し、環境にやさしい GPU利用率※ (%) 100 GPU※2の利用促進を図っています。当空港では、APUの使用 制限について航空路誌「AIP」※3に掲載し、航空会社に広く周 知しています。G P Uの利 用 率は年々増 加し、2 0 0 7 年 度は 74.6%となっています。 80 61.1 60 77.3 53.4 78.1 51.9 87.5 61.1 56.2 91.0 68.8 39.4 40 20 ※1 APU:航空機に搭載されている小型ガスタービンエンジンで、航空機に電気とエン ジンスタートや空調のための高圧ガスを供給します。APUは航空機に搭載した燃 料を使って作動するので排気ガスおよび騒音を発生させます。 ※2 GPU:駐機中の航空機に必要な空調や電気を供給する施設で、移動式と固定式 があります。APUを使用するよりも航空燃料の消費を削減することができます。 ※3 AIP:航空機の運航に必要な情報を掲載した印刷物で、 わが国では国土交通省航 空局が編集しています。 88.3 76.9 0 93.5 74.6 47.3 国内エアライン 全体 外国エアライン 24.7 13.1 2001 9.7 10.9 10.0 2002 2003 2004 2005 2006 2007 (年度) ※供給機会(便)に占める実績供給回数(便)の割合を%で表示しています。 APU ピット (電力) 埋設ケーブル(電力) ピット (冷暖房空気) ● 地 球 環 境 と と も に 埋設ダクト (冷暖房空気) GPU(空調) GPU(電力) VOICE 「GPU利用率100%を目指しています」 私たちの会社は、GPUを設置・運営しています。 また環境負荷で見ると、GPUはAPUの1/10から GPUを使用すれば、航空燃料が節減でき、排気 1/20とかなり低くなっています。航空会社の利用 ガスによる大気汚染の抑制につながるほか、騒音 率は向上してきましたが、十分とは言えません。今 も大きく軽減することができます。2007年度は、 後も継続して航空会社の方々に環境への効果を GPUの利用により約290万本の杉の木が年間 理解いただき、利用を呼びかけることで、利用率 に吸収する量に相当するCO 2を削減できました。 が100%になるよう取り組んでまいります。 環 境 保 全 ・ 創 造 へ の 積 極 的 取 り 組 み 株式会社エージーピー 関西支社 動力事業部 川崎 健一 氏 グローバルな問題となっている地球温暖化を ネ設備の導入とオフィスにおける省エネ推進を図 最重要課題とし、省エネルギー対策と温室効果 っていきます。後者については、空港施設などか ガス排出量削減の両面で取り組んでいきます。 らの温室効果ガス排出量(航空機発着回数当た 前者については、旅客ターミナルビルなど当社が り)2006年度比10%削減を目指し、GPU利用が 管理する施設のエネルギー使用量(航空機発着 進んでいない航空会社への働きかけや低燃費航 回数当たり)2006年度比5%削減を目指し、省エ 空機の導入促進への働きかけを行っていきます。 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT 32 地 球 環 境とともに 環 境 保 全・創 造 へ の 積 極 的 取り組 み 循 環 型 の 空 港を目指して 廃棄物の削減 周辺地域への負荷軽減を考え、空港内で発生するごみ(一般 廃棄物)は、空港内で焼却施設(クリーンセンター) を設置し、自 ごみ の 区分 可燃ごみ 缶類:スティール、アルミの空缶 ら処理を行っています。空港から排出される一般廃棄物は年間 びん類:割れていない空びん 12千トン程度で推移しています。主なものは、航空機取り卸しごみ、 機内食工場ごみ、 および旅客ターミナルからのごみなどです。 ペットボトル 資源ごみ 古紙類:新聞(広告紙を除く)・雑誌 上質古紙類:コピー用紙・OA用紙 当社では、一般廃棄物の減量化および再資源化を推進する 書類(機密保護の不要な物) ため、 「廃棄物処理施設利用規程」により一般廃棄物の分別を ルール化し、空港内事業者へ分別の働きかけを行っています。こ の結果、2007年度では2001年以来最高の9%を超えるリサイク 内 容 厨房ごみ、木くず、再生資源にならない紙、ボロ切れ、その他 ダンボール ガラス食器、陶器食器類、空びんの割れたもの、金属くず 不燃ごみ 可燃性粗大ごみ 木製廃材(パレットを除く)、衣服類、カバン、刈り草、木製品類 ル率となっています。 リサイクル量の推移 一般廃棄物発生量の推移 旅客一人当たりの (グラム) 一般廃棄物排出量 (千トン) 15 12 9 6 12.6 1200 12.3 一般廃棄物 排出量 673 11.9 11.0 804 726 775 12.1 734 12.3 739 12.0 717 (トン) 1000 960 800 720 600 480 3 400 240 0 200 2007(年度) 0 2001 VOICE 2002 2003 2004 2005 2006 (%) 1200 1,040 8.2 949 7.7 リサイクル量 820 866 8.1 7.4 10 1,042 1,087リサイクル率 9 9.1 8 8.5 7 7.3 6 2001 2002 2003 2004 2005 2006 5 2007(年度) 「ホテルでは、 ごみの減量と資源の有効利用に取り組んでいます」 ホテル日航関西空港では、資源を有効利用する取り組みを けんなどに再生利用され、皆様の生活の役に立っています。 行っています。ホテルのレストランからは、年間100トンを超え その結果、2001年に施行された「食品リサイクル法」に規定 る大量の生ごみと7トンもの廃食用油が発生します。これらは、 されている食品ごみ20%削減も達成することができました。今 減量や抑制した後、 リサイクルにまわしています。リサイクル回 後も限りある資源を有効に活用もしくは節約し、 「人と環境に 収された生ごみは、肥料化され、静岡のお茶畑や果物農園で やさしい関西国際空港」を皆様とともに目指していきたいと思 使用されています。また、廃食用油については、絵の具やせっ っています。 ホテル日航関西空港の環境活動 生ごみ処理機 廃棄物の減量化と再資源化 食用油リサイクル 廃油を再利用すべく、 リサイクル回収実施 生ごみ処理機の導入 生ごみの分別収集および「乾燥式生ごみ 処理機」による減量・リサイクルの実施 廃油の排出抑制 食用油酸化防止装置により、 フライヤー 用食用油の消費を抑制 資源の有効利用 上水使用量の削減 全客室に節水シャワーベッドを設置、 レス トラン厨房洗い場に節水装置を設置 客室アメニティー類 シャンプー・リンスのディスペンサータイプ への変更など ホテル日航関西空港 業務部 施設管理グループ シニアマネージャー 山本 進 氏 33 980 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT With Environment 水資源の有効利用 旅客ターミナルなど空港内から出た排水は、浄化センターで上 の有効利用を図るとともに、大阪湾の環境負荷低減に努めてい 水に近いレベルまで高度に浄化した後、 その多くを中水としてト ます。当空港における排水のリサイクル率※は、50%台の高いレ イレの洗浄水や植物への散水などに積極的に利用し、水資源 ベルで推移しています。 中水供給量と水のリサイクル率 (万m3) (%) 80 100 64.1 60 中水供給量 水のリサイクル率 50.5 47.7 54.0 54.0 57.6 50.5 40 80 上水供給量 60 53.8 20 0 01 57.4 50.7 44.0 44.3 47.2 50.4 植物への散水 104.9万m 3 舗装面の清掃 40 中水の利用 20 02 03 04 05 06 07 (年度) ※リサイクル率=中水供給量/排水量 中水供給量 50.5万m 3 旅客ターミナルなど ● 地 球 環 境 と と も に 水の循環 浄化センター 排水量 100.2万m 3 大阪湾への放流量 (2007年度) 43.8万m 3 海域環境に配慮した水処理 空港内に設置された浄化センターは、 VOICE 「厳しい水質管理を行っています」 排水関連法令などの排水基準を満足さ せるため、高度な排水処理機能を備えて 私の業務は、浄化センターで大阪湾への排水 います。排水は、活性汚泥循環硝化脱窒 基準値に適合した水質になっているかどうかの検 法、凝集沈殿法、急速ろ過法といった処 査・管理を担当しており、日常検査・週検査・月検 理工程を経て、大阪湾へ放流しています。 査など、約30項目の検査を行っています。また生 放流する水のCOD値は、基準値に比べ 物による浄化処理工程では、顕微鏡で微生物の 非常に低いレベルを維持しています。 種類や量、微生物の活性度をチェックしています。 浄化センター放流水質(年平均値)の推移 検査結果については、適切な運転管理に活用さ (mg/L) COD(化学的酸素要求量) 25 20 排水基準値 れています。このように、大阪湾の水質環境に影 15 10 浄化センター 6.0 5 0 01 環 境 保 全 ・ 創 造 へ の 積 極 的 取 り 組 み 5.5 5.8 02 03 6.5 6.8 6.7 畑中 眞由美 さん 7.8 響がないよう、日々、厳密な水質管理に努めてい ます。 04 05 06 07(年度) 関西国際空港は周辺地域への環境に配慮し、 港事業者と協力し、 リサイクル率10%以上を目 空港内で発生する廃棄物は空港内のクリーン 指していきます。水資源については、空港内で センターで自ら適性に処理してきました。一般 の排水を高度処理するとともに、中水として再 廃棄物については分別排出に取り組み、2007 利用に努め、大阪湾への水質負荷の低減と水 年度のリサイクル率は9.1%でした。今後も空 循環に努めます。 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT 34 地 球 環 境とともに 環 境 保 全・創 造 へ の 積 極 的 取り組 み 地 域 の 環 境負荷低減を目指して 航空機の騒音対策 関西国際空港は、航空機騒音の影響を軽減するために、泉州 域のすべての観測局および調査地点において環境基準を満た 沖5kmの海上に設置されました。航空機騒音の影響を監視する していますが、 より一層の低減に向けて航空会社などとともに取 ため、常時観測と定期観測を行い、 その結果をホームページなど り組んでいます。 で公開しています。2007年度については、前年度に引き続き陸 航空機騒音観測結果 川西市 76.2 71.0 67.7 宝塚市 63.7 伊丹市 出発機は離陸後大阪湾で十分な高度まで上昇した後に陸域 凡例 池田市 70.5 66.7 空 港 上空へ進入すること、 また深夜・早朝の時間帯に離着陸する航 WECPNL70以下 豊中市 76.7 82.9 66.0 空機は明石海峡および紀淡海峡上空に限定した飛行経路を設 WECPNL70以上 吹田市 定しています。また、紀淡海峡から進入する着陸機に対しては騒 75.1 兵庫県 音軽減運航方式※を採用しています。 兵庫県 尼崎市 70.5 大阪市 50未満 大阪府 ('07年) 〔参考〕大阪国際空港における 航空機騒音観測結果 出典:平成19年版 大阪国際空港 騒音調査年報 (大阪航空局) ※フラップの下げ操作時期を遅くする「ディレイドフラップ進入方式」に加え、 車輪を出す操作(ギアダウン) を空港近くで実施する措置のこと。 54 苦情・問い合わせ WECPNL70以下 50未満 50 50 関西国際空港 WECPNL75以上 淡路島 航空騒音に対する苦情・問い合わせは、新飛行経路が導入さ 70 54 大阪府 49 れた1998年度が263件で最も多く寄せられましたが、 それ以降は 減少して数十件程度で推移しています。2007年度は47件でした。 75 内容は「騒音がひどい」 「低空飛行をしている」 「経路は守られ 60 57 ているのか」といった個々の航空機に対するご意見が多く、国土 50未満 日高町 50未満 和歌山県 ('07年度) (注)図中のWECPNL※のコンター図は2期事業の環境アセスメントにおける航空機騒音の 予測結果 ※WECPNL:一般に「航空機騒音のうるささ指数」と呼ばれています。 「航空機騒音に係る 環境基準」では、WECPNL70以下は専ら住居の用に供される地域に当てはめられ、 WECPNL75以下は先の地域以外の地域で通常の生活を保全する必要がある地域に当 てはめられます。 VOICE 飛行経路遵守の徹底 交通省大阪航空局と連携し、調査を行った上で、結果を報告し ています。 ◆問い合わせ先 関西国際空港株式会社 計画技術部環境グループ TEL:072-455-2177 関西国際空港株式会社 案内センター TEL:072-455-2500(夜間・休日) 「親しみやすく丁寧な説明を心がけています」 私は、航空機騒音や飛行経路に関する調 担 当していた頃は、淡 路 島 南 部の各 地で夜 査と住民の方々からの苦情、お問い合わせの に対策説明会があり、最終電車で帰ったこと 対 応を担 当しています。関 西 国 際 空 港の周 がよくありました。しかし、淡路島の沼島など 辺地域では航空機騒音は国が定めた環境基 の方々から、 「テレビが対策前よりもはるかに 準を下回る状況にありますが、この地域で活 よく見えるようになった」と喜ばれたことが記 動していくためには、やはり地 域の皆 様のご 憶に残っています。今後テレビの地上波デジ 理解・ご協力が必要なので、地域の皆様に親 タル放送が全国で運用されることに伴い、か しみやすく丁寧な説明を心がけています。 つて実施した対策が役割を終えようとしてい 10年ほど前、開港直後に電波障害対策を ることに、技術の進歩を感じます。 計画技術部 環境グループ 久保 忠義 35 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT With Environment テレビジョンの電波受信障害対策 航空機によるテレビ電波受信障害とは、飛行する航空機にテ レビ電波が反射することにより画像が揺れるフラッター現象です。 この障害に対してはSHF※テレビ中継放送局などを設置すること ◆問い合わせ先 関西国際空港株式会社 計画技術部環境グループ TEL:072-455-2176 改善対策工事の実施概要 により改善を進め、対策工事については2001年にすべて完了し ました。テレビ電波受信障害に対する苦情・相談の件数は減少 対策方法 開港前 北淡垂水テレビ中継放送所の改善 南淡テレビ中継放送所の改善 傾向にあり、2007年度は2件でした。その内容は周辺地域からの 淡路三原SHFテレビ中継放送局の設置 追加対策に係る要望や対策が終了している住民の方からの故 SHFパラボラ受信施設(各戸) 障に関するもので、適切に対応を行っています。 開港後 ※SHF電波:テレビ電波の一種で、周波数がVHF(30∼300MHz)、UHF(300MHz∼ 3GHz)よりも高いものです(3∼30GHz)。高周波であるため直進性が強い特性を 活かしテレビ電波受信障害対策や衛星放送に使用されています。 対策戸数 約20万世帯 約5千世帯 4,732戸 SHF補完共同受信施設 1,276戸 共同受信施設 2,284戸 UHFテレビ中継放送局の設置 141戸 ケーブルテレビ事業への協力 3,710戸 テレビ電波受信障害対策 低公害車の導入 当社では、車両更新時に可能な限り低公害車・低排出ガス車 に更新していくことを「エコ愛ランド推進計画」で明確に定めて 環境に優しい水素燃料の実証実験 おり、ハイブリッドカーなどの導入を進めています。同時に、空港 2007年5月、当空港に水素ガスの供給スタンドとして「関 内事業者の方々にも低公害車・低排出ガス車転換への働きか 西空港水素ステーション」がオープンしました。水素エネルギ ーは環境に優しい次世代の究極のクリーンエネルギーとして けを行っています。当空港の制限区域内での低公害車、低排出 その普及が期待され、実用化を目指した実証実験が、国の支 ガス車導入率は、 エコ愛ランドプラン初年の2001年度10%程度 援の中で行われています。国の実証実験プロジェクトにおい だったものが、2007年度は33.5%まで増加しています。 ては、全国9カ所で運用・実験が現在行われていますが、当空 港の特徴は、大規模なものではなく、小型のステーションを需 低公害車・低排出ガス車導入数/導入率の推移 要に応じて増設できるという拡張性の高さにあります。水素ス (%) (台) 800 30.0 600 400 10.0 200 0 車両数 174 2001 16.1 13.7 232 2002 272 2003 19.0 325 22.3 561 33.5 619 40 導入率 30 テーションでは、水素燃料自動車に水素を充填し、実運用に あたっての各 種デー タ収集を行っており、 2 0 1 0 年まで実 証 実 20 359 験を行う予定です。 10 2004 2005 2006 ● 地 球 環 境 と と も に 環 境 保 全 ・ 創 造 へ の 積 極 的 取 り 組 み 0 2007 (年度) 電気自動車 関西国際空港は、需要の増加に伴い航空 環境基準達成率100%を維持していきます。苦 機の発着回数が年々増加しています。2007年 情・問い合わせについては減少傾向にあります 8月には第2滑走路がオープンし、夜間の発着 が、 引き続き環境監視結果を公開するとともに、 も活性化しています。このような状況下でも、航 国土交通省航空局と連携を図って迅速かつ丁 空機騒音はすべての観測地点で環境基準値 寧に状況説明を行い、地域の皆様に理解が得 を下回っています。今後も発着回数の増加が られるよう努めていきます。 見込まれることから、引き続き騒音監視を行い、 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT 36 地 球 環 境とともに 環 境 保 全・創 造 へ の 積 極 的 取り組 み 自 然 環境 の 創造に向けて 空港周辺の藻場 大阪湾の環境創造への取り組み 関西国際空港周辺のほとんどの護岸で石をなだらかに積み 2期用地造成での藻場造成のイメージ 上げた緩傾斜石積護岸を採用しています。ここに種などを植え ることで良好な藻場※を造成しています。 藻場は、赤潮発生の原因となるチッソやリンなどの栄養塩を 従来の消波ブロック 吸収し、水質を浄化する作用があることから、広大な面積を有す る関西国際空港の藻場は、大阪湾の環境に大きく貢献していま 海藻 す。また、藻場には餌となる小動物が多く生息しているため、 さま 海藻類着生用ブロック ざまな魚介類が集まり、多種多様な生態系が創出されており、大 阪湾における重要な生物生産の場となっています。 2008年3月の調査では、1期と2期の空港島を合わせて約 52haの藻場が空港島周辺の護岸に形成されています。これは、 大阪湾全体の藻場面積の約1割以上にあたります。昨今、大阪 湾の開発が進み藻場の面積が減少していると言われる中、関 西国際空港は大阪湾にとって貴重な藻場として周辺海域の環 境保全に寄与しています。 海藻類着生ブロック ※藻場:海藻が生い茂っている所を言います。関西国際空港の藻場は、 カジメ、 ワカメ、 ホンダワラ類など確認された海藻は、約100種類になります。 37 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT スポアバッグ ブロックに種を植え付け、海底に設置することで、海 海藻の成熟した葉をネット袋に入れ 藻の着生基盤を作り出します。2期空港島護岸では、 て護岸の近辺に投入し、胞子など 海藻類が着生しやすい溝付きブロックを採用しました。 の種苗供給を行います。 With Environment 藻場は魚の「ゆりかご」 近年、魚介類が少なくなった原因の一つに、藻場の面積が激 メバル稚魚の移動分散模式図 減したことが挙げられます。藻場は、魚たちの産卵場、保育場とし ても重要な役割を果たしています。海に暮らす生物にとって、藻 兵庫県 神戸 大阪府 場は食べ物が豊富にある餌場であり、 また小さな魚が大きな生 物から身を守るための隠れ家でもあるなど、海の生物の命を守る 岩屋 ための大切な機能を担っています。関西国際空港はこの藻場を 堺 造成することで、魚介類の住みやすい環境を作り出しています。 1期島の藻場を調査した結果、 たくさんのメバル稚魚が寄り集 大阪湾 関西国際空港 まっており、流れ藻に発信機などを取り付けて調べたところ、流れ 藻とともに大阪湾全体に移動・ 分散していることがわかりました。 和歌山県 淡路島 ウキ付き流れ藻の漂着先 推定されるメバル稚魚の拡散経路 また、空港島ができる前には見 られなかった岩場に住み着くメ バルやカサゴなどが姿を見せる ● 地 球 環 境 と と も に ようになっており、空港島に造 成された藻場は、大阪湾周辺 の生物の多様性創出に貢献し ていることがわかります。 VOICE 流れ藻につくメバル稚魚 護岸からちぎれて流れだした藻(流れ藻) とともにメバルの稚魚も移動し、大阪湾 の広域にわたって分散していきます。 メバル カサゴ クロアワビ 「自然の恵みである藻場を大切に造成しています」 藻場の面積は、海水温や塩分、台風などによる波の影響、海藻を食べる動物の 影響などにより変化しますが、主な要因は海水温の変化と考えられ、平年の水温よ り低ければ増加し、高ければ減少する傾向がみられます。藻場は陸上の植物と同様 に、生物や環境にとって重要な役割を果たしており、今後も引き続 環 境 保 全 ・ 創 造 へ の 積 極 的 取 り 組 み き繁茂状況を観察していきます。空港島周辺には豊かな藻場が広 がっていますが、陸上の木々や草花と違い、目にする機会はほと ワカメを育てる環境学習 んどありません。そのため、 グラスボートによる藻場の観察やワカ メを育てる環境学習を通じて、藻場づくりの取り組みを紹介して います。 建設事務所 調査グループ 米田 佳弘 グラスボート 大阪湾で減少しつつある藻場を関西国際空 を実施し、藻場の維持に努めていきます。また、 港の周辺に造成することにより、大阪湾の海域 空港内の緑化を進めることで、空港を利用され 生物の産卵場・保育場作りに貢献してきました。 るお客様や空港内で働く人々が潤いと安らぎを 調査結果でも多種多様な生物の生息を確認し 感じる場とするとともに、 ヒートアイランド対策や ています。今後も引き続き藻場のモニタリング 地球温暖化対策にも貢献していきます。 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT 38 地 球 環 境とともに 関 西 国 際 空 港 環 境 管 理 計 画( エコ 愛 ランド・プラン )の 成 果 関西国際空港環境管理計画(エコ愛ランド・プラン)【2001年度∼2007年度】 1 2 3 4 39 1.航空機騒音の影響軽減 ・航空機騒音に関わる環境基準を遵守する。 ・飛行経路の逸脱原因を調査し、飛行経路遵守を国土交通省を通じて 航空会社に要請する。 2.電波障害の解消 ・新たな受信障害が発生した場合は、実態調査を行い、適切な改善対策 を実施する。 1.大気汚染物質排出量の削減 ・空港事業者等とともに、 あらゆる発生源の負荷量を低減するため、地上 固定動力設備(GPU)の利用促進、アイドリングストップの徹底。 ・低公害車の導入等を図るとともに、 クリーンセンターの排ガス対策として 燃焼管理を徹底する。 2.水質汚濁物質排出量の削減 ・排水の高度処理を行うとともに、中水利用を促進する。 公害のない空港 環境負荷の少ない空港 3.資源の有効利用 ・グリーン(環境配慮型製品)購入を推進する。 ・一般廃棄物、産業廃棄物の減量化および再資源化を図る。 4.エネルギーの有効利用 ・省エネルギーを推進し、自然エネルギー導入の可能性を検討する。 5.代替フロン等の管理 ・フロン等使用機器等の管理を行う。 1.自然環境の保全 ・緩傾斜石積護岸での藻場の育成・調査研究を行う。 ・空港島内の緑化を図る。 2.景観の保全等 ・空港島内の景観保全等を図る。 1.空港についての情報公開 ・騒音苦情処理体制の整備を行う。 ・環境報告書を作成する。 2.地域社会との対話と連携 ・情報提供機会の多様化を図る。 ・環境学習の場を提供する。 自然を大切にし、 ふれあいのある空港 地域の人々や利用者と ともに生きる空港 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT With Environment 実 績 ・飛行経路及び高度の逸脱があった場合には、国土交通省航空局関西空 港事務所から情報を得て関係自治体に連絡。 ・関西国際空港航空会社運営協議会(AOC)などに飛行経路遵守を要請。 評価 ・航空機騒音: 陸域のすべての観測局および調査地点で環境 基準WECPNL70以下で推移 ・テレビ電波受信障害対策工事は、2001年度に完了して以降、新たな受 信障害の発生なし。 掲 載 ページ P.35 P.36 ・航空路誌(AIP)にAPUの使用制限を明記。 ・航空会社に、GPU使用協力依頼。 ・アイドリングストップ啓発活動の実施。 ・空港事業者への低公害車導入の働きかけ。 ・CNG(圧縮天然ガス)車普及促進事業への協力。 ・水素自動車の実証実験の実施と水素ステーションの設置。 ・GPU利用率:13.5%増加 【2001年 61.1% → 2007年 74.6%】 ・低公害車・低排出ガス車導入率(制限区域内) :23.4%増加 【2001年 10.0% → 2007年 33.5%】 ・クリーンセンターでの排ガス測定値: (ダイオキシン類)管理値5ng/m3N以下で推移 (窒素酸化物)自主基準値70ppm以下で推移 ・中水の利用促進(トイレ洗浄水、植栽への散水、洗車、土木施設の舗 装面清掃等に利用)。 ・浄化センターの放流水質: (COD)排水基準値20mg/L以下で推移 ・水資源のリサイクル率(=中水供給量/排水量): 3.4% 減少 【2001年 53.8% → 2007年 50.4%】 P.34 ・古紙の採用、再生トナーの使用などグリーン購入法に適合した製品を積 極的に利用。 ・2002年10月に「廃棄物処理施設利用規程」を制定、ごみの分け方、出 し方のルールを明確にし、島内事業者に周知。 ・空調用超音波式フィルター洗浄装置を導入し、再利用を実施。 ・一般廃棄物排出量:5.2%削減 【2001年 12,624トン → 2007年 11,962トン】 ・リサイクル量:4.5%増加 【2001年 1,040トン →2007年 1,087トン】 P.33 ・2001年4月に「オフィス環境管理マニュアル」を策定し、毎年、実施状況を確認。 ・2002年度に社内に省エネルギー委員会を設置し、1m2あたりのエネル ギー使用量を前年比1%削減を目標に活動。 ・連絡橋照明をプロビーム照明に改修。連絡橋照明のエネルギー使用量、 約75%削減。 ・フライトスケジュールに応じた空調運転の効率化。空調機のエネルギー 使用量、約35%削減。 ・第2滑走路において、エネルギー効率の高いLED灯火を採用。灯火のエ ネルギー使用量、約33%削減。 P.32 P.36 ・一次エネルギー量(原油換算値):4.4%削減 【2001年 47,526kl → 2007年 45,443kl】 P.31 ・藻場面積:約31ha増加 【2001年 約21ha → 2007年 約52ha】 P.37 ● 地 球 環 境 と と も に エ コ 愛 ラ ン ド ・ プ ラ ン の 成 果 ・非常用チラー13台(R-22、HCFC-22使用)およびパッケージエアコン・ ルームエアコン68台(同)のフロン使用機器は、定期点検を年2回実施、 常に冷媒が漏れないように管理。 ・2期用地造成において、緩傾斜石積護岸を採用、海藻類着生用ブロック の開発・設置、スポアバックなどの種苗供給による海藻の移植試験の 実施。 ・南側連絡誘導路北側の護岸周辺を親水緑地広場として整備。 P.38 ・旅客ターミナルビル内のキャニオンの補植などを実施。 ・実務上、最も効果的に2期空港島内の緑化計画および景観ガイドライン が活用されるよう、2期計画の進捗にあわせて計画を作成。 ・良好な親水空間を形成するため、内部水面の活用方策について検討。 ・騒音及び飛行経路・高度等の苦情に対しては、航空局関西空港事務所か ら情報を得て状況を説明。また、苦情情報等を整理し、関西国際空港 の飛行経路問題に係る協議会(大阪府域)および、関西国際空港に係 る淡路市町協議会(兵庫県域)において関係機関に報告。 ・2002年から2007年まで「エコ愛ランドレポート」(和文、英文)を毎 年発行。当社ホームページに掲載し、一般に公開。 ・2005年7月に関空展望ホールに関西国際空港環境センターを移転。関空 交流館とともに、環境PRを実施。 ・当社と空港内事業者とで構成する環境問題に関する協議会(関西国際空 港エコ愛ランド推進協議会)を設立。 P.35 ・見学者数【2007年度】:61,782人 (環境センター:37,687人、関空交流館:24,095人) P.27 P.29 十分達成できたもの ほぼ達成できたもの 次期計画に引き継ぎたいもの K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT 40 地 球 環 境とともに 環 境 パフォーマンスデ ータ 環 境 会計 環境パフォー 集計の方法 項 目 集計の対象 関西国際空港株式会社 集計の期間 2007年4月1日から2008年3月31日 環 境 保 全 コ スト の 項 目 の 分 類 環境会計ガイドライン2005年版(環境省) を基本に、関西国際空港の特色 を考慮して設定した。 環 境 保 全 コ スト の 内 容 ・事業エリア内コスト:浄化センターおよびクリーンセンター関連用地費、施 設整備費、維持費並びに省エネ・節水関連施設整備費、維持管理費など ・管理活動コスト:環境に関する社会貢献費、環境調査費 関西国際空港(株)が管理 環境保全コストの集計 単位:百万円 コスト 集計区分 公害防止 省エネルギー 事業エリア内コスト 一般廃棄物処理・処分 節水関連 小計 2,663 1,780 1,719 35 6,197 144 276 420 6,617 環境に関する社会貢献 管理活動コスト 環境調査 小計 環境保全コスト合計 (2,728) (2,115) (1,782) (49) (6,674) (126) (275) (401) (7,075) ( )内は2006年度値 環境保全効果 クリーンセンター 冷熱使用量 温熱使用量 ガス使用量 原油換算値 関西国際空港全体におけ 二酸化炭素(CO 2 ) (航空機発着回数あたり) メタン N2O 計 (航空機発着回数あたり) 大気汚染、水質汚濁に係 ダイオキシン類 窒素酸化物(NOx) 環境負荷抑制量 浄化センター 電気使用量 T-N: 77.16トン ※ (T-N: 77.95トン) NOx: 46.09トン ※ (NOx: 44.45トン) 金額換算 636.6万円 ※ (643.1万円) 846.7万円 ※ (816.5万円) ( )内は2006年度値 ばいじん ※2006年度値は、昨年度のエコ愛ランドレポート 2007における記載値とは異なっています。これは、 浄化センターの環境負荷抑制量の算出をCOD からT-Nに変更したこと、 クリーンセンターの金 額換算値を変更したことによるものです。 COD T-N T-P 廃棄物の排出量 環境保全対策に伴う 節約効果(便益) 1 2 3 4 中 水 利 用 に よ る 上 水 使 用 量 の 削 減 : 1億8,700万円 独自の下水処理による公共下水道放流料金の削減 : 2億7,900万円 独自のごみ焼却処理による陸域のごみ焼却経費の削減 : 2億7,900万円 省 エ ネ 効 果 に よ る 経 費 の 削 減 : 4,100万円 7億8,600万円 合 計 一般廃棄物の総排出量 一般廃棄物最終処分量 リサイクル量 水資源 上水量 中水量 当社では、海上空港ゆえの高コスト構造の 化センターによる保全効果は大阪湾への水 排水処理量 中で、環境保全対策に要したコストとその効 質汚濁負荷低減の観点から代表項目のT-Nで、 排水放流量 果を評価して環境保全対策をより効率的、効 クリーンセンターによる保全効果は大気汚染 果的なものとするために2002年度より環境会 のうちごみ焼却によるNOxで代表させて、法 航空機発着回数 計の導入を試みています。 規制水準と排出負荷量との差による環境負 航空旅客数 環境保全コストとしての最大のコストは、航 荷抑制量により算出しました。 空機騒音の影響を軽減するため泉州沖5km また、複数の環境指標による環境保全効 の海上に空港島を造成したコストですが、騒 果を統合して評価する手法として、LIMEにお 音の軽減を定量的に環境保全効果として数 ける統合化係数 の使用による金額換算を 量化する方法が確立していないため、 ここでは、 試みました。環境保全効果(物量効果) を、 手法が確立している排水処理とごみ処理など LIMEを用いて金額換算した結果は1,480万 を対象としました。2007年度の集計結果は、 円と推計されました。 冷熱使用量 環境保全コストが66億1,700万円となり、昨 環境保全対策に伴う経費の節約効果など 温熱使用量 年度に比べて4億5,800万円減少しました。 を算定しましたところ、7億8,600万円と推計さ 水道使用量 環境保全効果(物量効果)については、浄 れました。 ごみ収集量 ※ ※LIMEにおける統合化係数: LIME Life cycle Impact assessment Method based on Endpoint modelingの略。 (独)産業技術総合研究所ライフサイクルアセスメン ト研究センターが、LCAプロジェクト (経済産業省、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)および(社)産業環境管理協会が平成 10年度から5カ年で実施している「製品等ライフサイクル環境影響評価技術開発プロジェクト」) と連携して開発した『日本版被害算定型影 響評価手法』です。 41 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT 事業規模を示す参考値 貨物取扱量 項 目 関西国際空港(株)におけ 電気使用量 OA用紙使用量 ガソリン使用量 軽油使用量 With Environment マンスデ ータ 当 該 年 度 単 位 2001年度 2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度 2001年度比 集計範囲 する一次エネルギー量 (Mwh) 124,232 122,677 119,771 116,404 115,577 113,079 118,599 5,633Mwh(4.5%)削減 (GJ) 295,820 295,736 261,328 289,243 274,901 261,073 267,884 27,936GJ(9.4%)削減 (GJ) 143,489 162,450 146,154 145,967 157,773 144,850 153,084 9,595GJ(6.7%)増加 (m3) 146,582 142,805 154,637 139,110 151,495 147,364 142,277 3 4,305m(2.9%) 削減 物処理施設での使用量のみ計上 (kl) 47,526 47,784 45,270 45,360 45,072 43,501 45,443 当社使用分 (=全購入量−事業者 外販分)のみ計上 複合管理棟(ホテル)および廃棄 2,083kl(4.4%)削減 る温室効果ガスの排出量 (万トン-CO2) ― ― ― ― ― 54.4 58.1 ― (トン-CO2) ― ― ― ― ― 4.65 4.52 ― (トン-CO2) ― ― ― ― ― 361 406 ― (トン-CO2) ― ― ― ― ― 2,840 2,963 ― (万トン-CO2) ― ― ― ― ― 54.8 58.5 ― (トン-CO2) ― ― ― ― ― 4.68 4.54 ― (ng/m3N) 0.081 0.12 0.024 0.090 0.048 0.20 0.00061 ― (ppm) 47 36 33 32 28 39 33 ― (g/Nm3) 0.003 0.005 0.005 0.002 * * * ― (mg/L) 6.0 5.5 5.8 6.5 6.8 6.7 7.8 ― (mg/L) 1.5 1.6 1.1 1.4 2.3 1.9 3.5 ― (mg/L) 0.17 0.029 0.030 0.12 0.084 0.084 0.19 ― (トン) 12,624 12,311 11,038 11,891 12,058 12,327 11,962 662トン(5.2%)削減 (トン) 1,798 1,732 1,511 1,561 1,557 1,580 1,480 318トン(17.7%)削減 (トン) 1,040 949 820 866 980 1,042 1,087 47トン(4.5%)増加 (千m3) 1,322 1,149 1,007 1,056 1,039 1,020 1,049 3 272千m(20.6%) 削減 (千m3) 641 505 477 540 540 576 505 3 136千m(21.2%) 削減 (千m3) 1,192 1,128 1,078 1,150 1,066 1,003 1,002 189千m3(15.9%)削減 (千m3) 517 574 541 563 475 389 438 3 79千m(15.2%) 削減 (万回) 12.1 10.8 10.0 10.3 11.3 11.6 12.9 ― (万人) 1,875.3 1,695.6 1,372.2 1,534.1 1,642.8 1,669.0 1,669.5 ― (万トン) 81.2 76.7 78.6 85.6 84.3 80.2 84.7 ― ・航空機からの排出量は、 I C A O が 規 定するL T O (Leading and Take-off: 高度3,000フィートと地上 間における着陸から離陸 までの航空機の動き)サイ クルを空港分として算入。 ・車両からの排出量は、制 限区域内車両を対象とし、 空港を出入りする電車、船 舶、通行車両を除く。 る濃度・水質 ● 地 球 環 境 と と も に クリーンセンターからの 排ガス濃度 浄化センターからの 放流水質 クリーンセンターでの 処理量 環 境 パ フ ォ ー マ ン ス デ ー タ 空港島内給水量 浄化センターでの取扱量 関西国際空港運営概況 *定量下限値未満 当 該 年 度 単 位 2001年度 2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度 2001年度比 集計範囲 るオフィス環境管理 (万kwh) 658.5 599.2 565.4 614.8 495.4 504.6 (GJ) 16,900 16,736 14,992 15,845 14,197 13,130 14,318 492.6 165.9万kwh(25.2%)削減 2,582GJ(15.3%)削減 (GJ) 6,607 7,025 6,640 6,117 5,414 4,803 5,071 1,536GJ(23.2%)削減 (m3) 22,356 21,351 16,957 14,614 10,995 10,774 9,815 3 12,541m(56.1%) 削減 (トン) 246.3 219.2 202.1 232.5 140.6 137.9 139.1 107.2トン(43.5%)削減 (万枚) 721.8 627.8 601.7 662.9 660.1 659.3 555.3 166.5万枚(23.1%)削減 (L) 34,592 31,199 27,773 32,979 25,382 29,141 32,957 1,635L(4.7%)削減 (L) 36,428 38,468 37,194 33,494 30,115 41,519 44,085 7.657L(21.0%)増加 関西国際空港会社ビル、 建 設 棟の当 社 使 用 量 およびメンテナンスセン ターの使用量の合計 当社の全購入量 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT 42 地 域 社 会とともに 地 域 社 会との 共 存 共 栄 関西国際空港は、地域との共生を前提として生まれた背景があります。 そのため、会社設立当初から、地域の方々との会話の場を持ち、 地域と連携したイベントを通じて積極的にコミュニケーションを図っています。 今後とも地域社会の一員として、地域に支えられ、愛され親しまれる空港運営に努めていきたいと考えています。 出張授業で関空ファンを広げています。 地域から愛され親しまれる空港になりたい―――。2002年度 より地元小学生を対象に『出張授業』と『関空見学会』を実施し ています。"関西国際空港"をテーマに社員自らが小学校を訪問し、 教壇に立って授業を行い、 『出張授業』で訪問した生徒さんに空 港での見学や体験も受けていただいています。2007年度は15校、 約1,300名の地元小学生に参加いただき、 これまでの合計は、延 べ81校、約7,000名に上ります。講師は社員から募集を行っていて、 多岐にわたる業務の社員が参加しています。授業内容は各講師 が自ら創意工夫し、分かりやすく楽しい授業を行っています。 思い出してもらえれば嬉しく思いま 『出張授業』では、興味を持ってもらうため視覚的に訴える工 す。地道な取り組みではありますが、 夫をしており、特に1/100の飛行機模型を活用すると効果がありま 少しでも"関空ファン"を増やし、地 す。生徒さんからは、予想もしない質問が出てくるので驚かされる 域に愛される空港となるよう、今 こともありますが、講師自身の良い勉強になっています。将来、授 後も出張授業を続けていきたいと 業をさせていただいた生徒さんが、旅行や仕事で関西国際空港を 思います。 利用する際、 「そう言えば昔、関空の人に授業をしてもらったな」と T O PI C S 43 2007 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT 総務部 調整グループ 松本 朝充 With Society 地域社会との対話 私たちは、地域とともに発展していく空港として地域社会との 対話を大切にしています。当社では、関西国際空港と地域社会と の調和を図り、 その建設および運営の円滑化を図るため、関係地 方公共団体を代表する者および学識経験者で構成する「関西 国際空港推進会議」を設置しています。年1回開催し、関西国際 空港の現状などについて報告し、審議いただいています。 関西国際空港推進会議 地域と連携したにぎわいの創出 私たちは、関西国際空港を使いやすいだけではなく、空港を訪 れた人が楽しく過ごせるような空港にしていきたいと考えています。 また、空港を身近に感じてもらいたい、親しみを持ってもらいたいと の思いから地域の方と連携し、 さまざまな参加型イベントを企画・ 開催しています。春と夏そしてクリスマスシーズンにイベントの期 ● 地 域 社 会 と と も に 間を設け、地域の方々が参加するなど、来て楽しい数々のイベン トを開催しています。中でも「ドラゴンボート大会」は、恒例行事と ドラゴンボート大会 して定着しています。また、学生などが日頃の成果を発表する場と しても活用が広がり、大阪府立佐野工科高等学校の生徒による 「クリスマスイルミネーション」もその一つです。 VOICE 2007新地球Run in KIX 「クリスマスイルミネーションイベントに参加して」 地 域 社 会 と の 共 存 共 栄 「空港のクリスマスイルミネーションイベントで、何かやっ てみませんか」というお話をいただき、制作に参加すること にしました。イルミネーションは、手彫りで傷を付けたアクリ ル板にLEDの光を当てて反射させるというもので、LEDの 光を自動制御することで七色に変化します。制作には6名 の生徒が携わり、2カ月間で20枚のイルミネーションを作り 上げました。制作期間が短かったため、夜遅くまで学校に 残って作業することもあり大変でしたが、20枚が一斉に点 灯した瞬間は、 とても感動しました。自分たちがやっているこ とを発表するチャンスはあまりないので、空港に来るいろん な人に見てもらう機会をもらって、 とても良い思い出になりま した。また、後輩たちの作ったものが見られればいいですね。 大阪府立佐野工科高等学校3年生(当時) 新明翔平さん、柘植亮太さん、橘昌紀さん 関西国際空港は、地域社会と共存共栄する きた「ドラゴンボート大会」をはじめ、地域の方 空港として、地域の方とのコミュニケーションを が来て楽しいイベントを開催することで、空港の 積極的に図ってきました。今後も出張授業や にぎわいを創出していきます。今後とも地域の方々 空港見学会を通じて地域の子どもたちに親し に愛され親しまれる空港を目指して、地域社会 んでもらうとともに、恒例行事として定着化して との交流を続けていきます。 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT 44 従 業 員とともに 人 権 の 尊 重と働きや すい 職 場 環 境 の 実 現 従業員は、会社にとって最大の財産であると考えており、 「社員一人ひとりの向上への意欲と多様性を尊重し、 創造力とチームワークを高める企業風土を作ります」と経営理念に掲げるとおり、一人ひとりの人間性を尊重しています。 当社には、性別・年齢・国籍・人種・宗教・障がいの有無などを理由にした差別は一切なく、 すべての従業員を公正・公平に評価しています。 求める人材像については、経営理念にあるとおり、 「意欲」 「多様性」 「創造力」 「チームワーク」の 4つのキーワードを重視しており、 いろいろなことに興味があり、 チャレンジ精神旺盛な人を求めています。 人権の尊重 国際社会の玄関口である関西国際空港の管理・運営を行う企業グループとして、 従業員一人ひとりが人権に関する正しい理解を深め、空港を利用する多様な人々の共感と満足が得られるよう、 「人権啓発基本方針」を定め、積極的に人権啓発に取り組んでいます。 人権啓発の基本方針 関西国際空港は、人・物・情報の交流拠点として、 さまざまな 人権意識の高揚と啓発を総合的かつ効果的に推進するため、 異なる文化・習慣の出会いの場として大きな役割を果たしていま 総務部担当役員および各部署長で構成する「人権啓発推進委 す。国際空港にふさわしい「人権尊重にあふれるお客様第一主 員会」を定期的に開催し、全社的な体制で人権啓発を推進して 義の空港」運営に努めています。また、空港という公共性の高い います。 場において、差別を許さない世論の形成や人権意識の高揚を図 さらに、各種人権団体とも連携を図り、国際人権や各地のマイ ることは非常に重要です。 「あらゆる差別を許さない」体質づくり ノリティなどに関する理解を深めるとともに、空港内事業者とも相 と「差別のない社会」の実現に向けて、企業の立場から積極的 互に連絡調整を図りながら啓発および研修を公開的に推進する に取り組んでいます。加えて、従業員一人ひとりが意欲的に業務 「関西国際空港事業者人権問題連絡会」を設置するなど、関係 に取り組めるような働きやすい職場づくりを推進しています。 45 人権啓発推進体制 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT 者との協力体制の確立に努めています。 With Employees 人権啓発の取り組み 同和問題をはじめとするさまざまな人権問題についての理解を 深めるため、階層別の研修計画を策定・実施するとともに、関係 行政機関などが実施する研修についても積極的に参加しています。 また、 その他の人権啓発活動についても、 グループ独自で取り 組むものに加え、関係行政機関などが当空港において実施する 啓発活動についても積極的に参画しています。 2007年度 主な取り組み内容 ●グループ会社を含めた役員・幹部社員研修など役員・社員 研修を実施 ●人権に関する様々な外部研修に積極的に参加 ●旅客ターミナルビル掲示板などを利用した情報発信 ●人権週間の街頭啓発活動などに参加 ●「関西国際空港事業者人権問題連絡会」の開催 人権・平和啓発コーナー 働きや す い 職場環境づくり ● 従 業 員 と と も に 多様な人材の活用 障がい者雇用率の推移 雇用の多様性の確保 当社では、障がいのある方の雇用を継続的に実施しています。 (%) 2.0 配属の際には、一人ひとりの状況に配慮して配置を行っている 1.5 ほか、 トイレやエレベーターについてバリアフリー対応を行うなど、 1.0 障がいを持つ方が少しでも働きやすいような環境を整えています。 2007年度の障がい者雇用率は1.86%で、法定雇用率を達成し 1.74 1.57 な経験や能力を活かして働き続けられるよう、2006年度から雇用 上限を段階的に65歳まで延長し、 「高年齢者等雇用安定法」改 正にも対応できる環境を整えています。 1.75 2005 2006 1.86 0.5 0.0 2003 2004 ています。今後も雇用維持に努めていきます。 当社グループでは、60歳の定年退職を迎えた従業員が、豊富 1.71 2007 (年度) 再雇用者数の推移 (名) 15 12 9 13 14 14 2005 2006 13 10 6 3 0 2003 2004 2007 (年度) 育児・介護への支援 当社で育児や介護に従事しながら働くすべての従業員が仕 事と家庭を両立し、充実した生活を送れることを願って、法に基 づいた支援制度を設けています。また、次世代育成支援対策推 進法に基づき、社内制度の周知や理解の促進、制度を利用しや すい職場環境づくりなどに取り組んでいます。 人 権 の 尊 重 と 働 き や す い 職 場 環 境 の 実 現 支援制度の一覧 育児休暇 子が1歳に達する日まで (ただし、1歳6カ月に達するまでの延長可) 育児のための 短時間勤務 子が3歳に達する日までを限度として、1日1時間を超えな い範囲内で、勤務時間を短縮できる。 介護休暇 要介護者1人につき、通算93日間の範囲内。取得は1日 または1時間を単位とする。 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT 46 従 業 員とともに 人 権 の 尊 重と働きや すい 職 場 環 境 の 実 現 安全衛生マネジメント 安全衛生委員会の開催 当社では、総括安全衛生管理者、産業医、衛生管理者などで 構成される「安全衛生委員会」を毎月開催しています。従業員 の健康、労働災害の防止、快適な職場環境の実現に向けて議 害の防止対策や健康管理に関する意見交換などを連携して活 動を行っています。2007年度は9月に安全衛生大会を開催した ほか、安全パトロールや安全講話、講演会などを開催しました。 論を重ねています。 労働災害防止に向けて 当社が所有する空港施設のメンテナンスや改修工事の多くを グループ会社や業務を請け負った事業主と協力して行っています。 このため当社および関係する会社が一体となって労働災害防止 への取り組みを行っています。そのための仕組みとして、労働災 労働災害防止協議会 従業員の健康管理 当社では、役員・全従業員を対象に、毎年健康診断を行って メンタルヘルス研修 内 容 います。受診は基本的には年1回ですが、24時間体制でシフト勤 実施時期 務している部署の従業員に対しては、年2回の受診を義務付け 2005年度 ● ストレス対策と管理監督者の役割 ● ストレスとセルフケア対策 2006年度 ● 職場のメンタルヘルス −エゴグラムを使って自己理解を深める− 2007年度 ●“心のSOS”を見逃さないで −早期発見法と管理監督者・同僚としての役割− ています。人間ドックは、利用しやすいよう健康保険組合などの 補助を利用できる体制を整えています。 また、従業員の心の健康管理も当社にとって重要な課題です。 月1回の産業医による健康相談の他に、 月2回外部カウンセラー によるメンタルヘルスカウンセリングの機会を設けています。さらに、 「職場のメンタルヘルス」をテーマとして、外部講師を招き、研修 を実施しています。2006年度はセルフケア対策に重点を置いた 研修を行いましたが、2007年度は、 「早期発見と予防対策」に重 点を置き、職場内での予防策や支援方法についてより具体的な 内容の研修を行いました。カウンセリングに関しては、 これまで当 社社員のみを対象としてきましたが、2007年度からグループ会社 全体に対象を拡大し、 グループ全体の利用も進んできています。 VOICE 健康管理室 「カウンセリングを気軽に受診できるよう工夫しています」 当社では、 メンタルヘルスカウンセリングを実施していま では幸いメンタルヘルスケアに関する取り組 すが、受診しやすい環境づくりとプライバシー保護が大切 みが効果を発揮しているようですが、今後、 と考えています。カウンセリングの部屋を自社ビルとは別の 特に欠勤などに至るまでの予防策につ 場所に設けて、気を遣わずに受診できるよう配慮している いて、研 修や電 子メールなどを通じて ほか、 カウンセリング受診を電子メールで申し込めるようにし、 充実させていきたいと考えています。 気軽に受診できるようにしています。導入当初はなかなか 利用が進まなかった時期もありますが、地道に取り組み続 けることで利用度が上がってきています。近年、多くの企 業でメンタルヘルスに関する問題が持ち上がってきていま すが、当社も例外ではないと考えています。これまで、当社 47 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT 総務部 給与・労務グループ 金田 健一 With Employees 人 材 の 活 性化と育成 当社では、人材育成や人材の多様化など従業員の能力向上による企業としての総合力の向上に努めています。 やりがいと挑戦意欲を醸成する評価制度 高い意識を持って行動する従業員が評価されるよう、目標管 目標管理制度 る給与体系を構築しています。これは、従業員が各自で目標を設 定し、上司との面談の際に成果を確認し、 目標を達成した度合い 成績考課 1 理制度を導入するとともに、報酬の面でもがんばった人が報われ Plan 給 与 評 価 Do 目標管理 Action Check に応じて給与にフィードバックする仕組みです。これにより、従業 2 員による、 より高い目標に向けたチャレンジを促すとともに、 やりが 3 執務態度考課 能力考課 実 績 把 握 ︵ 絶 対 評 価 ︶ 考 課 調 整 会 議 相 対 評 価 いをもって業務に邁進できる職場環境づくりにつなげています。 任 用 評 価 本人 1.目標管理の運営 ①目標の設定 上 ②成果の確認 司 2.評価のフィードバック と (1)オープンな絶対評価 部 成績考課/能力考課/ 下 執務態度考課 の (2)オープンな相対評価 面 談 3.育成方向の確認 ①本人配置希望の把握 ②上司として育成方向の 検討と指導・助言 配置希望 (職務遂行能力の評価) 賞与 昇任 人材開発会議 日常業務を通じた 上司 人物・能力評価 昇給 諮問 人事機関にて 候補者の選定 昇格試験 昇格 オープンでフェアな採用制度 当社では、新卒採用において大学や男女を問わない完全オー プンエントリー制度を導入しています。募集条件や採用方法、 ス ● 従 業 員 と と も に ケジュールといった採用関連の情報は、 すべてホームページ上に 開示しています。 空港会社の仕事における魅力・やりがい・成長過程を知って いただくため、当社を志望される学生の方に向けて、 「キャリアイ メージセミナー」と「キャリアパーソンセミナー」を開催しています。 当社の若手社員が自ら学生の方々と接することで当社の魅力を 伝えています。 Web 採用情報について http://www.kiac.co.jp/recruit/index.html キャリアパーソンセミナー 人材育成 当社の「関空新中期計画(2006∼2008年度)で人材育成や いるほか、節目ごとに「5年目研修」 「10年目研修」および管理 人材の多様化など従業員の能力向上による企業としての総合 職研修を実施しています。 力の向上を掲げ、業務スキル・CSマインド・管理職資質の向上 また、部門に関係なく当社の全従業員のCS意識の浸透を のための教育研修を行っています。入社時に新人研修を行って 図るため、2007年度から「CS向上基礎研修」を開始しました。 今後も「人権啓発基本方針」に基づき、従 健康管理については、特にメンタルヘルスケア 業員の人権啓発研修を行うとともに、空港内事 の充実を図ってきましたが、今後はさらに予防 業者との連携した空港全体の啓発活動を行う 策も含めたきめ細やかな対応を行っていくことで、 など、国際空港らしいグローバルな視点で人権 すべての人がいきいきと働ける職場づくりに取 が尊重される風土の醸成を図ります。従業員の り組んでいきます。 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT 人 権 の 尊 重 と 働 き や す い 職 場 環 境 の 実 現 48 第 三者意見 関西大学大学院 会計研究科 教授 神戸大学大学院 経営学研究科 教授 宮本 勝浩 氏 國部 克彦 氏 日本では、最近企業の製品偽装や所得隠しなどが社会問題化し 今年度の報告書は、従来の「エコ愛ランドレポート」から「CSR報 てきているので、企業の社会的責任の重要性が一層増加してきて 告書」に衣替えした記念すべきものです。本報告書では、空港の います。これまでは、企業は利益をあげて、従業員の生活を守り、税 CSRとは何かということをしっかりと考えられており、 トップメッセージ 金を払っていればよいという単純な企業責任論であったが、現在で で社長が「安全・安心」と「顧客満足」を最大の価値とすると述べら はマルチ・ステークホルダーに対するさまざまな責任を果たすべきで れています。これを受けて国際空港に求められる安全・安心な空港 あるという社会的責任論へと変わってきています。法令や社会的規 の実現に向けた取り組みと、空港利用客の利便性向上に向けた取 範の遵守、消費者の望む安心・安全な製品やサービスの提供、収 り組みが特集で紹介されています。これは、CSR活動のマテリアリ 益の確保と納税、 コーポレート・ガバナンスの強化、従業員の生活 ティ (重要性)に該当する考えで、高く評価できます。今後は、CSR の保障、株主の利益の確保、環境の改善や保全、地域への貢献、 活動に関して、定性的でも良いので目標を示して、 マネジメントを行 情報の公開などが企業の社会的責任であるとされています。 っていく仕組みが重要になるでしょう。 空港は製品ではなくサービスを提供しているので、 より一層サービ 環境管理面に関しては、2012年度までの空港島の全体を対象と スによる対人的な顧客満足度を高めることが大切です。関西国際 したエコ愛ランド推進計画(関西国際空港環境管理計画)が立案さ 空港株式会社は、 このマルチ・ステークホルダー・エコノミーの時代 れ、 自然環境との調和をテーマとした大阪湾の自然環境の創造への に前述のようなさまざまな社会的責任を積極的に果たそうと努力し 取り組みや、環境負荷低減活動に空港島全体で取り組まれている ていることが見てとれます。 ことは高く評価できます。 しかし、 この計画は中期目標の立案にとど 関西国際空港の貨物の取扱量は今後ますます増加するものと まっており、単年度計画には十分に落とし込まれていません。今後は 予想されるので、 それに向けて貨物取扱設備の拡大に取り組んで この中期計画をもとに、単年度目標を設定され、年度単位で進捗管 います。さらに、大阪湾岸ではシャープの堺工場、松下の尼崎工場、 理することによって、PDCAサイクルを確立することが重要と考えます。 姫路工場、住友金属の和歌山工場などの国際的大企業による大 CSR報告書は、会社にとって社会に開かれた窓のようなものです。 型新規投資が計画されているので、非常に大きな経済波及効果が これからは本報告書を媒介として、 ステークホルダーの声を聞く活動 期待されています。これらの経済環境を考えれば、関西国際空港の を進められ、CSR活動の有効性の確認や新しい活動の可能性の探 地域経済、 さらには日本経済に果たすべき役割は今後より大きくな 求を実行されることが期待されます。また、関西国際空港株式会社は、 るものと考えられます。関西国際空港には、今後も社会的責任の履 国・地方自治体・民間の共同出資による特殊会社であり、会社の成 行と同時に、 より一層の地域住民との交流の拡大と地域経済への り立ちがかなり特殊です。このような会社の特徴とCSR活動との関 貢献を期待します。 係についても触れられると、会社としての立場が明確になり、CSR活 動に対する理解も深まると思われます。 第三者意見をいただいて 本年度は、従前の環境報告書「エコ愛ランドレポート」から「CSR報告書」に刷新しました。その初年度版として、私たち の考える空港の使命、空港会社としての社会的責任といった基本的な事項を明確にし、私たちの取り組みについてできる だけわかりやすくお伝えすることを心掛けました。 第三者意見をお願いした宮本教授、國部教授のお二方からは、当社の取り組み姿勢や報告内容について一定の評価 を頂いたと考えております。宮本教授からは、関西国際空港が経済へ果たす役割の重要性と期待を述べていただきました。 空港の発展が地域経済および日本経済の発展に貢献することを再認識し、世界最高水準の国際空港の実現に向けて 取り組んでまいります。さらに、國部教授からは、CSR活動の推進に向け、 より効果的なPDCAサイクルの確立についてご 指摘をいただきました。本報告書を、PDCAを回す一つのツールとして活用し、企業行動憲章の理念のもと、一歩一歩着 実に前進できるよう取り組んでまいります。 貴重なご意見をいただきましたお二方に心より感謝申し上げますとともに、 ご意見を真摯に受け止め、今後のCSR活動 や報告書作成に活かしていく所存です。 49 K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT 代表取締役副社長 平野 忠邦 会 社 概要 社 名 2008年3月31日現在 関西国際空港株式会社 設 立 年 月日 1984年10月1日 本社所在地 〒549-8501 大阪府泉佐野市泉州空港北1番地 関西国際空港会社ビル 代 表 者 代表取締役社長 村山 敦 資 本 金 8,125億5,000万円 主 な 事 業 当社は、関西国際空港の設置および管理を行うために、国・ 地方自治体・民間の共同出資で設立された特殊会社です。 当社グループの主な事業は以下のとおりです。 関西国際空港グル ープ会社 1.関西国際空港の設置および管理 関西国際空港用地造成株式会社【KALD】 2.関西国際空港の航空保安施設の設置および管理 関西国際空港施設エンジニア株式会社【KFE】 関西国際空港給油株式会社【KAFS】 3.関西国際空港に係る機能・利便施設の建設および管理 関西国際空港セキュリティ株式会社【KIAS】 4.関西国際空港の連絡橋の建設および管理 関西国際空港情報通信ネットワーク株式会社【K-NET】 5.関西国際空港の連絡鉄道施設の建設および経営 関西国際空港熱供給株式会社【KHC】 株式会社関西エアポートエージェンシー【KAA】 売上高の推移(連結) 営業利益・営業利益率の推移(連結) (億円) (億円) 1,200 1,000 963 1,041 1,046 1,057 1,061 営業利益率 250 800 200 600 150 400 100 200 0 2004 2005 2006 2007 20.5 営業利益 15.3 147 0 2003 213 21.7 227 24.3 23.6 257 250 10 2004 2005 2006 5 2007 従業員数の推移(連結) (人) 150 98 100 109 1,500 1,230 1,200 44 50 1,193 1,135 1,112 1,051 2005 2006 2007 900 0 600 −60 300 -150 -200 20 (年度) 当期純利益の推移(連結) (億円) -50 25 15 (年度) -100 35 30 50 2003 (%) 300 −177 2003 2004 2005 2006 2007 (年度) 0 2003 2004 (年度) K A N S A I I N T E R N AT I O N A L A I R P O RT C S R R E P O RT 50 KANSAI INTERNATIONAL AIRPORT CO., LTD. http://www.kiac.co.jp 関西国際空港(株)は、チーム・マイナス6%に参加しています。 この印刷物は、森林認証紙と環境にやさ しい「大豆油インキ」を使用しています。
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