Contents - ビジネスブレイン太田昭和

お 客 さ ま と B B S を つ な ぐ コ ミ ュ ニ ケ ー ション ツ ー ル
vol.32
B U S I N E S S B R A I N S H O WA - O TA G R O U P N E W S
絵:日本絵手紙協会 公認講師 戸井宏美先生
Contents
特 集
事例紹介
INTERVIEW
新サービス紹介
小売業向け会計システム
小売業のビジネス構造に則した会計情報システムの構築例
内部統制の評価および監査制度への対応と現状
グランドデザイン策定サービス
特 集
小売業向け会計システム
小売業の業務構造に則した
ソリューション提案
近年のITの進歩は、
小売業のシステムにも、
大きな変化をもたらしています。
POSシステムやEOSの導入、
インターネットによる無店舗販売など、
販売系・仕入系システムの戦略活用は、
大手小売業だけでなく
中堅・中小小売業にも広がっています。
その一方で、
会計システムや人事・給与システムといった基幹業務系システムは、
執筆者
ひと昔前のシステムを利用しているケースが多いのが現状ですが、
株式会社ビジネスブレイン太田昭和 株式会社ビジネスブレイン太田昭和
ソリューション部
ACTコンサルティング部
シニアマネージャー
システムコンサルタント
松嶋 弘明
鈴木 亨
これらを販売・仕入システムと連携させることで、
業務効率のさらなる
効率化を図ることが可能です。
そこで今回は、
会計パッケージソフト「ACT-NetPro」をベースとした、
BBSの小売業向けソリューションについてご紹介します。
小売業の特徴と変化
小売業におけるシステム導入の現状
小売業におけるシステム導入を考えるうえで、
まずは小売業というビジネ
小売業の業務システムは、図1のように構成されるのが一般的です。
スの特徴について考えてみる必要があります。
このうち、販売管理システムや発注・仕入管理システムには、近年のIT
まず、構造的な特徴としては、
の進歩にともなって「POS※1システム」や「EOS※2」が中小企業にも
①小規模小売店が多く、面積・人口あたりの店舗数が多い
普及しています。
しかし、
その反面、会計や人事・給与といった基幹業
②卸売業などが介在する多段階の流通システムの末端に位置する
務系システムは、新システムへの更新が控えられる傾向にあります。
③製造業などに比べて利益率が低い
これは、経営者の意識として、
「売上」
「仕入」といった小売業の中心
などが挙げられます。
しかし最近では、郊外型ショッピングセンターなど大
業務に直結するシステムについては「投資」と捉えるのに対して、基幹
規模店舗が増加し、市街地型の小規模店舗が減少するといった変化
業務系システムは「コスト」と捉えがちであるためといわれています。
が起こっています。このため出店形態も、従来の主体であった路面店
しかし、前述の変化に対応し、
なお一層の効率化を図るためには、業務
型から、
テナント型やネット販売型へと変化する傾向があります。
系システム、特に会計システムを見直す必要があります。
また、経理面から見た特徴としては、現金販売が大半を占めるため、
「売
なぜなら、
「会計」とは企業が行うすべての活動を「お金」の動きに変
上債権が少なく、
買入債務が大きい」
といわれていました。
しかし、
クレジッ
換する仕組みであり、
これを記録・集計するのが会計システムだからです。
トカードや電子マネーの普及によって、
こうしたお金の流れにも、変化が
つまり、会計システムには、
さまざまな業務を「お金」という尺度で分析・
生じています。加えて、将来的には人口の減少が購買力の減少をもた
らすなど、小売業はさまざまな変化にさらされています。こうした変化に対
応しつつ、売上の拡大とコストダウンを一層進めるためにも、情報システ
評価し、可視化できるという特性があるからです。
※1 Point of Sales
※2 Electronic Ordering System
ムの有効活用が不可欠になります。
図1:小売業におけるシステム構成
販売管理
発注・仕入管理
人事・給与管理
会計情報システム
会計情報管理
資金管理
入出金管理
固定資産管理
会計システム
決算(管理会計を含む)
BBS GROUP NEWS VOL.32
小売業における会計上の特徴とシステム要件
特徴4:業績指標の多様性
小売業における会計上の特徴は、主に以下のようになります。
各店舗の業績を評価するにあたっては、店舗ごとの目標利益の達成度
特徴1:出退店計画の戦略化と資金運用
はもちろん、採算性、店長の運営業績評価、効率性など、
さまざまな視
特徴2:組織変更の頻度が多い
点からの評価が必要となります
(図2参照)。
特徴3:頻繁な支払処理
特徴4:業績指標の多様性
特徴5:取扱データ量の多さ
それぞれの特徴について検証するとともに、
そこからシステムに求められ
る要件を定義していきましょう。
特徴1:出退店計画の戦略化と資金運用
小売業において成長のカギを握るのは、出退店計画の戦略化です。
「集客が見込まれる地域への出店」
と
「不採算店舗の退店」
をスピーディー
図2:各種評価指標と使用する勘定科目
︵
売売
買上
粗・
仕
利入
広
告
費
店舗業績
○
○
店長業績
○
○
店舗採算
○
○
店舗効率
○
○
勘定科目例
評価指標
賃
借
料
︵
︵
償
却
費
支借
払入
利利
息息
︶
借返
入済
金︶
ほ
か
B
/
S
○
○
×
×
×
×※1
×※1
×※1
×※1
×
○
○
○
○
×
○
○
○
○
○※2
︶
※1 管理不能費とし、店長評価時には加味しない。
※2 投下資本(総資産)情報として利用する。
に計画し、実行に移す必要があります。
出退店の判断を的確かつタイムリーに下すためには、既存店舗の業績
基本となる利益達成度を計算するうえでも、課題が多々あります。たと
をさまざまな指標で判断する必要があり、
これについては特徴4で詳述
えば、人件費を正確に把握するためには、他店舗応援分なども適正に
します。
処理する必要があります。また、
テナント型出店の場合は賃借料などが
また、出退店計画を実行するうえで、設備計画(出店時の設備購入計
歩合性となるケースも多く、
その点にも配慮が必要です。
画や償却予測、退店時の既存設備の移動計画など)や資金計画(設
次に、店長の業績評価にあたっては、賃貸料や償却費など店長の責
備計画にもとづく調達/返済計画など)が必要になります。このため、
任外の出費、
いわゆる「管理不能費」を加味しない指標を評価査定に
固定資産システム内に資産購入予定や売却・廃却予定、店舗間移動
利用する必要があります。
予定を入力し、予算情報としての月次償却費予定を算出するシミュレー
また、採算性を評価する場合は、店舗が生み出すキャッシュフローを分
ト機能が必要となります。さらに、借入/返済スケジュール予定をふまえ
析し、借入返済額が賄えているかを検証する必要があります。
た資金予測機能や、利率変更や繰上返済のシミュレート機能も必須
さらに、効率性の評価には1人あたり・時間あたり・坪あたりで売上高や
になります。
利益を把握する必要があり、人員情報や時間情報、面積情報をデータ
として保有可能であることが望まれます。
特徴2:組織変更の頻度が多い
このように、
それぞれの評価指標に見合った店舗情報を把握するため
上述の出退店にともなう組織の新設・廃止や統合などに加え、管理組
には、店舗別のB/SやP/Lを目的に応じて自由に組替集計・演算できる
織(店舗の括り方)の変更・組み替えが頻繁に行われるのも小売業の
機能が必要であり、
それも実績(決算)データだけでなく、予算について
特徴です。
も同様に集計できることが求められます。
組織の新設・廃止だけであれば、組織マスターの追加登録・廃止で十
分ですが、他店統合となった場合を考慮し、残高や予算の自動付替(振
特徴5:取扱データ量の多さ
替)機能が必要です。また、管理組織の変更・組み替えについては、店
最後に、店舗では日々、大量の仕入、売上が発生するため、取扱データ
舗ごとの集計体系が複数設定でき、各体系ごとに自動集計できる機能
量が非常に多くなるのも小売業の特徴です。
が必要になります。
大量のデータを正確かつタイムリーに把握するためには、情報の発生
源である店舗と管理部門とを一元化するシステムを構築し、二重入力
特徴3:頻繁な支払処理
などの手間を省き、情報入力・管理を効率化することが重要です。
仕入先ごとに支払条件が多種多様なうえに、支払サイクルが短く、支
払頻度が多いのも、小売業の特徴です。
おわりに
このため資金管理では、投資返済の資金だけでなく、
日常の仕入支払
小売業が成長を図るためには、基幹業務を効率化し、店舗運営結果を
も含めて管理する必要があります。資金管理システムには、計上データ
さまざまな視点から把握可能とすることによって、管理部門を単なる庶
をもとに予定日を自動算出し、支払処理(EBデータ作成)
が行える機能
務部隊から店舗支援部隊に変革する必要があります。
はもちろん、
「日締め」や「曜日締め」といった締め・支払サイクルの条
業種・業態にあったコンサルティングサービス、
ソリューションを提供する
件設定が行える必要があります。
BBSは、小売業に必要な要件を備えた会計システム「ACT-NetPro」
を中心に小売業に最適なソリューションをご提供しています。
BBS GROUP NEWS VOL.32
株式会社九州屋様
事 例
小売業のビジネス構造に則した
会計情報システムの構築例
紹 介
今回紹介する九州屋様は、
北海道から九州まで、
全国に70店舗を構える青果専門小売業です。
創業者である島田社長様が、
トラックで野菜の引き売りを始めたのが1974年のこと。翌年には
一坪の土地を借りて店舗を構え、
そこから九州屋様の歴史がスタートしました。以来30余年にわ
たり「心を売る商売」を社是に、
「お客さまがすべて」を経営方針に掲げ、新鮮でおいしく、安全
執行役員 経理部長 佐藤 純様
で安心できる青果物を提供することで、
全国のお客様との間に確かな信頼関係を築かれています。
ような会計システムの構築が必須と考え、刷
ケージソフト「ACT-NetPro」
を有していたことも、
新を決定しました。
BBSさんを選んだ理由の一つです。
期待
行程
ざして多店舗化を推進していく計画です。
しかし、
実は、BBSさんには、数年前にも企業システム
会計システムの導入にあたっては、経理部門
業容・業績のさらなる拡大を図り、将来的な株
診断を依頼した経緯があり、
その際にも既存
だけでなく、販売、人事・給与、購買、総務、経
式公開をめざすうえで、既存の会計システムは、
の会計システムの問題点を指摘されていました。
営企画など、
あらゆる部門にインタビューを行
機能面や運用面に多くの課題を抱えていました。
当時は時期尚早との判断で刷新は見送られ、
いました。これは、
ただ会計ソフトを導入するだ
たとえば、伝票類と帳簿、決算書など、会計処
資金繰りシステムの開発のみをお願いしたの
けではなく、会計ソフトを軸にして社内全部門
理のフェーズごとにデータが連動していないため、
ですが、
その際の丁寧な対応ぶりや、的確で詳
の情報を集約し、事務処理の効率化や、経営
入力、
チェックといった作業が複数回必要になっ
細な提案が強く印象に残っていました。
判断および戦略策定のスピードアップを図ると
ていました。これが作業効率の低下や入力ミ
そこで、今回の導入にあたっては、
すでに当社
いう目的があったためです。
スの増加につながり、特に決算期などは経理
の業態や組織を詳細にご理解いただいており、
こうした綿密なコミュニケーションをとるために、
スタッフが夜遅くまで業務に追われる有様でした。
対応や提案力にも信頼のあるBBSさんに真っ
導入までの1年間は、BBSさんにほぼ毎日のよ
今後も店舗数が増えるたびに作業量の増加
先に声を掛けたのです。
うに来社いただくなど、熱心に対応いただけま
が予想されるため、各種データ管理を一元化し、
また、短期間・低コストで導入可能で、必要に
した。システムについては全くの素人である社
将来的な店舗増や組織変更にも対応できる
応じたカスタマイズや将来の拡張が容易なパッ
員に対して、親身になって、粘り強くコミュニケー
経緯
まずは新しい会計情報システムを
導入された経緯を教えてください。
当社は創業30年で70店舗を数えるまでに急
成長した会社であり、今後もさらなる成長をめ
PROFILE
システムの導入にあたってBBSをパート
ナーに選ばれた理由を教えてください。
新システムの導入は、
どのように進めていかれましたか。
図1:システム導入の流れ
会 社 名 株式会社九州屋
本
社 東京都八王子市越野24-1
設
立 1974年(昭和49年)
システム
診断
要件定義
業務要件の整理・分析
基本システム
(汎用機能)
改善テーマの絞り込み
独自機能開発
資 本 金 27,725万円
代 表 者 代表取締役 島田 修
ユーザー
検証
システム開発
テ
ス
ト
・ユーザー
テスト
・移行
従業員数 1,117名(正社員307名)
売 上 高 209億円(2006年3月期)
改善案の検討
主要事業 全国主要都市のデパート、駅ビル、専門
店ビル、
スーパーマーケットにおける野菜・
業務運用設計
・新運用形態の検証と代替方法の作成
・マニュアル作成、ユーザー教育
新システムの要件検討
果物(ギフトを含む)
の専門店、
スーパーマー
システムインフラ整備
ケットの運営
・ハードウェア、OS、
ネットワーク、
DBMS、基本ソフト
BBS GROUP NEWS VOL.32
インフラ環境検討
運
用
と
定
着
化
ションをとっていただけたことに、心より感謝し
会が多かったため、
そうした二度手間が一掃で
ダや改善点などが浮き彫りにされ、
自分自身で
ています。
きたことは、店舗側にとっても大きなメリットがあ
意識するようになる。これは通常の業務からで
また、会計システムと連携させる既存の人事・
りました。
は得難い経験であり、本部、店舗ともにスタッ
給与システムなど、今回BBSさんの管轄でな
フの全体的なレベルアップにつながったと評
成果
システムの刷新によって、
どのような成果が得られましたか。
い面でも、
さまざまなアドバイスをいただけ、非
常に良いパートナーだと評価しています。
価しています。
や検算といった作業負担が軽減され、作業時
展望
のミスも減少しました。
今回のシステム導入により、従来以上に豊富
会社の情報ソースは「店舗」であり、各店舗の
特に、導入後初めての決算では、経理スタッフ
で詳細な情報が管理できるようになったわけで
情報を詳細かつスピーディーに集約するため
の残業が減るなど、効率化の効果が目に見え
すから、今後はこれらの情報をどう活用するか、
には、
システムの整備はもとより、店舗スタッフ
て現れ、非常に喜んでいます。
が私たちの課題です。まだ導入から一度の決
の協力が欠かせません。今回のシステム刷新
また、
これまで組織別に集計していた店舗デー
算を経過しただけであり、
その結果を経営分析
にあたっても、各スタッフにその意義や、新しい
タを、
「路面店」や「テナント店」といった店舗
に反映していくのはこれからですが、BBSさん
情報入力の仕組みを理解させることが重要で
形態ごとの分析や、地域ごとの分析、
オーナー
にもアドバイスをいただきながら、経営判断の
した。
ごとの分析など、
自由に組み合わせて分析でき
効率化や戦略化に活用していきたいと考えて
既存システムに対する慣れもあって、
当初は「入
るため、出退店計画の戦略立案が非常に効
います。
力項目が増えて、作業負担が大きくなる」との
果的になりました。さらに、店舗の増加や将来
また、
「ACT-NetPro」のカスタマイズ機能や
不満も上がってきました。
的な組織変更にもスムーズに対応できるなど、
拡張性を活かして、当社の使い勝手に応じた
しかし、BBSさんの丁寧な導入指導もあって、
管理する側としても大きなメリッ
トを感じています。
改善を加えていくことで、
さらなる効率向上を図
実際に導入を進めていくうちに「入力時の負
こうしたシステム自身の便利さはもちろんですが、
りたいと思っています。BBSさんには「システム
担は増えるものの、一度入力してしまえば、
その
システムを駆使して業務効率を向上させようと
が完成したら終わり」ではなく、導入後もコミュ
後の手間が省け、
トータルに見れば効率が上
いう意識が、本部、店舗を問わずスタッフ一人
ニケーションの機会を設けていただいているため、
がる」ことが理解されるようになりました。既存
ひとりに根づいたことが、
より大きな成果だと
管理スタッフや店舗から出てくる要求をご理解
システムの場合、一度入力した後も、本部の
思います。BBSさんからの質問に答えることで、
いただき、当社にとって最適なシステムへと進
要求に応じて過去のデータを再度参照する機
普段は意識していなかった業務プロセスのム
化させていきたいですね。
システム活用についての展望や今後
BBSに期待することを教えてください。
まず、情報管理を一元化したことで、二重入力
困難
システムの刷新にあたって、
最も苦労された点は何ですか。
図2:新会計情報システムの概要
資金繰り管理システム
仕入支払
借入
リース
固定性
預金
その他
入出金
仕訳情報管理
システム
支払額算出
売上入金
売上管理システム
人事給与システム
売上データ
給与データ
入金予定算出
仕入管理システム
仕入データ
仕入データ
各種仕訳
対象データ
仕訳作成
仕訳作成
債務管理
ACT-NetPro
債務インターフェイス
店舗経費
データ
自動計算
売上データ
仕訳作成
一般会計
仕訳作成
仕訳インターフェイス
経費入力
(未払計上)
支払依頼
自動仕訳連携
仕訳データ
振替伝票入力
決算伝票入力
F/B振込
支払決済
予算
残高
C/Fデータ
予実帳表
B/S、P/L
C/F計算書
伝票照会
元帳照会
試算表照会
支払依頼
照会
給与データ
照会系機能
BBS GROUP NEWS VOL.32
内部統制の評価および監査制度への対応と現状
「金融商品取引法」の適用が迫るなか、多くの企業が
「財務報告に係る内部統制の有効性に関する経営者による
評価の実施基準および公認会計士等による検証の実施基準」の
公開草案を目安に内部統制の整備と文書化を進めています。
そこで今回は、内部統制の文書化を先行している企業の事例を参考に、
内部統制監査における課題や留意点などについて探っていきます。
新日本監査法人
公認会計士
成田 智弘 先生
内部統制の法制化に関連する根拠法令
③会計監査人
内部統制に関連した法令は、
「会社法」と「金融商品取引法」
(旧証
会計監査で必要な部分の内部統制の評価を行いますが、内部統制そ
券取引法など)がありますが、両者を混同されている方も多いのではない
のものについて意見を述べることは求められていません。
かと思われますので、
ここで少し整理してみます。
金融商品取引法
会社法
会社法が業務全般を評価の対象としているのに対し、金融商品取引
会社法は、2006年5月1日に施行されました。会社法による内部統制は、
法では「財務報告に係る」部分のみを対象としています。
業務全般を内部統制評価の対象としています。同法で定められている
金融商品取引法の内部統制の評価および監査に関連する部分は、
経営者や監査役の義務をまとめると次のようになります。
2008年4月1日以降開始の事業年度から適用されます(金融商品取引
①取締役または取締役会(経営者)
法附則第1条、15条、16条)。ただし、
ここでいう「財務報告」は有価証
「取締役(又は執行役)の職務の執行が法令及び定款に適合するこ
券報告書などを念頭においており、大株主の状況なども含まれると解
とを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するた
釈されています。会社法と同様に、経営者や監査役の義務をまとめて
めに必要なものとして法務省令で定める体制の整備」について決定し
みると次のようになります。
実施しなければなりません。会社区分による内部統制構築義務は、表
①経営者
のとおりです。
経営者は、財務報告に関わる内部統制の有効性を評価し、
「内部統
②監査役、監査役会あるいは監査委員会
制報告書」を作成しなければなりません。
「内部統制報告書」は有価
「内部統制についての取締役等の決定又は決議の内容」および「内
証券報告書とあわせて内閣総理大臣に提出しなければならず、
また公
部統制に関する取締役(又は執行役)の職務の執行」について、監査
認会計士の監査証明を受ける必要があります(金融商品取引法第24
報告で意見を述べることが必要です(会社法第436条、会社法施行規
条の4の4、第193条の2第2項)。
則第129条以下)。
②公認会計士
前述①のとおり、公認会計士は経営者が作成した「内部統制報告書」
表:会社区分による内部統制構築義務
会社区分
大会社
中小会社
取締役会を設置しない会社
取締役会設置会社
委員会設置会社
取締役の過半数で決定する義務(委任不可) 取締役会で決定する義務(委任不可) 取締役会で決定する義務(委任不可)
[会社法第348条第3項第4号、第4項]
[会社法第362条第4項第6号、
第5項] [会社法第416条第1項第1号ホ、
第2項]
任意
BBS GROUP NEWS VOL.32
任意
取締役会で決定する義務(委任不可)
[会社法第416条第2項]
の適正性について監査し、監査意見を表明しなければなりません。
●統制の証跡が残っていない…
③監査役、監査委員会あるいは監査委員会
部下の入力した結果を上司がパソコンの画面上でチェックしているケー
金融商品取引法上は、特に責務はありませんが、内部統制の評価とい
スなどが典型例です。電子承認システムの場合は電子承認の証跡が
う観点からは評価対象である統制環境に含まれています。
残るので問題ありませんが、単に目で見てチェック・承認するような場合
には、本当に統制が効いていたか否かを事後確かめることができません。
先行企業に見る内部統制整備・文書化の課題 統制は、事後確かめられるものであることが望まれます。
現時点では「内部統制実施基準」が検討中であることから、内部統制
の整備や文書化を進めている企業はすでに内部統制の監査が実施さ
●文書化のレベルが統一されていない…
れている米国の実務に準じて対応しているケースがほとんどです。
文書化する際のルールを決めずに各部署に任せきりにしてしまうとレベ
そうした企業からは、内部統制の整備・文書化業務を通じて自社の内
ルが異なってしまい、修正に時間を要する場合もあります。やはり、最初
部統制環境の課題や不備が改めて浮き彫りになったという話をよく耳
に全社的なプロジェクトチームを立ち上げ、文書化のルールを明確化す
にします。ここでは、
そうしたいくつかを例に挙げ、
それらの原因を考えな
ることが重要です。
がら解決策をご紹介します。
●通常の業務もあり内部統制の文書化に十分な時間をさけない…
●実際の業務と会社の規程に齟齬がある…
2008年4月以降は、文書化のメンテナンスと経営者による評価作業を
原因のほとんどは、会社の規程が随時改訂されていないことによります。
行わなければなりません。
したがって、専任者を決めて対応することが必
このような場合には、会社の規程の改訂あるいは業務自体の見直しが
要ですが、専任者を決めたからといって任せきりにするのではなく、全社
必要になります。また、詳細なフローチャートの作成や業務内容のヒア
で対応する体制を整備することが重要です。
リングをするなかで、認識していなかった業務手続きが発見されることも
あります。このような場合にも規程の改訂などが必要になります。
●過剰な統制を設置している、過剰に文書化している…
米国での実務を参考に内部統制の文書化を進めた結果、過剰な統制
●統制が十分でない…
を置いてしまうケースや過剰に文書化してしまうケースもあります。また、
財務報告の信頼性を担保するうえで要点となる統制、
いわゆる「キーコ
各人の担当業務を過剰に限定することによる統制要員の大幅増、裁
ントロール」がないケースも多くあります。このようなケースでは、
リスクを
量の幅の減少によるモチベーションの低下といったことも考えられます。
はらみながらも緩やかな統制が複数存在し、
それらは担当者の誠実性
役員、従業員一人ひとりが内部統制を意識して行動することにより、内
に依存しているケースも多く見られます。統制は緩やかでも、
それが複
部統制が効果的に機能し、過剰な統制も避けられると考えられます。
数あることで結果として一つのキーコントロールを置くよりも手間や負担
がかかっているケースもあることから、業務や統制を再検討する必要が
●IT統制が後回しになっている…
生じます。
昨今、ITは企業活動に不可欠なものとなっており、内部統制を推進す
るプロジェクトチームにはIT部門の参加は必須といえます。日本企業に
●以前は存在していた統制がなくなっている…
おいては、ID管理、
アクセス管理、
プログラム管理などのIT全般統制が
内部統制の文書化を支援するなかで、
「昔はあったのですが」
「人手が
著しく弱いケースが多いため、早目の対応が必要と思われます。
足りずできていません」といった言葉をよく耳にします。
間接部門の削減、人員削減といったリストラを進めた結果、
リストラ前
金融商品取引法が規定する内部統制の評価および監査がすべて
にはあった統制がなくなっていることや必要と感じつつも省略しているケー
2008年4月から開始されることを前提とすると、3月決算の企業では、
こ
スが多くあります。このような場合にも業務や統制を再検討する必要が
こに挙げたような課題や不備に対する適切な対策を講じ、2007年3月
生じます。株式上場時には存在していた内部監査室が廃止されている
末までに連結子会社も含めたパイロットテストを実施するなどして、
その
ケースも多く見られます。
有効性を確認しておくことが必要ではないでしょうか。
本記事は、2006年10月のインタビューをもとに編集しています。
BBS GROUP NEWS VOL.32
新 サ ー ビ ス 紹 介
グランドデザイン策定サービス
「内部統制整備をどのように進めればよいかわからない」
「内部統
内部統制の評価と監査の義務化を前に多くのお客様が抱えるこう
制システムのなかで緊急時対応を定めたが、業務負荷が大きく現
した課題に対して、BBSは、業務の効率性と監査性を両立させた
場から不満の声が上がっている」
「場当たり的な対応を繰り返して
“目指すあるべき姿”と“そこへ至るための道筋”の策定を支援す
きたため、全体の効率性が図られていない」―2008年度からの
る「グランドデザイン策定サービス」を提供しています。
〈お問い合わせ〉 株式会社ビジネスブレイン太田昭和 ソリューション本部 ソリューション営業部 TEL. 03-5730-3601 担当:高橋 充哲
グランドデザイン策定の視点
グランドデザイン策定では、貴社の現状を正しく把握し、外部環境の変化と社内の要請を考慮したうえで、業務の効率化と監査性の双方の
視点で検討を行います。
外部環境の変化(法制化)
金融商品取引法
会社法
社内の要請(業務改善/効率化)
コスト
スピード
正確性
標準化
監査性
効率化
競争力の獲得
継続性
市場の信頼
内部統制プロセスの確立
競争力のあるビジネスモデルの確立
「業務の効率性・有効性」
「財務報告の信頼性」
「法令準拠」の観点(COSOにもとづく)
でグランドデザインを策定します。
グランドデザイン策定のプロセス
トップダウン/ボトムアップの双方向アプローチにより、現状だけでなく潜在的なニーズを把握し、
あるべき姿を明確にします。一連のプロセ
スを専門のコンサルタントが一貫して支援することで、必要時間と現場の負荷を最小限に抑えます。
プロジェクトスタート
現状調査
分析および課題の整理
グランドデザイン策定
約2か月∼2.5か月
0.
プロジェクトの
発足
(方針確認)
1.
戦略的テーマ
の認識
ご提示/ご報告
約1か月∼1.5か月
2.
現行業務/
システム調査
4.
関係者への
ヒアリング
3.
管理会計から
の要件整理
5.
内部統制
チェックの実施
6.
課題の分析と
解決の
方向性決定
7.
新業務方針
作成
9.
導入計画作成
8.
新システム
方針作成
10.
プロジェクトマネジメント
(プロジェクトの円滑な運営を目的とした進捗・課題・リスクなどの管理)
グランドデザイン策定のポイント
●現行システムを監査的な視点で調査・分析し、改善の方向性を提示
内部統制を主眼として、監査性を担保する業務・システムの方向性をご提示します。
●現行システムを業務効率性の視点で調査・分析し、改善の方向性を提示
全体最適化の視点から、
あるべき姿の実現に向けてプランニングします。
●今後の成長と方向性を考慮し、最適なシステム構築を提案
新システムの全体像を、段階的・継続的な実現のロードマップとともにご提示し、各ステップで実現する業務/システム改善の目的・期待
効果および範囲を明確にします。
編集後記
先日鑑賞したコンサートの会場で、
チラシ類と一緒にホワイトバンドが配られました。ホワイトバン
ドは、
「世界の貧困を救う」プロジェクトとして日本でも浸透しつつありますが、
その考え方に賛同
しているアーティストは「貧困にあえぐ国の子供たちを救いたい。一番大切なのは命である」と
強く語っていました。一方、救済する側の先進国である日本は、昨年いじめなどにより多くの命
が失われました。新しい年は、
この社会問題をなくし、世界の貧困に立ち向かいたいものです。
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