キャッシュ・フロー計算書作成のための会計情報システム

キャッシュ・フロー計算書作成のための会計情報システムの設計
��������� �� ���������� ����������� ������ ��� ��������� � ���� ���� ���������
金川 一夫*1
���
本研究の目的は UML を利用して財務諸表の作成をモデル化することである。そのために、
最初に、企業会計に関する原則をもとにキャッシュ・フロー計算書について明確にする。
その後で、キャッシュ・フロー計算書の作成をモデル化するために、いくつかの UML のダ
イヤグラムを描き、説明する。最後に、MySQL のデータベースに対して、PHP で操作す
るプログラムを示している。
���������
The purpose of this study is to model the preparation of financial statements using
the UML. First, the statement of cash flow is explained based on the principles of
corporate accounting. The statement is then described using the UML. Finally, how to
create the UML model in PHP and MySQL is explained.
������キャッシュ・フロー計算書、国際会計基準、UML、MySQL、PHP
��������� statement of cash flow, International Accounting Standards, UML, MySQL,
PHP
はじめに
本研究の目的は統一モデリング言語(Unified Modeling Language)を利用して財務諸表
の作成をモデル化することである。そのために、最初に、企業会計に関する原則をもとに
キャッシュ・フロー計算書について明確にする。その後で、キャッシュ・フロー計算書の
作成をモデル化するためにいくつかの UML のダイヤグラムを描き、説明する。その後で、
キャッシュ・フロー計算書を作成するプログラムを示す。
*1 経営学部国際経営学科教授
― 24 ―
1
九州産業大学総合情報基盤センター COMMON Vol.32 2012
1. キャッシュ・フロー計算書の本質
国際会計基準委員会(International Accounting Standards Committee)1は 1997 年に国
際会計基準(以下、IAS と略す)1 号「財務諸表の表示」を公表した。それは、IAS 1「会
計方針の開示」(1974 年)、IAS 5「財務諸表に開示すべき情報」(1977 年)、IAS 13「流動
資産及び流動負債の表示」(1979 年)に置き替えられた。さらに、IAS 1 は改訂され、2007
年に公表された2。IAS 1 para.9.において、「財務諸表の目的は、広範囲の利用者(a wide
range of users)の経済的意思決定に有用となる企業の財政状態(financial position)、財務業
績(financial performance)及びキャッシュ・フロー(cash flow)についての情報を提供するこ
とである」
「この目的を達成するために、財務諸表は資産(asset)、負債(liability)、資本(equity)、
利得と損失を含む収益と費用(income and expense, including gain and loss)、所有者の立
場としての所有者による拠出及び所有者に対する分配(contribution by and distribution to
owner in their capacity as owner)、キャッシュ・フローに関する情報を記載する」と述べ
ている3。
IAS 1 para.10.では、
「完全な一組の財務諸表は次のものから構成される」と述べて、次
の計算書を列挙している 4 。その会計期間の期末財政状態計算書(statement of financial
position)、その会計期間のキャッシュ・フロー計算書(statement of comprehensive income)5、
その会計期間の持分変動計算書(statement of changes in equity)、その会計期間のキャッシ
ュ・フロー計算書(statement of cash flows)、重要な会計方針の要約及びその他の説明の情
報より構成される注記(notes)、および企業が会計方針を遡及適用するか若しくは財務諸表
項目の遡及修正再表示を行う場合、または財務諸表項目を組み替える場合には、比較対象
期間のうち最も古い年度の期首時点の財政状態計算書。
国際会計基準委員会は 1992 年 12 月に IAS 7「キャッシュ・フロー計算書」を発表した。
これは IAS 7「財務状態変動表」(1977 年)に置き替えられた6。IAS 7 の目的として「期中
のキャッシュ・フローを営業、投資及び財務活動に分類したキャッシュ・フロー計算書に
、
よって、企業の現金及び現金同等物7の変動実績に関する情報の提供を求めることである8」
1
国際会計基準委員会(International Accounting Standards Committee)は 1973 年 6 月に設立され 2001 年 3 月まで
国際会計基準(International Accounting Standards)を作成してきた. これを改組し、国際会計基準委員会財団
(International Accounting Standards Committee Foundation)が 2001 年 3 月に組織され、この財団の下に国際会計
基準審議会(International Accounting Standards Board)
、評議員会(Trustees)
、基準諮問会議(Standards Advisory
Council)および国際財務報告解釈指針委員会(International Financial Reporting Interpretations Committee)と
いう組織を運営している(安藤(2007) p.2).
2
IASB(2009) p.891.
3
IASB(2011) p.A379,IFRS 財団編(2011) p.A351.
4
IASB(2011) p.A380,IFRS 財団編(2011) p.A352.
5
日本の企業会計基準委員会は 2008 年 12 月に公表された企業会計基準第 22 号「連結財務諸表に関する会計基準」の 42
項において、
「
『連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準』
(1998 年 3 月 企業会計審議会)
(以下、
「作成基準」と略
す)に従い、連結キャッシュ・フロー計算書を作成する」と述べている.
6
IASB(2011) p.A395.
7
企業会計審議会では「現金とは手元現金及び要求払預金をいう。現金同等物とは容易に換金可能であり、かつ、価値
の変動について僅少なリスクしか負わない短期投資をいう(作成基準第二の一)
」と述べている.
8
IASB(2011) p.A426,IFRS 財団編(2011) p.A394.
― 25 ―
2
九州産業大学総合情報基盤センター COMMON Vol.32 2012
そして、
「キャッシュ・フローとは、現金及び現金同等物の流入と流出をいう(IAS7 para.6.)9」と
述べている。
以上のように、IAS1 において、財務諸表の目的のうちの 1 つは、広範囲の利用者の経済
的意思決定に有用となる企業のキャッシュ・フローについての情報を提供することである。
この目的を果たすために、キャッシュ・フロー計算書は、企業の現金及び現金同等物の変
動実績に関する情報を記載する。図表 1 は、キャッシュ・フロー計算書の本質を UML10の
ユースケース図で示したものである。
企業会計
現金流入の記録
《含む》
CF 計算書の作成
《含む》
現金流入の表示
《広げる》
現金流出の記録
経営情報システム
現金流出の表示
《広げる》
企業のキャッシュ・フロー
利用者
注)キャッシュ・フロー計算書を「CF 計算書」
、現金および現金同等物を「現金」と略す。
図表 1. ユースケース図
ユースケース図は、システムの動的な側面をモデリングするために UML に用意されてい
るダイヤグラムの 1 つである。ユースケース図では、一連のユースケース、アクター、お
よびその関連が示される11。サブジェクトとは、一連のユースケースによって記述する対象
のクラスである。通常このクラスはシステムまたはサブシステムである12。この図表に示さ
れるように、サブジェクトは開発対象である企業会計としている。サブジェクトの処理内
容をモデリングするときは、システム全体を囲む線を描き、システムの外側にあってサブ
ジェクトと相互作用するアクターを明らかにする必要がある13。
アクターとは、ユースケースのユーザがそのユースケースと相互作用するときに演じる、
9
IASB(2011) p.A427,IFRS 財団編(2011) p.A395.
UML はソフトウェアシステムの成果物を、仕様化、図式化、構築および文書化するための言語である. UML パートナ
ーコンソーシアムが 1996 年に結成され、統一モデリング言語(Unified Modeling Language)の仕様が完成している(UML
作業部会(2001) p.43, p.54.).
11
Booch, et al. (2004) p.239, (羽生田(2010) p.249).
12
Booch, et al. (2004) p.228, (羽生田(2010) p.238).
13
Booch, et al. (2004) p.242, (羽生田(2010) p.252).
10
― 26 ―
3
九州産業大学総合情報基盤センター COMMON Vol.32 2012
一貫性をもった役割のことである14。アクターはスティックマンと呼ばれる人型の図形また
はステレオタイプがついた長方形として描画され、適切な名前が記される15。この図表では、
アクターは企業会計の相手となる「経営情報システム」
、
「利用者」としている。
ユースケースとは、システムを使用して 1 つまたは複数のユーザの要件を実現する状況
のことである。ユースケースは、システムが提供する機能を表わす。この図表では、ユー
スケースは「現金および現金同等物の流入・流出の記録」、「キャッシュ・フロー計算書の
作成」、「現金および現金同等物の流入・流出の表示」、「企業のキャッシュ・フロー」であ
る。関連と呼ばれる実線はアクターとユースケースを接続し、アクターがユースケースと
関係することを表わす16。この図では、「経営情報システム」のアクターは「現金および現
金同等物の流入・流出の記録」と関係し、
「利用者」のアクターは「企業のキャッシュ・フ
「含む」と「広げる」の 2 つの
ロー」と関係している17。ユースケース間の依存関係には、
ステレオタイプを適用できる。
「含む」はソースのユースケースの振る舞いを、ソースで指
定されている位置に明示的に取り込むことを表わす18。「広げる」はソースのユースケース
がターゲットの振る舞いを拡張することを表わす19。「現金および現金同等物の流入・流出
の記録」は「キャッシュ・フロー計算書の作成」に取り組まれるので「含む」を適用し、
「現
金および現金同等物の流入・流出の表示」は「企業のキャッシュ・フロー」の振る舞いを
拡張するので「広げる」を適用している。
「キャッシュ・フロー計算書の作成」と「現金お
よび現金同等物の流入・流出の表示」との関係は「汎化」の関係である。汎化とは、特化
された要素(子)が汎化された要素(親)を基に構築される特化と汎化の関係のことである。
子は親の構造と振る舞いを共有する。汎化は、親を指す白抜きの三角形が付いた実線で示
される20。
14
Booch, et al. (2004) p.227, (羽生田(2010) p.237).
Russ, et al. (2006) p.22, (原(2008) p.21).
16
Russ, et al. (2006) p.20, (原(2008) p.19).
17
Russ, et al. (2006) p.26, (原(2008) p.25).
18
Booch, et al. (2004) p.137, (羽生田(2010) p.143)、
「含む」関係は、破線の矢印の後端にあるユースケースが、矢
印の先端にあるユースケースのすべてのステップを「完全に」再利用することを表わす(Russ, et al. (2006) p.31, (原
(2008) p.30))
.
19
Booch, et al. (2004) p.137, (羽生田(2010) p.143) 「広げる」関係は、あるユースケースが別のユースケースの振
る舞いを再利用する「可能性がある」ことを表わす(Russ, et al. (2006) p.39, (原(2008) p.36)).
20
Booch, et al. (2004) p.24, (羽生田(2010)P.24).
15
― 27 ―
4
九州産業大学総合情報基盤センター COMMON Vol.32 2012
2. キャッシュ・フロー計算書の情報
IAS1 において、
「企業は、財務諸表を明瞭に識別(identify)して、同様の公表書類にお
ける他の情報と区別(distinguish)しなければならない(IAS1 para.49.)」さらに、
「企業
は、次の情報を目立つように(prominently)明示しなければならない(IAS1 para.51.)
」と
している21。
(a) 報告企業の名称又は他の識別する手段、及び直前の報告期間末日からの当該情報の変更
(b) 財務諸表の対象が個別企業か企業集団か
(c) 財務諸表の期末日又は期間
(d) IAS2122に定義される表示通貨
(e) 財務諸表中の金額を表示するのに使用される表示単位
さらに、
「キャッシュ・フロー計算書は、営業、投資及び財務の諸活動に区分して、期中
。営業活動の区分に
のキャッシュ・フローを報告しなければならない(IAS7 para.10.)23」
ついて、
「営業活動とは、企業の主たる収益獲得活動及びその他の活動のうち投資活動でも
、
「営業活動のキャッシュ・フローは、主
財務活動でもないものをいう(IAS7 para.10. )24」
として、主たる収益獲得活動から生じる。そのため、それは一般的には、純利益の算定に
含まれる取引及びその他の事象の結果として生じる(IAS7 para.14. )25」と述べている。投
資活動の区分について、
「投資活動とは、長期性資産及び現金同等物に含まれない他の投資
、
「将来の収益及びキャッシュ・フローの生成を意
の取得及び処分をいう(IAS7 para.6. )26」
図して、どの程度の支出が資源に投入されたかを表わすため、投資活動によって生じるキャ
ッシュ・フローを区分して開示することは重要である。財政状態計算書において資産が認識
されることとなる支出のみが、投資活動に分類される要件を満たす(IAS7 para.16. )27」と
述べている。財務活動の区分について、
「財務活動とは、当該企業の拠出資本及び借入の規
、
「企業に対する資本提供者によ
模と構成に変動をもたらす活動をいう(IAS7 para.6. )28」
る将来のキャッシュ・フローに対する請求権を予測する上で有用であるため、財務活動か
ら生じるキャッシュ・フローを区分して開示することは重要である(IAS7 para.17. )29」と
述べている。
以上のように、キャッシュ・フロー計算書を作成する場合に、キャッシュ・フロー計算
書を他の財務諸表と区別するための情報と、営業活動、投資活動及び財務活動の区分とい
21
22
23
24
25
26
27
28
29
IASB(2011) p.A387,IFRS 財団編(2011) p.A358.
IAS 第 21 号『外国為替レート変動の影響』2011 年 1 月 1 日公表.
IASB(2011) p.A428,IFRS 財団編(2011) p.A395.
IASB(2011) p.A427,IFRS 財団編(2011) p.A395.
IASB(2011) p.A428,IFRS 財団編(2011) p.A396.
IASB(2011) p.A427,IFRS 財団編(2011) p.A395.
IASB(2011) p.A429,IFRS 財団編(2011) p.A396.
IASB(2011) p.A427,IFRS 財団編(2011) p.A395.
IASB(2011) p.A430,IFRS 財団編(2011) p.A397.
― 28 ―
5
九州産業大学総合情報基盤センター COMMON Vol.32 2012
うキャッシュ・フロー計算書の構成要素に関する情報を必要とする。クラス図はシステム
の設計ビューの静的な側面を扱う30。クラスとは、あるものの型のことである。クラスは、
最大で 3 つの区画に区分される長方形で示される。上段の区画にクラスの名前を記述し、
中段の区画に属性を記述し、下段の区画に操作を記述する31。属性はクラスのプロパティで、
名前を持っており、プロパティのインスタンスが取りうる一定範囲の値を記述する。操作
とは、ユーザがオブジェクトに対して行うことを抽象化したもので、クラスの全てのオブ
ジェクトに共有されるものである32。
図表 2 に示されるように、クラス図には利用者、キャッシュ・フロー計算書、構成要素、
営業活動、投資活動及び財務活動のクラスが描かれている。キャッシュ・フロー計算書の
クラスはキャッシュ・フロー計算書を識別するための情報を示している。構成要素、営業
活動、投資活動及び財務活動のクラスはキャッシュ・フロー計算書の構成要素に関する情
報を示している。
関連は、あるクラスが別のクラスのオブジェクトへの参照を、属性の形式で実際に含む
ことを意味する。関連は、2 つのクラスを接続する単純な線を使って示される33。利用者が
キャッシュ・フロー計算書の情報を獲得するという関係は関連として示される。
利用者
所属 : 文字列
氏名 : 文字列
経営者
1
*
利害関係者
0..1
情報獲得 ()
CF 計算書
企業名 : 文字列
* 期間 : 文字列
構成要素 : 文字列
構成要素
1
*
営業活動
項目 : 文字列
金額 : 金額
区分 : 文字列
投資活動
項目 : 文字列
金額 : 金額
財務活動
項目 : 文字列
金額 : 金額
注)キャッシュ・フロー計算書を「CF 計算書」と略す。
図表 2. クラス図
集約は、あるクラスが別のクラスのオブジェクトを「所有するが、共有する可能性があ
る」ことを示している。キャッシュ・フロー計算書がいくつかの要素を所有している。集
約は、この図表のように、所有する側のクラスに白抜きのひし形を付ける34。営業活動、投
資活動及び財務活動のクラスは構成要素のクラスの一種であることを、前述した汎化の矢
印を使って示している。
30
31
32
33
34
Booch, et al. (2004) p.25, (羽生田(2010) p.26).
Russ, et al. (2006) p.67, (原(2008) p.64).
Booch, et al. (2004) pp.50-51, (羽生田(2010) pp.52-53).
Russ, et al. (2006) p.85, (原(2008) pp.82-83).
Russ, et al. (2006) p.87, (原(2008) p.85).
― 29 ―
6
九州産業大学総合情報基盤センター COMMON Vol.32 2012
3. キャッシュ・フロー計算書の作成
企業は、営業活動によるキャッシュ・フローを次のいずれかを用いて報告しなければな
らない(IAS7 para.18.)35。
(a) 直接法(主要な種類ごとの収入総額と支出総額を開示する方法)
(b) 間接法(非資金的性質の取引項目の影響、将来又は過去の営業活動からの収入又は支
出の繰延べ又は見越し、及び、投資又は財務活動によるキャッシュ・フローに関連した
収益又は費用項目について純損益を調整する方法)36。
直接法を用いた営業活動によるキャッシュ・フローを報告するキャッシュ・フロー計算
書の例は文末の付表 1 に示される。
営業活動によるキャッシュ・フローの例としては、次のものがある(IAS7 para.14. )37。
(a) 財貨の販売及び役務の提供による収入
(b) ロイヤルティ、報酬、手数料及びその他の収益による収入
(c) 財貨及び役務の仕入先に対する支出
(d) 従業員に対する、又は従業員のための支出
(e) 保険会社の保険料収入並びに保険金、及びその他の保険契約上の給付金の支払
(f) 法人所得税の支払又は還付(財務活動又は投資活動に明確に関連付けられる場合を除
く)
(g) 売買目的保有の契約からの収入及び支出
投資活動によるキャッシュ・フローの例としては、次のものがある(IAS7 para.16. )38。
(a) 有形固定資産、無形固定資産及びその他の長期資産を取得するための支出
(b) 有形固定資産、無形固定資産及びその他の長期資産の売却による収入
(c) 他の企業の資本性金融商品又は負債性金融商品及びジョイント・ベンチャーに対する
持分を取得するための支出
(d) 他の企業の資本性金融商品又は負債性金融商品及びジョイント・ベンチャーに対する
持分の売却から生じる収入
(e) 他者に対する貸出し
(f) 他者に対する貸出しの返済による収入
35
36
IASB(2011) p.A430,IFRS 財団編(2011) pp.A397-A398.
企業会計審議会は、営業活動によるキャッシュ・フローの表示方法について、
「営業活動によるキャッシュ・フローは、
次のいずれかの方法により表示しなければならない」と述べて、(1)主要な取引ごとにキャッシュ・フローを総額表示す
る方法(直接法)と(2)税金等調整前当期純利益に非資金損金項目、営業活動に係る資産及び負債の増減、
「投資活動によ
るキャッシュ・フロー」及び「財務活動によるキャッシュ・フロー」の区分に含まれる損金項目を加減して表示する方
法(間接法)を示している.(企業会計審議会(1998) 作成基準、第三第一項).
37
IASB(2011) p.A428,IFRS 財団編(2011) p.A396.
38
IASB(2011) p.A429,IFRS 財団編(2011) pp.A396-A397.
― 30 ―
7
九州産業大学総合情報基盤センター COMMON Vol.32 2012
(g) 先物契約、先渡契約、オプション契約及びスワップ契約による支出
(h) 先物契約、先渡契約、オプション契約及びスワップ契約による収入
財務活動によるキャッシュ・フローの例としては、次のものがある(IAS7 para.17. )39。
(a) 株式又はその他の資本性金融商品の発行による収入
(b) 企業自身の株式を買い戻し、あるいは償還するための、所有者への支出
(c) 社債、借入金、手形借入、抵当権付借入及びその他の短期又は長期の借入れによる収
入
(d) 借入金の返済による支出
(e) ファイナンス・リースに関する負債残高を減少させるための借手の支出
さらに、企業は、現金及び現金同等物の内訳を開示し、キャッシュ・フロー計算書におけ
るこれらの金額と、財政状態計算書において報告される相当する項目との調整を表示しな
ければならない(IAS7 para.45. )40。
以上のように、キャッシュ・フロー計算書は会計期間で認識された収入と支出のすべて
の項目を営業活動、投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フローに区分して記載し、
現金及び現金同等物の内訳を開示しなければならない。
シーケンス図は、システムの動的な側面をモデリングするために UML に用意されている
ダイアグラムのうちの 1 つである。シーケンス図は、メッセージの時間軸にそった順序を
強調した相互作用図である41。シーケンス図は、参加要素(participant)の集まりで構成され
る。参加要素とは相互作用に参加する要素のことで、互いに相互作用するシステムのパー
ツのことを言う42。シーケンス図は、参加要素を X 軸にそって配置し、時間の経過に従った
順序でメッセージを Y 軸にそって配置した表である43。参加要素には、次に示す標準的なフ
ォーマットから必要な要素を選択して、様々な方法で名前をつけることができる44。
名前[セレクタ] : クラス名
ref パート分解
図表 3 に示されるように、参加要素は利用者、キャッシュ・フロー計算書、営業活動、
投資活動、財務活動、現金及び現金同等物の内訳および経営情報システムとしている。生
存線は、参加要素がある期間存在することを示す垂直の波線である45。これは、企業会計の
39
40
41
42
43
44
45
IASB(2011) p.A430,IFRS 財団編(2011) p.A397.
IASB(2011) p.A435,IFRS 財団編(2011) p.A402.
Booch, et al. (2004) p.249, (羽生田(2010) p.259).
Russ, et al. (2006) p.109, (原(2008) p.108).
Booch, et al. (2004) p.251, (羽生田(2010) p.261), Russ, et al. (2006) p.109, (原(2008) p.108).
Russ, et al. (2006) p.109, (原(2008) p.108).
Booch, et al. (2004) p.252, (羽生田(2010) p.263).
― 31 ―
8
九州産業大学総合情報基盤センター COMMON Vol.32 2012
場合、会計期間を意味している。
:CF 計算書
<<アクター>>
:利用者
<<アクター>>
:経営情報システム
: 財務活動 :投資活動
要求 ()
表示 ()
: 内訳
:営業活動
流入・流
出の記
録 ()
開示 ()
合計・残
高の計
算 ()
表示 ()
注)キャッシュ・フロー計算書を「CF 計算書」
、現金及び現金同等物の内訳は「内訳」と略す。
図表 3.
シーケンス図
制御フォーカスは、縦長の長方形で表され、参加要素が直接、または従属プロシージャ
を通してアクションを実行している期間を示している46。利用者の情報要求に対して,返答
される期間である。メッセージは、生存線から生存線への矢印で表わす。矢印は受信側を
指している。同期メッセージ(呼び出し)の場合、矢じりは塗りつぶした三角形である。利用
者はキャッシュ・フローに関する情報をキャッシュ・フロー計算書に要求している。同期
メッセージに対する応答(呼び出しのリターン)は、線だけの矢じりをつけた破線の矢印で表
わす47。現金および現金同等物の流入、流出の記録から、営業活動、投資活動、財務活動の
収支、現金及び現金同等物の内訳が記載されたキャッシュ・フロー計算書が利用者に開示
される。
シーケンス図の時間は、参加要素の見出しから始まり、下に向かっている48。この図表に
おいて、経済的意思決定を行う広範囲の利用者が、キャッシュ・フローについての情報を
要求することから始まる。メッセージが参加要素に渡されると、そのメッセージが引き金
となって受信側の参加要素は何かを行う49。利用者がキャッシュ・フロー計算書を要求する
というメッセージを渡すと、経営情報システムから記録された活動区分ごとの収入と支出、
そして現金及び現金同等物の内訳が計算され、これらの要素がキャッシュ・フロー計算書
として表示される。
4. キャッシュ・フロー計算書作成のためのプログラミング
企業は、キャッシュ・フロー情報を除いて、発生主義会計(accrual basis of accounting)
46
47
48
49
Booch, et al. (2004) p.252, (羽生田(2010) p.263).
Booch, et al. (2004) p.254, (羽生田(2010) p.264).
Russ, et al. (2006) p.110, (原(2008) p.109).
Russ, et al. (2006) p.113, (原(2008) p.111).
― 32 ―
9
九州産業大学総合情報基盤センター COMMON Vol.32 2012
により財務諸表を作成する(IAS1 para. 27. )50。企業は、直接法を用いて営業活動による
キャッシュ・フローを報告することが推奨される。直接法は、将来キャッシュ・フローを
見積もるうえで有用な、かつ、間接法では得られない情報を提供する(IAS7 para.19. )51。
直接法においては、主要な種類ごとの収入総額と支出総額に関する情報は、次のいずれ
かにより得られる(IAS7 para.19. )52。
(a) 当該企業の会計記録
(b) 売上、売上原価及び包括利益計算書に含まれるその他の項目から、次の項目を調整する
こと
(i) 棚卸資産及び営業債権・債務の期中変動額
(ii) その他の非資金項目
(iii) 現金への影響が投資又は財務活動によるキャッシュ・フローとなるその他の項目
間接法では、営業活動によるキャッシュ・フローは、純損益を次の項目の影響について、
調整することにより算定される(IAS7 para.20. )53。
(a) 棚卸資産及び営業債権・債務の期中変動額
(b) 減価償却費、引当金繰入額、繰延税金、未実現為替差損及び関連会社の未分配利益等の
非資金項目
(c) 現金への影響が投資又は財務活動によるキャッシュ・フローとなる他のすべての項目
直接法によるキャッシュ・フロー計算書が作成される過程は図表 4 の状態マシン図(state
machine diagram)に示される。
状態マシン図は、オブジェクトの状態と状態の変化を引き起こすイベントを表現する54。
状態は、オブジェクトの存続期間中の状態や状況のことで、その期間中にオブジェクトは
ある状態を満足したり、あるアクティビティを実行したり、あるイベントを待ち受けたり
する55。状態は角の丸い長方形として描かれ、その中央に状態の名前を記述する56。この図
表において、
「経営情報」
、
「仕訳」
、
「収入」
、
「支出」
、
「営業活動」
、
「投資活動」
、
「財務活動」
、
50
IASB(2011) p.A383,IFRS 財団編(2011) p.A355.
IASB(2011) p.A430,IFRS 財団編(2011) p.A398.
52
IASB(2011) p.A430,IFRS 財団編(2011) p.A398.直接法とは、営業収入、原材料又は商品の仕入のための支出等、主要
な取引ごとにキャッシュ・フローを総額表示する方法をいう(実務指針 12)
.
53
IASB(2011) pp.A430-A431,IFRS 財団編(2011) p.A398. 間接法とは、税金等調整前当期純利益に、非資金項目、営業
活動に係る資産及び負債の増減並びに投資活動によるキャッシュ・フロー及び財務活動によるキャッシュ・フローの区
分に含まれるキャッシュ・フローに関連して発生した損益項目を加減算して営業活動によるキャッシュ・フローを表示
する方法をいう(実務指針 12).
54
Russ, et al. (2006) p.211, (原(2008) p.209).
55
Booch, et al. (2004) p.254, (羽生田(2010) p.315).
56
Russ, et al. (2006) p.213, (原(2008) p.211).
51
― 33 ―
10
九州産業大学総合情報基盤センター COMMON Vol.32 2012
「現金及び現金同等物の内訳」
、
「開示」を状態としている。2 つの状態間の関係で、ある状
態のオブジェクトが、指定されたイベントが発生して指定された条件が満たされる(イベ
ントトリガー)と、あるアクションを実行して別の状態に入ることを遷移という。遷移は
ソース状態(遷移によって影響を受ける状態)からターゲット状態(遷移の完了後にアク
ティブになる状態)へ向かう実線の矢印で表現される57。
CF 計算書
記録
経営情報
表示
流入・流出
要求
仕訳
営業活動
収入
投資活動
開示
財務活動
支出
内訳
注)キャッシュ・フロー計算書を「CF 計算書」
、現金及び現金同等物の内訳は「内訳」と略す。
図表 4.
状態マシン図
この図表において、例えば「経営情報」の状態は、現金および現金同等物の流入と流出
を伴う取引が生じると「仕訳」の状態に入る。さらに、UML では並行状態、すなわち同時
に複数の状態をとることができる。これを表現するのが「複合状態」である。複合状態
(composite state)とは、1 つまたは複数の状態マシン図を含んでいる状態のことである58。
この図表において、
「経営情報」の状態から「仕訳」の状態への遷移の状態マシン図と、
「収
入」と「支出」の状態から、
「営業活動」
、
「投資活動」
、
「財務活動」および「現金及び現金
同等物の内訳」、そして「開示」の状態への遷移の状態マシン図とを含んでいるのである。
この図表に示される「記録」の状態マシン図において、
「経営情報」は、現金および現金
同等物の流入と流出を伴う取引が生じたときに、収入または支出が「仕訳」されて、記録
されるという状態遷移を説明している。
「表示」の状態マシン図において、記録された収入
と支出に関する情報は、利用者が要求するとき、
「営業活動」
、
「投資活動」
、
「財務活動」お
よび「現金及び現金同等物の内訳」を計算して開示するという状態遷移を説明している。
図表 5 は MySQL59のデータベースに対して、PHP60で操作するプログラムであり、図
57
Booch, et al. (2004) p.254, (羽生田(2010) pp.317-318).
Russ, et al. (2006) p.220, (原(2008) p.218).
59
MySQL は Michael Widenius が開発したオープンソースのリレーショナルデータベース管理システム(Relational
Database Management System)である. MySQL の最初のバージョンは 1995 年にリリースされ、2005 年に Version 5.0
がリリースされている. (田中、阿部(2007)p.23.)
60
PHP(Personal Home Page Tools): Hypertext Preprocessor は Rasmus Lerdorf が開発したオープンソースの Web アプ
リケーション開発言語(Web Application)である. Perl で書かれたスクリプトを C 言語で書き直した Personal Home
Page Tools が 1995 年にリリースされ、2004 年に PHP5 がリリースされている. (西沢(2008)p.1.)
58
― 34 ―
11
九州産業大学総合情報基盤センター COMMON Vol.32 2012
図表 5.
プログラム
行番号
1
コード
mysql_query(“CREATE VIEW drl AS SELECT drj.sbango,drj.tname,drj.sncode2 AS
crcode,drj.kname, SUM(drj.skingaku) AS dskingaku FROM drj GROUP BY drj.sncode2 ORDER
BY drj.sncode2”);
mysql_query(“CREATE VIEW crl AS SELECT crj.sbango,crj.tname,crj.sncode2 AS
drcode,crj.kname, SUM(crj.skingaku) AS cskingaku FROM crj GROUP BY crj.sncode2 ORDER
BY crj.sncode2”);
mysql_query(“CREATE VIEW incfitem AS SELECT cfitem.ccode, cfitem.iocode,
cfitem.kubun, cfitem.cname, drl.dskingaku FROM cfitem LEFT JOIN drl ON cfitem.crcode
= drl.crcode WHERE cfitem.iocode='in' or cfitem.iocode='go' or cfitem.iocode='ka' or
cfitem.iocode='zo'or cfitem.iocode='ze'or cfitem.iocode='ji' ”);
mysql_query(“CREATE VIEW oucfitem AS SELECT cfitem.ccode, cfitem.iocode,
cfitem.kubun, cfitem.cname, crl.cskingaku FROM cfitem LEFT JOIN crl ON cfitem.drcode
= crl.drcode WHERE cfitem.iocode='ou' ”);
mysql_query(“CREATE VIEW inoucfitem AS SELECT * FROM incfitem UNION SELECT * FROM
oucfitem”);
$re=mysql_query(“SELECT * FROM inoucfitem ORDER BY inoucfitem.ccode”);
echo‘<TABLE border=1 BGCOLOR="lightgrey”>';
echo‘<TR><TH COLSPAN="3">キャッシュフロー計算書</TH></TR>';
echo‘<TH>区分</TH><TH>項目</TH><TH>金額</TH>';
$Ingokei = 0;
$IngokeiT = 0;
$Ougokei = 0;
$OugokeiT = 0;
while(list($kekka01, $kekka02, $kekka03, $kekka04, $kekka05)=mysql_fetch_row($re)){
echo ‘<TR>';
echo “<TD ALIGN='center'>$kekka03</TD>”;
echo “<TD>$kekka04</TD>”;
switch ($kekka02)
{
case‘in':
$Ingokei = $Ingokei + $kekka05 ;
$IngokeiT = $IngokeiT + $kekka05 ;
break;
case‘ou':
$Ougokei = $Ougokei + $kekka05 ;
$OugokeiT = $OugokeiT + $kekka05 ;
break;
case‘ka':
break;
case‘zo':
$Zouka = $IngokeiT - $OugokeiT ;
$kekka05 = $Zouka;
break;
case‘ze':
$Zenki = $kekka05;
break;
case‘ji':
$kekka05 = $Zouka + $Zenki;
break;
}
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
― 35 ―
12
九州産業大学総合情報基盤センター COMMON Vol.32 2012
表 4 の状態マシン図における「表示」の状態の遷移を記述している。1 行目と 2 行目は
CREATE VIEW ビュー名 AS SELECT 文により、図表 6 に示されるように、仕訳テーブ
ルから現金勘定を集計した現金勘定借方テーブル(drj)と現金勘定貸方テーブル(crj)をもと
に、相手勘定コード(sncode2)を基準にして相手勘定別現金勘定借方合計テーブル(drl)と相
手勘定別現金勘定貸方合計テーブル(crl)を作成している。同様に、3 行目と 4 行目も
CREATE VIEW ビュー名 AS SELECT 文により、相手勘定別現金勘定借方合計テーブル
(drl)と相手勘定別現金勘定貸方合計テーブル(crl)から、キャッシュ・フロー計算書項目テー
ブルのキャッシュ・フロー計算書項目コード(drcode、crcode)を基準にして現金収入テーブ
ル(incfitem)と現金支出テーブル(oucfitem)を作成している。5 行目は、SELECT*FROM
テーブル名1 UNION SELECT*FROM テーブル名2文により、現金収入テーブル
(incfitem)と現金支出テーブル(oucfitem)を結合して、キャッシュ・フロー計算書テーブル
(inoucfitem)を作成している。
現金勘定借方テーブル(drj)
drj.sncode2
drj.kname
現金勘定貸方テーブル(crj)
SUM(drj.skingaku)
crj.sncode2
相手勘定別現金勘定借方合計テーブル(drl)
drl.crcode
drl.kname
crj.kname
SUM(crj.skingaku)
相手勘定別現金勘定貸方合計テーブル(crl)
drl.skingaku
crl.drcode
crl.kname
crl.skingaku
CF 計算書項目テーブル
cfitem.ccode
cfitem.iocode
cfitem.kubun
cfitem.drcode
現金収入テーブル(incfitem)
incfitem.ccode
incfitem.iocode
cfitem.crcode
現金支出テーブル(oucfitem)
incfitem.dskingaku
oucfitem.ccode
oucfitem.iocode
oucfitem.dskingaku
CF 計算書テーブル(inoucfitem)
inoucfitem.ccode
inoucfitem.iocode
inoucfitem.kubun
inoucfitem.cname
inoucfitem.dskingaku
注)キャッシュ・フロー計算書を「CF 計算書」と略す。
図表 6.
テーブルの結合
7-9 行目は「キャッシュ・フロー計算書」という見出し等を表示している。10-13 行目は、
変数としての収入小計(Ingokei)、収入合計(IngokeiT)、支出小計(Ougokei)、支出合計
(OugokeiT)に初期値 0 を設定している。18-40 行目はキャッシュ・フロー計算書項目区分
コード(inoucfitem.iocode)をもとに、活動区分別に計算をした後で、「為替レートの変動に
伴う影響額」、「現金及び現金同等物の正味増加額」および「現金及び現金同等物の期末残
― 36 ―
13
九州産業大学総合情報基盤センター COMMON Vol.32 2012
高」をそれぞれ計算している。20-23 行目は収入項目の小計と合計を計算している。24-27
行目は支出項目の小計と合計を計算している。28-29 行目は「為替レートの変動に伴う影響
額」を計算している。30-33 行目は「現金及び現金同等物の正味増加額」を計算している。
34-36 行目は「現金及び現金同等物の期首残高」を計算している。そして、37-39 行目は「現
金及び現金同等物の期末残高」を計算している。
おわりに
本研究の目的は UML を利用して財務諸表の作成をモデル化することであった。そのため
に、国際会計基準をもとにキャッシュ・フロー計算書について明確にして、それを UML の
ダイヤグラムで表現している。
キャッシュ・フロー計算書は、経済的意思決定を行う広範囲の利用者にとって、企業の
現金及び現金同等物の変動実績に関する情報を提供する計算書である。これをユースケー
ス図で表現した。クラス図では、キャッシュ・フロー計算書を識別するための情報とキャ
ッシュ・フロー計算書の構成要素について説明している。シーケンス図では、利用者が要
求することから始まり、そのメッセージが引き金となって活動区分ごとに現金および現金
同等物の収入と支出が計算され、現金及び現金同等物の内訳が計算された後、これらの要
素が表示されるという過程を説明している。そして、状態マシン図では、現金および現金
同等物の流入と流出を伴う取引が生じる場合に現金及び現金同等物の流入と流出を記録す
る状態遷移と、利用者が要求するとき、活動区分ごとの収入と支出、および現金及び現金
同等物の内訳を計算して、これらの情報を開示するという状態遷移を説明している。その
後で、キャッシュ・フロー計算書を作成するために、MySQL のデータベースに対して PHP
で操作するプログラムを示している。
― 37 ―
14
九州産業大学総合情報基盤センター COMMON Vol.32 2012
[1] IFRS 財団編、企業会計基準委員会・財務会計基準機構『国際財務報告基準 20011: 2011
年 1 月 1 日現在で公表されている基準書等 PART A 概念フレームワーク及び要求事項』
、
中央経済社、2011 年
[2] 安藤英義「会計学大辞典第 5 版」
、中央経済社、2007 年
[3] 企業会計基準委員会「企業会計基準 25 号 包括利益の表示に関する会計基準」
、公益財団法
人財務会計基準機構、2010 年
[4] ジャパン・ビジネス・アシュアランス「IFRS(国際財務報告基準)実務ガイドブック」、 中央
経済社、2009 年
[5] 田中ナルミ、阿部忠光「標準 MySQL」
、ソフトバンククリエイティブ、2007 年
[6] 西沢直木「PHP 辞典」
、 翔泳社、2008 年
[7] Booch, G., J.Rumbaugh and I.Jacobson「Covers UML 2.0 The unified modeling language
user guide Second Edition」
、Addison-Wesley( 羽生田栄一(2010)、
『UML ユーザガイド』
ピアソン・エデュケーション)、2004 年
[8] International Accounting Standards Board 「International Financial Reporting
Standards IFRS 2009: Official Pronouncements as Issued at 1 January 2009」
、IASC
Foundation Publications Department、2009 年
[9] International Accounting Standards Board「International Financial Reporting Standards
IFRS 2011: Official Pronouncements as Issued at 1 January 2011」
、IASC Foundation
Publications Department、2011 年
[10] Object Management Group「OMG Unified Modeling Language Specification」
、Object
Management Group.(OMG Japan SIG 翻訳委員会 UML 作業部会(2001)、『UML仕様書』
アスキー)、2000 年
[11] Russ, M. and H. Kim 「Learning UML 2.0」
、 O’REILLY (原隆文訳(2008)、
『入門UML 2.0』
オーライリー・ジャパン)、2006 年
― 38 ―
15
九州産業大学総合情報基盤センター COMMON Vol.32 2012
付表 1.
直接法を用いた連結キャッシュ・フロー計算書
連結キャッシュ・フロー計算書
2010 年 12 月 31 に終わる年度について
注記
2010 $
2009 $
2,550,535
1,576,199
(8,888,703)
(8,693,671)
(479,722)
(1,586,756)
6
628,290
-
30
(6,189,600)
(8,704,228)
(16,732)
(77,426)
23,458
190,032
-
85,000
6,726
197,606
株式の発行による収入
7,071,247
3,326,194
株式発行費
(203,683)
(160,701)
884,024
426,714
(471,138)
(2,543,542)
7,280,450
1,048,665
1,097,576
(7,457,957)
為替レートの変動に伴う影響額
1,735
(45,985)
現金及び現金同等物の期首残高
67,350
7,571,292
1,166,661
67,350
営業活動によるキャッシュ・フロー
顧客からの収入(消費税を含む)
仕入先従業員に対する支払(消費税を含む)
利息及びその他のファイナンス活動に伴う支払
研究開発優遇税制措置に伴う助成金収入
営業活動による正味キャッシュ・アウトフロー
投資活動によるキャッシュ・フロー
固定資産の購入による支出
利息の受取額
売却可能有価証券の売却による収入
投資活動による正味キャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フロー
借入による収入
借入の返済による支出
財務活動による正味キャッシュ・インフロー
現金及び現金同等物の正味増加額
現金及び現金同等物の期末残高
9
2010 年 12 月 31 に終わる年度に対する財務諸表に対する注記
6. 収益 p.57
9. 流動資産 - 現金及び現金同等物 p.59
30. 営業活動による正味キャッシュ・インフローに対する所得税控除後損失の調整 p.71
出所)Metal Storm Limited Annual Report 2010 p.39
― 39 ―
16
九州産業大学総合情報基盤センター COMMON Vol.32 2012