セラピストの筋肉疲労をクレイでケア

セラピストの筋肉疲労をクレイでケア
H.A
はじめに
わたくし事ですが、今年に入り、定期的にボディトリートメントを行う機会を得、とてもうれし
く思い、活動しています。
現在は月 2~3 回の自分のサロンと、月 4 日の病院でのトリートメントが主となる活動内容です。
サロンは、フェイシャルリフレクソロジーが中心のオーダー(一日 2~3 件)ですが、
病院では、現在、スタッフさまのトリートメントが主のため、
「背中や肩を直接触ってほしい」と
いうご希望の方が多いことなどの理由から、オイルなしの背中、首、頭、足、腰 のディープテ
ィシューを中心とした施術を、一日 5 名さま(お一人 50 分施術)×4日=20 名を行っています。
月4日とはいえ、20人を定期的に施術すると、セラピスト自身への負担も少なくなく、右上肢
(特に右手関節)の違和感を感じ始めているところです。
もともと 10 年前にアロマテラピートリートメントを学び始めたばかりのころ、ペトリサ―ジュを
すると右手首違和感があり、右手関節に弱さを感じていました。
体重のかけ方や、手の使い方にも工夫が必要なのですが、手や上肢の過負荷によるトラブルは、
セラピストにはよく見られるものなので、クレイでケアしてみたいと思い、クレイパックをして
みた結果を報告いたします。
症状と経過
10 年前、アロマセラピスト資格取得の際の練習中に、はじめて右手関節の違和感(ペトリサ―ジ
ュで体重をかけた時に感じる、関節がはまっていない感じ。かけた体重を外したときに、手関節
が、がくっとするような違和感があり、自分なりには右手関節の靭帯が弱いのではないかと思っ
ている。痛みはないが、何となく嫌な感じ。)があった。
その後は、トリートメントをそれほど頻繁にしていなかったためもあり、あまり気にならなかっ
たが、最近ディープティシューを主としたボディケアを何例も続けて行うと、同様の違和感を右
手関節に感じると共に、右拇指付け根や手の甲、右前腕にも重だるさを感じるようになっている。
熱感や腫脹はない。
疲労感や筋肉痛とは異なるが、日をおいても症状が消失しないため、クレイでケアを試みた。
方法
筋肉や腱、靭帯、関節のトラブルと考え、イエローイライトを選択。
方法は、右の手関節周辺へのパックとした。
(イエローイライトのパック 水65%にて作製)
実施・結果
1 回目:2016 年 7 月 16 日 午後
イエローイライト 40g にてパックを作製し、右手にパックを行う。
パック時間は15分。(はじめての手へのパックだったた
め)
手首を中心に、前腕まで。
<実施中の感想>
① 手の甲や手のひら(拇指のつけねあたり)が、クレイを
してほしそうにしていると感じた。
② クレイが乗っている部分は、クレイの重みを感じるのみ。
③ パック中、タオルで前腕を覆っていたのだが、15 分ほどしてタオルを外してみると、右指先だ
けが、お風呂に入ったときのように、シワシワに、ふやけていた。
(タオルで覆っていたため?)
④ 左手で右手にクレイを塗るのは、いっそう難しい。
<実施後の感想>
① 皮膚の変化はなし。
② クレイをはずして 10 分ほど経つと、右手関節から上肢にかけ、だんだんだるくなりはじめ、
あれ?と思っているうちに、どんどんだるさが強くなっていき、どうしようもない感じに。
1 時間ほどだるさが続き、その後はホカホカしてくるとともにだるさは消失。
しかし、急に強い眠気に襲われて、引き込まれるように 1 時間ほど眠ってしまった。
③ 手関節周囲の症状は、クレイパック後、かなり軽減(80%くらい減った)した。
(パック前は、包丁で固いものをカットしたりするときや、重いものをもったときにも違和感
があったが、それらの症状が気にならなくなり、すっかり忘れている状態)
その後も症状は全く感じない状態であったが、また施術を行っているうちに、再び手関節の重
だるさが出現した。
しかし、その症状の程度は、クレイパック前の3割ほどだった。
<反省>
手の甲までカバーしたいが、同量ではカバーできそうにない。
次回はクレイを増量してみる。
パック時間も長くしてみよう。
2 回目:2016 年 8 月 5 日
夜
前回からほぼ一カ月し、再び症状が出てきたので、実施。
症状の程度は、軽度ではあるが、日常で時々気になる位。
施術では、右手にあまり荷重をかけないようにしていた。
前回の反省を踏まえ、手の甲まで行うためにイエローイライト 60g にてパックを実施した。
パック時間は 30 分。
前回と同様に、パック中はタオルで覆う。
<実施中の感想>
① 30 分が長いと感じられ、がまんして待っていた。
② パックを開始して 10 分ほどで、ひんやりした冷たい感覚を強く感じた。
③ 30 分行うと、手の甲など、端の方でクレイの薄い部分が乾いてしまった。
④ 前回の反省をもとに、今回は拇指の付け根や拇指丘も含めてみたが、今度は厚く塗りすぎてし
まい、60g でも前腕がカバーできなかった。
⑤ 指先のふやけについて、右手だけタオルに包んでいるため?と思い、クレイを塗ってない左手
もタオルで覆ってみたが、やはり、ふやけたのはクレイを塗っている右手だけだった。
(クレイの水分が、パック中に蒸発しているためかと思う)
<実施後の感想>
① クレイが乾いてしまった部分の皮膚が発赤するとともに、表在する毛細血管が拡張して、小さ
なミミズのように赤く浮き出ていた。痒みなどはなし。
② 前回と違い、施術後の重だるさやホカホカ感、眠気はなかった。
③ 拇指周囲の症状は軽減したが、ゼロにはなっていない。また、前腕の重だるさは残っている。
<反省>
① クレイを均一の厚さに塗らないと、そこだけ乾いてしまい、クレイをはずす時の刺激が皮膚に
負担となってしまう。
また、厚く塗りすぎて、前腕がカバーできなかったが、どんどんクレイの量を増やせばよいと
いうことでもないので、塗り方を工夫してみようと思う。
やはり、手の甲、拇指丘から前腕までをパックの範囲とすることが必要のようだ。
3 回目:2016 年 8 月 11 日
午後
前回後も、前腕尺側の重だるさが
軽度持続していたため、実施。
イエローイライト60gにて、
30 分パック。
2 回目の反省を踏まえ、パックの範囲を前腕+拇指丘+小指丘を含むとした。
2 回目を同じ量で、広い範囲をカバーするため、クレイ全体の量から配分を考え、授業で教えてい
ただいたクレイの塗り方を思い出し、塗るというより、置いてのばすようにした。
全体のクレイの厚さは、0.5mmくらいになった。
<実施中の感想>
① 30 分はやはり長い。時間を待っている感じ。
② 今回ははじの部分が薄くならないようにクレイをおけたので、端の薄い部分だけがどんどん乾
いてしまうことがなかった。
しかし、15 分ほどすると、拇指丘の上がひびわれてきた。
<実施後の感想>
① クレイを外して 15 分後、手の尺側から重だるさが出てきて、しだいに前腕全体に広がる。
30 分後には、むしろパック前よりもだるく、どうしてこんなに?と思うほどで、どちらかとい
うと不快なほど。
1 時間後にようやくだるさが軽減し、消失。
その後、手の感覚に左右差があり、パックをした右手の指の屈曲が軽く、小さな手になってい
る感覚がある。(動かしやすい。軽い。)
② 翌日になると、手の動きに関する左右差はなくなっていた。やはり、第4、5指側(手の尺側
側)に重い感じが20%程残るのが気になる。
3回を通じての結果・感想
1回目実施時が一番強く症状が出ており、パック後は、不快な症状がかなり軽減したのを感じた。
2回目以降はそれほど強い症状はなかったが、継続して結果を見たかったため、実施した。
しかし、手の重だるさがすっかり消失してしまうまでには至らなかった。
パック直後の上肢の不快なだるさに関しては、分かっていて実施している私は良いが、知らない
で人にパックしてもらったら、びっくりするのではないか。
広い範囲にパックした方がいいとは思うが、クレイの量もどんどん増えてしまう。
症状を効果的に軽減させることができ、なおかつクレイの量もほどほどである方が望ましい。
今回の場合、70g 位が適当か?
手・腕・指に関しては、つらい部分だけでなく、それらを動かしている筋肉のつながりや腱まで
を含む部分をカバーするのが大事なのではないか。
つまり、前腕まで含む範囲にした方が、満足度がアップするように思う。
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しかし・・もう少し残っている重だるさを改善できないか?
今回は筋肉や骨の疲労ととらえてイエローイライトを選択したが、炎症と考えてグリーンイライ
トを加えてみるのもよいのではないか。
・・・・ということで、レポート提出期限当日ではあるが、グリーンクレイでパックを試みるこ
とにした。
4回目:2016年8月12日 午後
グリーンイライト60gでパックを作製
(水分60%=36gで作製しようとしたところ、デジタルスケールの不備で水が45gも入っ
てしまった!しかしもう予備のグリーンイライトが家にないので、そのままパックをした)
まだ重だるさが残っている手の尺側(第4、5中手骨付近)と、負担が多い第一指付け根を中心
に、プラス前腕を範囲とし、厚さ0.8cm位に塗布した。
<実施中の感想>
① 水分量を間違えたため、ダラダラの形状。しかし意外と肌に乗ってまとまりがあり、タオルに
もべたべたつくことは全くない。しかしやわらかいので、右腕を動かしていると、重力で、に
ょーっとのびてくる状態。
② パックしてすぐ、イエローイライトとの違いを感じた。
とても冷たい。そしてそれは、時間を追うごとに強くなり、30分があっという間に過ぎた。
40分を過ぎても、冷たさと、ぐんぐん入っていく感じに加え、ぐんぐん吸い出す感じもする
ため、作用している感がつよくあり、まだまだやめようという気になれない。
結局1時間パックしていたが、その間我慢しているということは全くなかった。
③ クレイを外した後、やはり15分くらいして軽度のけだるさがでたが、いやな感じではなく、
その後もけだるさが強くなることはなかった。
ホカホカ感が出てきて気持ちよく、明らかに右手が軽い。
指・手関節の動かしやすさは、イエローイライトの比ではない位に感じる。
④ そして1.5時間後、残っていた手の尺側(第4・5中手骨付近)の違和感と重だるさは、な
んと感じなくなっていた!
イエローイライトの時は、贔屓目に見ても20~30%は症状が改善しきっていないという感
じだったが、ゼロになっていたことに驚いた。
全体を通しての感想
グリーンイライトとイエローイライトの違いに驚いた。
効果はもちろんだが、パック中の感じも全く違う。
自分以外の人にケアするときは、頭でクレイを考えるだけでなく、受け手がケア中に何を感じ
ているか(気持ちいいとか、あきてきたとか、いやな感じ・・など)も情報のひとつとして大
切にしていきたい。
手や指の動きの悪さ、違和感や痛みなどに、十分効果が期待できる。
関節のトラブルは手だけでなく、膝や足の関節にも多く、セラピストだけでなく、よく見られ
るトラブルなので、クリニカルなケアとして使用していきたい。
腰痛などにも試してみたい。
パックの範囲としては、症状のある部位だけでなく、その部位と関連のある腱や筋肉の走行、
手の経絡の走行上を行うことが効果的だと感じる。
一般の方に、ホームケアとして行ってもらうには、パックは少し難しいし、面倒に感じるかも
しれない。
手のエンブロップメントからの手浴のような方法だと、効果はどうだろうか?
今後実施してみたいと思う。
今回のレポート作製を通じ、このようなケースにたいして、自分自身の経験からクレイを使用
できるようになったと思う。
自分で体験することは、とても大切。
学んだことを生活に活用し、体感して、自分の経験からクレイのケアをお伝えできるようにな
りたいと思いました。