辻本先生 この度はご退官のご連絡を頂き、誠に有難うございました

辻本先生
この度はご退官のご連絡を頂き、誠に有難うございました。
当時私の上司であった宮川先生(早稲田大学)のご紹介で、短い間ではありましたが先生
のご指導を受けることができ、大変貴重な経験をさせていただきました。
特に、先生の新しい問題に対するアプローチには非常に感銘を受けました。先生にご指導
を頂いた際は、先生とその配下の方々があっという間に実験装置を設計・製作され、これ
まで良く分かっていなかった現象を「目で見える」形にしていただきました。我々は、や
やもすると数少ないデータを机上でにらみながら、現象のイメージが全く頭に浮かばずに
悩みがちですが、やはり「まず自分の目で現象を見る」という基本中の基本が、新しい問
題に対するアプローチとして重要であるということを再認識した次第です。
先生の「現象に対するするどい洞察」と「現象のポイントをついた単純化・モデル化」に
ついても非常に感銘を受けました。ご指導を頂いた際に、先生からご提案頂いたモデルは、
一見すると非常にシンプルだったのですが、現象を非常によく説明できるものであったこ
とを鮮烈に記憶しています。近年の計算機の発達によって CFD 活用の機会も増えておりま
すが、我々はややもすると何も考えずに力技に頼ってしまいがちです。本来ならば、CFD
を使う場合でも現象を良く理解した上での計算条件の設定等が必要となりますが、現象を
良く理解できていないとその部分を見誤ることになります。その意味においても、やはり
現象のポイントを的確に捉えるセンスが必要だと痛感した次第です。先生のレベルに到達
することは到底かなわないですが、自分なりにセンスを磨いていきたいと思います。
最後に、最終講義の HP を拝見すると実に様々な方々からコメントが寄せられており、先
生の偉大な業績とお人柄の素晴らしさ故と感じました。我々が先生の研究室を訪問した際
も気さくにお話をさせて頂き、非常に楽しい時間を過ごさせて頂きましたことが私の良き
思い出であります。
以上、長文となりましたが、
これからも先生のご活躍をお祈りしております。
三菱重工業株式会社 技術統括本部 長崎研究所
池末俊一