『ICT 普及による ビジネスモデルの進化とその効果』 山田正雄ゼミナール 管理行政学科 4年 # 0150234 小 島 薫 はじめに 近 年 の ICT( 情 報 通 信 技 術 ) の 発 達 ・ 普 及 に よ り 、 ビ ジ ネ ス チ ャ ネ ル は 増 加 し た 。 そ れ に伴って、ビジネスの幅は広がり、ビジネスモデルは大きく進化した。 さらに、将来、自分もビジネスの現場に立つ者として、急速な市場変化や技術革新が進 む中で企業が競争力を保持するためには、ビジネスモデルの本質や、それぞれのビジネス ケースにあったビジネスモデルのタイプをつかんでおく必要があると考え、 『 ICT に よ る ビ ジネスモデルの進化とその効果』をテーマとした卒論を書くことにした。 そ こ で 、 本 論 文 で は 、「 ビ ジ ネ ス モ デ ル 」 と「 ICT の 普 及 」 を キ ー ワ ー ド と し て 、 ビ ジ ネ ス モ デ ル が い か に 進 化 し た の か を 研 究 し 、 さ ら に 今 後 ICT が 発 展 す る と こ に よ っ て ど の よ うなビジネスモデルが誕生しうるのかを考察していきたいと思う。 内 容 と し て は 、ま ず 1 章 で「 ICT と は 何 か 」を ふ ま え た 後 、ICT が ど の 程 度 社 会 に 普 及 し ているのかを調べ、それがビジネス環境においてはどうなのかを、統計データをもとに検 証していきたい。 次に2章では、この論文における「ビジネスモデル」という言葉の意味を定義づけした 後 、 ICT に よ っ て ビ ジ ネ ス が い か に 進 歩 し た の か を 、「 既 存 産 業 の ビ ジ ネ ス 進 化 」 と 「 ICT を活用したニュービジネス」の2つのケースに分け、さらにそれを5つ(厳密には6つ) の タ イ プ の ビ ジ ネ ス モ デ ル に 分 類 し 、 そ れ ぞ れ の タ イ プ 別 に 、 ICT の 普 及 前 を 【 従 来 の ビ ジ ネ ス モ デ ル 】 と し 、 ICT 普 及 後 に 拡 大 し た ( 進 化 し た ) も の を 【 e ビ ジ ネ ス モ デ ル 】 と し て 、ICT 普 及 前 後 の ビ ジ ネ ス( ビ ジ ネ ス モ デ ル )の 範 囲 の 広 が り を 見 て い き た い と 思 う 。 3 章 で は 、ビ ジ ネ ス モ デ ル が 進 化 し た こ と に よ る 効果 と し て「 ビ ジ ネ ス モ デ ル 特 許 」 を 取 り 上 げ た い と 思 う 。内 容 と し て は 、 「 ビ ジ ネ ス モ デ ル 特 許 と は 何 か 」を 明 ら か に し 、日 本における特許の審査に関する4つの条件についてふれた後、特許制度の歴史やビジネス モデル特許誕生の経緯などを振り返りたいと思う。その後、ビジネスモデル特許が誕生し た米国と日本のビジネスモデル特許事情について、特許出願件数などの統計データを用い て検証していきたいと思う。 4章では、3章であげたビジネスモデル特許の具体的事例を紹介していきたいと思う。 そ し て 、最 後 に ICT に よ っ て 新 た に 誕 生 し た ニ ュ ー ビ ジ ネ ス と ビ ジ ネ ス モ デ ル に つ い て 、 幾 つ か の 事 例 を あ げ 、 そ れ ぞ れ A . 提 供 者 ( 誰 が サ ー ビ ス ( ビ ジ ネ ス ) を 提 供 す る の か )、 B .顧 客( ど の よ う な 相 手 を 顧 客 と す る の か )、C .顧 客 価 値( ど の よ う な 価 値 を 提 供 す る の か ( サ ー ビ ス / ビ ジ ネ ス 概 要 ))、 D . 提 供 手 段 ( ど の よ う な 手 段 を 用 い て 価 値 を 提 供 す る の か )、 E . 留 意 点 の 5 点 に つ い て 考 察 し て い き た い と 思 う 。 本論文構成は次ページにて記す。 1 【目次】 はじめに 第 1 章 ICT の 普 及 と ビ ジ ネ ス 環 境 の 変 化 1 − 1 ICT と は 1 − 2 社 会 の イ ン フ ラ と し て の ICT 1 − 3 ビ ジ ネ ス の 現 場 に お け る ICT 第2章 ビジネスモデル 2−1『ビジネスモデル』とは 2 − 2 ICT に よ る ビ ジ ネ ス の 進 化 2−3 ビジネスモデルのタイプ ① アウトソーシング型 ② アライアンス型 1) 垂直統合型 2) 水平統合型 ③ コーディネート(仲介)型 ④ 顧客サービス型 ⑤ ダイレクト(中抜き)型 第3章 ビジネスモデル特許 3−1 ビジネスモデル特許とは 3−2 日本の特許審査基準 3−3 特許制度とは 3−4 ビジネスモデル特許誕生の経緯 3−5 日米におけるビジネスモデル特許の出願・取得数 第4章 ビジネスモデル特許事例 4−1 アマゾン・ドット・コム社「ワンクリック特許」 4−2 プライスライン・ドット・コム社「逆オークション特許」 4−3 凸版印刷「Bitway」 結びにかえて(ニュービジネスの誕生) ■ 新たなコミュニケーションモデル 『DARTSLIVE』 ■ e‐Passport連携実証実験 『 空 港 に お け る 個 人 識 別 情 報 付 き IC カ ー ド の 実 証 実 験 』 ■ 携帯電話からパソコンのソフトウェアを遠隔操作 『ユビキタスビューア』 2 第 1 章 ICT の 普 及 と ビ ジ ネ ス 環 境 の 変 化 1 − 1 ICT と は 「 ICT」 と は Information and Communication Technology の 略 で あ り 、 IT と 同 義 語 で ある。日本では主に情報通信技術と訳される。特に明確な定義があるわけではないが、 一 般 的 に は 「 コ ン ピ ュ ー タ と ネ ッ ト ワ ー ク (特 に イ ン タ ー ネ ッ ト )に 関 連 す る 技 術 」 と し て知られている。 日 本 に お い て も 、 国 を 挙 げ て IT に よ る 産 業 ・ 社 会 構 造 の 変 革 ( IT 革 命 ) に 対 し て 、 戦 略 的 か つ 重 点 的 に 取 り 組 む こ と が 急 務 と な っ た こ と か ら 、2000 年 7 月 に 内 閣 総 理 大 臣 を 本 部 長 と す る「 情 報 通 信 技 術 (IT)戦 略 本 部 」が 設 置 さ れ た 。同 年 11 月 に は 高 度 情 報 通 信 ネ ッ ト ワ ー ク 社 会 形 成 基 本 法( I T 基 本 法 )が 成 立 し た 。さ ら に 2001 年 に は 、す べ て の 国 民 が 情 報 通 信 技 術 ( IT) を 積 極 的 に 活 用 し 、 そ の 恩 恵 を 最 大 限 に 享 受 で き る 社 会 の 実 現 や 、 5 年 以 内 に 世 界 最 先 端 の IT 国 家 と な る こ と を 目 指 す こ と を 目 的 と し た 「 e ‐ Japan 構 想 」が 決 定 さ れ 、こ れ に つ い て は 、毎 年 の よ う に 計 画 の 内 容 が 改 定 さ れ て い る 。 1 − 2 社 会 の イ ン フ ラ と し て の ICT ICT の 中 で も 特 に は イ ン タ ー ネ ッ ト は 携 帯 電 話 の 普 及 と 共 に 、 私 た ち 消 費 者 の 生 活 の 中にも広く浸透し、今や立派なインフラとなっているといえる。 1998 年 末 、1694 万 人 で あ っ た イ ン タ ー ネ ッ ト 利 用 者 数 も → 2003 年 末 に は 7730 万 人 と 五 年 の 間 に ほ ぼ 4.5 倍 に も 増 加 し て お り 、こ の 7730 万 人 と は 、イ ン タ ー ネ ッ ト 普 及 率 に す る と 60.6% ( 注 1 ) で あ る 。こ れ は 、人 口 の 約 6 割 の 人 が イ ン タ ー ネ ッ ト を 利 用 し た こ とがあるということになる。 1 − 3 ビ ジ ネ ス の 現 場 に お け る ICT 前 節 に お い て 、 ICT が 社 会 に 広 く 普 及 し た こ と が 明 ら か に な っ た 。 で は 、 ビ ジ ネ ス 環 境 に お い て ICT は ど の 程 度 普 及 し て い る の だ ろ う か 。 『 情 報 化 白 書 』に よ る と 、企 業 に お け る イ ン タ ー ネ ッ ト の 普 及 率 は 1998 年 末 に 80.0% と 、 11.0% で あ る 同 年 の 家 庭 に お け る イ ン タ ー ネ ッ ト 普 及 率 を 大 き く 上 回 っ て い る こ と が わ か る 。 さ ら に 企 業 に お け る イ ン タ ー ネ ッ ト 普 及 率 は 、 2003 年 末 に な る と 98.2% と 、 ほ ぼ 100% の 確 立 で 、 企 業 は イ ン タ ー ネ ッ ト 接 続 が さ れ て い る 環 境 に あ る こ と が 明 ら か になった。 ま た 、ハ ー ド ウ ェ ア 支 出 、情 報 サ ー ビ ス 支 出( ソ フ ト ウ ェ ア 、サ ー ビ ス 、そ の 他 )、通 信 費 、 人 件 費 を 含 め た も の を あ ら わ す IT 支 出 は 、 1998 年 は 19 兆 9403 億 円 で あ る の に 対 し 、 2003 年 に は 23 兆 7629 億 円 と な っ て い る 。( 注 2 ) こ の こ と か ら も 、 ビ ジ ネ ス 環 境 に お い て ICT は 不 可 欠 な も の と な っ て い る こ と が わ か る。 【注】 注 1 : ・ イ ン タ ー ネ ッ ト 利 用 者 数 と は 、 パ ソ コ ン 、 携 帯 電 話 ・ PHS・ 携 帯 端 末 ( PDA な ど )、 等 の う ち 、 1つ以上の機器から利用している者を対象としている。 3 ・ [イ ン タ ー ネ ッ ト 人 口 普 及 率 = イ ン タ ー ネ ッ ト 利 用 者 数 ÷全 人 口 推 計 値 ] 7730 万 人 ÷1 億 2752 万 人 = 60.6% ( 情 報 化 白 書 2004 よ り ) 注 2: こ の 数 値 は 全 産 業 合 計( 工 業 ・ 製 造 業 ・ サ ー ビ ス 業 な ど )の 値 で あ る 。 ( 情 報 化 白 書 2004 年 よ り ) 4 第2章 ビジネスモデル 2−1『ビジネスモデル』とは 『 ビ ジ ネ ス モ デ ル 』と は 、一 般 的 に は「 利 益 を 生 み 出 す し く み 」や「 ビ ジ ネ ス の 方 法 」 の こ と を 指 す 。そ こ で 本 論 文 中 で は 、 「 企 業 間 や 企 業 と 顧 客 の つ な が り( 関 係 )と 、そ れ によって企業や顧客が利益を得る方法やしくみを表したもの(文章化・図解化・形式化 な ど )」 を そ の 意 味 と し た い と 思 う 。 2 − 2 ICT に よ る ビ ジ ネ ス の 進 化 ICT に よ る ビ ジ ネ ス の 進 化 は 主 に 下 記 の 二 つ に 分 け ら れ る 。 一 つ は 「 既 存 産 業 の ビ ジ ネ ス 進 化 」 で 、 こ れ は 既 存 産 業 が ICT を 取 り 入 れ る こ と で ビ ジネスを進化させるケースのことである。例としては、経営情報システムなどがあげら ( 注 3 )な ど で あ る 。 れ る 。典 型 的 な 例 と し て は 、SCM( サ プ ラ イ チ ェ ー ン・マ ネ ジ メ ン ト ) その他の例は次章のおいてあげたいと思う。 そ し て も う 一 つ は 「 ICT を 活 用 し た ニ ュ ー ビ ジ ネ ス 」 で 、 こ れ は ICT を 活 用 す る こ と で 新 た に 誕 生 し た ビ ジ ネ ス の こ と で あ る 。 例 と し て は 、 EC( 電 子 商 取 引 ) な ど が あ げ ら れる。 そこで、次の2−3では「既存産業のビジネス進化」の方に注目し、そのビジネスモ デ ル を ICT 普 及 前 を【 従 来 の ビ ジ ネ ス モ デ ル 】と し 、ICT 普 及 後 を【 e ビ ジ ネ ス モ デ ル 】 と し て 、 そ の 進 化 を 見 て い き た い と 思 う 。(「 ICT を 活 用 し た ニ ュ ー ビ ジ ネ ス 」 に つ い て は 、 結 び に か え て で 取 り 上 げ る 。) 2−3 ビジネスモデルのタイプ ① アウトソーシング型 そ も そ も ア ウ ト ソ ー シ ン グ と は 、1980 年 代 、米 国 の 製 造 業 が 企 業 の コ ス ト ダ ウ ン を 目 的としたリストラクチャリングの一貫として活用したのが始まりであり、価値の低い業 務を外部化することに対して使われていた。しかし、企業が競争力を維持していくため に、得意分野に特化した本業に経営資源を集中する方向に動き出した(コア・コンピタ ン ス ( 注 4 ) の 実 行 )結 果 、現 在 で は 、専 門 的 ス キ ル を 持 っ た 業 者 に 対 し て 当 該 業 務 を 委 託することに使われるのが一般的となった。事例としては、米コダック社が米IBM社 に情報処理部門を一括して外部委託したことがあげられる。日本においても、セブンイ レブン・ジャパンが情報システムの開発を野村総合研究に委託したことが有名である。 アウトソーシング型の従来のビジネスモデルとは、上記にあるように、アウトソーシ ングのサービスを依頼する企業(委託側)は企業活動で必要となる機能の一部をサービ スを提供する企業(受託側/アウトソーサー)に委託する経営手法のことを指し、アウ トソーサーは主に製造・研究開発・マーケティング・人事派遣・経理・物流などを行う ことが多い。 そ し て 、従 来 の ビ ジ ネ ス モ デ ル に ICT の 普 及 が 加 わ り 、e ビ ジ ネ ス モ デ ル が 誕 生 し た 。 アウトソーシング型のeビジネスモデルとは、従来のビジネスモデルに加え、委託側 と 受 託 側 の ICT を 活 用 し た 情 報 交 換 な ど が 可 能 に な っ た 。 さ ら に 、 企 業 が 新 た に 事 業 を 5 起 こ す 際 に 情 報 シ ス テ ム を 提 供 す る ASP( ア プ リ ケ ー シ ョ ン・サ ー ビ ス・プ ロ バ イ ダ ) (注 5)事業を行うアウトソーサー企業が出現したり、インターネット使用ユーザに対して 企 業 の 広 告 媒 体 を 提 供 す る YAHOO! を 例 と し た ポ ー タ ル サ イ ト ( 注 6 ) 事 業 を 行 う 企 業 が 出現した。 ② アライアンス型 企業においてコア・コンピタンスの考え方が浸透してくると、企業活動の中で外部企 業との提携や協創をはかり、経営資源を共有することで新たな戦略を構築する動きがで てきた。これがアライアンスの誕生である。アライアンスは提携とも呼ばれ、お互いの 持 っ て い る 強 み を 活 か し て 、一 人 で は 作 り 出 せ な い も の を 協 力 し て 作 り 出 す こ と で あ る 。 近年ではコラボレーションという言葉でも浸透してきている。 そして、アライアンス型のビジネスモデルは「垂直統合型」と「水平統合型」に分け ることができる。 ②−1 垂直統合型 垂直統合型の従来のビジネスモデルとは、マーケティング→製品開発→調達→生産→ 配達→販売→顧客という上流から下流のフローの中で垂直的に業務の流れを統合したも ののことをいう。例としては、研究開発業と製造業が提携してもの作りを行ったり、製 造業と流通業が提携してものの流れを作ることなどがあげられる。 そ し て 、 従 来 の ビ ジ ネ ス モ デ ル に ICT の 普 及 が 加 わ っ た こ と に よ り 、 e ビ ジ ネ ス モ デ ルが誕生した。 垂直統合型のeビジネスモデルとは、従来のビジネスモデルに加え、提携企業間での ICT を 活 用 し た 商 品 の 販 売 情 報 ・ 在 庫 情 報 な ど の 情 報 交 換 が 可 能 と な っ た 。 さ ら に SCM に よ っ て 、サ プ ラ イ チ ェ ー ン の 全 体 最 適 化 ( 注 7 ) が 図 れ る よ う に な っ た 。ま た ECR( 注 8 ) によって、物流の迅速化や在庫の削減や、タイミングを逃さない最適な生産が可能とな った。 ②−2 水平統合型 水平統合型の従来のビジネスモデルとは、マーケティング→製品開発→調達→生産→ 配達→販売→顧客というフローの中の一工程において水平的に業務を提携することをい う。例としては、研究開発業同士が共同研究を行い、付加価値のある商品を開発するこ となどがあげられる。水平統合は研究開発費の削減につながり、特に異業種間の水平統 合は独創的な新商品が生まれる確立が高くなるといえるのではないだろうか。 そ し て 、 従 来 の ビ ジ ネ ス モ デ ル に ICT の 普 及 が 加 わ っ た こ と に よ り 、 e ビ ジ ネ ス モ デ ルが誕生した。 水 平 統 合 型 の e ビ ジ ネ ス モ デ ル は 従 来 の ビ ジ ネ ス モ デ ル に 加 え 、 企 業 間 の ICT を 活 用 した情報交換が可能になった。そして、企業がインターネット上で共同体を結成し、共 同販売や顧客向けの情報提供などを行うeコラボレーションが出現した。 6 ③ コーディネート(仲介)型 そもそもコーディネートとは、複数の企業を結びつけ企業拡張をはかる概念である。 企業同士を結びつける企業をコーディネータといい、結び付けられた企業はコーディネ ート企業群といわれる。コーディネート企業群は、プロジェクトや仕事の正確に応じて 組み替えられる。このコーディネータは、マーケットの把握や商品開発などの業務に特 化し、工程専業企業との間でフレキシブルな分業関係を形成しており、コーディネート 企業群をチェーンでつないでいる。 コ ー デ ィ ネ ー ト 型 の 従 来 の ビ ジ ネ ス モ デ ル と は 、企 業 と 企 業 を 繋 ぎ( 仲 介 し )、そ れ に よって、価値を創造するものである。 そ し て 、 従 来 の ビ ジ ネ ス モ デ ル に ICT の 普 及 が 加 わ っ た こ と に よ り 、 e ビ ジ ネ ス モ デ ルが誕生した。 コ ー デ ィ ネ ー ト 型 の e ビ ジ ネ ス モ デ ル と は 、 従 来 の ビ ジ ネ ス モ デ ル に 加 え 、 B toB 、 B toC 、 C toC に お い て ICT を 活 用 し て 新 た な 商 品 の 流 れ を 提 供 す る も の で あ る 。 例 と し て は 、ICT を 活 用 し て 複 数 の 企 業 を 結 び 付 け る IT コ ー デ ィ ネ ー タ や 、ネ ッ ト 上 に 掲 示 された商品の価格をある一定期間内で買い手に競わせ、入札締切り時点で最も高い値段 をつけた買い手に販売するシステムのネットオークションなどがあげられる。 ④ 顧客サービス型 近年では、消費者が生産者の製造プロセスに参加する経済活動が出現し、製品のデザ インなどは消費者が握っているといえる。また、商品供給が過剰なため、タイムリーに 消費者の望む商品を作らなければ大量の在庫が発生し、企業自体の存続をも危ぶまれる 可能性もあるのだ。これまでは、生産者主導で消費者に製品を供給してきたが、これか らは消費者主導の考え方が顧客サービスに繋がるのである。 顧客サービスとは、顧客ニーズを具体化して商品を提供すること、顧客に必要なもの を必要なだけ提供する供給体制、受注対応・製作・出荷管理までも網羅した品質保証の 3点である。 顧客サービス型の従来のビジネスモデルとは、メーカーやサービス提供者の論理では なく、消費者の立場で価値連鎖を創造するものである。消費者に購買の手助けや情報提 供をして、マーケティング→製品開発→調達→生産→配達→販売→顧客というフローの 下流から上流に情報を伝達し、ユーザが求めるものを必要な時に必要な量を適正価格で 調達する(マーケットアウト・プロダクトイン)ことができる。 そ し て 、従 来 の ビ ジ ネ ス モ デ ル に ICT の 普 及 が 加 わ り 、e ビ ジ ネ ス モ デ ル が 誕 生 し た 。 顧 客 サ ー ビ ス 型 の e ビ ジ ネ ス モ デ ル と は 、 従 来 の ビ ジ ネ ス モ デ ル に 加 え て 、 ICT と 活 用した顧客情報の管理・分析や商品の提案、さらにインターネット上に消費者同士の情 報交換の場を設けることが可能となった。顧客との関係の維持・向上を通じて効率よく 収 益 を あ げ る こ と を 目 的 と し た CRM ( 注 9 ) や 、 NC ( 注 1 0 ) も そ の 一 例 で あ る 。 7 ⑤ ダイレクト(中抜き)型 ダイレクト(仲介)型の従来のビジネスモデルとは、マーケティング→製品開発→調 達→生産→配達→販売→顧客というフロー上の、 「配達」 ・ 「 販 売 」の 工 程 を 生 産 者 自 ら が 行うことである。利点としては比較的少額の資金で事業が始められ、生産者への利益も 上がることである。例としては、通信販売や野菜の直販所などがあげられる。 そ の 従 来 の ビ ジ ネ ス モ デ ル に ICT が 加 わ る こ と に よ っ て 、 e ビ ジ ネ ス モ デ ル が 誕 生 し た。 ダイレクト(仲介)型のeビジネスモデルとは、従来のビジネスモデルに加えて、イ ンターネット上での商品の提供が可能となった。さらにダイレクト(中抜き)型のよう な 直 接 販 売 方 式 は 、消 費 者 の 注 文 を 受 け て か ら 製 品 を 生 産 す る と い う 受 注 生 産( BTO:ビ ルト・トゥ・オーダー)を可能にした。 【注】 注 3 : サ プ ラ イ チ ェ ー ン マ ネ ジ メ ン ト ( Supply Chain Manegement) 原材料の調達から最終消費に至るまでの多段階の商品の流れ連鎖化し、プロセス全体を設計し、 管理すること。 注 4 : コ ア ・ コ ン ピ タ ン ス ( Core competence) 中核能力と訳される。 コア・コンピタンスの概念を提唱したプラハラード=ハメルによると、コア・コンピタンスと は「他社には提供できない利益を顧客にもたらすことのできる、企業内部に秘められ得た独自 の技術やスキルの集合体」と定義されている。 注 5 : ASP( ア プ リ ケ ー シ ョ ン ・ サ ー ビ ス ・ プ ロ バ イ ダ : Application Service Provider) ビジネス用に必要なソフトウェアをインターネットを通じて顧客にレンタルしたり、顧客の情 報システムを管理する事業者のこと。 注6:ポータルサイト イ ン タ ー ネ ッ ト の 入 り 口 と な る Web サ イ ト の こ と 。 そ の 種 類 は 大 き く 、 YAHOO! な ど の 検 索 エ ン ジ ン 系 の サ イ ト 、 Microsoft 社 な ど の ウ ェ ブ ブ ラ ウ ザ メ ー カ ー の サ イ ト 、AOL な ど の コ ン テ ン ツ プ ロ バ イ ダ の サ イ ト や BIGLOBE な ど の ネ ッ ト ワ ー ク プロバイダのサイトなどに分けられる。 注7:全体最適化 ライフサイクルの短縮化に伴い、売れていた商品が急に売れなくなった時に各段階で在庫がた まり、その在庫が返品され、企業利益を圧迫することを、各段階の情報技術を用いた情報交換 により減らすこと。 8 注 8 : ECR( エ フ ィ シ ェ ン ト ・ コ ン シ ュ ー マ ー ・ レ ス ポ ン ス : Efficient Consumer Response) サプライチェーン・マネジメントの考え方にもとづいた新しい情報システム活用の考え方で, EDI( Electronic Data Interchange/電 子 デ ー タ 交 換 ) を ベ ー ス に し て 、 製 品 が 消 費 者 に わ た る ま で の ト ー タ ル な 物 流 シ ス テ ム の 流 れ の 中 で 、非 効 率 な や り 方 を 駆 除 し 、無 駄 な コ ス ト を 削 減することで、優れた消費者価値を提供していくこと。 注 9 : CRM( カ ス タ マ ー ・ リ レ ー シ ョ ン シ ッ プ ・ マ ネ ジ メ ン ト : Customer Relationship Management) 商 品 ・サ ー ビ ス を 提 供 す る 企 業 が 顧 客 と の 間 に 相 互 信 頼 関 係 に 基 づ い た 交 流 接 点 を 構 築 し 、 真 に 顧 客 ニ ー ズ に 叶 う 商 品・サ ー ビ ス 提 供 を 心 掛 け 、そ れ ら に 対 し 意 見 を 吸 い 上 げ る と い っ た 作 業 を 反 復 、取 引 や コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に 関 わ る 情 報 を 一 元 管 理 し て 、市 場 適 性 の 高 い マ ー ケ テ ィ ン グ を推進しようとするマネジメントのこと。 注 1 0 : NC( ネ ッ ト ワ ー ク ・ コ ミ ュ ニ テ ィ ー : Network Community) イ ン タ ー ネ ッ ト 上 で 共 通 の 関 心 を 持 つ 人 々 が 情 報 交 換 を 行 う 場 を 設 け 、企 業 が そ の 情 報 を 商 品 の製造や販売に活用すること。 9 第3章 ビジネスモデル特許 3−1 ビジネスモデル特許とは ビジネスモデルとっきょとは、ビジネスの方法やビジネスの仕組みに関する特許のこ と で あ る 。 英 語 で は 「 business method patent」 と 呼 び 、「 business model patent」 と は言わないが、日本に最初に紹介されたときに「ビジネスモデル特許」という用語が使 わ れ た こ と か ら 、 現 在 で も こ の 言 い 方 が 定 着 し て い る 。( 特 許 庁 は 「 ビ ジ ネ ス 関 連 発 明 」 と 言 っ て い る 。) コンピュータを介在させればビジネスのやり方が特許になるとする誤解もあるが、実 際には、ビジネスモデルであっても、既存の特許制度の対象の一つということで、従来 の技術特許出願で重視されて来た自然法則の利用性に技術的思想の創作性をも加味して 審査するようになってきている。詳しくは次節にてふれたいと思う。 なお、日本では米国とは異なり、ビジネスのやり方そのものに対する特許は認められ ていない。しかし、コンピュータの利用が伴っていれば「ソフトウェア特許(注11)の 一形態」として対象になるため、国内でもビジネスモデル特許が生まれる可能性は十分 にあるといえる。 3−2 日本の特許審査基準 我が日本では「発明」が「特許」として認められるのには以下の4つの条件を満たす ことが必要となる。一つ目は「発明であること」である。特許法は、発明を保護するた めに発明に対して特許権を与えるものであるから、 「 発 明 」で な い も の に 特 許 を 付 与 し な いのは当然である。多くの技術分野においては、そのアイデアが「発明」であるか否か が問題となるケースは少ない。しかし、ビジネスモデル関連発明をはじめとするソフト ウエア関連発明においては、それが「発明」に該当するか否かが問題となることが少な くない。 特 許 法 第 2 条 で は 、「 発 明 」 と は 、「 自 然 法 則 を 利 用 し た 技 術 的 思 想 の 創 作 の う ち 高 度 のものを言う」と定義している。これを受けて、特許庁では審査基準を公表し、ソフト ウエア関連発明(注11)について、どのようなものが自然法則を利用した技術的思想の 創作に当たり、どのようなものが自然法則を利用した技術的思想の創作に当たらないの かを示している。ビジネスモデル発明もソフトウエア関連発明の一形態と考えられるの で、この審査基準の考え方が審査において適用される。 二 つ 目 は「 新 規 性 」で あ る 。こ れ は「 従 来 の 内 容 に 比 べ て 新 し い 内 容 を も っ て い る か 」 を審議するもので、すでに知られているもの(注12)は特許として保護する意味がない ため、新しい内容をもっていないと特許としては認められないのである。なお、発明し たもの自身が出願前に発表を行って、その内容を公知にした場合であっても、新規性が ないとされるので注意が必要である。 三つ目は「進歩性」である。これは「従来の内容より技術等のレベルが上がっている か」を審議するもので、進歩性があるか否かの基準については「特許・実用新案審査基 準 」に よ り 公 表 さ れ て い る 。特 許 法 で は 、 「その発明の属する分野において通常の知識を 持っている者が、容易に発明することができるもの」については進歩性を認めていない のである。ビジネスモデル特許に関していうと、例えば、ビジネスモデルそのものは既 10 に公知であっても、これをインターネットを用いたビジネスモデルとして出願すれば、 「 新 規 性 」は あ る 。し か し 、単 に イ ン タ ー ネ ッ ト を 用 い て 実 現 し た と い う だ け で あ れ ば 、 「進歩性」がなく、特許は付与されない。審査基準においても、人間の行為として既に 公知のものを、単にコンピュータを用いて行ったと言うだけでは、進歩性はないと説明 されている。 そして最後に「産業上の利用可能性」である。これは「産業の発達に寄与するもので あるか」ということを審議するもので、特許法では学術的・実験的にのみ利用可能な内 容のものは産業上利用できないとされている。つまり市販や営業などの可能性がないと して特許としては認められないのである。 3−3 特許制度とは 1474 年 ヴ ェ ネ チ ア 共 和 国( 現 在 の イ タ リ ア ・ ベ ニ ス )で 世 界 最 初 の 成 文 特 許 法「 発 明 者 条 例 」が 交 付 さ れ る 。( 注 1 3 ) そ の 後 、特 許 制 度 は ヨ ー ロ ッ パ 大 陸 を 離 れ 、英 国 に お い て 発 展 を 遂 げ る 。1602 年 英 国 議 会 に お い て 、 「新しい製造物を最初に発明したものには、 一定期間、独占的な使用や製造を認める」という「専売条例」が制定される。この「専 売条例」こそが近代特許法の原型となる。専売条例により、英国に多くの技術者を招く 結果となり、これが英国の産業革命を引き起こす原動力となった。 そ し て 1767 年 英 国 で ジ ェ ー ム ス・ワ ッ ト に よ る 蒸 気 機 関 車 が 発 明 さ れ 、特 許 を 取 得 す る 。 ( 英 国 特 許 第 913 号 ) こ の 発 明 は 蒸気を用いた機械の燃焼効率を改善するための技術 ( 方 法 ≒ ビ ジ ネ ス モ デ ル ) で あ っ た が 、最 終 的 に「 技 術( 方 法 )も 、物 理 的 発 明 品 と 同 じ く 特 許 の 対 象 に な る 」 と い う 判 決 に よ り 、『 方 法 』 も 特 許 の 範 囲 と な っ た 。 さらに特許制度は、英国の産業革命を導入しようとする米国においても発展すること と な っ た 。1788 年 特 許 の 条 例 を 盛 り 込 ん だ「 ア メ リ カ 合 衆 国 憲 法 」交 付 後 も 幾 度 と な く 特 許 に 関 す る 法 律 が 交 付 ・ 改 定 さ れ た 。 1859 年 に は 、 第 16 代 大 統 領 の エ ブ ラ ハ ム ・ リ ンカーンが講演中に「天才の火に利益という油を注いだ」といい、特許制度の重要性を 訴 え た 。そ れ に よ り 、1879 年 ト ー マ ス ・ エ ジ ソ ン が「 白 熱 電 球 」を 開 発 す る な ど 多 く の 発明が生まれたことなどから、米国は世界最大の工業国へと成長していった。 そ の 後 の 1929 年 ニ ュ ー ヨ ー ク の 株 が 大 暴 落 し た こ と に よ り 、 世 界 大 恐 慌 が 起 こ っ た 。 そ こ で 、当 時 の 第 32 代 大 統 領 の フ ラ ン ク リ ン・ル ー ズ ベ ル ト は「 特 許 は あ る 種 の 独占 であり、経済の健全な発展を妨げる」として、世界大恐慌から脱するためにアンチパテ ント(反独占)を推し進めるニューディール政策を打ち出した。 しかし、米国に日本製の自動車など、優れた技術が流れ込んだことなどが影響して、 米国の企業は各企業間の競争に勝ち抜く為により安い人件費を求め、現地生産化を進め た。その結果、産業の空洞化が起こり、貿易収支の減少を引き起こした。さらにベトナ ム戦争敗戦も影響し、米国は深刻な不況となった。 そ こ で 1987 年 、当 時 の 第 40 代 大 統 領 の ロ ナ ル ド・レ ー ガ ン に よ っ て 強いアメリカ を 取 り 戻 す た め 、 さ ら に 米 国 の 産 業 競 争 力 を 21 世 紀 に 向 け て 確 保 す る 必 要 性 を 国 民 に 訴 え 、そ の 具 体 的 な 政 策 と し て プ ロ パ テ ン ト 政 策 が 打 ち 出 さ れ る 。こ れ に は 、1985 年 に 産業競争力に関する大統領顧問委員会より提出された、国際競争と特許重視などを内容 11 と し た 「 ヤ ン グ レ ポ ー ト 」( 注 1 4 ) も 影 響 し て い た 。 3−4 ビジネスモデル特許誕生の経緯 1990 年 代 後 半 か ら ICT の 普 及 に よ っ て 進 化 し た ビ ジ ネ ス モ デ ル の 効 果 と し て 、ビ ジ ネ ス モ デ ル を 特 許 の 対 象 と す る 動 き が み え 始 め た 。上 記 に も あ っ た よ う に 、1767 年 の ジ ェ ームス・ワットによる 蒸気を用いた機械の燃焼効率を改善するための技術(方法) も あ る 種 の ビ ジ ネ ス モ デ ル 特 許 と し て 認 め ら れ は し た が 、 ICT を 用 い た ビ ジ ネ ス モ デ ル 特 許 の 事 例 と し て は 、1998 年 7 月 米 国 で 起 こ っ た ス テ ー ト ス ト リ ー ト 銀 行 訴 訟 が あ げ ら れる。 これは「ハブ・アンド・スポーク」というビジネスモデルをめぐり、ステートストリ ート銀行がビジネスモデルの開発側であるシグニチャー・ファイナンシャル社を相手と して起こした訴訟のことである。 そもそも、 「 ハ ブ・ア ン ド・ス ポ ー ク 」は 投 資 家 の 複 数 の 口 座 を 、ネ ッ ト 上 で 一 括 管 理 することでより多くの利益を得るチャンスを生む方法とそのシステムに関する特許で、 1993 年 に シ グ ニ チ ャ ー・フ ァ イ ナ ン シ ャ ル 社 が 米 国 の 連 邦 巡 回 控 訴 裁 判 所 に よ っ て 史 上 初のビジネスモデル特許として認可された。 そ し て 、1999 年 に ス テ ー ト ス ト リ ー ト 銀 行 が 口 座 の 一 括 管 理 シ ス テ ム を 開 発 す る に あ たり、シグニチャー・ファイナンシャル社に協議を行った。しかし、シグニチャー・フ ァイナンシャル社はステートストリート銀行の予想をはるかに上回る額を要求してきた ことから交渉は決裂し、ステートストリート銀行は地裁に「ハブ・アンド・スポーク」 は無効であると訴えた。 裁 判 の 結 果 、一 審 で は 、 「 控 訴 内 容 に 対 応 す る 構 造 が 明 細 書 に 開 示 さ れ て い な い 」と い う理由で 特許は無効である という判決が下されたが、これを不服としたシグニチャ ー・ファイナンシャル社側は連邦巡回控訴裁判所に上告した。 二審では、 『 特 許 に よ る 知 的 財 産 権 の 保 護 強 化 』の た め に 設 立 さ れ た 機 関 で あ る 連 邦 巡 回控訴裁判所により、 特許は有効である と い う 判 決 が 下 さ れ た 。ス テ ー ト ス ト リ ー ト 銀行側は二審判決を不服として連邦最高裁に訴えるが棄却され、史上初のビジネスモデ ル特許の成立が確定した。連邦巡回控訴裁判所は、ビジネス手法であっても、発明が有 用 (useful)で 、 具 体 的 (concrete)で 、 有 形 (tangible)の 結 果 を 生 み だ す な ら ば 、 特 許 と してみとめられるという判断を示したのである。 こ れ に よ り ビ ジ ネ ス モ デ ル も ICT を 活 用 す る こ と を 条 件 と し 、 特 許 の 対 象 の 一 つ と し て扱われることとなった。 3−5 日米におけるビジネスモデル特許の出願・取得数 前 節 の「 ハ ブ・ア ン ド・ス ポ ー ク 」が ビ ジ ネ ス モ デ ル 特 許 と し て 認 め ら れ た こ と か ら 、 日本においてもビジネスモデル特許が認められる傾向がみえ始めた。 日 本 に お け る 日 本 特 許 庁 へ の ビ ジ ネ ス モ デ ル 特 許 の 出 願 数 は 1998 年 に 2400 件 で あ っ た の に 対 し 、2000 年 に は 約 6 倍 の 15000 件 に 増 加 し て い る 。ま た 、イ ン タ ー ネ ッ ト に よ って世界中がネットワークによってつながれたことから、外国への特許出願数も増加の 12 一 途 を 辿 っ て お り 、 日 本 に お け る 米 国 特 許 庁 へ の ビ ジ ネ ス モ デ ル 特 許 の 出 願 数 は 、 1998 年 に は 1340 件 で あ っ た の に 対 し 、2000 年 に は 約 6 倍 の 7800 件 へ と 増 加 し て い る 。( 注 1 5) ま た 、 米 国 に お け る 米 国 特 許 庁 へ の ビ ジ ネ ス モ デ ル 特 許 の 出 願 数 は 、 1998 年 に 1340 件 で あ っ た の に 対 し 、 ス テ ー ト ス ト リ ー ト 銀 行 訴 訟 後 の 2000 年 に は 約 6 倍 の 7800 件 に 増 加 し て い る 。( 注 1 6 ) ま た 、ア メ リ カ に 顕 著 に 見 ら れ る 動 き と し て 、国 内 に お け る ビ ジ ネスモデル特許の出願数よりも、外国へのビジネスモデル特許の出願数の方が急激に増 加していることがあげられる。 【注】 注11:ソフトウェア特許・ソフトウェア関連発明 ソ フ ト ウ ェ ア( プ ロ グ ラ ム )を 特 許 の 対 象 と し た も の 。以 前 は 、ソ フ ト ウ ェ ア 単 体 で は 発 明 と し て 認 め ら れ ず 、ハ ー ド ウ ェ ア と ソ フ ト ウ ェ ア と を 組 み 合 わ せ る か た ち で は じ め て 発 明 と し て 認 め ら れ た 。現 在 で は 、イ ン タ ー ネ ッ ト の 普 及 に よ っ て 、記 録 媒 体 や コ ン ピ ュ ー タ 本 体 と い っ た ハ ー ド ウ ェ ア に 限 定 さ れ る こ と な く 、ネ ッ ト ワ ー ク 上 で 単 体 で や り と り さ れ る ソ フ ト ウ ェ ア が 増 え た こ と か ら 、2000 年 12 月 、特 許 庁 は「 媒 体 に 記 録 さ れ て い な い ソ フ ト ウ ェ ア で あ っ て も 発 明 に 該 当 す る ( 特 許 の 対 象 と な り う る )」 と 発 表 し た 。 注 1 2 :「 す で に 知 ら れ て い る も の 」 と は 、 不 特 定 の 人 に そ の 内 容 が 知 ら れ て い る こ と を 指 す 。 秘 密 主 義を負う社内の人間だけが知っている場合は「秘密状態」にあるとされる。 注 1 3 : 1474 年 以 前 の 紀 元 前 250 年 に シ ラ ク サ 王 国 ( 現 在 の イ タ リ ア ・ シ チ リ ア 島 ) に お い て 、 ア ル キ メ デ ス が 内 側 が ら せ ん 形 の 筒 を 回 転 さ せ て 水 を 汲 み 上 げ る 「 ら せ ん 回 転 式 ポ ン プ 」( ア ル キ メ デ ス の ポ ン プ )を 考 案 し 、作 成 し て い る が 、政 治 ・ 経 済 的 な 制 度 が 確 立 さ れ て い た わ け で は ないので、本論文中では省略する。 こ の「 ら せ ん 回 転 式 ポ ン プ 」 ( ア ル キ メ デ ス の ポ ン プ )は 後 の 1480 年 フ ィ レ ン ツ ェ 共 和 国( 現 在 の イ タ リ ア ・フ ィ レ ン ツ ェ )に お い て 、レ オ ナ ル ド ・ ダ ・ヴ ィ ン チ が そ の 仕 組 み を 記 し た も の を 残 し て い る 。 ま た 1594 年 に は 、 ヴ ェ ネ ツ ィ ア に い た ガ リ レ オ ・ ガ リ レ イ が 「 ら せ ん 回 転 式 ポ ン プ 」( ア ル キ メ デ ス の ポ ン プ ) の 特 許 を ヴ ェ ネ ツ ィ ア 公 に 請 願 し 、 独 占 権 を 取 得 し て い る。 注14:ヤングレポート 1985 年 に 産 業 競 争 力 に 関 す る 大 統 領 顧 問 委 員 会 か ら レ ー ガ ン 大 統 領 に 提 出 さ れ た , 「国際競争 と 新 た な 現 実 」と 題 す る 報 告 書 の こ と 。主 な 内 容 と し て は 、研 究 開 発 の 促 進 と 製 造 技 術 の 向 上・ 産 業 界 へ の 資 金 の 円 滑 な 投 入・教 育 研 修 を 通 じ て の 人 材 の 育 成・輸 出 拡 大 を 目 指 し た 通 商 政 策 の 策 定 ・ 国 家 レ ベ ル で の ベ ン チ ャ ー 企 業 の 推 進 の 5 つ で あ り 、そ の 内 容 は 、米 国 産 業 の 国 際 競 争 力 を 高 め る た め に は ,特 許 を 中 心 と し た 工 業 所 有 権 の 対 象 の 拡 大 と 保 護 の 強 化 を 推 し 進 め な ければならないという,特許重視の方針で貫かれていた。 報告書の名前は、当時、産業競争力に関する大統領顧問委員会の委員長に就任していたジョ 13 ン・ヤング氏に由来する。 注15:電気情報通信学会誌 2003 年 4 月 よ り 注16:特許庁ホームページより 14 第4章 ビジネスモデル特許事例 4−1 アマゾン・ドット・コム社「ワンクリック特許」 ビジネスモデル特許の代表格としてよく紹介されるのが、インターネット上での書籍 販 売 の 最 大 手 で あ る 、米 国 の ア マ ゾ ン・ド ッ ト・コ ム 社 の「 ワ ン ク リ ッ ク 特 許 」で あ る 。 インターネットを通じて買い物をするとき、ユーザ(消費者)はまず、クレジットカ ード番号や、住所、氏名、支払方法などの個人情報を入力することになる。 アマゾン・ドット・コム社のワンクリック特許では、ユーザのコンピュータから初回 の商品購入の注文とともに届いた個人情報をもとにして、アマゾン・ドット・コム社側 のコンピュータがユーザ識別番号を発行する。その際に、この発明では、ユーザのコン ピュータ(注17)にもユーザ識別番号が記憶される仕組みとなっているのである。 そして、ユーザが次にそのホームページに訪れたときには、ユーザのコンピュータか らアマゾン・ドット・コム社側のコンピュータに、そのユーザの識別番号が自動的に送 信 さ れ る 。そ の た め 、2 回 目 以 降 の 注 文 に つ い て は 購 入 商 品 を ワ ン ク リ ッ ク す る だ け で 、 アマゾン・ドット・コム社側のコンピュータがそのユーザを割り出し、入金や納品に必 要な処理を行うのでユーザをわずらわせないのである。 ア マ ゾ ン ・ ド ッ ト ・ コ ム 社 の「 ワ ン ク リ ッ ク 」の 発 明 は 、1999 年 に 米 国 で 特 許 登 録 さ ( 注 1 8 )そ の 直 後 に 、同 社 は 同 じ く イ ン タ ー ネ ッ ト 上 で 書 籍 販 売 を 行 っ て い る バ ー れた。 ンズ・アンド・ノーブル社を特許侵害で訴えた。これに対して、バーンズ・アンド・ノ ー ブ ル 社 は ワ ン ク リ ッ ク 特 許 の 無 効 を 主 張 し た 。そ の 結 果 、2001 年 2 月 、裁 判 所 は 特 許 の 有 効 性 を 認 め て 、バ ー ン ズ・ア ン ド・ノ ー ブ ル 社 に 特 許 の 使 用 停 止 を 命 じ た の で あ る 。 ま た 、ア マ ゾ ン ・ ド ッ ト ・ コ ム 社 は ワ ン ク リ ッ ク 特 許 を 日 本 で も 出 願 し た が 、1995 年 にソニー株式会社がすでに同種のシステムを出願していた(審査請求されていないので 特許として成立はしていない)ため、特許拒絶となり、現時点では拒絶査定不服審査が 行われている。 ( 米 国 特 許 第 5948061 号 ) 4−2 プライスライン・ドット・コム社「逆オークション特許」 アマゾン・ドット・コム社の「ワンクリック特許」と同様、ビジネスモデル特許の代 表例としてよく紹介されるのものに、プライスライン・ドット・コム社の「逆オークシ ョ ン 特 許 」( 注 1 9 ) が あ る 。 通常のオークションは売り手が販売を希望する品物に対して、最も高い値段をつけた 買い手が購入できるというものであるが、この逆オークションは、買い手が「この値段 なら買う」という希望購入価格にもっとも近い値段をつけた売り手を紹介し、両社の売 買を取り持つというものである。 た と え ば 、 買 い 手 側 に 「 ニ ュ ー ヨ ー ク ∼ シ カ ゴ 間 の 航 空 券 を 500 ド ル で 買 い た い 」 と いう希望があった場合、その希望はプライスライン・ドット・コム社を通じて各航空会 社 に オ ン ラ イ ン で 通 知 さ れ 、 そ れ に 対 し 、 各 航 空 会 社 は 、「 550 ド ル な ら 売 っ て も 良 い 」 「 500 ド ル で O K 」「 450 ド ル で も い い で す 」 な ど と 返 答 す る 。 同社のコンピュータは、最も安い値段を示した航空会社の条件が買い手の条件と合致 15 すれば、売買が成立したものとして、買い手のクレジットカードに自動的に課金する。 そして、航空会社からの手数料がプライスラインの収入となるといった仕組みとなって いる。 逆オークション特許が航空機チケット売買において最も機能したポイントは、航空会 社にとって旅客機を1回飛ばす経費は乗客が多くても少なくてもあまり変わらないとい うことにあった。つまり空席の多い旅客機を飛ばすよりも、多少価格を下げてでも少し でも多くの人に乗ってほしいというのが航空会社の本音なのだ。 この仕組みはホテルや劇場など他の分野にも転用でき、なかには在庫を大量にかかえ る企業などは値段を下げてでも売ってしまったほうが経費(倉庫代や人件費)がかから ないといった場合もある。 ( 米 国 特 許 第 5794207 号 ) 4−3 凸版印刷「Bitway」 日 本 で も ビ ジ ネ ス モ デ ル 特 許 を 取 得 し た 事 例 と し て 、1999 年 出 願 し 、2003 年 に 特 許 と して認められた凸版印刷の「Bitway」をあげたいと思う。 Bitwayは正式には「有償情報の流通方法」といい、これはコンテンツ流通事業 初のビジネスモデル取得事例となる。 B i t w a y と は 、 凸 版 印 刷 株 式 会 社 が 展 開 す る PC 向 け の コ ン テ ン ツ 流 通 事 業 で 、 1999 年 の サ ー ビ ス 開 始 以 来 月 間 販 売 実 績 25 万 人 の 規 模 を 誇 っ て い る 。 コ ン テ ン ツ ホ ル ダ ー 約 150 社 の コ ン テ ン ツ 役 15,000 ア イ テ ム を 取 り 扱 い 、「 占 い 」、「 ゲ ー ム 」 な ど 幅 広 いジャンルのコンテンツを取り扱っている。 仕組みとしては、Bitwayを通じで有償コンテンツをユーザーが購入する際、ユ ー ザ ー が 送 信 す る 購 入 依 頼 に 対 し 、 ユ ー ザ ー が 契 約 す る ISP ( 注 2 0 ) は ユ ー ザ ー 認 証 と 課金を行い、Bitwayに対しアクセスキーの発行を依頼する。すると、Bitwa y は ISP の 依 頼 に 基 づ き ア ク セ ス キ ー を 発 行 し 、 ユ ー ザ ー に 配 信 し 、 ユ ー ザ ー は ア ク セ スキーをBitwayに送信、Bitwayはアクセスキーの認証を行い、ユーザーが 送信したアクセスキーが正しい場合のみ有償コンテンツを楽しむことができるというも のである。 こ の 仕 組 み に よ り 、ユ ー ザ は ク レ ジ ッ ト カ ー ド 番 号 な ど を 画 面 上 に 入 力 す る こ と な く 、 ISP で 決 済 す る こ と が 可 能 で あ る こ と か ら 利 便 性 が 高 い と い え る 。 また、凸版印刷株式会社は携帯端末向けのBitwayを展開しており、そちらにお いても特許取得に向けての動きをみせている。 ( 特 許 第 3428979 号 ) 【注】 注 1 7 : 正 確 に は 、ユ ー ザ が 使 用 し て い る ブ ラ ウ ザ( イ ン タ ー ネ ッ ト で ホ ー ム ペ ー ジ を 見 る 際 に 必 要 な ソフトウェア)内にデータとして記憶される。 注 1 8 : 米 国 は 日 本 に 比 べ て 、 特 許 審 査 が 甘 く 、 訴 訟 社 会 と 言 わ れ る 米 国 で は 、「 と り あ え ず 特 許 は 認 16 め る が 、何 か 問 題 が 生 じ た ら 裁 判 で 決 着 を つ け な さ い 」と い う の が 基 本 的 な 姿 勢 で あ る 。そ の た め 、特 許 が 認 め ら れ た こ と 自 体 は あ ま り 取 り 上 げ ら れ る こ と は な く 、裁 判 で 判 決 を 下 さ れ て 初 め て 取 り 上 げ ら れ る こ と が 多 い 。ま た 、一 度 認 め ら れ た 特 許 が 裁 判 で 無 効 と な る こ と も あ り 、 その確立は、特許に関する訴訟の1/3とされている。 注19:この発明は日本ではまだ特許として認められていない。 注 2 0 : ISP( イ ン タ ー ネ ッ ト サ ー ビ ス プ ロ バ イ ダ : Internet Service Provider) イ ン タ ー ネ ッ ト 接 続 業 者 。 電 話 回 線 や ISDN 回 線 、 デ ー タ 通 信 専 用 回 線 な ど を 通 じ て 、 顧 客 で あ る 企 業 や 家 庭 の コ ン ピ ュ ー タ を イ ン タ ー ネ ッ ト に 接 続 す る の が 主 な 業 務 。付 加 サ ー ビ ス と し て 、メ ー ル ア ド レ ス を 貸 し 出 し た り 、ホ ー ム ペ ー ジ 開 設 用 の デ ィ ス ク ス ペ ー ス を 貸 し 出 し た り 、 オリジナルのコンテンツを提供したりしている業者もある。 17 結びにかえて(ニュービジネスの誕生) ■ 新たなコミュニケーションモデル 『DARTSLIVE』 A.提供者 株 式 会 社 セ ガ の 100% 出 資 子 会 社 で あ る 株 式 会 社 ヒ ッ ト メ ー カ ー と 、 エ レ ク ト ロ ニ ッ クダーツ機器の製造・販売を行なっている米・メダリスト マーケティング コーポレー ションの共同出資によって設立された株式会社ダーツライブがコンテンツサービスプロ バイダとしてネットワークサービスを提供している。 B.顧客 ダーツバーなどでダーツを楽しむ全ての人を対象としている。 C. 顧客価値 世 界 初 の エ レ ク ト ロ ニ ッ ク ダ ー ツ 機 器 に お け る ネ ッ ト ワ ー ク サ ー ビ ス で 、 IC カ ー ド ・ モバイルを連動させることで、新しいダーツの楽しみ方を提供することを目的としたサ ービスである。 D. 提供手段 ま ず ダ ー ツ バ ー や ダ ー ツ 専 門 店 な ど で や IC カ ー ド を 購 入 し 、イ ン タ ー ネ ッ ト か ら D A R T S L I V E の 会 員 に な る( 自 ら プ レ イ ヤ ー 名 を 決 定 で き る )。そ し て 、ネ ッ ト ワ ー ク ダ ー ツ マ シ ン「 s p e c t r u m D A R T S L I V E 」に IC カ ー ド を 挿 し 込 み 、ゲ ー ム をする。すると、そのゲームの結果やどこでプレーしているのかなどがPC・携帯電話 から閲覧が可能になるというシステムである。さらにこのゲームの結果を表示するサイ トは誰でも閲覧や掲示板への書き込みが可能で、1日・1月単位のランキングにも反映 されるのである。 E.留意点 こ の サ ー ビ ス は IC カ ー ド と モ バ イ ル を 用 い た 新 た な ビ ジ ネ ス モ デ ル で あ る と 同 時 に 、 新たなコミュニティーやコミュニケーションのスタイルであるといえるのではないだろ うか。 さらに、現在エレクトロニックダーツの機器はゲームを行う都度、お金を入れる仕組 み に な っ て い る が 、こ の IC カ ー ド に 電 子 マ ネ ー の 機 能 を 盛 り 込 む な ど す れ ば 、こ の ビ ジ ネスはさらに拡大する可能性を秘めているといえる。そして、ダーツに限らず、ゲーム センターなど多くの場に転用が可能になるのではないだろうか。 ■ e‐Passport連携実証実験(注21) 『 空 港 に お け る 個 人 識 別 情 報 付 き IC カ ー ド の 実 証 実 験 』 A.提供者 内閣官房を中心とした関係府省(注22)が提供者である。その他にも、成田空港、全 日本空輸、日本航空が実証実験に参加している。 B.顧客 空港を利用する全ての人が対象となる。 18 C. 顧客価値 国 際 空 港 の 高 度 IT 化 を 先 導 す る「 e ‐ エ ア ポ ー ト 」構 想 の 一 環 と し て 、空 港 に お け る 旅 客 手 続 き に ICT と バ イ オ メ ト リ ク ス 技 術 を 活 用 す る こ と に よ り 、 航 空 の 安 全 を 確 保 し つつ、搭乗手続きの簡略化・迅速化により、空港を利用する旅客の利便性を向上するこ とを目的として考えられたシステムである。現在は出国に際し二時間前に空港に来るよ う に 呼 び か け て い る の だ が 、 こ の IC カ ー ド を 持 っ て い れ ば 30 分 で 搭 乗 が 可 能 に な る と みている。 同 省 は 、テ ロ 対 策 の 一 環 で 外 務 省 が 2005 年 末 を 目 処 に 個 人 識 別 情 報 を 埋 め 込 ん だ パ ス ポ ー ト を 一 般 向 け に 発 行 す る こ と を 決 め て い る が 、今 回 の こ の 実 験 で は 、IC チ ッ プ の 機 能を確認するのが狙いであるとしている。 D. 提供手段 空港内の仮説共同発行センターにおいて、指紋や目の虹彩といった個人識別情報を埋 め 込 ん だ IC カ ー ド ( 実 験 用 SPT カ ー ド ( 注 2 3 )) を 発 行 す る 。 そ し て 、 チ ェ ッ ク イ ン ・ セキュリティチェック・出国審査の三つの手続きで、カードを専用の読み取り機にかざ す だ け で 本 人 確 認 が で き る と い う も の 。実 験 は 2005 年 2 月 ∼ 3 月 末 ま で の 予 定 で 、日 航 か 全 日 空 の マ イ レ ー ジ 会 員 計 一 千 万 人 を 対 象 に 、両 社 の ホ ー ム ペ ー ジ で 受 け 付 け て い る 。 E.留意点 こ の シ ス テ ム が 一 般 化 さ れ る と 、 JR 東 日 本 の Suica の よ う に 、「 タ ッ チ ・ ア ン ド ・ ゴ ー ! 」 で 海 外 に 行 く こ と が 可 能 に な る の か も し れ な い 。 し か し 、 こ の サ ー ビ ス は Suica とは違い、自分の個人識別情報を埋め込むということで、世界規模で個人情報が漏洩す るなどの事態が起こりうるのではないだろうか。一般化するにあたっては、十分な措置 をとってほしいものである。実用化にむけては、住民基本台帳ネットワークのように論 議の的になることは避けられないのではないだろうか。 ■ 携帯電話からパソコンのソフトウェアを遠隔操作 『ユビキタスビューア』 A.提供者 株式会社東芝がサービスの提供者である。 B.顧客 携帯電話とパソコンを使用している全ての人を対象としている。 C. 顧客価値 携帯電話からの遠隔操作でパソコンに搭載された全てのソフトウェアを操作できる世 界初のシステムである。従来の携帯電話を用いた遠隔操作では、作業ファイルの閲覧の みに限定されていたが、新技術では、携帯電話のボタンで、ワープロや表計算の編集・ 閲覧や、電子メールソフトなどが操作などが可能になった。 その他の特徴としては、高速データ通信が可能な3G端末に対応、独自の画像圧縮技 術による通信、選択式のガイドメニューによる簡単な操作、画面の拡大やウィンドウ切 り 替 え な ど が 容 易 、SSL( 注 2 4 ) に よ る 暗 号 化 と パ ス ワ ー ド 認 証 、既 存 の イ ン フ ラ を 活 用 19 し低コスト化が可能になった。 D. 提供手段 現在普及している携帯電話のインターネットサービス同様、携帯電話からまず専用サ ーバに接続し、サーバはインターネット経由で、パソコンを呼び出す仕組みとなってい る。 これは同社が開発した専用のソフトウェアを組み込んだ携帯電話の画面に、パソコン の画面情報をデータ量の少ない圧縮画像で受信し、操作結果をその場で確認しながら簡 単なボタン操作で作業ができるという仕組みとなっている。 E. 留 意 点 これはユビキタスコンピューティングの実現する技術であるといえる。今後この技術 を利用して、パソコンのデータをプリンターなどに出力することも可能になるという。 また、携帯電話からホームサーバに接続することで、家電やホームセキュリティ機器 を操作することなども可能となることから、ビジネス面だけだはなく、多くの人の需要 が期待できるのではないだろうか。携帯電話から、冷蔵庫の中身をチェックできる日も 近い?! このように、日々進歩する技術と共にビジネスの幅は今後も一層拡大し、より有用で簡 略化されたビジネスが登場していくことだろう。また日本は世界各国と比較しても、携帯 電話や家庭用のゲーム機が広く普及していることや、コンビニエンスストアなどが多いこ とから、あらゆる場面にビジネスチャンスが散らばっているといえる。このようなチャン スを生かし、現在の日本社会にあったビジネスモデルを構築していくことが、急速な市場 変化の中で企業が競争力を保持するポイントなのではないだろうか。 【注】 注 2 1 :「 e ‐ P a s s p o r t 連 携 実 証 実 験 」 の 一 環 と し て 、 国 土 交 通 省 が 発 行 す る 個 人 識 別 情 報 付 き IC カ ー ド の 実 証 実 験 だ け で な く 、外 務 省 が 外 交 旅 券 を 対 象 に 発 行 す る 実 験 用 IC 旅 券 を 用 い た 実 証実験も行われている。 注22:関係府省・・内閣官房、国土交通省、法務省、外務省、経済産業省 注 2 3 : STP・ ・ Simplifying Passenger Travel の 略 注 2 4 : SSL・ ・ Secure Socket Layer の 略 Netscape 社 が 提 唱 す る セ キ ュ リ テ ィ 機 能 の 付 加 さ れ た HTTP プ ロ ト コ ル 。Internet 上 で プ ラ イバシーや金銭などに関する情報を、安全にやり取りするために考案された。 20 【参考文献】 ・山 崎 康 夫 『 IT 時 代 に 会 社 を 変 え る「 ビ ジ ネ ス モ デ ル 」づ く り 入 門 』 中経出版 2000 年 11 月 発 行 ・守谷 一雄 『 図 解 雑 学 「 ビ ジ ネ ス モ デ ル 特 許 」』 ・『 情 報 化 白 書 2004』 ・赤堀 侃司 コンピュータエイジ社 ナツメ社 2004 年 発 行 『 2003 年 度 版 標 準 パ ソ コ 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