財団法人 廃棄物研究財団 3R活動推進フォーラム

JAPAN WASTE RESEARCH FOUNDATION
3Rs Promotion Forum
廃棄物研究
2011年1月
NO.80
巻頭言 …………………………………………………伊藤 哲夫 1
特集「廃棄物処理法の改正について」 改正廃棄物処理法の概要 …………………………湯本 淳 3
改正廃棄物処理法について ∼産業界の立場から∼……福島 秀男 10
「改正廃棄物処理法、許可権限者たる行政の立場からの視点」…長岡 文明 14
3 R推進全国大会・地方大会
第 5 回 3R推進全国大会 開催報告 ………………古谷 宏 18
特別講演について「3R が拓く地域の未来∼資源循環と自然共生を目指して∼」
……………………………………武内 和彦 23
第5回3 R 推進全国大会記念式典及び3 R 促進ポスターコンクール等について
……………………………………藤本 正 32
3 R推進地方大会 開催報告 ………………各地方環境事務所 42
自治体を訪ねて
仙台市環境局廃棄物事業部リサイクル推進課 …遠藤 守也 69
佐賀市循環型社会推進課 …………………………鷲崎 ゆみ子 73
静岡県くらし・環境部環境局……………廃棄物リサイクル課 77
環境省等国のうごき ……………………………………………… 80
財団のうごき ……………………………………………………… 90
3R活動推進フォーラムのうごき ……………………………… 95
全国を歩く(7)……………………………………… 八木 美雄 99
帰ってきた「いつでも食べある記」∼新春特別編∼…… 町田 直美 102
私の趣味(14)落 語……………………………… 山本 耕平 106
編集後記
大都市のごみ焼却施設 大阪市 環境局東淀工場 裏表紙裏
財団法人 廃棄物研究財団
3R活動推進 フ ォ ー ラ ム
2011年(平成23年)
ウ 嬉しいことがいっぱいの
サ 幸多き年になりますよう
ギ 暁鐘高く鳴らしましょう
出題者
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
巻頭言
「3Rが拓く未来、静脈産業
メジャーの海外展開促進について」
環境省 廃棄物・リサイクル対策部長
伊藤 哲夫
皆様には、日頃より廃棄物・3R行政の推進に、多大なご理解とご尽力を賜り、厚く御礼申し上げます。循環型社会
の構築は、低炭素社会づくり及び自然共生社会づくりと併せて環境対策の重要な3本柱の一つであります。国の取組の
みならず、地方公共団体や産業界、NGO/NPO、研究機関のそれぞれの取組が緊密に連携して、これまでのビジネス
スタイル・ライフスタイルを見直し、経済社会システムを持続可能なものに変革することが必要不可欠です。このた
め、環境省では、循環型社会形成推進基本法及び関係の諸法令に基づき、各種取組を進めています。
昨年は廃棄物処理法の改正が成立し、廃棄物処理体制の強化と共に、廃棄物の適正な循環的利用の確保や廃棄物焼
却時の熱利用の促進等を進めることとしました。
さらに、環境省では、平成23年度より海外進出を視野に入れている静脈産業を支援するプロジェクトを開始します。
現在、開発途上国、特にアジアの途上国は急激な経済成長の中にあり、それに伴う廃棄物の排出も多くなっています。
2050年には世界の廃棄物排出量は約270億トンとなり、その大部分はアジアから排出されると予測されています。この
ような中、アジアの途上国では、急速な経済発展に廃棄物の適正処理が追いつかず、環境汚染が懸念される状況にあ
ります。また、経済のグローバル化、資源・エネルギー価格の高騰、需給のひっ迫が経済活動に大きな影響を及ぼし
ており、廃棄物を含めた循環資源が国境を越えて移動し、途上国の一部において不適切なリサイクルや処理が行われ
ている例が報告されています。こうした課題に対処するために、アジア各国で3Rや廃棄物の適正処理の推進を通じ、
資源効率とエネルギー効率の向上を図り、環境負荷を低減させることが必要です。我が国の静脈産業は、これまでの
廃棄物処理の経験から環境保全及び循環資源において先進的な技術を有しています。こうした先進的な静脈産業を、
今後廃棄物の排出の急増が見込まれるアジアにおいて展開することは、途上国の求める廃棄物処理、3Rの実施を効率
的に進め、世界の環境負荷を低減することとなるとともに、我が国経済の活性化にもつながるものです。
一方で、廃棄物処理・3Rを円滑に進めるためには技術に加え、3Rの制度化及びその具体的な実施体制の整備を進め
る必要があります。このため、政府、自治体、事業者等が相互に連携しながら、廃棄物・リサイクルに関する制度と
技術を廃棄物処理システムとしてパッケージ化し、アジアへの展開を進めます。まずは海外展開を目指す先行静脈産
業グループに対して事業展開のFS調査等の支援により、我が国静脈産業の海外展開経験を積み上げ、将来の海外市場
展開の実績づくりを進めていきたいと考えています。さらに、次世代の静脈産業を育成するために企業の新たな循環
ビジネスモデルの確立支援を行い、静脈産業が継続的に海外に展開し、アジアでの循環型社会づくりに貢献するとと
もに我が国の成長を牽引するように取り組んでいきたいと考えております。ぜひ、関係の皆様方の御支援をよろしく
お願いいたします。
1
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
特集:廃棄物処理法の改正について
特 集
「廃棄物処理法の改正について」
平成9年に「廃棄物処理法」の大改正が行われましたが、その時に施行から10年を経過したときに、
状況を点検した上で必要な措置を取りなさいということが法の附則に書かれました。今回10年が経過
したことから、中央環境審議会の報告を受けて、昨年5月に「廃棄物処理法の一部を改正する法律」
が公布されました。特集では、その概要について、ご寄稿を頂きました。
改正廃棄物処理法の概要 ……………環境省 廃棄物・リサイクル対策部 湯本 淳 3
改正廃棄物処理法について ∼産業界の立場から∼
……………………………………………………社団法人日本経済団体連合会 福島 秀男 10
改正廃棄物処理法、許可権限者たる行政の立場からの視点
…………………………………………………………BUN環境課題研修事務所 長岡 文明 14
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
特集:廃棄物処理法の改正について
改正廃棄物処理法の概要
環境省 廃棄物・リサイクル対策部 企画課
湯本 淳
廃棄物・リサイクル制度企画室課長補佐 1.法改正の経緯
なされた結果、同年12月17日には「廃棄物の処理及び
清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令」(以下
「改正令」という。)が閣議決定、同月22日に公布平成
23年1月末には「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施
行規則等の一部を改正する省令」が公布された。
本稿ではこれらの内容のうち、改正法及び改正令で
改正された産業廃棄物収集運搬業の許可制度の合理化
の概要について述べていく。
我が国における廃棄物の適正処理を確保し、循環型
社会を形成していくため、廃棄物の処理及び清掃に関
する法律(昭和45年法律第137号。以下「法」という。)
については、これまで不適正処理対策を内容とする規
制の強化を行ってきたところである。しかしながら、
巧妙かつ悪質な不適正処理は依然として後を絶たず、
廃棄物処理に対する不信感から廃棄物処理施設の立地
が進まないといった悪循環が根強く残っている状況に
ある。また、廃棄物の再生利用が進んできている一方
で、排出抑制や焼却する際の熱回収がなかなか促進さ
れない状況にある。
このような状況の中、平成9年に改正された廃棄物処
理法が施行されてから10年が経過し、平成9年改正法の
附則及び平成12年以降の累次の改正法の附則に基づき、
政府において施行状況について検討を加えることとさ
れる時期を迎えた。これを踏まえ、中央環境審議会廃
棄物・リサイクル部会に廃棄物処理制度専門委員会を
設置し、平成20年9月から平成21年12月まで、12回の委
員会が開催され、廃棄物処理法に基づく廃棄物の排出
抑制、適正な処理等に関する施行状況について点検、
評価及び論点の整理を実施し、制度見直しの方向性に
ついて審議いただいた。ここで取りまとめられた報告
書の内容を踏まえ、平成22年1月に中央環境審議会から
「廃棄物処理制度の見直しの方向性」について意見具申
がなされたところである。
環境省では、この意見具申を踏まえ、法改正をもっ
て対応すべき事項について検討を進め、平成22年3月5
日に「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改
正する法律案」が閣議決定、同日国会に提出され、衆
議院、参議院とも全会一致で可決・成立し、同年5月19
日に公布された。
また、同年8月3日には法律よりも詳細な制度内容を
定めるため同法施行令及び施行規則の内容が、第13回
目の廃棄物処理制度専門委員会において議論された。
同委員会の議論の内容を踏まえ、政府において検討が
2.主な改正の内容
1.廃棄物を排出する事業者による適正な処理を確保す
るための対策の強化
①排出事業者が産業廃棄物を保管する場合の事前届
出制度の創設
廃棄物処理法においては、事業者が事業活動に伴
って産業廃棄物を生じたときは自ら処理することが
原則とされており、処理に当たっては処理基準や保
管基準の遵守が義務付けられている。しかし、都道
府県知事の許可を受けて他人の産業廃棄物を処理す
る処理業者とは異なり、事業者が自ら処理を行う場
合は許可等の行政手続が不要であり、特に保管行為
については、保管に関する基準を遵守せずに大規模
な不適正保管を行っていても、行政が把握すること
ができず、結果として大規模な不法投棄事案に発展
してしまう事例が多く見受けられる。
そこで、事業者が自ら保管行為を行う際の事前届
出制度を新たに創設し、環境省令で定める一定規模
以上の保管行為については行政があらかじめ把握す
ることにより、迅速に指導を行えるよう措置するこ
ととした。また、非常災害の場合等に行う一定の保
管行為については、14日以内の事後届出を行うこと
を義務づけることとした。
②建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理に関する例外
建設工事に伴い生ずる産業廃棄物の排出事業者と
しては、これまで、原則として当該建設工事を発注
者から直接請け負った建設業者(以下「元請業者」
3
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
特集:廃棄物処理法の改正について
廃棄物を運搬できることとし、その場合には処理基
準に従わなければならないこととした。ただし、対
象とする廃棄物は施行規則において限定的に定めら
れており、この規定が適用されるのは例外的な場面
であると想定される。
第4項は、廃棄物の処理の委託を受けていない下請
負人が元請業者に無断で委託をするという、極めて
例外的な場合に対応するものであり、このような場
合に、当該下請負人に委託基準などを適用するもの
である。通常は、元請業者から処理業許可を持つ下
請負人や他の処理業者に廃棄物処理の委託がされて
いるため、元請業者が排出事業者となる。また、元
請業者と下請負人との間に文書による委託契約がな
くとも、実質的に元請業者が下請負人に処理や委託
をさせている場合には、元請業者から下請負人への
処理の委託があるものと解される。第4項によって元
請業者の責任が免除されるわけではない。
さらに、元請業者が、排出事業者責任に基づき自
ら又は他人に委託してその産業廃棄物を適正に処理
しなければならないにもかかわらずこれを行なわず、
下請負人が、当該産業廃棄物の処理を自ら又は他人
に委託して行った結果、生活環境保全上の支障等が
生じた場合には、元請業者が本来行うべき行為を行
わなかったという事実によって、元請業者に過失が
あるものと考えられる。このため、建設工事に伴い
生ずる産業廃棄物について、下請負人により不適正
処理が行われた場合であって、元請業者が適正にそ
の処分を委託していなかったときは、当該元請業者
は、当該支障等を除去する責任を、下請負人に連帯
して負うこととした。他人に適正に処理を委託して
いた元請業者は支障等を除去する責任を負わないが、
元請業者が委託基準に違反した不適正な委託を行っ
た場合には、排出事業者責任を果たしたものとは考
えられないため、連帯責任は免除されない。
これらの規定は、建設系廃棄物の不法投棄の根絶
に向けて、非常に重要なものと考えている。
という。)が排出事業者に該当するが、例外として元
請業者が他の建設業者に請け負わせる場合(元請業
者から工事の全部又は一部を請け負う業者を「下請
負人」という。)であっても一定の場合には下請負人
が排出事業者となり得ることと解釈されている。
しかしながら、建設業における契約はメモや口頭
により行われることも多く、結果として、排出事業
者に該当する者が外形的に不明確となっており、こ
れが、今なお多く発生している建設系廃棄物の不法
投棄(平成20年度の不法投棄の新規発覚事案のうち、
建設系廃棄物が約7、8割を占める。)の一つの大きな
要因となっている。同じことは、建設資材の再資源
化等に関する法律(平成12年法律第104号)の施行後
5年の見直しの際にも指摘されている。
建設工事については、発注者から直接当該工事を
請け負った元請業者がその全体について総括的に指
揮監督すべき立場にあり、また当該工事全体を請け
負っていることから発注者との関係で全責任を負う
べき立場にある。そのため今般の法改正により、建
設系廃棄物については、解体工事等の個々の部分の
作業を担当している下請負人ではなく、当該工事の
全体を掌握し総括的に指揮監督・管理している元請
業者が、排出事業者として処理責任を負うことと法
律上明示的に規定することにより、排出事業者の明
確化を図った。改正後の法第21条の3は、建設業が複
雑な重層下請構造にあり、請負形態によっては排出
事業者の特定が困難であるといった問題に対処する
ため、建設工事から出る廃棄物の排出事業者を元請
業者に一元化する規定である。一方で、取締りを徹
底するといった観点や、実態との乖離が生じないよ
うに配慮するといった観点から、一定の例外的規定
も盛り込んでいる。
第1項では、建設工事から出る廃棄物についてはそ
の工事の元請業者を排出事業者とすると定めており、
元請業者がその廃棄物について排出事業者責任を負
うことになる。
第2項は、下請負人が保管行為を行う場合に対応す
るものである。実際の建設工事においては、元請業
者だけでなく、下請負人も工事現場内で廃棄物を保
管することはあり得ることから、その保管の適正化
を図るため、下請負人にも元請業者にも保管基準を
適用するものである。
第3項は、下請負人が一定の廃棄物を自ら運搬する
場合のものである。現行法上、排出事業者として下
請負人が自ら運搬をしてきた場合もあるが、今後は
収集運搬業の許可がなければ運搬はできなくなる。
しかし、極めて少量の廃棄物を運搬するような場合
にまで収集運搬業の許可の取得を求めるのは厳しす
ぎるのではないかとの意見があり、元請業者との一
定の契約があれば下請負人も許可をとらずに一定の
③排出事業者による処理の状況に関する確認の努力
義務の明確化
廃棄物処理法では事業者が自ら産業廃棄物の処理
を行うことを原則としつつも、廃棄物処理業の許可
を受けた業者にその処理を委託することも可能であ
るとされている。その場合であっても、発生から最
終処分までの一連の処理行程における処理が適正に
行われるために必要な措置を講じるよう努めること
が義務づけられている。今回の改正では、この必要
な措置を講じるための前提として、産業廃棄物の処
理を委託する場合に、当該産業廃棄物の処理の状況
に関する確認を行うように努めなければならないこ
ととした。
4
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
特集:廃棄物処理法の改正について
④産業廃棄物管理票制度の強化
事業者が産業廃棄物の処理を委託する場合には、
その処理が適正に行われることを確認するため、産
業廃棄物管理票(以下「マニフェスト」という。)を、
産業廃棄物の引渡しと同時に交付する義務が課され
ている(電子情報処理組織(いわゆる電子マニフェ
スト)を利用する方法もあるが、ここでは省略する。)
。
このとき、処理業者が虚偽の事項をマニフェストに
記載しないよう、事業者は自らが交付したマニフェ
ストの写しを保存し、返送されたマニフェストと照
合する必要があるが、現行法においては処理業者か
ら返送されたマニフェストの保存義務はあるものの、
5
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
特集:廃棄物処理法の改正について
う努めなければならないこととした。
自らが交付したマニフェストの写しの保存は義務付
けられていない。自らが交付したマニフェストの写
しと回付されたマニフェストを照合し、排出事業者
が適正処理を確認するため、自らが交付したマニフ
ェストの写しを、交付した日から5年間保存しなけれ
ばならないこととした。
さらに、現行法においては、受託者である産業廃
棄物処理業者がマニフェストの交付を受けずに産業
廃棄物を引き受ける行為そのものは禁止されていな
いが、近年、受託者がマニフェスト交付義務に違反
している委託者と共謀し、あるいは委託者に強要さ
れ、マニフェストの交付を受けずに産業廃棄物の処
理を引き受けている事例が見られる。こうした行為
は、マニフェスト制度の外で産業廃棄物の処理が行
われる事態を引き起こし、マニフェスト制度に期待
される産業廃棄物の適正処理を確保するという効果
を損なうばかりでなく、その産業廃棄物に処理責任
を負う者が誰であるかを不明確とするものであり、
正に不適正処理を助長する行為であることから、産
業廃棄物の運搬受託者又は処分受託者は、マニフェ
ストの交付を受けていない場合には産業廃棄物の引
渡しを受けてはならないこととした。
⑦罰則の強化
廃棄物処理法の罰則は、不法投棄の頻発やその社
会問題化を受けた累次の改正において強化され(不
法投棄については、五年以下の懲役若しくは1,000万
円以下の罰金又はこれらの併科。法人重課1億円以下
の罰金)、不法投棄の件数・量の減少などに一定の成
果を挙げてきたところである。一方で、依然として
多くの不法投棄が行われているほか、罰則の上限を
超えて不当利得を得る事案が存在するなど、廃棄物
の処理をめぐる法違反は未だ跡を絶たない状況にあ
る。
そのため、廃棄物処理法と同様に暴力団等の悪質
業者が介入し不当利得を得やすい業態を持つ貸金業
法(昭和58年法律第32号)や、出資の受入れ、預り
金及び金利等の取締りに関する法律等の法律におい
ては廃棄物処理法よりも法人重課の量刑が厳しいも
のとなっていることも踏まえ、廃棄物処理法におい
ても罰則の強化を行い、不法投棄等の違反行為に係
る法人重課の量刑を3億円以下の罰金に引き上げると
ともに、無許可営業、不法投棄等の違反行為につき、
法人又は人に罰金を科する場合の時効の期間を、5年
とすることとした。
⑤産業廃棄物処理業者による委託者への通知
前述のとおり、排出事業者は産業廃棄物の処理を
処理業者に委託する場合であっても、最終処分まで
適正に行われることにつき一定の責任を有するが、
処理業者が委託を受けた産業廃棄物の処理が困難と
なったにもかかわらず、事業者から処理業者への産
業廃棄物の処理委託及び搬出が継続されることによ
り、不適正処理が拡大する事例が少なくない。その
ため処理業者は、受託している産業廃棄物の処理を
適正に行うことが困難となったときは、その旨を事
業者(委託者)に通知することを義務付け、事業者
が受託者の産業廃棄物の処理の状況を迅速に把握で
きるような仕組みを設けた。また、事業者はこの通
知を受けたときは、適切な措置を講じなければなら
ないこととした。
2.廃棄物処理施設の維持管理対策の強化
①廃棄物処理施設に係る定期検査の創設
廃棄物処理施設設置許可の手続においては、新規
許可取得時は生活環境影響調査書の作成及び告示・
縦覧等の厳重な手続が用意されているが、更新手続
は不要(許可申請書記載事項に係る変更があれば変
更手続は必要)とされており、設備の老朽化等に伴
って構造面の安全性及び維持管理の確実性が保たれ
ているかについて都道府県知事等が定期的に確認す
る機会は設けられていない。このため、当該施設か
ら生じる生活環境保全上の支障の発生を未然防止又
は拡大防止ができない場合がある。そこで、廃棄物
処理施設の設置の許可を受けた者は、5年3月ごとに、
当該廃棄物処理施設が施設の技術上の基準に適合す
るかどうかについて、都道府県知事の検査を受けな
ければならないこととした。
⑥土地所有者等に係る努力義務の創設
不法投棄、不法焼却等の不適正処理が行われた場
合には、その旨の情報を入手した都道府県又は都道
府県警が情報収集を行い、当該不適正処理に責任を
有する処分者、帰責性がある排出事業者又は関与者
に対して行政処分又は摘発を行うことになる。これ
らの情報については、できる限り速やかに得られる
ことが望ましいことから、土地の所有者又は占有者
は、その所有等をする土地において、不適正に処理
された廃棄物と認められるものを発見したときは、
速やかに、都道府県知事又は市町村長に通報するよ
②維持管理情報の公開の義務づけ
産業廃棄物処理施設の設置者は、その維持管理に
関する記録を事業場に備え置き、生活環境保全上の
利害関係者の求めに応じ、閲覧させなければならな
いという義務を負っている。しかし、この閲覧対象
は生活環境保全上の利害関係者に限られているうえ、
直接事業場へ行かなければ見ることができないなど、
必ずしも情報公開が適正になされているとはいえな
6
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
特集:廃棄物処理法の改正について
い場合がある。事業者がその産業廃棄物の処理を委
託する場合であっても、適正な処理業者を選択する
ために、維持管理に関する記録が広く公表されてい
ることは非常に重要である。そこで、廃棄物処理施
設を設置している者に対し、当該廃棄物処理施設の
維持管理に関する計画及び維持管理の情報について、
インターネットの利用その他の適切な方法により公
表しなければならないこととした。
①産業廃棄物収集運搬業の許可制度の合理化
従来、産業廃棄物の収集運搬を業として行うには、
産業廃棄物の積込みと取卸しを行う区域それぞれの
都道府県知事又は政令市長の許可を受けなければな
らないこととされてきた。しかし、近年、政令市の
増加により、受けなければならない許可の数が増加
し、収集運搬を行う業者にとって大きな負担になっ
てきている。不適正処理を誘発しないよう配慮しつ
つ、産業廃棄物収集運搬業に係る許可手続を、申請
者側、審査側の双方にとって合理的・効率的なもの
としていくことが必要とされていたことから、都道
府県知事の管轄区域のうち、一の政令市の区域内の
みにおいて産業廃棄物の収集又は運搬を業として行
おうとする者に係るもの以外の許可については、当
該都道府県知事が一括して許可することとした。
ただし、事業の用に供する施設として地域に固定
されている積替施設を設置して収集運搬を行おうと
する場合については、地域の生活環境に責任を有す
る主体が許可することが望ましいため、積替施設を
設置して収集運搬を行おうとする場合については、
現行どおり当該区域を管轄する政令市長の許可を受
けなければならないこととした。
③維持管理積立金に係る規定の整備
廃棄物の最終処分場は、埋め立てた廃棄物によっ
て環境汚染が生ずる危険性があるため、その危険性
が低減するまでの間は、廃棄物の埋立処分を終えた
後も含め長期間にわたって浸出水の処理等の維持管
理を行わなければならないという特性がある。この
ため法では、最終処分場の設置にあたっては都道府
県知事の許可を受けなければならないこととし、埋
立処分中は廃棄物処理基準・維持管理基準の遵守及
び維持管理積立金の積立てを義務付け、埋立処分が
終了した後も、維持管理積立金の取戻しを認めた上
で、都道府県知事が廃止基準に適合していることを
確認するまでは維持管理基準の遵守を義務付けてい
る。
しかし、何らかの原因で最終処分場の設置許可が
取り消された場合には、これらの義務の対象となる
者が法律上存在しなくなることとなるため、水質モ
ニタリング等の管理が義務付けられている者が存在
しない最終処分場が近年急増している。また、維持
管理積立金は、埋立終了後の維持管理を行う上で必
要不可欠であるが、法律上取り戻しができる場合を
限定しているため、最終処分場の設置許可が取り消
された場合には、取り戻すことができる者がいなく
なるという事態が生じている。
そこで、最終処分場の設置許可が取り消されたと
きは、当該許可を取り消された者又はその承継人は、
都道府県知事の廃止確認を受けるまでの間は、引き
続き維持管理等の義務を課すこととする一方で、当
該最終処分場について積み立てられた維持管理積立
金については取戻しを認めることとした。
また、維持管理積立金を積み立てない場合には都
道府県知事が最終処分場の設置許可を取り消すこと
ができることとして、積立ての徹底を図るとともに、
不適正処理がなされた後の最終処分場について、管
理者が不在となってしまった場合に、行政がその維
持管理を代執行したときについては維持管理積立金
を充てることができることとした。
②産業廃棄物処理業の許可の有効期間に係る特例度
の創設
過去の廃棄物処理法の改正においては、欠格要件
の拡充や、その厳格な運用を図るなど、これまで
「悪貨が良貨を駆逐する」と例えられてきた産業廃棄
物処理業界から悪質な業者を一掃するための規制強
化が図られてきた。しかし近年、適切な産業廃棄物
の処理を推進するためには、より信頼できる産業廃
棄物処理業者を選別できるようにすることで、産業
廃棄物を排出する事業者による排出事業者責任の履
行を補完するだけでなく、処理業者による情報公開
の推進による相互比較を可能とし、処理業者の優良
化を進めることが不可欠であるといった意見が排出
事業者、処理業者の双方から聞かれるようになって
いる。
以上のことから、事業の実施に関する能力や実績
に応じて産業廃棄物処理等の許可の有効期間の特例
を認めるという法令上のインセンティブを設けるこ
とにより、より信頼できる産業廃棄物処理業者の育
成を進めていくことが適当であるとの考えのもと、
優良で信頼できる処理業者を育成するため、現在は
一律に5年とされている産業廃棄物処理業の許可の有
効期間について、環境省令で定める基準に適合する
者については、7年とすることとした。
3.産業廃棄物収集運搬業の許可制度の合理
化と産業廃棄物処理業の優良化の推進
③許可の欠格要件に係る規定の合理化
廃棄物処理業等の許可の欠格要件については、か
7
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
特集:廃棄物処理法の改正について
な評価の実施等により排出事業者の自主的な取組を促
進することとした。具体的には、多量排出事業者減量
計画を提出せず、又は計画の実施の状況を報告をしな
かった者は20万円以下の過料に処することとした。
ねてよりいわゆる「無限連鎖」が生じ、優良な廃棄
物処理業者までが排除される可能性が指摘されてい
たところであるが、廃棄物処理業等の許可を取り消
されて欠格要件に該当する場合を、特に悪質な違反
を犯して許可を取り消された場合に限定し、取消し
が連鎖する場合でも一次連鎖に限定することにより、
連鎖的な許可の取消しに対する手当てを行った。
5.適正な循環的利用の確保
廃棄物処理法においては、国外廃棄物の輸入は我が
国で適正に処理されることが確認できた場合にのみ認
めることとされている。また、現行法上、輸入の許可
を申請できる者は、産業廃棄物処分業者等、当該廃棄
物を自ら処理できる者に限られている。
一方、近年の我が国における廃棄物処理技術の向上、
我が国企業の国際展開及び企業の社会的責任の高まり
を受け、途上国では適正な処理が困難だが我が国では
処理可能な廃棄物を対応能力の範囲内で受け入れて適
正に処理する取組が検討されている。具体的には、①
自社の海外事業所で発生した廃棄物を我が国に輸入し
て処理を行う、②海外において販売された自社製品を
海外で回収し、我が国に輸入して処理を行う等、我が
国の優れた処理技術を用いることでより高度な処理・
再生利用等が可能となる廃棄物を輸入する取組がある
が、現行法では「自ら処理できる者」に該当しない者
が輸入許可申請を行うことはできないことから、廃棄
物の輸入手続が障害となり、取組が進みにくい現状が
4.排出抑制の徹底
事業活動に伴って多量の産業廃棄物を排出する事業
場を設置している事業者(以下「多量排出事業者」と
いう。)は、産業廃棄物の減量その他の処理に関する計
画を作成し、都道府県知事に提出しなければならない
こととされている。
しかしながら、現行の制度では、多量排出事業者の
処理計画の作成・提出に法的な担保措置がない。都道
府県は、現行制度に基づいて提出された処理計画を公
表するだけでなく、必要に応じて分析して事業者に提
供して更なる取組に役立てているが、処理計画の作成
及び提出並びに当該計画の実施状況に係る報告に法的
な担保措置がないことから、これらの取組の効果も限
定的なものにとどまっている。
そこで、多量排出事業者の処理計画提出手続につい
て過料により担保し、もって公表による透明化や適切
欠格要件に係る規定の合理化の概要(無限連鎖への手当)
8
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
特集:廃棄物処理法の改正について
熱回収については、廃棄物の処理も含めた基本法で
ある循環型社会形成推進基本法(平成12年法律第110号)
において、循環資源の再使用及び再生利用がなされな
いものであって熱回収できるものは熱回収がなされな
ければならないとされている。
我が国の焼却施設で熱回収が進まない主な要因とし
て、設備投資に多額の費用を要すること、熱回収を行
っている処理業者に対し排出事業者が委託しやすい環
境が整備されていないことなどが挙げられる。以上の
ことから、排出事業者等が熱回収を十分に行っている
者に対して優先的に処理を委託することを可能とし、
熱回収事業への新規参入を促進するため、廃棄物焼却
時に熱回収を行っている者について、一定の基準に適
合するときは、都道府県知事の認定を受けることがで
きることとした。
ある。しかし、このような活動は、国内における適正
処理が確保される限りにおいては、法の趣旨である排
出事業者責任の徹底といった概念と矛盾せず、また、
輸入相手国の環境負荷を低減させるものであることか
ら、むしろ国際貢献の観点から積極的に推進していく
べきものである。
このような状況の変化に対応するため、廃棄物を輸
入できる者として、国外廃棄物を他人に委託して適正
に処理することができ、当該国外廃棄物を国内におい
て処分することに相当の理由があると認められる者を
追加することとした。
6.焼却時の熱利用の促進
我が国では、諸外国に比べ廃棄物の中間処理方法と
して、焼却処理が多く行われており、平成18年度末現
在で全国において民間により設置されている焼却炉が
2,431炉存在する。しかし、処理費用を低く抑えるため、
大量に発生する焼却熱を回収せずに処分する「単純焼
却」が太宗を占めており、民間設置の焼却炉に係る熱
回収設備の普及状況は、平成18年度末現在で28%にと
どまっている。
7.その他
1∼6までの内容以外にも、大臣認定制度に係る監督
規定等の整備や報告徴収及び立入検査の対象の拡充、
措置命令の対象の拡充等が行われた。
9
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
特集:廃棄物処理法の改正について
改正廃棄物処理法について
∼産業界の立場から∼
社団法人日本経済団体連合会
福島 秀男
環境安全委員会廃棄物・リサイクル部会長代行 1. はじめに
して、まず、産業廃棄物を事業所の外で保管する際の
事前届出制度が創設される。これにより、排出事業者
による不適正処理の早期発見が可能となる。ただし、
排出するものの特性に応じて、事業所間を移動して廃
棄物を再利用するケースもあるので、こうした取組み
を阻害しないような配慮が求められる。
また、今回の改正により、建設工事に伴い発生する
廃棄物の処理責任が工事を受注する元請業者に一元化
される。元請業者、下請業者、孫請業者等が存在し、
事業形態が多層化・複雑化している建設工事における
廃棄物の処理責任が明確になるため、適正処理がいっ
そう進むことが期待される。ただし、廃棄物を資源と
して有効利用する観点からは、大規模な工場内での建
設工事では、工事の発注者が自らの工場の中で再利用
等を行ったほうが効率的な場合もある。同様に、施工
区間を区切って発注される大規模な道路工事やシール
ド工事等の公共工事においても、発注者が施工区間を
越えて廃棄物の再利用等を行ったほうが効率的である。
このため、元請業者が排出事業者責任を負う原則は変
えずに、発注者がその一部を分担できる例外を設ける
ことを今後の検討課題とすべきである。
(廃棄物処理施設の維持管理対策)
さらに、都道府県知事による廃棄物処理施設の定期
検査が義務付けられる。これは、不適正処理の抑止や
生活環境の保全の観点から有効な措置である。ただし、
生産設備の活用など廃棄物処理の実態は多様化してい
る。実際の定期検査の実施にあたっては、施設の稼働
状況などの実態を考慮して受検期間を設定するなど、
生産活動に支障を来すことのないような配慮が求めら
れる。また、国がガイドラインを示し、定期検査の内
容を統一する必要もある。
(廃棄物処理業の優良化の推進等)
廃棄物処理業の優良化推進は、適正処理の確保の重
要な方策である。今回の改正で、一定の要件を満たす
産業廃棄物処理業について、許可の有効期間を5年から
7年に延長する特例が創設される。産業廃棄物処理の委
託が、優良な事業者に集中することになれば、結果的
産業界は、廃棄物最終処分場の逼迫問題の克服や不
法投棄の解消にとどまらず、資源制約への対応という
観点から、廃棄物の適正処理やリサイクルなど、循環
型社会の構築に向けてさまざまな取組みを進めてきた。
その結果、従来廃棄物として処理されていたものを原
燃料として生産プロセスに投入し再利用する大規模素
材産業や、産業廃棄物の自己処理を手がける製造事業
者等も増えている。
廃棄物処理業の許可を取得する事業者がこのように
多様化する中、法令違反をする一部の悪質な事業者を
取り締まるために、排出事業者責任等を一律に強化す
れば、循環型社会の構築に向けた事業者の取組みを阻
害することにもつながりかねない。不法投棄をはじめ
とする不適正処理の取り締まり強化や、不適正処理を
行う悪質な事業者の排除の徹底が重要であることは言
うまでもない。これに加え、いま求められているのは、
循環型社会の構築に向けた事業者の取組み、すなわち
3R(リデュース・リユース・リサイクル)の推進であ
る。
適正処理と3Rの両立に向け、経団連は、今回の廃掃
法改正に向けた検討の過程において、①担い手の多様
化を考慮した法規制のあり方、②広域的かつ効率的な
処理の推進、③許可手続きや行政報告の簡素化・電子
化、④循環型社会の構築に向けた事業者の努力を阻害
しないような不法投棄対策の強化、⑤国際的な資源循
環の推進などを主張してきた。
以下、今回の廃掃法改正の主な論点について、その
評価と今後の課題等について整理したい。
2. 適正処理を確保するための対策の強化
今回の改正のポイントは、「適正処理の確保」と「適
正な循環利用の推進」の二点である。このうち「適正
処理の確保」については、一定の強化が図られたと評
価できる。ただし、留意すべき点も多くある。
(排出事業者による適正処理を確保)
排出事業者による適正処理を確保するための対策と
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
特集:廃棄物処理法の改正について
制度の活用を可能とし、資源循環を促進すべきである。
(広域的・効率的な処理の実現)
積極的な資源循環の推進には、再利用可能な資源の
効率的な収集運搬が不可欠である。今回の改正におい
て、一の政令市の区域を越えて産業廃棄物の収集運搬
を行う場合には、産業廃棄物収集運搬業許可の主体が
都道府県に集約される。この合理化は、広域的な処理
の実現に向けて、一歩前進と評価できる。しかし、全
国で収集運搬を行うためには依然として47都道府県の
許可が必要で、許可更新や役員の異動に係る変更手続
等の事務負担は大きい。例えば、産業廃棄物収集運搬
業を営む事業者の主たる事務所の所在地を管轄する都
道府県による許可で、全国的な収集運搬が可能となれ
ば、業務の効率化はさらに進むので、今後の課題とし
ていくべきである。
また、わが国全体での資源循環の推進という観点か
らは、産業廃棄物だけではなく、一般廃棄物の有効利
用にも焦点を当てる必要がある。自治体が集めた一般
廃棄物には、国内の資源戦略に資する資源物のほか、
有害な化学品(薬品類等)など、廃掃法の制定時には
想定されていない廃棄物も増えている。優れた技術を
有する民間企業の既存の専門施設を積極的に利用すれ
ば、こうした廃棄物からも効率的に資源が回収でき、
有害物処理も適切に進めることができる。しかしなが
ら、自治体が集めた一般廃棄物は、各自治体の一般廃
棄物処理計画に基づき、各自治体の区域内で処理を行
うことが原則とされている。区域外にある処理施設に
処理を委託するためには、各自治体の一般廃棄物処理
計画を自治体同士で合意を得る必要がある。優れた処
理施設が所在する一つの自治体が、全国から一般廃棄
物を受け入れるためには、全国の全ての自治体と個別
合意を行わなければならない。そこで、自治体が集め
た一般廃棄物のうち、有害な化学品等の処理困難物や
循環利用が必要とされる資源を含む廃棄物については、
特例制度を設け、自治体間での合意を得ずに、広域で
の廃棄物の収集運搬・処分を可能とするべきである。
これにより、自治体が集めた一般廃棄物から安全性を
確保しつつ資源を回収することができる。
に不適正処理を行う悪質な事業者は排除される。その
上、産業廃棄物処理に対する国民の安心感・信頼感も
高まる。ただし、優良化推進策が、許可の有効期間の
延長にとどまっていることは残念である。処理業者へ
のインセンティブだけでなく、優良な処理業者に委託
した排出事業者にもメリットがある制度とするべく、
引き続き検討が必要である。
また、廃棄物処理業等の許可の欠格要件が見直され、
廃掃法上特に悪質な違反を犯して許可を取り消された
場合を除いて、役員を兼務する他の業者への連鎖的な
許可の取消しにつながらなくなった。これは、産業界
のかねてからの要望の実現であり、評価したい。ただ
し、依然として、廃棄物処理とは直接関係のない環境
法令の過失違反は、欠格要件に該当する。近年では、
廃棄物処理業の許可を取得する事業者は、廃棄物の自
己処理やリサイクル事業等を手がける大規模製造事業
者など、いわゆる動脈企業にも拡大している。複数の
工場での事業展開や、廃棄物処理業以外の事業も手掛
ける複合経営にとって、欠格要件は経営上の大きな制
約となる。悪質な廃棄物処理業者の排除という本来の
目的を担保しつつ、実態を踏まえた欠格要件の在り方
について、引き続き検討を深めていくべきである。
3. 適正な循環利用の推進
今回の改正のもう一つのポイントである「適正な循
環利用の推進」については、廃棄物を輸入できる者の
拡充のみにとどまり、今後、検討を深めていくべき課
題は残されている。
(特例制度の拡充)
廃棄物の循環利用を推進していく観点から、廃掃法
の特例制度を拡充してくことは有効である。
産業界は、中環審の専門委員会の審議過程において、
「広域認定制度1」における製造事業者等の回収対象とな
る廃棄物を、同一性状の他社製品にも広げるべきであ
ると主張してきた。例えば、情報通信機器は、世界的
に機器の標準化・規格化が進んでおり、ハードウエア
についてはメーカーによる相違はほとんどない。広域
認定制度の拡充により、効率の高い適正処理と資源の
有効利用をより進めていくべきである。
また、「再生利用認定制度2」の拡充も検討を深めてい
くべきである。現行制度の下では、認定を得るための
基準として、①受け入れる廃棄物を再生品の原料とし
て使用、②再生品の性状がJIS規格等に適合、③再生品
の販売実績−−などが求められている。再生利用の用
途が生活環境の保全上支障がないものであれば、再生
品としての規格や販売実績を問わずに、再生利用認定
1
2
4. 循環型社会のさらなる進展に向けた今後
の課題
以上、今回の主な法改正の論点に沿って整理してき
たが、産業界は、これまで循環型社会の構築に向けて
さまざまな取組みを進め、産業廃棄物の最終処分量の
大幅な削減など、成果も現れている(詳細は後掲の
「循環型社会の構築に向けた産業界の取組み」参照)。
製品が廃棄物となったものであって、当該廃棄物の処理を当該製品の製造、加工、販売等の事業を行う者が広域的に行うことにより、当該廃棄物の減量その
他の適正な処理が確保されることを目的として、廃棄物処理業に関する法制度の基本である地方公共団体ごとの許可を不要とする特例制度。
環境省令で定める廃棄物の再生利用を行い、又は行おうとする者は、当該再生利用の内容が生活環境の保全上支障がないものとして環境省令及び告示で定め
る基準に適合している場合に環境大臣の認定を受けることができるものとし、この認定を受けた者については、処理業の許可を受けずに当該認定に係る廃棄
物の処理を業として行い、かつ、施設設置の許可を受けずに当該認定に係る廃棄物の処理施設を設置することができる制度。
11
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
特集:廃棄物処理法の改正について
に、ある副産物が産業廃棄物と位置付けられると、生
産拡大に伴い、「自ら利用」量を増やす際に、設備の改
造や能力の変更等に許可が必要となる。本来原料であ
る副産物の保管に廃棄物処理基準も適用され、生産活
動そのものが大きな制約を受ける。副産物の「自ら利
用」拡大のためには、同一の事業所において副産物を
原料として使用する行為は、前処理工程も含めて廃掃
法の適用とならないことを通達等により国が明確に示
すべきである。地理的に離れた事業所間で副産物を原
料として利用しあう場合も、同様の扱いとする必要が
ある。
さらに、昨今、企業経営の多様化が進んでおり、例
えば、商品を製造する部門と副産物を利用する部門が
分社化されているケースもある。こうした中、グルー
プ内で連携して、同一性状の製品等を有効利用する際、
法人が異なることにより、廃掃法上の産業廃棄物処理
業の許可を取得しているケースがある。事務手続きも
煩雑となり、柔軟に資源循環を進めることができない。
したがって、グループの範囲を明確にした上で、同一
敷地内のグループ内企業間で中間処理をしたり、滞留
品・損傷品をグループ企業間で再生利用をしたりする
場合は、グループを同一法人とみなし、「自ら処理」と
位置づけることができるような選択肢を用意すべきで
ある。
今後も主体的に3Rを推進していかなければならないが、
現行の法制度での最終処分量のさらなる削減は限界に
近い。したがって、さらなる循環型社会の進展に向け、
民間企業が取組みやすい条件を整備することを今後の
課題とし、検討を深めていくべきである。
(廃棄物該当性判断基準の柔軟運用)
例えば、生産工程で発生する副産物を資源として有
効利用する場合には、企業間での連携が必須となる。
その際には当然、企業間での取引が行われるが、現行
の廃棄物該当性の判断指針によると、引渡しに係る事
業全体において引渡し側に経済的損失が生じている場
合、その取引は廃棄物処理と位置付けられる運用がな
されていることが多い。それゆえ、資源としての利用
価値があるにもかかわらず、市場価格の変動や輸送コ
ストの多寡により、廃棄物とみなされる場合がある。
廃棄物とみなされれば、廃掃法に基づき、引渡し側に
は委託基準順守、受け入れ側には処理業の許可、輸送
には産業廃棄物収集運搬業の許可と許可車両が必要と
なり、円滑な取引が進まない。
そもそも少しでも資源としての価値があり有償売却
しうる副産物については、輸送先までの距離にかかわ
らず、安定的に有効利用することができるようにする
のが望ましい。そこで、廃棄物か否かを決めるにあた
っては、少なくとも輸送コストを含めずに取引価値の
有無を判断するように、廃棄物の定義に関する廃掃法
の解釈を見直すべきである。
(自ら利用の促進と企業間連携による資源循環)
また、生産工程で発生する多種多様な副産物につい
ては、企業努力により、工場等の生産工程において原
料としての再利用も進んでいる。副産物を「自ら利用」
する場合には、廃掃法は適用されない。しかしながら、
「自ら利用」のために新たな設備投資をする場合、その
設備で利用する副産物を産業廃棄物とみなし、廃掃法
の許可施設とするように指導をする自治体がある。仮
【参考】循環型社会の構築に向けた産業界の取組み
経団連では、環境問題への取組みにあたって、いち
早く、産業界自らの意識改革の必要性と、自らの意思
に基づく環境行動の実践の重要性を訴えてきた。自ら
の業を最もよく知る事業者が、技術動向等を総合的に
勘案して、費用対効果の高い環境対策を自ら立案・実
施することは、環境問題への取組みとして極めて有効
な手段である。そこで、経団連では、循環型社会の形
成に向けた産業界の主体的な取組みを推進するため、
図1
12
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
特集:廃棄物処理法の改正について
分量は、景気後退の影響も一部あったが、1990年度比
89.1%減(約644万トン)となり、現行の目標(2010年
度に1990年度比86%減)を二年前倒しで達成した。
また、経団連は、2010年12月に「2011年度以降の環
境自主行動計画〔循環型社会形成編〕」をとりまとめた。
2011年度以降も、産業界は引き続き主体的かつ積極的
な3R推進に努めていくべく、①2015年度を「目標年度」
とする産業界全体の産業廃棄物の最終処分量削減の目
標の設定、②業種ごとの特性に応じた独自目標に係る
設定――を2つの柱とする計画を策定し、そのフォロー
アップ調査を行う。
1997年に「環境自主行動計画〔廃棄物対策編〕」を策定
した。同計画は、毎年度フォローアップ調査を実施し、
数値目標(産業廃棄物最終処分量の削減など)の着実
な達成を目指すとともに、産業界の取組みをわかりや
すく開示している。また、2007年には、同計画を「環
境自主行動計画〔循環型社会形成編〕」に拡充し、産業
廃棄物最終処分量に係る「産業界全体の目標(第二次
目標)」と、業種ごとの特性・事情等に応じた「業種別
独自目標」により、産業界(41業種)は循環型社会の
構築に取り組んでいる。その結果、産業廃棄物最終処
分量は、1990年度からなだらかな弧を描きながら大幅
に減少してきた(図1)。2008年度の産業廃棄物最終処
13
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
特集:廃棄物処理法の改正にについて
「改正廃棄物処理法、許可権限者たる行
政の立場からの視点」
長岡 文明
BUN環境課題研修事務所主宰 ら離れるということではない」。これを勘違いすると、
廃棄物処理法では最も重い違反の一つである「無許可」
行為に繋がることから、特に注意が必要である。
4月以降も政令市の許可が継続するパターンを整理す
ると次のようになるようである。
(1)政令市のエリア内で積替保管を行う。
(2)一つの政令市のエリア内だけで収集運搬が完結
する。
(3)政令市のエリア内で中間処分、最終処分業を行
う。
これについて、栃木県と栃木県内の政令市である宇
都宮市を例に取り、具体的に説明してみる。
現行は、産業廃棄物の収集運搬に関しては、廃棄物
処理法政令市は、いわば「都道府県から独立した」形
となっていたので、いくら栃木県の許可を取っていて
も、宇都宮市内では効力が無く、したがって、別途、
宇都宮市の許可が必要であった。
これが4月からは「原則」栃木県の許可だけで宇都宮
市内でも産業廃棄物の収集運搬が行えることになる。
しかし・・・
(1)政令市のエリア内で積替保管を行う。
一昨年(2009年)の中央環境審議会廃棄物リサイク
ル部会のパブリックコメントから始まり、昨年5月の法
律、12月の政令、そして2011年1月の省令の公布を経て、
ようやく改正の詳細が見えてきた感がある。
改正の大きな事項として、(結果として、いつも廃棄
物処理法の改正は、大くくりとしてはこの事項になっ
てしまうのだが)、適正処理の分野では1.排出事業者
対策、2.処理業者対策、3.処理施設対策、資源循環
の分野では1.発生抑制、2.再利用、3.再生利用とな
っている。
さらに、各事項毎にいくつかの具体的制度改正が行
われたが、この誌上では私が長らく携わってきた、第
一線の行政担当者の視点で「大きい」と感じられる事
項についてコメントしてみたい。
1.政令市の許可
今回の一連の改正で、なんといっても、現実的に影
響が大きいのは、産業廃棄物処理業の許可権限者が変
わってしまうことだと思う。
まず、誤解覚悟で概要を書けば、「政令市で行ってい
た許可を都道府県に吸い上げた」ということである。
平成17年以前も「保健所設置市」という制度があり、
実質的に指定都市等規模の大きい市(その他戦前から
の特殊事情等もあり、比較的小規模の市もあったが)
では、産業廃棄物処理業の許可を行っていたが、それ
ほど多くなかった。しかし、地方分権の流れに乗り、
中核市となるとオートマチックに「廃棄物処理法政令
市」としたことから、現在では全国に廃棄物処理法政
令市が62あり、そのため「日本全国で産業廃棄物の収
集運搬ができます」と言うためには、109もの許可を取
らなければならなくなってしまった。
これは、排出事業者、処理業者ともに事務量が増加
し、煩雑となったことから、前述のように、「政令市で
行っていた許可を都道府県に吸い上げた」改正を行っ
たものである。
しかし、ここで注意しなければならないのは、全て
の産業廃棄物処理業にかかわる業務が「全て政令市か
14
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
特集:廃棄物処理法の改正にについて
この単純なパターンは、「排出事業者は宇都宮市にあ
り、処分業者も宇都宮市にある。収集運搬業者C社は、
この業務しか行わない。
」という地域密着の業者である。
もちろん、将来的(許可更新等の機会が到来したと
きなど)には、誰も好きこのんで「宇都宮市内でしか
仕事はしないから宇都宮市の許可を取得したい。」など
と自らで制限する人は少なく「他の市町村でも商売を
する<かもしれない>ので、栃木県の許可を取る。」と
の人が大多数と思われる。
(3)政令市のエリア内で中間処分、最終処分業を行う。
宇都宮市内では収集運搬の積替保管は行っていない
が、中間処分業の許可E社(たとえば、がれき類の破砕)
を行っていて、そこにE社が運び込む時の許可は、
宇都宮市内に
積替保管施設を
収集運搬業者が
設置していた場
合は、引き続き
宇都宮市の許可
が必要、という
ことである。
ここで、重箱
の隅をつつくよ
うな話ではある
が、現実的に非
常に煩雑なケースも発生する。
収集運搬業者A社は、がれき類と汚泥を扱うが、宇都
宮市内ではがれき類だけ積替保管を行い、汚泥は積替
保管は行わない。この時、宇都宮市内で行う汚泥の収
集運搬に関しては、宇都宮市の許可で行うのか、栃木
県の許可で行うのか?
これはおそらくは、宇都宮市の許可だと思われるが、
一方、排出事業者B社が他県にあり、宇都宮市内へ汚泥
の収集運搬を委託する場合、委託契約書に添付すべき
許可証の写しが、妥当なものかの判断はB社は自分では、
つきかねることになる。
今までは、「宇都宮市内へ汚泥を運ぶ」というのであ
れば、宇都宮市の許可が必要である、ということはす
ぐわかった。
しかし、前述の例では、B社の汚泥は積替保管を行わ
ずに収集運搬されるわけであるから、A社の栃木県の許
可証が提示されれば、当然、それでよいものと思って
しまう。許可証の様式により、市の積替保管の許可の
状況を記載することになるようではあるが、収集運搬
業者A社が宇都宮市内でがれき類の積替保管をするかど
うかということは、排出事業者B社にとっては、まった
く関係のない話なのに、それを知らないと、B社が委託
契約書に添付すべき許可証の判断が付かない、などと
いうことも生じる。
(2)一つの政令市のエリア内だけで収集運搬が完結す
る。
収集運搬については、栃木県の許可、中間処分業に
ついては宇都宮市の許可となる。
以上、
「一例」を挙げてみた。
環境省は、22年12月17日付で事務連絡を発出してい
る。既に政令市の許可を取得している業者の許可であ
っても、県の許可が重複する範囲は4月1日をもって
「失効」するとしているが、今後、種々のバリエーショ
ンがでないとも限らない。
自社が関係する産業廃棄物処理業の許可については、
引き続き注意していく必要がある。冒頭で書いたとお
り、短絡的に「もう、政令市の許可は不要」という判
断は極めて危険である。
許可権限者である自治体にとっては、直接的に業務
量、ひいては、職員数にも直結する課題である。
2.ギブアップの通知のあり方
正式な呼称は「処理困難通知」であり、処理業者側
は第14条第13項等(新規条文、最高刑懲役6月)、排出
事業者側は第12条の3第8項(第12条の3第7項改正、直
接的罰則は無いが措置命令の対象になりうる)で規定
された制度である。
当初、法律の規定として提示された時は、画期的な
制度であり、行政側にとっては強力な武器になるので
はないかと思われたが、省令の規定をみると、どうも
今までの制度と大差ないようにも感じられる。
と、言うのは、省令では「マニフェストの写しを受
けていない処理業者から処理困難通知を受けたとき」
15
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
特集:廃棄物処理法の改正にについて
と規定している。
これでは、この条文を新たに作った意味がない。
なぜなら、排出事業者は今まででも「マニフェスト
の写しが返ってきていない」「虚偽のマニフェストが返
ってきた」時は、「適切な措置(規定としてはギブアッ
プ通知を受けた時と同じ)」をしなければならないこと
は規定されていたのであるから。
すなわち、「処理が困難」であれば、処理は済んでお
らず、したがって、マニフェストは期日まで返送でき
ないこととなり、今までの規定でも排出事業者は「適
切な措置」を講じなければならない。
一方、実際は処理が済んでいないにもかかわらず、
マニフェストを返送していれば、それは「虚偽のマニ
フェスト」となることから、やはり、排出事業者は
「適切な措置」を講じなければならない。結局、現実に
「処理が困難」という状況では、どちらかのケースにな
ってしまっていただろう。
さらに、改めて考えると、「では、マニフェストの写
しが返ってきていたら、処理業者が処理困難になって
いても排出事業者は何もする必要は無いのか?」とい
う根本の問題に突き当たる。
一方で、環境省がこのような表現を取らざるを得な
かったのだろうという推測もできる。それは次のよう
な要因である。
「処理困難となったからと言って、では、どの程度前
までの排出事業者に通知しなければならないのか?」
受託業者が、処理が困難となった未処理の産業廃棄
物の排出事業者については、「適切な措置」を取らなけ
ればならないことは理屈が通る。しかし、ギブアップ
してしまう業者の多くはルーズな管理が多く、積み上
げられた産業廃棄物の「底の方の物」は何ヶ月前の誰
のものかもわからなくなってしまっている。
では、契約書が有効な排出事業者には全員通知しな
ければならないのか?1週間前、1ヶ月前程度ならまだ
わかる。しかし、まともに運営していた1年前、2年前
に受け入れた排出事業者にもギブアップ通知は出さな
ければならないのか?
それを受けた排出事業者としても困惑するだろう。
「契約は継続していたものの、現実には3年前に1トン
程度委託しただけであり、その時はマニフェストも返
ってきていた。」このような排出事業者にも第12条の3
第8項の規定を適用していくのか、たしかにこれでは、
排出事業者はいつまでたっても安心できない。
前述、後述どちらも矛盾無く、しかも、折角作った
新制度が制度設計者の意図する方向に、また、善良な
排出事業者への過度な負担無く運用されるよう、今後
の対応に注目していく必要がある。
的な内容等については、施行日までに「マニュアル」
等が提示されるものと思われ、まだ、不明な点も多い。
現在、定期検査の対象となる最終処分場と焼却施設
は全国に6,000ほどある。(産業廃棄物はPCB処理施設と
石綿溶融施設も該当するが数的にはほとんどない。
)
これをざっと計算すれば1自治体あたり、1ヶ月に1施
設は検査して行かなくてはならない。
6,000施設÷5年÷12ヶ月÷100自治体=1
全ての施設が「検査、即、合格」とはならず、中に
は不適合な箇所、施設も出てこよう。
これらについては、当然ながら改善指導や指導に従
わない施設については、行政処分を視野においた業務
が発生する。
自治体によっては定期検査について、手数料等の徴
収も検討しているところもあると聞く。前述のような
業務量を推察すると、検査手数料は数万円などと言う
レベルではなく、何百万、何千万でもおかしい額では
ない。
それを全て検査手数料で賄うのが妥当とは思わない
が、検査を行う自治体にとっても相当の新たな業務が
追加されることは確実である。制度が作られた限りは、
人員や財政上のバックがなければ実効性が疑問視され
る。
一方、設置者側としては、検査が義務づけられるだ
けでも新たな負担であるのに加えて、直接金銭的負担
まで強いられてはたまらない、という思いも理解でき
る。
検査を行う行政側は、人材面の負担も相当なもので
ある。最終処分場や焼却施設を現場検査できる知識技
能は一朝一夕で培えるものではない。
おそらく、経験年数3年以上の理系の技術職員が担当
することとなろうが、今後継続してこの制度を維持す
るためには、定期的な研修等を行い、常に人材を養成
していく必要があろう。
さらに、経過措置的な課題であるが、使用前検査か
ら5年以上経過している処理施設の検査の時期は、どう
やって決めていくのかが当面の課題として存在するよ
うに思える。
処理施設の許可制度がスタートしたのが、平成4年7
月、しかし、その前の届出は「みなし許可」となって
いたことから、理屈的には汚泥や廃油、廃プラスチッ
ク類の焼却施設では古くは昭和46年頃に設置されたも
のまで、定期検査の対象になる。
ちなみに、最終処分場は昭和52年までは届出も不要
施設、その後も規模によっては「みなし許可」とはな
らない施設もあったが、前述の通り、古いものでは30
年以上前に許可を受けたとみなされている施設もある。
実質的にはこれほど持ちこたえている処理施設はあま
りないかもしれないが、5年スパンとすれば、2スパン
(10年)
、3スパン(15年)はざらにあると思われる。
3.定期検査
処理施設の5年ごとの定期検査も規定されたが、現実
16
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
特集:廃棄物処理法の改正にについて
の廃棄物として、まとめて処理委託しているケースも
多い。
今までは、平成6年の通知により「区分一括下請」は
「下請も排出事業者」として扱ってきており、これら慣
習として行われてきている行為を無許可収集運搬業と
して、是正指導していくことも相当の業務量となろう。
一般的に「一塊、一括の仕事を管理できる存在が排
出事業者」との概念もあることから、裁判になるよう
な事案でも、法律第21条の3の規定と省令第18条の2の
規定の組合せにより、前述事務連絡の運用でいけるの
か、不謹慎な言い方ではあるが、個人的には興味のあ
る制度改正である。
これらの既存の最終処分場、焼却施設について、ど
ういう順番で定期検査の対象にするのか?
既存の処理施設も「使用前検査から5年3ヶ月以内」
に定期検査の対象とするようであるから、23年4月−5
年=18年4月以降に使用前検査した「新しい施設」の検
査時期は、ほぼ決まると思われるが、それ以前に使用
前検査を受けている処理施設の最初の「定期検査」は
どうやって決めるのか?
「新しい施設」より遅くなるというのも筋が合わない
ような気もするし、かといって、23年4月+5年3ヶ月=
28年7月に検査が集中するというのもいかがなものかと
思われる。
今後、附則により経過措置が示されるのかもしれな
いが(既に示されているのかもしれないが、筆者は読
み解けない。)、検査を受ける設置者、検査を行う行政
側にとっても、さしあたっての大きな課題ではあろう。
5.欠格者の取扱い
平成15年の法改正により問題となった「欠格要件の
連鎖」については、今回の法律第7条第5項第4号と第7
条の4第1項各号の改正により、是正されたと言われて
いる。
しかしながら、この条文の書きぶりは、誠に複雑怪
奇であり、加えて産業廃棄物の14条はこれらを準用し
ている箇所もあり、極めて難解である。
また、新制度では連鎖が適用されず欠格者にならず
に済むケースで、過去において欠格者となってしまい、
それが継続している人物の救済の対応等もあろう。
たとえば、19年に水質汚濁防止法で役員Aが罰金とな
ったことから、Aが役員をしている甲会社が取り消しと
なり、この会社の役員Bが乙会社の役員も兼務していた
ことから乙会社も取り消しになり、乙会社の役員Cも欠
格者となっていたとする。
これと同様の事案は、23年4月以降は役員Cはもちろ
ん、役員Bも欠格者にはならないのであるが、では、19
年にこのパターンにより既に欠格者となっている役員
B、Cは23年4月1日をもって欠格者でなくなるのか?そ
の根拠はどこにあるのか?等不明な点も多い。
4.建設系廃棄物の取扱い
建設系廃棄物について、新たに事業者による「保管
届出」が規定された。
既に条例や指導要綱により義務づけをおこなってい
た自治体も多いと聞くが、そうでない自治体にとって
は、全く新しく発生する業務である。
省令を見ると、この保管届出は事業者の届出であり、
事業場ごとの届出ではないように読める。よって、保
管場所を別の場所に移すことは「変更届」と規定して
いるように見れるが、いずれにしても300m2以上の建設
系産業廃棄物の保管場所は、相応に存在しているもの
と思われる。
「許可ではなく届出」とは言うものの、法律で規定さ
れた限りは、それを受理する行政側としては「受理し
ておわり」という訳には行かない。
おそらく、全ての自治体で台帳を起こし、管理して
いくこととなろう。この規定は、罰則の対象にもなる
事項であり、大変な業務量であることが想定される。
「下請の許可不要でやれる範囲」等については、私個
人としては、法令の条文の書きぶりと22年5月20日付で
環境省から発出された事務連絡の齟齬が解決できずに
いる。
また、現実にも多くの建設工事においては、下請と
して入っている電気工事、内装工事等は「自分が出し
た廃棄物」として自社に持ち帰り、その後改めて自分
この他にも、廃棄物の輸入、多量排出計画、維持管
理情報の開示、産業廃棄物処理業者の優良化、熱利用
施設の認定等、今回の改正は現場にかかわる事項が数
多い。
4月からの施行に向け、排出事業所、許可業者、現場
の行政担当者に不安、混乱が出ないよう、今後の更な
る説明、運用通知が待たれるところである。
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
第5回3R推進全国大会 開催報告
第5回3R推進全国大会実行委員会
古谷 宏
委員長 (佐賀県くらし環境本部長)
本大会の開催は、県民の皆様をはじめ、会場にお越
しいただいた多くの皆様に、広く3Rを知ってもらい、
自分のライフスタイルを見直すきっかけを提供できた
のではないかと思っております。
第5回3R推進全国大会が無事成功裡に終えること
ができましたのも、実行委員会各団体の皆様、さが環
境展へご出展いただいた出展者の皆様、さらには、環
境省をはじめ関係者の皆様のご支援、ご協力の賜物と
厚くお礼申し上げます。
最後に、今後の3R活動のさらなる発展と、来年、
京都市で開催される第6回3R推進全国大会の成功を
心より祈念いたしまして、大会報告とさせていただき
ます。
私たちが健全で恵み豊かな環境を将来の世代に引き
継いでいくためには、3R活動の推進を通じ、社会経
済の在り方やライフスタイルを見直し、循環型社会へ
と転換を図っていくことが必要です。
本県では、「地球環境時代のトップランナー佐賀県」
を基本理念とし、廃棄物の減量化・リサイクルと適正
処理を推進し、環境への負荷の少ない循環型社会を形
成していくことを目標に様々な施策に取り組んでいる
ところです。特に、1人1日当たりのごみの排出量は、
全国でも最少の水準にあります。
このたび、3Rの推進に対する理解を一層深め、ご
みゼロ社会の実現や循環型社会の形成に向けた取組を
推進することを目的として、第5回3R推進全国大会
を平成
22年11月2日(火)∼7日(日)にかけて佐賀県で
開催いたしました。
2日の「大会式典」を皮切りに、3日からは、佐賀
インターナショナルバルーン
フェスティバル会場内において、5日間にわたり
「さが環境展」を開催いたしましたところ、県内外から
約51,000人もの多くの方々にお越しいただきました。
全国大会に合わせて、環境省による中央環境審議会
循環型社会計画部会地域ブロックヒアリングについて
も本県で開催していただき、また、県内の市町をはじ
め関係団体の方々には、3Rへの理解を深める講演会
の開催など様々なプレイベントを実施していただき、
大いに全国大会を盛り上げていただきました。
大会式典では、樋高剛環境大臣政務官から循環型社
会形成推進功労者表彰及び3R促進ポスターコンクー
ル最優秀賞受賞者の皆様に表彰状が授与されました。
また、特別講演として、3R活動推進フォーラム会長
の武内和彦氏(東京大学大学院教授)に、記念講演と
して、タレントの乾貴美子氏にご講演をいただきました。
さが環境展では、県内外の企業や団体の皆様から30
のブースに出展をいただき、3R推進のためにそれぞ
れが工夫を凝らした展示や技術、取組などを紹介して
いただきました。また、エコ体験をすることができる
イベントやステージショーなどの開催で、終始賑わい
のある会場となりました。
第5回3R推進全国大会 概要
1.開催目的
国民・事業者・行政が一堂に会し、循環型社会形成
に関するそれぞれの知識や経験を交換するとともに、
参加者一人一人が自らのライフスタイルを見直す機会
を提供することを通じ、ごみの減量・再資源化などの
3R推進に関する理解を深め、ごみゼロ社会の実現や
循環型社会の形成に向けた取組みを推進する。
2.開催日及び会場
開催日:平成22年11月2日(火)∼11月7日(日)
会 場:グランデはがくれ、嘉瀬川河川敷(佐賀イ
ンターナショナルバルーンフェスタ会場内)
3.主催・事務局・後援
主 催:第5回3R推進全国大会実行委員会
環境省、環境省九州地方環境事務所、佐賀県、佐
賀市、3R活動推進フォーラム、佐賀県商工会議
所連合会、社団法人佐賀県産業廃棄物協会、佐賀
県消費者グループ協議会、特定非営利活動法人佐
賀県CSO推進機構、佐賀県地球温暖化防止活動推
進センター、佐賀県「ストップ温暖化」県民運動
推進会議
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
事務局:佐賀県くらし環境本部 循環型社会推進課 後 援:佐賀県教育委員会、佐賀県市長会、佐賀県町
村会、佐賀市教育委員会、社団法人佐賀県建
設業協会、佐賀県環境整備事業協同組合、佐
賀県商工会連合会、佐賀県中小企業団体中央
会、佐賀県農業協同組合中央会、佐賀県有明
海漁業協同組合、佐賀県玄海漁業協同組合連
合会、財団法人佐賀県地域産業支援センター、
社団法人佐賀県観光連盟、佐賀県地域婦人連
絡協議会、佐賀県PTA連合会、佐賀新聞社、
朝日新聞佐賀総局、毎日新聞社佐賀支局、読
売新聞社西部本社、西日本新聞社、日刊工業
新聞社、NHK佐賀放送局、STSサガテレビ、
NBCラジオ佐賀、エフエム佐賀、佐賀県ケー
ブルテレビ協議会、時事通信社佐賀支局、共
同通信社佐賀支局
樋高環境大臣政務官
4.開催内容
(1)第5回3R推進全国大会式典
古川佐賀県知事
大会式典
循環型社会形成推進功労者や3R促進ポスタ
ーコンクールの受賞者に対する表彰を行うとと
もに、3Rに関する国民の理解を深めるための
記念講演などを行った。
○ 日程 11月2日(火)13:30∼16:30(開場
12:30)
○ 会場 グランデはがくれ 2F フラワーホ
ール(佐賀市)
○ 入場者数 約400人
○ 内容
<オープニングアトラクション> 佐賀にわか
<開催挨拶>
環境大臣政務官 樋高 剛 氏
佐賀県知事 古川 康 氏
佐賀市長 秀島敏行 氏
<来賓挨拶>
佐賀県議会議長 留守茂幸 氏
秀島敏行市長
留守佐賀県議会議長
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
<表彰式>
循環型社会形成推進功労者等表彰(20企業、
9団体、7個人)
3R促進ポスターコンクール表彰(小学生2
名、中学生1名)
<特別講演>
3R推進フォーラム会長・国際連合大学副学
長・東京大学大学院教授 武内和彦 氏
「3Rが拓く地域の未来∼資源循環と自然共
生を目指して∼」
<記念講演>
タレント 乾 貴美子 氏
「わたしのおすすめ 身近なエコ」
<大会宣言>
佐賀市立神野小学校児童
<次回開催地挨拶>
京都市環境政策局長 坪内俊明 氏
<閉会挨拶>
佐賀県くらし環境本部長 古谷 宏
展示会場風景
○ 会場 佐賀市 嘉瀬川河川敷(佐賀インターナ
ショナルバルーンフェスタ会場内)
○ 来場者 3日(水) 15,570人
4日(木) 3,198人
5日(金) 3,408人
6日(土) 14,189人
7日(日) 14,406人 計50,771人
○ 内容
<オープニングセレモニー>
・日程 3日(水)8:30∼9:00
・挨拶 環境省廃棄物・リサイクル対策部長
伊藤哲夫 氏
(2)さが環境展
3R関連商品や環境技術、先進事例等の展
示・発表を行い、県民等に対し3Rに関する学
び・啓発の場を提供し、併せて環境関連産業の
振興を図った。
○ 日程 11月3日(水)∼7日(日) 9:00∼
17:00
さが環境展オープニングセレモニー
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
ステージイベント
・ダンボールコンポスト講座
・エコバックスケッチ大会
・電気の発電体験コーナー
○ その他
・目指せエコ賢人クイズラリー
・3R川柳大賞投票コーナー
佐賀市副市長 古賀盛夫 氏
・アトラクション 佐賀県警察音楽隊
・テープカット 第5回3R推進全国大会実行
委員会各団体代表
<ブース展示>
企業・団体数 23(企業10、NPO法
人・市民団体9、行政4)
ブース数(3m×3m)30
<各種イベント>
○ ステージイベント
・Live! Eco Life!(地元ミュージシャンによる
ライブステージ)
・白井貴子 3Rトーク&ライブ
・エ コ ロ ジ ッ ク シ ア タ ー リ サ イ ク ル 音 楽
会・工作教室
・ウルトラセブンと学ぼう!∼環境・衛生編
∼
・おもちゃのリユース かえっこ広場
・ミニエコ検定大会
・ゆるキャラPRステージ
・生ゴミの堆肥化実験
・エコドライブと安全運転システム「ECOSAM」の紹介
・分解型ごみ処理機「くうたくん」の紹介
・生ゴミ減量化の必要性、及びボカシ作りの
実験
○ 体験ゾーン
・間伐材を使った工作教室
・牛乳パックからハガキを作ろう
5.関連イベント (1)中央環境審議会循環型社会計画部会地域ブロ
ックヒアリング(環境省主催)
地域における循環型社会の構築に向けた取組の
重要性についての理解や関心を高めるとともに、
地域における循環型社会づくりの先進的な取組事
例を発信し、「循環型社会推進基本計画」の点検に
寄与した。
○ 日程 11月3日(水)13:00∼15:00
○ 会場 アバンセ ホール(佐賀市)
○ 来場者 約140人
○ 事例発表
・佐賀県「佐賀県における3Rの取組について」
・佐賀市「佐賀市のごみの現状と施策」
・(有)鳥栖環境開発綜合センター「バイオ
マス複合利活用事業で資源循環を推進」
・NPO法人伊万里はちがめプラン「『生ごみを
宝に!』資源循環社会を目指して」
(2)プレイベント
全国大会の成功に向け、全県的に気運を高め
るため、各団体によるイベントを実施した。
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
④その他イベント等
○ 各市町による第5回3R推進全国大会プレイ
ベント開催事業など
①3R推進全国大会プレイベント 記念講演会
○ 日時 10月22日(金)15:00∼17:15
○ 主催 社団法人佐賀県産業廃棄物協会、佐賀
県解体・リサイクル協議会
○ 会場 佐嘉神社記念館(佐賀市)
○ 来場者数 約100人
○ 内容 ・講演① 「日本を元気にする環境対策」
講師 環境庁地球環境部初代部長・NPO
法人「環境文明21」主宰 加藤三
郎 氏
・講演② 「循環型社会における情報公開の
あり方」
講師 弁護士 佐藤 泉 氏
・関根信一郎と仲間たちのリサイクルコンサ
ート
②佐賀市環境問題講演会
○ 日時 10月29日(金)13:30∼16:00
○ 主催 佐賀市
○ 会場 佐賀市文化会館 中ホール
○ 来場者数 約800人
○ 内容
・講演 「残された時間はない!」
講師 東京都市大学大学院教授 中原秀樹
氏
・パネルディスカッション
6.広報
県内外から多くの来場を促し、幅広い層に3R推進
に関する理解を深めてもらうために、ポスター・チラ
シ・リーフレット・ホームページ等を利用した広報を
行った。
① 大会ホームページ(http://www.3r-saga.jp/)
② 大会ブログ、ツイッター
③ 県内各種イベントでのチラシ配布
④ 県発行の『県民だより』
、市町の広報誌
⑤ ポスター、チラシの配布・掲示
⑥ その他
・新聞広告
・実行委員等の既存の広報媒体の活用
・西日本宝くじ など
7.シンボルキャラクター
キャラクターはエコの「e」
県木の楠の「緑」環境に敏感な「虫」
環境に対するアンテナを張って行動していくイメージ ③さが環境フェスティバル in 森林公園
○ 日程 10月29日(金)∼31日(日)10:00∼
17:00
○ 共催 佐賀県立森林公園、佐賀県地球温暖化
防止活動推進センター、第5回3R推進
全国大会実行委員会
○ 会場 佐賀県立森林公園(佐賀市)
○ 来場者数 約9000人
○ 内容
・佐賀・環境ビジネスフェア(出展企業:7
企業)
・エコフリーマーケット(延べ205店出店)
・グリーンマーケット(20店出店)
・九電工 エコライフフェア
・エフエム佐賀公開生放送
・親子で体験!環境工作教室
・プラグインハイブリッド、電気自動車、電
気バイク体験試乗会
・バルーン係留飛行搭乗会
・森林公園周辺クリーン大作戦(企業、一般
参加90名)
環境新世紀「エコ・ミレニアム」
キャンペーンキャラクター「ピコピコ」
8.アンケート
3Rの認知度を確認し、知らない方には3Rの意味
とその目的がわかるようなアンケートを実施した。多
数の回答を得るとともに、多くの来客があるようにア
ンケート回答者の中から抽選で、佐賀牛などをプレゼ
ントした。
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
第5回3R推進全国大会式典特別講演
「3Rが拓く地域の未来
∼資源循環と自然共生を目指して∼
」
3R活動推進フォーラム会長
(国際連合大学副学長、東京大学大学院教授)
武内 和彦
それから愛知ターゲットというのは、世界の保護地
域をどのくらいの面積にするかというので、例えば、
海洋の保護地域をどのくらい広げるかというふうな話
があったんですが、先進国はどんどんと保護地域を広
げて、「30%くらいは保護地域にしろ」と言いますし、
途上国は、これから資源を売って生活をしなくてはい
けませんから、「そんなとんでもない。5%があればそ
れで充分だ」と。そういう対立の中で、17%というふ
うにまとめるとか、こういう努力があったわけです。
今日の話は、3Rということですが、その生物多様性
でも、今回、世界をリードしたわけですけれども、実
は、皆さんもっと誇りに思ってもらっていいと思うの
ですが、世界的に見ても、日本は3Rが非常に進んだ国
であると言えると思うんですね。よくドイツは進んで
いると言って、自治体の方かなんかでも、一生懸命に
ドイツに行ってリサイクルの施設を見学して、「ドイツ
みたいにしなきゃいけない」と吹聴するというのは、
「“では”の神」と言うんですね。「ドイツ“では”」と
か「アメリカ“では”」とか、実は、そういうのが私は
ちょっと癪で、例えば、リサイクル率みたいなものを
調べてみたことがあるんですね。すると、実際には、
むしろ、日本の方が進んでいる。ただ、日本が、少し
問題があるのかなと思うのは、市民社会の取組が、必
ずしも組織化されていない面があるということです。
こういう点はきちんと反省して市民社会がこの3Rに取
り組んでいくようにしなきゃいけないんじゃないかな
というふうに思ったりしているわけです。
そういう意味で、あんまり私たちの活動を卑下して
考えることはないんじゃないかなと、私が皆さんに申
し上げたいことです。日本はりっぱな3R先進国だと言
っていいんじゃないかと思います。
さて、私は中央環境審議会で、今、循環型社会計画
の部会長をやらしていただいておりますけれども、
2007年ですけれども、安倍内閣のときに21世紀環境立
国戦略を作ろうじゃないかという話がありまして、そ
れで、私もその審議会の特別部会のメンバーとしてそ
皆さんこんにちは。只今ご紹介いただきました武内
でございます。今日は50分ほど、この3Rのことについ
てお話をさせていただきます。
この話の前に、ちょうど先週土曜の未明ですけれど
も、愛知県名古屋市で「生物多様性条約」の第10回締
約国会議が2週間に亘って開催されておりまして、そし
て最後にやっと「名古屋議定書」がまとめられました。
先ほど表彰にお名前のあった松本環境大臣、環境大臣
に就任されてから大変短い期間で、この問題について
大変良く勉強されまして、また交渉の中ではいろんな
対立があったわけですが、それをうまく調整されて、
この議定書をまとめられたということで、私は大変う
れしく思っております。
もう1つの話題は、議定書と並んで生物多様性につい
て、長期的な目標を作るということ。こちらの方は、
「愛知ターゲット」という名称になりました。名古屋だ
けだと愛知県がせっかく頑張ったのに、愛知県の名前
が忘れ去られるのは残念だということで、みんな配慮
して、1つは「名古屋」の名前が付いて、もう1つは
「愛知」と名前が付いた、そういう世界に誇り得る取り
決めができたというわけです。
議定書がどういう内容かと言いますと、遺伝資源を
はじめとして、さまざまな生き物の恵みを我々が使っ
て、そして生活を営んでいるわけです。農産物、それ
から医薬品あるいは化粧品とか、こういうものは、す
べて元々は野生にある遺伝子を改良して作っていくわ
けです。そういうものがどこに多くあるかというと途
上国、特に熱帯地域に多いんです。それで、そういう
地域の資源を使って、先進国の企業がそれを製品に開
発して売り出すわけです。ところが、その利益を途上
国の人に還元してないじゃないか。こういうことが話
題になりまして、先進国は、できるだけ途上国に対す
る利益の還元を抑制しますし、途上国の人は過去にさ
かのぼって利益を返せと主張する。そういう対立があ
ったわけですけれども、これは日本が間に入って名古
屋議定書という形で取りまとめる。
23
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
ありましたけれども、日本の適正なバイオマスを利用
するということは、日本の自然を大事に育てていくと
いうことに貢献するわけですから、この2つの間の関連
性をより強化するということにつながる。そんなふう
に考えていけるんじゃないかということで、現在、循
環型社会形成推進基本計画においても、3社会の統合の
中で、循環型社会を考えていきましょうと、こういう
ふうに言っております。
循環型社会の基本は、これまでは天然資源を大量に
使って、大量に製品にして、そして使い終わったらそ
れを捨ててしまうと。その結果、資源が枯渇する。他
方で、廃棄物がいろんなところに溜まって、そして
人々の生活に対しては、ただごみが溜まるというだけ
じゃなくて、場合によっては環境汚染するという形で
被害を与える。こういうふうな問題だったんですね。
いわゆる20世紀型の大量消費の社会。成長する社会は
そういうことで、実は、私達の地球環境という観点か
らいうと、非持続的な環境を生み出してきた。今、私
たちは21世紀に入って、そういう社会を見直して、も
う一度、自然と人間がうまく付き合えるような化石燃
料に多くを依存しないでもエネルギーをまかなえるよ
うな、そういう社会をつくっていかなければいけない。
そういうことと並んで、ものを大事に使って、原材料
である天然資源の利用をできるだけ抑制して、逆に、
廃棄物になるものもできるだけこれを減らして、そし
て資源を回し使いするような社会をつくっていこう。
こういうことが循環型社会形成というものの狙いとい
うことになるわけです。
の議論に参画したことがあります。そのときに申し上
げたのは、持続可能な社会を目指さなくてはいけない
のですが、そのときにいろんなことを考えなくてはい
けないというのは、もちろんあるわけですが、主とし
て3つのことを考えていくことが必要なんじゃないか。
こういうことを提案申し上げました。これが最終的に
閣議決定の文章の中にも入ったわけなんです。
1つは、低炭素社会。CO2の排出の問題。エネルギー
の問題。先ほど車のエネルギー効率が話題になってお
りましたが、そういう問題が大きな問題として1つあり
ます。それから、最初に私が申し上げた生物多様性、
生態系、こういうものを考えるということも大事で、
自然共生社会と言っております。そういうものと並ん
で、ものの循環的な利用を促進していこうというのが
循環型社会ということで、これは持続可能な社会の3本
柱の1つとしてこの問題を考えていくことが重要なので
はないか。
そうすると、例えば、低炭素社会と循環型社会は、
エネルギーの問題と資源、ものの問題として捉えるこ
とができる。この両方をどうやってうまくつなげてい
くと、いい社会になるのかということを考えていくこ
とができる。それから、循環型社会と先ほど表彰にも
3Rが何かということは、ここにおられる方はみんな
ご存知だと思いますけれども「リデュース」、「リユー
ス」、「リサイクル」という3つの言葉から成り立ってお
ります。「リデュース・リユース・リサイクル」という
並びで、実は、優先順位というのが付けられています。
まず、何よりもその発生を抑制するということが大事
だということです。いくらリサイクルしても大量にリ
サイクルすると、それだけで、また環境に対して負荷
24
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
用を抑制するということと、資源を大事に使っていく
ということと、廃棄物を減らしていくという、このと
ころが1つの大きな要点であるわけです。
それとやっぱり、今日もたくさんの企業や市民の
方々、学校の生徒さんが受賞されましたけども、いろ
んな異なる主体がこの問題について取り組んでいくと
いうのが非常に重要なんです。この点はこれからまだ
まだ私たちの取組を、より強化していくことが必要で
す。いろんな人が関わってこそ、この循環型社会がで
きるんだということです。
を与えてしまうということです。そもそも、資源の利
用をできるだけ抑制するということを第一義にして、
それで使えるものは何度でも使い回しをする。例えば
リターナブルな容器みたいなものとか、そういうよう
なことを知って、そして、3番目としてリサイクルをす
るということで、もう1回資源として使うという順番に
していく。そういうことで循環の輪を作っていくとい
うのが1つの原則であります。
そうは言っても、全く廃棄物がなくなるわけではあ
りませんので、廃棄物については、適正に処理するわ
けですが、その前に、もう1回資源として使えないかと
いうことで、最終的には、廃棄する前にエネルギーを
そこから回収するということができるのではないか。
例えば、プラスチックでも、いわゆるリサイクルをし
て使い回すものもありますけど、汚いものはリサイク
ルするとかえって、リサイクルためのエネルギーを使
ってしまうということがあるんですね。そういう場合
には、むしろ焼却処分をするというふうなことのほう
が、よりトータルな環境に対する負荷は小さくなる場
合があるわけです。その際も、それをただごみに捨て
るのではなくて、例えば、ごみ焼却場の燃料として使
うということによって、そこでエネルギーを回収する
ということで、とにかく最大限活用をしていくという
考え方を取っていくということが必要だということに
なるわけです。
循環型社会をどうやって捉えればいいのかというこ
とで、環境省の中でいろいろと議論がされているんで
すが、難しい言い方ですけれども物質のフロー、物質
の流れという考え方があります。物質のフローという
考え方は、どういう考え方かというと、まず、海外か
らどのくらいの資源がやってきているか、それから、
国内でどれくらい資源を使ってそれを原材料にしてい
るのか。例えば、鉄鉱石のようなものは海外から輸入
していますね。それに対して、土砂、埋立の土砂は、
日本のどこかの山を切り崩して土砂を海に運んで埋立
にする。これは国内産の資源ということになります。
そういうものを加工して一部を輸出したり、あるいは、
日本の国土の中にいわゆる人工物として蓄積をしてい
ったり、あるいは、それをエネルギーに使ったり、食
糧に使ったり、そういうふうにしていく流れがあるわ
けです。天然資源の抑制ということから言うと、いか
に入り口を細くしていくかというのは大事でありまし
て、これで見ますと、平成12年と平成19年で入り口の
太さを見ていただきますと2,138から1,802、これ単位は
百万トンですけれども、というふうに全体をしていう
と減っているということがお分かりいただけると思う
んですね。
ただ、輸入だけを見てみると、実は海外からの輸入
はちょっと増えているんですね。ここいら辺りを循環
型社会を考えると、ちょっと問題なんですね。今度は、
逆に国内の資源を見てみますとだいぶ減ってるんです
循環型社会形成推進基本計画、長いので「循環基本
計画」と言っておりますが、大きな枠組みでは、我が
国には環境基本計画というものがありまして、その下
で、いくつかの基本計画が作られている。その1つが循
環基本計画です。第1期がありまして、今は第2期目と
いうことになっています。この中で、ここに書いてい
ますように、低炭素社会や自然共生社会との融合が大
事だということも話をしておりますし、それから、こ
れまでよりもさらに循環型社会を推進していく。これ
はどういうことかは、後ほど申し上げたいと思います。
要するに先ほど申し上げましたように、天然資源の利
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
めて評価しなくてはいけないということがこの指標の
中に入っている。鉄鉱石を1トン確保するためには、ど
のくらいの山を壊さなきゃいけないか、という計算を
していくわけです。
ね。これは、中部国際空港なんかをつくるときに、も
のすごい大量の土砂を使ったんですね。そういうのが
一段落しましたので、かなりこれが減っているという
ことになっているわけです。
そこで、どの程度最終処分になっているかというと、
57から27ということで、ものすごく大きな成果なんで
す。日本の社会の中では、今まではもう最終処分をす
る場所がないと大きな問題になっていたのです。最終
処分の場所を探すよりも、処分する量を減らした方が、
はるかに効率的だということです。企業も皆、そのこ
との重要性に気が付き始めて、出来るだけ廃棄物を資
源に戻すという考え方でやっているんで減っているん
です。
この下にループが出来ていますね。このループが何
かというと、本来廃棄物になっていたものを、もう1回
資源に戻してるんだと、こういうループです。これを
見ますと、213から243。こっちはこれが増えたほうが
いいんです。この輪っかが太くなればなるほど、日本
は循環型社会に近づいていく。これを見ると、まだま
だ循環型社会というふうに日本の社会を現すには、時
期尚早だなということがおわかりいただけると思いま
す。
あまり詳しいことを説明する時間はありませんが、
いろんな指標を私たちは使って今、日本の循環型社会
の進行状況をモニターしているわけです。そういう中
には、バイオマスをどの程度使っているか。それから、
ここに隠れたフローという言葉が書いてありますが、
これは何かというと、天然資源で、例えば、鉄鉱石と
こういうことで見てみますと、入口の資源生産性、
これは1トン当たりいくらの価値を持ったものを作って
いけるのかということで、これはGDPを資源物で割り
算をした数字ですが、これの目標値が、トン当たり42
万円ということです。ご覧いただいてわかるように、
かなり順調に数字が推移して、このままいくと目標は
達成できそうです。
それからどの程度回し使いするか。これは、今、だ
いたい10数%の資源は回し使いをしているわけですが、
これを目標値14、15ですから、ほとんど達成して、場
合によっては、目標を超える達成率が見込まれるとい
うことです。最終処分量もさきほど言ったように、み
んなものすごい努力をしてくれまして、ぐっと減って
これも目標値、最終処分量は総量で表していますが、2
千3百万トンの目標値に限りなく近づいていて、一応、
短期的な循環型社会への道ということでいうと、結構
優等生ということが言えると思います。
いう話をしました。鉄鉱石を日本に輸入するのですが、
鉄鉱石だけを純粋に取り出して日本に運ぶということ
はできないわけです。鉄鉱石を掘るためにものすごく
大量の土砂を掘って、そして、その中から鉄鉱石を探
すということをしなきゃいけないわけですから。その
分は数字としては日本の輸入量には入っていません。
しかし、相手の国の環境をそれだけ破壊しているとい
うことになるわけです。ですから、そういうことも含
資源の生産性を世界で見ますと、日本はかなり先進
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
庭で、一般ごみをどうやって減らしていくのか。それ
から産業廃棄物。これはかなりよく減らされているの
がおわかりいただけると思います。
また意識ですね。廃棄物の減量化、循環利用。グリ
ーン購入。だいたい9割の人が、そういうことに意識を
持っている、少なくとも半分くらいの人が行動に移し
ているという状況になってもらいたい、というのが今
の取組についての目標です。それ以外に環境をビジネ
スに展開するというのも、非常に重要であると考えら
れます。
的です。一番効率がいいのはスイスです。スイスでは
ある物質を使って、一番高い価値を生み出していると
いうことです。次いでノルウェー、次いで日本。ドイ
ツよりも上ですよね。ご覧いただいてわかるように。
こういうことですから、あんまり「“では”の神」と言
わないほうがいいというのは、私の日ごろ、申し上げ
ていることです。
他方ですね、注目していただきたいのは、これから
資源をたくさん使って伸びる国です。中国、インド、
ブラジル、ロシア、こういう国の資源生産性はとんで
もなく悪いんですね。こういうところで、どんどん工
業製品が生まれているわけです。日本で生まれるなら
ば、効率よく生まれますが、そうではなく非常に効率
悪く生産されてしまっているということですから、こ
こいら辺りを我々はアジアの一員として考えていかな
いといけない。特に、中国やインドをはじめとするア
ジアの新興国において、どうやって循環型社会を形成
していくのかということについて、我々も一緒になっ
て考えていかなければならないと思っているんです。
新しい第2次の循環基本計画は、私が部会長として取
りまとめをしたわけですが、いくつかの新しい取組を
この中に含めさせていただきました。その1つが、地域
循環圏という考え方です。地域循環圏というのは、今
までは、鉄ならば鉄、バイオマスならバイオマス、ご
みならごみと分けて議論していたものを、そうではな
くて、1つの地域を単位にそれらがうまく回るような仕
組を作っていくということを、これから考えることが
必要じゃないか。そういうことに思いが至って、これ
を政策の中に込めていただいて、そして、今、これに
ついてのさまざまな事業も展開をするようになってい
るという状況です。
最近、成先生という、前の全人代の副委員長が来ら
れて、私が所属している東京大学で講演されました。
そのときに、中国でも循環型社会は非常に重要だと言
っておられます。中国では循環型社会と言わずに、「循
環経済」と言うんです。そして「低炭素経済」と「循
環経済」、「生態経済」。この3つの調和でやっていくと
いうことですから、私共が言っている持続可能な社会
の3本柱を今、中国で使っていただいているんですね。
そういう意味では、私たちのやってきたことが、今、
中国でも広がっているわけですが、この状況を見ると、
残念ながら循環経済とは言えないです。こういうとこ
ろでも国際協力として、貢献していく必要があるわけ
です。とくに、九州は中国、韓国とも非常に近いわけ
ですから、そういう意味での連携を今後図っていくこ
とは、非常に大きな課題ではないかなと考えられるわ
けです。
それから、みんなの取組です。もちろん、普通の家
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
都市鉱山ということから言うと、日本は電化製品がた
くさん巷(ちまた)に溢れていますから、そういうも
のを次の機種に換えるときに、それを捨てないで全部
集めて、そこから金でもインジュームでも回収してい
くと、これは天然の資源を利用するよりもはるかに効
率的に、それを取り出すのに使うエネルギーの量も少
なくて利用できるんです。そういうことから言うと21
世紀、日本は実は資源大国だということです。次の機
種が更新されるときには、金の使用量がもっと少なく
ていいですから、結局、それを使い回しすれば、もし
かしたら天然資源から取って来なくても、今ある資源
から使い回すことによって、それを持続的に使ってい
くことができるかもしれないのです。
ただし、それだけの携帯電話を集めようとすると大
変です。例えば、中国の携帯電話、全部いらっしゃい
というふうなぐらい。先ほど申しましたように残念な
がら、中国ではそういうものが環境に捨てられていま
す。中国だけではなく、途上国ではこういう携帯電話
だとか、電化製品を処理する能力がないものですから、
それを捨ててしまい、逆に、そういう物質が有害物質
になって、環境を汚染しているという問題もあるんで
す。もちろん、将来はそういうところでも適正な処理
をする場所を作っていくということに対して、我々は
協力していかなくてはいけませんが、そういうことを
考える場合の広がりというのは、これは、東アジア全
体、あるいは東南アジアを含めたアジア全体なんです
ね。
ですから、地域循環圏というのは、リユースを勧め
るような普通の人がリサイクル市場、リサイクルバザ
ーと言いますが、あれはリサイクルではないですね。
あれはリユースなんです。リサイクルはもう1回製品に
これには、私共が込めた大事な意図がございまして、
それは何かというと、循環型社会の形成が、ただ資源
の節約だとか、資源の再利用に貢献するだけでなくて、
そのことがこれからの地域の豊かさだとか、地域の経
済的な活性化というものとうまく結びついて、これか
らの地域のエンジンに循環型社会がなっていってほし
いということなんです。
そういうことで地域循環圏というのを、いわば新し
い地域のあり方を考える1つの大きな手掛かりにしても
らいたいということです。
「地域を循環的に」と言っても、ものによってサイズ
があるわけです。例えば、農産物は今、大量に海外か
ら輸入しています。残念ながら、日本の農産物はほと
んど輸出されてないという状況の中で、日本の農業が
大きな危機を迎えているわけです。こういうものは、
できるだけ地産地消でやったほうがいいわけです。も
ちろん、アメリカの農業と比べて日本の農業というの
は、非常に効率が悪いことが大きな問題になっていま
すし、高齢化の進行なんていうのも、非常に大きな問
題になっているわけですが、しかし、こういうものも
付加価値を付けることによってアメリカの農産物には
絶対に真似のできないような良いものを作って、場合
によっては中国の消費者にこれを輸出するということ
を通して、地域づくりにしていくことを進めていけば、
農業、また林業も同じことだと思いますが、そういう
ものが地域づくりの将来の柱に成り得るんではないか。
そういう考え方が今、出てきているんです。ですから、
そういうふうな考え方、言い方換えれば、地産地消の
農林水産業の振興ということになると思いますが、そ
ういうことはできるだけ地域に狭く閉じた方がいいで
すね。
それに対して、いわゆる産業廃棄物のようなものを
地域ごとに処理していくというのは、極めて効率が悪
いですから、これはいくつかの日本の中に拠点を設け
て、そして適正に処理していくことが必要だというよ
うになると思います。最近は、ごみも焼却をしてエネ
ルギー回収をしようとすると、ある程度のマスがない
と稼働の効率が悪いものですから、できるだけ広域自
治体から集めていくというような考え方も出ています。
それから、今、話題になっているのは、21世紀、日
本は資源大国だ、という考え方があるんです。何でこ
んな資源がない国を資源大国だというんだということ
ですが、実は、地下資源には乏しいんですが、我が国
には地上に貯えられた資源がたくさんあるんです。例
えば、皆さんがお持ちの携帯電話。この携帯電話に含
まれている金の量は、例えば、南アフリカの金鉱山の
掘り出した原石に含まれている金の量よりもはるかに
高いです。ですから、これは言ってみると、私たちは、
身近な都市に鉱山を持っているようなものだ、と言え
るんですね。その考え方を「都市鉱山」と言うんです。
戻すということです。普通に皆さんがやっているリユ
ースのマーケットというのはコミュニティーベースで
す。それから地産地消の農林水産業、これは、いくつ
かの市町村が集まった範囲。それから産業廃棄物はさ
らに広域的に捉えて、日本にいくつかの拠点を設ける。
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
それから、今、申し上げました希少金属の循環的利用。
これはアジア全域というような考え方をしていくとい
うことが重要です。そのときに、これも原則ですが、
まず、国内の循環を優先する。それから汚染物質です
ね。以前、日本で使用済みの医療の廃棄物、例えば、
注射針なんかが入ったものを大量にフィリピンに輸出
して問題になりましたよね。ああいうのを、禁止する
条約があるんです。国際的に「バーゼル条約」と言い
まして、有害物質の国境を越えた移動を禁止するわけ
です。それはもうきちっとやらなきゃいけない。その
上できちっとしたルールに基づいて資源を国際的に循
環していく。これが私たちが、今、提案している「東
アジア循環型社会のビジョン」というものです。
が進んだり、農地が適正に管理されることによって、
これが自然共生社会にもなると提唱しましたら、
COP10で非常に皆さんに支持されまして、その締約国
会議の決議文の中にも、日本が推奨する里山イニシア
ティブというものを世界各国が大事な取り組みだとい
うことで、皆さんでこれを盛り立てていこうという文
面が含められたというわけです。
地域循環圏については、いくつかの循環の広がりが
あると思うんです。例えば、里山のような地域ですね。
それから、都市と農村がつながったような地域。それ
からこれも今日、表彰の中にありましたけれど、例え
ば、コンクリートをもう1回資源として使うという地域
内の動脈と静脈をうまくつなぐような地域の循環の仕
組み。もっと広域的に、例えば、北九州のように大き
な循環産業の拠点を設けて、アジアぐらいを視野にい
ろんなものを受け入れて来る。
実はPCBの処理施設を北九州が受け入れたときに、
ずいぶん市民から反対があったのを北九州市が、「北九
州という町がこれから活性化して成長していくために
は、そういうものを適正に処理できるんだ、とそうい
うことをみんなに示さなくてはいけない」ということ
で、市民の皆さんの理解も得て、そういう施設が立地
するようになったわけです。そういうものへと展開を
していくことが必要だと思っています。
ちょっと時間があまりありませんので、個々にご説
明をいたしませんけど、最近、私共、COP10で、「里山
イニシアティブ」というのを提唱いたしました。里山
の資源をうまく使うと、これはバイオマスですから、
低炭素にもなる。それから、木材、食べものを回し使
いすると循環型の社会になる。そして、森林の手入れ
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
循環は入ってないんです。循環型社会をもっと大きく
捉えていくと、言ってみると、人間活動と自然環境、
これをどうやってうまくバランスさせられるか。こう
いう問題になるんですね。循環型社会と自然共生社会
は、実は表裏一体の関係にある。この2つを一緒にこれ
からは考えていく必要がある。
おそらく、次の循環基本計画の見直しの中では、こ
ういう点が非常に大きな話題になってくると思います。
これは役所でもそうなんですが、悪いところは全部縦
割りで循環をやる、例えば、県庁でも市役所でも循理
基本計画の部局の人と、自然保護を担当する部局の人
は、宴会かなんかでは口をきいているのでしょうが、
行政の中ではほとんど口をきかない関係になってるん
ですね。それはだめなんですよ。これからは自然保護
とりわけ、開発と生物多様性の保全をどうやってい
こうか、と悩んでおられる途上国、とくにアフリカの
国々の方々が、私共の活動を非常に高く評価してくれ
て、大変ありがたいと思っております。都市と農村の
連携も大変大事です。都市の廃棄物が農村の資源にな
る。そして、農村の生産物が都市の人に消費される。
こういう顔の見える関係の中に、地産地消を推進して
いくのが大事です。それから、さらには動脈産業と静
脈産業をつなげて、地域の中で1つの産業のネットワー
クを形成する。さらに、世界に冠たるエコタウンのよ
うなものをつくって、21世紀の日本の産業はこういう
方向なんだというふうに、日本の社会全体の仕組みを
変えていく大きな起爆剤としての、この循環型社会は
使っていけるとよいと思うわけです。
をやっている人とごみをやっている人が一緒に考える
ことによって、それが良い地域づくりにつながって、
地域のビジネスにもつながっていく。こういう発想を
していかなくてはいけないんですね。
循環型社会を言い始めたときには、廃棄物の問題か
ら入ったものですから、今でも廃棄物中心の話だと思
われがちです。実は、廃棄物だけでなく、製造物と廃
棄物の関係でもあるし、地域の社会の仕組ということ
の関係でもあるし、それを支えるさまざまな主体の問
題の関係でもある。中国で循環経済と言っていますが、
この中には、実は水の循環なんかも入っています。私
どもの循環型社会の概念の中には、残念ながら、水の
つまり、自然の循環と、人間がつくったものの循環
を、どこでどう融合させていくのかを考えていく。つ
まり、循環型社会は、人間社会の循環と自然社会の循
環をつなげた大きな循環の輪を捉えていくという考え
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
こういうビジネスモデルというのは、別に彼1人がこ
ういう知恵を出せたというわけではないですから、い
ろんな人がいろんなモデルを考えていけばいいと思い
ます。
方になっていかなくてはいけないわけです。
それで「生物多様性国家戦略」という、ややおどろ
おどろしい名前の閣議決定された計画もありますが、
今まで循環基本計画をやっている人と生物多様性国家
戦略をやっている人とでは、ほとんど口をきいてない
ですね。ですから、是非この2組を同じテーブルにのせ
て一緒に議論しなさいと皆さんにお願いしようと思っ
ているところです。
最後になりますが、バイオマスを中心に、里山の問
題も、低炭素の問題も、循環型社会も自然共生社会も
地域の中で、同じことを別の側面から捉えてるんだと。
それはお互いに関係があるので、それらを全部含めて
一緒になってやっていくことが必要なんじゃないか。1
次産業、2 次産業、3次産業なんて言ってないで、これ
を6次産業化したらどうか。これは私たちの大先輩の東
大名誉教授の今村先生が提唱したんですね。彼はこう
言ってるんです。「1と2と3を足して6になる。1と2と3
をかけても6になる。今必要なのは1と2と3を足した6次
産業じゃなくて、1と2と3をかけた6次産業をつくるこ
とだ」と。
そういうようなことを循環型社会の議論の中でも、
是非、皆さん方も一緒になって考えていただけると、
日本の21世紀はいい社会になっていくんじゃないか。
そんなふうに私は思っているわけです。
以上で私の講演を終わらせていただきます。どうも、
ご清聴ありがとうございました。
そういうふうなことの結果、おもしろいことができ
るという例を申し上げたいんですが。
特定の会社を宣伝すると非常にまずいんですが、熊
野さんという人が社長をやっているアミタという会社
は、もともと3Rの会社です。苦労して3Rの会社を大き
くして、今、何をやっているかというと里山で牛を飼
っているんです。これは京丹後と那須で実験を始めて
いるんですが、何をしているかというと、今、里山を
管理する人がいません。それで里山に牛に入らせるわ
けです。牛は里山の木や草を食べるんですよ。これが
管理になるんですね。それで舎内でないですから、雪
の中でもこんなに飼われているので、ものすごい健康
なんですよ。それで、なんと、熊野さんは普通の牛乳
の7倍の金額で売ってるんです。普通は買わないと思う
でしょう。これが完売なんです。それだけクオリティ
ーがいいから。それでまたアイスクリームを作って、
それでそのアイスクリームを高い値で売る。
こういうビジネスですよね。アメリカに負けないよ
うに安いものをつくろうと言っても勝てるわけないで
すよ。そうじゃなくて、アメリカと比べものにならな
いようないいもの、みんなが高くても買ってくれるも
のを作り出していくという、そういうビジネスモデル。
これは、まさに、循環型社会と自然共生社会の融合モ
デルです。こういうことを今まで誰もやっていなかっ
たんです。彼はそれでやってみて、全然採算割れして
いないということなんです。
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
第5回3R推進全国大会記念式典及び
3R促進ポスターコンクール等について
3R活動推進フォーラム
藤本 正 事務局長 1.はじめに
循環型社会形成に向けた取り組みを推進する第5回
3R推進全国大会(主催は環境省、環境省九州地方環
境事務所、佐賀県、佐賀市、当フォーラムなどで構成
する第5回3R推進全国大会実行委員会)は、平成22年
11月2日(火)∼7日(日)、「3 Rで、いざ、佐賀
エコ刷新!」のスローガンの下、佐賀市内で開催され
ました。多くの関係者の方々にご協力いただきました
ことに対しまして厚く御礼申し上げます。
2.記念式典
大会式典
循環型社会推進功労者への表彰等を行う大会記念式
典は、11月2日(火)13:30∼16:30に佐賀市内の
「グランデはがくれ フラワーホール」で約400名が参
加して、盛大に開催されました。式典は①主催者及び
来賓挨拶②平成22年度循環型社会推進功労者等環境大
臣表彰及び平成22年度3R促進ポスターコンクール表彰
③特別講演④記念講演⑤大会宣言⑥次回開催地挨拶の
内容で行われました。
最初に主催者を代表して樋高剛環境大臣政務官、古
川康佐賀県知事、秀島敏行佐賀市長から、また来賓と
して留守茂幸佐賀県議会議長から、それぞれご挨拶を
いただきました。
循環型社会推進功労者等環境大臣表彰
受賞者の集合写真
挨拶される樋高環境大臣政務官
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
このうち、循環型社会推進功労者等環境大臣表彰は
廃棄物の発生抑制(リデュース)、再使用(リユース)、
再生利用(リサイクル)の3R推進に功績のあった個人、
企業、団体を表彰する制度です。毎年、都道府県、環
境省地方環境事務所、3R活動推進フォーラムからの推
薦を受け環境省が審査・決定し、3R推進全国大会の
席上で表彰してしていて、今年度は個人7件、企業20
件、団体9件が受賞しました。
また、平成22年度3R促進ポスターコンクールは環
境省と3R活動推進フォーラムが実施しているもので、
小学生低学年、小学生高学年、中学生の各部門で、最
優秀賞1点、優秀賞5点、佳作15点が選考され、最優
秀賞受賞者3人には大会席上で表彰状が授与されまし
た。
表彰式の後、樋高大臣政務官と受賞者全員による記
念撮影が行われました。
休憩を挟んで行われた特別講演では、当フォーラム
の武内和彦会長(東京大学大学院教授)が「3Rが拓く
地域の未来∼資源循環と自然共生を目指して」とのテ
ーマで講演、わが国の循環型社会の進行状況や第2次
循環型社会形成推進基本計画における地域循環圏など
についてお話しいただきました。
続く記念講演ではタレント 乾貴美子さんから「わ
たしのおすすめ身近なエコ」をテーマに講演していた
だきました。
この後、佐賀市立神野小学校環境委員会の皆さんに
よる大会宣言が行われ、最後に次回開催地の京都市の
坪内俊明環境政策局長からご挨拶をいただきました。
大会宣言
さが環境展テープカット
3.大会関連行事
さが環境展は11月3日(水)∼7日(日)の5日間、
佐賀インターナショナルバルーンフェスタ会場の嘉瀬
川河川敷で開催されました。
初日の3日午前8時40分から行われたオープニング
セレモニーでは、主催者を代表して、伊東哲夫環境省
廃棄物・リサイクル対策部長と古賀盛夫佐賀市副市長
が挨拶され、佐賀県警音楽隊による演奏に続いて、伊
藤部長、古賀副市長のほか、当フォーラムの武内会長
など主催団体ら11名によるテープカットが行われまし
た。
白と緑のテント張りの会場は、30団体・企業の出展
ブースとステージ、体験ゾーンなどで構成され、出展
ブースには当フォーラムも(財)廃棄物研究財団と共同し
て1小間出展しました。
ステージでは、ポップ・ロックシンガーで環境省3R
推進マイスターの白井貴子さんのミニトークショーは
じめ様々なイベントが行われ、展示会場前を行き交う
大勢のバルーンフェスタ参加者も思わず足を止め、会
場をのぞいていました。
開催期間中は好天に恵まれ、また、大勢のバルーン
(財)廃棄物研究財団・3R活動推進フォーラムブース
このあと、平成22年度循環型社会推進功労者等環境
大臣表彰と平成22年度3R促進ポスターコンクールの表
彰式が行われ、樋高大臣政務官から表彰状が授与され
ました。
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
廃棄物・リサイクル対策部長名で実施要領が通知され、
4月1日から公募を開始。9月13日に市町村において
締め切られました。全国から応募いただいた作品数は、
小学生低学年の部1,682点、小学生高学年の部4,041点、
中学生の部3,208点で、合計8,931点でした。なかでも
愛知県からは最も多くの応募をいただきました。応募
していただいた生徒の皆様、ご協力いただいた関係者
の皆様に厚く御礼申し上げます。
応募作品は絵としての出来栄え、3Rのキャッチコ
ピー、ポスターとしてのデザイン性・アピール度の観
点から厳正な審査を行い、小学生低学年(1∼3年生)の
部、小学生高学年(4∼6年生)の部、中学生の部の部門
ごとに、最優秀賞1点、優秀賞5点、佳作15点を選定
し、最優秀作品受賞者の方には第5回3R推進全国大
会式典の席上で表彰式を行いました。
また、全入賞作品について画像のパネルにより3R
推進全国大会式典会場入り口と佐賀環境展ブースで展
示いたしました。
今年度の入賞作品および応募数は、以下の通りです。
入賞作品は、今後3Rの啓発などに活用して参ります。
また、自治体などでの啓発用にもご利用いただけます。
入賞作品を見る参加者
フェスタ参加者もあって、展示会の来場者は 50,771人
(3日15,570人、4日3,198人、5日3,408人、6日
14,189人、7日14,406人)に上りました。環境展会場上
空に浮かぶバルーンも壮観で、印象に残る環境展とな
りました。
また、11月3日(水)13:00∼15:00に佐賀市内の
アバンセで中央環境審議会循環型社会計画部会地域ブ
ロックヒアリングが開催されました。地域における取
組として佐賀市 、(有)鳥栖環境開発綜合センター、N
PO法人伊万里はちがめプランから発表があり、部会
の委員および参加者による質疑応答が行われました。
これには約140人が参加しました。
5.おわりに
本大会は11月2日から7日までの6日間という長期
間であり、しかも河川敷での環境展ということもあり
天候を心配しましたが、期間中一度も雨に降られるこ
となく、盛況裡に終了することができました。
これもひとえに、3回の実行委員会と4回の実行委
員会幹事会を開催していただくなど開催の準備にあた
っていただきました環境省、九州地方環境事務所、佐
賀県、佐賀市など実行員会の方々はじめ、多くの関係
者の方々のお力添えの賜物と心から感謝申し上げます。
4.3R促進ポスターコンクール
環境省と3活動推進フォーラムでは、平成18年度か
ら小学生と中学生を対象に3R促進ポスターコンクー
ルを開催しています。
平成22年度については、4月1日付環境省大臣官房
環境展上空にバルーン
34
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
平成22年度循環型社会形成推進功労者等環境大臣表彰決定者一覧(循環型社会形成推進功労)
■3R活動優良企業
氏名 等
都道府県
功績内容
推薦事項
北海道
道栄紙業株式会社
製紙メーカーから排出される残渣物の再資源化により多目的環
境資材を製品化。
北海道
サッポロビール株式会社北海道工場
工場敷地内から排出される副産物・廃棄物の再資源化に取り組
み、再資源化100%を達成・継続している。
北海道
丸利伊丹車輛株式会社
自動車解体作業において独自の前処理工程を構築し、作業時に
排出される廃棄物のリサイクル率の向上に取り組んでいる。
岩手県
富士通セミコンダクター株式会社岩手工場
事業場から排出する廃棄物量の削減を中長期的目標を立て計画
的に進め、大幅な削減を実現。
宮城県
東日本リサイクルシステムズ株式会社
廃棄物の循環利用や適正処分の向上のための技術やシステムを
実用化して3Rの推進に貢献。
埼玉県
株式会社ガイアートT・K白岡合材工場
埼玉県内で最も歴史のある建設廃棄物再生工場として3Rを推進
するとともに、再生重油を使用しサーマルリサイクルにも寄与。
東京都
株式会社間組(ハザマ)
解体コンクリートを現場内再利用して構造物の支持地盤を造成
したり、空洞を埋めもどす技術を確立・展開。
東京都
日本国土開発株式会社
ホタテ貝殻のコンクリート用細骨材への活用(シェルコンクリー
トの実用化)。
東京都
泰和株式会社
(社)環境生活文化機構運営のユニフォームリサイクルシステムにおいて
、
製造・販売・保守管理・回収・再生品原料提供などに取り組んでいる。
東京都
日本コカ・コーラ株式会社
長野県
株式会社キタニ
あらゆる産業廃棄物のリサイクル化のため施設設備の充実と廃棄物
の適正分別による高品質の原材料化に積極的に取り組んでいる。
長野県
株式会社竹原重建
県が推進する「産業廃棄物減量化・適正処理実践協定」、
「信州リサ
イクル製品認定制度」に率先して取り組み廃棄物の再資源化に尽力。
岐阜県
揖斐川工業株式会社
廃ガラス・溶融スラグ・フライアッシュ・鉄鋼スラグのリサイ
クル事業を通し循環型社会形成に貢献。
静岡県
丸富製紙株式会社
家庭紙製造を通じた紙パックの再利用及びゼロエミッション技
術の確立により循環的利用、廃棄物削減に寄与。
京都府
ローム株式会社
廃液の分別回収による有価物化や、薬品容器のリターナブル化
等に努め、再資源化率99%以上を6年間達成している。
鳥取県
有限会社赤碕清掃
バイオマス燃料の利用推進や間伐材等を活用した木質ペレットの製造
販売を行い、
3Rを推進するとともに地球温暖化防止活動に寄与。
徳島県
株式会社大塚製薬工場鳴門工場
廃棄物の再資源化を推進し、ゼロエミッションを達成。徳島県
認定3Rモデル事業所として循環型社会形成推進に貢献。
福岡県
大石産業株式会社
古紙を原料とした「パルプモウルド」製品により、化成製品に
よる廃棄物の発生を抑制に貢献。
佐賀県
株式会社島田商会
使用済自動車リサイクル工場において部品のリユースに努め、
処理施設から発生する金属くずやプラスチックくずも素材別に
分別するなど資源の有効利用に先進的に取り組んでいる。
熊本県
前田建設工業株式会社九州支店熊本合同
庁舎作業所
JR熊本駅周辺整備事業において、工事計画段階より環境に配
慮した工事を進め、94.1%の再資源化率を達成するなど、建設
工事現場における環境負荷低減活動に取り組んでいる。
「い・ろ・は・す」天然水)520mlに国内最軽量で植物由来素材を一部使
用したPETボトルを導入、
消費者のエコ活動への参加を啓発。
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
都道府県
3R推進全国大会・地方大会
功績内容
氏名等
推薦事項
■3R活動推進功労団体
都道府県
功績内容
氏名等
神奈川県 茅ヶ崎市商店会連合会
リターナルびん、生ごみの堆肥化、マイバックづくり
を進め、商店街を中心とした循環型社会の形成を推進。
富山県 立山中央生活学校
ボランティアによるリサイクル活動をはじめ、その他
の3R活動や美化活動に取り組んでいる。長年に亘り、
石川県 七尾市緑ヶ丘町内会みどり会
廃棄物の細分別・リサイクル運動を推進、
また、
リサイクルに関する研
鑽を積むなど循環型社会形成への模範的な地域づくりに貢献。
岐阜県
特定非営利活動法人環境浄化を進める 長年に亘り、家庭から出る「生ごみ」の減量・資源化の市民啓発を行
会岐阜
い循環型社会の形成に寄与。
愛知県 東海市リサイクル運動市民の会
滋賀県 滋賀グリーン購入ネットワーク
滋賀県 ごみを減らそうプロジェクト
30年間に亘り、家庭における不用品の活用を図る市民バザーや資源
回収に先進的・継続的に取り組んでいる。
企業、行政、消費者団体等による「グリーン購入」の実践活動、普及
啓発活動などに取り組み、
「循環型社会」の構築に貢献。
家庭ごみの減量を進めるため、市民対象の出前講座の実施、
また行
政と連携したレジ袋削減に向けた仕組みづくりに取り組んでいる。
徳島県 海部郡レジ袋有料化推進実行委員会
2007年10月に「地域主導型」により郡内154店舗で県内初のレジ袋
有料化をスタートさせ、
マイバック持参率90%を維持している。
福岡県 環境学習サポーターの会
リサイクル体験などを通して、地域における環境活動への機運の醸
成を図り、
3R活動の普及を推進。
■3R活動推進功労個人
都道府県
岩手県 三浦 求
栃木県 吉成 一
埼玉県 根岸 文夫
岐阜県 松田 良明
愛知県 藤野 賢吉
鳥取県 衣川 益弘
福岡県 大坪 隆治
功績内容
氏名等
行政等関係者と協議し、
廃棄物のセメント原料としての受入処理
体制の整備や地域の再利用ごみの収集を指導・実行してきた。
廃棄物の発生抑制・減量・リサイクルなど循環型社会
構築に向けた啓発活動に貢献。
多年に亘り、
環境衛生推進委員として活躍。特に資源ごみ分
別収集を地域に根付かせ、
本庄市における3R推進に貢献。
建設廃棄物の3R推進並びに循環型社会形成に向けた啓
発活動及び組合員指導に尽力。
名古屋市のレジ袋有料化の推進を提案し、2年度で全
16区に広げる等、ごみの発生抑制に貢献。
鳥取県版環境管理システムに貢献及びグリーン購入とっとりネットを設立し、
グ
リーン購入の推進に貢献するなど循環型社会形成の推進に貢献。
(社)福岡県産業廃棄物協会役員として排出事業者や産業廃棄物処理業
者等に対し、
3Rの啓発普及活動を永きにわたり推進。
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
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3R推進全国大会・地方大会
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3R推進全国大会・地方大会
第5回3R推進全国大会での3R促進ポスターコンクール
最優秀賞の表彰式
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
3R推進北海道大会
2010について
北海道地方環境事務所環境対策課
豊村 紳一郎 課長補佐 き続き札幌市の巨大商業施設であるサッポロファクト
リーを会場としました。
毎年10月は3R推進月間であり、北海道を管轄区域
とする当事務所では、廃棄物等の適正な輸出入の促進、
あるいは不法投棄対策、家電・自動車リサイクル法等
の法の遵守に向けた取組強化を行うほか、「3R推進北
海道大会」といった3Rに関する普及啓発事業の展開
を地元の北海道や札幌市、同じ国の出先機関である北
海道経済産業局や北海道農政事務所の協力を得つつ開
催しているところです。これらの取り組みのうち、本
稿では札幌市にて開催しました「3R推進北海道大会
2010」についてその結果を報告いたします。
【3R推進北海道大会2010】
○開催日
平成22年10月17日(日)10:00∼17:00
○会場
サッポロファクトリー(ファクトリー
ルーム・アトリウム)(札幌市中央区
北2条東4)
○主催
北海道地方環境事務所
○共催・後援 経済産業省北海道経済産業局、農林水
産省北海道農政事務所、北海道、札幌
市
○協力
3R活動推進フォーラム
○内容
講演・トーク、3R体験コーナー、3
Rわくわく講座、3R推進パネル展示
コーナー
1.概要
3R推進北海道大会は、道民・事業者・行政が一体
となり、3Rやごみの適正処理などの知識や経験を交
換し、参加者一人ひとりが自らのライフスタイルを見
直す機会を提供することを通じ、循環型社会の実現に
向けた取組を推進するために開催するものです。
特に今回の大会では循環型社会の構築に不可欠な3
Rの取り組みのうち、繰り返し使うリユースに焦点を
当て、私たちにとって身近な「マイボトル・マイカッ
プ」をテーマとすることにしました。このマイボト
ル・マイカップの普及によって例えばオフィスや学校、
外出先で自分の水筒やタンブラー、カップ、湯のみな
どを飲料容器として繰り返し使う機会を増やし、使い
捨て容器の利用を減らすことによって、循環型社会形
成に貢献することが期待されます。
また、大会では、道内の事業所における廃棄物等の
発生・排出抑制の取り組みの中で、特に優秀なものを
表彰する制度である「北海道ゼロ・エミ大賞」の表彰
式が北海道により行われるなど、3R普及啓発に関す
る関係機関との連携の場としての役割も果たしました。
開会挨拶(吉井北海道地方環境事務所長)
2.開催日程・場所等
多くの一般市民が集まることや、今回のテーマで
あるマイボトル・マイカップと関連の深いコーヒーシ
ョップなどの飲食店が多くすぐに実践に移せるといっ
た理由から、前回の「3R推進北海道大会2009」に引
42
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
軌跡を苦労話や失敗談も含めて発表いただきました。
午前の締めとして、㈲ボイスオブサッポロ代表取締
役の橋本登代子さんをコーディネーターとして、講演
者、2組の事例発表者を交えたトークセッションを行
いました。トークセッションの中で、マイボトル・マ
イカップが使いやすい社会を実現するためには、ペッ
トボトルを使い捨てにすることが及ぼす影響を一人ひ
とりが知ることや、マイボトルを使ったほうが便利な
社会になるような仕組みづくりを進めるべきといった
意見がありました。
「北海道ゼロ・エミ大賞」表彰式
3.講演・トーク
道内関係者による今後の取り組みの参考や一般市民
への普及啓発を目的として、マイボトル・マイカップ
利用推進に貢献する様々な分野の方々による講演や事
例発表を実施することにしました。また、発表の後に
は、講演者・発表者の皆様を交えて、「マイボトル・マ
イカップが使いやすい社会づくり」というテーマでト
ークセッションを行い、それぞれのお立場から発言を
頂きつつ、会場も含めた意見交換を行うことにしまし
た。それぞれの詳細について以下のとおりです。
まず、基調講演として環境コンサルタント・エコラ
イフスタイルアドバイザーのペオ・エクベリさんに
「マイボトル・マイカップからはじめるエコ入門」とい
う題目で発表いただきました。自身の出身国であるス
ウェーデンの取り組みとの比較や、1か月にサッカー
ボール1個分のごみしか出さないという自身の体験談
を通じて、日本での取り組みの問題点を指摘するとと
もに、これからの可能性について時折ジョークを交え
ながら、楽しく分かりやすくお話しいただきました。
事例発表では、事業者の取り組みとしてパタゴニア
日本支社の篠さまから、「マイカップから始まった社内
の環境への取り組み」と題して、社を挙げた環境保全
への取り組みの紹介を始めとして、アウトドアスポー
ツとマイボトル、マイカップの関係や、素材を含めた
マイボトルの選び方といった自然がないと成立しない
アウトドアスポーツを専門とした会社ならではの視点
で発表いただきました。
次に、地元市民団体の取り組みとして、なかしべつ
330°開陽台マラソン実行委員会事務局の蟻戸さま、牧
野さまより「なかしべつ330°開陽台マラソンが取り組
んだマイカップ運動」と題して、給水所に散乱する紙
コップというマラソン大会でよく見られる風景を改善
するために、マイカップでの給水をランナーに呼びか
けるクリーンでエコなマラソン大会を実現するまでの
基調講演(ペオ・エクベリさん)
事例発表①(パタゴニア日本支社)
事例発表②
(なかしべつ330°開陽台マラソン実行委員会)
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
トークセッション①
事例発表④(香露茶館)
午後の事例発表としてまず、地元事業者の取り組み
として、北海道エネルギー⑭の菊池さま、竹川さまよ
り「北海道エネルギーのECOチャレンジ∼マイボト
ル・プロジェクト∼」と題して、道内にエネルギーを
供給する企業の社会貢献活動として、北海道内のガソ
リンスタンドにおいて給水機を設置して進めているマ
イボトル運動について説明いただきました。
次に地元の中国茶専門店である香露茶館の田名部さ
んより、「香露茶館の中国茶とマイボトルサービス」と
題して、容器持参者への割引サービスによるマイボト
ル・マイカップ運動について、会場へのマイボトル持
参者への中国茶提供の実演や中国でのマイボトル利用
状況の紹介を通じて、説明いただきました。
最後に、午前と同様に橋本登代子さんをコーディネ
ーターとして、講演者、2組の事例発表者を交えてト
ークセッションを行いました。セッションの中では、
道内で給水やお茶の割引サービスなどの取り組みが行
われていることを今回のイベントで初めて知った方も
多く、周知していくことが重要であるといった意見が
ありました。
トークセッション②
講演・トーク会場の様子
4.3R体験コーナーほか
ステージ上で行われた講演・トークのほか、マイボ
トル、マイカップの持参による飲食店等でのリユース
行動や、タンブラーシートやボトルケースの作成など
3Rを楽しみながら実践することを目的に、「3R体験
事例発表③(北海道エネルギー(株)
)
44
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
5.おわりに
コーナー」を設置しました。
そのほか、世論調査で厳しい結果がでるなど知名度
が高いとは言えない「3R」という言葉について知っ
ていただくため、買い物のシミュレーションを通じ3
Rの重要性を考える「買い物ゲーム」の実施や、関係
行政機関や事例発表団体等による3Rに関連したパネ
ルを展示する「3R推進パネル展示コーナー」を設置
しました。
今年も3R推進月間中に大会を無事開催すること
ができました。会場の設定に当たっては、一般市民の
目に付きやすいことや今回のテーマと関連深い施設が
多いといった理由から巨大商業施設のサッポロファク
トリーを選定したところ、講演・トークに約300名、そ
の他のイベントに約800名、また、会場内の飲食店や2,
3階のテラス部分からの視聴もあるなど、多数の方に
参加いただきました。昨年の内閣府の世論調査におい
て「3R」という言葉を聞いたことがないと回答され
た道民が40%もいるという結果もあることから、3R
という言葉に触れていただくという意味では一定の効
果があったと思います。
また、今回のテーマに沿って、講演・トークに留ま
らず、会場内の飲食店の協力のもと実際にマイボト
ル・マイカップを利用し3Rを実践する場の提供や、
タンブラーシートやボトルケースの作成体験などマイ
ボトル・マイカップを楽しく利用するきっかけとなる
取り組みを通じて、すぐに3R活動が始められるよう
趣向をこらしたところ、参加者の内訳としてお子さん
と若い親御さんが多を占めるという結果となりました。
一方で、参加者は多ければ多いほどよく、周知方法
については常に改善を図っていく必要があります。特
に参加者へのアンケートで大会に満足したとの回答が
9割を超えていたことから、足を運んでいただける機
会を増やせば、より大きな推進力をもつイベントにな
るのではないかと期待します。
また、講演・トークや参加者へのアンケートの中で、
北海道の企業や市民団体によって様々な運動が行われ
ていることを初めて知ったという意見も出ていたこと
から、今回の大会も契機として道内におけるマイボト
ル・マイカップへの取り組みをうまく周知できないか
という新たな課題が出てきました。
最後に、大会の開催運営に当たり、ご協力いただい
た関係の皆様に厚く御礼申し上げます。さらによいイ
ベントとなるよう検証・検討を重ね、今後も、道内の
状況・ニーズに応じた大会を開催していく予定でおり
ますので、関係の皆様には引き続きの連携をよろしく
お願いいたします。
なお、本大会の詳細については北海道地方環境事務
所のホームページ(http://hokkaido.env.go.jp/)に掲載
しておりますので、ご参照ください。
3R体験コーナー(買い物ゲーム)
3R推進パネル展示コーナー
3R体験コーナー(タンブラーシート制作)
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
3R推進地方大会(東北)
「もったいない・あおもり3R推進弘前大会」開催
東北地方環境事務所
草川 祐介 廃棄物・リサイクル対策課長 ◆ 主催 「3R推進弘前大会」実行委員会
(委員長) 北沢和司 青森県環境生活部環境政
策課長
(委員)
野呂和宏 弘前商工会議所常務理事兼事務局長
鶴賀茂世 特定非営利活動法人青森県消費者協
会副理事長
澁谷 亨 ひろさき環境パートナーシップ21事
務局長
猪股 豊 弘前市市民環境部環境保全課長
草川祐介 東北地方環境事務所廃棄物・リサイ
クル対策課長
◆後援 3R活動推進フォーラム、東北農政局、東北
経済産業局、東北地方整備局、東北運輸局、
生活協同組合コープあおもり、日本チェー
ンストア協会東北支部、東北百貨店協会、
(社)青森県工業会、(社)青森県産業廃棄
物協会、
(社)食品容器環境美化協会
「もったいない・あおもり3R推進弘前大会」が、平成
22年11月6日(土)、弘前市総合学習センターにおいて
開催されました。本大会は、3Rの推進に関する国民の
理解を深め、循環型社会の実現に向けた取組を推進す
ることを目的として、平成16年度から全国の各ブロッ
クで「3R推進地方大会」として開催されているもので
あり、今回は、初めて青森県弘前市において開催する
ことができました。なお、本大会は、青森県が主催す
る「もったいない・あおもり県民運動推進フォーラム」
との共催行事として開催されました。
大会当日は、抜けるような晴天で11月とは思えない
ほどの穏やかで暖かい一日であり、約600人もの来場者
にご参加いただきました。本大会の結果概要は次のと
おりです。
◆ 日程 平成22年11月6日(土) 9:30∼17:00
◆ 会場 弘前市総合学習センター(青森県弘前市)
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
◆ 内 容
◎ メインステージ
● オープニングセレモニー【9:30∼10:00】
・弘前ねぷた巡行 ∼ようこそ弘前へ∼
地域伝統の夏まつりである弘前ねぷたまつりの参
加団体が、お囃子とともに登場。特別に電球をLED
に付け替えたねぷたと共にステージを練り歩き、オ
ープニングを盛り上げました。これらのオープニン
グセレモニーの模様は、FMアップルウェーブにより、
地域に広く生中継されました。
・主催者挨拶
東北地方環境事務所長 小林 香
青森県環境政策部長 名古屋 淳
弘前市長 葛西 憲之
・テープカット
主催者によるテープカットには、こどもエコクラ
ブのメインキャラクター「エコまるくん」と青森県
産品PRキャラクターの「きめ手くん」が、駆けつけ
てくれました。
ながら、津軽弁満載で楽しく紹介していただきまし
た。
● パネルディスカッション、事例発表会【11:00∼
12:30】
テーマ「できることから始める3R」として、行政、
民間企業、NPO及び学生団体が、それぞれの立場か
ら3Rに関する取組を発表するとともに、参加者が
日々の暮らしの中ですぐに実践できる取組を提案し
ました。また、弘前城東保育園の園児たちが、「もっ
たいない」に関する寸劇を披露しました。
● 3Rトーク&スペシャルライブ(タカチャ&ソニ
ア【13:30∼14:00】
、りんご娘【16:10∼16:40】
)
・午後からは、地元青森県を中心に活躍するミュー
ジシャンのタカチャさん(八戸市出身)&ソニア
さんによる3Rトーク&ライブ、そして、青森県在
住のアイドルユニットであるりんご娘さんが3Rト
● 3Rトークショー【10:00∼11:00】 ∼鈴木正幸さ
ん(俳優)∼
テレビドラマ“金八先生”の大森巡査役で活躍さ
れた弘前出身の俳優である鈴木正幸さんが、「じょっ
ぱり人生 ふるさとが教えてくれたもの!」と題する
トークショーを行いました。故郷である弘前での幼
い頃の生活から学んだ“もったいない”が、現在の
生活の中心となっている那須での暮らしにどのよう
に活かされているか、「3R」の暮らしの工夫など身近
な3Rライフを、金八先生撮影時のエピソードを交え
47
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
・りんごを丸ごと皮まで使って作る料理2品を紹介し
ました。立ち見が出るほどたくさんの方が参加さ
れました。また、カフェでは、自然農法栽培で有
名な木村秋則さんのりんごを使った「奇跡のりん
ごかりんとう」とアップルティを振る舞いました。
ーク&ライブで盛り上げてくれました。
りんご娘さんからは、「若者が率先して、レジ袋
を断り、風呂敷をおしゃれに使いましょう、また、
マイ箸、マイボトルを持ち歩き、割箸は使わない
ようにしましょう」などの呼びかけがありました。
● エコ科学パフォーマンス【15:00∼15:45】Mr.マ
サック
・現役高校教諭のマサック先生が、乾電池の直列つ
なぎで照明点灯、スプーン曲げや透視などのエコ
と結びつけたマジックを披露しました。また、処
理場でのスチール缶とアルミ缶の分別方法や、ビ
ール瓶が改良され効率的になっているなどの社会
の3Rに対する取組を紹介されました。
● 「けの汁の振舞」
【13:00∼14:30】
・郷土食の「けの汁」が振る舞われました。本イベ
ントは、イベント自体から出るごみの量を減らす
ことを一つの目標としており、NPO法人社会資源
再生協議会から、お椀や箸をお借りすることで、
プラスチックカップや紙皿などのごみの発生抑制
を図りました。合わせて、来場者の皆様にマイ箸、
マイ食器の持参を呼びかけたところ、イベント参
加者の約4割もの方が、マイ箸、マイ食器をお持ち
いただきました。これらのけの汁の振る舞いの様
子もFMアップルウェーブの番組内で紹介されまし
た。
◎ サブ会場(視聴覚室)
● 3Rのまなびや
【13:00∼13:45】Mr.マサック「ペットボトルで3R工作」
【14:00∼14:30】りんご娘「ふろしきでマイバッグを作
ろう」
【15:30∼16:00】ソニア「みんなで3Rビンゴ」
・アトラクション出演者(Mr.マサック、りんご娘、
ソニア)が、順番に先生役となり、来場者と一緒
に3Rについて考えるワークショップを行いました。
ソニアさんからは自身の体験談を交えながら自然
の大切さなどを伝えていただきました。
(
“エコはちの3Rビンゴ”をするソニアさん)
◎ サブ会場(大会議室)での催事
● がんばってます!あおもりの3Rの仲間たち(活
動団体等展示ブース)
【10:00∼16:30】
県内の環境関連団体・事業者・学校などによる活
◎サブ会場(調理実習室)
● 福士るみ子さんの「エコクッキング」【12:30∼
13:00】
48
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
・青森県が率先して導入を進めている電気自動車の
無料試乗体験会を実施しました。
動事例をパネル展示と商品などの実物で紹介しまし
た。また、様々な廃棄物をアーティスティックな視
点で捉えた写真家・菅原一剛氏の写真パネルを展示
しました。
◆ 大会を振り返って
今年度の東北ブロックにおける3R推進地方大会は、
紅葉の美しい城東公園に隣接する弘前市総合学習セン
ターを会場として実施いたしました。大会当日は、天
候にも恵まれ、多くの方々にご参加いただくことがで
きました。
青森県は、一般廃棄物の一人一日あたり排出量が東
北六県において一番多い(平成20年度環境省調査時点)
というデータがありますが、私が、大会当日に会場を
歩いていると、来場者から「3Rに関してもっと詳しく
知りたいがどうすればよいか」という質問をいただく
など、本地域における人々の環境意識は、非常に高い
と感じました。特に、事前に呼びかけを行った大会会
場へのマイ箸・マイ食器の持参については、持参率が
予想より遙かに高い約40%に達し、嬉しい誤算となり
ました。また、私自身も、パネルディスカッションや
展示などにより、この地域で実践されている3Rに関す
る取組について学ぶことができました。
私は、本大会を企画するにあたり、青森、弘前の地
域性を生かした大会とすること、そして、参加者一人
一人が大会を楽しみながら3Rについての理解を深め、
具体的なアクションを一つでも自らのライフスタイル
に持ち帰っていただける大会とすることを心がけまし
た。来場者アンケートの結果を見ると、「本大会が、3R
に関するライフスタイルの見直しにつながったか?」
という質問に対し、「大いになった(38%)」、「少しな
った(58%)」との回答を得ており、本大会が、同地域
の循環型社会の形成に多少なりとも貢献できたのでは
ないかと考えています。
最後に、本大会の企画にあたっては、青森県、弘前
市を始めとする地域で活動されているメンバーと実行
委員会の場で協働することにより、国としての施策の
方向性、青森の地域性、そして、地元住民の思いを集
結した大会とすることができました。また、本大会を
運営していただいたFMアップルウェーブ社には、同社
の放送において、大会前から事前キャンペーンを行っ
ていただくなど、多大な御支援をいただきました。こ
の場を借りまして、関係各位に厚くお礼申し上げます。
◎ サブ会場(第2・第3・第4研修室)での主な催事
● エコキッズになあれ!(「間伐材で積木」「環境紙
芝居」「おもちゃ病院」)、エコな乗り物、自転車の
世界
・青森県産杉間伐材を使用した積木遊び空間、青森
県環境マイスターによる子ども向け環境紙芝居の
上演、弘前おもちゃ病院によるおもちゃの修理な
どが行われました。
・また、子どもたちが、自転車を漕いで発電する機
械を使った綿あめ作りに挑戦しました。
◎ サブ会場(屋外)での催事
● 電気自動車(三菱i-MiEV)無料試乗会【10:00∼
16:30】
49
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
第5回3R推進関東大会in
さいたま
関東地方環境事務所 廃棄物・リサイクル対策課
鈴木 勇
課長補佐 埼玉県国際交流協会)
(7)出展協力団体 埼玉県、秩父市、株式会社三国
コカ・コーラボトリング、NPO法人
川口市民環境会議、杉戸町くらしの
会
(8)後援 茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、
千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、
山梨県、静岡県、さいたま市、関東
農政局、関東経済産業局、関東運輸
局、関東地方整備局、3R活動推進フ
ォーラム
関東地方環境事務所では、今年度の3R推進地方大会
として、「第5回3R推進関東大会inさいたま」を平成22
年10月23日(土)∼24日(日)の2日間、さいたまスー
パーアリーナ(埼玉県さいたま市中央区)にて開催し
ました。
同日開催の各団体イベント「スーパーフェスタ」(主
催:さいたまコープ創立40周年記念事業)、「2010彩の
国 食と農林業ドリームフェスタ」(主催:彩の国食と
農林業の祭典実行委員会)、「国際フェア2010」(主催:
財団法人埼玉県国際交流協会)の3団体が例年は単独開
催していましたが、今年度は一同に集まり合同開催と
いうこととなりました。
その合同開催の中に、「スーパーフェスタ」(主催:
さいたまコープ創立40周年記念事業)と同時開催とし
て、地方大会を開催することとなりました。
その概要を報告いたします。
1.開催日程・場所等
【開催概要】
(1)行事名称 第5回3R推進関東大会inさいたま
(2)開催日程 平成22年10月23日(土)∼24日(日)
の2日間
10月23日(土) 10:00∼17:00
(入場は16:30まで)
10月24日(日) 10:00∼16:00
(入場は15:30まで)
(3)開催場所 さいたまスーパーアリーナ(埼玉県
さいたま市中央区新都心8)
(4)主催 環境省関東地方環境事務所
(5)参加 無料でどなたでも参加できます。
(6)同時開催 さいたまコープ創立40周年記念スー
パーフェスタ(主催:さいたまコー
プ)
彩の国食と農林業の祭典ドリームフ
ェスタ(主催:彩の国食と農林業の
祭典実行委員会)
国際フェア2010 (主催:財団法人
「会場の様子」
2.ステージイベント内容
ステージイベントとしては、下記のイベントを開
催しました。
(1)童謡ジャグバンド「少年山賊団」ライブ (一
日目:12月23日(土))
路上パフォーマンスを中心に幼稚園、祭り会
場、結婚式、商店街などの各種イベントで活躍
中の童謡ジャグバンド「少年山賊団」を招き、
バンジョーにバケツ、洗濯板、スプーンなど生
活用品を利用しての楽器演奏を展開。
また、ワークショップ(ブース内)において、
50
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
ある商品の製造過程においての環境負荷が少な
いものを選んで購入するなど、来場者(市民)
の方に環境問題に関わる行為として、「グリーン
コンシューマー」の存在を知っていたただき、
実践につながるきっかけづくりを目的としたゲ
ームとして「買い物ゲーム」を開催しました。
また、家庭から排出されるゴミも、分別すれ
ば資源に生まれ変わり、また、家庭に限らず国
や企業などで取り組まれている、さまざまなリ
サイクル製品を知ることができるということを
目的としたゲームとして「エコ学習わなげ」を
開催しました。
来場者(子どもたち)がゴムホースを使ったカ
ズー作りし、来場者がそのカズーを用いてジャ
グバンド演奏に参加し楽しんでいただきました。
童謡ジャグバンド演奏の様子
(2)ド リ ー ム 博 士 の エ コ ロ ジ ー マ ジ ッ ク シ ョ ー
(二日目:12月24日(日))
エコロジーマジック研究所の中で、どうした
ら世界中のみんなに楽しく環境問題を理解して
もらえるかを研究している方を招き、爆笑マジ
ックを絡めて未来を担う子ども達に環境を守る
事の大切さ、生命の尊さをわかりやすく来場者
に伝えるという展開で実施しました。
また、ワークショップにおいて、使わなくな
ったトランプによるマジック教室を行いました。
買い物ゲームの様子
エコ学習わなげの様子
(2)ワークショップ 1)カズー作り (12/23(土))
○ 来場者がゴムホースを使った手作り楽器
「 カ ズ ー 」 作 り を し ま し た 。 作 成
後、ジャグバンド演奏に参加していただきま
した。子供達は大変喜び、楽しんでいただき
ました。
2)マジック教室 (12/24日(日))
○ 使わなくなったトランプなどを用いてのマ
エコロジーマジックショーの様子
3.ブースイベント内容
ブースイベントとしては、下記のイベントを開催
しました。
(1)学習ゲーム
CO2削減等、様々な環境への取組において、家
庭での取組の重要性が叫ばれております。日常
生活の中で、ごみが出にくい商品を買ったり、
51
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
と折り紙などでカードケースづくりなどを体
験していただきました。
切って貼るだけの簡単な工作であるので、
多くの子供達が気軽に参加でき、楽しんでい
ただきました。
ジック教室を行い、ドリーム博士からマジッ
クの手ほどきをしていただき、家庭で楽しめ
るマジックを楽しんでいただきました。
3)協力団体による工作教室 (12/23(土)・
24日(日))
○ NPO法人「川口市民環境会議」による「マ
イ箸プロジェクト」の話を織り交ぜながら、
好きな布切れを使った「箸袋」づくりを行い
ました。
また、使用済みのロウソクをIHヒーターで
温め溶かし、アロマオイルやクレヨンなどを
入れてオリジナルキャンドルづくりを体験し、
出来上がったキャンドルを持ち帰っていただ
きました。なお、アロマオイルは(社)日本
アロマ環境協会より提供いただいた9種類から
気に入った香りのものを選んで使っていただ
きました。
○ 市民団体の「杉戸町暮らしの会」による牛
乳パックや荷造り紐を使った工作を行いまし
た。
牛乳パックや荷造り紐に自分の好きな柄の
布を貼って作る小物入れ、また、牛乳パック
牛乳パック小物入れづくりの様子
エコキャンドルづくりの様子
(3)展示について (12/23(土)・24日(日))
1)環境省関東地方環境事務所の紹介及び3R解説
○ ブース入口にモニター(2台)設置して、一
台では関東地方環境事務所の各課の仕事を紹
介するパワーポイントを放映、もう一台では
「3R」についての基礎的な解説を放映し、来場
者に参考にしていただきました。
2)自治体・企業・市民団体の取組紹介
○ 埼玉県(環境部資源循環推進課)の取組と
して「みんなでマイボトル運動」、「彩の国資
源循環工場」などについてパネル紹介とリサ
イクル施設で生産された製品が展示して、紹
介していただきました。
○ 秩父市(環境部環境立市推進課)の取組紹
介として「バイオマスタウン構想」、「廃食油
回収とリサイクル」等について、全体的な解
カズーづくりの様子
マジック教室の様子
52
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
カ所のうち)の1カ所として、スタンプを設置
しました。
2)大抽選会の景品として、「落ち紙メモ帳」を提
供しました。いままで印刷現場で廃棄されてい
た規格寸法外の印刷物を扱った場合に発生する
余白を集めて加工したメモ帳です。
4.アンケート結果
アンケート回答者数は、765枚(10月23日:365枚、
10月24日:400枚)で大勢の方にご協力いただきまし
た。
(1)「あなたは3R(スリーアール)という言葉や意
味をご存じでしたか?」の問いに対して、回答
者数740人中「言葉も意味も知っていた」が34.
7%、「言葉だけは知っていた」が27.4%、「ま
ったく知らなかった」が23.1%、「聞いたこと
はあった」が14.7%という結果でした。
また、「このイベントに参加されて、3Rに対す
る理解・興味が深まりましたか」に対して、回
答者数706人中「はい」が81.9%、「いいえ」が
1.3%、「どちらともいえない」が16.9%とい
う結果でした。
今まで「3R」用語等を知らなかった方々も、
今大会に来場されて知識を得て頂いた事と思い
ます。
(2)ブース内における体験コーナー等についても、
大勢の方が「楽しかった」というご意見をいた
だきました。
全体的なコメントとして、「とてもためになる
事が多かった」、「子供もよく考える機会となっ
た」、「心がけようと思った」、「再確認できるの
で時々やってほしい」などの意見を頂きました。
説とそれを目指す秩父市の取組について紹介
していただきました。
○ 企業取組として、三国コカ・コーラボトリ
ング株式会社の協力による「サティナブルパ
ッケージの紹介」、「容器リサイクルについて
の解説」等についての紹介していただきまし
た。
○ NPO法人川口市民環境会議の展示紹介とし
ては、「純川口産のマイ箸」「エコキャンドル」
「エコライフDAY」などのプロジェクト紹介を
していただきました。
○ 市民団体の杉戸町くらしの会の展示紹介は、
廃材を使った便利グッズ、アクリルたわし、
廃油せっけんなど会員の手作り品の紹介をし
ていただきました。
また、「牛乳パックを使った小物入れの作り
方」について、携帯サイトに公開し、QRコー
ドを使ってサイトの紹介を行いました。この
ことにより、来場者が自宅でアクセスしたレ
シピを見ながら作成することができるという
工夫をしました。
5.まとめ
同時開催イベントの会場となった「さいたまスーパ
ーアリーナ」は、最寄駅が近いというアクセスに便利
で立地条件がよいところで、隣接する「けやきひろば」
も含め広範囲な規模で展開し、幅広い客層を招くこと
ができました。
関東大会のブースには、約2,000名の方々に立ち寄っ
ていただき、日頃からの3Rの推進に関心を寄せている
方々のみならず、3Rについて十分な理解を持っていな
かった方々にも、多くのコンテンツにも積極的に参加
していただいたことは、普及啓発効果を相乗的に高め
るものであったと考えます。
最後に、今大会の開催運営に当たり、ご尽力ご協力
を頂きました関係の皆様に厚く御礼を申し上げます。
来年度の大会についてもよりよいイベントとなるよう
に検討を重ねて実施する所存であり、関係の皆様には
引き続き、ご尽力とご協力をお願い申し上げます。
タイトル:パネル展示の様子
(4)クイズラリー及びアンケート 1)クイズラリーについては、ブース内に事務所及
び協力団体からの問題を出題(計6問)してい
ただき、来場者にチャレンジしていただいた。
また、併せてアンケートの協力をお願いし、回
答していただいた。
プチプレゼントとして、「バガス」ティッシ
ュを進呈しました。
※バガス・・・サトウキビを絞った絞り滓
(5)同時開催イベント
1)同時開催イベントの共同大抽選会(スタンプラ
リー)に係るチェックポイントの設置場所(3
53
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
3R推進中部地方大会
中部地方環境事務所 廃棄物・リサイクル対策課
梅村 賢一郎 課長補佐 中部地方環境事務所は、廃棄物の発生抑制(Reduce)
、
再使用(Reuse)、再生利用(Recycle)という「3R」の
取組を通じて、循環型社会の構築を推進するために、
毎年10月の3R推進月間を中心に3R推進中部地方大会を
開催しています。
本大会は、当事務所の管轄区域である富山、石川、
福井、長野、岐阜、愛知及び三重の7県において、平成
18年度から毎年1∼2か所で順次開催しており、今年度
は岐阜県(岐阜市)内で10月2日(土)及び3日(日)
の2日間にわたり、3Rに関するステージイベント等やリ
ユースカップ使用の普及啓発を実施しました。
これらイベントを見て(あるいは参加して)いただ
いた方が、これを機により一層3Rを理解し、継続的に
取組を実践していただくことを願います。
ック」付属の「3Rサイコロ」の各面(6面)にそれぞれ
3Rに関する内容が記載されていることから、そのサイ
コロを選手に振ってもらい出た目(内容)に基づいて
○ショッピングセンターにおけるステージ
イベント及び展示(10月2日(土)
)
3Rの実践や3Rの大切さについてトークをしていただき、
来場者はその話に聞き入っていました。
なお、トークの後、お招きしたFC岐阜の2選手による
サイン会も行いました。3Rを啓発するためのグッズを
配布し、それにサインをしていただきました。FC岐阜
のファンの方もおられて、多くの方が参加されました。
また、午前と午後にそれぞれ、えこキャラのステー
ジイベントを行いました。中部地方の各地から参加し
ていただいたえこキャラは次のとおりで、一時は会場
が来場者であふれるくらいになり、多くの方に楽みな
がら3Rについて学んでいただけたと思います。
小林由紀子さんによるステージイベント
10月2日(土)においては、岐阜県岐阜市内の大型シ
ョッピングセンターであるマーサ21内のイベント用ス
ペース(マーサスクエア)において、3Rに関するステ
ージイベントや岐阜県内で3Rに取り組んでいる団体等
による出展を行いました。
<3Rに関するステージイベント>
ステージイベントでは、環境省が3R推進マイスター
として委嘱している小林由紀子さんと「えこキャラ」
(下記注1参照)にそれぞれステージイベントを行って
いただきました。
このうち小林由紀子さんによるステージイベントで
は、まず「まなびあいブック」(下記注2参照)の内容
の説明やクイズが行われました。来場者の様子を見な
がら分かりやすく説明されたことやクイズにより関心
を引いて行われたことにより、来場者に3Rについてよ
り理解を深めていただいたと思います。
次に、Jリーグ2部のFC岐阜の山内選手と橋本選手を
お招きして、小林由紀子さんと両選手とで3Rに関する
トークショーを行っていただきました。「まなびあいブ
〔参加していただいたえこキャラ〕
(午前)
・ ECO戦隊ゴミ0レンジャー
・ シャチのジュンちゃん
・ ゼロ吉
(午後)
・ 環境戦隊サルビアン
・ もっかいくん
・ リサイクル戦隊ワケルンジャー
54
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
○ プロサッカーチームとのタイアップイベ
ント(10月3日(日)
)
10月3日(日)に長良川球技メドウで行われたJリー
グ2部FC岐阜対徳島ヴォルティスの試合において、「3R
推進キャンペーンマッチ」として、来場者にリユース
カップの配布等を行いました。このリユースカップは、
同競技場の屋台で飲み物を提供する際に従来使われて
いた使い捨て容器(使用後ごみとなるもの)を減らす
ために配布したものです。
リユースカップの配布に当たり、試合開始の1時間前
に中部地方環境事務所からFC岐阜へのリユースカップ
の贈呈式を行いました。
当日は、2,500人近くの来場者があり、競技場の入り
口において入場の際にリユースカップを配布しました。
併せて、3Rの説明やリユースカップ使用を呼びかける
内容を記載したクリアファイルを一緒に配ることによ
り、3Rの啓発やリユースカップ使用への協力を求めま
した。
リユースカップの配布には、FC岐阜の橋本選手にも
ご協力いただき、多くの来場者に早速リユースカップ
を使用していただきました。
このほか、場内アナウンス等により3Rの啓発やリユ
ースカップ使用への協力の呼びかけを行いました。
本大会開催を機会に、FC岐阜は「マイボトル・マイ
カップキャンペーン」に参加するとともに、本大会以
後に同競技場で行われる試合においても、飲み物を提
供する屋台でこのリユースカップを利用できることと
なりました。また、FC岐阜のホームページ等でも継続
して3Rの啓発をしていただけることになりました。
まなびあいブック
(注)1 中部地方環境事務所では、管内7県において
環境問題に取り組むことの大切さを訴えるこ
とや環境に関する情報を親しみやすく分かり
やすく伝えることなどに活躍しているキャラ
クターを「えこキャラ」と命名して、その活
動内容等をハンドブック等により紹介してい
ます。
2 「まなびあいブック」とは、子どもから大人
まで幅広い層を対象とし、3Rの普及啓発活動に
利用いただくことを想定して環境省が作成した
小冊子です。子どもがクイズ、ゲームなどで遊
びながら学べるように「えこはちとためちゃう
すごろく」
、買い物ゲームなども入っています。
<3Rに係る取組内容の展示>
ステージイベント開催と同時に会場内において、岐
阜県内で3Rに取り組んでいる次の6団体と中部地方環境
事務所がそれぞれ取組内容等に係る展示を行いました。
また、上記ステージイベントの合間に、ステージ上
で各団体の活動内容などのPRを行っていただく時間を
設けました。
来場者に取組内容等の説明やPRを行っていただくこ
とにより、来場者に取組内容を知っていただき、また
3Rの大切さを理解していただけたと思います。
〔出展団体(順不同)
〕
・ 大垣市環境市民会議
・ 岐阜県立恵那農業高等学校
・ グリーンライフ21・プロジェクト
・ NPO法人 仕事工房ポポロ
・ 西濃環境NPOネットワーク
・ NPO法人 MY
リユースカップ
クリアファイル
展示ブース
55
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
3R推進近畿ブロック大会
の開催結果について
近畿地方環境事務所廃棄物・リサイクル対策課
く来年度以降も引き続いて、地域全体で循環型社会の
実現に向けた取組みを進めていくためのシンボルとし
てロゴマークを作成しました。
今後、このマークが地域に認知されるよう具体的な
取組みを進めていきたいと考えています。
近畿地方環境事務所では、持続可能な社会の実現を
目指し、循環型社会の形成の推進を図ることを目的と
して、毎年度「3R推進近畿ブロック大会」を開催し
ています。
当事務所では、昨年度からブロック大会を、それま
での域内の自治体等主催の環境イベントとの同時開催
という形ではなく、「環境」をテーマとしていない場面
で、広く一般に対して、「3R」への関心喚起と実践体
験できる場を提供する大会としています。ひとりでも
多くの人の普段の生活の中で、実践行動に結びつく
「きっかけ」を提案し、結果として「習慣化」されるこ
とより、ひとりひとりのライフスタイルの転換が循環
型社会の実現に向けたものとなるような取組と位置付
けています。
この流れを受けて、本年度はそれを継続発展させた
形として、2府4県他の後援をいただいた上で近畿地
域全体での取組とし、関西で人気ラジオ局の一つであ
る「FM802」と全面的にタイアップした「LIVE 3
R(リヴ スリーアール)!キャンペーン」(以下、
「キャンペーン」という。)と銘打った啓発キャンペー
ンを期間中(23年2月末日まで)展開し、その中で
様々な取組を行い、「循環型社会の実現に向けた3Rの
取組」が身近なものとなるような仕組みやツールを提
案できるよう進めてきました。
さらに、域内で既に循環型社会の実現に向けた取組
を実践しているグループ等と連携し、その取組が一層
拡がるよう支援することとしました。
また、この取組が一過性に終わることの無いよう、
本年度の取組で得られたノウハウや街の声などが次年
度以降の取組にも反映できるようにしたいと考えてい
ます。
<ロゴのコンセプト>
「LIVE」の読み方は、「ライブ」ではなく、「リヴ」。
「LIVE」には、思想などを生活の中に示す、実践す
るという意味があります。使い捨て社会から一歩
先の循環型社会へ進むために「3Rの大切さを理
解するだけでなく生活の中で実践する。」そんな思
いがこめられています。
○専用ウェブサイトの開設
より多くの人に、キャンペーンの趣旨や様々な関連
情報をいち早く提供していくためにオリジナルの専用
ウェブサイトを開設(大会期間中)しました。
<専用ウェブサイト(http://www.live3r.jp/index.html)>
ここでは、3Rについて背景や意味、具体的な実践
行動をピクトグラムを使って分かりやすく説明してい
ます。またアンケートを実施し、3Rの実践行動を取
る動機付けを行いました。また、関連情報のコーナー
具体的な取組の概要は次のとおりです。
○ロゴマークの作成
このキャンペーンをきっかけとして、本年だけでな
56
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
<3Rの実践をイメージさせるピクトグラム>
「FM802」の番組内において、キャンペーンの実
施概要や3R推進の重要性等を、DJに生の声でわ
かりやすく読み上げてもらうことで、スポットCM
とは違う説得力のある告知を行いました。(10月14日
から毎週木曜日の夕方、60秒を6回放送)
リスナーにとっては日頃から聞き慣れたDJから
の直接の呼びかけであることから、改めて「3R」
を意識する良いきっかけとなったようです。
では、他の地方環境事務所の3R推進ブロック大会の
概要を紹介させていただくとともに、後援いただいた
自治体が主催するイベントやキャンペーンも紹介して
います。
なお、後援をいただいた自治体のウェブサイトから
リンクを貼っていただき、自治体のサイト訪問者にも
キャンペーンを周知することができました。
さらに、ここに掲載された情報のうち有益と思われ
るものについては、大会終了後も「FM802」もしくは
当事務所のウェブサイトで引き続き掲載し、利用者の
利便性を確保していきたいと考えています。
【FM802 パブリシティ一例】
「3R」(スリーアール)という言葉をご存知で
すか?
[リデュース]ごみをださない。
[リユース]使えるものは繰り返し使う。
[リサイクル]ごみを資源として再生利用する。
この[リデュース][リユース][リサイクル]
の頭文字である
3つの「R」を総称して「3R」といいます。
持続可能な社会づくりに求められる、循環型社
会を実現するためのキーワード です。
環境省 近畿地方環境事務所は、
「3R」の実践を呼びかけるキャンペーン
『 LIVE 3R!』(リブ スリーアール)を展開
しています。
「L」
「I」
「V」
「E」
、ライブと書いてリブ、
この言葉には、思想などを生活の中に示す、実
践するという意味があります。
使い捨ての社会から一歩先の循環型社会へ進む
○「FM802」とのタイアップ
関西エリアのラジオ局で人気 1(FM局全体の中
での聴取率シェアは65%、ラジオ局全体で50%。エリ
ア内16∼34歳のうち一週間の聴取人口は推定約157万
人)を誇る「FM802」とタイアップし、様々な手法を
活用したキャンペーンの普及啓発は、特に若いリスナ
ーを中心として高い効果を上げることができました。
ア メルマガを活用した告知
「FM802」のインターネット会員組織「WEB
MATE plus」会員向けに毎週発信される、最新プレ
ミアム情報を掲載したメールマガジンに本キャンペ
ーンの概要の告知を行い、専用ウェブサイトへの誘
引を図りました。(会員は約20万人)
イ 番組内パブリシティを活用した告知
57
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
M802」の公式ウェブサイト内にある「エコ考え中」
の中でキャンペーンに関連した情報を掲載しました。
http://funky802.com/eco/blog.php?p=969&offset=1
オ 主催イベント「MINAMI WHEEL 2010」(※)と
タイアップし実践体験できる場を提供
※「MINAMI WHEEL 2010」とは、11月12、13、
14日の3日間、大阪ミナミのライブハウス会場
で開催された日本最大級のライブ・ショーケー
ス・フェスティバルで、近畿一円から多くの人
が集まるイベントで2010年で11回目。
ために、
「3R」の大切さを理解するだけでなく、生活
の中で実践する・・・
そんな思いが込められています。
『 LIVE 3R!』
(リブ スリーアール)
近畿2府4県では、この他にも、
各地で様々な「3R」活動が繰り広げられてい
ます。
詳しくは、ホームページ www.live3r.jp をご覧
ください。
(ア)公式メディアを活用したキャンペーン周知活動
イベント参加者の多くがチェックする「MINAMI
WHEEL 2010」の公式サイトに専用ウェブサイトへ
のリンクバナーの設置及びチケット購入者に配付さ
れる公式パンフレットにキャンペーンクレジットを
掲載しキャンペーンの周知を図りました。
( http://minamiwheel.jp/index_f.html )
ウ 毎月のタイムテーブルへの掲載による告知
「FM802」が発行する毎月のタイムテーブル内に
期間中キャンペーンのクレジットを掲載しました。
(発行部数:1号あたり10万部)
(表)
(裏)
エ 公式ウェブサイト内の「エコ考え中」での関連
情報を発信
「FM802」番組DJ、スタッフ、社員たちが結成
した「エコ考えチーム」の取組を紹介している「F
<「MINAMI WHEEL 2010」の公式ウェブサイト>
(イ) リユースカップ導入による実践体験の提供
<「FM802」のスタッフとのエコ会議の様子>
<公式パンフ>
58
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
会場となるライブハウス全21店舗でのドリンク販
売の際にリユースカップを導入、若者をはじめ多く
の来場者に実際に使ってもらうことで、リユースカ
ップの認知度をアップさせるとともに、実践行動を
体験してもらうことで、その意義の理解浸透を図り
ました。
<エコトーンのリユースカップ(左)と
オリジナルデザインのカップ(右)
<本部テント>
<店内でお客さんへの告知>
☆ 取組に賛同してリユースカップを導入したライ
ブハウスの店の声
…エコ考え中HP
(http://funky802.com/eco/blog.php?p=969&offset=0)より引用
「初めてなので、ちゃんとカップを戻してもら
えるか不安でした。でも、スタッフの呼びかけも
ありますが、お客さんが趣旨を理解して、返却し
ようという意識が高かったです。今後、機会があ
れば導入してみたいですね。
」
−リユースカップを使うことで「使い捨てをしな
い」…たったこれだけのことですが、とっても大
事なことです。
今回、「リユースカップを使う意味」をあらため
て考えるいい機会になりました。
−こんな感じで、自然にあちこちで取組が拡がれ
ばいいですね
見かけ、少しコワモテのお兄さん方やファンキ
ーなお姉さん方が、何気なくリユースカップでド
リンクを”グイッ”
。
(何か、かっこいい)
<アンケート受付の様子>
<ライブ会場のステージ幕>
なお、リユースカップの導入に当たっては、域内に
おける活動団体の支援のひとつとして、「特定非営利活
動法人地域環境デザイン研究所ecotone 」の「リユース
食器レンタル」を活用するとともに、当事務所オリジ
ナルデザインのリユースカップを製作し、合わせて導
<店の人とリユースカップ>
59
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
入しました。
オリジナルデザインのリユースカップは、「MINAMI
WHEEL 2010」終了後も多数のライブハウス店舗にお
いて現在も継続利用されています。
(ウ)アンケートの実施による3R実践への動機づけ
<バスの車内(□の部分が
画面)>
<放映された画像>
カムービー」で、3Rの実践活動の推進を呼びかける
PRムービーを放映して、バス利用者にPR(放映期
間:11月1日∼12月31日)を行いました。
○イベント参加(ブース展示)によるキャンペーン活動
近畿経済産業局と連携し、11月16・17日の両日、神
戸国際会議場(住所:兵庫県神戸市中央区港島中町69-1)で開催された「第54回生活と環境全国大会」(主
催:財団法人日本環境衛生センター)の「生活と環境
展示会」にブース出展し、パネル、パンフレット等の
展示を通じて3Rの普及啓発を行いました。
3Rに対する関心度の把握や具体的な実践事例を
収集し、今後の取組に活かすことを目的として、「3
Rアンケートを実施しました。
より多くの人たちにアンケートに参加していただ
くために、回答していただいた方の中から抽選で景
品が当たるプレゼント企画を実施するとともに、
「MINAMI WHEEL 2010」来場者に加えて、ウェブ、
携帯電話からも回答できるようにしました。
(結果は、現在集計中。
)
○活動団体の支援
もう一つの活動団体の支援として、「3R・低炭素社
会検定実行員会」(代表:高月紘石川県立大学教授、京
都大学名誉教授)が主催する「3R・低炭素社会検定」
をサポートしました。
昨今の検定ブームの波に乗って、受験動機を創出し
受験者の増加につなげていくための取組として、具体
<出展ブースの様子>
○まとめ
本年度の取組が、現時点では進行中のため、成果の
総括は出来ませんが、個々には、うまくいった点、そ
うでなかった点があり、特に「リユースカップ」につ
いても本格的な継続導入には、いくつかの課題がある
ことも取組を通じて浮き彫りになりました。
しかしながら、循環型社会形成のための3Rの推進
は、「リユースカップ」の導入といった具体的な行動の
継続的実践が必要不可欠です。
このため、今後、事務所が主体となる取組の他に、
地域のトップランナーたる団体等の取組を支援すると
ともに、それに続く取組団体等の掘り起こし、それら
に対する支援の拡大を図り、地域全体の幅広い取組に
発展させる事が重要と考えています。
的には、「MINAMI WHEEL 2010」のチケット購入者
に「3R・低炭素社会検定」の受験者募集のチラシを
配付し、「3R・低炭素社会検定」の認知度をアップさ
せました。また検定当日(H23.1.9)の運営サポート
を行いました。
さらに、サイドイベントとして、具体的に取り組ん
だ概要は次のとおりです。
○公共交通機関を活用したキャンペーン活動
事務所管轄区域内を走行エリアとする阪急バスの千
里及び豊中営業所管轄路線(豊中市、吹田市、茨木市
内)のうち「千里中央」を中心に運行しているバス100
台において、バス車載式デジタルサイネージ「バスナ
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
3R推進中国地方大会について
中国四国地方環境事務所 廃棄物・リサイクル対策課
井上 昭男
課長補佐 自らのライフスタイルを見直す機会を通じ、ごみの
減量化、リユース、リサイクルなど「3R」の推進はも
とより地球温暖化やエネルギーなどの地球環境を考え
た、安全、安心なライフスタイルに関する理解を深め、
持続可能な社会の実現を目指し、循環型社会の形成を
図る取組を推進することを目的とし、「3R推進中国地方
大会(以下「大会」という。
)を開催しました。
ショー、来場者参加型のクイズ大会や地元鳥取県内で
活躍されている各団体等の取組を紹介しました。概要
は以下のとおりです。
【開催概要(開催日程・場所等)
】
本年度における本大会については、「地方公共団体と
の共催型」の2企画と「地方環境事務所参加型」の2企
画を実施しました。
鳥取県(山陰エリア)との共催事業をメイン企画と
し、倉敷市(瀬戸内エリア)との共催事業、管内の企
業及びNPOが企画するイベントへの参加型をそれぞれ
サブ企画とし4企画を実施しました。
愛と勇気のエコレンジャーショー
・オープニングは、地元の米子市立東山中学校の吹奏
楽部の生徒さんたちによる演奏でオープニングを華や
かに飾っていただき、楽しい一時を提供していただき
ました。
Ⅰ 鳥取県との共催事業(メイン企画)
○開催日程:平成22年10月24日(日)
○開催場所:どらドラパーク米子東山補助グランド
○内 容:ステージイベント、体験ゾーン、憩い
のゾーン
・テレビでおなじみの人気タレント「野々村 真さん」
の「エコトーク∼3Rしてますか?∼」と題したトーク
ショーや「野々村 真さん」から出題する3Rに関する
クイズ大会等、来場者に対し、「3R」について、楽しく
知っていただく機会を提供しました。
1.ステージイベント
ステージイベントとしては、人気タレントのトーク
・地元鳥取県八頭町の役場職員による「愛と勇気のエ
コレンジャーショー」では、ごみの分別等、身近な環
境問題を分かりやすく紹介していただきました。(内
容:地球の環境を脅かす「ダストクイーンとゴミゴミ
怪人」がステージ上で、分別されたごみを散らかす。
そこへ「愛と勇気のエコレンジャー(正義の味方)」が
登場。対決後、ごみを分別された状態に戻す・・・。
)
2.体験ゾーン
体験ゾーンでは、PETボトルリサイクル体験車を配
米子市立東山中学校吹奏楽部による演奏
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
2.3R推進コーナー
し、来場者に対し、体験ゲームを通じた実演形式によ
るPETボトルのリサイクル工程を学んでいただきまし
た。
3R推進コーナーでは、来場者に対し、3Rに関するク
ロスワードクイズを出題、正解者には、当事務所オリ
ジナルエコバックを進呈。家族連れの方を中心にクイ
ズを通して、3Rについての周知を図りました。
Ⅱ 倉敷市との共催事業(サブ企画)
○開催日程:平成22年10月10日(日)
○開催場所:倉敷市児島リサイクル推進センター多
目的広場等
○内 容:ステージイベント、3R推進コーナー
Ⅲ RSK夢フェスタinコンベックス岡山2010への参加
(サブ企画)
○開催日程:平成22年11月13日(土)∼14日(日)
○開催場所:コンベックス岡山
○内 容:山陽放送(株)が主催した「RSK夢フ
ェスタ2010inコンベックス岡山」に参加。
「すてきに変身!エコふろしき教室」と
題し、来場者に対して、ふろしきやバ
ンダナ等を使った色々な包み方教室を
実施。3Rについての普及啓発活動を行
いました。
1.ステージイベント
ステージイベントでは、3Rを題材としたキャラクタ
ーショーや来場者参加型のクイズ大会など、楽しく、
知り、学び、体験する場を提供しました。概要は以下
のとおりです。
ウルトラマンダイナ等との写真撮影会
・「ウルトラヒーローと3Rを学ぼう!」と題し、人気
キャラクター「ウルトラマンダイナ」と「怪獣カネゴ
ン」たちと、親子連れの方を中心に、ごみの分別ゲー
ムや写真撮影会に参加いただきました。
ふろしき教室の様子①
ふろしき教室の様子②
Ⅳ エコまつり“環ッハッハinよしじま2010”への参
加(サブ企画)
○開催日程:平成22年10月10日(日)
○開催場所:広島市環境局中工場
○内 容:エコまつり“環ッハッハinよしじま”実
行委員会が主催した「エコまつり“環
ッハッハinよしじま2010”」に参加。ご
みの減量化・リユース・リサイクルな
3R推進クイズ大会の様子
・3Rクイズ大会では、3R、地球温暖化、生物多様性
について出題、参加者は子供たちが中心でしたが、子
供たちは、ステージ前のお父さんやお母さんたちに答
えを聞きながら、回答するという姿が見られ、家族一
緒に参加いただける企画となりました。
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
ど「3R」に関する理解を深めるための
さまざまなワークショップ等を実施し、
3Rについての普及啓発活動を行いまし
た。
相乗効果(幅広い視野による企画の充実等)を期待し、
開催しました。
メイン企画となった鳥取県(米子市)での開催は、
山陰エリアでの開催としては3年振りの開催となりまし
た。当日は、家族連れでご来場いただく方たちが多く、
3Rに関し、楽しく、知り、学び、体験していただけた
のではないでしょうか。ただ、天候はあいにくの雨模
様。屋外イベントの難しさをあらためて感じた次第で
す。
また、サブ企画(倉敷市との共催事業、管内の企業
及びNPOが企画するイベントへの参加)については、
それぞれの地域で定着したイベントであり、多くの来
場者に恵まれ、好天のもと、自然豊かな地域の特色を
活かした各プログラムは、人にも地球にも優しい暮ら
しについて、考えていただくきっかけとなったのでは
ないでしょうか。
最後に、本大会の開催に共催していただきました
鳥取県、倉敷市の皆様、また、ご協力いただきました
関係各位の皆様に厚くお礼申し上げます。
展示テントの様子
Ⅴ 大会を振り返って・・・
本大会は、地方公共団体等と共催することで多くの
会場全体の様子
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
3R推進四国地方大会について
中国四国地方環境事務所 高松事務所
闍山 敏文
課長補佐 して、中心商店街として朝から人の往来が多く、活
気にあふれた場所となっています。
高松事務所は、四国4県(徳島、香川、愛媛、高知)
を管轄区域としております。これまで、3R推進地方大
会については、中国四国地方環境事務所と高松事務所
がメインとザブイベントを交互に開催していましたが、
今年度から個別に開催することとなりました。
2.ステージイベント
(1)「にこにこ楽団」による3Rコンサート
にこにこ楽団は、レジ袋、空き缶、ホウキ、ト
イレットペーパーの芯、空き容器・・・等々、身
の回りにある廃品を使って楽器を作り、音楽を奏
でます。
リサイクルは、再生工場で別の製品に作り変え
ることだけではありません。 家庭のゴミを努力
して出さないようにすることが大事です。ゴミを
出さない工夫を子供達に易しく理解してもらう方
法として、手作り楽器音楽会を実施しました。
1.開催概要(開催日程・場所等)
3R推進四国地方大会については、2010年10月23日
(土) ∼24日(日)の2日間で、高知県の有名な観光
の名所である「ひろめ市場」(よさこい広場)で開催
しました。
「ひろめ市場」は、高知市の中心街に位置し、シ
ステムは、屋台村の集合型で、食器の共同管理など
環境面にも力を入れており、観光客にも地元の人に
も支持されています。 また、高知城や日曜市と連携
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
来場者全員がお互い知らない人と手をつなぎ、
歌のリズムに合わせて踊り、会場は大盛り上がり
となりました。このコンサートを通じて、物に対
する接し方が変わってくるはずです。
アンケートには「恥ずかしかったけど、楽しか
った」との感想がありました。
(2)
「ブルーフェニックス」コンサート
ブルーフェニックスは、伝説の水晶の楽器「ク
リスタルボウル」を奏で、地球や環境(自然)を
テーマにした、心を動かすメッセージソングと心
を癒す美しいダンスで、人の心を明るい未来に導
くヒーリングエンターティナーです。
(2)3R体験講座
地元環境NPOの協力で、廃木材を使ったペンダン
ト作りが体験できる講座を開き、子供から大人まで
様々な年齢層の来場者が3Rについて、楽しく学べる
イベントを用意しました。
好きな絵を自分で書いて、紐を通せば、世界に一
つだけのオリジナルペンダントの出来上がりです。
クリスタルボウルから発せられる不思議な癒しの音、
地球や自然に感謝の気持ちを込めたメッセージソング、
天性の才能と独自の感性を生かした創作ダンスの世界
に来場者は見入っていました。
(3)環境省ブース 会場の一画に当事務所独自のブースを設置し、環
境クイズと3R関連ビデオ放映の取り組みを行いまし
た。
環境クイズでは、来場者一人に一つのクイズを出
題し、正解すれば、水槽の底の皿にコインを落とす
「コイン落としゲーム」をしてもらいました。みごと、
皿にコインを落とした参加者には、常に環境を意識
してもらうように「エコバッグ」か「リユースカッ
プ」の好きな方を一つプレゼントしました。
3.ブースイベント
(1)かえっこバザール&オークション
おもちゃの「リユース」を促進し、物の大切さを
子供たちに学んでもらうため、使わなくなった中古
のおもちゃ等を持ち寄り「かえるポイント」という
通貨を介して物々交換します。
高知県では「かえっこバザール」初の開催でした
が、オープン 時には、使わなくなったおもちゃを抱
えた家族連れも多く見受けられ、大会期間中は、常
時、多数の子供たちが集まっていました。
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
(5)アンケートコーナー
来場者に対してアンケートの協力を呼びかけまし
た。目的としては、一般市民が環境にどれくらい興
味を持っているか。環境の取組を個人レベルでどれ
くらい実施されているのか等を知ることで、今後の
普及活動の参考にすることでしたが、アンケートに
回答すること自体が、環境を意識してもらうことに
繋がったように感じました。
また、より多くの方にアンケートに回答していた
だくために、スタッフ5名で常時対応し、協力してい
ただいた方に対しては、「エコガーデニングセット」、
「マイ箸」のどちらか一つをプレゼントしました。
23日(土)321名、24日(日)333名 2日間で、
664名の多くの方々に協力いただきました。
3R関連ビデオを放映では、家電製品がどのように、
リサイクルされているかを分かりやすく説明したビ
デオを繰り返し放映しました。普段、見ることのな
い家電製品のリサイクルの映像に、足を止めて見入
っている方もいました。
(4)リサイクル製品と環境関連パネル展示 ① 「リサイクル製品」展示
高知県から協力していただき「リサイクル製品」
を展示しました。高知県では、廃棄物の発生抑制
やリサイクル産業の育成を図り、廃棄物などの循
環資源を利用し、県内で製造加工される優秀な
「リサイクル製品」に対して「高知県リサイクル製
品認定制度」に基づき認定しています。
訪れた人からは、「県内の廃棄物からできた物と
は思えない」との感想が聞かれました。認定され
たリサイクル製品が広範囲に周知され一層の販路
拡大や利用促進が期待されています。
4.まとめ
今年度は、高知県の観光の名所でもある「ひろめ市
場」での開催とあって、県内外の多くの方々に来場し
ていただき、3Rについて理解していただくとともに、
普段の生活の中での実践のヒントを知っていただいた
のではないか思います。
アンケートによれば、環境と関係がなく、別の目的
で人が集まる場所だったとはいえ、3Rという言葉を
「聞いたことはある」や「知らなかった」が約6割以上
で、「知っている」は4割に達しなかったという驚きの
結果となりましたが、「現在、取り組んでいる事はあり
ますか」の問いでは、3Rという言葉は知らない方でも、
エコバックやマイ箸等の取組を行っていることも分か
りました。
また、このイベントや3Rについての意見でも、「環境
問題について考える良い機会だった」、「もっとリサイ
クルに対して、関心を持ちたい」等の好意的・協力的
なご意見が多数を占め、イベントとしての普及啓発の
効果は十分あったのではないかと考えています。
今後は、より多くの人に環境に関心を持ってもらい、
日常生活の中で一つでも多く3Rの取組を実践していた
だくように、効率的な情報を発信して行くことが、次
への課題となると思います。
② 環境関連パネル展示
当事務所のパネルだけでなく、四国経済産業局
からもパネルの提供いただき通行人の目に触れる
ように、目立つ場所を選んで展示しました。
また、パネルの内容として、環境に興味を持っ
ていただけるよう3R関連ばかりでなく、地球温暖
化問題、生物多様性等幅広く展示しました。
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
3R推進九州ブロック大会
「リユースびん推進シンポジウム」
九州地方環境事務所 廃棄物・リサイクル対策課
引き続き、リユースびんの取組事例として、
② ガラスびんリサイクル促進協議会リユース部会
戸部 昇氏より「リユースびんの現状 ∼動き始め
たリユースびんシステム∼」について
③ 九州地方環境事務所の廃棄物・リサイクル対策課
長澤田より「九州地方環境事務所におけるリユー
スびん普及に向けた取組」について
④ 奄美市市民部環境対策課主事 宮城久典氏より、
奄美地域での取組事例として、NPOと連携してび
ん回収事業等を行っている「奄美エコマネー事業」
について
⑤ 鹿児島県地球温暖化防止活動推進センター事務局
長 清水建司氏より「鹿児島県内での取組」につ
いて
それぞれご紹介いただきました。
循環型社会の実現には3Rの取組を幅広く浸透させる
ことが鍵となります。九州地方環境事務所では平成22
年度の3R啓発事業(3R推進九州ブロック大会)として
『リユースびん推進シンポジウム』並びに『かごしま環
境フェアでの展示イベント』を、平成22年11月12日
(金)、翌13日(土)∼14日(日)にかけて、かごしま
県民交流センターで開催しました。以下、その概要を
紹介します。
1 企画立案に当たって
「3R啓発事業」の手法は、啓発対象やねらいに応じて
様々考えられますが、今大会を企画立案するに当たっ
ては、
・市民、事業者、行政等に幅広く啓発できること、
・事業者、行政等の当事者が3Rを推進するに当たっ
て参考となること
をポイントとし、
① 資源の循環利用の一つの形態として古くから取り
組まれている「びんのリユース」は、環境負荷を
軽減できる大きなメリットがあるにもかかわらず、
生活様式の変化や紙パック・ペットボトルの普及
等に伴い近年その利用が少なくなりつつある。こ
のため、その意義を改めて見直すことをテーマに
シンポジウムを開催する
② シンポジウムでは、行政や事業者等が実際に取組
んでいる事例の紹介、リユースの意義について理
解を深めるためのパネルディスカッションを行う
③ 一般市民に対し3Rへの理解を広めるため、展示イ
ベントを開催する
こととしました。
⑥ パネルディスカッション
基調講演を行った原口泉教授をコーディネーターと
して、九州地方環境事務所の廃棄物・リサイクル対策
課長、事例報告を行った戸部 昇氏、宮城 久典氏、清水
建司氏をパネリストに迎え、リユースびんの普及をテ
ーマにパネルディスカッションを行いました。
2 シンポジウム(11月12日)
① 日本近世・近代史がご専門で、NHK大河ドラマ
「篤姫」の時代考証なども手掛けられ、当事務所が
設置している「リユースびん推進会議」の座長で
もある鹿児島大学法文学部教授 原口 泉氏に基調
講演をいただきました。
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R推進全国大会・地方大会
また、会場ではびんのリユースに関するアンケート
を実施し、協力いただいた方には粗品として3Rのマー
クが入ったマイバッグ、リユースびんの仕組みをわか
りやすく説明したボックスティッシュ(図参照)を配
布しました。このボックスティッシュは、家庭に持ち
帰っても3Rを意識するきっかけになったものと期待し
ています。
【ボックスティッシュのデザイン】
3 展示イベント(11月13日∼14日)
シンポジウムの翌日から開催された「かごしま環境
フェア」の会場を利用して、市民にリユースびんを広
く知ってもらうよう、展示会を開催しました。
【展示ブースの様子】
4 終わりに
今大会は、全国有数の焼酎どころである鹿児島(全
国の焼酎売上額上位50社のうち、約半数が鹿児島県内
に所在)で、焼酎を中心としたリユースびんの普及啓
発をテーマに実施しました。
「かごしま環境フェア」では、昨年度に引き続き展示
ブースを設置しましたが、当日は天気も良く、イベン
ト来場者も予想以上に多かった上、シンポジウムの会
場もほぼ満席になるなど、一定の事業成果を上げたの
ではないかと考えています。
末筆になりますが、今大会の実施に当たり、ご多忙
の中シンポジウムにご出演いただいた講師の方々、共
催の鹿児島県酒造組合、鹿児島県卸売酒販組合、鹿児
島県小売酒販組合連合会、そして、展示等にご協力い
ただいたガラスびんリサイクル促進協議会、鹿児島県
地球温暖化防止活動推進センター等の関係各位に対し
まして、この場をお借りして心より御礼を申し上げま
す。
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
自治体を訪ねて
自治体を訪ねて
遠藤 守也
仙台市環境局廃棄物事業部リサイクル推進課 課長 1.はじめに
達成しました(図2)
。
平成21年度の家庭ごみの排出量は,184,812tで平成20
年10月からの家庭ごみ等の有料化導入時に掲げた平成
18年度(225,260t)と比較して目標の15%減量を上回る
18%の減量を達成しております。
仙台市は,1,601年伊達政宗公によって雄藩の城下町
として開かれ,現在では,人口103万人を有する東北地
方最大の都市へと発展しております。
本市では,ごみの減量とリサイクルを推進するため,
平成11年に一般廃棄物処理基本計画を全面改正し,平
成16年度にはその中間見直しを行っております。同計
画では平成22年度を目標年度として市民一人一日当た
りのごみ排出量を1,107gに,リサイクル率を30%以上に
するという2つの数値目標を定め,市民・事業者・行政
の協働によりごみ減量・リサイクルに取り組んでまい
りました。
平成21年度のごみ総量は前年度より5.9%減少し36万7
千トンで,市民一人一日当たりのごみ排出量は前年度
より64g減少し972gとなりました。目標値を前倒しで達
成しております(図1)。また,缶・びん・ペットボト
ル・プラスチック製容器包装などの資源化量は前年度
より12.8%増加し,4万5千トン,集団資源回収などの民
間リサイクルを含めた資源化量は14万4千トンで前年度
より約1千トン増加,リサイクル率は30.9%と1.9ポイン
ト上昇し,一般廃棄物処理基本計画に定める目標値を
図2 資源化量の推移(生活ごみ・事業ごみ・民間資源回収)
2.家庭系ごみの資源化推進施策
本市では,従来から生ごみ堆肥化容器等購入費補助
事業などの排出抑制施策や,缶・びん・ペットボト
ル・廃乾電池類の資源化事業,集団資源回収事業など
のリサイクル推進施策に取り組むとともに,特に,焼
却される家庭ごみの物理的組成(湿ベース)で大きな
割合を占める紙類と生ごみのリサイクルに重点的な取
り組みを進めてまいりました。
(1)紙類
① 集団資源回収
昭和48年に通産省から古紙回収のモデル都市に
指定されたのを契機に,ごみ減量の推進と資源の
有効利用を図り,また地域のコミュニティづくり
に資するため,地域における紙類・布類・アルミ
缶などの資源物の集団回収体制づくりを進め,事
図1 仙台市のごみ量の推移
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
自治体を訪ねて
て,NPOの「朝市夕市ネットワーク」が自主的に
実施していた乾燥生ごみと野菜の交換の取り組み
を,本市が中心となって実施することとしました。
また,平成16年度から各区役所が行っている野
菜市会場及び各区にある環境事業所でも受け入れ
ております。
さらに平成20年度からは,リサイクル推進課,
市内10カ所の市民センターに回収拠点を拡充し,
野菜市での野菜に加え,ごみ減量・リサイクルグ
ッズと交換できる「スタンプカード制度」を導入
いたしました。
乾燥生ごみの回収実績は,前年度と比べ約1.7倍
増の1.6tとなっており,回収された生ごみは,各区
野菜市実施団体等を通じ,市内の農家によりたい
肥化され,野菜づくりに活用されております。
③ 地域循環型生ごみリサイクルシステムモデル事業
平成16年度から,市内2カ所において,本市が業
務用生ごみ処理機(処理能力30kg/日)を設置し,
住民が生ごみを分別・投入し,生産農家で完熟堆
肥にして野菜づくりに活用するモデル事業を開始
しました。平成21年度の生ごみ処理機からの生成
物の取出量は,前年度と比べ12%増の1,387kgとな
っており,生ごみ処理機からの生成物は,野菜市
を通じて地域住民へ還元しています。
業の推進を図るため,回収量や実施回数に応じ,
実施団体に対して奨励金を交付し,実施団体の育
成強化に取り組んでおります。平成21年度の回収
実績は,前年度に比べ10.2%減の28,898tとなってお
ります。
② 紙類拠点回収
紙類を随時持ち込める常設の「紙類回収庫」を
平成12年度から設置しており,平成21年度までに
本市の公共施設に37カ所,商業施設等に11カ所の
計48カ所を設置し,平成21年度の回収実績は,前
年度に比べ11%減の2,765tとなっております。
また,平成17年度からは民間の事業所の協力に
より,その敷地を回収拠点として「紙類回収ステ
ーション」事業を始め,現在,市内99カ所の拠点
で紙類を受け入れております。
③ 紙類定期回収
市民がより参加しやすい紙類の回収システムと
して,平成20年10月からの家庭ごみ等の有料化実
施に合わせて,月2回,ごみ集積所を利用した紙類
の定期回収を市内全域にて開始いたしました。回
収品目は新聞(折込チラシを含む。),段ボール,
紙パック,雑誌,雑がみの5品目で,種類ごとに,
ひもで十文字に縛って,雑がみは紙袋にまとめて
ひもで縛って,ごみ集積所に出すこととしており,
平成21年度の収集量は10,753tとなっております。
排出された紙類は,本市が委託する委託業者が収
集運搬し,市内の古紙問屋に搬入し,紙としてリ
サイクルしております。
(3)プラスチック製容器包装
平成12年4月の容器包装リサイクル法の完全施行を
受け,本市では,平成12年度から一部地域を対象と
したモデル事業として分別収集を開始し,平成14年
度から全市域に拡大しました。
収集方法は,週1回,指定袋による排出とし,家庭
ごみの収集業者に委託して収集し,民間事業者(新
港リサイクル㈱)が設置する選別施設において,選
別・圧縮・梱包され,指定法人(公益財団法人 日
本容器包装リサイクル協会)ルートによって資源化
されております。平成21年度の収集量は前年度と比
べ5%減の12,941tであり,12,528tがリサイクルされて
おります。異物の混入も非常に少ない状況を維持し
ており,分別収集について市民の理解・協力が得ら
れているものと考えております。
(2)生ごみ
① 生ごみ堆肥化容器・家庭用電気式生ごみ処理機
購入費補助事業
一般家庭から排出される生ごみの減量・リサイ
クルのため,平成4年度から屋外設置型の容器を対
象とした購入費補助事業を開始し,平成11年度か
らは,屋内設置型の容器を補助対象に加えました。
補助内容は,1基につき2,000円で1世帯あたり2基ま
でとしております。
また,家庭用電気式生ごみ処理機の低価格化が
進んだことや,市民の要望などにより,平成11年
度から家庭用電気式生ごみ処理機の購入費補助事
業も開始し,補助内容は,1世帯に対して1台まで,
購入金額(消費税を含む。)の2分の1(上限25,000
円)としていましたが,家庭ごみ等の有料化実施
にあたり,平成20年度からは,購入金額の5分の3
(上限金額を30,000円)に拡充しました。
② 乾燥生ごみと野菜の交換事業
電気式生ごみ処理機補助対象者に行ったアンケ
ート調査において,回答者の約1割の方が,生成さ
れた乾燥生ごみの回収を希望していたことを受け
(4)缶・びん・ペットボトル・廃乾電池類
昭和59年に本市と民間清掃業者の出資による「⑭
仙台市環境整備公社」を設立し,月1回の缶・びん,
廃乾電池類の分別収集を開始し,平成5年度には週1
回の収集と順次拡充するとともに,平成9年度からは,
これに加えて,ペットボトルを合わせて収集するこ
ととしました。
缶・びん・ペットボトル等は,週1回専用の回収容
器(約50褄)をごみ集積所に配布し,市民からの
70
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
自治体を訪ねて
ら「100万人のごみ減量大作戦」キャンペーンを毎年実
施し,市民・事業者への啓発と積極的な取り組みを働
きかけてまいりました。
平成14年度に,キャンペーンキャラクターとして
“ワケルくん”が登場し,全国的にも話題になりました
が,現在では,セツコさん(奥さん)やワケミちゃん
(妹)など“ワケルファミリー”は,仙台市のごみ減
量・リサイクルのイメージキャラクターとして,市民
に広く定着し,キャンペーンやイベント,環境施設見
学バス(ワケルくんバス),食器洗浄車(ワケルモービ
ル),各種広報啓発物(図3)など様々な啓発場面で活
躍しております。
缶・びん・ペットボトル廃乾電池のほか,蛍光管,
金属製のなべやフライパン等を一括して収集してい
ます。収集された缶・びん・ペットボトル等は,
鉄・アルミ・生きびん・カレット,ペットボトルな
ど素材や色別に選別され,指定法人ルート及び資源
回収業者によって資源化されております。
廃乾電池,廃蛍光管は,民間の資源化業者に委託
し,水銀と金属の資源化を行っております。
平成21年度の缶・びん・ペットボトル・廃乾電池
等の資源化量は,前年度と比べ約1%減の17,985tとな
っております。
(5)資源物店頭回収
市民の利便性の向上を図り,ごみ減量及び資源の
有効利用を一層推進するため,平成12年度から事業
者の協力のもと,家庭からの資源物(缶・びん・ペ
ットボトル・筒型乾電池)で店舗等にて回収された
ものを本市の資源化施設で受け入れ,リサイクルを
行うとともに,排出ルールの掲示など積極的な市民
啓発等に取り組む店頭回収事業者は,手数料を減免
しております。
3.事業系ごみの資源化推進施策
事業者から排出される事業系ごみは,本市が処理す
るごみの約4割を占めております。平成15年度をピーク
に平成16年度以降,年3から5%の割合で減少しており
ます。
特に,平成15年度からは,事業系紙類の無料回収庫
を焼却工場に近い環境事業所に順次設置しながら,平
成17年度に再生可能な紙類の工場搬入を禁止したこと
により,本市が処理する事業ごみ量は,平成16年度に
比べ,約10%減少しております。
事業系ごみの減量・リサイクルのため,
「ビル管理法」
の対象となる事業用大規模建築物所有者等(698事業所)
やごみ排出量が年間36t以上の多量排出事業者(390事業
所)に対する指導啓発のほか,中小事業者への訪問指
導を行っております。
また,学校給食センターの生ごみ,し尿系の脱水汚
泥,公園の樹木や街路樹の剪定枝など,本市の施設等
から排出される有機性廃棄物の減量・リサイクルを図
るため,平成14年度から本市の埋立処分場地内に仙台
市堆肥化センター(処理能力25t/日)を稼動し,生成さ
れた肥料は「杜のめぐみ」の愛称で,本市の公園事業
などの公共事業や学校,市民センター等の花壇造りに
活用されているほか,イベント等で市民へ無料で配布
しております。
図3 紙類分別啓発ポスター
また,ごみ減量・リサイクル等の情報を発信し,正
しい知識と理解を深め,楽しく取り組むことができる
ように,ごみ減量・リサイクル情報総合サイト「ワケ
ルネット」を平成16年度に開設し,魅力のある使い勝
手のよい,わかりやすいサイトへの充実を図りながら
運営してきており,平成19年度には,主に若年層を対
象とした情報発信として携帯電話サイト「ワケルモバ
イル」を開設し,さらに平成22年度からはtwitterを導
入するなど,より一層市民・事業者との連携が図られ
るよう努めております。
5.おわりに
これまで述べたとおり,平成11年に改定した一般廃
棄物処理基本計画に基づき,ごみ減量・リサイクル施
策を展開してきた結果,現行計画での基本目標は全て
達成いたしております。殊に,平成20年10月から導入
いたしました「家庭ごみ等有料化」においては,現在
もその減量効果を維持しており,市民の環境に対する
意識の高さと行動力を改めて認識したところです。
現在,本市では,次期一般廃棄物処理基本計画(計
画期間:平成23から32年度)の改定作業を行っており
ます。
次期計画では,これまで実施してきた様々な施策に
よる大幅なごみ減量という成果を土台に,「資源循環都
市づくり」「低炭素都市づくり」「市民・事業者・市の
4.普及啓発
ごみ減量・リサイクルの推進には,市民一人ひとり
の意識の向上が重要であることから,計画開始直後か
71
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
自治体を訪ねて
けては,人口減少などの社会経済や市民・事業者ニー
ズの変化を的確に把握し,市民・事業者・市の緊密な
連携による取り組みが一層重要になるものと認識をい
たしております。これからの10年,100年を見据え,私
たち一人ひとりがライフスタイルを見直し,更なる資
源循環を進めるなど,自然環境や地球環境に配慮した
真に持続可能な社会づくりを進め,「杜の都仙台」の豊
かな環境を,次の世代へしっかりと引き継いでいける
よう,実効性のある施策の展開に努めてまいります。
連携や三者が一体化した施策の推進」の3つの施策の基
本的な方向性のもと,平成32年度までに「ごみ総量を
平成21年度比で10%以上削減」「リサイクル率を40%以
上」「燃やすごみの量を平成21年度比で16%以上削減」
「ごみ処理に係る温室効果ガス排出量を中長期的に低
減」するとの4つの基本目標を掲げ,市民・事業者の取
り組みを促し,更なるごみ減量・リサイクルを進める
とする中間案が取りまとめられたところです。
今後の資源循環都市づくりや低炭素都市づくりに向
循環型社会構築を目指す 3R活動推進フォーラム
3R活動推進フォーラム(会長:武内和彦 国連大学副学長、東京大学大学院教授)は、3Rに関する社
会的・技術的取り組みの活性化、会員相互の連携した活動の展開などを通じて3R活動を推進しています。
事業案内
1 3R 推進全国大会開催
2 3R 促進ポスターコンクールの実施
3 循環型社会形成推進功労者等環境大臣表彰の推薦
4 3Rフォーラムの開催等会員団体との連携・協働事業等の 3R 普及啓発活動の実施
5 3R 調査研究の実施
6 3R ニュース等 3R に関する情報の発信 等
3R・循環フォーラム in 埼玉
(平成 22 年 10 月 18 日開催)
佐賀市で開催された第5回3R推進全国大会
平成22年度3R促進ポスターコンクール最優秀賞受賞作品
(左から小学生低学年の部、同高学年の部、中学生の部)
〔事務局〕〒 130-0026 東京都墨田区両国 3-25-5
JEI 両国ビル 8 階(財)廃棄物研究財団内
TEL 03-6908-7311 FAX 03-5638-7164 URL http://3r-forum.jp/
E-mail:[email protected]
72
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
自治体を訪ねて
自治体を訪ねて
鷲崎 ゆみ子
佐賀市循環型社会推進課 3R推進係長 1.佐賀市の概要
ごとに異なり、廃棄物処理施設が市直営の佐賀市清掃
工場(旧佐賀市)、クリーンセンター大和(大和町)、
富士クリーンセンター(富士町)、川副・東与賀清掃セ
ンター(川副町、東与賀町)及び近隣の自治体と組合
で運営している脊振クリーンセンター(諸富町、三瀬
村)と複数ありますが、今後のごみ処理方法について
は、施設の統廃合に併せて統一することとしています。
久保田町のごみ処理は、天山地区共同塵芥処理場の廃
止に伴い、平成22年4月から佐賀市清掃工場で行うこと
になりました。それに伴い、ごみの分別・指定袋・収
集などの方法も旧佐賀市の方法に統一しました。
佐賀市は、平成17年10月に佐賀市、諸富町、大和町、
富士町及び三瀬村の1市3町1村が合併し、平成19年10月
には、佐賀市、川副町、東与賀町及び久保田町の1市3
町が合併して人口が23万人を超え、佐賀県のやや東部、
佐賀平野の中央部を縦断する形で位置しています。本
市が位置する佐賀平野は、筑後川や嘉瀬川等の河川に
よって運ばれた土砂と有明海の堆積作用によって形成
された低平地で、全国でも有数の稲作地帯として知ら
れております。毎年11月上旬には佐賀インターナショ
ナルバルーンフェスタが開催されております。干潟で
知られる有明海では、ムツゴロウに代表される他では
類を見ない生物が生息しています。また、脊振山系の
山麓部の山林や清流、古代肥前の国の行政府跡「肥前
国府」、中部の長崎街道に代表される歴史遺産や佐賀城
公園、日本の近代化を先導した幕末維新期の佐賀を紹
介している佐賀城本丸歴史館、筑後川にかかる昇開橋
や佐賀平野に網の目のように発達したクリークや田園
風景などの素晴らしい環境に恵まれています。
(写真1)
3.ごみ減量施策について
本市の一般廃棄物処理基本計画で、基本方針に、『ご
みゼロをめざした循環型社会の実現』を掲げて、これ
までの大量生産、大量消費、大量廃棄の状況から脱却
するために、生産から流通、消費、廃棄に至る全ての
過程における物質やエネルギーの効率的な利用やリサ
イクル、天然資源の消費抑制と環境負荷の低減が図れ
る循環型社会の構築を目指すことを目的に、行政、市
民、事業者が一体となって、①発生抑制(リデュース)
、
②再使用(リユース)、③再資源化(リサイクル)の3R
の取組を推進するとともに、環境に配慮した安全で効
率的な施設の維持管理を行いごみの適正処理を図るこ
ととしています。これらを達成するために、市民や事
業者にごみ処理に関する問題意識をもっていただくた
めの啓発、情報提供、環境教育などの推進による意識
の向上を図ります。また、ごみ出しルールの徹底を図
り、効率的なごみ収集体制の確立を図るため、市民や
事業者へ分かりやすい分別や排出方法等のごみ減量化
対策の仕組みづくりを行い、環境に配慮した安全で効
率的な施設の維持管理システムを構築し、最終処分場
の延命化を図りながら、適正処理を行うこととしてい
ます。
本市のごみの排出量は、1人1日当たりのごみ排出量
で表しますと、平成10年度には全国の平均を下回る1,
068グラムであったのが、平成16年度には全国平均を上
写真1 佐賀平野に浮かぶバルーン
2.ごみ処理の現状について
本市は、市町村合併を行いましたが、廃棄物処理に
ついては、市町村合併後も旧市町村のやり方を引き継
いでいるため、廃棄物の分別方法や手数料が旧市町村
73
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
自治体を訪ねて
表1 1人1日当たりのごみ排出量
環型環境・農業の会とNPO法人さが環境推進センター
に委託しています。この2団体の体験型講座の取組につ
いて紹介します。ひとつが、NPO法人循環型環境・農
業の会による米ぬかぼかしづくりの取組です。このぼ
かし肥を利用して、畑やプランターで生ごみを堆肥に
する方法を推進しています。(写真2)もうひとつが、
回る1,150グラムとなり、以降全国平均よりも若干高
い数値となっています。そこで、更なるごみ減量を推
進するため、本計画の上位計画にあたる「第一次佐賀
市総合計画」で、循環型社会の構築を目指して、目標
値を定めました。平成18年度は、1,186グラムでしたが、
これに対して、平成22年度までに1,050グラムに減量し、
そして、平成26年度には、1,000グラムまで減量する計
画としています。平成20年度は、1,065グラムと平成10
年度レベルの排出量まで減少しています。
(表1)
4.環境都市宣言とその取り組み
本市では、平成22年2月13日に「第50回佐賀市環境保
健推進大会」にて、「環境都市宣言」を行いました。こ
の背景には、地球温暖化問題、廃棄物問題など課題が
山積であり、これらへの取組が重要であり、市民に行
動をおこしてもらうためには、これまで以上に市民や
事業所、行政等による連携・協力が必要であるためで
す。
市民の取組としては、生ごみの堆肥化、紙資源分別
の徹底、市民ひとり1本を目安とした24万本植樹、緑の
カーテンやLED電球への取り替えを推進します。事業
所の取組としては、ごみの減量、エコアクション21の
取得を推進します。行政の取組としては、燃えるごみ
の減量、みどりのネットワークづくり、温暖化防止対
策の推進、環境保全普及啓発事業し、広く周知してい
ます。そこで、燃えるごみの減量について目標を設定
し、平成24年度までに平成20年度の燃えるごみ量77,703
トンから10%減量する69,933トンとし、4年間で7,770ト
ンの燃えるごみ量を削減することとしています。この
目標を実現するため生ごみの堆肥化等ごみ減量化、燃
えるごみに含まれる紙の資源化を重点的に取り組んで
います。
写真2
NPO法人さが環境推進センターによる「くうたくん」
の実演の取組です。畑等がない方でも、室内でも取り
組むことができる生ごみ分解型処理容器「くうたくん」
を利用して、生ごみを分解してごみ減量を推進してい
ます。(写真3)なお、この2団体による体験型講座につ
5.
「燃えるごみの減量」事業について
まず、生ごみの減量を促進するため、生ごみ堆肥化
促進事業の取組を紹介します。
この生ごみ堆肥化等促進事業は、生ごみの堆肥化等
に実績のある団体等が市内各地区で、そのノウハウを
活かした堆肥化に関する体験型講座を実施し、きめ細
かな堆肥化等の指導、情報提供を行いながら、市民に
各家庭にあった堆肥化等生ごみの減量方法を選択し、
実践することにより生ごみを減量化することを目的と
しています。平成22年度、公募型プロポーザルにより
堆肥化等の方法の異なる2団体を選定し、契約の日から
平成23年3月31日まで、環境保全に取り組むNPO法人循
写真3
いては、平成22年度上半期までに、計267回実施し、
3,640人の参加がありました。参加された方の中には、
この講座を通して、生ごみを減量するために取り組ん
でいたことが、ごみに対する意識が変わり、いかにご
みを出さないかということを考えるようになり、買い
物から片付けまで無駄なものを買わなくなったという
意見がありました。
次に、燃えるごみに含まれる紙の資源化を推進する
74
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
自治体を訪ねて
紙袋の回収について出前講座を行い、出前講座の実施
前後の「燃えるごみの重量」を比較しました。モデル
事業は、平成22年1月に出前講座を実施し、2月、3月に
ごみの減量効果の検証を行いました。結果としては、2
月の燃えるごみ量は前年同月と比較して240kg増加しま
したが、再度自治会に呼びかけを行ったこともあり、3
月の燃えるごみ量は前年同月と比較して440kg減量でき
ました。このモデル事業を実施したことにより、生ご
みの水切り、紙袋回収の出前講座が燃えるごみの減量
につながるという結果が得られました。
この2つの実験結果により、雑紙の回収については、
紙袋に入れて出すこともできることとし、紙袋と雑誌
の混合収集とすることとし、また、一部事務組合で処
理している地域についても組合及び構成市町の協力を
得ることができたため、佐賀市全域にて実施すること
ができました。
また、紙の資源化を促進するため、事業所から排出
されるシュレッダー紙(難古紙)の資源化に取り組ん
でいます。
平成20年1月に、製紙メーカーの技術的な進歩により、
市内の製紙メーカーが今までリサイクルできなかった
紙の資源化が可能になる新施設の導入を検討している
ことを受け、資源循環を重視する王子板紙株式会社佐
賀工場とごみの削減を重視する佐賀市がごみの中に含
まれるリサイクルできない紙類に着目し、佐賀市の関
係事業者(古紙業者、製紙メーカー)と循環型社会形
成に向けて、連携し、度重なる打合せ等を行い、今ま
で焼却していた難古紙の資源化に取り組むこととしま
した。
また、中でもミリカット、クロスカットといったシ
ュレッダー紙は、排出事業者から燃えるごみとして多
く排出されているものであり、この分を資源化できな
いか検討した結果、佐賀市清掃工場を通さず、王子板
紙株式会社佐賀工場が指定する佐賀市内古紙業者を介
して直接難古紙の回収を進めることになりました。
そこで、平成22年8月、佐賀市清掃工場では、事業者
から排出されたシュレッダー紙の取り扱いについて、
今後、焼却は行わないこととし、平成23年4月からは完
全実施していく予定です。
そのために、排出元である多量排出事業者研修会を
開催しシュレッダー紙の取り扱いについて周知し、併
せて、佐賀市一般廃棄物許可業者説明会を開催し、排
出事業者に対し、分別の徹底と資源化の周知、許可業
者には、可燃ごみに混ぜて持ち込まないように徹底し
て周知しました。また、佐賀商工会議所の会報に掲載
を依頼し、会員に周知しています。 始めのうちは、
事業者の戸惑いも多く、個人情報・機密書類であるた
め、焼却目的で持ち込まれていたシュレッダーが、搬
入の際の佐賀市清掃工場の職員による燃えるごみの減
量に取り組んでいることの説明等により、今では焼却
ため紙袋回収による雑紙の資源化の経緯について紹介
します。燃えるごみに含まれる紙のうち、まだまだ資
源化できる紙が5割以上を占めているため、それらの紙
の分別を徹底していただけるよう、小さい紙や不定形
の紙などを紙袋で出せるようにするなど市民の利便性
を高めるとともに、啓発に努めることとしました。
(写真4,5)
写真4
写真5
実施に当たっては、2つのモデル地区を定め、実証実
験を行いました。
ひとつは、雑紙の紙袋回収の排出状況、収集状況等
を検証する目的で、平成21年11月から12月までの計4回
佐賀市高木瀬地区の一部と佐賀市鍋島地区の一部の約
500世帯を対象としたもので、実際に紙袋を用いて雑紙
を回収することのモデル事業を実施しました。翌年、2
月まで、紙袋が破れていないか、紙が散らからないか
等ステーションの状態、回収した紙袋に異物混入等が
ないか、収集体制に負担がないか、選別作業に支障が
ないか等検証し、問題なく実施できるとの確信を得る
ことができました。
もうひとつは、出前講座によるごみ減量の効果を検
証する目的で、佐賀市蓮池地区の7自治会をモデル地区
として、生ごみの水切り、紙のリサイクルを推進する
75
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
自治体を訪ねて
せずに資源化することへ徐々にシフトしてきています。
また、収集運搬業者についても、収集運搬コストの懸
念があるにもかかわらず、できる限り排出事業者への
分別の徹底と周知を行っており、工夫してシュレッダ
ー紙を可燃ごみに混ぜないように協力してくれていま
す。
6.おわりに
本市においても、人口減少、少子高齢化の到来に伴
う社会的問題、市民ニーズの多様化・高度化など新た
な課題への対応を迫られています。このような時代背
景を踏まえ、本市総合計画で、平成26年度に実現を目
指す将来像を“人と自然が織りなす「やさしさと活力
にあふれるまち さが」”と定めています。これは、経
済的、物質的な豊かさのみを追求するのではなく、自
然環境の保護や省資源など社会の持続的な発展への貢
献が重要視され、生活のゆとりや精神的な豊かさを大
切にするものです。
今日のごみ問題は、環境保全のための基本的な問題
であり、これまでのような大量生産、大量消費、大量
廃棄型の社会から環境への負荷を低減させる循環型社
会へと変えていく必要があります。そのためには、社
会を構成する市民や企業などの全ての主体が、公平な
役割分担のもとに、さまざまな施策や自主的な取組を
行うことにより、持続可能な循環型社会の実現に努め
ていく必要があり、国においても、「循環型社会形成推
進基本法」等の法律が整備され、循環型社会形成に向
けての仕組みづくりが進められています。このことを
踏まえて、本市では市民、事業者、行政がこれまで以
上に相互に連携・協力して3Rの推進に努めてまいりま
す。
図1 佐賀市イメージキャラクター「まほろちゃん」
76
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
自治体を訪ねて
自治体を訪ねて
静岡県くらし・環境部環境局 廃棄物リサイクル課
1.静岡県リサイクル製品認定制度
これは、回収に協力する店舗を電機商業組合から推
薦してもらい、その店舗を県民に周知することで、廃
家電のリサイクルを促進するものである。
その他に、法の周知のため、行政施設、指定引取場
所、郵便局などへの排出者向けパンフレット等の配架、
ホームページやフリーペーパー等を活用した広報も実
施している。
廃棄物の減量と再利用を推進しリサイクル製品の利
用促進を図ることを目的として、平成17年度に認定制
度を開始、これまで23製品を認定した。
県が認定製品の積極的利用を呼びかけるとともに、
県の公共工事や事務用品の発注時に認定製品の利用に
努めている。
今年度は、県の土木・農林部局の所管工事について、
19工事を選定し静岡県リサイクル認定製品モデル工事
を実施している。
4.マイボトル・マイカップ運動
マイバッグ運動に続く、新たなリデュース・リユー
スの定着化のため、本年度からマイボトル・マイカッ
プ運動を進めている。
キックオフイベントとして、10/30,31の「しずおか環
境・森林フェア」において、『オシャレにエコ』をコン
セプトに、国内大手メーカーの断熱性ステンレスボト
ル(56本)を展示した。同時に消費者アンケートを行
い、回答いただいた来場者へ、展示ボトルを抽選でプ
レゼントした。
2.ふじのくにエコショップ宣言制度
「ごみが少ない商品を購入したいけれど、どこで売っ
ているの?」「お店のエコな取組をもっとお客様に知っ
てもらいたい。」このような消費者と事業者の声の橋渡
しを目指した事業として「ふじのくにエコショップ宣
言制度」を本年度から開始した。
簡易包装の推進や、食べ残しを減らす工夫など、環
境に配慮した取組を行っている販売店、飲食店、宿泊
施設を静岡県が登録する。専用ホームページ(http://
ecoshop.pref.shizuoka.jp/)には、各店舗の登録内容の
ほか、独自のエコ特典など「お得」な情報も掲載する。
味噌の量り売り、規格外商品の格安販売、マイ箸持
参割引特典、米袋持参を奨励するお店など、ユニーク
な取組をするエコショップの登録が日々増えており、
今後更なる充実を目指す。
3.家電の不法投棄防止対策
家電リサイクル法上、小売店に引取義務のない家電
4品目について、不法投棄を防止するため県では静岡
県電機商業組合と協定を結び、家電リサイクル協力店
方式による義務外品回収体制を構築した。
〔お断わり〕
当記事は昨年の12月発行の会員特集号における「自治体会員における廃棄物・3Rの取り組み」に掲載できません
でしたので、本号に掲載させていただきました。
77
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
新春クイズ
[新春クイズ]
(出題者:廃棄物研究財団 杉戸大作)
Q1.「タテ5列」ヨコ5列」「太い線で囲まれた5つのワク」
の中に「ABCDE」の文字をダブらないように、ひとつずついれてください。
E
D
C
B
Q2.あとの1つは何でしょうか
三猿:見ざる、聞かざる、( )
三権:立法権、司法権、( )
出羽三山:月山、湯殿山、( )
三英傑:織田信長、豊臣秀吉、( )
三冠馬レース:皐月賞、日本ダービー、( )
野球の三冠王:打率、本塁打数、( )
江戸時代の三都:京都、江戸、( )
徳川御三家:尾州、紀州、( )
大三災:水災、火災、( )
北越三国:越前、越中、( )
78
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
新春クイズ
Q3.トンチ問題です。真面目に考えないように。
①エスカレーターに乗ると、前の人のおしりに現れる下着のラインが気に
なります。この線は専門用語で何と言いますか。
②皇居の外堀・千鳥ヶ淵は桜の名所です。最初は松を植える予定らしかっ
たのですが、どうして桜になったのでしょうか。
③カエルやイモリは両生類、ヘビやトカゲは爬虫類です。キツネやタヌキ
は何類でしょうか。
④つまらないものほど喜ばれ、くだらないものほど喜ばれるのは何でしょ
うか。
⑤鶴はどうして片足を上げ、一本足で立ったりするのでしょうか。
⑥カラスはどうして色が黒いのでしょうか。
Q4.詰碁(黒先)
Q5.詰将棋 持駒: ・
6
5
4
3
2
1
一
二
三
四
(クイズの答は110頁)
79
廃棄物研究 3R財団だより(No.80 2011.1)
環境省等国のうごき
HHHHHHHHHH
HHHHHHHHHH
H
HHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHH H
環境省等国のうごき
HHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHH
平成23年度 廃棄物・リサイクル対策関係予算(案)の概要
∼緑の経済と社会の変革に向けた循環型社会づくり∼
平成22年12月24日
環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部
○日本とアジアの安定した成長を支える循環型社会実現に向けた取組
○安全・安心な生活を実現するための取組
1.世界に通用する静脈産業の育成
循環型社会づくりを通じて日本経済の成長につなげるため、世界に通用する静脈産業メジャ
ーの育成とその海外展開を支援するとともに、アジア3R推進フォーラム等を活用した国際的
な循環型社会の構築を戦略的に展開する。また、廃棄物輸入の円滑化を通じた新たなビジネス
の創出と、アジア地域循環への貢献を同時に実現する。さらに、リユース事業等の3R活動に
よる環境負荷低減効果の見える化の推進、次世代廃棄物処理技術の研究の推進等により、国内
静脈産業ビジネスの基盤強化を図る。
2.地域における循環資源の高度利用等
地域における低炭素社会づくりに貢献するため、エネルギー回収推進施設及びリサイクル推
進施設の整備や廃棄物系バイオマスの利活用を推進する等、廃棄物・リサイクル分野における
温暖化対策を強化する。また、中長期の循環型会社会づくりに向けて2030年の物質循環のグラ
ンドデザインを提示するとともに、地域循環圏の発展のための戦略を策定する。
3.安全・安心な廃棄物処理・リサイクルの推進
人の健康や生活環境に深刻な悪影響を及ぼすおそれのあるPCB廃棄物、アスベスト廃棄物を
始めとした有害廃棄物等の適正かつ安全な処理を推進する。また、不法投棄等の残存事案への
着実な対応を図る。
4.単独処理浄化槽の転換など浄化槽の更なる整備の推進
1,800万人に及ぶ汚水処理施設の未普及人口を解消するため、浄化槽整備の推進、特に単独
処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換を促進するとともに、民間活用による新たな浄化槽整
備・管理のあり方を検討する。また、日本のし尿処理システムの国際的普及を図る。
(注)3R(スリーアール)
・リデュース(Reduce:廃棄物の発生抑制)
・リユース(Reuse:再使用)
・リサイクル(Recycle:再生利用)
80
廃棄物研究 3R財団だより(No.80 2011.1)
環境省等国のうごき
【主な事項】
(23予算額(案)
(22年度予算額)
(単位:千円)
1.世界に通用する静脈産業の育成
(1)静脈産業メジャーの海外展開等
○日系静脈産業メジャーの育成・海外展開促進事業<特別枠>
∼廃棄物処理・リサイクルシステムをパッケージとして海外展開∼
[1,130]
600(
0)
※上段[ ]書は、環境研究総合推進費の中で計上している「静脈産業の海外展開に資する技術開発」
(530百万円)を加えた額。
急速な経済発展の一方で、廃棄物の適正処理・3Rが進んでいないアジア圏途上国をターゲットとして、政府、自
治体、事業者等が相互に連携しながら、廃棄物処理・リサイクルシステムをパッケージ化して海外展開することを
支援し、先行企業グループによる我が国静脈産業の海外事業化の実績づくりを進めるとともに、途上国でも利用可
能な技術の開発を行う。さらに、先行事例に続く、静脈産業の海外展開を進めるため、次世代静脈産業メジャーの
育成を支援する。
○アジア低炭素・循環型社会構築力強化プログラム事業
137( 152)
我が国の知見・技術を活用して、アジア、さらに世界的な3Rの実行を推進するため、3R推進に関する国際協力の
計画的な実施を図る。特にアジアにおける3R推進のための体制整備や情報共有を始めとする国際協力の取組を展開
する。
○廃棄物等の越境移動に係る国際的環境問題対策費
66(
73)
廃棄物等の輸出入管理における我が国の国際的責任を果たすため、事業者等に対する国内外規制の周知徹底や不
正輸出防止対策の強化等を行うとともに、アジア圏における資源循環の重要性を踏まえた今後の廃棄物輸入の展開
方策の検討を行う。
(2)国内静脈産業ビジネスの基盤強化
○循環型社会づくりビジネス支援事業
180( 220)
民間事業者単独の取組では、必要とする循環資源を回収・再利用するシステムを組むことが困難だったり、経済
性や技術面での市場ニーズの検証が十分できないなどの理由で、事業化に至らない循環利用について、その事業化
に向けた実証支援を行うことにより、新たな循環ビジネスの確立と、国内の他の事業者への普及を通じた循環ビジ
ネス全体の底上げを図る。
○リデュース・リユースを重視した3R強化・促進プログラム「見える化」推進費
48( 36)
3R行動による環境負荷削減効果を「見える化」するための手法等を開発し、広く国民に3R行動の効果を「見える
化」することにより、国民の3R行動を促し、環境負荷削減と経済成長を両立させたより質の高い循環型社会の形成
を図る。
○環境研究総合推進費(競争的資金)
(内数)
8,007( 7,007)
※総合環境政策局予算に計上
焼却施設における熱利用の推進、ごみ収集から処分までのトータルの温室効果ガス排出量の最小化、ごみ処理シ
ステムの低コスト化・高度化のための技術開発により、地球規模の環境保全に貢献する。
2.地域における循環資源の高度利用等
(1)循環型社会と低炭素社会の統合的実現
[35,596(40,146)]
31,235(35,125)
※上段[ ]書は、他府省計上分を加えた額。
市町村の自主性と創意工夫を活かした広域的かつ総合的な廃棄物処理・リサイクル施設の整備を推進する。
○循環型社会形成推進交付金(公共事業・一般廃棄物分)
81
廃棄物研究 3R財団だより(No.80 2011.1)
環境省等国のうごき
○廃棄物エネルギー導入・低炭素化促進事業(特別会計)
789( 1,300)
廃棄物処理業者等が行う高効率熱回収施設などの廃棄物エネルギー利用施設及びバイオマスエネルギー利用施設
の整備事業への補助を行う。
また、廃棄物収集車の低炭素化を図るため、地方公共団体及び民間事業者を対象として、電動式塵芥収集車(パ
ッカー装置を電動化した塵芥車)を導入する事業への補助制度を新設する。
○廃棄物系バイオマス利用推進事業
46(
0)
バイオマス活用推進基本計画の目標を達成するために必要な技術や施策等のロードマップを作成するとともに、
バイオマス利活用に係るコスト、温室効果ガス排出削減効果等の算定、ケーススタディを実施し、市町村に対して、
最新の技術動向を踏まえた最適なバイオマス利活用技術を提示する。
○不法投棄跡地等利用推進事業費補助金
100(
0)
不法投棄等の支障除去等事業が完了した事案の跡地等の利活用方策として、都道府県等が行う地球温暖化防止に
資するエネルギー供給のインフラ整備等の事業を支援することで、これら跡地の利活用を進めるとともに、廃棄物
の最終処分場の立地等の推進を図る。
○廃棄物処理の3R化・低炭素化改革支援事業
57(
0)
ごみ処理有料化、処理の広域化、収集運搬の効率化、低公害車の導入、より大規模な熱回収といった一般廃棄物
処理における3R・低炭素化等について、現状の把握、優良事例の抽出、課題の検討等を行い、次の段階へと進める
ために必要な施策の検討を行うとともに、上記施策を踏まえた3つのガイドラインの改正、制度改正の必要性の検討
を行う。
(2)循環型社会の高度化に向けたビジョン・戦略の策定
○2030年循環型社会のグランドデザイン検討・実現事業
10(
0)
循環型社会の構築に向けて今後必要となる具体的施策の検討、実施の基礎とするため、物質循環に係る環境及び
経済社会状況等について調査分析を行い、2030年の循環型社会のグランドデザインを策定する。
○低炭素型「地域循環圏」整備推進事業
57( 64)
第2次循環型社会形成推進基本計画(平成20年3月閣議決定)に位置づけられた「地域循環圏」について、これま
での調査や検討成果を踏まえ、課題、評価の考え方及び推進施策等を盛り込んだ『地域循環圏の高度化・発展戦略』
を策定する。
また、各地域で策定した地域計画を促進するため、革新性等を有する先進的な取組について、技術やシステムの
高度化などモデル事業として支援する。
3.安全・安心な廃棄物処理・リサイクルの推進
○特別管理廃棄物処理基準等設定費
36( 11)
我が国における余剰水銀や水銀含有廃棄物について国内における現行の管理体制や処分方法等の技術に関する情
報の整理を行うとともに、環境上適正な処分方法等についての検討を行う。
また、製造・使用段階で有害廃棄物を生じさせない製造工程やリサイクルしやすい製品設計など、有害廃棄物の
発生抑制・管理方策についての調査・検討を行う。
○PCB廃棄物適正処理対策推進事業
97( 107)
PCB特別措置法に基づくPCB廃棄物の保管等の情報を集約し、全国の保管等状況を適切に把握する。また、処理
が困難なPCB廃棄物について、実態把握及び処理試験等を実施し、安全かつ確実な処理方策の検討等を行う。また、
微量PCB汚染廃電気機器等及び微量のPCBを含む廃棄物について、処理実証試験の実施及び無害化処理認定に係る
申請の審査等を行い、その処理体制の整備等に必要な取組を推進する。
82
廃棄物研究 3R財団だより(No.80 2011.1)
環境省等国のうごき
○クリアランス廃棄物管理システム整備費
20( 18)
放射線障害防止法に基づき、クリアランス制度が導入されることとなったため、平成22年度に原子炉等規制法に
おける情報管理システムをベースとした情報管理システムを新たに導入し、平成23年度より運用する。
また、地方環境事務所が立入検査する際の危機管理マニュアルを作成する。
○産業廃棄物不法投棄等原状回復措置推進費補助金
3,670( 3,670)
不法投棄等の事案による生活環境保全上の支障の除去等の事業を行う都道府県等に対し、必要な経費を補助する。
4.単独処理浄化槽の転換など浄化槽の更なる整備の推進
[10,969(12,040)]
10,527(11,688)
※上段[ ]書は、他府省計上分を加えた額。
湖沼等公共用水域等の水質汚濁の大きな原因となっている生活排水対策を推進し良好な水環境や健全な水循環を
確保するため、浄化槽整備に対する国の助成制度の一層の充実を図る。
【改正内容】
単独処理浄化槽撤去費の助成対象の拡大
○循環型社会形成推進交付金(公共事業・浄化槽分)
○民間活用による新たな浄化槽整備・管理のあり方検討調査費
7(
0)
今後の合併処理浄化槽の整備を推進する上で、財政が限られる中で効率的な浄化槽整備を進め、また、管理にお
いても設置者のニーズ等を踏まえた柔軟な対応を図るため、民間活力を用いた新たな整備・管理手法の検討を行い、
その結果を踏まえ官民が連携して浄化槽整備の促進・適正な管理に取り組んでいく。
○し尿処理システム国際普及推進事業費
16( 20)
国連ミレニアム開発目標に掲げられた国際的な衛生問題の解決のため、官民連携による展開も視野に入れたし尿
処理システムの現地技術化や技術移転の具体化、アジア太平洋地域の衛生分野の国際拠点として発足した日本サニ
テーションコンソーシアムの活用・支援等により、日本のし尿処理システムの普及に向けた一層の取組を展開する。
【参考】
廃棄物・リサイクル対策関係予算(公共事業の他府省計上分を除く)
〇公共事業
平成22年度当初予算額
平成23年度予算額(案)
差引増△減額(②−①)
〇非公共(本省予算)
平成22年度当初予算額
平成23年度予算額(案)
差引増△減額(②−①)
〇非公共(地方環境事務所予算)
平成22年度当初予算額
平成23年度予算額(案)
差引増△減額(②−①)
〇エネルギー対策特別会計
平成22年度当初予算額
平成23年度予算額(案)
59,134百万円 ①
52,820百万円 ②
△6,314百万円 (89.3%)
7,888百万円 ①
7,633百万円 ②
△255百万円 (96.8%)
52百万円 ①
46百万円 ②
△6百万円 (88.5%)
1,329百万円 ①
789百万円 ②
83
廃棄物研究 3R財団だより(No.80 2011.1)
差引増△減額(②−①)
〇合 計
平成22年度当初予算額
平成23年度予算額(案)
差引増△減額(②−①)
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△540百万円 (9.4%)
68,403百万円 ①
61,288百万円 ②
△7,115百万円 (89.6%)
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廃棄物研究 3R財団だより(No.80 2011.1)
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平成23年度 一般廃棄物関係予算(案)の概要
平成22年12月24日
環境省廃棄物対策課
1.循環型社会形成推進交付金(浄化槽分を除く)
(公共事業)
35,125百万円 → 31,235百万円
市町村等が廃棄物の3R(リデュース、リユース、リサイクル)を総合的に推進するため、市町村等の自主性と創
意工夫を活かしながら広域的かつ総合的に廃棄物処理・リサイクル施設を整備する事業に対して交付金を交付する。
2.新 廃棄物処理の3R化・低炭素化改革支援事業
0百万円 → 57百万円
一般廃棄物における3R・低炭素化等について、現状の把握、優良事例の抽出、課題の検討等を行い、市町村にお
ける廃棄物処理の更なる3R化・低炭素化を促進するための方策を検討し、制度改正、ガイドライン化、廃棄物処理
施設整備計画等への反映を図る。
3.新 廃棄物系バイオマス利用推進事業
0百万円 → 46百万円
バイオマス推進基本法に基づくバイオマス活用推進基本計画において定められる予定のバイオマスの種類毎の利用
率等の目標を達成するための具体的な方策について検討し、地域特性に応じた合理的かつ実現可能な廃棄物系バイオ
マスの大幅な利活用の促進を図る。
4.し尿・浄化槽汚泥からのリン回収・利活用推進事業
50百万円 → 42百万円
リン資源のリサイクル推進のため、既存のリン回収型し尿・浄化槽汚泥施設におけるケーススタディやパイロット
プラントによる検証を行い、し尿・浄化槽汚泥からのリン回収に係る現状と課題を把握するとともに、効率的なリン
回収・利活用システムの推進を図る。
5.廃棄物処理施設における水銀等排出状況調査
8百万円 → 17百万円
国連環境計画(UNEP)では水銀の排出抑制や輸出入の規制をするための条約を2013年の調印を目指すことで合意
しており、環境中への水銀の排出量を削減する取り組み及び水銀を含む廃棄物の処理対策の検討が必要である。全国
の蛍光灯等の分別・処理状況を調査・整理し、有害物質の適正な管理の観点から、水銀廃棄物の分別収集のあり方や
リサイクルシステムを検討する。
6.廃棄物エネルギー導入・低炭素化促進事業(エネ特会)
1,300百万円の内数 → 789百万円の内数
廃棄物処理業者等が行う高効率な廃棄物エネルギー利用施設及び高効率なバイオマス利用施設等の整備事業(新設、
増設又は改造)について、これに伴う投資の増加費用に対して補助を行う(対象となる施設整備費全体の1/3 又は1/2
を限度)
。
また、地方公共団体又は民間事業者が電動式塵芥収集車(パッカー装置を電動化した塵芥車。電動化と併せて車体
をハイブリッド化又はCNG 化する場合を含む。
)を導入する際に通常車両との差額に対して補助を行う(補助率1/2)
。
7.環境研究総合推進費(循環型社会形成推進研究)
※22年度までは循環型社会形成推進科学研究費補助金。23年度は環境研究総合推進費と
して総合環境政策局にて予算計上。
1,740百万円 → 2,270百万円
(予算全体 7,007百万円 → 8,007百万円)
平成23 年度から循環型社会推進科学研究費補助金は環境研究総合推進費と統合して廃棄物の適正処理、循環型社会
85
廃棄物研究 3R財団だより(No.80 2011.1)
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の構築技術等に関する循環型社会形成推進研究を行うとともに環境分野における分野横断的な研究開発を強化する。
平成23 年度は、廃棄物処理・リサイクル産業などの静脈産業による海外展開に資する、途上国でも利用可能な、廃
棄物処理・リサイクルシステムにおける熱利用の推進、収集から処分までの温室効果ガスの最小化、低コスト化・高
度化等の技術実証を行う「日系静脈産業メジャーの海外展開に資する次世代廃棄物処理技術開発」を新たに実施する。
平成23年度予算案事項別表
86
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財団のうごき
平成22年度第2回企画委員会の開催
1.日時 平成22年12月21日(火)、14:00−16:00
2.場所 (財)廃棄物研究財団会議室
3.出席者(敬称略)
○企画委員会委員 6名
宇佐見貞彦(八千代エンジニヤリング㈱)
川原 隆(一般社団法人環境衛生施設維持管理業協会)
栗原 英隆(
(社)全国都市清掃会議)
、酒巻 弘三(スチール缶リサイクル協会)
田中 勝(鳥取環境大学サスティナビリティ研究所長)
山本 耕平(
(株)ダイナックス都市環境研究所)
○廃棄物研究財団 杉戸 大作(理事長)
、八木 美雄(専務理事)
、平塚 勉(事務局長)
高林 光治(経理担当部長)
、近藤 和義(企画部長)
藤本 正(3R活動推進フォーラム事務局長)
、藤波 博(調査部長)
、早貸外幸(参与)
4.議事概要
○杉戸理事長の挨拶の後、田中 勝(鳥取環境大学教授)委員長の挨拶。
○財団事務局から「公益法人制度改革」への対応について説明があった後、田中委員長の司会のもとで活発に質疑が
行われた。
○移行申請に当たっては、公益財団法人廃棄物・3R研究財団として移行認定を目指す。公益法人制度改革に伴う最
初の評議員の選任方法認可申請について(主務官庁に認可申請)、定款の変更案等の事項について、企画委員会から
了承が得られた。
○今後、企画委員会のご意見を踏まえ、財団としては、平成23年中の移行認定に向かって申請手続き等を進めていく
旨を確認し、閉会となった。
90
廃棄物研究 財団・3Rだより
(No.80 2011.1)
財団のうごき
○
「公益法人制度改革」への対応について
1.基本的な考え方
廃棄物研究財団は、平成元年の設立以来、産・学・官の幅広い知識や技術を結集して都市の廃棄物・リサイクル事
業に係る技術開発や調査研究を鋭意実施してきました。また、平成19年度からは、3R活動推進フォーラムの事務局
を引き受け、従来のダイオキシン対策に代表されるハード技術に加えてソフト施策に関する調査研究にも取り組んで
います。
このように実施されてきた財団の調査研究業務の成果は、公益性が高いもので、国の技術基準等の制定に広く活用
され、都市の廃棄物・リサイクル事業の展開に大きく貢献して参りました。
今後とも、循環型社会構築に向けて、財団の産官学ベースでの公益性の高い調査研究スキームを実施してまいりま
す。
従いまして、公益法人制度改革にあたり、廃棄物の適正処理に加えて3R関連業務も積極的に取り組み、公益財団
法人廃棄物・3R研究財団として移行認定を目指すこととします。
2.公益認定の基準
(1)公益目的事業を行うことを主たる目的とするものであること。
(認定法第5条第1号)
(2)公益目的事業比率が100分の50以上であること。
(認定法第5条第8号)
公益目的事業とは、
(認定法第2条第4号)
学術、技芸、慈善、その他の公益に関する事業であって、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するもの
3.公益財団法人の利点
(1)税制上の優遇措置が受けられる。
・認定法上の公益目的事業と認められれば非課税となる。
・寄附優遇の対象となる「特定公益増進法人」に該当する。
(2)公益財団法人という名称を独占的に使用でき、社会的な信用が得られる。
4.移行に伴う主な変更事項について
(1)現行の寄附行為を改め、新法に基づく新たな定款を作成する。
(2)評議員については、新たな選任方法を新定款で定めて選任するとともに、定数についても見直しを行う。但し、
最初の評議員については、主務官庁の認可を得て、中立な立場にある者が参加する機関(評議員選定委員会)を
設置し選任する。
(3)理事についても、評議員同様に定数の見直しを行い、新定款に定める。
(4)新法上の理事、監事並びに代表理事、執行理事を定める。
(5)新法上の評議員会、理事会の出席については、代理出席(委任状提出)が認められないため、出席可能な方を評
議員、理事として選任する。
○今後の財団の事業展開
廃棄物研究財団は、平成元年の設立以来、産官学ベースで、都市における廃棄物・3R分野の調査研究、啓発普及
の実施に努め、ダイオキシン対策の確立等に代表される廃棄物・3R行政の展開に大きく貢献してまいりました。
しかしながら、持続可能な社会を目指した循環型社会造りの実現には低炭素社会や自然共生社会との統合的な取り組
みが求められるなど、廃棄物・3R分野にかかわる課題は、財団のみで対応することが不可能なほどに多様化・複雑
化してきています。
こうした課題に適切に対処するためには、財団という一組織の枠組みを越えた関係機関・団体との幅広い連携(コ
ラボレーション)のもとで、多角的・横断的に諸課題に立ち向かうことが求められています。
そこで、財団が設立以来20年余りにわたって、大学、都市、団体、NPO、メーカー、コンサルタント等とのネットワ
ークにより培ってきた調査研究、啓発普及実施のノウハウを活用し、関係機関・団体等との連携を基本に据えて、今
91
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
財団のうごき
後、次のように、事業展開を図っていきます。
★調査研究の共同実施
環境省等からの調査研究事業について、事業内容に即して、会員、大学等研究機関との共同受託実施を積極的に推
進します。
★会員への支援充実
都市・企業・団体等会員からの要請に応じて、調査研究の共同実施に加えて、廃棄物・3R施策の構築・展開にあ
たって必要となる関連情報の提供、役職員の派遣にも努めることとします。また、併せて、会員へのアンケート・ヒ
ヤリングを通じて、ニーズ、シーズの発掘・把握にも努めます。
★広報普及事業の多角化
セミナーやメルマガ等広報普及活動を通じた迅速で多角的な情報発信が円滑に行われるよう、他団体等の案件に対
しても、共催、協賛等により積極的に参画していきます。
★民間研究基金等からの助成
国や地方公共団体財政の逼迫が深刻となっていることから、会員等と共同で民間基金等からの助成を受け、事業量
の確保に努めます。
以上の他、次に示すように、財団の自己資金を活用して公益性の高い自主事業も鋭意実施していきます。
★自主調査研究事業
今後の廃棄物・3R分野において先導性の高いテーマについて、会員等の協力を得ながら、プロジェクト形成調査
を行い、その成果を、環境省等調査研究事業の実施や施策反映にリンクさせていきます。
★啓発普及事業
循環型社会造りにダイレクトに貢献できるよう、研究成果が広く社会に普及されるよう、
ブック財団の発刊、年次報告会等セミナーの開催を進めていきます。
★調査研究スタッフへの支援事業
客員研究員制度を発足させ、既存調査資料の活用に加え、会議室使用、事務スペースの提供(パソコン、机、プリ
ンター、コピー等の使用含む)等を通じて調査研究要員の支援を充実させていきます。
企画委員会委員名簿(平成22年12月21日現在)
(五十音順)
氏
名
所
属
宇佐見貞彦
八千代エンジニヤリング㈱ 総合事業本部環境施設部長
長田 守弘
新日鉄エンジニアリング㈱ 環境ソリューション事業部長
河窪 義男
アタカ大機㈱ 環境・プラント事業部営業本部副本部長
川原 隆
一般社団法人環境衛生施設維持管理業協会 顧問
川本 克也
(独)国立環境研究所循環型社会・廃棄物研究センター資源化・処理処分技術研究室長
栗原 英隆
(社)全国都市清掃会議 技術顧問
酒巻 弘三
スチール缶リサイクル協会 専務理事
田中 勝
鳥取環境大学サスティナビリティ研究所長、環境マネジメント学科教授
馬渕 邦雄
(財)横浜市資源循環公社 業務担当部長
山本 和夫
一般社団法人 廃棄物資源循環学会前会長
東京大学環境安全研究センター教授
山本 耕平
㈱ダイナックス都市環境研究所 代表取締役 所長
渡辺 充
埼玉県環境部資源循環推進課長
92
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
財団のうごき
「廃棄物研究コンサルタント協議会」と財団との意見交換会の開催報告
財団設立にあたり出捐いただいたコンサルタント会員で構成される廃棄物研究コンサルタント協議会のメンバーと
財団役職員との意見交換会が、以下のとおり開催されましたので報告いたします。
1.開催日時 平成22年12月15日(水)午後4時15分∼5時30分
2.場 所 廃棄物研究財団会議室
3.出席者(敬称略)
○廃棄物研究コンサルタント協議会 8名
大野 正人(エックス都市研究所)
、佐野 靖弘(玉野総合コンサルタント)
竹内 康隆、阿部 公一(ドーコン)
、森 智志(日本上下水道設計)
水流 純男(パシフィックコンサルタンツ)
、宇佐見貞彦(八千代エンジニヤリング)
今川 牧子(日本廃棄物コンサルタント協会)
○廃棄物研究財団 6名
八木 美雄(専務理事)
、平塚 勉(事務局長)
、高林 光治(経理担当部長)
近藤 和義(企画部長)
、藤本 正(3R活動推進フォーラム事務局長)
藤波 博(調査部長)
4.意見交換の概要
財団から、平成21年度事業報告、22年度事業計画、公益法人制度改革への対応などについて説明が行われた後、意
見交換が行われた。その概要は次の通り。
(1) 公益目的事業比率について
協議会側から公益認定への移行基準のうち公益目的事業比率が50%以上超えなければ公益財団法人の認定が受け
られないと聞いているが50%以上とは何を指すのかとの質問があり、財団側から、公益受託事業費用分の全体の費
用(管理費及び管理等事業費、受託事業費)で割った数値が50%を超えることである旨の説明があった。
(2) 財団の事業について
協議会側から、環境省等からの財団の受託事業がコンサルタント業界と競合するのではないかとの意見が出され
た。それに対し、財団側から、財団の業務は、国ベースでのガイドライン作成等行政施策に資するものに限定しコ
マーシャルベースに関連するものは行わないことを原則としてコンサルタント業界と競合しないように配慮してお
り、業務内容によってはコンサルタント会員の協力を得て共同実施している案件もある旨の説明があった。
(3) その他
財団側から、公益法人制度改革にあたっては、財団としては、平成23年中に、公益財団法人への移行認定を目指
す旨の説明があった。
(文責:平塚 勉)
93
環 境 省 大 臣 官 房 廃 棄 物・リ サ イ ク ル 対 策 部( 26 階 国 会 側 )
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
財団のうごき
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廃棄物研究 財団・3Rだより
(No.80 2011.1)
3R活動推進フォーラムのうごき
3R活動推進フォーラムのうごき
3R・循環フォーラム in 埼玉 を開催
環境省廃棄物・リサイクル対策部循環型社会推進
室室長 大森恵子氏
◆基調講演2
・「循環型地域づくりと市民の役割」
NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネット理
事長 崎田裕子氏
◆第1分科会、一般廃棄物(現状と課題について)
ファシリテーター 山本耕平氏 (株)ダイナックス都市環境研究所
話題提供者 釜井孝夫氏 宇都宮市環境部廃棄物対策課長
河井一広氏 横浜市資源循環局総務部資源政策課長
堀 寛明氏 京都市環境政策局循環型社会推進部
企画担当課長 ◆第2分科会、産業廃棄物(改正廃棄物処理法と低炭
素社会への対応について)
ファシリテーター 長岡文明氏 BUN環境課題研修事務所主宰
話題提供者 佐藤 泉氏 佐藤泉弁護士事務所
加藤宣行氏 社団法人全国産業廃棄物連合会
滝口千明氏 白井エコセンター株式会社
埼玉県と3R活動推進フォーラムの共催で「3R・
循環フォーラム in 埼玉∼地域から考える3R・循環
型社会∼」を平成22年10月18日(月)、さいたま市大宮
ソニック市民ホールで開催。このフォーラムでは、3R
制度や循環型社会の形成を目指すにあたって、市民・
NGO/NPO、事業者・行政が一体となった取組みが必要
であることから、これら様々な主体が一堂に会し地域
での資源循環や一廃・産廃の適正処理などについて、
各主体が持っている知識や経験を交換し、参加者一人
一人が、地域においてどのような行動が出来るかを考
えるため考えるため開催したもの。話題提供として、
国、NPO団体、地方自治体、企業の皆さんからプレ
ゼンテ―ションしていただき、その後シンポジウムを
行いました。地方自治体、企業、団体などの3R関係
者約100名が参加しました。
【プログラム】
◆開会挨拶 埼玉県星の環境部長、3R活動推進フォ
ーラム八木美雄専任理事
◆基調講演1
・「循環型社会の形成と地域循環圏」
◆第1分科会【一般廃棄物】
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R活動推進フォーラムのうごき
◆第2分科会【産業廃棄物】
東海3県1市グリーン購入キャンペーン説
明会でRマークについて説明
12月15日に名古屋市庁舎で
また、水戸市には藤波調査部長が参加。桜川流域に
て清掃活動を行い、その後、水戸駅周辺で"空き缶のポ
イ捨て防止・地域美化推進への協力"を通行人にお願い
した。
スチール缶リサイクル協会の昭和48年から行われて
おり、水戸が482回目となる。
3R活動推進フォーラムも協力する東海3県1市グ
リーン購入キャンペーンが1月15日(土)から2月14
日(月)まで、愛知県、三重県、岐阜県、名古屋市で
約4,300の店舗が参加して行われた。
これに先立って、昨年の12月22日(水)午後2時か
ら、名古屋市東庁舎5階大会議室で事業者などを対象
に説明会が開催され、3R活動推進フォーラムからは
藤本事務局長が出席してRマークについて20分程度説
明した。
説明会では、事務局から、グリーン購入キャンペー
ンについて、またグリーン購入ネットワークからグリ
ーン購入の推進について、それぞれ説明があり、引き
続きエコマーク、Rマーク、バイオマスマーク、FS
C(森林管理協議会)認証制度について、各運営団体
から説明が行われた。
スチール缶リサイクル協会の散乱防止・美
化キャンペーン
スチール缶リサイクル協会が今年度実施した散乱防
止・美化キャンペーンのうち、9月4日に松山市で行
われた第2回目と、11月6日に水戸市で行われた第3
回目に、3R活動推進フォーラムも参加した。
松山市には当フォーラムから八木専任理事と藤本事
務局長が参加。朝8時から梅津寺(ばいしんじ)海岸
にて清掃活動、また10時から大街道商店街にて“空き
缶のポイ捨て防止・地域美化推進への協力”をお願い
する啓発活動を実施しました。
松山市の梅津寺海岸で
96
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R活動推進フォーラムのうごき
水戸市の桜川河川敷での清掃活動(上)と
水戸駅周辺での啓発活動(下)
クリ−ン作戦は終了となりました。
終了後はJR水戸駅前に移動、スチール缶リサイク
ル協会主催の「散乱防止・美化キャンペーン」が10時
から始りました。参加メンバーが駅前の各所で、駅に
向かう人、列車から降りてくる人など、駅前を往来す
る皆さんにグッズを配布しながら「街をクリーンに、
不法投棄はやめましょう」と声をかけ、予定していた
キャンペーングッズは約1時間ですべて配布済みとな
りました。
◆桜川水系クリーン作戦・水戸駅前散乱・
防止美化キャンペーンに参加して◆
調査部長 藤波博
平成22年11月6日(土)9:00から1時間、スチール
缶リサイクル協会のメンバーの皆さんと一緒に、水戸
市の市街地を流れる桜川水系のクリーン作戦に参加し
ました。この桜川は、公共下水道の普及が進んで、川
の水質が大幅に改善したことから、平成17年度ぐらい
からサケが遡上するようになったとのことでした。
キャンペーン当日の朝は、少し肌寒い感じでしたが
快晴に恵まれ、メンバーは、みんな元気に、中には眠
そうな人もいましたが、Tシャツ、帽子、タスキをか
けて、いざ出動、市役所に到着。市役所職員から、「お
はようございます」と声をかけられ、主催者からのあ
いさつが終わると、私たちは約3㎞ある桜川を担当。
地元の町会・自治会の皆さんと一緒に現場に移動、そ
して一斉に清掃活動が始まりました。地元の人からは、
「どちらから来たの」と声をかけられたり、市の職員さ
んやスチール缶リサイクル協会の皆さんとコミュニケ
ートしながらごみ拾い、あっという間に1時間が過ぎ、
97
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
3R活動推進フォーラムのうごき
今回、市民・事業者・行政の皆さんと一緒になって
行動することで、「クリーンな町づくりの体験・経験」
を肌で感じることができた大変良い機会でありました。
新年度においても、このような機会があれば積極的に
活動に参加しながら、他団体との交流を深めていくと
ともに、現場からの声を積極的に仕事に生かせればと
思ったしだいです。
スチール缶リサイクル協会の皆さん、水戸市役所の
職員の皆さん、水戸市民の皆さん、大変お疲れ様でし
た。
遠藤佐知子
東川直行
澤井弘行
田中裕二
加納敏之
山崎 敬
山脇 敦
企画・運営委員会開催
神田金弦
浅井 宏
貴田晶子
八木美雄
◇環境省
鳥毛暢茂
平成21年1月12日(水)に法曹会館(東京都千代田
区霞が関1-1-1)で平成22年度企画・運営委員会を開
催した。冒頭、八木専任理事、坂川環境省廃棄物・リ
サイクル対策部企画課長が挨拶。坂川課長は、「今後循
環型社会構築にあたって、低炭素社会構築との統合的
取り組みが重要」と話し、関係機関の連携を強調した。
この後、委員長に八木専任理事を選出して、平成22年
度事業報告(案)、平成23年度事業計画(案)について
意見交換を行った。
<委員出席者> 坂川 勉
環境省廃棄物・リサイクル対策部企画
課長
大森恵子
環境省廃棄物・リサイクル対策部 企画
皆川裕也
近藤祐介
◇事務局
藤本 正
藤波 博
挨拶する環境省の坂川企画課長
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課循環型社会推進室長
経済産業省産業技術環境局リサイクル
推進課 国土交通省総合政策局事業総括調整官
室建設副産物企画官
農林水産省食品環境対策室
(財)家電製品協会環境部長
建設副産物リサイクル広報推進会議幹
事会幹事長
(財)日本鉄鋼連盟技術環境本部
(財)産業廃棄物処理振興財団適正処理
推進部次長
全国地区衛生組織連合会専務理事
日本鉱業協会技術部次長
(一社)廃棄物資源循環学会副会長
3R活動推進フォーラム専任理事
廃棄物・リサイクル対策部企画課循環
型社会推進室室長補佐
廃棄物・リサイクル対策部企画課循環
型社会推進室循環企画係
廃棄物・リサイクル対策部企画課循環
型社会推進室
3R活動推進フォーラム事務局長
3R活動推進フォーラム調査部長
廃棄物研究 財団・3Rだより
(No.80 2011.1)
全国を歩く
佐 賀 市 に て 、「 鯱 の 門 」 の こ と
財団法人廃棄物研究財団 専務理事
3R活動推進フォーラム 専任理事
八木 美雄
多くの逸材が新政府に登用されています。
昨年11月、「第5回3R推進全国大会」が佐賀市で開催
されました。同時期、2010佐賀インターナショナルバ
ルーンフェスタも開かれ、街は華やかなムードに溢れ
ていました。
さ が じん
ところで、大会準備の合間、ふと立ち寄った佐 嘉 神
じゃ
社で、大きな大砲に出会いました。
なお ひろ
佐嘉神社は、十代藩主・直正と十一代藩主・直 大 を
祀るために、昭和8年(1933)に社殿が造営されました。
その際に、鳥居の前に、大きな大砲(カノン砲)と陳
列室内にアームストロング砲が据えられたようです。
繰り返しますが、大砲は、鍋島藩の力を象徴するもの
だったのです。
1.佐賀藩
佐賀藩(藩主・鍋島氏)は、35万7千石を領し、石高
別ランキングでは、9位長州藩(毛利氏)36万石と11位
御三家水戸藩35万石との間、10位にランクされる、西
国の雄藩でした。
鎖国の中で唯一の対外窓口であった長崎と近かった
こともあり、佐賀藩は、福岡藩と1年交代で長崎警備を
幕府から命じられていました。
幕末になると、欧米の黒船が日本との通商を求めて
度々長崎にやってくるようになり、佐賀藩としては、
是が非でも長崎警備のため近代的大砲を装備する必要
に迫られました。
幕末の名君の一人として知られる、十代藩主・鍋島
直正(1812-71)は、藩政改革を推進して財政再建や人
材育成に取り組むとともに、“蘭癖大名”と呼ばれるほ
ど西洋技術導入に熱心でした。
その結果、嘉永3年(1850)には、城下築地に反射炉
を築き、日本で最初の鉄製大砲の鋳造に成功し、幕府
から大量の大砲の注文を受けるほどになりました。佐
賀藩の大砲に代表されるその優れた軍事的能力は、や
がて、倒幕を目指した薩摩、長州、土佐を主力メンバ
ーとする官軍に必要不可欠なものとなって行きます。
佐賀藩は、幕末の最終段階で中央政局に乗り出し、
大砲(カノン砲そしてアームストロング砲)によって、
官軍の軍事力の中核的存在となり、倒幕に大きく貢献
しています。
明治になると、倒幕に功績のあった薩長土肥(薩摩
そえ
藩、長州藩、土佐藩、肥前藩
(佐賀藩)
)
の佐賀藩からは、副
じま たね おみ
え とう しん ぺい
おお くま しげ のぶ
おお き たか とう
さ の つね たみ
島 種 臣 、江 藤 新 平 、大 隈 重 信 、大 木 喬 任 、佐 野 常 民 ら
佐嘉神社(2010.11)
カノン砲とアームストロング砲(右奥)
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
全国を歩く
しゃち
2.
「鯱の門」
、佐賀城
賀藩の歴史を知ることのできる佐賀城本丸歴史館(入
場無料)として一般公開されています。
佐賀城は、低平地である佐賀平野の中心に位置し、
一辺約700m、幅約70mの大きな水濠(内濠)で囲まれ
ていました。“平城”に分類される城で、東南部に本丸
が置かれ、そこに石垣が築かれ五層の天守が聳えてい
ました。
享保年間(1716∼36)に、天守を含め多くの建物が
焼失しました。江戸時代、江戸城、大坂城など多くの
天守が火災に会って焼失しましたが、平和時に武力と
権威の象徴たる天守を構える必要性も薄れ財政上の制
約も加わり再建されないことが多くなりました。佐賀
城も例外ではなく、天守は再建されず天守台の石垣だ
けが残されました。
時は移り、明治になると、幕藩体制の名残・象徴と
いうことで、城の建造物の多くが破却され、その跡地
は、陸軍の駐屯地や官庁、公園などに転用されました。
佐賀城について見れば、現存する建造物は、本丸入
口に位置する「鯱の門」
(国指定重要文化財)だけです。
なお、平成16年には、本丸御殿が再建され、内部は佐
3.佐賀の乱
ところで、
「鯱の門」には銃痕が残されています。
明治になり、幕藩時代に特権階級であった武士層の
多くは、新時代に対応できず困窮していきました。
そこに、佐賀藩を代表して新政府の高官(司法卿、
のちの法務大臣)となっていた江藤新平が征韓論に敗
れて東京から戻ってきました。
しま よし たけ
不平を募らせた士族・約1万人は、江藤新平、島義勇
らを担ぎ出し、明治7年(1874)2月、薩摩と長州閥で
固められた明治新政府に反乱を起こしました。「佐賀の
乱」です。
佐賀城をめぐって戦いは繰り広げられ、その時、銃
痕が鯱の門に残されたのです。新政府側は、コトを重
大視し、完全装備の最新鋭の軍隊を投入し、反乱を一
気に鎮圧しました。
やがて、首謀者である江藤新平は捕えられ、島義勇
とともに、斬首の刑に処せられました。
ほんぎょうじ
江藤新平(1834-74)の墓は、本行寺にあります。墓
前での前で、霊を慰めながら、ふと、思いました。
幕末の佐賀藩に栄光をもたらした名君・鍋島信正と
明治の新時代に志半ばで無念にも散った江藤新平。二
続櫓と鯱の門
本丸御殿入口と鯱の門
築地反射炉跡
100
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
全国を歩く
人を知る生き証人は、歴史の風雪に耐えて現存する
「鯱の門」だけなのだと。・・・
・・・・・・・・・・・・・・
佐賀の乱の3年後、西郷隆盛は、西南戦争を起こしま
した。次回は、幕末の雄藩の一つ、薩摩、鹿児島市を
訪ねることにしましょう。
江藤新平の墓
江藤新平の墓・案内図
N
長崎本線
JR佐賀線
至博多
至長崎
築地反射炉跡
文
日新小学校
本行寺
シ
ン
ボ
ル
ロ
ー
ド
︵
中
央
大
通
り
佐賀県警 ︶
佐賀市役所
繁
華
街
愛
敬
町
佐賀神社
国道264
国道207
大隈重信生家
佐賀県庁
サガテレビ
与賀神社
美博
術物
館館
101
佐賀城
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
いつでも食べある記
食いしん坊M田の
帰ってきた「いつでも食べある記」
∼新春特別編∼
株式会社 日水コン
東部下水道事業部計画管理部第2課 町田 直美
分多くの人の支持を得る固さ。「ごぼう」絡みで試した
が、温かい蕎麦よりも冷たい蕎麦の方が美味しい。
店の雰囲気はといえば、小学生以下は入店禁止とう
たっているだけあり、静かな緊張感はある。財団勤務
中、お昼に2回行っただけなので、夜の様子がわから
ないが、お昼からお酒を頼んでいるグループは結構い
る。ふらっと入る店というよりは、目指して来る店だ
ろうから、それもある意味当然か。
そば湯は、濃度がとても濃くて美味しい。美味しい
のだが、メニューに「100円」と見つけると、美味しい
ものを食べた幸福感が割引されるのは、私の修行の足
りなさなのか?!
個人的には、以前書いた「たけがみ」の方が接客も
よく好みである。
今号が新春特別号であることにちなみ、思い切っ
て豪華にミシュランガイド東京版の中から、いくつか
書いてみることにする。
とはいえ、手が届く範囲の贅沢にとどめるので、も
しお近くをお通りの際、入店するかどうかの参考にし
ていただければ幸いである。
2010年の年末に有楽町西武や某超高級イタリアンレ
ストランが閉店したことは、バブル景気経験者の筆者
の胸を締め付けた。朝日新聞東京本社に変わって建て
られ、1984年開業の某百貨店の跡には、JR東日本系の
ファッションビル「ルミネ」が開業するとのこと
(2011年秋予定)。通称マリオンができる前の映画館の
姿を知っている者にとっては、なんだかとっても歳を
とったような気がする。『風と共に去りぬ』や『熱いト
タン屋根の上の猫』、『雨に歌えば』といった名画が2
週間毎に上映されていた、閉館間際のお祭りに有楽町
まで通った頃は、今の自分とは随分違う未来を描いて
いたな、という思いもある。
それはさておき、往年の銀座の雰囲気に熱い思いを
抱きつつ、ミシュランガイド東京版の検証?!を食いしん
坊M田なりに試みてみる。
1. 財団から最寄りの★獲得店。堂々と昼
酒を飲めそうだが・・・
まずは、財団から歩いて行ける①「ほそ川」だ。過
去に3R関連イベントで知り合った流通業界や出版業
界の方々の中には財団が両国にあるというと、この店
の名を言って目を細める方が少なからずいた。そんな
に美味しい蕎麦なのか?!と興味はあったものの、初めて
行ったのは元財団主任研究員S氏の送別会だった。
ここでのお勧めもやっぱり冷やごぼうそば(1,650
円)。他のせいろ(1,050円)や田舎そば(1,100円)に
比べて、そばの量が多いのもいいし、ごぼうの香りが
かぐわしい。(普通の方はせいろやかけそば、田舎そば
ではとても足りない!)
勿論、蕎麦は美味しい。そばの香りが心地よく、多
季節限定の人参天ぷら。オレンジ色が濃くて甘い。他は
急いで食べてしまったので写真が撮れない。あしからず。
営業時間は11:45∼15:00、17:30∼20:45 であ
るが、定休日が毎週月曜日、第三火曜日なのでご注意
を。
(日曜、祭日は営業)
2. 落語の帰りは和もので〆たい。時間的に、
てんぷらか串揚げの気分だが・・・
今の銀座・有楽町界隈は、老舗文房具店や呉服店、
靴店、レストランも残っているが、ファストフードな
102
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
いつでも食べある記
なお、自家製パンを勧められたが、パンよりは揚げ
ものもう一品、派の筆者は敢えて遠慮しておいた。あ
とで調べたら相当に美味しいものだったらしく、少し
残念な気も。
設定はコースのみで、お腹一杯になったらストップ
をかけるようだが、ベースは20本一万円。筆者はもち
ろん、いくつか「追加」をお願いしたが、二人で50本
弱だった。
お酒はビール、日本酒、焼酎も置かれているが、赤
白軽いものからどっしりタイプまで種類は豊富だそう
である。
お会計をして一瞬怯んだほどだったので気軽に行け
る店ではないが、満足度は高い。何かいいことがあっ
て、揚げものが食べたい気分の時に選ぶ店かもしれな
い。ただし、お酒の量は加減が必要である。
営業時間は14:00∼23:00(L.O.22:00)で、火曜定休である。
らぬファストファッションの店もあれば、店の入口に
ドアマンがいる超高級ブランド店もある。
そして、中国人はじめ、アジア系外国人の方が多い。
ニュースで、銀座の客の3、4割は中国人と言ってい
るのも聞いたことがある。
個人的には、変に安っぽく流されず、和の雰囲気を
たっぷり残しておいてもらいたいのだが、銀座は街の
雰囲気を保とうとする商店主も多いそうなのであまり
心配はないのかもしれない。一ファンとして、たまに
様子を見に行けばよいか。
そんなことを思いながら、中央区にある公の施設
「銀座ブロッサム」で落語を聞いたある日、食事は和も
ので〆るつもりで店を探した。銀座ブロッサムとは、
松屋(牛丼の店ではない!)のグループ会社が指定管
理者となり、ホール、宴集会室、レストラン、結婚式
場を管理し、なんと「結婚活動支援事業」まで行って
いる。イベントごとに募集年齢の設定はあるようだけ
れど。
それはさておき、天ぷら屋はラストオーダーの時間
を過ぎていたので、串揚げを目指して銀座5、6丁目
に向かううち、思い出したのが②「六かく燈」だ。こ
の辺りは非常に串揚げの店が多く、老舗「銀座磯むら」
(ここは少し離れているが)や「串の坊」の他、最近、
首都圏のデパ地下に進出している神戸「串乃家」もあ
る。なぜ、こうも串揚げの店が集中しているのだろう。
銀座という場所柄、おしゃれで軽く、高いお食事に向
いているのかもしれない。私たちが行ったときは、他
に客がいなかったけれど。
さて、この六かく燈、やはり大阪に本店のある店だ
そうだ。バーニーズ・ニューヨーク銀座店のビルの4
階にある。入口がややわかりにくいが、暗くもなく雰
囲気のいい内装。
いよいよスタートして、まず目につくのはお皿の上
のKavliのクリスピーシン。このクリスピーシン、Cars
ほどメジャーではないが、チーズのお供に出されて嬉
しいクラッカーである。その絶妙な味のクラッカーに、
こんなところで会えるとは。
香り豊かなえんどう豆のコロッケ?や蒟蒻、白身魚
にトンブリのトッピング、小鯛に山椒塩など珍しいも
のが多く、とても楽しい。また、デザートが相当に美
味しい。一緒に行った者に言わせると、デザートだけ
ならばこれまでのベスト3に入る程だそうだ。
ついでにもう一つ、同じような使われ方をする店を。
こちらはミシュランには載っていないが、以前ある野
球選手が日本に帰ってきたら必ず寄る店としてテレビ
で紹介していた店である。自他共に認める食いしん坊
の、在京球団からメジャーリーグへ行き今年から楽天
で日本球界に復帰した選手が、間違いなしと言ってい
た。筆者が青山の美容院への道すがら見かけており、
テレビ画面からも良い雰囲気が伝わってきたので気に
なっていたのだ。その店とは、表参道の伊藤病院の横
を入ったところの地下にある、③鮨「えん」だ。
美味しいことは美味しい。江戸前のいい寿司で、シ
ャリも小ぶりでホロっとほどける。接客も、常連客に
囲まれた我々に対し、それなりに気遣いのある対応を
してくれた。しかし、「美味しそう∼」と言われつつも
五分以上「置き去り」にされたり、残された寿司の隣
にそばにいることは、何よりも寿司を愛する食いしん
坊にとってはなかなか耐えがたいことであった。
ということで、寿司が食べたくなった時は、ちゃん
と新宿や築地や銀座の贔屓の店に行くことにしよう、
と固く心に誓ったのであった。
3. 店の構えも味のうち?!文豪も愛した老舗
とやらは・・・
今年、ミシュラン新登場の店の中に、④すき焼き
「江知勝」がある。筆者がここに行ったのは、実は20年
以上前のことである。予備校時代、思えば筆者が食い
しん坊の道に本格的に歩むことになるきっかけを作っ
た食通の講師が、初めて「会費制」で連れて行ってく
れた店である。それ以外は、原則「ゴチ」だった。
湯島天神の近く、春日通り沿いのこの店は、夏目漱
石や芥川龍之介、川端康成も訪れたらしい。また、東
京大学が近いこともあり、よく年配の方の同窓会が催
豊富なたれ。串の向きでお薦めの塩やたれを教えてく
れる。レモンは種が出ないようネットの中。
103
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
いつでも食べある記
うなぎの⑤「尾花」もミシュラン新登場組だ。南千
住という、東京出身者でも「??」という場所にあり
ながら、古くから固定ファンがいる店である。下町に
似つかわしくない黒塗り高級車が行列するため、近所
に住む英会話インストラクターが訝しがっていた。
されているとの噂も聞く。
まず驚いたのは、この店の造り。それまで、料亭の
ような造り、つまり一度トイレに立ったらもと居た部
屋がわからなくなるような造りの店は行ったことはな
かった。
今なら迷子になることもないかとは思うが、まだ大
学生にもなっていなかった私は、仲居さんに迷ったこ
とを伝えるのも恥ずかしかった。
仲居さんのお肉への愛情のあまり、やや急かされな
がら食べるすき焼きは、肉の質がストレートに伝わり
幸福感が味わえる。
すき焼きコースに付く、刺身や焼き魚といった「前
菜」も勿論美味しいのだが、できればすき焼きから始
めたいと思ってしまうのは、果たして自分だけか。
日曜、祝日(8月の土曜も)は休みで、営業時間は
17:00∼21:30(L.O.21:00)。日が落ちるのが早い冬ならば、
もう少し早くからやってくれたらいいのに、と、つい
願ってしまう素敵な店である。
すき焼きは夜だが、うなぎは断然昼だろう。夏の午
後、自然の風を受けながら、冷酒とともにうざくや肝
焼きをつまんで白焼きやかば焼きをゆったりと待つ。
これを初めて体験した31歳の時、「日本人の大人でよか
った∼」と実感したものだ。営業は、火∼金11:30∼
13:30、16:00∼19:30、土・日・祝は11:30∼19:30で月曜
定休。いずれもうなぎがなくなり次第終了なので、予
約してからの来店をお勧めする。
今回改めて行ってみたいと思った店ベスト1である。
かば焼きをお土産に頼むのも忘れないようにしたい。
ただ、今は繁忙期。昼間からうなぎ屋で冷酒が飲める
のは、当分先になりそうである。
104
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
いつでも食べある記
①蕎麦「ほそ川」
都営大江戸線「両国」駅より徒歩30秒、JR「両国」駅より徒歩5分
②串揚げ「六かく燈」 東京メトロ丸の内線「銀座」駅より徒歩4分
(JR「有楽町」駅、東京メトロ銀座線、日比谷線「銀座」駅も利用可)
③鮨「えん」
東京メトロ銀座線、半蔵門線、千代田線「表参道」駅より徒歩3分
④すき焼き「江知勝」 東京メトロ千代線「湯島」駅より徒歩5分、JR「御徒町」駅より徒歩12分
⑤うなぎ「尾花」
JR・東京メトロ・つくばエクスプレス「南千住」駅より徒歩5分
第一ホテル両国●
日本大第一高●
交
詢
通
り
江戸東京博前
交差点
都営大江戸線
両国駅/A3出口
江戸東京博物館●
交詢ビル
ディング四階
■ほ
そ
川
六かく燈
両国国技館
●
ギンザコマツ
み
ゆ
き
通
り
晴
海
通
り
スエヒロ
和光
ニューメルサ
中央通り
JR両国駅 東口
銀座松屋
国道14号線(京葉道路)
①蕎麦「ほそ川」
銀座コア
②串揚げ「六かく燈」
南青山
三丁目
神宮前
表参道
●ヒルズ
京成上野
上野公園前
"$
鮨えん■
銀座三越
不忍通り
湯島天神
入り口
●藤病院
■
江知勝
表参道
南青山
春日通り
湯島天神
湯島
JR
上野御徒町御
徒 仲御徒町
町
上野三丁目
上野
広小路
湯島中坂下
山手
線
常磐
線
北青山
南青山
五丁目
③寿司「えん」
④すき焼き「江知勝」
南
千
住
小塚原
日向院
南
千
住
南口
尾花■
常磐線
つくばエクスプレス
東京メトロ日比谷線
南千住
二・三丁目
⑤うなぎ「尾花」
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廃棄物研究 財団だより(No.80 2011.1)
私の趣味
私の趣味(14) 落 語
(株)ダイナックス都市環境研究所 代表取締役
山本 耕平
ています。
落語は短い笑い話すなわち「小噺」からいろいろと
脚色されて一遍のドラマ仕立ての噺になりました。噺
の結末にオチをつけるので「落とし話」が転じて「落
語」になったというわけです。噺の元は今昔物語や宇
治拾遺物語などの説話にまでさかのぼるそうですが、
安楽庵策伝という人が1623年に作った「醒睡笑」に現
在の古典落語の元になる噺が見受けられます。また江
戸中期以降は、滑稽本や狂歌の作者などが落語の元ネ
タになる噺をつくったともいわれています。
現在のような落語のかたちが整ったのは明治時代で、
古典落語の中にもチョンマゲ時代の話を明治に置き換
えたものがたくさんあります。
きっかけは落研
それほど凝っているわけではないし詳しくもないの
で、趣味というにはおこがましいのですが、「落語」に
ついて書いてみたいと思います。
落語を聞き始めたのは高校で落語研究会に入ってか
らです。昭和45年に兵庫県立姫路西校等学校に入ると、
中学の友達に誘われて出来て間もない落研に入りまし
た。ちなみに落研とは何の関係もありませんが、人間
国宝の桂米朝師匠は旧制姫路中学時代の大先輩にあた
ります。
落研を創部したのは、のちに東大に進学した文学か
ぶれの3年生2人で、落語をやるわけではなく後輩にや
らせることを楽しんでいたようです。落研なのに文化
祭ではモリエールの喜劇を元にした脚本を書いて、初
めての芝居をやらされたことを思い出します。2年生は
屋号をつけたり着物を着たり、噺家ぶって古典落語を
演じておりました。校内での発表会や文化祭では、下
手な噺をいくつか披露した覚えがあります。
東京の大学に入ってからは落語とも縁が切れていま
したが、数年前に久しぶりに浅草の寄席をのぞいてか
らまた落語を聞き始めました。寄席にはこぶ暇はない
ので、もっぱらCDで楽しんでいるだけですから、趣味
といえるほどのものではありませんが、ちょっとだけ
蘊蓄を傾けてみたいと思います。
上方落語と江戸落語
私がもっぱら聞いているのは「上方落語」です。江
戸落語も聞きますが、聞き慣れないと言葉が早口でわ
からない。これは大阪言葉に慣れない人が上方落語を
聞いたときも同じだと思いますが、江戸落語の言葉の
ほうがもっと聞き取りにくいような気がします。
さて上方落語と江戸落語は言葉だけでなく演じ方に
も大きな違いがあります。上方落語は見台(けんだい)
と膝隠しを前に置いて、場面転換には小拍子(小さな
拍子木)で見台を叩いたり、「はめもの」と呼ばれる音
曲を入れたりしますが、江戸落語では使いません。
上方落語と江戸落語には共通の噺がたくさんありま
すが、明治時代に上方落語から江戸落語に七十以上の
ネタが移行され、江戸風に焼き直されて演じられてい
るそうです。「時そば」とか「長屋の花見」といった有
名なネタも、元は上方落語の「時うどん」「貧乏花見」
が江戸落語に移されたもの。逆にNHKの朝ドラのタイ
トルにもなった「ちりとてちん」という噺は、江戸落
語の「酢豆腐」が上方落語に移されたものです。
また江戸落語には「芝浜」とか「紺屋高尾」「牡丹灯
籠」といった人情噺が多いが、上方落語は人情もので
落語の起源
落語の起源は東西ともに江戸時代中期です。上方落
語は京都の露の五郎兵衛、大阪では米沢彦八という人
が、道端で滑稽な噺を披露して銭を稼いだ「辻咄」(つ
じばなし)がそのはしりとされています。江戸でも同
時期に鹿野武左衛門が芝居小屋や風呂屋で「座敷仕方
咄」を始めました。上方は神社仏閣の境内など野外で
見台を叩きながらやったので、今でもその名残が残っ
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廃棄物研究 財団だより(No.80 2011.1)
私の趣味
郎と立場が逆転するあたりのやりとりが面白い。
もあちこちにくすぐり(笑えるところ)が入れてあっ
て、しっとり聞かせる噺は少ないという違いがありま
す。上方落語にははめものを使った浄瑠璃や芝居(歌
舞伎)をネタにした噺が多くあります。江戸落語にも
上方から移された浄瑠璃や芝居噺も多くありますが、
はめものがない分、演じ方がかなり違います。
宿屋仇
大阪の宿屋に侍が「今宵は静かなところで休みたい。
」
と言って泊まった。後から伊勢参り帰りの三人連れが
侍の隣の部屋に泊まって大騒ぎをする。侍の苦情に寝
ることにしたものの、なかなか三人は寝られない。布
団の上で相撲を取る羽目になってまたまた大騒ぎし、
怒った侍がまたしても苦情を言う。それでは色話なら
と始めるが、三人のうち源兵衛が武士の人妻と不倫し
て亭主を殺してしまったと話す。この話にまたまた盛
り上がって大騒ぎになる。隣の侍は「とうとう弟の仇
をみつけた。明日の朝まで取り逃がすな」と番頭に言
いつける。そのことを伝えられた三人は震え上がっ
て・・朝になって「あれはうそ」「何でそんな嘘つかは
りますねん。」「ああ言わねば、身共を夜通し寝かしよ
らぬ。」
桂米朝
戦後、上方落語は衰退の危機にありましたが、後に
上方落語四天王と呼ばれた桂米朝、笑福亭松鶴、桂春
団治、桂文枝らが復興に尽力しました。特に、彼らが
また若い内から弟子をたくさんとり、噺家を増やした
こと、滅びかけたネタを掘り起こしたことが大きな功
績です。
桂米朝はスケールの大きな文化人で、東京の大学時
代に作家・芸能研究家の正岡容(まさおかいるる)の
門下生となり、消滅の危機にあった上方落語の復興を
めざして四代目桂米團治に入門しました。ちなみに五
代目米團治は米朝の長男が継いでいます。米朝は戦前
から寄席や芝居の舞台をものすごく見ていて、一回し
か聞いたことのない落語を復活させたりしていますか
ら、その記憶力もすごいものだと思います。
実は高校の時に米朝師匠に手紙を書きました。「母校
に落語研究会ができました。ついてはそのごあいさ
つ・・」といった他愛のない手紙でしたが、「今は落語
家はやめているが、学校の近くに兄弟弟子がいるので
訪ねていっていろいろと教わりなさい・・」という丁
重な返事をもらいました。大学のときにたまたま帰省
していたら、高校から連絡があり、米朝師匠が来校す
るから会わせてやるといわれました。墓参に姫路に帰
ってこられたついでに、高校で講演するということで
した。校長室で何やら話をした覚えがあります。
代書
代書屋とも。代書屋とは今でいうと行政書士のよう
な職業。米朝の師匠であった四代目米團治(実際に代
書屋をやっていた)が創作した落語。戦前にできた新
作落語ですが、今は古典落語のように東京でも広く演
じられています。米團治から米朝に伝えられ、米朝か
ら春団治、枝雀に伝えられました。春団治のオハコの
ひとつになっています。
胴乱の幸助
胴乱というのは印章や薬などを入れて腰に下げるも
ので、昔のバスの車掌さんの黒い小さな鞄みたいなも
のらしい。タイトルは内容と何の関係もない。胴乱が
出てくることもないので、妙なタイトルである。趣味
がけんかの仲裁という「割り木屋のおやっさん」が通
りすがりの浄瑠璃の稽古やを覗く。ちょうど「お半長」
(「桂川連理柵(かつらがわれんりのしがらみ)」京の柳
馬場押小路に住む帯屋長右衛門と信濃屋の娘お半とが
恋に落ち、桂川で心中する悲劇)の「帯屋の段」、その
中でも姑の嫁いびりのところをやっていた。それを聞
いたおやっさん、稽古屋に飛び込みますが、浄瑠璃を
知らないので本当の出来事と思い込んで京都まで仲裁
に行くという噺。「お半も長右衛門もとーに死んでしも
たがな」「それやったら、汽車できたらよかった」とい
うのがサゲ。当時はまだ大阪と京を結ぶ三十石船があ
り、汽車も走っていた時代なので、明治初期の噺のよ
うです。この噺は浄瑠璃ができないとちゃんと演じら
れない。最近聞いた中では桂文珍が出色。浄瑠璃の語
好きな噺
上方落語の中から、私の好きな噺をいつくか紹介し
ましょう。
らくだ
この噺は結構長い噺です。らくだというのは人の名
前。家賃もおため(近所の祝い事のご祝儀のこと)も
払わない長屋の鼻つまみ者がふぐを食べて死ぬ。たま
たまやってきた熊五郎という仲間がこれを見つけて葬
式を出してやろうというわけで、通りかかった紙くず
やにらくだを背負わせて大家から香典と酒・肴を持っ
てこさせる。災難な紙くずやに酒を進めるうちに、熊
五郎と紙くず屋の立場が逆転して・・。六代目笑福亭
松鶴のオハコでした。紙くずやに酒が回ってきて熊五
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廃棄物研究 財団だより(No.80 2011.1)
私の趣味
300くらいはあるそうです。上方落語でよく聴く噺は、
推測ですが100くらいではないかと思います。落語は師
匠から弟子に口移しで伝承される話芸ですから、基本
的なところはどの噺家もほとんど同じです。ただ師匠
の違いや、それぞれの噺家の工夫で細かいところが違
います。演出の仕方も違ってきます。聴きどころのひ
とつは噺家ごとの、この違いを味わうことです。芝居
噺や浄瑠璃噺では、芝居の台詞まわしや浄瑠璃の語り
の上手下手によって噺の完成度が大きく違ってきます。
東京の寄席は落語がよくかかっています。木戸銭は
だいたい3000円くらいで、昼夜入れ替えなしだったら
昼前から夜の9時頃まで楽しめます。上方落語を東京で
聞く機会は少ないのが残念です。大阪の吉本や松竹の
演芸場はほとんど漫才や喜劇で、落語は少ない。そこ
で上方落語協会が天満天神繁昌亭という落語専門の寄
席をつくりました。残念ながらまだ行ったことがない
ので、これからの楽しみにとってあります。
落語は古典芸能の入り口としてもわかりやすい。そ
もそも歌舞伎もほとんど見たことがなく、浄瑠璃(上
方落語にでてくる浄瑠璃は文楽つまり人形浄瑠璃の義
太夫節のことです)などはまったく見たことがないの
ですが、こちらもたいへん興味を持っている芸能です。
りがうまい。
はてなの茶碗
京都の噺。油売りが茶屋で休憩していると、京では
有名な茶道具屋の金兵衛(茶金)が、茶屋の茶碗のひ
とつをこねくり回しながら「はてな?」と首をかしげ
た。これをみた油売りが茶金の店へこれを売りつけに
行くが、ヒビもないのに水が漏れるので「はてな」と
首をかしげただけとのこと。結局茶金は自分の名前を
買ってくれたに等しいと三両で買い上げた。この話を
関白・鷹司公に話すと「清水の 音羽の滝の 音して
や 茶碗もひびに もりの下露」という歌が詠まれた。
さらには時の帝にこの噺が伝わり「はてな」の箱書き
が加わって、鴻池家が千両で買った。茶金は油売りを
呼び出して半分の五百両を渡す。後日、油売りが大騒
ぎでやってくる。茶金が問い質すと、「今度は水瓶の漏
るのを持って来ました。
」
米朝が復活させた噺です。茶金が油売りに説教する
場面など、聞かせどころも多い。
落語の聴き方、楽しみ方
落語のネタはいくつあるかはよくわかりませんが、
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
小さなお客様
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小さなお客様
ある応接間の窓辺に毎日のように小鳥が訪れるという。しばし待つ
うちに「来た」という声に振り向きざまシャッターを切った。鳥には
詳しくないが、かん高い鳴き声からして百舌か。カーテンの模様が面
白いシルエットになった。
(奈良・川上ダム)
撮影・山村勝美 (財)廃棄物研究財団 顧問
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
新春クイズの答
新春クイズの答
Q1.
Q2. 言わざる 行政権 羽黒山 徳川家康 菊花賞 打点 B D A
C
E
E
C D A B
D A C
B
大阪 水戸 風災 越後
Q3.①しりません(線)
②担当者の気(木)が変わった
③めん類
E
④便秘薬・下痢止薬
⑤2本上げたら倒れるから
A B
E
C D
B D A E
⑥カラスの勝手です
C
Q4.黒先白死
Q5.五手詰
4
1 2 3
5
110
三1
同
六2
四3
五 2 成
まで5手詰
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
ごみ収集についてまとめた本邦初の本
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廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
編集後記
○新年明けましておめでとうございます。今年も各方面の皆様方のご協力を得まして「財
団・3Rだより」を発刊することが出来ました。あらためて御礼申し上げます。本年もよ
ろしくご指導、ご協力をお願いする次第であります。
○1月下旬には、日本海側を中心に大雪が降りました。各地域で、交通機関がマヒして、大
混乱です。私も1月末に札幌に出張しましたが、近年にない大雪、猛吹雪となった日々で
した。帰りは予約していた飛行機が欠航となり他の便に乗り換えたものの、滑走路の除雪
や猛吹雪のため飛行機が飛び立つのも2時間遅れで出発し東京に到着しました。待ち時間
には空港ロビーから猛吹雪の銀世界を見て、雪かきや買い物など北国に暮らしている人々
の生活が目に浮かびました。雪との戦いは大変です。早く春になあれ。
○寒い日が続いて関東地方はカラカラ天気です。乾燥注意報も出てインフルエンザも流行り
出しました。風邪をひかないように注意しましょう。
○第5回3R推進大会は、11月2日∼7日まで佐賀県で行われました。環境省、佐賀県さん
と一緒になって3R活動推進フォーラムも主催者の一員として運営に携わってきました
が、無事に終了することが出来ました。また。佐賀インターナショナルバルーンフェステ
ィバルも併設された会場内では、佐賀環境展が開催され、多くの皆さんがブースを訪れま
した。関係各位の皆様方に改めて紙面を借りまして感謝申し上げます。
(FN)
○先日、テレビのトーク番組を見ていて、がっかりしました。ある女性タレントが「ふろ水
を使って洗濯すると、夫が嫌がる」という話をしたとたん、今人気のタレントたちが、
「ぼくも嫌だ」「私も嫌」と言い出したのです。ふろ水を再利用しているのは少数派。当の
女性もまるで悪いことをしているような雰囲気でした。タレントという特殊な世界の人だ
から、「洗濯ぐらいきれいな水で」という感覚なのでしょうが、誰一人、「環境のために」
という言葉がなかったのが残念です。3Rを実践する人が肩身の狭い思いをする社会がま
だあることを再認識させられました。
(FM)
訃 報 財団法人廃棄物財団初代総務部長 奥野俊一氏(享年75歳)が平成22年12月1日に他界されました。謹んでお悔やみ
を申し上げます。
【訂正】
2010年12月発行の会員特集号56ページ掲載の「財団会員リス
ト」で、堺市の部署名が間違っていました。正しくは、「堺市
環境局環境事業部廃棄物政策課」でした。また、同じく71ペ
ージ掲載の「3R活動推進フォーラム会員リスト」で、大阪
府リサイクル社会推進会議の電話番号06-6944-0351は誤りで、
正しくは03-6941-0351でした。訂正して、お詫びいたします。
廃棄物研究
No.80(2011.1)
平成23年1月31日
発 行 人 杉戸 大作
発 行 所 財団法人 廃棄物研究財団
〒130-0026 東京都墨田区両国3-2
5-5 JEI両国ビル8階
TEL 03(5638)7161 FAX 03(5638)7164
印 刷
共立速記印刷株式会社
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http://www.jwrf.or.jp/
廃棄物研究 財団・3Rだより(No.80 2011.1)
大都市の焼却施設
大阪市環境局東淀工場
大阪市では、ごみ減量・リサイクルに取り組むとともに、日々排出される膨大なごみを迅速かつ衛生的に処理する
ため、ごみ焼却工場の整備充実に力を入れ、昭和55年の大正工場完成により、可燃性ごみの全量焼却体制を達成しま
した。限りある埋立処分地をできるだけ大切に使用していくためにも、これら焼却工場の整備充実は不可欠なもので
あり、今後のごみ量の推移などに応じ、老朽化した工場の整備や建替えを順次進めていく予定です。
そういう状況の中、東淀工場は施設の老朽化
に伴い平成12年度末に旧工場を停止、平成17年
12月より建替え工事を着工、平成22年3月に竣
工し、400t/日規模で本格稼動をしています。
新工場の建物は、落ち着いたシンプルなデザ
インとし、車路やスロープ及び建屋部にも緑化
を積極的に行い、景観に配慮しています。
公害防止対策として、高性能の排ガス処理設
備を備えて大気汚染物質を排出基準を十分下回
るまで除去します。
エネルギーの有効利用については、焼却廃熱
を使った蒸気条件の高温高圧化(4MPa、400℃)
による高効率発電など、余熱を積極的に利用す
るとともに、太陽光発電パネルを屋上に設置す
るなど自然エネルギーの有効活用にもつとめて
います。また、従来の非常用発電機に該当する
東淀工場全景
設備を常用発電機として設置し、需用電力が大
きくなる時に発電機を運転することで受電電力
のピークカットを行い、契約電力の低減を図り、
経費の削減につとめています。
なお、焼却灰を粒度選別し、処分地の路盤材として有効利用しており、埋立処分地のさらなる延命化にも寄与して
います。
【施設概要】
■名 称 大阪市環境局東淀工場
■所 在 地 大阪市東淀川区南江口3-16-6
■竣工年月 平成22年3月
■建 設 費 約195億円
■建物概要 鉄骨鉄筋コンクリート造(一部鉄筋コンクリート造・一部鉄骨造)
地下2階、地上7階建、塔屋付建物1棟
建築面積 約9,300㎡、延床面積 約30,000㎡
【設備概要】
■処理方式 ストーカ式ごみ焼却炉
■処理能力 400トン/日(200トン/日×2炉)
■燃焼ガス冷却装置 廃熱ボイラ
■排ガス処理設備 ろ過式集じん器、湿式有害ガス除去装置、脱硝反応塔
■余熱利用 蒸気タービン発電(最大10,000kW)、場内暖房・給湯