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こころの専門家から、災害時のポイントについて臨時でお知らせします。
こころの通信-東北関東大震災緊急号 vol.6
この度の東北関東大震災におきまして、かつてない甚大な被害がもたらされました。
被災された皆様のご無事を心よりお祈り申し上げますとともに、心よりお見舞い申し上げます。
今 、周 辺 にい る 私 達 の 心 構 え は ?
今回の震災で直接被災しなかった方も、震災の影響がさまざまな形で広がっています。できるだけ平
常心で生活しようと思っても、私たちは思いのほか心が揺さぶられていて、今までの日常どおりにはな
かなかいきません。vol.6 では、被災しなかった方々が、今どのような心構えで生活をしたらよいのかに
ついてのヒントを、当方のこころの専門家が Q&A でお応えします。
Q1
Q3
被災したわけではないのですが、何となく気
持ちが落ち着かず、涙もろくなったり、集中力が落
ちているように思います。自分だけでしょうか?
震災に関連して通常業務が滞り、職場がピリ
ピリした雰囲気で、非常に消耗します。どのように
対応したらよいでしょうか?
A1
A3
被災の状況が連日メディアをにぎわせて
います。当初ほど衝撃的な映像は出なくなった
ものの、心に影響を受けている人が多くなって
います。「異常な状況下の正常反応」と考える
とよいでしょう。あなただけではない、という
のは確かですが、だからといって我慢する必要
はありません。周囲の親しい人に話してみまし
ょう。同じ思いを共有するだけでも気持ちは楽
になっていくはずです。それでも、このような
状態が 2 週間以上続き日常生活や仕事、学業な
どに支障が起こるようであれば、身近な医療の
専門家に相談することをおすすめします。
みなさんがさまざまな思いをもっておられる
ことでしょう。この状況の中で不平不満を言うのは
不謹慎なのではないか、などと思う方もいて、それ
も職場の緊張感を作り出している原因のひとつで
す。いちど職場のみなさんで今の気持ちを自由に
話す機会をもうけてはいかがでしょうか。
Q2
余震のせいか判りませんが、めまいのような
感覚が続いています。体調を崩しているのでしょう
か?
A2
「地震酔い」といわれるもの。地震の衝撃が
強く、その後の小さくない余震が繰り返されるた
め、揺れの感覚に過敏になっている可能性があり
ます。一種の本能なのです。危険を回避するため
に眠っていた能力が呼び起こされ、研ぎ澄まされて
いる感じです。揺れる感じがするからといってじっと
していると、揺れたときとの差が大きくなり、それが
地震酔いの症状を悪化させてしまいます。コップに
水を入れて近くに置いておくなど揺れを客観的に
判断できるようにしておくこと。地震でなければ普
通に身体を動かしていれば揺れの感覚を相殺でき
ます。安心を実感しているうちにその本能はまた収
まることでしょう。
Q4
今は安全な場所にいるのですが、いつかこ
こも地震がくるのではないかという恐怖感が募り眠
れません。どうしたらよいでしょうか。
A4
これほどの大きな地震が起これば、意識的
にも無意識的にも次の地震に備えるように自律神
経が機能しやすくなるので、緊張感から眠りが悪く
なるのはごく当然でありいわば本能的なものなの
です。「過覚醒」と呼んでいます。余震がおさまり危
険が減ってくれば自然ともとの状態に戻っていき、
眠れるようになります。それまでは眠る前にご自分
の方法でできるだけリラックスしましょう。あまりに
も不眠が続き日常生活に支障が出るようなら、専
門医に相談を。
平成 23 年● こころの通信 東北関東大震災緊急号 vol.6● 03-5298-3322
Q5
Q8
人事として執り行うことが増大し、震災以来
まともに帰宅できていません。この先、体調を崩さ
ないためにどのようなことに気をつければよいでし
ょうか。
震災の被害を受けた家族を持つ部下がいま
す。かなり憔悴しているようでミスも多発しています
が、どのように対応したらよいでしょうか。
A5
A8
できるだけしっかり休息をとりましょう。睡眠、食欲
が健康の二本柱です。多忙になっておりセルフケ
アに限界があるようでしたら、職場全体の問題とし
て上司と相談してみましょう。特定の人に負荷が集
中しないよう、ローテーションを組むなどの工夫も
必要でしょう。
Q9
Q6
被害が甚大だったエリアから程近くの事業所
です。周囲は無事でしたが、被災の話などを聴くと
いたたまれません。被災者の方の話をどのように
聴けばよいでしょうか。
A6
海外在住ですが、海外での反応は大きく、励
ましの声かけをしてくれる人もいれば、原発などの
非難をしてくる人もいます。日本から離れているこ
ともあって、取り残されているような気持ちでもあり
ますがどのような気持ちでいればいいでしょうか。
A9
受容的、共感的な態度で相手の話に耳を
傾けましょう(傾聴)。気の利いたことを返し
てあげようと思う必要はありません。うなずい
たり、「そうなんですか」など合いの手をいれ
るくらいでかまいません。たとえ被災者の方が
自分の考えやポリシーと異なることを話されて
も、まずは無批判に受け止めてあげてくださ
い
Q7
国内であろうが海外であろうが人々の反応
はさまざまです。励ましやお見舞いの言葉に対して
は素直に感謝の気持ちを伝えましょう。たとえ非難
されてもあなたが悪いわけではないのだからすべ
て取り込まないように。報道を見たり日本の知り合
いと連絡をとったりしながら復興を祈りましょう。あ
なたは日本での出来事を海外の人が身近に感じ
てもらうことの出来る存在です。
Q10
今は自分も周囲も緊張感をもちつつ、通常通
りの生活や仕事をこなしていますが、何か気をつ
けることはありますか?
A7
何か支援をしたいと思いながら、なかなかで
きません。気丈に活動されている方のニュースを
見ると自分のふがいなさに落ち込みます。
A10
知らず知らずのうちに心身の疲労は蓄積し
ていくもの。自分は大丈夫と思っていても、休養や
気分転換を忘れないように。「被災者のことを思う
と娯楽なんて不謹慎では…」と思うかもしれません
が、いつもどおり活動できる人が活動することが回
りまわって復興への原動力となります。
発行元
医療法人社団弘冨会
MPS センター Tel: 03-5298-3322
心身の不調をきたしているのではないか
心配です。声かけをしてプライバシーが確保で
きる場所で話を聞いてみましょう。休みをとら
せたり仕事の負荷を減らすことを考慮してくだ
さい。睡眠がとれない、食欲が落ちた、疲れが
抜けない、憂うつであるなどの兆候があれば、
健康管理スタッフに相談してください。
支援の形は人それぞれです。あなたはあな
たの出来る範囲の支援をすればよいのです。現地
で積極的に活動することだけが支援ではありませ
ん。募金、節電、買いだめ防止など、身近なところ
に目をやればいくらでもあります。多くの方々のこう
した支援が大きな力となるでしょう。
ホームページ: http://www.iomhj.com/
平成 23 年● こころの通信 東北関東大震災緊急号 vol.6● 03-5298-3322