世界の言語 世界の言語 2007/01/02 ABE Fujio このプリントを作った目的: 1 世界の言語のグループ(language family)を知る 2 日本語と英語の相対的な位置関係を知る 3 英語が属するインド・ヨーロッパ語族を知る 4 言語とは何か 言語(げんご)とは、コミュニケーションのための記号の体系。狭義には人間の音 声による言葉を指すが、広義には身振りなど音声以外の要素も含む。また、動物間 のコミュニケーションや、コンピュータに指示するための記号の体系(プログラミング 言語)を指す場合もある。 日本語や英語のように自然発生的に生まれた言語を自然言語と呼び、これに対し てエスペラントやプログラミング言語のように人為的に創作された言語を人工言語と 呼ぶ。 自然言語は、母語とする人々の存在を失うと使用されなくなり死語と呼ばれ る。 2 世界の言語地図 ドイツ語版を元に日本語版を wikipedia が作成したもの 3 言語の数と範囲の不確定 現在世界に存在する言語の数は、千数百とも数千とも言われるが、数えることは、 ほぼ不可能である。これは、未発見の言語や、消滅しつつある言語があるためだけ ではなく、言語を数えることに原理的な困難があるためである。似ているが同じでは ない「言語」が隣り合って存在しているとき、それは一つの言語なのか、別の言語な のか。この問いは、「言語」なのか「方言」なのか、と言い換えてもよい。さらに、ある人 間集団を「言語の話者」とするか「方言の話者」とするかの問題でもある。 同じ言語かどうかを判定する基準として、相互理解性を提唱する考えがある。話 者が相手の言うことを理解できる場合には、同一言語、理解できない場合には別言 語とする。相互理解性は言語間の距離を伝える重要な情報であるが、これによって 一つの言語の範囲を確定しようとすると、技術的難しさにとどまらない困難に直面す る。一つは、A の言うことを B が聞き取れても、B の言うことを A が聞き取れないよう な言語差があることである。もう一つは、同系列の言語が地理的な広がりの中で 徐々に変化している場合(言語連続性または方言連続性という)に、どこで、いくつ に分割すべきなのか、あるいはまったく分割すべきでないのかを決められないことで ある。 こうした困難に際しても、単一の基準を決めて分類していくことは、理屈の上では 可能である。しかしあえて単一基準を押し通す言語学者は現実にはいない。ある集 団を「言語話者」とするか「方言話者」とするかには、政治的・文化的アイデンティティ の問題が深く関係している。どのような基準を設けようと、ある地域で多くの賛成を得 られる分類基準は、別の地域で強い反発を受けることになる。そうした反発は誤りだ と言うための論拠を言語学はもっていないので、結局は慣習に従って、地域ごとに 異なる基準を用いて分類することになる。 言語と方言の区別について、現在なされる説明は二つである。第一は、言語と方 言の区別にはなんら言語学的意味はないとする。第二のものはまず、どの方言もそ れぞれ言語だとする。その上で、ある標準語に対して非標準語の関係にある同系言 語を、方言とする。標準語の選定は政治によるから、これもまた「言語と方言の区別 に言語学的意味はない」とする点で、第一と同じである。この定義では、言語を秤に かけて判定しているのではなく、人々がその言語をどう思っているかを秤にかけてい 普段話されている言語別人口順位(人口は概算) 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 出典はすべて: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』による 1 20 ムスコギ諸語 21 スー語族 22 トゥピ語族 23 マヤ語族 24 オト・マンゲ語族 25 ケチュア語族 26 トランスニューギニア語族 27 諸語 27.1 アメリカ・インディアン諸語 27.2 オーストラリア諸語(オーストラリア原住民諸語) 27.3 パプア諸語(パプア・北ハルマヘラ諸語) 27.4 古アジア諸語(古シベリア諸語) 他に 28 孤立した言語 28.1 現代の言語 28.2 死語 29 人工言語 るのである。 5 中国語 (13 億人)(2005 年) アラビア語 (4 億 2000 万人) ヒンディー語 (3 億 6600 万人)(1999 年) 英語 (3 億 4100 万人)(1999 年) スペイン語 (3 億 2200 万~3 億 5800 万人)(1999 年) ベンガル語 (2 億 700 万人)(1999 年) ポルトガル語 (1 億 7600 万人)(1999 年) ロシア語 (1 億 6700 万人)(1999 年) 日本語 (1 億 2500 万人)(1999 年) ドイツ語 (1 億人) フランス語 (7800 万人) 朝鮮語(韓国語) (7800 万人) 国際的に重要な言語 勿論多くの人が公用している事が条件だが、ただ単に多くてもトップクラスに来る 事は出来ない。条件をもう細かく検討すれば · 公用人口そのものが多いか、公用人口の比率が多いか · 通用する国の数は少なめか、多めか · 多いのは世界全体か、世界の特定地域か · 多いのは文明が最初に進んだヨーロッパか、世界に広がる元になった旧 植民地か · 母国語としてか、第一外国語としてか · 他の言語使用者が理解する場合、同じ語族の為同じ単語が多いか、借 用関係にある為同じ単語が多いか · 文法的に簡単か、複雑か これらを総合的に見た場合、たとえロシア語・ヒンディ語・中国語は公用人口が多 くても、世界の一部の国で話されているに過ぎない。結局は英語が上記の多くの条 件において 1 位か 2 位に来る為、総合的に見て 1 位に来る国際語となる。2 位はか つて、ヨーロッパで母国語かつ世界で外国語として通用し易いフランス語だったが、 現在は世界で母国語として通用し易いスペイン語が優勢となっている。 6 言語のグループ一覧 英語と日本語の場所を確認して欲しい。語族は文字通り家族のようなものである。近 い関係もあれば、遠い関係もある 1 インド・ヨーロッパ語族(印欧系) ★英語 2 コーカサス諸語 3 アフロ・アジア語族 4 ニジェール・コルドファン語族 5 ナイル・サハラ語族 6 コイサン語族 7 ウラル語族 8 アルタイ語族? - (アルタイ諸語) 9 日本語族 ★日本語 10 シナ・チベット語族(支蔵系) 11 タイ・カダイ語族 12 ミャオ・ヤオ語族 13 オーストロアジア語族 14 ドラヴィダ語族 15 オーストロネシア語族 16 ユト・アステカ語族 17 エスキモー・アレウト語族(エスキモー・アリュート語族) 18 ナ・デネ語族 19 アルゴンキン語族 1/2 7 日本語族(にほんごぞく、Japonic languages) 日本語は系統において様々に議論があるものの、比較言語学的にいずれかの 他言語と共通の語族に属すことは証明されておらず、孤立言語とされる。 ただし、琉球諸島と奄美諸島の言葉を別の言語として琉球語とする考えもあり、 その論をとれば日本語の同系言語が存在することになる。そして、それぞれがさらに 多数の方言に分類することができるため、これらすべてをまとめ一語族として日本語 族と称し、日本語派と琉球語派に分けるのが妥当とされる。 8 インド・ヨーロッパ語族とは何か? · · インド・ヨーロッパ語族に属する言語の現在の分布。オレンジはインド・ヨーロッパ 系言語が主要な言語である国々、薄い緑は主要言語でないものの公用語にな っている国々。 · インド・ヨーロッパ語族 (インド・ヨーロッパごぞく) は言語の分類の一つであり、 サンスクリット語、ペルシア語、トカラ語、ギリシア語、ラテン語、英語、バルト諸語、 ロシア語、アルメニア語、アルバニア語などを含む語族である。このほか古代の 小アジア(アナトリア)とその他の地域に少数の言語がインド・ヨーロッパ語として 認められている。 · 日本では、「印欧語族」とも呼ばれる。以前はアーリヤ語族(Aryan)という名称も用 いられたが、これはインド・イラン語グループの総称に用いられ、今は使用しな い。 · またインド・ゲルマン語族という名もありドイツ語で今日もなお慣用となっている "Indo-germanisch" に由来する。この名称は、東のインド語派と西のゲルマン語 派をこの語族の代表とみる考え方に基づいているのであるが、ドイツ以外では使 用されていない。 インド・ヨーロッパ語族の概要 インド・ヨーロッパ語族に属する諸言語はインド・ヨーロッパ祖語(印欧祖語)に起源 を持つと考えられている。印欧祖語の分化と使用地域の拡散が始まったのは 6,000 年前とも 8,000 年前とも言われている。その祖地は現在のウクライナ、またトルコだっ たという説があるが、言語的資料が増えた紀元前後の時代には既にヨーロッパから アジアまで広く分布していた。 大航海時代以降、特に近代以後には南北アメリカ大陸やアフリカ、オセアニアにも 話者が移住して使用地域を大きく広げた。現在インド・ヨーロッパ語族の言語は 100 以上の国家で公用語となり、各言語の母語話者人口の合計は 25 億人を超える。国 際連合の 6 つの公用語のうち、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語はインド・ヨ 世界の言語 ーロッパ語族である。 インド・ヨーロッパ語族は音韻的な特徴からケントゥム語派とサテム語派に大別され る(語派より大きい、語群という言葉も使われる)両語派の違いは左記リンクを参照。 分化が始まった時点での印欧祖語は、多様な語形変化を持つ言語だったと想定 されている。しかし時代が下り言語の分化が大きくなると、各言語は概して複雑な語 形変化を単純化させていった。 インド・ヨーロッパ語族の数 印欧祖語には文法的な数には単数、複数の他、対になっているものを表す「双 数」があったと考えられているが、このうち双数は古代インドの言語や古典ギリシア語、 古い時代のスラブ語に残ったものの、のちの時代にはほとんどの言語で消滅した。 インド・ヨーロッパ語族の性 印欧祖語にあったと考えられる男性、女性、中性という 3 つの文法的な性の区別は、 現代でもスラブ諸語やドイツ語、アイスランド語などには残るが、他の多くの言語で は変化している。例えば、ロマンス諸語やヒンディー語では男性と女性のみになり、 スウェーデン語やオランダ語では男性と女性が合流した「通性」と中性の二つの性 が残っている。英語では名詞の文法的な性の区別はほぼ消滅した。 インド・ヨーロッパ語族の格 印欧祖語は、名詞・形容詞等の文法的な格として主格、対格、与格、属格、奪格、 処格、呼格の 8 つを区別していたと考えられている。紀元前のインド・ヨーロッパ諸語 にはこれらを残す言語がいくつかあったが、後世には特に名詞・形容詞については 概ね区別される格の種類を減らしている。スラブ諸語ではチェコ語やポーランド語の 7 格、ロシア語の 6 格など豊富な格変化を残す言語があり、ドイツ語、アイスランド語 では 4 つの格が残っているが、ヒンディー語、ルーマニア語などは 2 つの格を持つの みである。その他の言語では名詞・形容詞の格変化を失った言語が多い。多くのロ マンス諸語は名詞・形容詞の格の区別を失っている。英語の名詞は主格と所有格 (属格)を残すのみである。名詞や形容詞の格を退化させた言語も代名詞に関して は格を区別するものが多い。 印欧祖語は、主語・目的語・動詞の語順が優勢な SOV 型言語だったと考えられて いる。古い時代のインド・ヨーロッパ諸語、例えばヒッタイト語、インド・イラン語派の諸 言語、ラテン語ではその特徴が見られたが、のちの時代のインド・ヨーロッパ諸語で はこの傾向が概ね変化している。現代では言語により語順は様々だが、ヨーロッパ では主語・動詞・目的語の語順が優勢な SVO 型言語が比較的多く、インドのヒンデ ィー語では現在でも SOV の傾向が強い。ただし各言語はそれぞれ独自に変化を遂 げており、互いに似た語順を持っていても系統的に近い言語でなければ確たる関 連性があるわけではない。 インド・ヨーロッパ語族の語派 インド・ヨーロッパ語族に属する言語は、以下の語派に分けられる。 1 アナトリア語派 古代西アジアで話された。全て死語。インド・ヨーロッパ語族とは別の語族としたう えで、相互に関係があるとする説も。ヒッタイト語、ルウィ語など。 2 アルバニア語 単独で 1 語派をなす。 3 イリュリア語派? 小アジアにリュキア、リュディア、フリュギアとよばれる地から、ギリシア系の文字を使 った前 1000 年代の中ごろの碑文が出土した。アルバニア語派とも考えられていたが、 現在はインド・ヨーロッパ語族として認められている。 4 アルメニア語 単独で 1 語派をなす。 5 イタリック語派 原住地はイタリア半島中北部であったが、ローマ帝国の拡大とともにその公用語と して勢力を拡大した。そこで特にラテン語から生じた(現用)言語群を「ロマンス諸 語」という。 オスク・ウンブリア語群 ローマ帝国以前にイタリア半島中部に存在した。現在は全て死語。 ラテン・ファリスク語群 ファリスク語 ラテン語 ロマンス語 ウンブリア語、サルデーニャ語、イタリア語、コルシカ語、フランス語、 アオスタ語、ワロン語、オック語、カスティリャ語(スペイン語)、ポル トガル語、ガリシア語、ルーマニア語、カタルーニャ語、レト・ロマン 語(ロマンシュ語、フリウリ語、ドロミテ語)など 6 インド・イラン語派 西アジア~南アジアにかけて分布。カーフィル語派は別の語派として扱う説 も。 7 インド語派 サンスクリット語、パーリ語、ヒンディー語、ウルドゥー語など。 8 イラン語派 ペルシア語、パシュトー語など。 9 ダルド語派 パキスタン北西部に分布。 10 カーフィル語派 ヌーリスターン語派とも。ヒンドゥークシュ山脈山中に散在する。 11 ギリシア語 単独で 1 語派をなす。 12 ケルト語派 ヨーロッパ中部に広く分布していたが、現在では多くが絶滅した。 ガリア語(死語) アイルランド語、ブルトン語、ウェールズ語、マン島語、スコットランドのゲール 語など 13 ゲルマン語派 ヨーロッパ中北部が原郷。ゲルマン民族の大移動を経てロマンス語にも大きな影響 を与えた。 北ゲルマン語群(ノルド諸語、北欧諸語) スウェーデン語(フィン・スウェーデン語)、デンマーク語、ノルウェー語(ブー クモール、ニーノシュク)、アイスランド語、フェロー語、ノルン語、古ノルド語。 西ゲルマン語群 英語、ドイツ語、オランダ語、アフリカーンス語、フリジア語、フラマン語など。 東ゲルマン語群 ゴート語など。 14 スラヴ語派 東ヨーロッパに分布。バルト語派とは共通の語派に属するとの説が有力とされる。 南スラヴ語群 古代教会スラヴ語 ブルガリア語、スロヴェニア語、セルボ・クロアチア語(セルビア語、クロアチア 語)、モンテネグロ語、マケドニア語など 東スラヴ語群 ロシア語、ベラルーシ語、ウクライナ語など 西スラヴ語群 ポーランド語、チェコ語、スロヴァキア語など 15 トカラ語 トカー語とも。全て死語。現在の東トルキスタン(中国の新疆)地域で 8 世紀まで話さ れた。 アグニ語(トカラ A) クチャ語(トカラ B) 16 バルト語派 スラヴ語派との近縁性が指摘されている。 西バルト語群(全て死語) 東バルト語群 リトアニア語、ラトビア語など 2/2 分布 これらの語派の分布は、東は中央アジアのトカラ語からインド、イラン、小アジアを 経て、ヨーロッパのほぼ全域に及 んでいる。この広大な分布に加えて、その歴史を みると、前 18 世紀ごろから興隆した小アジアのヒッタイト帝国の残した楔形文字(くさ びがたもじ)による粘土板文書、驚くほど正確な伝承を誇るインド語派の『リグ・ヴェー ダ 』、そして戦後解読された前 1400‐前 1200 年ごろのものと推定される線文字で綴 られたギリシア語派のミュケナイ文書など、前 1000 年をはるかに上回る資料から始ま って、現在の英独仏露語などの、およそ 3500 年ほどの長い伝統をこの語族はもって いる。これほど地理的・歴史的に豊かな、しかも変化に富む資料をもつ語族はない。 この恵まれた条件のもとに初めて 19 世紀に言語の系統を決める方法論が確立され、 語族という概念が成立した。 インド・ヨーロッパ諸語は理論的に再建することのできる、一つのインド・ヨーロッ パ共通基語もしくはインド・ヨーロッパ祖語とよばれるものから分化したと考えられて いる。現在では互いに別個の言語であるが、歴史的にみれば互いに親族の関係に あり、それらは一族をなすと考えることができる。 これは言語学的な仮定である。一つの言語が先史時代にいくつもの語派に分化 していったのか、その実際の過程を文献的に実証することはできない。資料的にみ る限り、インド・ヨーロッパ語の各語派は歴史の始まりから、すでに歴史上にみられる 位置についてしまっていて、それ以前の歴史への記憶はほとんど失われている。し たがって共通基語から歴史の始まりに至る過程は、言語史的に推定するしか方法 はない。 インド・ヨーロッパ諸語の分布は歴史とともにかなり変動している。先史時代から現在 まで受け継がれてきた言語も多いが、すでに死滅してしまったものも多い。 前 2000 年代の小アジアでは、今日のトルコの地にヒッタイト帝国が栄え、多量の 粘土板文書を残したが、その言語は南のルビア語とともに死滅した。 またギリシア北部からブルガリアに属する古代のトラキアにも若干の資料があるが、 固有名詞以外にはその言語の内容は明らかでない。またイタリア半島にも、かつて はラテン語に代表されるイタリック語派の言語以外に、アドリア海沿いで別の言語が 話されていた。なかでも南部のメッサピア語碑文は、地名などの固有名詞とともにイ タリック語派とは認められず、かつてはここにイリュリア語派の名でよばれる一語派が 想定されていた。しかし現在ではこの語派の独立性は積極的には認められない。 このほか死滅した言語としては、シルクロードのトゥルファンからクチャの地域で出 土した資料をもつトカラ語、バルト語派に属する古代プロイセン語、ゲルマン語のな かで最も古い資料であるゴート語などがある。ケルト語派は現在ではアイルランド、ウ ェールズ、それにフランスのブルターニュ地方に散在するにすぎず、その話し手も多 くは英語、フランス語との二重言語使用者であるから、ゲルマン、ラテン系の言語に 比べると、その分布は非常に限られている。しかし前 1000 年代には中部ヨーロッパ に広く分布する有力な言語であったことは、古代史家の伝えるところである。 起源 この語族の起源は 6000 年前のロシアの遊牧民の言語であるとされていたが、ニ ュージーランド・オークランド大学のラッセル・グレーRussell D. Gray その他によれば、 インド・ヨーロッパ語族の起源は、生物学で DNA 配列の類似度から種が枝分かれし た道筋を明らかにする系統分析の手法を言語に当て嵌めることによって、約 8700 年 前のトルコ付近にいた農耕民族「ヒッタイト」の言語にさかのぼることがわかったという (雑誌 Nature 2003 年 11 月 27 日号。『Language-tree divergence times support the Anatolian theory of Indo-European origin』 Russell D. Gray, Quentin D. Atkinson 『Nature』 426, 435 - 439 (27 Nov 2003) Letters to Editor )。この語族の 87 言語の 基本的な単語 2449 語について相互間に共通語源を持つものがどれほどあるかを調 べ、言語間の近縁関係を数値化し、言語の系統樹を作成した。この系統樹によれば、 まずヒッタイトの言語が登場、その後、7000 年前までにギリシャ語を含むグループ、 アルメニア語を含むグループが分かれ、5000 年前までに英語、ドイツ語、フランス語 などにつながるグループができたという。
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