安全文化とトレーサビリティー 財団法人 放射線計測協会 理事長 鹿園 直基 をかけるように雪印食品の偽国産牛事件が起こった。 BSE(狂牛病)の原因は異常プリオンが正常プリ 更に,牛肉のみならず豚肉や鶏肉のラベルの偽造が オンを異常化することであり,異常プリオンが脳内 摘発された。食品の安全を保障する仕組みは全くと に侵入する原因は肉骨粉を飼料として与えたことで いってよいほど機能していないことを露呈した。こ ある。このことは科学的に実証されており,疑う余 の一連の問題に対して識者が色々な論評を加えてい 地はない。一方,人間の新型ヤコブ病の発生と BSE る中で,重要な指摘があった。いわく「食品に貼ら との因果関係はそれほど明確ではない。確かに牛の れたラベルが信用できるかどうかは,先ず,生産者 異常プリオンが原因でヤコブ病が発症するという疑 まで確実にたどる道筋が明記されていること,更に いは濃厚であるが,科学的に解明されたかというと その道筋を追跡する仕組みができていることが欠か 必ずしもそうとも云いきれない面がある。事実,英 せない。現状では生産者−消費者の間で誰がどの様 国においても当初は根拠が無いということで規制に に品質を保証したかが全く不明である云々。 」すなわ は消極的であったという。しかし,疑いがあるとい ち,安全確保にはトレーサビリティーが重要との指 う段階にもかかわらず,英国では数年後には BSE 牛 摘である。安全文化育成の土壌にはトレーサビリテ の焼却を決めた。この措置は全く正しいというべき ィーが必須だということである。 である。 原子力において安全文化が強調されるようになっ 法の世界では「疑わしきは罰せず」であるが,安 たのはチェルノブイリ事故以後のことで,それ以前 全の世界では「疑わしきは許容せず」である。安全 ではあまり耳にすることもなかった。エネルギー危 の問題に関する限り,安全第一の原則が何よりも優 機を懸念するあまり,技術的安全性のみを強調する 先する。このことが社会に定着していれば,その社 あまり, 「安全第一」が慣習として根付いていなかっ 会には安全文化があると云えるだろう。文化とは慣 たことへの反省から生まれたことであろう。エネル 習である。英国にかぎらず西欧諸国において「疑わ ギー問題は人類存亡に関わる大事である。技術的安 しきは排除」の原則が機能して BSE の拡大がくい止 全性については吟味しつくされた科学的根拠がある。 められたのは,安全第一を何よりも優先するという しかしそれも安全文化に足場をおいたものでなけれ 慣習が社会に根付いていたから,或いは根付き始め ば社会的意義を持ち得ない。いくら口で安全だと言 ていたからに違いない。 っても,一度失った信頼を取り戻すのは,信頼を担 日本での BSE への対応は,新聞報道などをみるか 保する何らかの根拠がないかぎり極めて困難である。 ぎり安全第一とは別の法則がより強く働いていたよ トレーサビリティーの確立は信頼確保の基盤であり, うである。その結果避けられたはずの BSE が日本で ひいては安全文化育成の鍵である。BSE 事件は当協 も発生してしまった。残念ながら安全文化の土壌が 会の使命の重大さを改めて認識させられた事件でも 極めて希薄であったと云わざるを得ない。追い討ち あった。 原研・放射線標準施設の中性子校正場について 日本原子力研究所保健物理部 線量計測技術開発室 吉澤 道夫 1.はじめに する荷電粒子であり,低エネルギーでは主に人体内 日本原子力研究所の放射線標準施設(FRS)は, で発生した二次γ線である。一方,放射線管理測定 放射線防護分野では国内最大規模を誇る総合的な校 では,測定感度を高くする必要があるため,エネル 正施設として,原研内のみならず, (財)放射線計測 ギーが低いほど反応断面積が大きい 10B(n,α)7Li 協会を通じて国内のユーザにも広く利用されている。 や 3He(n,p)3H といった核反応を用いる。そして, 本稿では,中性子線量計校正の背景を述べ,次に FRS 速中性子への感度を持たせるためにポリエチレン等 の中性子校正場の概要を紹介する。 の減速材で覆うなどしてエネルギー依存性を線量当 量レスポンスに近づける努力が払われている。つま 2.中性子線量計校正の背景 り,測定に用いる反応と人体へ線量を付与する反応 中性子の線量測定は,Ⅹ・γ線に対するものとか が異なる。個人線量計では,速中性子が人体へ線量 なり異なる。まず,対象となるエネルギー範囲が違 を付与するものと同じ反跳陽子生成反応も使われる。 う。Ⅹ・γ線は通常,数 keV から 10MeV の範囲(約 しかし,低エネルギー陽子の検出が難しい,線質係 4 桁)であるが,中性子では熱(数 meV)から数十 数がエネルギーに応じて変わるために反応断面積と MeV までの約 10 桁を扱わねばならない。 線量当量のエネルギー依存性が異なる等の理由で, また,測定方法も異なる。Ⅹ・γ線の場合,光子 やはりエネルギー特性を線量当量レスポンスに近づ と物質との相互作用により発生した二次電子のエネ けるのは難しい。 ルギー付与(主に電離)を用い,これは人体への線 このようなことから,放射線管理測定に使用され 量付与と同じ相互作用である。そして線質係数が 1 る中性子線量計のエネルギー特性は一般に良くない。 であるため,測定量と線量当量*との対応が良い。 線量当量レスポンスから,MeV 領域では数十%,こ 中性子の場合,人体に線量を与えるのは,速中性 れ以外のエネルギーでは数倍∼1 桁近くずれている 子では人体組織中の原子核との相互作用により発生 [1] というのが現状である(図 1 参照) 。 *本稿は,放射線管理における測定を対象としているため,実効線量ではなく,線量当量を扱う。 したがって,中性子線量測定の精度を確保するた 40cm,床から 53cm の位置で照射する。黒鉛パイル めには,線量計の校正が極めて重要である。具体的 と平行場での校正の様子を写真 2 に示す。 には,実際の作業場所で適切な測定値が得られるよ うに校正することが重要であり,また使用する線量 計のエネルギー特性の測定・評価が必要である。 上記の背景を踏まえ,放射線標準施設(FRS)で は,種々のエネルギースペクトルでの校正に対応す るため,熱中性子,速中性子及び減速中性子の校正 場を整備している。また,現在,静電型加速器を用 いた単色中性子校正場の整備を進め,エネルギー特 性試験を可能にしようとしているところである。 3.放射線標準施設における中性子校正場 FRS には,RI 中性子源を用いる照射室(第 4 照射 室)とバンデグラーフ型加速器を用いた単色中性子 照射を行う部屋の 2 つがある。単色中性子校正場は 整備中であるため,ここでは第 4 照射室(写真 1) にある熱中性子,速中性子及び減速中性子校正場に ついて述べる。 基準熱中性子フルエンス率を国家標準(産業技術 総合研究所)とのトレーサビリティが確保された金 の放射化法 [2] により求め,これに ISO 8529−3 [3] (1998) の線量当量換算係数を乗じて基準線量当 量率を算出している。等方場の基準線量当量率(周 辺線量当量H*(10))は,64.9∼162μSv/h(2001 年 5 月 9 日現在値) ,平行場は 29.9μSv/h(2001 年 4 月 2 日現在値)である。 3.2 速中性子校正場 速中性子の照射は,壁・床からの散乱線の影響を できるだけ避けるため,広い第 4 照射室において, 3.1 熱中性子校正場 隙間のある格子状の床(グレーチング床)上で行わ 熱中性子校正場は,黒鉛を減速材とした体系(黒 れる。中性子線源として,中性子放出率について国 鉛パイル:1.50m×1.64m×1.16m)を用いて,RI 家標準とのトレーサビリティが確保されている 252Cf 中性子線源から放出される速中性子を熱中性子まで [4] (平均エネルギー約 2MeV の核分裂スペクトル) 減速させる場であり,①黒鉛パイル中心の空洞を用 と 241Am−Be(平均エネルギー約 4MeV の(α,n) いるパイル内照射場(等方場)と②パイル表面から 反応スペクトル)の 2 種類を用いる。線源を照射室 の漏洩線を利用するパイル外照射場(平行場)の 2 のほぼ中央のグレーチング床上 1m∼1.2m に設置し, つがある。等方場の場合,空洞の外側の左右対象な 線量当量率が適切となる距離(通常 0.4m から 1.2m 位置(4 箇所から 1 つを選択可能)に 源及び 241 Am−Be 線 239 Pu−Be 線源をそれぞれ置き,空洞内で照 射を行う。一方,平行場で照射を行う場合は,黒鉛 パイルのほぼ中央に強度の強い 252 Cf 線源を設置し (このとき空洞は黒鉛で埋める) ,パイルの表面から の範囲)で照射する。 (速中性子照射の例は写真 1 を 参照。 ) 速中性子場の基準線量当量率は,中性子放出率か に示す。 ら算出されたフルエンス率に ISO8529−3(1998) 減速校正場の現在の基準線量当量率は,中性子エ の線量換算係数を乗じて求めている。距離 1m での ネルギースペクトル測定に基づき決定されている[6]。 線量当量率 H*(10)は,2002 年 4 月 1 日現在値で, 基準線量当量率H*(10)は 11.3∼177μSv/h の範 1.24mSv/h( 252Cf:2GBq),26.6μSv/h( 241Am− 囲で,フルエンス平均エネルギーは 0.58∼3.6MeV Be:37GBq)である。 の範囲で離散的に変化可能である。 中性子線量計の校正では,散乱線の影響評価が重 このようなスペクトル測定評価に基づき基準線量 要である[5]。散乱線の寄与は,線量計のエネルギー 当量率を求める必要がある減速中性子校正場のトレ 特性に大きく依存する。現在は,その寄与が比較的 ーサビリティの考え方はまだ定まっていない。した 小さい距離で照射をしており,補正を行っていない。 がって,本減速場での校正は,トレーサビリティが しかし,今後の中性子線量計校正の標準化を目指し 明確な場での校正というよりも,種々の連続スペク て,ISO8529−2(2000)[3]に基づいた種々の散乱 トルを有する場における線量計の応答試験に近いと 線補正法に関する試験を行っている。 考えるべきであろう。 3.3 減速中性子校正場 4.今後の予定 先に述べたように,中性子線量計は実際のスペク 現在 FRS の中性子校正場に関して整備を行ってい トルに近い場での校正が望まれる。減速中性子校正 るものとして,①重水球を用いた減速中性子校正場 場は,散乱線を利用することにより,実際の作業場 と②加速器を用いた単色中性子校正場を簡単に紹介 所のスペクトルに少しでも近づけた場で校正や特性 する。 評価を行うことを目的とした場である。 ①は,直径 30cm の重水球(SUS 容器内に封入) 減速中性子校正場は,床上減速場とコンクリート の中心に 減速場の 2 つで構成される。床上減速場は,第 4 照 れをグレーチング床上で使用する場である。この重 射室地下のコンクリート床上 100cm 位置に線源を置 [3] で校正用線源 水減速 252Cf は ISO8529−1(2001) き,距離の異なる 2 点(40cm 及び 100cm)で校正 として規定されており,線源スペクトル及び線量換 を行う場である。また,コンクリート減速場は,コ 算係数が標準化されている。このため,中性子放出 ンクリートブロックに囲まれた空間(幅 1m,長さ 率が国家標準で校正された 2.85m,高さ 1m)内で,校正位置を固定し,線源位 でトレーサビリティが明確になる。すでに重水球は 置を変える(距離;50cm,110cm,及び 160cm)こ 製作されていたが,これまで 252Cf 線源を専用のカプ とによりスペクトルを変化させる場である。両者と セルに詰め替える必要があったため利用されていな もに線源は 241Am−Be 中性子源(37GBq)を用い かった。このため,新たな線源を準備して,利用に ている。 床上減速場及びコンクリート減速場を写真 3 供する予定である。 [3] 252 Cf を挿入した球を線源として用い,こ 252 Cf 線源を用いること ②は,4MV バンデグラーフ型加速器を用いて陽子 中性子線量測定に関する関心が高くなっていること, 又は重陽子を加速し,核反応により発生する単色中 ISO の基準中性子線に関する規格が揃ったことから, 性子を用いる場である。単色中性子校正場は,中性 今後,我が国における中性子線量計校正の標準化を 子線量計のエネルギー特性試験には必須であるが, 進め,中性子線量測定の品質保証を確保していくこ これまで放射線防護目的で専用に使えるトレーサビ とが重要と考える。 リティが確保された場がなかったことから整備を進 めているものである。8keV から 20MeV の範囲で, 参考文献 ISO8529−1(2001)[3]に示されているエネルギー [1]三枝純,吉澤道夫,谷村嘉彦,吉田真: を中心に 9∼10 のエネルギー点で校正を可能とする 予定である。現在,まず 7Li(p,n)7Be 反応による 2 3 144keV 及び 565keV,並びに H(d,n) He 反応 を用いた 5MeV について,線源スペクトルの測定, 基準フルエンス決定方法等の技術開発を進め,国家 標準とのトレーサビリティを確保すべく精力的に整 備を進めている。 RADIOISOTOPES,51,26-33(2002) [2]浅野芳裕,吉田真:保健物理,19,341-347 (1984) [3]ISO:ISO8529,Part 1(2001) ,Part 2 (2000) ,and Part3(1998) [4]吉澤道夫:JAERI−M 91-171,221-222 (1991) [5]J.R.ドゥマイス,吉澤道夫,山口恭弘: 5.おわりに 原研放射線標準施設(FRS)では,単色中性子を 用いたエネルギー特性試験から RI 中性子源を用い た校正まで種々の中性子照射試験が可能である。こ のように中性子線量計の校正設備はかなり充実して きた。しかし,我が国には,現在のところ,Ⅹ・γ 線に対する JIS Z4511 のような中性子線量計の校正 方法を規定した規格がない。JCO 臨界事故を契機に JAERI-Tech 97-033(1997) [6]吉澤道夫:JAERI−Review 2001−041,53-54 (2001) 『はかるくん』を活用した自由研究コンテスト 業務部 業務課 当協会では,文部科学省の委託を受けて,一般の インドネシア国での測定も記載した 100 ページに 人々が実際に放射線測定器を用いて身の周りの放射 及ぶ小学生の力作,各場所,異なる環境での放射線 線を測定することによってその存在を実感し,放射 測定結果から自然放射線の性質を解析した中学生女 線に対する理解を深めてもらうことを目的として, 子の傑作,また,小学 5 年と 2 年の兄妹で頑張った 簡易放射線測定器「はかるくん」の無料貸出しの事 「はかるくん」日記のほほえましい作品等,ユニー 業を行っています。 クな作品が多くありました。これらの作品は,(財) 個人の貸出し状況では,夏休みの自由研究に活用 放射線計測協会のホームページに転載してあります。 するため,例年,小・中学生からの申込が 7∼8 月に 昨年度以上のたくさんの応募と良い作品を期待して 集中しています。毎年小・中学生から, 「はかるくん」 います。 を使用し自分の家の周りや公園,山,川の放射線レ この成果は,「簡易放射線測定器活用検討委員会」 ベルを測ったり,旅行に携帯し,測定した結果をま でも高く評価され,今後も引き続き充実させながら とめたレポートが学校などの夏休み作品コンクール 実施すべきであるとのコメントがありました。 で特賞受賞や入選した旨のお礼の手紙が送られてき 平成 14 年度は,6 月ごろから作品を募り,優秀作 ています。 品等の選定を行い,10 月 26 日の「原子力の日」に 平成 13 年度は, 「はかるくん」の有意義な利用方 表彰・発表を実施する方針で計画を立てています。 法と個人貸出の促進のため, 「はかるくん」を使った 平成 13 年度に応募のあったものの中から,2 例の 夏休みの自由研究作品のコンクールを計画し,実施 一部を紹介します。 しました。夏休みが目の前に迫り応募期間が短かっ たにもかかわらず,42 件の応募があり予想以上の力 作が多く寄せられました。 平成14年度事業計画(抜すい) 平成 14 年 3 月 15 日に開催された理事会及び評議 品質システムを維持し,軟Ⅹ線領域の認定事業申請 会において,平成 14 年度の事業計画が承認されまし の準備を進めるとともに,中性子線の認定事業が開 たので,その概要(抜すい)を紹介します。なお, 始される場合に備えてトレーサビリティ移行用基準 同時に平成 14 年 4 月 1 日から平成 16 年 3 月 31 日 器の検討を進める。これらの準備,検討の中で放射 までの役員,評議員も選出されましたのであわせて 線測定器校正技術基盤の一層の強化を図り,階層制 紹介します。 認定事業に参加を希 望する事業所への技術移転を 〔1〕事業概要 図るための準備を進める。 当協会は,設立以来公共的・公益的立場から,技 技術革新及び社会の要請に伴い新たに供給される 術の拡充に努め,放射線測定に係る調査・試験研究, 多種多様な放射線測定器に対する点検校正技術を確 放射線測定器の点検校正,放射線計測,放射線関連 立するよう努めるとともに,個人線量測定機関等へ 知識の普及,啓蒙,研修等の事業を誠実に遂行する の技術協力を引き続き実施する。 とともに,放射線安全の基礎的部門の担う測定評価 の客観性と信頼性の向上を図ることにより,原子力 (2)放射線知識の普及 に対する理解の促進に寄与してきた。今後も,公益 文部科学省からの受託事業「簡易放射線測定器の 法人としての責務をはたすとともに,学界,産業界 貸出し」を引き続き実施する。新規に平成 14 年度か 等との交流を深め,関係機関のご理解を基に健全か ら学校で導入される「総合的学習の時間」を対象と つ積極的運営を行う。 した普及活動を展開する。即ち「総合的学習の時間」 平成 14 年度においても,放射線測定器の点検校正 に「はかるくん」を取り入れた利用し易いカリキュ に係る「認定事業者」として技術の向上,体制の充 ラムを工夫し学校へ普及させる。また,実習用キッ 実を図り,一般ユーザ等へのサービスの向上とトレ トを使用した実験のビデオの貸出し・活用を行うと ーサビリティ制度の普及に努める。また,作業環境 ともに学校の先生方を対象とした説明会を通して 測定機関としての関連業務を継続して実施する。さ 「はかるくん」の学校での実習等への利用推進を図 らに,放射線計測等に関する事業及び研修並びに放 る。 射線知識の普及等の活動を積極的に行い,放射線安 青少年,婦人層を対象とした説明会では,身の周 全に対する一層の理解の向上に努める。また,ISO りの自然放射能試料,展示物,はかるくんの利用に /IEC17025 に適合する品質システムの維持など, 関するビデオ等を用いて,放射線の知識と「はかる 品質保証活動を積極的に実施し,業務のさらなる信 くん」貸出しの普及を進める。 頼性の向上を図る。 新しい試みとして「はかるくん」の活用コンテス 中性子測定の重要性に鑑み中性子線に係る認定事 トを企画・実施し,優秀作品を表彰するとともに幅 業の準備・検討を進めるほか,トレーサビリティ制 広い有意義な活用方法を紹介し, 「はかるくん」の利 度の一層の普及のため,階層制認定事業の普及活動 用拡大を図る。 を積極的に進め,放射線測定器校正に関する中核的 上記の放射線知識の普及活動を実施するに当たっ 機関としての基盤のさらなる充実に努めるとともに, ては, 「簡易放射線測定器活用検討委員会」からの助 新たな展開の芽となる事業の調査を引き続き行う。 言を踏まえ,将来に向けて更に発展させるように努 める。 〔2〕事業の主要事項 財団法人社会経済生産性本部からの受託事業「移 (1)放射線測定器校正・放射線計測 動車両による原子力発電に伴う放射線知識の普及事 放射線測定器の点検校正,基準照射および特性試 業」については次世代年齢層を対象とした説明会に 験については,ユーザーの要望に応えられるよう引 重点を置き,引き続き実施する。 き続き努力する。 認定事業については,ISO/IEC17025 に適合する 〔3〕平成 14 年度収支予算書(平成 14 年 4 月 1 日∼平成 15 年 3 月 31 日)(単位:千円) 科目 Ⅰ収入の部 基本財産運用収入 事業収入 雑収入 当期収入合計 前期繰越収入差額 収入合計 Ⅱ支出の部 事業費 管理費 固定資産取得支出 法人税等支出 予備費 当期支出合計 当期収支差額 次期繰越収支差額 予算額 前年度予算額 増減額 100 704,857 1,300 706,257 250,515 956,772 100 657,930 1,800 677,830 228,740 906,570 0 28,927 △500 28,427 21,775 50,202 594,341 89,801 3,015 16,100 3,000 706,257 0 250,515 572,652 89,197 2,450 10,531 3,000 677,830 0 228,740 21,689 604 565 5,569 0 28,427 0 21,775 (注)借入金限度額 100,000 千円 〔4〕(財)放射線計測協会役員 (非)‥非常勤(常):常勤 役 員 理事(非) 理事(常) 理事(常) 理事(非) 理事(非) 理事(非) 理事(非) 理事(非) 理事(非) 理事(非) 理事(非) 監事(非) 監事(非) 氏 名 鹿 園 直 基 山 本 克 宗 小 牧 晳 阿 部 元 祐 一 政 祐 輔 河 田 燕 鈴 木 功 中 沢 正 治 松 鶴 秀 夫 吉 田 昌 文 渡 貫 憲 一 天 野 晋 山 本 隆 夫 現 職 財団法人 放射線計測協会 理事長 財団法人 放射線計測協会 専務理事 財団法人 放射線計測協会 理事 社団法人 日本原子力産業会議 参与 茨城大学理学部地球生命環境科学科 教授 前 成蹊大学工学部計測数理工学科 教授 独立行政法人 産業技術総合研究所 計測標準研究部門 量子放射科長 東京大学大学院工学系研究科システム量子工学専攻 教授 日本原子力研究所 東海研究所 保健物理部長 株式会社 第五企画 代表取締役社長 財団法人 原子力安全研究協会 理事 事務局長 東京ニュークリア・サービス株式会社 代表取締役専務 元 日本原子力研究所 那珂研究所 管理部長 備 考 再 任 〃 〃 〃 〃 〃 新 任 再 任 〃 〃 〃 再 任 〃 〔5〕(財)放射線計測協会評議員 氏 名 石 榑 顕 吉 一 色 正 彦 今 井 榮 一 草 間 朋 子 古 賀 佑 彦 近 藤 健次郎 鈴 木 進 立 川 圓 造 鳥 海 奎三郎 仁 科 浩二郎 藤 城 俊 夫 前田 充 現 職 埼玉工業大学 先端科学研究所 教授 財団法人 放射線利用振興協会 専務理事 日本原子力研究所 理事 大分県立看護科学大学 学長 藤田保健衛生大学 名誉教授 文部科学省 高エネルギー加速器研究機構共通研究施設長 教授 東北放射線科学センター 会長 財団法人 日本分析センター 理事 原子力エンジニアリング株式会社 代表取締役社長 愛知淑徳大学 教授 財団法人 高度情報科学技術研究機構 専務理事 日本原子力研究所 理事 備 考 再 任 新 任 再 任 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 (50 音順) 短 信 する検討委員会において調査結果等を検討し,緊急時の土壌 ISO/IEC17025 への移行完了 計量法校正事業者認定制度(JCSS)は,認定基準のうち ISO/IEC ガイド 25 が平成 11 年 12 月に国際規格 ISO/ IEC17025 に置き換わり,これに伴い既認定事業者は,13 年 度末までに対応することが求められていました。 当協会は,規程,要領の全面的見直しを行い,平成 13 年 12 月 26 日付けで独立行政法人製品評価技術基盤機構に変更 届等を行い,新しい認定基準のもとで放射線測定器の校正業 務を継続することとなりました。 放射線比較校正研究会 2 月 8 日(金),放射線計測協会において,第 20 回放射線比 較校正研究会が開催されました。 今回は,放射線校正の分野で認定事業を階層化する場合の 常用参照標準について,などの検討が行われました。 モニタリングマニュアルの作成に活用できる報告書としてま とめました。 当協会ホームぺ−ジの追加について 公益法人改革の一つとして,インターネットによる最新の 業務及び財務等に関する資料の公開について,文部科学省か ら要請がありました。これを受けて平成 13 年 12 月 10 日に 協会のホームページに,事業報告書,収支計算書等を新たに 掲載しました。今後とも,トピックスを即時掲載するなど, ホームページの充実を図ってまいります。 平成 14 年度研修講座(日程)のご案内 放 射 線 管 理 入 門 講 座:第 43 回( 6 月 3 日∼ 7 日) 第 44 回(10 月 7 日∼11 日) 放射線管理・計測講座:第 80 回( 7 月 8 日∼12 日) 第 81 回( 9 月 2 日∼ 6 日) 放射線測定器校正技術研究委員会 2 月 25 日(月),放射線計測協会において第 2 回放射線測定 器校正技術研究委員会を開催しました。 本委員会は,当協会が放射線測定器校正技術に関する中核 第 82 回(11 月 11 日∼15 日) 第 83 回( 2 月 3 日∼7 日) 原 子 力 教 養 講 座:第 37 回(5 月 13 日∼17 日) 第 38 回(12 月 9 日∼13 日) 受講を希望される方は当協会まで御連絡下さい。 機関としての技術基盤の一層の強化を図るため設置したもの で,今回は液体シンチレーション測定器を用いた中性子スペ 人事往来(課長以上) クトル・線量解析システム及び減速型中性子基準移行用測定 退 職 器の開発状況の報告・質疑があり,中性子の認定事業化に関 14. 3.31 総務部次長兼経理課長 深作 実 する条件,課題等について検討しました。 14. 3.31 業務部業務課長 新野 二男 簡易放射線測定器活用検討委員会 14. 3.31 事業部付調査役 伊藤 政幸 2 月 6 日(水),東京において平成 13 年度第 2 回簡易放射線 14. 3.31 事業部付調査役 野口 暁 測定器活用検討委員会を開催しました。 採 用 平成 13 年度の活動状況の報告,「はかるくんⅡ」実験テキ 14. 4. 1 総務部次長兼経理課長 大内 努 ストの作成と「はかるくん」活用自由研究コンテストの成果 14. 4. 1 業務部業務課長 近藤 吉男 報告,また,今年度作成したビデオ 2 作『使ってみよう「は 14. 4. 1 事業部付調査役 大村 英明 かるくん」 』,『実習用キットの使い方』の紹介を行いました。 今回は新しい編集委員のもとに,現在のトピックスを織り 各委員から,今後も創意工夫を行い,有意義な「はかるくん」 の貸出しを続けることを期待するとの評価をいただきました。 「放射線計測機器の規格化に関する対策研究」の受託調査 原子力施設での緊急事態発生時に必要となることが考えら れる土壌モニタリングの方法を定めるため,平成 10 年度から 編集後記 込んだ事業内容を紹介できたと思っております。今後,各方 面からのご批判,評価をいただきながら,誌面の充実を図り たいと思っておりますので,ご理解ご協力をよろしくお願い いたします。 文部科学省からの委託を受け,モニタリングの計画,表面密 度の測定評価,可搬型γ線スペクトロメータの特性等につい て調査研究を行いました。環境モニタリングの専門家で構成 放計協ニュース No.29 May.2002 〒319-1106 茨城県東海村白方白根 2-4 発 行 日 平成 14 年 5 月 15 日 TEL 029-282-5546 FAX 029-283-2157 発行編集 (財)放射線計測協会 ホームページ http://www.irm.or.jp
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