医師向け講演資料「オルメテックの長期投与例の検討(高血圧治療)」

オルメテックの長期投与例の検討
第6回宮城神経内科医会学術講演会
平成19年2月24日
せき内科・脳神経内科クリニック
関 久友
はじめに
9 オルメテックには短期の降圧効果と
長期の降圧効果がある。
9 短期の降圧効果は比較的急峻であるが、
長期の降圧効果は緩徐な降圧である。
9 オルメテックの長期投与例で、1年から
2年の間に比較的急峻な降圧を呈した
症例を経験したので報告する。
症例 1
66歳女性
既往歴
尿管結石、子宮筋腫
現病歴
平成13年11月28日、左後頭部痛あり
当院受診し、緊張型頭痛の診断
血圧160/102あり
コニール4mg、ディオバン80mg開始
8.
8.
12
2
2
.1
2
2
12
12
12
12
.1
8.
6.
4.
10
8.
8.
8.
2.
.1
.1
12
12
12
収縮期血圧
H1
H1
H1
H1
H1
8.
12
10
8.
6.
4.
160
H1
7.
7.
7.
7.
7.
12
2
2
T.M
H1
H1
H1
H1
H1
.1
.1
2.
12
10
7.
6.
6.
H1
H1
H1
ディオバン錠
80mg
(66才 女性)
オルメテック錠 20mg
ナトリックス錠 1T
アダラートCR 40mg
拡張期血圧
140
120
100
80
60
40
20
0
症例 2
50歳男性
既往歴
尿管結石
現病歴
S病院通院中だが、血圧下降せず
平成16年4月6日当院受診
血圧160/104あり
ディオバン80mg、フルイトラン2mg開始
(50才 男性)
K.O
ディオバン錠
80mg
オルメテック錠 20mg
テノーミン 50mg
アムロジン錠 5mg
フルイトラン錠 2mg 1/2T
180
収縮期血圧
拡張期血圧
160
140
120
100
80
60
40
20
0
H
.
16
4.
6
H
.
16
6.
6
H
.
16
8.
6
H1
1
6.
0.
6
H1
1
6.
2.
6
H
.
17
2.
6
H
.
17
4.
6
H
.
17
6.
6
H
.
17
8.
6
H1
1
7.
0.
6
H1
1
7.
2.
6
H
.
18
2.
6
H
.
18
4.
6
H
.
18
6.
6
H
.
18
8.
6
H1
1
8.
0.
6
H1
1
8.
2.
6
症例 3
36歳男性
既往歴
特になし
現病歴
平成17年4月23日、回転性めまいあり
6月6日、当院受診、頭位性めまいの診断
血圧150/96あり
オルメテック20mg開始
18
.2
.1
6
6
6
.6
2.
1.
0.
.6
.6
.6
.6
H
.
18 6
.3
H .6
18
.4
H .6
18
.5
H .6
18
.6
H .6
18
.7
H .6
18
.8
H .6
18
H . 9. 6
18
.1
H 0 .6
18
.1
H 1 .6
18
.1
2
H .6
19
.1
.6
H
.1
.1
18
17
17
.9
.8
.7
.6
.1
17
17
17
17
17
H
H
H
H
H
H
H
H
Y.K
(38才 男性)
160
オルメテック 20mg
収縮期血圧
拡張期血圧
140
120
100
80
60
40
20
0
症例 4
60歳女性
既往歴
高脂血症
現病歴
平成17年1月26日、頭痛あり、当院受診
緊張型頭痛の診断
血圧160/100あり
オルメテック20mg開始
17
H .2.2
17
.
H 3.2
17
.
H 4.2
17
.
H 5.2
17
.
H 6.2
17
.
H 7.2
17
.
H 8.2
17
H .9.
17 2
.
H 10.
17 2
.
H 11.
17 2
.1
H 2.2
18
.
H 1.2
18
H .2.2
18
.
H 3.2
18
.
H 4.2
18
.
H 5.2
18
.
H 6.2
18
.
H 7.2
18
.
H 8.2
18
H .9.
18 2
.
H 10.
18 2
.
H 11.
18 2
.1
H 2.2
19
.1
.2
H
Y.S
180
(60才 女性)
オルメテック 20mg
収縮期血圧
拡張期血圧
160
140
120
100
80
60
40
症例 5
62歳男性
既往歴
特になし
現病歴
平成17年11月5日、左手のしびれあり
11月19日、当院受診
頭部CT、頚椎X-p異常なし
血圧166/100あり
オルメテック20mg開始
9
19
19
.1
2.
1.
.1
.1
.1
9
9
9
9
9
9
9
9
19
.1
.1
.1
.1
.1
.1
.1
.1
0.
.9
.8
.1
19
18
18
18
18
18
.7
.6
.5
.4
.3
.2
9
収縮期血圧
H
H
H
H
H
H
18
18
18
18
18
18
.1
19
19
180
H
H
H
H
H
H
2.
1.
.1
.1
.1
18
17
17
H
H
H
S.T
(62才 男性)
オルメテック 20mg
拡張期血圧
160
140
120
100
80
60
40
20
0
長期単独投与
(mmHg)
収縮期血圧
拡張期血圧
200
168.6
mean±SD(n:評価例数)
160
139.1
136.9
圧
血
120
100.4
83.9
82.4
80
40
(139) (126) (115)
(166)(148) (142) (131) (101) (149) (143) (140) (136) (140) (132) (129) (131) (122)
0 2 4 6 8 10 12
16
20
24
28
32
36
40
44
48
52(週)
投与期間
[試験デザイン] 国内臨床試験併合(多施設あるいは1施設,漸増法)
[対
象] 軽症および中等症本態性高血圧症患者166例
社内資料
オルメサルタン長期投与における
収縮期血圧と拡張期血圧
Paired t-test vs 投与開始(mean±S.D.)
200
(n=20)
163.9
160
120
151.3
***
***:p<0.001
143.9
***
96.2
88.4
***
80
83.4
***
137.0
***
75.9
***
40
136.3
133.6
133.4
***
***
***
74.2
71.6
***
68.4
***
収縮期血圧
***
拡張期血圧
0
0
1
3
6
期間(月)
12
18
24
Prog.Med.26:2517~2525,2006
オルメサルタンの
血管リモデリング改善作用
VIOS
オルメサルタン(オルメテック)の
血管保護作用
Vascular Improvement
OlmeSartan medoxomil
with
VIOS
仮 説
アンジオテンシンⅡが高血圧患者の血管リモデ
リングに関与しているのであれば、リモデリング改
善作用はRA系抑制薬であるオルメサルタンに
認められる。
(ESH 2005)
VIOS
対 象
JNC7における stage1 または
stage2 の本態性高血圧患者
オルメサルタン群
β遮断薬群
27例
22例
(ESH 2005)
VIOS
評価方法
ヒト臀部皮下脂肪を生検針にて採取し
直径150-350μmの細動脈の血管壁厚と
血管内腔径比を測定
改善
リモデリング
血管壁厚
血管内腔径
(ESH 2005)
VIOS
試験デザイン
降圧目標 140/90mmHg以下
生検
生検
ランダム化と用量調節
スクリー
ニング
休薬期
オルメサルタン
20mg/日
β遮断薬
50mg/日
-4
0
2
維持療法
40mg/日
他の降圧薬
の追加※
100mg/日
他の降圧薬
の追加※
4
試験期間
12
28
52 (週)
※サイアザイド系利尿薬、Ca拮抗薬、血管拡張薬
(ESH 2005)
VIOS
血圧値の推移
オルメサルタン
(n=27)
β遮断薬
(n=22)
収縮期血圧
血 圧
(mmHg)
160
150
140
130
120
110
100
90
80
70
60
-5
拡張期血圧
0
5
10 15 20 25 30 35 40 45 50 55(週)
試験期間
(ESH 2005)
細動脈壁厚/内腔径比の変化
(%)
VIOS
*p<0.05(vs 正常血圧者)
細動脈壁厚/内腔径比
20
p<0.001
p<0.01
18
*
*
16
*
14
12
10
正常
血圧者
試験前
試験
1年後
オルメサルタン
(n=27)
試験前
試験
1年後
β遮断薬
(n=22)
(ESH 2005)
細動脈壁厚/内腔径比の変化
(%)
30
オルメサルタン
血管壁/内腔比
血管壁/内腔比
20
10
0
(%)
30
投与前
投与後1年
VIOS
アテノロール
20
10
0
投与前
投与後1年
(ESH 2005)
結
論
VIOS
1 降圧に依存しないRA系抑制
作用による血管リモデリング改善
作用が認められた
2 オルメサルタンの血管リモデリング
改善作用が強く示唆された
(ESH 2005)
まとめ
9 オルメテックの長期投与例で、1年から2年
の間に比較的急峻な降圧を呈した症例を
報告した。
9 オルメテックによる血管リモデリング改善
作用による可能性が考えられるが、降圧が
比較的急峻なため、その他の要因が関与
している可能性も考えられた。