研究紀要第233号 G9−03 高等学校英語における 実践的コミュニケーション能力の育成 に関する研究 −文法指導を生かして− 平 成 14 年 2 月 岡山県教育センター ま え が き 岡山県教育センターでは,教育に関する専門的,技術的事項の調査研究,教育関係職員の研修,教 育相談,教育情報の収集・蓄積・発信等の諸事業を行っております。特に,調査研究におきましては, 国の教育改革の動向と本県の教育課題を踏まえ,幾つかの研究主題を設定し,共同研究・個人研究・ プロジェクト研究を行い,その成果の提供と普及に努めております。 平成14年度から,完全学校週5日制が実施されます。新学習指導要領には,新たな教育の方向性が 示され,その実現に向けて,各学校で新しい学校づくりの取り組みが推進されています。新教育課程 では,「ゆとり」の中で「特色ある教育」を展開し,児童生徒に豊かな人間性や自ら学び自ら考える 力などの「生きる力」を育成することが課題となっています。 高等学校学習指導要領(平成11年3月)外国語では,「実践的コミュニケーション能力」の育成が 重視されています。国際化が一層進展する中で,実際に外国語を使用する場面において,相手の意向 を理解したり,自分の考えなどを表現したりすることができる力を育成することが求められています。 当教育センター英語研究室では,高等学校英語における実践的コミュニケーション能力の育成に関 する研究を進めてまいりました。実践的コミュニケーション能力の育成において文法指導がどのよう な位置付けにあるのかを考察し,文法指導を生かしたコミュニケーション活動の在り方を探り,具体 的な指導内容を提案しています。 御高覧の上,御意見,御批判をいただくとともに,新学習指導要領の趣旨に沿う教科指導の実践の ための資料として御活用いただければ幸いです。 終わりになりましたが,この研究を進めるに当たり,御協力をいただきました協力委員の先生方並 びに関係各位に厚くお礼申し上げます。 平成14年2月 岡山県教育センター所長 門 野 八 洲 雄 目 次 Ⅰ はじめに……………………………………………………………………………………………………1 Ⅱ 研究の目的…………………………………………………………………………………………………2 Ⅲ 研究の内容…………………………………………………………………………………………………2 1 文法指導の是非について………………………………………………………………………………2 2 コミュニケーション活動について……………………………………………………………………3 Ⅳ 実践例………………………………………………………………………………………………………5 相互交流を目指したライティング……………………………………………………………………5 2 読み手を意識した英作文………………………………………………………………………………6 3 仮定法を使った英作文…………………………………………………………………………………8 4 意図を伝え合う活動……………………………………………………………………………………10 5 学習した表現の活用……………………………………………………………………………………12 6 学習した表現を使ったプレゼンテーション…………………………………………………………15 7 日本を紹介するスピーチプロジェクト………………………………………………………………18 Ⅴ 1 おわりに……………………………………………………………………………………………………20 研究の概要 高等学校学習指導要領(平成11年3月)外国語では実践的コミュニケーション能力の育 成が重視されている。実践的コミュニケーション能力の育成に文法指導がどのような位置 付けにあるのかを考察し,文法指導を生かしたコミュニケーション活動の在り方を探った。 また,これらに基づいて授業実践を行った。 キーワード Ⅰ 高等学校,英語,実践的コミュニケーション能力,文法指導 はじめに 高等学校学習指導要領の改訂において,外国語科 では ,「実践的コミュニケーション能力」の育成に 相変わらず英文和訳や和文英訳,文法解説が 主になっているとの指摘もある。 (ウ 英語指導方法等の改善) この報告では,読むこと・書くことの重要性も指摘 重点を置いて内容の改善が図られた。高等学校学習 指導要領解説外国語編では,次のように示されてい る1 )。 実践的コミュニケーション能力とは,外国語 の音声や文字を使って実際にコミュニケーショ されているが,「文法訳読式中心の授業」 「教師の一 方的な授業」「音声の軽視 」 「英文和訳や和文英訳, 文法解説が主」が問題の中心であると考える。 しかし,明示的知識としての文法を指導すること は実践的コミュニケーション能力の育成に相反する ンを図ることができる能力である。すなわち, 外国語を使って,情報や相手の意向などを理解 したり自分の考えなどを表現したりして,通じ 合うことができる能力である。 また,異なる言語や文化に対する理解と,積極的に ものであるだろうか。片山ら(1994)は ,「英語教育 学習者論」の中で,学習者の年齢に関して,次のよ うに述べている 2 )。 たとえば,心理的な変化として,8歳まで は視覚的記憶よりも聴覚的記憶に優れている 外国語を使ってコミュニケーションを図ろうとする 態度とは,実践的コミュニケーション能力の育成と 不可分に結び付いているものであることが示されて いる。 これまで英語指導方法に対して様々な批判がなさ ので,8歳までは,耳からの学習が効果的だ ということもいえる。また,心理学者ピアジ ェの考えも外国語授業の方法に1つの指針を 与えてくれる。彼によると,12歳頃を境にし て思考の働きが具体的操作段階から形式的操 れてきたが,以下の記述に集約できるのではないか と考える。 「英語指導方法等改善の推進に関する懇談会報告 」 (2001年1月17日)では,指導方法をめぐる問題点 として次のような指摘がなされているア )。 作段階へと移行する。形式的操作が可能であ るというのは,ものごとが論理的に判断でき ることを意味するから,12歳頃まではドリル を中心に,12歳頃をすぎれば文法指導を交え る授業が功を奏するという推測も成り立つ。 これまでも,中学校及び高等学校の外国語 (英語)教育については,基礎的・実践的コ ミュニケーション能力の育成を重視してきた が,実際には,文法訳読式中心の授業になっ たり,教師の一方的な授業になったりするこ 高等学校の生徒を教えている英語教師は,ここに 述べられているような生徒の思考の働きの発達を意 識的に,あるいは無意識的に念頭に置き,文法指導 を交えることを肯定的に考えておられる方が多いの ではなかろうかと推測する。しかしながら,暗記や とが多く,英語による対話やディスカッショ ンなどを取り入れている授業はまだ少ないと の問題点が指摘されている。また,高等学校 においては,大学入試を意識し,高学年にな 形式的な操作の指導といった文法指導に過度の重点 が置かれていた場合が多かったということが批判の 対象になっている。 そこで,本研究では,実践的コミュニケーション るに従って音声重視の授業が軽視されたり, 能力の育成において文法指導が果たす役割を確認 -1 - し,英語を使ってコミュニケーションを図ることが できる能力を育成することを目指した学習活動の在 り方を探ることにした。 Ⅱ 研究の目的 ある。正確さは実践的コミュニケーション能力の中 に含まれており,コミュニケーション活動を行うこ とを通して,更に正確さが増していくものと考える。 1 本研究の目的は,次のとおりである。 ○ 実践的コミュニケーション能力の育成において 文法指導がどのような位置付けにあるのかを考察 する。 ○ 文法指導を生かしたコミュニケーション活動の 在り方を探る。 Ⅲ 研究の内容 文法指導の是非について まず,文法指導が重要だと考える立場を取るこ とについて述べておきたい。 新里(2000)は,実践的コミュニケーション能力 を育成するための指導を次の3段階に分けてい る。すなわち, (1) 言語材料についての知識を得る (2) 言語材料の使用法について慣れる (3) 実際にコミュニケーションを行う際の「材料 」 として活用する。 まず,本研究では , 「文法」「文法指導」を次のよ うに定義することとする。 文 法:言語が,語や句を操作し結合して, より長い意味の単位を形成する方法。 である 3 )。このうち,(3)をコミュニケーション 活動と位置付けている。 これに従って,(1),(2)の段階を本研究で言う 文法指導ととらえることとする。このように,文 法指導は,コミュニケーション活動と対立的にと 「発音」や「語彙」を含む。引用文 中で「文型・文法事項」と表記され ているものも同義であるととらえる。 文法指導:上で定義した文法の習熟のための, 形式的な側面(形式の操作や分析, らえられるべきものではないと言える。つまり, コミュニケーション活動を行うために必要な指導 であると同時に,コミュニケーション活動を行う 中で,必要に応じて行う指導である。 また,Ellis(1997)の結論は,断言してはいない 言語間の翻訳など)に焦点を当てた 指導。引用文中で「文型・文法指導」 と表記されているものも同義である ととらえる。 また,外国語学習における「正確さ」を次のよう が,おおむね次のようなものである4 )。 1 教師は文法を教えるべきか。 一般には『教えるべきである』が答えで あるが,すべての学習者に対してそうで あるとは限らない。学習の初期において に定義する。 正 確 さ:意味内容が伝わる発話ができたり, 文を書けたりすること。また,その ような発話や書かれた文を理解でき ること。 大量の文法学習を経験したのに流暢さを 獲得できていない学習者は,文法の学習 を増加させるよりもコミュニケーション 活動からの利益の方が大きいだろう。(注 として)このよい例は日本の中等教育の そして,正確さを生徒が身に付けるためには,文 法指導が必要であるという立場を取ることとする。 これまでも「正確さ」は英語学習で大切にされて きた要素であり,文法指導は生徒が正確さを身に付 けることにおいて成果を収めている。これまでの指 生徒である。6年間の多くを文法指導に 費やすが,多くの生徒は英語でのコミュ ニケーションができないままに卒業する。 2 文法指導は効果があるのか。 効果があると言えるだけの研究結果があ 導方法の蓄積を実践的コミュニケーション能力の育 成につなげる方法が現在の課題であると考えている ということになる。 研究の中心とするのは文法指導そのものではな る。内在する知識として獲得している文 法事項をより正確に使用することを助け るし,それ以後の進歩を速める。指導の 効果が保持される場合もある。 い ちょう く,文法に焦点を当てたコミュニケーション活動で -2 - (訳及びカッコ内は大橋) 2で,文法指導は効果があるとされていること は納得できる。一方,1で,日本の中・高校生が 例として引き合いに出されて ,「多くがコミュニ ケーションができないままに卒業する」とされて これまでなされてきた文法指導の内容に 若干の修正,又は補足をした上で,積極的 に口頭によるコミュニケーションがなされ て定着を図るための活動を以下に提示した いることには異議を唱えたい方も多かろうと推察 する。実際,松川(1997)が言うように,英会話, すなわち口頭でのコミュニケーションを学習目標 にしてはいなかったのであるから,それができな いと言って批判すること自体が誤りであろうし, い。これは,学習者が『具体的な場面や状 況にあった適切な表現を自ら考え 』,『表現 しようとすることを個々の生徒が自ら考 え,ふさわしい表現を選択できる』活動で ある。この活動の導入により,教室におけ 学習の期間が6年間とは言うものの,ヨーロッパ の非英語国の授業時数と比べると日本の英語の授 業時数は少なく,学習環境も考慮すれば単純な比 較はできないと考えられる。さらに,読むこと・ 書くことを考えに入れても,コミュニケーション るコミュニケーションを教室外でも使用可 能とする手段となると確信する。 と述べて「タスク活動」の提案を行っている 6 )。 本研究では,コミュニケーション活動として,口 頭によるコミュニケーションだけでなく,文字を ができることよりは,個々の文法への習熟を重視 してきた伝統があり,評価の視点が食い違ってい ぬぐ る印象が拭えない。 しかし,ここでは,むしろ「コミュニケーショ ン活動からの利益の方が大きい」という記述に注 用いたコミュニケーションをも含めるが,積極的 にコミュニケーションがなされて定着を図るため の活動を目指す点においては上記の主張と同じ方 向性を持つものである。それぞれの教師がそれぞ れの高等学校で学ぶ生徒に必要であると考える能 目したい。 Ellis の主張も,文法指導に加え,適 切なコミュニケーション活動を取り入れる必要性 を説いていると考えるのが適当であろう。 高島(1995)は,教室における文法指導は次の3 点で重要であるとしている5 )。 力の育成と,実践的コミュニケーション能力の育 成とが相反するものとなることなく,教室での文 法指導がより効果的に行われることを目指した研 究となるよう意識して進めた。 文法指導における留意点については,片山ら (1) 学習させたい文法形態に学習者の注意を 向けることができる。 (2) 誤った英語を学ばないようにすることが できる。 (3) 教室におけるコミュニケーション活動な (1994)は, 言語活動に必要な文法・文型指導では, 文の構造だけでなく,その文が使われる 言語活動のテーマ,場所,場合などの要 素,すなわち日常性,普遍性,重要性, どで,他の学習者から誤った英語が入っ てきた場合に,教師の指摘によって誤っ た英語を排除し,文法指導により学習者 の混乱を整理することができる。 教室外で英語を使う機会がふんだんにある環境 頻度,必要性,可能性,参加している人 の諸要素(社会的地位,性,年齢,親密 度など)を考慮に入れなければならない ということになる。 と述べて,文法指導の中で,具体的な場面を示す ならば,文法指導を行わない指導計画も有効であ る可能性はあるが,日本での状況は,生徒が英語 を使う機会が教室に限定されているに等しいと考 えてもよいであろうし,また,学校での1日当た りの英語授業の時間数が1時間を超えて確保され 必要性を説いている7 )。コミュニケーションを図 る活動につなげるためには有効な工夫だろう。 このような文法指導の工夫を加えた上で,実際 にその文法や文型を使う機会を授業の中で設定す ることが必要であると考えられる。 ている場合があまり多くないことを考え合わせれ ば,文法指導を行い,それを実際に使う機会を授 業の中で確保することが得策であると考えるので ある。 2 高島(2000)は, コミュニケーション活動について 新里(2000)は,実践的コミュニケーション能力 について,座談会の中で次のように言っている8 )。 最終的な目標はメッセージの授受である -3 - ということをはっきりすると同時に,今ま で重視されてきた言語材料についての知識 の蓄積や習熟が手段である,ということを はっきりと位置づけたということです。 という3点が示されている1 1 )。本研究では,この 3点を実践事例を検討する際のチェックリストと して利用した。 前にも述べたように,これまで指導が形式の操 「言語材料についての知識の蓄積や習熟」は最 終的な目標ではなく,メッセージの授受が最終的 な目標であるということになれば,メッセージの 授受を教室内での活動として行うことが必要にな る。今回の改訂でコミュニケーション活動と位置 作に偏りがちであると批判されていることに着目 し,生徒が情報やメッセージなどを伝え合う場を 授業の中にどう取り入れていくかを研究の中心と した。 実践的コミュニケーション能力の育成を目指す 付けられているものは,このような活動を指すも のと考えられる。 情報や考えなどを伝え合う力を育成するために は,実際に情報や考えなどを伝え合うことを中心 とした活動,すなわち,コミュニケーション活動 ならば,暗記や形式的な操作への習熟と同時に, 実際にメッセージの授受等に英語を使う場を確保 することが必要である。そうすることによって, 生徒は学習した内容を実際に使えるようになるの であり,また,「英語は,情報や考えのやりとり を行わなくてはならない。新里(1999)は,コミュ ニケーション活動について 単なる暗記や繰り返しではなく,メッセ ージや意味内容の伝達を主とするというこ とである。 に使える」ということを納得できるようになるだ ろう。そのような納得を持って学習に臨むならば , 生徒の内発的動機付けにつながり,学習意欲も長 く保持されると考えられる。さらに,情報や考え をやり取りする中で,それまで身に付けていた学 と述べている 9 )。新里の記述は,文法指導におけ る暗記や繰り返しを否定しているものではない が,内容の伝達を重視することの必要性を説いて いると考えられる。 また,Ur(1988)は, 習内容の「正確さ」が一層増すことも期待できる と考える。 本研究は,文法指導を生かしたコミュニケーシ ョン活動という側面からアプローチを行い,より 効果的な指導の在り方を探ることを目的としてい 文法指導は,一時的には主たる学習目標 となりうる。ただし,長期的には,目標そ のものではなく,言語全体を習得するため の方法の一つである。初期の段階では実質 的に意味のない言語操作を行うこともある る。それは,情報や考えなどを伝え合うためには, 相手を理解し,相手に理解されるだけの「 正確さ」 が必要であると考えるからである。 したがって,英語を使う場を確保すると言って も,常に目標とする言語材料を念頭に置いた活動 が,意味を伝えるために言語を使う活動へ とすみやかに進むべきである 。 ( 大橋訳) と述べている 10 )。これは,文法の知識だけを身に 付けることや言語操作を最終目標とすることを否 定しているものである。前出の新里(1999)が「単 でなくてはならず,生徒が必然的に目標の文法や 文型を使うような活動をいかに授業に組み込むか が課題となる。それぞれの活動の構築は各教師の 裁量の範囲であるから,生徒の実態を踏まえた上 で,それぞれの教師が適切な活動をつくっていく なる暗記や繰り返し」と呼んでいたものが最終目 標にはならないという点で趣旨は同じであると考 えられる。 学習指導要領解説では,コミュニケーション活 動を行う際の基本的条件として, ということになるのである。 将来英語を何のために使用するのか,すなわち , 何のために英語を学習しているのかは,生徒ごと に異なり,それぞれの高等学校ごとにも生徒が身 に付けるべき能力の目標として考えられている内 ①情報や考えなどを伝え合うことを活動の 中心とすること。 ②生徒が情報や考えの受け手や送り手とな るようにすること。 容は異なると考えられる。しかし,本研究では, 正確さに重点を置きながら,コミュニケーション が行える能力の育成を目指した実践例を以下に紹 介する。そして,事後のアンケートや活動中の教 ③具体的な言語の使用場面を設定すること。 師の観察を基にその有効性を検証することにす -4 - る。検証の観点は,前に述べたコミュニケーショ ン活動の基本的条件(3項目)に「生徒が情報や 考えなどを創造する場面 」 「正確さへの配慮」を 加えて再構成し,「その他」を加えて次の五つと ず含めるように指示して形式面を限定した英作文 を書かせる。 (例 文型・時制・不定詞・関係代名詞・話法 ・否定・分詞構文)。自分が一番よく使う文型・ した。 ① 生徒が受け手や送り手となって情報や考え などを伝え合うことを活動の中心としている か。 ② 生徒が情報や考えを創造する場面がある 時制と自分の苦手な文型・時制とを意識させる。 エ ウを踏まえて,内容面を限定した英作文を書か せる。テーマを複数示して選択させ,生徒の発想 が生かされるよう配慮する。 (例 旅・宇宙・学校生活・日本の文化・将来 か。 ③ 具体的な言語の使用場面を設定している か。 ④ 正確さへの配慮がなされているか。 ⑤ その他 の夢・コンピュータ・習慣・自然・略語・映画) オ パラグラフの構成に注意させた英作文を書かせ る。リーディングの授業で学習済みの英文を使っ て,パラグラフの展開,つなぎ言葉の使い方など を事前に指導しておく。 カ Ⅳ 1 ペアを作って,相手を想定した手紙形式の英作 文を書かせた後,お互いに交換して感想を記入さ せ,感想を書き手に返す。この段階では,形式・ 内容面の制限をできるだけ少なくし,相手に伝わ る英文を書くことに留意させる。 実践例 相互交流を目指したライティング (1) 学習目標 ① 既習の文法項目を再認識しながら考えや情報を 互いに伝え合うことができる。また,このことを 通して,自分の知識や技能の程度を認識できる。 ② 自分の考えや感情などを相手に伝えたいという (3) 指導上の留意点 ① 毎時間生徒が書いた実例を二つ引用してクラス 全体に示し,内容面,形式面の両面からのコメン トを加えた。 ② 特定の文法項目に注意を払いながら自分の書い 意欲を持ち,英語を書くことを通して考えや感情 を表現できる。 ③ 様々な制限の下で英語を書くことを通して,目 的を意識しながら英語を書くことができる。 ④ 読み手を意識しながら英語を書いて表現するこ た英文を見直す観点を与えた。 ③ 最終的には,読み手を意識した英文を書かせ, 伝わるかどうかを体験させた。この段階に至るま でに,形式・内容に制限を掛けた作文演習を中心 に段階的に10回程度の演習を行った。 とができる。 ⑤ 辞書(英和・和英)の適切な使い方が分かり, 辞書が役に立つことを意識して活用できる。 (2) 指導の概要 ① 対象学年 第2学年 ④ ② (4) 生徒の反応(指導終了後のアンケートの集計結 果) ① 英作文を書くのは好きですか。 好き(19%) 普通(62 %) 嫌い(19 %) ② 課題英作文は提出できましたか。 教材 UNICORN English Writing (文英 堂) ③ ア 指導の流れ 毎回課題英作文を提出させ,定期的に「書く」 習慣を身に付けさせておく。 イ 語数を45語に制限した課題英作文を書かせるこ とから始める。自分がどれくらいの量の英文を書 くのにどのくらいの時間が掛かるかを認識させ る。 ウ 以下に例示するような文法項目を用いた文を必 課題英作文を必ず提出するよう指導し,提出状 況を学期の評定に加味した 。(提出回収率 約78 %) ⑤ 大学入試で求められる文法知識の導入を心掛け た。 すべて(63 % ) 大体(16% ) 提出せず(21% ) ③ 課題英作文をするとき和英辞典を使いました か。 よく(53%) 時々(25 %) 使用せず(22%) ④ -5 - 課題英作文をするとき英和辞典を使いました か。 よく(21%) 時々(48 %) 使用せず(31 %) ⑤ 課題英作文に掛かった時間の平均はどれくらい ですか。 ば,生徒の英作文を教材にした発展的授業展開が 考えられる。 ⑧ 生徒の文法上の誤りを教師が訂正するだけでな く,生徒自身に気付かせる回数をさらに増やすべ 1時間以上(16%) 30分∼1時間(71% ) 30分以下(13% ) ⑥ 感想(記述式) ・英語の文章をもっと書いたり読んだりすること が必要だと感じた。 きだと考える。 ⑨ 4技能の統合を踏まえ ,「聞く」活動を導入と して用い,「書く」作業へ発展させていく授業展 開を考えたい。 (6) 検証 ・本当の英語に触れることが必要。 ・もっとどんどん書いてみることが大切。 ・日本語で何を言いたいかを持つことが必要。 ・構文をもっと覚えて使えるようにする。 ・基本的な文法をもっと使えるようにしたい。 ① 生徒が受け手や送り手となって情報や考えなど を伝え合うことを活動の中心としているか。 →している。様々な制限を設けながらの英作文で あるが,最終的には同級生とお互いに伝え合う活 動へと発展させている。 ・単語が全然分からないから,まずは単語を覚え たい。 ・発音や話すことも大切。 ・しっかり辞書を引くことが大切。 ・和英辞典を引かないと単語が出てこない。 ② ・英作をするとき,辞書を使って楽しかった。 ・英作文は苦手だが,書くことは楽しい。 ・実際に英語を使おうとすると,自分に基礎が身 に付いていないことが初めて分かる。 ・自分の意見を人前で紹介されるのは恥ずかし →互いに交換する段階では,「手紙」という使用 場面が設定されている。 ④ 正確さへの配慮がなされているか。 →なされている。文法項目を指定したり,内容の 制限を設けることにより,生徒の注意を喚起して い。 (5) 指導を終えて ① この英作文の課題を長続きさせるには,毎回提 出させることを重視し,添削は細かい点まで指摘 しないことが大切であると感じた。 いる。 ⑤ その他 →生徒の感想にもあるように,学習した語彙や文 型などを実際に使ってみれば,自分の知識や技能 の程度が認識でき,自分の学習方法を修正する必 普段の授業では分からない生徒の日常生活,将 来への不安や期待,友人関係などを英作文を通し て身近に感じることができた。 ③ 互いに交換することが,書く意欲を高めるのに 有効であったと感じた。 生徒が情報や考えを創造する場面があるか。 →ある。制限が設けられているが,単なる繰り返 しや穴埋めではなく,生徒の考えやメッセージな どを生かしている。 ③ 具体的な言語の使用場面を設定しているか。 ② 生徒が自分の弱点を自分で発見でき,後の学習 に生かすことができたと考える。 ⑤ 英語の基本的学力がかなり不足している生徒 は,英語で書くことを非常に負担に感じたようで , 提出できない状況が続いた。 要が分かる。また,辞書の使用についても,辞書 を引くことが大切だという感想が見られる。 2 読み手を意識した英作文 −悩み相談− ④ ⑥ 学力差に応じて課題を与えるよう工夫すること が必要だった。特に,英語の不得意な生徒には, 更に配慮が必要である。 ⑦ 最後は互いに読み比べをさせ,感想を書かせた (1) 学習目標 ① 相談に回答するという場面設定の下に,英語で 文章を書くことを通して,英語を書く目的を意識 でき,読み手を意識して英語を書くことができる。 ② 恋愛問題という題材に興味を持ちながら英語を 書くことができる。 ③ ところで終わったが,もっと時間的に余裕があれ -6 - 読み手に自分の意見を伝えるために,正確な英 語を書くことが必要であることを理解できる。 ④ 実際に使ってみることによって,既習事項がど の程度自分の身に付いているのかが分かる。 人へのフィードバックを行う。 ⑥ (2) 指導の概要 後日ハンドアウトを配付して,生徒の回答例を 紹介する。 ① 対象 第3学年 (4) 生徒の反応 ② 科目 英語理解 ① ③ 教材 MINI WORLD ( February-March 2001 回答例(原文のまま) ・ It depends on you. No.75 ),㈱ミニワールド In general, it's hard to live with a person who are from foreign country. (悩み相談) Maybe you realize that she differs in some points I have been exchanging e-mails with an American from you, but there also must be some same woman living in the U. S. points between you and her. We chatted a lot and sent our photos to each other, and I've found myself falling inlovewithher. But if you really love her, don't be afraid. Recently she wrote in the mail, “I ・ Iadviseyou to accept her proposal. Even if you wanttogotoJapanatleastonce . ” haven't met her, you talked so many times Moreover she added, “Itwill be too expensive for me through to stay at a hotel in Tokyo ― could you let me stay at sentiment, information and so on with her. your house?” you have known each other. with joy. Reading the mail, I was beside myself But thinking it over calmly, I felt uneasy meeting her. You share your feelings, The left thing is Good luck! ・ You should accept her proposal, because it's a I'd like toaskyouwhatIshoulddo . chance to see and talk with her. >S. A. 24 -year-oldsystem engineer, Tokyo many times through e-mail, didn't you? ④ 指導の流れ worry. ア 教材プリントを配付して読ませ,悩みの内容を with heratonce. 確認させる。事前に語彙等を示すことはしない。 イ And You should understand her more . Your lovedepends onyou. because we haven'tmetthoughwetalkedsomanytimes through e-mail. Should I accept herproposal? e-mail. once. 悩み相談の回答者になったつもりで,各自に回 You talked so Don't I think you will come to be able to talk You will be friends with her at Take iteasy! ・ I think that you should accept her proposal. 答を書かせる。この時点では,雑誌に掲載されて Although you fall in love with her, you are just いる回答は示さない。 friends. Maybe she thinks you just a friend. ウ アンケート(後述)に答えさせる。 But if you are afraid that something will happen エ 実際に雑誌に載っていた回答を紹介する。 andbreakyour relationship, you should refuse her (3) 指導上の留意点 ① 導入で “ Agony proposal. Column” と板書して意味を 推測させ,生徒の興味を喚起する。 ② ② 活動後のアンケートから(回答の多かったもの) ア 「悩み相談」の回答には,どんな(英語の)構 悩みの内容と,自分が悩み相談の回答者である という設定をしっかり理解させる。 ③ 文・表現がよく使われると思いますか。 ・ Youshould ∼. 制限時間(20分)を設けて,その時間内に回答 させる。 ・ If I wereyou/IfIwereinyourplace, I would ∼. ・ I think ∼. ④ アンケートを実施し,授業の振り返りをさせる 。 ・ Youneedto ∼. ⑤ 回答を添削して,英語の正確さに関して一人一 ・ Youhadbetter ∼ . -7 - ・命令文 イ を伝え合うことを活動の中心としているか。 →している。仮想の相談者からの相談を受け,生 徒が答えるという活動である。相談を受けるとき は受け手であり,回答するときは送り手である。 今日の授業で,実際にアで挙げた構文・表現を どれか使いましたか。 「使った」と答えた生徒:約8割 ウ ② 生徒が情報や考えを創造する場面があるか。 →ある。回答では,自分の考えを表現している。 ③ 具体的な言語の使用場面を設定しているか。 →している。 「相談に対する回答」の場面である。 ④ 正確さへの配慮がなされているか。 英語に関して,気を付けたことは何ですか。 ・つづりを間違えないようにすること ・文法ミスをしないようにすること ・今までに習った構文を使うこと ・文と文とのつながりを考えること ・簡潔に分かりやすくすること エ 英語に関すること以外で,気を付けたことは何 ですか。 ・相手の立場になって考えること →なされている。読み手を意識することで,生徒 は正確な英語を書こうとしていることが分かる。 また,教師は,ALTの協力を得ながら,添削し ている。 ⑤ その他 →活動後のアンケートから,既習事項がどの程度 身に付いているかを意識した生徒もいることが分 かる。 ・相手を傷付けないような内容にすること ・自分の意見を押し付けないこと オ 今日の授業の感想を自由に書いてください。 ・グループで意見を話し合うのもいいと思う。 (参考) ・相談者のことをよく知らないのにアドバイスを Dear S., I can understand your joy ― we all love the feeling of being in love . But if you don't know her well, can ittrulybelove? There have been many people like you who have するのは難しかった。 ・英語で文章を書くのは難しい。もっと練習が必 要だ。 ・回答する時間が足りなかった。 (5) 指導を終えて ① 悩みの内容が,恋愛という生徒にとって身近な 問題であったので,興味を持って取り組めた。 ② 活動後のアンケートから,生徒は場面にふさわ しい内容・形式をかなり意識していることが分か った。 ③ 今後も,ある程度まとまった量の英語の文章を 書く練習を繰り返し行いたい。その際,できるだ け早くフィードバックする必要があるが,生徒一 人一人の作文を添削するのにはかなりの時間と労 力が掛かる。 ALT の協力を得たが,早くフィー ドバックするために苦労した。 ④ 生徒の感想にもあったように,同じ教材を使っ found love on the Internet, only to be disappointed when they met the person. Some have even had something terrible happen tothem . In that case , you are wise to be careful about this girl. I am worried by the fact that s h e s a y s s h e h a s n o money and wants to stay with you. I think the best solution is to offer to make arrangements for an inexpensive place for her to stay, and of course, she should pay ― not you! If she truly wants to come to Japan to meet YOU, and not just to have a cheap vacation, then she will accept this offer. If not, then you will know how she really feels about you. Good luck! 3 (6) 検証 ① 生徒が受け手や送り手となって情報や考えなど 仮定法を使った英作文 −もしも自分が物語の登場人物だったら…− て,グループディスカッションやディベートなど , 他の活動をすることも考えられる。 雑誌での回答者の回答 (1) 学習目標 ① 英語の長文を読んで理解した内容を基に,自分 -8 - の考えを英語で表現できる。 ② walk with Newt. 仮定法が使われる状況と仮定法が持つ言語の働 ・ If I wereCatharine , I wouldgetmarried to Newt. きとを理解できる。 ③ I don't likeanaffair. ・ If I were Newt, I wouldn't go to see Catharine, 恋愛という題材に興味を持ちながら英語を書く because I don't have the courage. I would forget ことができる。 her and stay intheArtillery . (2) 指導の概要 ・ If I were Newt, I wouldn't go to meet Catharine, ① 対象 第2学年 becauseshe is getting married. ② 科目 英語理解 ・ If I wereHenry, I would kill Newt and gotojail. ③ 教材 SPECTRUM ENGLISH COURSE Ⅱ , ・ If I were Henry, I would give up marrying SecondEdition( 桐原書店)READING 2 Catharine. “Long Walk toForever ” ②生徒の感想から ・ いつもよりとても楽しい授業だった。これか ④ 指導の流れ ア 本文の読解を行う。 らも恋愛ストーリーを題材にした授業をした イ 読解が済んだ後,自分が物語の中の人物だった い。 ・ らどうするかを考えさせ,英語で表現させる 。 (本 く分かって面白かった。本文の最後のところが 活動) ウ 中途半端なので,続きがとても気になる。 主人公の二人の関係がこの後どうなっていくか ・ を想像させ,物語の続きを英語で書かせる。 エ キャサリンの心情が変わっていくところがよ この話はよかった。次はどうなるんだろう? と毎時間思っていた。音読のときも,少し感情 生徒の作品のうち何点かを印刷して全体で読 を込めすぎてしまった , と思ったときもあった。 む。 (3) 指導上の留意点 全体的にはすごく楽しかったけれど,仮定法が ① 得意ではないので文法の面で苦労したところが 読解を行う際には,主人公二人の揺れ動く心理 あった。 に注目させる。 ② 本文中で使われている仮定法表現には,特に注 ① 意を促す。 ③ (5) 指導を終えて 生徒たちにとって大変興味を持ちやすい内容だ ったため,読解には積極的に取り組めた。授業中 自分が物語中の人物だったらどうするかを考え の発言も活発であった。 させるときに,If I were ∼という表現を提示して, ② 仮定法を使うことを意識させる。 仮定法は定着させるのが難しい文法項目であ (4) 生徒の反応 る。今回も実際の発表の中で正確に仮定法が使え ① た生徒は6∼7人に1人の割合だった。 作品例(原文のまま) ・If I were Catharine , I wouldn't kiss Newt. I ③ would want him togivemeup . 仮定法が定着するように繰り返し練習させるた めには,仮定法を使うのに自然な状況・設定を工 ・If I were Catharine, I would say, “I love you, 夫する必要がある 。「もしも自分が物語の登場人 ” to Newt. 物だったら…」という設定は,仮定法を使うのに ・If I were Catharine , I would change my mind. Probably we couldn't let our love go. 自然な状況の一例だと考える。 I would take a nice walk with Newt and cancel the (6) 検証 ① engagement. ・If I were Catharine, maybe I wouldn't go for a -9 - 生徒が受け手や送り手となって情報や考えなど を伝え合うことを活動の中心としているか。 →している。自分が物語の中の人物だったらどう するかを書き,発表している。生徒同士お互いに 受け手であり,送り手である。 ② 生徒が情報や考えを創造する場面があるか。 →ある。自分ならどうするかという意見を発表し ている。 ③ 具体的な言語の使用場面を設定しているか。 →している。短い「スピーチ」の場面である。 ④ 正確さへの配慮がなされているか。 →なされている。 If I w e r e ∼を用いた仮定法過去 に生徒の意識を向けさせている。 ⑤ その他 →仮定法過去が用いられるべき状況の中で自分の 考えを発表することで,より理解が進んだことが 推測される。ただし,十分定着しているとは言い 難いので,文法指導をもう一度行う必要があると 考えられる。 Can I try on ∼ /try ∼ on? ,It's too small. Do you have a larger size?, How about ∼ ?,How much is it?, I'll t a k e i t.,Cashorcharge? など) ② 活動の中で値段やサイズなどを交渉することを 通して,相手の意図や意志を理解し,自分の意図 や意志を英語で伝えることができる。 (2) 指導の概要 ① 対象 第1学年 ② 科目 オーラル・コミュニケーション A ③ 教材 On Air Communication A,(開拓社) Lesson 16 “ Let's GoShopping ” ④ 指導の流れ(3単位時間) ア 第1時 (ア) 教科書を使って,語彙の導入・リスニング練習 ・モデル会話練習・代入練習を行う。 4 (イ) 買い物に役立つ表現を各自ノートにまとめさせ 意図を伝え合う活動 る。 −買い物ごっこ( ALT との協同授業)− イ (1) 学習目標 ① 「買い物」の場面で生徒同士英語を使って自由 にメッセージをやり取りすることを通して,以下 に示すような買い物で用いられる表現が口頭で使 えるようになる。 (ア) 前時の復習をする。 (イ) 使用教科書に載っているモデル会話以外のモデ ル会話を示したハンドアウトを使って,リピート 練習,ペアでの対話練習をさせる。 (ウ) ペアを組ませて,店員と客の会話を自由に作ら (May/Can I helpyou?,I'mlookingfor ∼ .,I'mjust looking.,Can I see ∼ ?,Do youhaveit in <色> ? , 図1 第2時 せる。次時にみんなの前で発表させることを予告 する。 「買い物カード」 - 10 - ウ 第3時(本活動) 途中で店員役と客役を一斉に交代させて,2回 E (ア) 前時に作った会話を全員に発表させる。他の生 徒には,発表を聴きながらワークシートに会話中 目の「買い物ごっこ」をさせる。 (ウ) の品物・色・サイズ・価格などを記入させる。 机を元に戻させて席に着かせた後,質問しな がら,一番お金をもうけた生徒と一番たくさん商 (イ) 店員役と客役がほぼ同数になるようにクラスを 分けて ,「買い物ごっこ」を行う。 品を買った生徒を紹介する。 A 店員役の生徒に品物カード(色・サイズ・価格 (3) 指導上の留意点 ① オーラル・コミュニケーション A の授業では, が書き込めるようになっているもの)を3枚ずつ 教師は英語のみを話す。ただし,活動の仕方が複 配付する。(図1) 雑な場合は,日本語で書かれた説明のプリントを B 配付する。 客役の生徒に千円札カードを10枚ずつ配付す ② る。 第2時までに「買い物」の場面でのいろいろな モデル会話を提示して,練習させる。 C 次のルールを書いた紙を配付して読ませる。 ③ <1回目> ・ 「買い物ごっこ」中は,ALT と手分けをして 見回り,英語を使って活動しているかどうかを確 客は,手持ちの1万円でなるべくたくさん買 認したり,消極的な生徒を援助したりする。 い物をすることを目指す。 ・ 店員は手持ちの商品を全部売って,できるだ (4) 生徒の反応 ① けお金をもうけることを目指す。 日本語で話をする生徒もいたが,全体的には英 店員は商品の SIZE , COLOR, PRICE を客と 語を使って会話をしようという雰囲気があり,に の会話中に決めてカードに書き込む。ただし, ぎやかに盛り上がった。活動に全く参加しない生 PRICE は千円単位とする。 徒は見られなかった。 ・ ・ 交渉が決着したら,客は代金と引き換えに商 ② 練習した表現はかなり使えていた。 (5) 指導を終えて 品を受け取る。 ① <2回目> 本活動を行う前に,かなり時間を掛けて表現の ・ 客と店員の役割を交代する。 練習をしたので,スムーズに活動を行うことがで ・ 客は<1回目>で自分がもうけたお金を手持 きたようである。 ちのお金にして,なるべくたくさん買い物をす ② 自信がないために教科書やハンドアウトを見な がら活動している生徒もいたが,英語で会話をし ることを目指す。 ・ ようとする態度は評価したい。 店員は<1回目>で自分が買った商品を, SIZE , COLOR , PRICE はそのままで自分の店 ③ 「∼ごっこ」なのでしらけてしまうのではない の商品にして,できるだけお金をもうけること かと心配していたが,活動はかなり盛り上がった。 を目指す。 ALT との反省では,品物カードやお札カードな どの小道具を準備したこと,色・サイズ・価格な (生徒に伝えた注意) どを決めるやり取りに重点を置いたことがよかっ ※ お 店 は た く さ ん あ る の で , SIZE , COLOR, PRICE たのではないかという結論になった。 にこだわってお買い得品を見付けてく ④ ださい。 約40人が教室全体を使って一斉に活動するの で,どうしても全員には目が行き届かない。 ※ NOJAPANESE!! D 机をコの字形に並べてバザール会場を作り,1 ⑤ 「∼ごっこ」はやはり擬似練習でしかない。教 室で行う以上,仕方がないことではあるが,より 回目の「買い物ごっこ」をさせる。 リアルな活動を工夫したい。 - 11 - ⑥ 外国の通貨単位(米ドルなど)を使うことも考 えられる。 (6) 検証 ① 生徒が受け手や送り手となって情報や考えなど トレーションを英語で行う。 プリント(図2)に従って,位置を説明する語 句・表現を学習させる。説明を聞き,ALT の後 について発音練習をさせる。 イ を伝え合うことを活動の中心としているか。 →している。値段の交渉をして買い物をする活動 である。生徒同士で交渉するので,受け手であり, 送り手である。 ② 生徒が情報や考えを創造する場面があるか。 ウ イで扱った内容を使ってペアワークをさせる。 (ア) 部屋の絵(図3)を見ながら,一人が「蚊」の 飛んで行った場所を決める。相手には言わない。 (イ) もう一人がイの表現を使って英語で蚊の居場所 を尋ねる。相手は Yes か No でしか答えられない →ある。値段の交渉においては,それぞれの生徒 の考えに基づいて対話することになる。ただし, ある程度定型化された対話であることも事実であ る。 ③ 具体的な言語の使用場面を設定しているか。 こととする。 (ウ) 一定の時間内に答えが分かれば,質問者の勝ち。 分からなければ,相手の勝ちとする。 (第2時) エ プリントを使って,道案内に関する語句,表現 →している。「買い物」の場面である。 ④ 正確さへの配慮がなされているか。 →ある程度なされている。交渉の中で,相手に理 解されるだけの正確さが必要なように仕組まれた 活動である。 を学習させる。教師の説明を聞かせ,ALT につ いて発音練習をさせる。 オ 架空の地図を配付し,それを見ながら,道案内 の英文の( )を各自で埋めさせる。 カ 道案内の英文を聞かせ,地図にかかれた建物が ⑤ その他 買い物ごっこの途中で売り手と買い手が逆転す ることでゲーム性が高まり,生徒の参加意欲も高 まったと考えられる。 何であるかを当てさせる。 (第3時) キ イとエで扱った表現を使って,プリントを用い て活動させる。建物の場所と道案内が書かれた英 文を読み,地図からその場所を各自で見付けさせ 5 学習した表現の活用 −道案内をしてみよう(ALT との協同授業)− (1) 学習目標 ① 道案内で使用する基本的な表現を習得し,目的 る。 ク エの表現を使った道案内の会話例を提示する。 空欄を設けておき,最初は ALT のモデルリーデ ィングを聞きながら空欄を埋めさせる。その後英 文と意味を確認させる。 ALT の後に音読の練習 に応じて活用できる。 ② 自分の言いたいことを表現するために授業で学 習した内容が使えることを意識し,以後の学習に 生かすことができる。 ③ ペアワークやグループ活動を通して,他のメン をさせる。その後ペアで読みの練習をさせる。 ケ クで扱った表現を使ってペアワークをさせる。 (ア) それぞれのペアに同じ地図であるが,それぞれ 違う情報を持つものを配付する。 (イ) それぞれに場所が分からない建物が幾つかある バーから新しいアイデアを知ったり,互いに協力 したりすることが学習に役立つことが分かり,積 極的に活動に参加できる。 (2) 活動の概要 ① 対象 第1学年 ので,会話例に従って相手に英語で尋ねさせ,も う一人には英語で説明させる。 (ウ) 交互に役割を交替することとする。 (第4時) コ 次回道案内の発表をすることを伝え,発表に向 ② 科目 オーラルコミュニケーションA ③ 教材 プリント教材 ④ 活動の流れ (第1時) けての準備をさせる。評価の仕方も説明する。 (ア) 3∼5人の班に分け,班ごとで着席させる。 (イ) 学校近辺の地図を書いたプリントを配付し,黒 板にも拡大図をはる。(地図の本紀要への掲載は ア ALT と JTE が身近な場所の道案内のデモンス - 12 - 省略) (ウ) 英語で書いてある建物の名称を全員で確認させ る。 (エ) 出発地点は全班同じ場所を指示しておき,教師 がそれぞれ違う目的地を書いた短冊を各班に配 図2 る。 (オ) 配られた目的地に向けての道案内を,コの会話 文を参考に英語で書かせる。 (カ) 班員全員で音読の練習をさせる。 位置を表す語を学習するプリント - 13 - 図3 ワークシート (キ) 発表原稿の中で担当のパートを決めさせる。 (第5時 )(本活動) だけでなく準備段階から評価対象になっているこ とを強調し,人任せにせず全員で作り上げるよう サ 班ごとに道案内の発表をさせる。 (ア) 黒板にはあらかじめ拡大図をはっておく。 (イ) 一班ずつ前に出て,道案内をさせる。 (ウ) 聞き手の生徒は,案内された場所をプリントに 書き留めておく。 奨励する。 (4) 生徒の反応 ① ペアワークでは,ゲーム感覚で楽しみなら取り 組む姿が見られた。授業後の感想に「自分が正し い英語をしゃべらないと相手には通じない」と書 (エ) 自分の班の発表が終わったら,発表生徒は聞き 手生徒を指名し目的地を確認する。 (3) 指導上の留意点 ① それぞれの活動内容をより明確にするため, ALT の説明の後日本語で補足説明する。 いた生徒がいた。時間が掛かりながらも,正確さ を大切にしながら英語を話そうとする姿勢が見ら れた。 ② 発表では,学校周辺の地図を使った。地図には ない建物や友人の家を説明に加える生徒もおり, ② 道案内をする状況をより身近に感じさせるた め,例にはなるべく生徒になじみのある場所を使 う。 ③ 発表の準備中に,班ごとの机を回り英語を正し く使えているか確認する。 楽しんで活動していた。聞く側も,後で指名され るということもあり,ある程度の緊張感を持って 発表に耳を傾けていた。 ③ グループ活動では応用力を見せた班があった一 方で,なかなか作業が進まない班もあった。作業 ④ が進まない班には ALT に入ってもらい,英語で の活動を促した。 ④ 生徒の感想の要旨を次に抜粋する。 ア よかった点 ・自分で使えた表現は聞き取りもできたこと。 書く,読む,話す,聞くという多方面からのア プローチにより内容の一層の定着を図る。 ⑤ 班ごとの発表の際は,次の五つの観点で評価す ることをあらかじめ告げておく。 ア 英語(語彙や表現)の正確さ イ ウ エ オ 発音の正確さ 声の大きさ 流暢さ 班の協力 ・班のみんなで協力できたこと。 ・外国などで,いつか役に立ちそうだった。 ・英語で話してみるのも楽しいと思えたこと。 ・まじめにすると結構楽しかったこと。 特に,オ「班の協力」については,発表のとき - 14 - ・何回もやったことは結構覚えられたこと。 イ 気を付けた点 ・いろいろな活動に積極的に参加したこと。 ・習った表現を使うようにしたこと。 ・相手に通じるよう大きな声ではっきり話したこ 習した内容が使えることを意識し,以後の学習に 生かすことができる。 ② 料理づくりに必要な語彙や表現を習得し,一つ のまとまりある文章を作り,プレゼンテーション と。 ・発音とスペルに気を付けたこと。 (5) 指導を終えて ① 聞き取りの苦手な生徒にとっては,建物の場所 を探すリスニングは困難だったようである。口頭 できる。 ③ グループ活動を通して,他のメンバーから新し いアイデアを知ったり,互いに協力したりするこ とが学習に役立つことが分かり,積極的に活動に 参加できる。 での説明に加え,スクリプトを配るなどの補足の 必要性を感じた。 ② 基本的な語や表現の練習を繰り返した後,自分 で文を作ったり聞き取ったりする際にそれらの語 や表現を使えたことは,特に今まで英語に苦手意 (2) ① ② ③ ④ 識を持っていた生徒に自信を与えたようである。 今後は,更に応用や発展の方法を工夫していきた い。 (6) 検証 ① 生徒が受け手や送り手となって情報や考えなど (第1時) ア グループで association game (連想ゲーム)を 行う。 (ア) 4∼5人のグループに分けさせる。 (イ) 一人に一枚ずつ料理の絵を描いたカードと白紙 を伝え合うことを活動の中心としているか。 →している。送り手と受け手の間に情報のギャッ プを設けるように配慮している。班ごとの発表で は,発表する側が送り手であり,聞く側が受け手 になっている。 を渡し,カードは他の班員に見せないようにさせ る。 (ウ) 班の中で一人ずつ自分の絵についてのヒントを 英語で言わせる。時間は一人2分以内とする。 (エ) 他の班員は想像する料理を白紙に書いておき, 指導の概要 対象 第1学年 科目 オーラルコミュニケーションA 教材 プリント教材 指導の流れ ② 生徒が情報や考えを創造する場面があるか。 →ある程度ある。限定された範囲ではあるが,班 ごとに独自の情報を選ぶ余地がある。 ③ 具体的な言語の使用場面を設定しているか。 →している。「道案内」の場面である。 全員が終わってから答え合わせをさせる。正解が 一番多い者が勝者となる。 イ プリントを用いて料理に関する表現を説明する (調理方法,調味料名,分量の数え方 ,道具名)。 (第2時) ④ ウ 正確さへの配慮がなされているか。 →なされている。班ごとの発表では,事前に評価 される項目を生徒に伝えており,その中に正確さ を含めている。 ⑤ その他 イの内容を音読させ復習させる。ア・イの内容 を使い,プリントの絵を見てその調理法や料理名 を当てる練習をさせる。 エ 4こまの調理手順の絵(図4)を見せて,それ を教師が説明する。次の英文の( )に適語を聞 き取って入れさせる。 (英文)Howdoyoumakeit? 《listening》 Fried egg(目玉焼き)の作り方の説 明を聞き,( )を埋めなさい。 また料理の手順どおりに絵の下に番号を付けな 学習した表現を使ったプレゼンテーション −料理番組を作ろう Cooking Show − さい。 First, ( ) the pan . Second, ( ) some oil in the pan. Next, put two ( ) in the pan. Finally, ( ) them slowly. 6 →ペアワーク・グループワークを取り入れてお り,特に,グループワークでは,協力することを 目標の一つにしている。班の中で協力して工夫し たり,積極的に参加できたりしている。 (1) 学習目標 ① 自分の言いたいことを表現するために授業で学 - 15 - 《Exercise 》 French toast (フレンチトースト) の作り方について,( )に入る適語を下 から選びなさい。また,料理の手順どおりに絵の 下に番号をつけなさい。 キ First, ( ) the egg in a bowl. Second, ( )the milk to the egg and ( ) them together well. Third, ( ) one slice of bread in the mixture . Finally, ( ) the butter in a pan and ( ) the breadforthreeminutes. ケ That's all. The best way to eat French toast is with butter and syrup. 【 mix/heat/add/soak/put/fry/melt/break 】 別の4こまの調理手順の絵を見て,それを説明 (ウ) 好きな料理を一つ決めさせ,説明の仕方を考え させる。独創性も評価することから想像上の料理 も認めることを伝える。 (第4時) コ レシピを英文で考えさせ,班ごとに巡回して表 する英文の( )に各自で適語を入れさせる。 カ 五つの英文から成るレシピを読み,どんな料理 ができるか考えさせる。 (第3時) 現や英文が正しく使えているか確認する( 図5)。 サ レシピができたら,色ペンなどを使って一こま ずつ絵に描かせる。 シ 各班の中で担当パートを決め,通し読みの練習 オ 図4 実際の料理方法の手順が英語で示されているも のを日本語に訳させる。 ク オ,キで扱った内容を参考に,材料等が示され た料理についてレシピを各自で作らせる。 Cooking Show の手順などを説明し,準備させ る。 (ア) 評価の仕方を説明する。生徒自身も評価する側 になることも伝えておく。 (イ) 4∼5人の班に分ける。 4こまの調理手順の絵 - 16 - をさせる。 机間巡視し,発音等で気になるところを指導す る。 (第5時)(本活動) ② このクラスではグループ活動をするのは初めて だったが,想像上の料理や説明文を考えるのに知 恵を絞り,和気あいあいとしたムードで準備を進 めていた。中には絵を入念に仕上げたり,読み方 ス セ Cooking Show を発表させる。 (ア) 各班ごとで前に出て,発表させる。 (イ) 聞く側には,自分たちの発表も含めて,各班の 評価をさせる。 (ウ) 各班の評価と優秀賞の発表を次回行うことを告 の指導をうけるため放課後遅くまで残る生徒もい た(図6)。 ③ 生徒の感想 ア よかった点 ・よく出てきた単語は使えたし,覚えることが0 げる。 (3) 指導上の留意点 ① 次の授業時にコメントとともに教師と生徒全員 からの評価を総合したものを発表した。 ② 班の発表に際しては,あらかじめ次の五つの観 できたこと。 ・自分たちでおいしそうな料理を考えるのが楽し かった。実際みんなで作ったらもっと楽しいと 思う。 ・自分で文を考えることで単語を覚えられたこと 点で評価することを説明する。 ア 分かりやすさ,絵の工夫 イ 英語の的確さ ウ 声の大きさ エ 独創性 ・英文を自分で作るのが楽しかった。 イ 気を付けた点 ・スペルと発音を正しくするようにしたこと。 ・班の人と協力するようにしたこと。 ・人に伝えるときは大きい声を出すようにしたこ オ 班の協力 (4) 生徒の反応 ① 最初の association game では,英文が難しい場 合は英単語やジェスチャーも認めていたので,思 い付く言葉で説明をしていたが,なかなか言いた い英語が出ずに教師に質問することが多かった。 図5 と。 ・人の発表や話をよく聞いたこと。 ・間違えないようにプリント等をよく見返したこ と。 ④ 生徒の作品例(図5,6) (5) 指導を終えて CookingShow の発表原稿(生徒作品) - 17 - 図6 Cooking Show 発表用の絵(生徒作品:実物は色付き) ① association game では,説明する英単語を十分 に知らないために言葉に詰まる生徒もいたので, 生徒の答えは日本語でも正解としたが,後で英語 名を紹介した。事前に関連した単語をヒントとし て出すなどの工夫をしたい。 →ある。生徒は,料理・レシピを基に選択でき, 情報を創造できる。想像上の料理の場合は,さら に創造する情報が増える。 ③ 具体的な言語の使用場面を設定しているか。 →している。「プレゼンテーション」の場面であ ② Cooking Show に向けて居残りをして準備する生 徒が半数ほどいたことから,準備時間をもう少し 確保してやるべきだったと思う。 ③発表では自分たちも評価するということから,聞 く側と発表者との間に程よい緊張感があった。ま る。 ④ 正確さへの配慮がなされているか。 →なされている。発表前の段階(第4時)で,指 導されており,生徒の感想から,生徒が正確さに 注意を払っていたことが分かる。 た評価規準を詳しく説明したことで,各班で項目 を確認しながら準備が進められていた。 ④ 発表では絵を描くのを楽しんでいた生徒も多く 見受けられたが,実際に小物を用意したりして臨 場感あふれる show にするなど工夫していきた ⑤ い。 (6) 検証 ① 生徒が受け手や送り手となって情報や考えなど を伝え合うことを活動の中心としているか。 →している。発表する側から聞く側へと情報が流 7 れる。すべての班が発表する。発表する側が送り 手であり,聞く側が受け手である。すべての生徒 に送り手になる機会があり,受け手になる機会も ある。 ② その他 →生徒が発表のために絵などを準備するなど,相 手に伝わりやすい発表を目指したことが分かる。 また,班の協力も意識してできている。 日本を紹介するスピーチプロジェクト (1) 学習目標 ① 日本の生活習慣や文化の中から,自分たちの関 心のあるテーマを一つ選び, ALT やクラスの他 の生徒に分かりやすく説明できる。 ② グループ活動を通して,他のメンバーから新し いアイデアを知ったり,互いに協力したりするこ とが学習に役立つことが分かり,積極的に活動に 生徒が情報や考えを創造する場面があるか。 参加できる。 - 18 - ③ 発表を通して自分の英語が相手に伝わるかどう かが分かる。 (2) 指導の概要 ① 対象学年 第2学年 (4) 生徒の反応 ① スピーチ発表の具体例 ・バレンタインデー ・お正月 ・ちゃぶ台 ・七夕 ・相撲 ② ・風呂 ・大晦日 ・お花見 ・温泉 ・三三九度 ・演歌 ・お菓子 ・こたつ ・節分 ・お月見 ・ひな祭り ② ビデオを見た後の感想 ・ビデオに撮られるときは大変緊張したが楽しか 教材 基本英語の発音(一橋出版) Let's Talkabout Japan (数研出版) ③ 指導の流れ ア 2学期期末考査に向けて「分かりやすいスピー チ発表」を目標に準備をさせる。 み そ か イ ウ ・すしバー ・和服 ALT と JTL でスピーチ発表のモデルを演じる 。 発表の内容が聞き手に伝わりやすいポイントは 何かを考えさせる。 エ 毎回発音記号を説明したプリントを配り,授業 の最初15分間は音声指導をした後,各グループで った。 ・やりたいテーマはすぐ決まったが英文を作るの が難しかった。 ・小道具作りは楽しかった。 ・もう少し動作を工夫すればよかった。 発表の準備をさせる。 ・発音記号の説明は日本語で行う。 ・毎回 ALT の後について発音の練習をする。 ・特に日本人が苦手な発音はビデオを見せる。 ・テープに自分の発音を録音させ,聞かせる。 ・感情表現が足りなかった。 ・せりふが覚え切れなくて何度も取り直しをした がとても楽しかった。 ・衣装や小道具を工夫したのがよかった。 ・班のみんなとよく協力してできた。 オ 「外国人に日本文化を紹介する」という設定で 各グループの発表テーマを決めさせる。 カ グループ発表の留意点を伝え,期日までに準備 ができたところから録画をする。 キ ビデオ上映の日は,発表を5段階で相互評価さ ・他の班の発表を見るのはとても楽しかった。 ・コント風にアレンジしてあったり,会話がよく できている班があって感心した。 ・もっと時間を掛けてよい作品にしたかった。 ・動作があって声が大きいのが分かりやすかっ せる。 (グループ発表の留意点) ・ 各グループ3分∼5分の発表時間とする ・ 2人∼3人までの会話形式とする ・ わかりやすいように小道具を必ず用意する た。 ・みんなの個性がよく出ていて,テーマが偏って いなくて見ていて面白かった。 ・発音がよい人がいてびっくりした。 ・もう一度やりたい。 ・ 各グループの発表をビデオに録画する ・ 発表はお互いに評価し合う (3) 指導上の留意点 ① 定期的に音声面の練習を入れることで,声を出 す練習を増やした。 (5) 指導を終えて ① 人前で発表することの恥ずかしさが必ずあるの で,内容の充実以上に,生徒が楽しんで取り組め るよう配慮した結果,生徒の取り組む態度に改善 が見られた。 ② 積極的に取り組むよう指導し,スピーチ発表点 を学期の評定に加味した。 ③ 教室内だけでなく,自由に外へ出て発表するよ う促した。 ④ 1学期に行った別のプロジェクトでは,生徒が ② 恥ずかしがって消極的だったという反省から,不 自然さや恥ずかしさを減少させるために,楽しみ ながら取り組めるよう工夫した。 ⑤ 最終的にビデオに録画し,生徒同士の相互評価 だった。 ④ ビデオに録画することで,生徒が自分の英語の 表現力を客観的に判断するよい機会となった。 ⑤ コミュニケーションにおいてどんな能力が重要 教室内で作られた原稿を読むという不自然さを できるだけ減らすため,生徒自身に工夫させたと ころ,生徒は工夫することを楽しんでいた。 ③ 英語の学力が不足している生徒でも,班の中で 協力することで充実感を感じることができたよう ができるようにした。 なのかを生徒それぞれが体験を通して感じること - 19 - ができたようだった。 発音指導はどうしても単調なものになりがちな のでもっと工夫が必要である。 ⑦ スピーチの発表には,音声面だけでなく,文法 きることから,よりよいものにしようという意欲 が高まったことが分かる。さらに,グループ内で の協力が意識してできている。 ⑥ Ⅴ おわりに 力,表現力などを含む総合的なコミュニケーショ ン能力が現れる。評価の仕方や各能力を測定する 目安を研究する必要がある。 ⑧ 日本人同士の間での分かりやすさと面白さに は,日本人独特のものがあり,その背景を踏まえ コミュニケーション活動を行う中でも,文法指導 の観点(すなわち,正確さを大切にすること)を取 り入れれば,正確さの向上に資するだけでなく,コ た発表になる点は避けられない。 (6) 検証 ① 生徒が受け手や送り手となって情報や考えなど を伝え合うことを活動の中心としているか。 →している。発表する側から聞く側へと情報が流 ミュニケーション活動を行うことで,前述の「知識 」 や「使用法」が生きて働く力となり,長く保持され る力となると考える。さらに,生徒は,コミュニケ ーション活動を行ってみて,情報や考えのやり取り には文法の能力が必要であるということが分かり, れる。すべての班が発表する。発表する側が送り 手であり,聞く側が受け手である。すべての生徒 に送り手になる機会があり,受け手になる機会も ある。 ② 生徒が情報や考えを創造する場面があるか。 更に学習意欲が高まることも期待できる。 コミュニケーション活動は,学習指導要領解説で 基本的な条件が示されているとおり,メッセージの 授受を中心とするものである。したがって,それは , 本来的には form-focused(形式を中心とするもの) →ある。生徒は,テーマの選択ができ,発表内容 の情報を創造している。 ③ 具体的な言語の使用場面を設定しているか。 →している 。「プレゼンテーション」の場面であ る。また,ビデオ撮影をすることで,擬似的では ではないのであるが,生徒の側から見ればメッセー ジの伝達が中心である,つまり,活動中の生徒の意 識はメッセージの伝達にある,ということで,教師 が活動を構築する際に文法を取り入れる余地がない ということではないと考える。生徒は,活動の中で , あるが「テレビ」の場面にもなっている。 ④ 正確さへの配慮がなされているか。 →なされている。発表前の段階で,発音の指導が なされ,ビデオを見る中でより正確な発音を客観 的に見ることができている生徒もいる。 あるメッセージを伝えるという目的のために言語形 式を選択する際に,それまでに習得している言語形 式のうちから選択を行うわけである。しかし,教師 が使用させたいと思っている言語形式を選ぶように 仕組まれている活動が本研究でねらっている活動で ⑤ あり,それぞれの教師の腕の見せ所であると考えて いる。 その他 →ビデオ撮影することで,自分の発表も聞く側と して参加することができる。また,撮り直しがで ○ 引用文献 1) 文部省: 高等学校学習指導要領解説外国語編英語編,開隆堂出版,p.11,1999 2) 片山嘉雄ほか編:新・英語科教育の研究,大修館書店,p.307,1994 3) 新里眞男:実践的コミュニケーション能力の育成を目指した英語教育の展開, 「中等教育資料」平成12年 1月号,文部省,p.69,2000 4) Ellis, Rod:SLA Research andLanguage Teaching, Oxford UniversityPress , pp.72-75,1997 5) 6) 島英幸:コミュニケーションにつながる文法指導,大修館書店,p.14,1995 島英幸:実践的コミュニケーション能力のための英語のタスク活動と文法指導,大修館書店, p.14, 2000 7) 前掲書2),p.208 8) 新里眞男ほか:座談会「英語Ⅰ・OCの授業はどう変わる」,「英語教育」別冊 Vol.48 No.13,大修館書 - 20 - 店,p.25,2000, 9) 新里眞男:実践的コミュニケーション能力の育成を目指した英語教育の展開, 「中等教育資料」平成11年 12月号,文部省,p.71,1999 10) Ur, Penny :Grammar Practice Activities: A practical guideforteachers, CambridgeUniversity Press,p.5, 1988 11) 前掲書1),p.18 ○ 参考文献 ・ 松川禮子:小学校に英語がやってきた,アプリコット,pp.153 -155,1997 ・ 新里眞男:実践的コミュニケーション能力の育成を目指した英語教育の展開, 「中等教育資料」平成11年 5月号∼平成12年6月号,文部省,1999-2000 ・ 新里眞男編著:改訂高等学校学習指導要領の展開 外国語科編,明治図書出版,2000 ○ Webページ ア ) 英 語 指 導 方 法 等 改 善 の 推 進 に 関 す る 懇 談 会 報 告 , ( 2 0 0 1 ) , 文 部 科 学 省 , ( http://www . mext. go. jp/b_menu/houdou/1301010110 / / b.htm#u) - 21 - 平成12・13年度岡山県教育センター個人研究 高等学校英語協力委員会 協力委員 田 中 み さ よ 岡山県立玉野高等学校教諭 坂 岡山県立勝山高等学校教諭 手 祐 子 (前岡山県立岡山大安寺高等学校教諭) 嶋 日 奈 子 岡山県立勝間田高等学校教諭 (前岡山県立総社南高等学校教諭) なお,岡山県教育センターでは,次の者が本研究に当たった。 大 橋 典 晶 教科教育部指導主事 平成14年2月発行 高等学校英語における 実践的コミュニケーション能力の育成 に関する研究 編集兼発行所 〒703-8278 岡山県教育センター 岡山市古京町二丁目2番14号 TEL (086)272-1205 FAX (086)272-1207 URL http://www. edu-c. pref. okayama. jp/
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