計画策定にあたって

計画策定にあたって
平成25年度栃木県子どもの人権ポスター原画コンテスト 入賞作品
【最優秀賞】
山下 七海(栃木第五小学校 3年)
【優秀賞】
熊倉 貫太(大平東小学校 1年)
第1章 計画策定にあたって
第1章
計画策定にあたって
1.計画策定の趣旨
本市では、合併前の旧市町において、
「人権教育のための国連10年 1」に関する国
内計画及び、「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律(以下、「人権教育・啓発
推進法」という。)」に基づき、様々な人権教育・啓発を進めてきました。
栃木市は、平成22(2010)年に、旧栃木市、旧大平町、旧藤岡町、旧都賀町が
合併し、平成23(2011)年に旧西方町が、新市に加わりました。さらに、平成
26(2014)年4月には岩舟町との合併も控えております。そのため、全市を通じ
た人権教育及び啓発の推進を行う必要があることから、新たな人権に関する基本計
画の策定が求められています。
また、平成25(2013)年に市民を対象に行った「人権問題に関する市民意識調
査(以下、「市民意識調査」という。)」の結果をみても女性、子ども、高齢者、障
がい者等に対する人権侵害や差別はいまだに存在しており、また、犯罪被害者及び
その家族やインターネットによる人権侵害に対する支援等の新たな課題も発生し
ています。
このような現状を踏まえ、人権教育・啓発をさらに推進し、人権に関する課題の
解消を目指すため、「栃木市人権施策推進プラン(以下、「本計画」という。)」を策
定します。
2.計画策定の背景
(1)国際的な動き
国際連合は、昭和23(1948)年12月10日の総会で「世界人権宣言 2」を採
択しました。その後も、昭和40(1965)年の「あらゆる形態の人種差別の撤
廃に関する国際条約 3(以下、
「人種差別撤廃条約」という。)」、昭和54(1979)
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人権教育のための国連10年:平成6(1994)年の国連総会において、人権を普遍的な文化にすること
を目的に、平成7(1995)年から平成16(2004)年までを「人権教育のための国連10年」と定
めました。
世界人権宣言:昭和23(1948)年の国連総会で採択された、すべての人民と国が達成すべき基本的人
権についての宣言。
あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約:人権及び基本的自由の平等を確保するため、あらゆ
る形態の人種差別を撤廃する政策等を、すべての適当な方法により遅滞なくとることなどを主な内
容とします。昭和40(1965)年の第20回国連総会において採択され、昭和44(1969)年に発
効しました。日本は平成7(1995)年に加入しました。
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年の「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約 4(以下、
「女子差別
撤廃条約」という。)」、平成元(1989)年の「児童の権利に関する条約 5(以下、
「子どもの権利条約」という。)」等、多くの条約が採択されてきました。
平成5(1993)年には「世界人権会議」が開催され、すべての人権及びすべ
てのものの基本的自由の普遍的尊重、遵守、及び保障を確認する「ウィーン宣言
及び行動計画」が採択されました。これを受けて、平成6(1994)年の第49
回国連総会において、平成7(1995)年から平成16(2004)年までの10年
間を「人権教育のための国連10年」と定め、「人権教育のための国連10年行動
計画」が採択されました。この計画では、「人権と基本的自由の尊重の強化」や
「全ての国家、先住民、及び人種的、民族的、種族的、宗教的及び言語的集団の
間の理解、寛容、ジェンダー 6 の平等並びに友好の促進」等を目指しました。ま
た、人権問題を総合的に調整する国連人権高等弁務官の設置や、人権関係諸条約
の監視機関等の積極的な活動等、国際社会において平和と人権が尊重される社会
の実現に向けて、数多くの取組が進められてきました。
「人権教育のための国連10年」の終了をうけ、平成16(2004)年に「人権
教育のための世界計画」を定め、終了時限を設けずに数年ごとのフェーズ(段階)
に分け、行動計画を策定し、第1フェーズ(平成17(2005)年~平成21(2009)
年)では、「初等中等教育における人権教育」に焦点を当てました。第2フェー
ズ(平成22(2010)年~平成26(2014)年)では、
「高等教育のための人権
教育」及び「教育者、公務員、法執行者や軍隊への人権教育プログラム」に焦点
を当てています。
平成23(2011)年の第66回国連総会において、
「人権教育および研修に関す
る国連宣言」が採択され、人権教育と研修に対するあらゆる取組を強化すべきで
あるとの強力なメッセージを国際社会に対して送っています。
(2)国内の動き
我が国では、昭和22(1947)年に基本的人権の尊重を柱の1つとする日本
国憲法が施行され、憲法の保障する基本的人権の確立と擁護を図るため、各種の
法整備及び施策が実施されてきました。
また、「人種差別撤廃条約」「女子差別撤廃条約」「子どもの権利条約」等人権
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女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約:男女の完全な平等の達成に貢献することを目的
として、女子に対するあらゆる差別を撤廃することを基本理念としています。昭和54(1979)年
の第34回国連総会において採択され、昭和56(1981)年に発効しました。日本は昭和60(1985)
年に締結しました。
児童の権利に関する条約:18歳未満のすべての者を対象とし、生きる権利、名前と国籍を持つ権利等で
構成されています。平成元(1989)年の第44回国連総会において採択され、平成2(1990)年
に発効しました。日本は平成6(1994)年に批准しました。
ジェンダー:社会的・文化的につくられる性別(生物学的な性別は「sex」)。
「女らしさ」
「男らしさ」等
の特定の社会における価値観や、男女の社会的・文化的役割の違いや関係性を示す。
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第1章 計画策定にあたって
に関する諸条約の批准や、「国際婦人年 7 」や「国際児童年 8 」といった国際年に
取り組む等、国際的な動向を踏まえた人権に関する諸制度の整備や諸施策の推進
が図られています。
平成7(1995)年から平成16(2004)年までの10年間を「人権教育のた
めの国連10年」とする決議が採択されたことを受け、平成7(1995)年12月
に内閣総理大臣を本部長とする「人権教育のための国連10年推進本部」を設置
し、平成9(1997)年7月には「人権教育のための国連10年」に関する国内
行動計画を策定しました。
平成9(1997)年3月に「人権擁護施策推進法」が5年間の時限立法として
施行され、同法に基づき人権擁護推進審議会が設置されました。審議会を通じ、
「人権尊重の理念に関する国民相互の理解を深めるための教育及び啓発に関す
る施策の総合的な推進に関する基本的事項について」と、「人権が侵害された場
合における被害者の救済に関する施策の充実に関する基本的事項について」の諮
問を受け、それぞれ答申が出されました。
平成12(2000)年12月に「人権教育・啓発推進法」が施行され、同法に基
づき、平成14(2002)年3月に「人権教育・啓発に関する基本計画(以下、
「基
本計画」という。)」が策定されました。「基本計画」に基づき、人権教育・啓発
の総合的かつ計画的な推進が行われています。
そのほか、平成12(2000)年の「児童虐待の防止等に関する法律 9」の制定、
平成14(2002)年の「ホームレス 10の自立の支援等に関する特別措置法」の制
定、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」の改正等、人権
に関する多くの取組が行われています。
平成23(2011)年4月に「基本計画」の一部変更が閣議決定され、「北朝鮮
当局による拉致問題等」の事項が加えられました。
(3)栃木県の動き
県では、
「人権教育のための国連10年」に関する国内行動計画の考え方の趣旨
を踏まえるとともに、「人権教育・啓発推進法」の規定に基づく県計画及び「栃
木県総合計画(とちぎ21世紀プラン)」の部門計画として、平成13(2001)年
3月に「栃木県人権教育・啓発推進行動計画」を策定しました。
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国際婦人年:昭和47(1972)年の国連総会にて、「男女平等の促進」「経済・社会・文化の発展への女
性参加の確保」
「国際友好と世界平和に対する女性の貢献の重要性の認識」という目的のために、昭
和50(1975)年が国際婦人年とされました。
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国際児童年:昭和34(1959)年に国連総会で採択された「児童の権利に関する宣言」の採択20周年
を記念して、昭和54(1979)年が国際児童年とされました。
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児童虐待の防止等に関する法律:児童に対する虐待の禁止及び防止等に関する国及び地方公共団体の責
務や虐待を受けた児童の自立支援のための措置等を定め、児童の権利擁護に資することを目的とし
た法律。
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ホームレス:経済的な理由等により定まった住居を持たず、公園・路上を生活の場とする人。
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さらに、平成13(2001)年10月に栃木県同和対策審議会からの意見具申を
受け、すべての県民の人権が尊重され、人権の共存が図られる人権尊重の社会づ
くりにたゆまぬ努力を傾けていくこととして、平成15(2003)年に「栃木県
人権尊重の社会づくり条例」を制定しました。
この条例では、人権尊重の社会づくりに関する基本理念や県及び県民の責務を
明らかにするとともに、人権施策の推進に当たっては、県としての人権施策の基
本方針を定めることとされており、平成17(2005)年3月に、「栃木県人権尊
重の社会づくりに関する施策の基本方針」を策定しました。
平成18(2006)年3月には、この基本方針の規定に基づき、「人権教育及び
人権啓発」並びに「相談・支援」に関する基本的な取組方向を明らかにした「栃
木県人権施策推進基本計画」を策定しました。平成23(2011)年3月には、そ
の成果と課題を踏まえた「栃木県人権施策推進基本計画(改訂版)」を策定しまし
た。
(4)栃木市の動き
合併以前は、旧市町それぞれが「人権教育・啓発推進行動計画」を策定するな
ど、人権教育・啓発に関する取組を推進してきました。
合併後、従来の事業を継続しつつ本市では、平成22(2010)年に人権行政
の総合的かつ計画的な施策の検討推進を図るため、「栃木市人権施策推進審議会
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」、及び「栃木市人権施策推進本部 12」を設置しました。また法務大臣より委嘱
を受けた人権擁護委員 13制度を活用して、地域に密着した人権普及活動を展開し、
現在では26名が人権擁護委員として、それぞれの地域で活動をしています。
そのほか人権講演会、出前講座等を通じ、人権教育・啓発をすすめ、市民に関
わる様々な人権問題に取り組んでいます。
平成24(2012)年には、市の自治の最高規範である「栃木市自治基本条例」
を制定した際、基本原則の第1番目に「人権尊重の原則」を掲げました。また、
市民の人権に関する意識や人権教育・啓発に関する意見等の把握・分析、本計画
策定のための基礎資料とすることを目的に、市民意識調査を行いました。
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栃木市人権施策推進審議会:栃木市における人権尊重の社会づくりに関し、人権施策を総合的かつ効果
的に推進することを目的に、市長の諮問に応じて、人権施策の推進に関する事項を調査審議する機関。
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栃木市人権施策推進本部:栃木市における人権行政の総合的かつ計画的な推進を目的に、庁内に設置さ
れた検討機関。
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人権擁護委員:法務大臣から委嘱を受けて地域住民からの人権相談や問題解決の支援、法務局の職員と
連携した人権侵害の被害者の救済を行う人。
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第1章 計画策定にあたって
3.計画の基本理念
市民一人ひとりがお互いを認め合い、個性と能力を十分に発揮することがで
きる環境づくりや意識啓発を進め、みんなが、こころ和み、安らぎを感じなが
ら活き活きと暮らし、様々な活動をすることができる居心地のよい栃木市をめ
ざしていきます。
4.計画の位置づけ
●本計画は、日本国憲法に定める基本的人権の考え方や「人権教育・啓発推進法」、
国の「基本計画」及び県の「栃木県人権施策推進基本計画」を踏まえて策定した
ものです。
●本計画は、「栃木市自治基本条例」の人権尊重の原則を踏まえるとともに、「栃木
市総合計画」の分野別計画として、今後の本市の人権教育・啓発の基本方針と施
策の基本的な考え方を定めるものです。
●本計画は、本市に住む市民を対象にした市民意識調査及びパブリックコメント 14
を通じて広く市民に意見を求め、策定したものです。
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パブリックコメント:市町村等の公的機関が計画や条例を策定する際に、ある一定の期間を設けて、意
見・情報・改善案等を地域住民に求める手続。
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5.計画の期間
この計画の期間は、平成26(2014)年度から平成30(2018)年度までの5
年間とします。
年度
平成26
平成27
平成28
平成29
平成30
(2014)
(2015)
(2016)
(2017)
(2018)
栃木市
人権施策推進
プラン
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