REPORT_43 - 一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構

(財)無人宇宙実験システム研究開発機構
2010/3 MARCH
NO.43
SERVIS-2軌道上飛翔図
宇宙産業の
競争力強化に向けて
経済産業省 航空機武器宇宙産業課宇宙産業室長
金 子 修 一
昨年以来、三菱電機による気象
衛星ひまわりの受注、三菱重工業
による初の海外衛星(KOMPSAT
-3)打上受注、H-2Bロケット試験機
打上及びHTVのミッション成功な
ど、我が国の宇宙開発における明
るい話題が続いています。これら
は、日本の宇宙技術・信頼性が世
界の宇宙先進国と比べても決して
遜色ないレベルに達してきているこ
とを示すものと言えるでしょう。
しかし一方で、こうした日本の技
術力が必ずしも産業競争力に結び
ついているとは言えないことに、私
は強い危機感を抱いています。近
年、宇宙分野における国際競争は
激化の一途を辿っており、衛星の
利用は、もはや先進国だけが持つ
高級品ではなく、新興国にも広がり
を見せるものとなりました。特に、
自国では衛星開発を行えない新興
国の衛星市場は今後有望視されて
おり、すでにEUや中国等では積極
的な売り込みが展開されています。
タイ、ベトナム等のアジア諸国の衛
星受注をフランス企業が獲得するな
ど、我が国が今後国際市場に参入
していくためには、一刻の猶予もあ
りません。我が国は、
「売れる」技
術や実利用につながる衛星情報シ
ステムの開発を進め、官民一体と
なって国際市場開拓に取り組まな
ければなりません。こうした状況か
ら、経済産業省としても、衛星の
小型化等による国際競争力強化を
図るとともに、初めての官民合同で
アフリカにミッションを派遣し、日
本の宇宙技術を売り込むなど、海
外展開に向けて積極的な活動を始
めているところです。
(財)無人宇宙実験システム研究
開 発 機 構においては、 今までに
SFU、EXPRESS、USERS、 高
機能ロボットハンド、SERVIS-1の
プロジェクトを成功させてきており、
今後も日本の宇宙産業を支える機
関として期待されています。経済産
業省が国際競争力強化の1つとして
進める小型衛星プロジェクトにおい
−−
ても、USEFの持つ技術の蓄積は
重要な役割を果たしています。衛
星市場では、利用者の求める「低
コスト・短納期・高性能・高信頼」
を実現する手段として、小型衛星
に対する需要が高まりを見せていま
す。特に市場として有望視されてい
る新興国では、調達する衛星の大
半は小型衛星なのです。今後も、
小型衛星の開発を推進し、シリー
ズ化や設計の標準化、部品の共通
化により、低コスト化や信頼性の向
上を図るとともに、日本の得意分野
である小型技術や民生電子部品を
活用していくことにより、海外市場
開拓を進める必要があるため、こ
の領域でのUSEFが果たす役割に
も大きな期待をしております。
宇宙は、世界中の人々の生活や
様々な産業活動に質の高いサービ
スを安定的に供給するインフラとし
て、その利用が進んでいます。高
度な技術ポテンシャルを持つ日本
の宇宙産業が、宇宙先進国や新興
国において、宇宙インフラをシステ
ムとして供給する位置づけを得ら
れるよう、産学官の関係者が時に
競争し時に協力しながら一丸となっ
て取組むことが重要です。経済産
業省としてもそのような将来像を現
実のものとするため、微力を尽くす
考えです。
日本の衛星産業の国際競争力向上に向けて
日本の宇宙産業を取り巻く政策
環境は、制度的には2008年の宇宙
基 本 法、2009年の宇宙基 本計画
の策定と実施で大きく変化し、内
容的にも従来からの研究・開発支
援、公共政策的なものから宇宙の
利用拡大へ、また、グローバルな
競争環境下での宇宙産業の国際競
争力強化の方向、等も明らかにさ
れてきた。
US E Fは、 これを受 け 米 国の
ヒュートロン社と連携して宇宙産業
の国際競争力向上に向けての在り
方、等について専門的な検討を重
ねて、2009年12月9日、第7回宇宙
産業シンポジウムを開催し、今後
の日本の衛星産業を中心とする宇
宙産業の現状、課題、発展の方向
について説明し、参加者間での情
報共有と問題意識の醸成、取り組
むべき発展戦略の方向について理
解が得られた。
その後、小職が同シンポジウム
のパネルで報告した問題提起の内
容について、企業論上のイノベー
ション・ビジネスモデル・グローバ
ルマーケティングに関するフレーム
ワークである「ビジネスプロセスア
プローチ」をベースとし、主に欧州
の先進的な企業の事例を対比した
政策提言型の「日本の衛星産業の
競争力向上に向けての論点」ペー
パーを策定した。国家的、国民的、
グローバルな役割が大きいにもか
かわらず、産業発展上の課題の多
い日本の衛星産業について、その
グローバルな競争環境下での競争
力向上の在り方、利用拡大の方向、
産業発展の方向について披露して、
今後の日本の衛星産業の発展戦略
の方向を明らかにしたい。本ペー
パーの内容は多岐にわたるので、
今回のUSEFレポートでは、その内、
①USEFの技術開発の系譜と今後、
②ビジネスプロセスアプローチ、③
日本の衛星産業の対応の方向の 3
点に絞って概要を紹介する。
1.USEFの技術開発の系譜と今後
⑴ 基本認識
USEFは設立以来、宇宙産業の
分野における日本の社会のニーズ
ᖺ
ᖺ
ᖺ௦
ᖺ
ᖺ௦
ᖺ
ᖺ௦
ᖺ௦
+L0(26
6SDFH)O\HU8QLW
㧗ᗘ࡞࣐ࢾ࣮ࣂ⬟ຊ
」ᩘ⾨ᫍ㐃ᦠ
ḟୡ௦ᆺ↓ேᏱᐂᐇ㦂ᶵ࣭⮬ᚊᖐ㑏
6(59,6
(;35(66
⮬ື⮬ᚊ࣭࡝ࡇ࡛ࡶ㐠⏝
86()㐠⏝⟶ไࢭࣥࢱ࣮
᪂࢔࣮࢟ࢸࢡࢳࣕ
86(566(59,6㐠⏝タഛ
$5+
$61$52
(769,,ᦚ㍕࡟ࡼࡿᏱᐂ⏝ࣟ࣎ࢵࢺࣁࣥࢻᐇ㦂
$61$52➼ᑠᆺ⾨ᫍ⥅⥆
ᑠᆺᆅ⌫ほ ᶵ
86()ᥦ᱌ཪࡣ௚ᶵ㛵࣭Ẹ㛫ᥦ᱌
ᵓ᝿ཬࡧ௒ᚋࡢືྥ
௚ᶵ㛵㛤Ⓨࣉࣟࢪ࢙ࢡࢺ
✵୰Ⓨᑕ
ᑠᆺ⾨ᫍᡴୖࡆࣟࢣࢵࢺ
ᐇ⥺ࡣ㛤Ⓨࣉࣟࢪ࢙ࢡࢺ
㉸ᑠᆺ⾨ᫍ㛤Ⓨᨭ᥼
༶ᛂ໬ᢏ⾡࡟ࡼࡿ
ప㧗ᗘᑠᆺ⾨ᫍ
✵୰Ⓨᑕ
✵୰Ⓨᑕ㛵㐃㛤Ⓨࡢ⥅⥆
࣐ࣝࢳᡴୖ
Ⅼ⥺ࡣ)6ࠊㄪᰝࠊせ⣲ᢏ⾡㛤Ⓨ➼
ḟୡ௦኱ᆺ㟼Ṇ⾨ᫍ࡟ࡼࡿ
㏻ಙࠊẼ㇟ࠊ᪩ᮇ㆙ᡄ➼
$6(5‽ኳ㡬
6636㛵㐃ㄪᰝࠊᢏ⾡㛤Ⓨࠊࢩࢫࢸ᳨࣒ウ
6636
6636㛵㐃㛤Ⓨࡢ⥅⥆
Ᏹᐂኴ㝧Ⓨ㟁
86()
௚ᶵ㛵
⤫ྜ໬ప㧗ᗘ⾨ᫍ⩌࡟ࡼࡿ
ᆅ⌫ほ ࣭⛉Ꮫほ ࣭Ᏻ඲Ᏻᚰ
㌶㐨ୖᐇド⥅⥆
Ẹ⏕㒊ရᢏ⾡㌶㐨ୖᐇドᶵ
⮬ᚊᖐ㑏ᆺ↓ேᏱᐂᐇ㦂ᶵ
86()ᐇ᪋῭ࡳཪࡣணᐃ
ᖺ௨㝆
+L0(26ᐇᶵ
86(56
Ᏹᐂᐇ㦂࣭ほ ᶵ
を満たすための「イノベーション」を
継続的に実施し、当該のプロジェ
クトの目的達成に適用するのみなら
ず、その後継のプロジェクトに引継
ぎ、さらに発展させて来ている。
⑵ 技術的なテーマの推移
これまでの技術開発テーマは、
大きく以下の3点で、期間は重なり
つつも推移して来ている。
1. 微少重力環境利用
2. 民生部品技術の宇宙転用による
宇宙の低コスト化のための宇宙
実証機会の提供
3. 小型高性能衛星とそのミッション
の実用化
⑶ 今後の主要分野別開発予定
1)低高度衛星
この分野における「イノベーショ
ン」は、実用「小型衛星」への取組
み、
「バス標準」の導入等の衛星の
アーキテクチャの改革を通じ、中
小企業の参入の促進や、さらには
グローバルな協力を模索するしくみ
作りに立入っていく。
2)統合化低高度衛星群
今 後 は 単 一 の 衛 星で は なく、
86(56฼ά⏝᥎㐍
↓ேᏱᐂᐇ㦂ࢩࢫࢸ࣒࡟ࡼࡿࠊࡼࡾ㧗ᗘ࡛⡆౽࡞Ᏹᐂ⎔ቃ฼⏝
Ᏹᐂࢫࢸ࣮ࢩࣙࣥࡢᘓタ࣭⥔ᣢ࡜฼⏝
+79
㟼Ṇ⾨ᫍ㛤Ⓨ➼
,66ࡼࡾࡢ⮬ᚊᖐ㑏
⥅⥆
ప㧗ᗘᆅ⌫ほ ࠊ⛉Ꮫほ ⾨ᫍ㛤Ⓨ➼
ࣟࢣࢵࢺ㛤Ⓨ➼1ࠊ+,,,➼ࡢᾮయࣟࢣࢵࢺ⣔⤫
ࣟࢣࢵࢺ㛤Ⓨ➼/ࠊ0,,,9➼ࡢᅛయࣟࢣࢵࢺ⣔⤫
㟼Ṇ㌶㐨࡛ࡢ
6636ᐇド࣭ᘓタ
⥅⥆
ḟᮇᅛయ
⥅⥆
ḟୡ௦ࣟࢣࢵࢺ࣭Ᏹᐂ 㑏ᶵ
Ᏹᐂ 㑏ᶵ
ᅗ㸯
86()࡟࠾ࡅࡿᢏ⾡㛤Ⓨࡢ⣔㆕
−−
100kg級やそれ以下の大きさを含
高品質、短納期ではあるが、これ
め、超小型(50㎏級)から大型の
は 1 時点の表層の競争力でしかな
複数の衛星が機能分担を含む連携
い。
をして社会のニーズ(環境保全、災
このため、衛星企業・産業のダ
害監視、
安全安心、等)に応える「統
イナミックな競争力をその深層に
合化低高度衛星群」を見据えて活動
亘って分析するため、今回のような
を行っていく。
企業のダイナミックなビジネスプロ
3)
大型静止軌道衛星
セスに着目したフレームワーク的な
この技術については次世代衛星
「ビジネスプロセスアプローチ」を体
基盤技術開発プロジェクトにおい
系化した。
て要素技術の「イノベーション」を
これによるとそのダイナミックで
行っており、準天頂衛星に搭載して
総合的な競争力拡大のためには、
実証する予定。
イノベーション(新製品・サービス
4)
宇宙太陽光発電システム
開発)能力をコアとし、ビジネスモ
1993年よりMETIの政策に従い
デル形成・運用(差別化し利益の
調査と研究を実施してきており、そ
出る作り方・売り方の仕組み)能力、
の後JAXAとも連携をしつつ調査、
グローバルマーケティング(顧客獲
システム検討並びに技術開発を実
得の仕組)能力の3つの能力のスパ
施し、実現にむけての技術ロード
イラルな向上が必要で、これらが
マップを設定した。現在宇宙基本
満たされれば顧客獲得・持続・拡
計画にも盛込まれ、今年度より開
大による市場成功に向かうと考えて
発プロジェクトとして実現に向けて
いる。
(図2参照)
の技術開発を実行する。
(図1参照)
3.日本の衛星産業の対応の方向
2.ビジネスプロセスアプローチ
この「ビジネスプロセスアプロー
ヒュートロン 社 の 競 争力 指 数
チ」で日本の衛星産業の競争力分
(SCI)アプローチは、宇宙産業全
析を行ったが、これによって得られ
体について、その構成要素を投入
た日本の衛星産業の対応の方向を
要素である人的資源と産業基盤、 以下に記述する。
これに方向性と支援を行う政府の
⑴ 基本認識
政策と見ており、高い 2 つの投入
①これまでの日本の衛星・宇宙開
水準と政府の高いレベルの方向性
発 が、JAXA主導で宇宙科学、
と支援がある国の競争力が高いと
公共政策目的の衛星開発 が主
みなす。
で、主にH2Aロケット搭載 用の
また、企業論では企業の競争力
複合ミッションの大型衛星開発
は一般に、製品の低価格(コスト)、
を実施してきている。
Ᏹᐂ௻ᴗ࣭⏘ᴗࡣࠊᨻᗓ࣭኱Ꮫࡢ㐺ษ࡞㛤Ⓨᨭ᥼ࢆᚓ࡚ࠊ⮬ࡽࡢ࢖ࣀ࣮࣋ࢩࣙ
ࣥ⬟ຊࢆࢥ࢔࡜ࡋ࡚ࠊࣅࢪࢿࢫࣔࢹࣝᙧᡂ࣭㐠⏝⬟ຊࠊࢢ࣮ࣟࣂ࣐࣮ࣝࢣࢸ࢕
ࣥࢢ⬟ຊࢆࢫࣃ࢖ࣛࣝ࡟ྥୖࡉࡏࠊࡑࡢ➇தຊࢆᣑ኱ࡉࡏࡿ࢔ࣉ࣮ࣟࢳ
ᨻᗓ
࣭
බⓗᶵ㛵
Ᏹᐂ⏘ᴗ࣭௻ᴗ
㛤Ⓨᨭ᥼
㛤Ⓨᨭ᥼
࢖ࣀ࣮࣋ࢩࣙࣥ⬟ຊ
㸦᪂〇ရ࣭ࢧ࣮ࣅࢫ㛤Ⓨ㸧
኱Ꮫ
࣭
◊✲ᶵ㛵
ᨭ᥼࣭㐃ᦠ
㸺ᅜෆࢭࢡࢱ࣮㸼
ࢢ࣮ࣟࣂࣝ
࣐࣮ࢣࢸ࢕ࣥࢢ⬟ຊ
ࣅࢪࢿࢫࣔࢹࣝᙧᡂ࣭
㐠⏝⬟ຊ
㸦㢳ᐈ⋓ᚓ࣭ᣑ኱㸧
㸦ຠ⋡ⓗࢧࣉࣛ࢖ࢳ࢙࣮ࣥᙧᡂ㸧
ࣉ࣮ࣟࣔࢩࣙࣥ
㸦㧗ಙ㢗ᛶ࣭పࢥࢫࢺ࣭㧗ရ㉁࣭▷⣡ᮇ㸧
ࣉ࣮ࣟࣔࢩࣙࣥ
ࣉ࣮ࣟࣔࢩࣙࣥ
㸺ᾏእࢭࢡࢱ࣮㸼
ᾏእ㢳ᐈ
࣭ၟᴗࢭࢡࢱ࣮
࣭බⓗࢭࢡࢱ࣮
㈍኎
ᅜෆ㢳ᐈ
࣭ၟᴗࢭࢡࢱ࣮㸦ᨺ㏦࣭㏻ಙ㸧
࣭බⓗࢭࢡࢱ࣮
ᾏእᏱᐂ௻ᴗ࣭⏘ᴗ ࣉ࣮ࣟࣔࢩࣙࣥ
ᅗ㸰 ࣅࢪࢿࢫࣉࣟࢭࢫ࢔ࣉ࣮ࣟࢳ
−−
ࢫࣃ࢖ࣛ ࣝ
࢔ࢵࣉ
これまで、欧州宇宙機関がこ
れら開発と並行して行ってきた産
業化、衛星の小型化・高機能化、
グローバルマーケティング支援の
取り組みが行われてこなかった。
②このため、需要不足で製造メー
カーの工場の稼働率維持が出来
ず、政府機関の予算要求と開発
仕様提示、JAXAの受注とメー
カーへの発注という公共事業型
の産業構造で、昨今の予算漸減
に従って、衛星産業の売上の減
少がみられている。
③他方、欧州の宇宙機関では、小
型化に向けたバス開発とアルファ
バスのように商業通信衛星のバ
スの大型化に向けた開発にも支
援している。ESAの組織運営
では、産業界との人事交流、メー
カーへの開発資金支援、等競争
力強化への取り組みを組織的に
実践。
④これからの新体制での宇宙開発
利用では、これまでの宇宙開発
システムの改革を行いつつ、並
行して衛星・宇宙産業の産業化、
衛星の小型化・高機能化、グロー
バルマーケティング支援の取り組
みを至急、大幅に拡大していく
必要がある。
⑤これらにより、欧州、等の宇宙
産業からの遅れを取り戻し、ま
た、中国、インド、韓国、等と
の競争力上の優位を確保するた
め、国の競争環境整備の拡充、
衛星産業の競争力の水準と事業
内容を欧州並みにレベルアップ
出来ていることが望まれる。
⑵ 対応の方向(提言)
具体的な日本の衛星産業の競争
力強化に向けての対応の方向を以
下に提言として10点ほど整理する。
これら提言内容については、USEF
として出来るものから順に取組んで
行きたい。
(イノベーション)
① 大学 等との連 携,等による技 術
ギャップ解消、人材育成、人材
供給。
②政府の開発の方向性の明示と適
切な開発資金支援。
③顧客の用途別に、バスの規模別
のラインナップ化。 特に現 在のASNARO衛星に加
え、100㎏級のバス・ミッション
の開発。
④複数衛星によるコンステレーショ
ン(機能の強化・全球化)、フォー
メーション(新機能)技術の開発
⑤宇宙インフラの構築 (静止デー
タ中継衛星、データベース、等)
(ビジネスモデル)
⑥利用価値提案と需要創造
ⅰ従 来の公共支出モデルに加
え、企業・個人利用のサービ
スモデル・利用コミュニティー
創出
ⅱ欧米のアンカーテナンシーのよ
うな官民協力による公的需要
創造、リモートセンシング産
業 振 興へ の国の支 援( 独 の
RapidEye、Infoterra、等)
⑦重要部品(センサー等)の国産化
⑧バス標準の確立・進化とグロー
バル化に向けた取り組み とその
中でのモジュール開発による中
小企業の参入拡大。
(グローバルマーケティング)
⑨顧客ターゲット地域・国・相手と
それぞれの要求機能と顧客満足
要因の把握。
⑩顧客が民間、政府・公的機関、
大学、地域支援スキーム・機関か。
ⅰ対民間顧客: ・利用価値の提案、商業対応
ⅱ対政府・公的機関・大学顧客:
・利用価値の提案、ODA対応、
多様な連携・官民協力
ⅲ対地域支援機関・グローバル
協力スキーム:
・東アジア規模での衛星情報
利用スキーム・機関の創設
検討
・例えば、英SSTLの100㎏衛
星による グローバルな災害
監視コンステレーションフラ
イトに準じた日本主導のグ
ローバル協力スキームの検
討
(三本松 記)
SERVIS活動報告
宇 宙環 境信頼 性 実 証システム
(SERVIS : Space Environment
Reliability Verification Integrated
System)は、経済産業省の監督の
もとに(独)新エネルギー・産業技
術総合開発機構(NEDO)からの
委託を受けて当財団が開発を進め
ている宇宙実証システムです。この
プロジェクトは、我が国が得意とす
る民生部品・民生技術を宇宙等の
極限環境下で使用するための知的
基 盤として各 種ガイドライン及び
データベースを構築することを目的
としています。平成21年度は以下の
作業を実施しました。
1.実証衛星2号機の打上げ日設定
実証衛星2号機(SERVIS -2)を
平成21年度内に打ち上げることで
調整を進めてきましたが、打上げ
ロケット(Rockot)側の都合で年度
内に設定することはできませんでし
た。しかし平成22年1月の調整にお
いて、平成22年6月に打ち上げるこ
とが決まりました。
2.実証衛星2号機の準備状況
民生部品66品種と民生技術8種
が搭載されているSERVIS-2のシス
テムプロトフライト試験は平成20年
度末に無事終了しました。平成21
年度は、SERVIS-2を衛星製 作工
場にて保管し、約 2 ヶ月に 1 度の
割合で点検作業を行ってきました。
これらの点検結果をもとに、平成
22年3月に出 荷 前 審 査を実 施し、
SERV IS - 2の射 場 への輸送が 可
能 で あ ることを 確 認 しまし た。
SERV IS - 2の外観を写真-1に示し
ます。
写真−2 USEF運用管制センター(USOC)
作 業を完了しました。 完 成した
USOCを写真-2に示します。
また軌道上運用の準備作業も平
成21年10月に再開しました。運用
に使用する手順書は既に完成して
おり、現在それを使った運用訓練・
リハーサルを実施しています。
写真−1 実証衛星2号機
3.実証衛星2号機の軌道上運用
準備
S E RV I S - 2の 軌 道 上 運 用 は、
SERVIS-1と同様に、当財団の5階
のUSEF運用管制センター(USOC)
で 行 います。 休 止状 態にあった
USOCの再立ち上げを平成21年10
月に行うと共に、協力をいただく宇
宙航空研究開発機構(JAXA)の
地上設備への通信回線接続・点検
−−
4. ま と め
SERVIS -2は平成22年6月の打上
げを目指し、現在順調に準備を進
めています。
モスクワ北方800kmにあるプレ
セツク射場への衛星及び関連機材
の輸送は平成22年4月下旬を予定し
ています。SERVIS -2による宇宙実
証を通し、民生部品・民生技術を
宇宙等極限環境下で使いこなすた
めの知的基盤の更なる充実を図り
たいと考えています。
今後とも、皆様方のご指導・ご
鞭撻を宜しくお願い致します。
(浜 記)
次世代衛星基盤技術(ASER)開発報告
平成15年度より開始した次世代
衛星基盤技術(ASER)開発は、次
世代衛星に必要な技術を視野に入
れて開発作業を進めてきましたが、
現在、JAXAが測位衛星として開
発を進めている準天頂衛星(愛称:
みちびき)の構体として、一体成形
型複合材料のセントラルシリンダ、
3次元高排熱型熱ネットワーク及び
リチウムイオンバッテリーをJAXA
に引渡し、JAXAが 衛星を組 立、
熱真空試験、機械環境試験を無
事完了いたしました。但し、衛星
搭載用リチウムイオンバッテリーは
試験終了後、衛星総合組立時まで
冷蔵庫に保管されます。
ミッション系の測位用擬似時計
に関しては準天頂衛星との全体噛
み合わせ試験、測位地上系内の局
間I/F試験及び準天頂衛星と地上
局との総合試験をおこないました。
準天頂衛星初号機はJAXAが平成
22年度夏期に種子島射場から打ち
上げ、測位に係る技術実証・利用
実証を行うことになります。
次世代イオンエンジンは準天頂
衛星には搭載されませんが、平成
21年度では寿命試験を行い、目標
性能である累積動作時間3,000時
間以上の実現性を確認しました。
<衛星構体の高排熱型熱制御技術開発>
準天頂衛星の熱制御系構成品と
してJAXAに引渡した、ヒートパイ
プを埋め込んだ北面、南面ペイロー
ドパネルを連接する3次元ヒートパ
イプネットワークをJAXAが組立、
熱真空試験を行い、フライトモデ
ルのパネル温度、連接ヒートパイプ
の熱輸送、原子時計の独立パネル
等熱制御性能の妥当性が評価され
ました。今後、準天頂衛星の打ち
上げ後、利用実証を行います。
ルスラスタ
(スラスタ本体及びホロー
カソード)及び電源ユニットの開発
を行いました。
平成21年度は、ホールスラスタの
寿命試験を実施し、目標の累積動
作時間3,000時間を達成しました。
認、準天頂衛星システムと地上局と
の適合性試験(準天頂衛星システ
ム総合試験)を実施しました。
また、長時間の地上実験を行い、
数値目標である10 ns以内の同期、
10万秒での安定度10−13以下を達成
しました。
3000時間動作後スラスタ
これにより開発目標である、投入
電力(電源入力)5kW以下におい
て 推 力:250mN以 上、 比 推 力:
1,500sec以上の実現性、及び寿命
3,000時間以上の実現性を地上検
証試験で実証しました。
今後は実用化、事業化に向けた
活動を行っていきます。 <測位用擬似時計技術開発>
衛星に短期安定性に優れた水晶
時計を搭載し地上局に長期安定性
に優れた精密原子時計を置き、時
刻同期させる測位用擬似時計シス
テムの開発を産業技術総合研究所
(AIST)とともに行なっています。
平成21年度は他機関とのインタ
フェース適合性確認、搭載用制御
ソフト/地上系ソフトとの適合性確
擬似時計の長期安定度
今後は準天頂衛星の打上後、軌
道上実験による検証を行っていき
ます。
<異種材料を含む大型構造 体用
複合材料製造設計技術開発>
軽量、高剛性で熱変形が少ない
CFRP等の複合材料にて大型で複
雑なセントラルシリンダを一体で加
熱 成 形、 他のペイロードパネル、
構体 パネルとともに品質確 認後、
JAXAに引渡し、システム側にてバ
ス機 器、 ミッション機 器を搭載、
システムインテグレーションされた
構体の振 動試 験、音響試 験、衝
撃試 験を行い無事終了しました。
(紀野/松井 記)
<次世代イオンエンジン技術開発>
将来のニーズのため電気推進とし
ては比較的大推力が得られるホー
準天頂衛星組立状況
−−
準天頂衛星振動試験
(写真提供JAXA)
小型化等による先進的宇宙システムの研究開発(ASNARO)活動報告
小型化等による先進的宇宙シス
方々にも参加いただくコンソーシア
テ ム の 研 究 開 発(ASNARO :
ム活動として取り組んでいます。
Advanced Satellite with New
今年度の活動では、昨年度まと
System A rch itect u re for
めたドラフト版の基準や方針、並び
Observation)プロジェクトは、目
に考え方の改訂を行うとともに、そ
標である3年衛星開発期間の内、2
の成果を宇宙科学技術連合講演会
年を経過しつつある状況です。
や 国 際 宇 宙 航 行コンファレンス
本プロジェクトは日本の宇宙分
(IAC2009)等の内外の学会におい
野での競争力強化と社会のニーズ
て発表しました。特にこれ
を満たすことを目的として、3つの目
から宇宙産業を発展させよ
標の実現に取り組んでいます。目
うという海外の方々には大
標は、1)先進的な宇宙システム開
変興味を持っていただきま
発手法として、低コスト・短工期の
した。2)
の小型衛星標準バ
衛星開発を可能とする新しい開発・
スの開発については、昨年
製造・運用の手法・仕組みを確立
度末に設計審査を実施し
すること、2)2年以内(リカリング) た後、製 造設計と一部開
で製造ができるビジネス展開可能
発モデルの製造を行いまし
な質量300kg程度の標準的小型衛
た。来年度のフライトモデ
星バスを開発すること、3)
高性能な
ル製造とシステムインテグ
光学センサ(約500kmの高度から
レーションに備えています。
50cm以下の分解能(GSD)を実現
3)
の高性能光学センサにつ
する)
を開発し搭載することです。1)
いては、構成品である反射
の新しい開発手法の確 立の活動
鏡等の製造を進めており、
は、昨年度に引き続き中小企業の
バスシステムと同様に来年
度における組立とシステムへのイン
テグレーションに備えています。衛
星開発もいよいよ胸突き八丁の最終
フェーズに入り、関係者一同心して
かかっています。
(伊地智 記)
ASNARO衛星予想図
太陽光発電無線送受電技術の研究開発活動状況
平成21年度より、経済産業省か
らの委託により、
「太陽光発電無
線送受電技術の研究開発」を開始
しました。
本研究開発では、宇宙太陽光発
電 シ ス テ ム(SSPS:Space Solar
Power System)の中核的技術であ
るマイクロ波による無線送受電技
術の確立に向け、関係機関と合同
で安全性や効率性等の確保に不可
欠な精密ビーム制御技術の研究開
発を行います。
1.背景
宇宙太陽光発電システムは、地
上での太陽光発電と異なり、昼夜
や天候に
左右され
ることな
く発電が
可能であ
ることか
ら、将来の新エネルギーシステムの
一つとしてその実現が期待されてい
ます。
宇宙基本計画(平成21年6月宇
宙開発戦略本部決定)でも、宇宙
太陽光発電については、今後5年
間の開発利用計画として、関係機
関が連携し、総合的な観点からシ
ステム検討を実施とともに、エネル
ギー伝送技術について地上技術実
証を進めることが求められていま
す。
(宇宙関連として今後必要な分
野として設 定された9つの世界を
リードする先端的研究開発の一つ
として掲げられています。)
2.実施内容
この研究開発の中では、特に電
力をマイクロ波に変換し指示された
方向にマイクロ波エネルギーを高い
精度で効率よく送電する送電部と、
送電されたマイクロ波エネルギーを
−−
マイクロ波送受電試験
送電部
受電部
電力に変換する受電部を開発しま
す。
送電部は、レーダ等で活用され
ているフェーズドアレイ技術を活用
し、宇宙太陽光発電システムで必
要な軽量薄型パネルによる高効率
マイクロ波送電システムを実現しま
す。また、受電部は、マイクロ波を
電力に変換する高効率の「レクテ
ナ」の実現を行います。総合試験と
しての屋外試験を、連携するJAXA
で開発するビーム制御部と組み合
わせて実施します。平成21年度は、
全体/各部の予備設計を行い研究
開発のスタートとしました。 (三原 記)
異分野融合型次世代デバイス製造技術開発(BEANS)活動報告
経済産業省が平成20年度に立ち
上げ、平成21年度からNEDOが継
承した5年間の予定で実施する技
術開発で、将来の革新的次世代デ
バイスの創出に必要な微細加工技
術とナノ・バイオプロセス等を融合
させたマイクロ・ナノ統合製造技術
等の確立を目的としたプロジェクト
であり、
①バイオ・有機材料融合プロセス
技術の開発
②3次元ナノ構造形成プロセス技
術の開発
③マイクロ・ナノ構造大面積・連続
製造プロセス技術の開発
の研究開発項目から構成されてい
るNEDO委託事業です。
財団では平成21年4月設 立の技
術研究組合BEANS研究所の組合
員として、研究開発項目「3次元ナ
ノ構造形成プロセス技術の開発」
の中の「宇宙適用3次元ナノ構造形
成技術」開発を引き続き実施してい
ます。産学連携プロジェクトとして、
立命館大学を研究の拠点とし、大
学、企業、他財団と共同で開発を
行います。
(立命 館大学、三菱電
機株式会社、
(財)資源探査用観測
システム・宇宙環境利用研究開発機
構) ここでは、観測衛星に適用可能
な赤外領域のマルチバンド観測に
必要な観測センサ用の光学フィルタ
を3次元ナノ構造形成技術を適用し
て開発するものです。
2波長域の赤外光を効率よく透
過させるためには、マイクロレベル
の構造の上に小さなナノレベルの
構造が重ねられた3次元ナノ構造
を持ったフィルタが有効と予想され
ますが、その構造を形成するプロ
セス技 術を開 発します。 さらに、
開発した3次元ナノ構造フィルタが
宇宙空間で有効に作動することを
検証する評価手法と評価指標を確
立します。本技術開発は以下の3
つの技術課題から構成されます。
平成21年度業務において、これら
の技術課題への対応の見込みを得
ました。
⑴3次元マイクロ・ナノ構造形成
プロセス
トップダウンによって形成された
3次元構造に100nmレベルのナノ
構造を形成するアルミ陽極酸化に
よる細孔の最適化技術を開発し、
形成されたナノマスクを基板に転写
する基本技術確立の見込みを得ま
した。また、マイクロ・ナノ構造フィ
ルタの試作を行い光学特性を計測
し、実測データをよく再現する高精
度の光学シミュレーション技術を確
立しました。
⑵3次元ナノ構造の評価
顕微測光系によるフィルタの光学
特性評価技術及び非冷却赤外線セ
ンサを用いたフィルタ透過率のエリ
ア依存性評価技術等を開発し、衛
星搭載赤外線センサ評価技術確立
の見込みを得ました。
⑶適用性評価指標及び技術動向
の検討
宇宙適用3次元ナノ構造の適用
性評価指標や光学適用ナノ構造関
係の最新の技術動向の調査を完了
し、衛星搭載赤外線センサの地上
評価試験技術確立の見込みを得ま
した。 (秋山 記)
空中発射システムの研究開発(ALSET)活動状況
平成21年度より、経済産業省か
らの委託により、小型衛星の低コ
スト打ち上げに有効な手段の一つ
である、
「空中発射システムの研究
開発」
を開始しました。
本研究開発は、従来の地上打ち
上げとは異なる方式であることか
ら、法制面の調査や新規技術の研
究開発を行う基盤 技 術開発プロ
ジ ェ ク ト(ALSET:Air Launch
System Enabling Technology)です。
空中発射システムは、航空機にロ
ケットを搭載し高々度でロケットを
分離し、衛星を打ち上げるもので、
1990年から米国のOrbital Sciences
Corp.が空中発射システム
(Pegasus)
による衛星打ち上げ事業を展開し
ています。
2000年以降、小型衛星は軍事及
び商業利用の有効な手段と位置づ
けられ、さらなる高機能化、低コ
スト化の開発 が 行われています。
また、小型衛星の普及には、小型
打ち上げ手段の実現が不可欠とし
て、低コスト小型ロケットの検討、
開発が進められている。その中で、
「空中発射システム」は、小型衛星
の低コスト打ち上げの有効な手段
の一つであるとともに、将来の再
利用ロケット開発のためのテスト
ベッドと位置づけられ、欧米や中
国、韓国においても開発や、検討
が進められています。USEFでは、
平成18年度より3カ年に亘って、
(財)
機械システム振興協会からの委託
を受け、空中発射システムに係わ
る調査研究を進め、その有効性を
確認しました。
ALSETプロジェクトでは、本事
業を通じて以下の技術開発等を行
−−
います。
1. 調査等
国内外の類似技術の研究開発を
行っている研究者、企業、機関と
情報交換を行う等、最新の技術情
報の収集に努めて本計画への反映
を図る。また、空中発射システム
に利用可能な国内外のインフラ等
の調査を行うとともに、将来の空
中発射システムを利用した打ち上
げに係わる法規制等について調査
を実施し、打ち上げ事業展開に必
要な課題等の整理を行う。
2. 航空機/ロケットインタフェース
空中発射システムは、ロケットを
航空機に搭載し、公海上の高々度
からロケットを分離しロケット点火
を行い衛星打ち上げます。そのた
め、大型重量物であるロケットの
搭載とその分離後の航空機の飛行
安定性の確認の他、分離機構やロ
ケット点火姿勢の確立などこれまで
に経験のない技術が多々あります。
本研究開発ではこれらの技術的成
立性を確認します。
3. 打ち上げの自在性
衛星の打ち上げに当たっては、
継続したロケット飛行状態の確認
や不具合発生時の飛行中断の機能
が求められ、地上の追跡局が使用
されていますが、公海上での打ち
上げには、地上局が期待できませ
ん。
そのため、ロケットにGPS/IMU
を搭載し、自律性を持たせるととも
に、商用通信衛星を利用したTTC
の送受信の可能性等を確認します。
4. その他
空中発射システムは我が国にお
いては初めての取り組みであること
から、安全等に関わる基準につい
ても検討するとともに、将来の打
ち上げ事業展開を可能とするため
の法規制等について調査を行いま
す。 (冨士 記)
複数衛星連携システムに関する調査研究
調査研究事業として、
(財)
機械シ
ステム振興協会からの委託により、
平成21年度より「複数衛星システム
に関する調査研究」
を開始しました。
近年、30機の衛星のコンステレー
ションからなるGPS衛星システム
や、比較的低分解能によるRapidEyeシステムなど、コンステレーショ
ン形態による複数衛星連携システ
ムが実用衛星システムとして注目さ
れています。比較的単純な機能に
限定した小型衛星でも、連携する
ことにより高価で長い開発期間の
必要な大型衛星では実現できない
新しい機能、新しい役割が実現で
海外出張報告①
実用上意義のある有効な複数衛星
の検討を行い、新規事業としての
芽出し、提案に結び付けるつもり
です。 (三原/宮崎 記)
米国:第33回AAS誘導制御学会報告
2010年2月6日から4日間、米国コ
ロラド州ブリッケンリッジにて行わ
れ た、 第33回AAS Guidance and
Control Conferenceに参加し、衛星
システム、誘導制御技術および小型
機器技術等に関する動向調査を実
施した。
本学会は宇宙誘導制御分野の専
門家・研究者のための米国有数の
海外出張報告②
きる可能性を秘めています。
平成21年度は、複数衛星連携と
してコンステレーションだけでなく、
比較的接近した相対位置で運用す
る「フォーメーション」形態の複数衛
星システムの現状の海外動向調査
を行って衛星システムの運用の目的
の調査、衛星軌道の分析や、実現
技術の抽出を行いました。特に有
効性が期待できるシステムについ
て、検討を進め複数衛星を利用す
ることによる高い頻度の観測や、
連携することによる高度な運用が
実現できるシステムの検討を行いま
した。今後さらに検 討を進めて、
国際学会であり、第33回を迎え非
常に歴史のある学会である。発表
内容(約60件)及び展示ブース(20
社強)
は本技術分野に特化した専門
的な内容であり、複数衛星連携シス
テムの実現においてキー技術要素と
なる航法誘導技術などの最新動向
や人脈を得るに非常に有益な学会
である。
学会会場はロッキー山脈の高地
(標高3000m)
であったため高山病と
の戦いの中での参加であったが、
バーチャル衛星F6・小型静止衛星
Small GEO・小型高性能光学衛星
などの衛星システム技術、小型APS
恒星センサ・GPS受信機などの先端
機器技術等、有意義な情報が得ら
れた。 (宮崎 記)
カナダ:宇宙太陽光発電国際シンポジウムSPS2009参加報告
2009年9月8日から3日間、カナダ
トロントで実施されたSPS2009に参
加した。
各国から総計約100名程度の参加
であった。
(日本参加者:JAXA/京
都大学/神戸大学/USEF)現地で
は、経済産業省のマイクロ波地上
無線送電に関する公募に関連して、
「日本が数兆円のプロジェクトを開
始した」との大きな誤解があり、基
調演説、参加者の認識もそれに従っ
たものであった。
(米Bloomberg社
−−
の誇大記事)当方からは、プレゼン
で実際の計画等を説明し、誤解の
解消に努めた。また、神戸大の賀
谷先生からは、無線エネルギー伝
送のデモが行われた。
(三原 記)
海外出張報告③
フランス:ISSFD2009参加及び EADS Astrium社訪問
⑴ ISSFD2009
今回で21回目を迎えるISSFD(国
際宇宙力学シンポジウム)は2009年
9月28日~ 10月2日に仏・ツールーズ
市で開催された。本シンポジウム
は各国宇宙機関で組織される宇宙
飛行力学分野の研究者・専門家の
ための国際フォーラムである。参加
者は総勢142名で、日本は仏・独・
スペイン・米国に次いで5番目に多
い13名であった。今回はフォーメー
ション・フライング(FF)を含む合計
93論文が発表された。現在進行中
の具体的なミッション(特に惑星探
海外出張報告④
査ミッション)の設計・解析の方法
と結果およびFFにおける相対位置
制御アルゴリズムについての発表
が 多数だった。関心はFFの有用
性如何というレベルを超えてその具
体的な形成・制御に向かっている
と感じられた。
⑵ EADS Astrium社訪問
上記滞在中に同市郊外のEADS
Astrium社を訪問し、同社のFF技
術について調査を行った。同社は
巨大複合企業グループEADS社の
宇宙開発部門で、ESA,CNES等の
宇宙プロジェクト開発の多くを手が
米国:国際光学学会参加…「BEANS 宇宙ナノ適用」に関連した動向調査
2009年8月2日から5日間、米国サ
ンディエゴで行われた国際光学学
会に参加し、進展目覚ましいナノ
技術の構造技術や宇宙搭載品適
用化事例などを中心とした動向調
査を行った。
(技術研究組
合 BE A NS
研究所活動:
NEDO事 業
委託)
ナノ技術を
宇宙搭載品
に適用するこ
とで 機 器 の
小型化が実
現でき、それは、機器の軽量化や
排熱問題にも多くのメリットを生ん
でいる。5日間で4000件以 上の論
文発表が行われる巨大会場で、さ
らにはそれを埋め尽くすほどの多数
会場全体外観
海外出張報告⑤
けている。FFに関してはドイツ・フ
ランス・英国に開発グループがあり
連携をとりながらそれぞれ独立に
進めている。フランスの部隊は約
20名とのこと。FFの特性・要求事
項、自社が手がけるFFプロジェク
トの事例紹介、過去10年間に開発
してきたFFに関する要素技術およ
び複数衛星間の距離・方向計測に
用いられる機器の適用範囲等が紹
介された。FFについての同社の関
心・課題がどのあたりにあるかわか
り有意義なものであった。
(牛越 記)
の参加者がおり、会場の熱気から
は今後さらに進展を続けるナノ技術
分野の勢いを感じ取れた。
(布施 記)
セッション会場の一つ(休憩時)
韓国:IAA、IAC参加
2009年10月11日から6日間、韓国
大田市(テジュン)で実施された
2009年度国際宇宙航行アカデミー
(IAA)の総会と、国際宇宙会議
(IAC)に参加した。IAAの学会で
は、 新会長がインドのMadhavan
氏に決まり、宇宙分野におけるイン
ドの存在感を示す形になっている。
日本関係では、副会長の一人に松
尾弘毅先生が就任し、ライフサイ
エンス分野のセクションの議長は宇
宙飛行士の向井千秋氏が就任され
た。
IACにおいては、観測衛星、小
型衛星、
宇宙太陽光発電などのセッ
ションを中心に、参加した。
(小型
衛星、宇宙太陽光発電で論文発表
実施) コンファレンスの開会セレ
モニーは厳重警戒の下、李明博大
統領による開会挨拶がおこなわれ、
−−
韓国初の女性宇宙飛行士イソヨン
氏による司会進行がなされた。併
設された展示場では、現地韓国、
インド、中国、ヨーロッパからの展
示があり、日本からはJAXA、北
海道のHASTECからの展示などが
あった。韓国の宇宙開発に対する
熱意が感じられた学会であった。
(伊地智/三原 記)
海外出張報告⑥
ナイジェリア:第三回 IAAアフリカ地域会議参加報告
2009年11月24日( 火 ) から26日
(木)の間、ナイジェリアの首都アブ
ジ ャ で 開 催 さ れ たInternational
Academy of Astronautics(IAA)
と
ナイジェリア宇宙機関(NASRDA)
の共催による第三回IAAアフリカ
地域会議に参加した。この会議の
目的は、宇宙分野におけるアフリカ
地域との共同作業による知識の創
造とそ の 共 有(Space for Africa:
Joint Participation, Knowledge
Development and Sharing)という
もので、
USEFはASNAROプロジェ
クトの紹介とその期待される成果
によるアフリカ地域への貢献を目的
として参加した。 ナイジェリアは
SSTL社 製 のNigeriaSat-1を既に
打上げ保有し、そのデータを国内
で使用するのみならず、国際的な
災害監視衛星コンステレーションに
参 加してデータを提 供している。
また、引き続きNigeriaSat- 2
の打上げを計画しているのみ
ならず、その開発モデルを活
用してNigeriaSat-Xを自で整
備打上げを実施すべく活動
し、中部アフリカにおける宇
宙のリーダ的存在である。会
議はナイジェリアの科学技術
大臣であるDr. A. B. Zaku氏
を議長として開始された。参
第三回 アフリカ地域会議会場風景
加 者は欧 州、 米 国、 中国、
星の設計製造の変革を行う事など
インド、近隣の中部アフリカ諸国を
について、 会 場から質問も出て、
含め20カ国から約150名、中国から
関心が高いことが伺われた。最終
は8名の参加しており、中国のアフ
日にはアフリカ地域の発展のため
リカ重視が反映されている。ペー
に必要な活動についてのコミュニケ
パーの数は86、ポスターセッション
を採択し、盛会のもとに終了した。
21件で、その他数社機関の展示も
USEFとしても中部アフリカ地域の
行 われ た。USEFの 報 告 による、
発展に協力出来るきっかけが出来
ナイジェリア上空での撮像運用のシ
たものと考える。 ミュレーションは評判が良く、また
(伊地智 記)
バス標準の制定活動を通じての衛
第7回 宇宙産業シンポジウム報告
U S E F 主 催、
( 後 援:M E T I、
N E D O 、 N i C T、 J A X A 、
E R S DA C 、 JA R O S 、 S PA C 、
SJAC)による第 7 回宇宙産業シン
ポジウムを「日本の宇宙産業の発
展に向けた課題と対応の方向」を
テーマに、平成21年12月9日(水)、
青山のTEPIAホールにて200名の
多数の参加をいただき開催しまし
た。シンポジウムは、第 1 部を「講
演 2 題」
と第 2 部「パネルディスカッ
ション」
の構成で行いました。
第 1 部は、米国フュートロン社
フューラ社長による「2009年版宇
宙競 争力指数の概要と日本 の課
題」と題した国別の競争力比較と日
本の産業発展に向けた課題の講演
が、USEFか ら は、 こ れ ま で の
USEFの事業展開と今後の日本の
宇宙開発・利用にむけてのイノベー
ションの方向性について 「USEFの
技術開発の系譜と今後」と題した講
演がなされました。
第 2 部は、USEF専務三本松が
コーディネータとなり、シンポジウ
ムのテーマの「日本の宇宙産業の
発展に向けた課題と対応の方向」
に関し、①宇宙産業の特性、②ビ
ジネスプロセスアプローチ、③課題
と対応の方向についてパネルディス
カッションの問題提起をまず行い、
これに対する産、学、 官を代表さ
れる各パネリストからご意見を頂き
ました。
⑴ Further Developing Japanese
Space C ompet it ivenes s
(フュートロン社社長 フューラ氏)
⑵ 我が国宇宙機器産業の発展に
向けて (経済産業省 金子宇宙産業室長)
⑶ 超小型衛星コンソーシアムで世
界一に (中須賀東京大学教授)
⑷ 当面の課題とイノベーションにつ
いて (USEF 理事伊地智)
会場からは、信頼性を高める為
にも衛星の大量生産が必要、同時
に打上手段の確保、量産体制維持、
継続性、イノベーション、キラーア
− 10 −
プリケーションへの挑戦、官指導
によるリアルタイムのデータ処理、
標準化の推進、産・官・学での連
携が必要などの意見等を頂いた。
またマーケット拡大においてはユー
ザーの声、ニーズを調べ、カストマー
を満足させる事が必要。途上国も
大いに期待している等のコメント及
び質疑応答も行なわれ、シンポジ
ウムは有意義に行われました。
なお開催に先立ち、資料として
「フュートロン社・2009年版・宇宙
競争力指数」 の日本語訳版を参加
者に配布いたしました。
(紀野 記)
フューラ氏発表風景
海外出張雑感①
経済産業省平成21年度海外貿易会議(エジプト、南アフリカ)参加報告
2010年 2 月 7 日(日)より12日
窓口を設置し情報交換を密にし
(金)の間、IHIエアロスペース石
て進めることで合意された。そ
井社長を団長とし、経済産業省、 の後NileSat社を訪問し、エジプ
SJAC、IHIエアロスペース、三菱
トの放送通信衛星の運用状況に
電 機、NEC、USEF、ERSDAC、
ついて調査した。そして南アフ
PASCO、 ス カ パ ー JSAT、MHI
リカに移動し、ケープタウン近
及びIHIのメンバーにより、エジ
郊の小型衛星開発ベンチャーの
プト及び南アフリカの宇宙関連
SunSpace社( 昨 年SunbandilaSat
政府機関及び関連の機関及び企
打上げ)及び南アフリカの防衛宇
業を訪問し、宇宙に関する現地
宙関連企業のDenel社OTB試験
の実情を調査するとともに、日
場を訪問し、さらにプレトリア
本の宇宙関連産業の海外展開の
に移動し、貿易産業省(DTI)、
きっかけを探求した。エジプト
D e n el社UAV部 門、 さ ら に
で は ま ずEgyptSat-1の デ ー タ
Hartebeesthoekに あ る 科 学 技 術
を 処 理 し、 そ の 関 連 の 研 究 を
省( DST)所属のCouncil for
行っているNational Authority
Science and Industrial Research
for Remote Sensing and Space
( C S IR)のSatellite Application
Science(NARSS)の本部/研究施
Center(SAC)の運用管制局
設と運用管制センターを訪問し
を訪問して調査を実施した。
てエジプト側の要望を調査する
Denel社OTB試 験 場 は そ も そ
とともに、その次の日に科学技術
もロケット打上げ射場として
省を訪問して今後の日本の産業
整備されたもの(現在打上げ
界/大学との間の協力の進め方の
計画は中止)であり、また運
討議を実施した。EgyptSat-2を
用 管 制 局 はUSEFのUSERS
含め、それ以降のエジプトの宇
プロジェクトのカプセル帰還
宙開発への協力について、双方
時の局の候補ともなった設備
海外出張雑感②
でもあり、南アフリカには航空
宇宙産業の基盤は存在している。
さらに現在DTIのもと、航空宇宙
産業の企業が集まってコンソー
シアムを形成して国の支援のも
とにその発展をはかる計画が進
行している。日本としては南ア
フリカの必要とする協力を模索
するとともに、機器のサプライ
ヤー、運用管制支援並びに試験
場所等の観点での互恵の関係が
ありうると考える。ハードなス
ケジュールにもかかわらず全員
元気に調査を終え、予定通り帰
国し、その成果を今後の日本の
宇宙産業の展開へ反映すること
となっている。 (伊地智 記)
エジプトでの会議風景
米国:海軍研究所訪問報告
9月のカナダ出張の帰路、米国に
立 ち 寄 り、 コ ネ チ カ ット 州 の
Goodrich社と、ワシントン特別区の
海軍研究所(NRL:Naval Research
Lab)を訪問した。Goodrich社は、
ASNAROプロジェクトの光学系作
業の一部を依 頼しているもので、
現地の担当会社の状況を確認し
た。現状の進捗は間接的に確認し
ているものの、実作業担当の取り
組み姿 勢等を確認するためには、
直接確認が一番である。コネチカッ
ト州の後は、ワシントン特別区にあ
るNRLを訪問した。旧知の研究所
に勤務する米国人研究者の招きに
よるもので、見学や各種トピックに
関する議論を行った。米国は、宇
宙 開 発 と い うと 航 空 宇 宙 局
(NASA)がきわめて有名であり、
すべての研究開発を一本化して実
施しているという誤解があるが、実
際は国防総省の下の国防高等研究
計 画 局(DARPA)、 空 軍 研 究 所
(AFRL)、米国海軍研究所海軍宇
宙 技 術 セ ン タ ー(NRL Naval
Center for Space Technology)、
気 象衛星の米国海洋大気 庁
(NOAA)、国家偵察局(NRO)等
でそれぞれ研究開発を行っている。
訪問したNRLは、トマスエジソン
が設立した機関で、独自に試験衛
星を短期間に開発する施設と能力
を 持 ち 極 め て 機 動 性 が 高 く、
NRL外観
− 11 −
NASAからも研究依頼を受けて開
発を行ってきた。
(偵察衛星、GPS
衛星、通信衛星、月観測衛星、複
数衛星打ち上げロケット等のすべ
て初号機の開発はここで行った。)
ASNAROプロジェクトでも採用し
ている新しいインターフェースであ
るスペースワイヤや衛星のバス標準
化などにも取り組んでいた。また、
現在宇宙太陽光発電につながる無
線送電システムの実証プロジェクト
にも取り組んでおり、共通点が多々
あった。今回の訪問では、受け入
れ先招聘があったものの、米海軍
施設への訪問であり、外務省北米
局、在米日本大使館経由で、正式
に米国海軍に申請し受け入れても
らうことができ有意義な訪問が可
能となった。
(お世話になった外務
省関 係 の 皆さまに 感 謝 いたしま
す。) (三原 記)
平成22年度事業計画・収支予算決定
第53回通常理事会 が3月19日に
開催され、当財団の平成22年度事
業計画及び収支予算が承認、決定
した。
【平成22年度事業計画】
1.宇宙環境信頼性実証システム
(SERVIS)
実証衛星2号機の射場への国内
外 輸送を行い、射 場整 備作業を
経て、打ち上げを実施する。また、
運用訓練・リハーサルを行い、軌
道上運用を開始する。
また、民生部品・民生技術を宇
宙等極限環境で使用するための民
生部品・民生技術選定評価ガイドラ
インの第 二 次案の策定を行う。
2.次世代衛星基盤技術開発
(ASER)
⑴高排熱制御技術開発技術によ
り製作したパネル等は準天頂衛
星側に引き渡し、JAXAによる
衛星システム試験は順調に完了、
平成22年度夏期に打上後、宇宙
実証を行う。
⑵測位用擬似時計技術開発は準
天 頂 衛星と地 上 系を含んだ擬
似 時 計 の 性 能 評 価 等 を 終了、
JAXAが平成22年度夏期に打上
げる準天頂衛星に搭載後、一年
間の宇宙実証を行う。
⑶ 次世代 構造部 材創製・加工技
術開発により製作された衛星構
体は準天頂衛星側に引き渡し、
JAXAによる衛星構体の衛星系
システムインテグレーション、構
体に係わるシステム試験は順調
に終了、平成22年度夏期に打上
後宇宙実証を行う。
3.小型化等による先進的宇宙シ
ステムの研究開発(ASNARO)
⑴先進的な宇宙システム開発アー
キテクチャの確立をめざし、基
準、方針や考え方の第一版をま
とめる。
⑵標準的小型衛星バスの開発は、
構造モデルの開発モデル(EM)
を製作し、試験を実施し、その
他の搭載機器フライトモデルお
よび搭載ソフトウエアについては
設計・製造・試験を実施する。
⑶搭載ミッション機器の開発は、地
球観測ミッション系のミッション
制御部及び直接伝送系フライトモ
デルの製造・試験を実施する。
4.太陽光発電送受電技術研究開
発(SSPS)
宇宙太陽光発電システムの中核
技術であるマイクロ波による無線送
受電技術の確立に向けて、電力伝
送試験モデルの基本設計を開始、
送電部/受信部における基本設計
を進め、システムを実現させるため
の基本要素技術(半導体、回路等)
の試作等を行い、基本設計への反
映を図る。
5. 空 中 発 射 システム 研 究 開 発
(ALSET)
昨年度の成果に基き、課題の整
(参考:USEFプロジェクトの略語)
SFU
:Space Flyer Unit
EXPRESS :Experiment Reentry Space System
USERS
:Unmanned Space Experiment Recovery System
SERVIS :Space Environment Reliability Verification Integrated System
:Air Launch System Enabling Technology
ALSET
理、課題解決のための方策の検討
を行い、システム要求及び開発計
画の策定を行う。
6.複数衛星連携システムに関す
る調査研究
複数の小型及び超小型衛星等を組
み合わせることにより、大型単一衛
星では実現できない高度な運用及
び衛星ミッションを実現する事ので
きる衛星システムの調査研究を行
い、次世代の衛星システムとしての
提案を行う。
7.その他
機関誌「USEFレポート」の発行、
財団紹介のパンフレットの維持改
訂、財団ホームページの維持改訂
等を実施する。
【平成22年度収支予算】
(平成22年4月1日〜平成23年3月31日)(単位;千円)
科 目
予 算 額
備 考
1.収入の部
基本財産運用収入等
460 会費収入
75,400 賛助会費
事業収入
2,030,041 受託事業収入
その他
105,532
当期収入合計 2,211,433
2.支出の部
管理費等
77,300
事業費
2,052,861 受託事業、
自主事業費
その他
105,272
当期支出合計 2,235,433
(総務 記)
ASER :Advanced Satellite Engineering Research and Development Project
ASNARO :Advanced Satellite with New System Architecture for Observation
SSPS
:Space Solar Power System
BEANS :Bio Electromechanical Autonomous Nano Systems
編集後記
当財団の実証衛星SERVIS2号機の打ち上げが今年の6月に
延び、打上に向けて準備中です。USEFでは、今後の宇宙産
業発展に向けた取り組みを強化していきたいと考えていま
す。また、活動内容等について情報発信を心掛けて行きます。
USEFのホームページは定期的に情報を掲載致しております
のでご覧下さい。
今回寄稿頂いた方々のご協力に厚くお礼申し上げます。
(総務 記)
USEFレポート 2010.3 43号 平成22年3月31日発行
編集発行 財団法人無人宇宙実験システム研究開発機構
(フリーフライヤー機構)
〒101- 0052 東京都千代田区神田小川町2 -12
電話 03(3294)4834(代) FAX 03(3294)7163
URL:http://www.usef.or.jp
− 12 −