平成 25 年度課題解決型医療機器等開発事業 事業成果報告書(最終審査 1:最終製品)23-106 不妊治療効率向上を目的とした低侵襲子宮着床能判定装置の開発 製品名「子宮もしくは膣の電気的パラメータ Y もしくは電気的パラメータ Z の測定装置」 事業管理機関: 事業実施機関: 問い合わせ先: 国立大学法人 大阪大学 国立大学法人 大阪大学大学院医学系研究科 産科学婦人科学、学校法人 大阪電気通信大学 医療福祉工学科 山科精器株式会社、東レ・メディカル株式会社 国立大学法人 大阪大学大学院医学系研究科 産科学婦人科学中村仁美 (TEL: 06-6879-3351 / E-mail: [email protected]) 【事業成果概要】 不妊治療の治療効率を向上させるためには現在ブラックボックスである受け入れ側の子宮の着 床能を前方視的に評価し、その周期ごとの治療方針に反映させなければならない。大学での基礎 研究において発見した知見と山科精器の金属等の微細加工技術を用いて低侵襲にかつ前方視 的に子宮の着床能を評価できるような医療機器を製品化する。国内外において競合するものがな く、日本発の医療機器として 2018 年 8 月に上市する予定である。 【製品概要】 製品名 子宮もしくは膣の電気的パラメータ Y もしくは電気 的パラメータ Z の測定装置 一般的名称 該当なし クラス分類 クラスⅡ 認証 or 承認 申請区分 製造販売業者 販売業者 山科精器株式会社 東レ・メディカル株式会社 上市計画 薬事申請時期 上市時期 国内市場 許認可区分 2015 2018 後発 or 改良医療機器 製造業者 山科精器株式会社 その他(部材供給) なし 年 年 9 8 1 月 月 海外市場(具体的に: 2019 年 2020 年 欧米・EU 12 6 ) 月 月 平成 25 年度課題解決型医療機器等開発事業 事業成果報告書(最終審査 1:最終製品)23-106 2. 本機器の特徴・ポイント 1. 本機器が対象とする医療現場の課題・ニーズ (1) 前方視的に着床能を評価する診断機器 (1) 治療周期あたりの妊娠率は 17-25% 本製品は、前方視的に着床能を評価するために、 電気的パラメータを測定する機器システムである。 プローブ部分は低侵襲に設計され、日常的な診断お よび治療の範囲内でそれ以上に患者への負担を与え るものではない。国内外に競合製品はなく、日本発 の医療機器として上市する予定である。 低侵襲にかつ前方視的に子宮着床能を評価 製品として、機器本体とディスポーザブルであ るプローブ部分がある 現在の生殖補助医療における世界的な妊娠率は、 一般に 17-25%と言われており、十分とは言い難い。 母体年齢が妊娠率に大きく影響を受ける事から、晩 婚化・晩産化の社会現象の中では、より一層、治療 の効率向上が求められる。 (2) 原因不明不妊症の多くは着床不全が原因である 体外で発生する事ができる程のポテンシャルをも った胚であっても、83-89%の胚は妊娠に至る事がで きず、その原因の 1/3 は胚の発生過程における異常 など胚自身の問題であり、残りの 2/3 は受け入れ側 の子宮の問題、つまり着床不全によると考えられ、 現在の不妊治療現場では着床不全に対する治療が求 められている。 (2) 医療現場への還元 前方視的に子宮の着床能を評価することによる治 療効率の向上により、リスクの多い「卵巣刺激—採卵」 の回数を減らすことができる。これにより、卵巣刺 激により起こりうる卵巣過剰刺激症候群のリスクを 減らすことができる。採卵時に起こりうるリスクと して、麻酔によるリスク、経膣的に卵巣を穿刺する 際の、出血のリスクを減らすことができる。 (3) 不妊治療効率向上のために前方視的な着床能の 診断方法が必要 臨床におけるヒト着床能の評価は、(a)血中プロ ゲステロンレベルおよび(b)超音波下における子宮 内膜の厚さにより現在も日常的に評価されている。 しかし、これらが着床(妊娠)するのには必要条件 ではあるが、十分条件ではないと考えられている。 しかしながら、他に方法がないために(a)および(b) の方法は現在でも日常的に行われている。そして、 着床能についてブラックボックスのまま治療回数だ けを重ねう事が行われ続けている。 現状の着床能の評価は前方視的な評価には不十分 であり、新たな前方視的な着床能の診断方法が必要。 3. 本機器の中核となる中小企業のものづくり技術 (1) 山科精器株式会社 滋賀県栗東市に本社を持つ従業員 131 名の中小企 業である。 事業内容は、各種専用工作機械、船舶用並びに発 電プラント向の熱交換器、産業機械・船舶機関向潤 滑機の製造と医療機器製造販売を手掛けている。 メディカル事業部は 2009 年に設立後、医療機器製 造業許可・第二種医療機器製造販売業許可を順次取 得、これまでに 2 製品を上市(2013 年現在)。 山科精器の金属等の微細加工技術が本案件に応用 された。上市後は製造と製販を担当する。山科精器 独自の技術と医療機器の開発の経験を製品の材料選 定や加工方法に活かせることが強みである。 医療機器製造業許可 第二種医療機器製造販売業許可 製造および製版を担う (4) 着床の基礎研究から事業化への応用 大阪大学および大阪電気通信大学での基礎検討に おいて、電気的パラメータYおよびZにより、マウ スにおける着床能を前方視的に 90%の確率で予測す る 事 に 成 功 し た [ 特 願 2010-260006 ・ PCT/JP2011/076900]。本事業では、これをヒトに応 用し臨床研究を経て最適化し、診断機器としての事 業化を目指した。 4. 現状ステータスと上市予定 臨床研究に用いるヒトプローブを設計、製作した。 現在、目標 100 症例で臨床研究が進行中である。 臨床研究結果を解析して、適当な測定部位は膣な のか子宮腔内なのか、測定パラメータとして電気的 パラメータYなのかZなのかの最終判断を行う。 その後、上市用装置として最適化への再設計、装 置の製造、臨床評価を行い、2015 年 9 月に薬事承認 申請実施、2018 年 8 月に国内市場への上市を目指す。 臨床研究における網羅的なデータの蓄積中 2015 年 9 月に薬事承認申請予定 2018 年 8 月に国内市場への上市を目指す 2
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