EHEDG用語集 A B

EHEDG用語集
バージョン2004/04.G01
※“注:” は、当該用語集の理解促進に資するため、EHEDG JAPAN
付したものである。
Sub Group 1にて
この文書は、1991年に発行され、1993年12月と2003年12月に修正された「衛生的な加
工とプラント設計に関連する用語の定義(Definitions of expressions relevant to hygienic
processing and plant design)」の改訂版である。
この定義は、EHEDGのガイドラインや刊行物で使われる用語、語句、言い回しについ
て、統一した標準的解釈を提供するものである。公的標準化機関 (1) が確立した定義と関連
する場合には、それらを採用している。特定のガイドラインでは、これらの定義を一部修
正して用いることがある。
注(1):公的標準化機関とは、コーデックス委員会(Codex Alimentarius Commission:
CAC)、米国FDA、欧州委員会等の法規作成機関、及びISO/IEC、CEN/CENELEC
等の標準化機関を指す。
A
Aseptic equipment:無菌設備
滅菌可能で、衛生的に設計された設備。微生物を通さず、無菌状態を維持できる工程。
Aseptic process:無菌工程
使用前に滅菌した設備を使用し、稼働中も微生物による二次汚染を防止する工程。
(関連項目:ウルトラクリーン・プロセス[Ultra-clean process])
Accessible:接近可能(Easily accessible:容易に接近可能の項参照)
B
Bioaerosol:バイオエアロゾル
気体中の環境に浮遊する生物体を含む粒子。(BS EN ISO 14698-1:2003)
Biocontamination:バイオコンタミネーション
材料、装置、個人、施設の床及び天井の表面、液体、気体、空気が微生物、胞子、小
動物の卵、等によって汚染されること。(BS EN ISO 14698-1:2003)
Biofilms:バイオフィルム
表面に付着した微生物集合体。
注記:これらはすべてではないが、多くの場合、細胞外ポリマーに包まれている。
1
C
CCP(critical control point):CCP(重要管理点)
食品安全ハザードの防止、排除、または許容可能なレベルまでの低減のため、きわめ
て重要な管理可能な段階 (1) 。(CAC)
注(1):“段階(Step)”はコーデックス委員会により「原材料を含む一時生産から最終消費までのフ
ードチェーンにおけるポイント、手順、取扱、段階」と定義される。
CIP(cleaning-in-place):CIP(定置洗浄)
生産ラインや個々の機械を、分解せずに閉鎖系を自動的に洗浄するシステム。
注記:定置洗浄の効率は5T、すなわち時間[time]、温度[temperature]、濃度[titration]、
乱流[turbulence]、テクノロジ[technology]に依存する。定置洗浄は、設計によっ
て、水が周囲の環境に流出するのを防ぐ目的で、乾燥した区域で行うことができる。
Cleanability:クリーナビリティ(洗浄・清掃性)
容易な汚れの除去に関する設備の適切性。
(関連項目:相対的洗浄性[Comparative cleanability])
Cleaning:クリーニング(洗浄・清掃)
汚れ、食品残渣、油脂、その他の好ましくない物質を除去すること。(コーデックス)
Cleanroom:クリーンルーム
空中浮遊粒子の濃度がコントロールされる部屋であり、粒子の侵入、発生、残留を最
小限にするように建造され、利用される。また、温度、湿度、気圧などの、他の関連パ
ラメータも必要に応じてコントロールされる。(BS EN ISO 14698-1 :2003)
Coatings:コーティング
ある物質の表面に別の物質を付着させてできた新たな層。(3-A)
Commercial sterilization:商業的滅菌(Sterilization:滅菌の項参照)
Comparative cleanability:相対的洗浄性
基準と比較した設備のクリーナビリティ。
Conditions for intended use:意図する使用条件
- 製品や消費者に関してではなく、機械や部品、あるいは建物などの要素に関する条件。
洗浄の条件も含む、通常の、または当然予想されるあらゆる稼働条件。これは時間、
温度、濃度などの変量の許容範囲を定めるものである。
2
Contaminant:汚染物質
意図に反して食品に混入した生物的因子、化学的因子、異物(物理的因子)、その他の
あらゆる物質。これらは食品の安全性や適切性を損なう恐れがある。(CAC)
Contamination:汚染
食品または食品製造環境に、汚染物質が侵入又は発生すること。
Controlled environment:コントロールされた環境(Zoning:ゾーニングの項参照)
Control measure:管理手段
食品安全に関するハザードの防止、排除、または許容可能なレベルまでの低減のため
に用いられる、あらゆる処置と活動。(CAC)
注記:広義では、安全ではない属性を確実に許容レベルに維持するのに必要な点を管理す
るための措置も含む。(関連項目:予防処置[preventive action])
COP(cleaning-out-of-place):COP(分解洗浄)(関連項目:Wet cleaning:ウェット洗浄)
機械を分解し、手作業で洗浄すること。
注記:機械の主要部分はその位置に固定したまま、部品を取り外して他の場所で洗浄して
もよい。
Corrective action:是正処置
CCPにおけるモニタリングの結果が、管理基準から逸脱している場合にとるべきあら
ゆる処置。(CAC)
注記:基準からの逸脱が発見された後、その再発を防止、または最小限に抑えるために、
不適合、欠陥、その他の有害な状況の原因を排除、または低減する処置。品質モニ
タリングシステムのすべての管理点は、基準逸脱が生じた場合にとるべき是正処置
を含まなければならない。
Crevice:隙間
汚染物質が侵入しやすい開口のある割れ目。
例えば材料本体か、あるいはフランジとガスケットのように、ぴったりはめ込まれる
部品の間の細い開口や割れ目。通常、隙間の深さは開口部の幅の20倍以上である。隙間
には、汚れや微生物が付着しやすく、洗浄剤が届きにくい。また構成材の腐食が早まり、
隙間が急速に拡大する可能性がある。
D
Diaphragm:ダイアフラム
無孔性の仕切りを形成する薄い隔膜。一例として加圧した媒体と測定センサの間の仕
切り等。
3
Disinfectant:消毒剤
洗浄後の面に残って生存するある種の微生物を、ある程度まで殺すために用いる化学
物質。
注記:消毒剤は、胞子を含むあらゆる種類の微生物を、すべて殺すよう求められるわけで
はない(関連項目:滅菌[sterilization])。それでも米国では、消毒剤は無生物の
表面の細菌胞子を殺すわけではないが、感染性真菌や栄養型細菌を100%殺す薬剤で
あると定義されている。
Disinfection:消毒
化学薬品や物理的方法によって、環境における微生物の数を食品の安全性や適合性を
損なわないレベルまで、減少させること。(CAC)
注記:BSI 5283による消毒の定義:消毒は微生物の駆除を意味するが、通常は対象として
細菌胞子を含まない。消毒は、すべての微生物を殺すわけではなく、定めた目的で
許容可能なレベルまで減少させる。たとえば人の健康や、腐りやすい食品の品質に
対して、害を及ぼさないレベルにする。特に米国の食品産業では、sanitizer(殺菌
剤)とsanitization(衛生化)の方がよく使われる。(殺菌剤[sanitizer]/衛生化
[sanitization]の項参照)
Dry-cleaning:ドライ・クリーニング
水を一切使用しない洗浄。この手法は、設備と環境において、微生物の発生リスクを
減少させる予防措置として利用できる。さらに、たとえば古い、または変質した製品残
渣によって汚染されるリスクも減少させる。通常、ブラシや掃除機を使って、手作業で
行われる。
E
Easily or Readily Accessible:容易に、又は難なく接近可能
作業者が作業区域(床、プラットホーム等)から安全に到達できる場所。(3-A)
Easily or Readily removable:容易に、又は難なく取り外し可能
機械から難なく分離できること。必要に応じて汎用工具を用いる。汎用工具とは、作業
者(整備、操作、洗浄を行う)が使用するドライバ、レンチ、ハンマ等の道具。(3-A)
F
Food hygiene:食品衛生
フードチェーンのすべての段階で、食品の安全性と適切性を保証するのに必要な、あ
らゆる条件と措置。(CAC)
Food safety:食品の安全性
食品を、意図する使用に従って調理、飲食したとき、消費者に害が及ばないという保
証。(CAC)
4
Food suitability:食品の適切性
食品が意図する使用に従って、消費されることが補償されていること。(CAC)
注記:この語は、次第にwholesomeness(健康適合性)より好まれるようになっている。
G
GHP(Good hygiene practices):GHP(適正衛生規範)
人間による消費に対して、食品が安全で適切であることを保証するために、(一次生産
から最終消費者までを含む)フードチェーンの全体にわたって適用できる基準。GHPは
GMPの一部である。
GLP(Good laboratory practices):GLP(適正試験所規範)
試験施設における成績、安全性、能率の精度と信頼性を確保するために定められた、
試験施設で行う作業の計画、実行、監視、記録の方法。
GMP(Good manufacturing practices):GMP(適正製造規範)
品質と安全性の目標が、一貫して確実に達成されることを目的とした、すべての手順、
工程、基準、活動。GMPは、食品の供給チェーン全体にわたって適用しなければならな
い。どのHACCPシステムでも、GMPの適用が前提条件である。(HACCPの項参照)
注記:GHPはGMPの一部である。
H
HACCP(Hazard Analysis Critical Control Point):HACCP(危害分析重要管理点)
食品の安全性にとって重要なハザードの特定、評価、管理のためのシステム。(CAC)
注記:HACCPシステムは、新製品と新製法の開発中に実施しなければならない。新しい
設備も対象である。現在の生産ラインや製品に変更が加えられた場合も実施する。
特定したすべての重要管理点を監視し、基準逸脱があった場合は是正処置を講じな
ければならない。
Hazard:ハザード(危害/危険源)
健康に悪影響を及ぼす可能性のある、食品中の生物的、化学的、物理的な各因子、ま
たは食品の状態。(CAC)
5
Hazard analysis:危害(危険源)分析
食品の安全に対して重大であり,HACCPプランで対処すべきものを決定するために危害、
および危害を発生させる条件に関する情報を収集し、評価する一連のプロセス。(CAC)
注記:危害分析は、HACCPプランを実施する上で必須の手順である。リスク分析と混同
しないこと。
High care areas:高度管理区域(Zoning:ゾーニングの項参照)
Hollow body:空洞構造
洗浄が及ばない空洞。汚染の原因となりうる。
Hygiene:衛生(Food hygiene:食品衛生の項参照)
Hygiene areas:衛生区域(低、中、高レベル)(Zoning:ゾーニングの項参照)
Hygienic equipment class I:衛生設備クラスI
CIPが可能で、分解せずに汚れを取り除くことができる機器,装置。
Hygienic equipment class II:衛生設備クラスII
分解後に洗浄が可能で、再組み立て後には、汚れが取り除かれている設備。
Hygienic Integration:衛生統合
衛生性を一体となって達成するため、2つ以上の組織を合併又は協調し、活動するプロセ
ス。
注記:組織とは食品衛生管理システム並びに機器の衛生設計を担う組織を指す。
Doc.34参照。
I
Intended conditions of Use:意図する使用条件(Conditions for intended use:本来の目
的のための条件の項参照)
In-place cleanability:定置洗浄性(関連項目:CIP(cleaning-in-place):CIP(定置洗浄))
分解せずに洗浄が容易にできること。
L
Low (Basic) care areas:低管理区域(基本的)(Zoning:ゾーニングの項参照)
6
M
Manual cleaning:分解による洗浄
設備の一部、または全体を分解して汚れを除去すること。
Mechanical cleaning:機械洗浄
機械的手段によって、化学洗剤の溶液と水洗浄液を面全体に循環させ、通過させるだけで
洗浄すること。
Medium care areas:中レベル管理区域(Zoning:ゾーニングの項参照)
Membrane:メンブレン
薄い、フレキシブルな多孔性のシート。
Microbial impermeability:微生物不透過性
細菌、酵母菌およびカビが、外部(環境)から内部(生産区域)へ侵入するのを防ぐ、設
備の性能。
Micro-organisms (pathogenic):微生物(病原性)
ヒトと動物の、疾病・疾患の原因となりうる微生物。
注記:病原性微生物は、GHPの逸脱を判定する指標微生物とは区別する。この微生物の数
は、製品がある病原菌によって汚染される確率と関係があると考えられる。
関連項目:Relevant micro-organisms:関連微生物
Monitoring:モニタリング
CCPが管理されているかどうかを評価するための管理パラメータについて、一連の計画し
た監視または測定を行うこと。
N
Non-absorbent materials:非吸収性材
意図する使用条件下で、接触する物質を内部にとどめない材料。
Non-product contact surfaces:製品非接触面
(関連項目:Product contact surfaces:製品接触面)
製品接触面以外の、露出した面。
7
Non-toxic construction materials:無毒性構成材
意図する使用条件下で、毒性物質を放出しない材料。
P
Pasteurization:殺菌
有害な微生物数を、健康に重大な危害を及ぼさないレベルまで減少させるための熱殺菌処
理。
注記:殺菌は、食品だけでなく設備にも適用する。
Product contact surfaces:製品接触面
意図的又は非意図的(飛沫など)を問わず、製品と接触するすべての面。(滅菌されていな
い包装材などの面を含む)。それらの面から製品や凝縮物が、製品本体や容器に落下、流入
することにより二次汚染が生じる。
注記:リスク分析は、二次汚染の可能性のある区域を定めるのに役立つ。
R
Relevant micro-organisms:関連微生物
製品の汚染や製品中での増殖、生存が可能で、消費者の健康や製品の品質に害を及ぼす微
生物。
Removable:取り外し可能(Easily or Readily removable:容易に取り外し可能の項参照)
Risk:リスク
食品に存在するハザードによって生じる健康への悪影響を及ぼす確率と、その重大性の程
度の関数。(CAC)
リスクは「許容できない食品安全上の基準逸脱が起こる可能性」であるが、品質上の基準
逸脱を含む場合もある。
注記:CACの用語の「リスク」は、公衆衛生問題に適している。それは安全関連の問題を
扱うが、品質関連の問題は範囲に含まない。
Risk analysis:リスク分析
リスクアセスメント、リスクマネジメント、リスクコミュニケーションの3つの要素から
なる過程。(CAC)
注記:危害分析は食品製造業者が責任を持って行うが、リスク分析は公衆衛生の問題であ
る。
8
Risk Assessment:リスクアセスメント
リスクアセスメントは、ハザードとリスク因子が特定/同定 (2) され、リスクが算出される、
リスク分析手順の科学的な部分である。
リスクのエンドポイントの算出とは別に、開発されたリスクモデルは、リスクに最も寄
与するフードチェーンの部分を決定したり、フードチェーンを通じて手順や工程を変えた
場合のリスクレベルに及ぼす影響を明らかにすることに役立つ。
リスクアセスメントは次の4つの要素からなる。
-ハザードの特定/同定。製品または工程における、危害や汚染物質の特定/同定。
- エクスポージャアセスメント。消費者におけるハザードの摂取状況の評価。
-ハザードの特徴付け。多くの場合、量-反応関係を用いたハザードへの暴露状況と公
衆衛生に対する(病気・死亡などの)影響との関連付け。
-リスクの特徴付け。暴露(摂取)状況と、量-反応評価(影響)を用いたリスクの算
出。
注(2):この用語は“Identify”の和訳である。機械類の安全性を定めるJIS規格では,Identifyを“同
定”という用語に統一して使用している。しかし衛生管理関連文書では“特定”と訳されること
が多いことから、ここでは併記する。
Risk Management:リスクマネジメント
リスクマネジメントとは、リスクの許容性を評価すること、また必要に応じて、このリス
クを低下させる措置を実施することである。
Risk Communication:リスクコミュニケーション
リスクコミュニケーションは、リスクアセッサ(科学者)とリスクマネージャ(規制管理
者、産業界、政府機関など)の透明なコミュニケーションを含む。リスクアセスメントと
リスクマネジメントの結果は、より広く、消費者を含む利害関係者に伝えるべきである。
Risk zone:リスクゾーン(Zoning:ゾーニングの項参照)
S
Sanitation:衛生(米国)
食品産業の一般的用語である衛生[hygiene]と等しい。
SanitizingまたはSanitization:衛生化(米国)
洗浄した面に行う処置。多量の熱湯、熱風、水蒸気又は、EPA 登録殺菌剤を、仕様書の指
示に従って使用することによって、最も抵抗力のあるヒト病原菌の数を、少なくとも
99.999%~99.99999%減らす。衛生化は、熱湯、熱風、水蒸気、又は承認された殺菌剤を
用いて、機械的な方法又は手作業による方法で実施される。
9
Sanitizer:殺菌剤(米国)
機械装置の表面における微生物汚染を、公衆衛生にとって安全であるとみなされるレベル
まで減少させる物質。食品接触部に用いる殺菌剤の公式なテストによると、殺菌剤とは、
基準となる2つの微生物、黄色ブドウ球菌と大腸菌の数を、25°Cで、30秒以内に99.999%
減少させる化学物質である。食品非接触部の殺菌剤は、5分以内に99.9%、菌数を減少させ
なければならない。
Soil:汚れ
設備や工程環境に残った必要としない物質。微生物を含む場合も含まない場合もある。
Solutions:溶液
水洗、洗浄、すすぎ、消毒に用いられる、水及び洗浄剤や消毒剤と水の均一な混合物
Splash contact surfaces:飛散部
通常の使用で汚れがたまりやすい製品非接触部。製品本体や容器へ、汚れが落下、流入す
るのを防ぐため、日常的な洗浄が必要である。
Sterilization:滅菌
細菌胞子を含む、あらゆる種類の微生物を取り除く、または殺すことを目的とするプロセ
ス。
注記1:米国における商業的滅菌は、公衆衛生に重大な影響を及ぼすあらゆる微生物を不
活性化し、通常の条件での保存で腐敗しないようにすることである。
注記2:英国では、今でも消毒の意味で用いられる。
注記3:滅菌は食品に対する処理にも適用される。
Sterilization-in-Place(SIP):SIP
生産ライン及び個々の機械を分解せずに行う滅菌。
Surface rupture:表面破断
表面処理において,ショットブラストやビーズブラストの媒体が衝突することにより、表
面が割れたり裂けたりする,不適切な状態をもたらす現象。拡大して観察すると、表面の
損傷は一般に魚鱗に似た形状をしており、その下の開口部は、投射剤やビーズの元の方向
に向いている。これらの開口部は、汚れや微生物が付着する事があり,その場合,洗浄が
困難となる。
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Surface treatment:表面処理
表面における、化学的特性や機械的特性を変える処理。
U
Ultra-clean process:ウルトラクリーン・プロセス
事前に消毒した設備を用いて行うプロセス。稼働中も設備は、製品の安全性と適合性を損
なう恐れのある微生物によって再汚染されることから守られる。
注意:最初の微生物負荷を低減し、再汚染を防ぐ措置は、無菌工程で行われるプロセスほ
ど厳格でなくてもよい。完全滅菌や無菌は、環境ではなくプロセスラインを指す。
V
Validation:妥当性確認
HACCPプランの構成要素が効果的であるという証拠を得ること。(CAC)
食品における特定の危害をコントロールするために選択した食品衛生管理措置が、危害を、
指定したレベルまで抑えられるという証拠を得ること。(CAC暫定案)
注記:ISO 9000-2000では、このプロセスは適格性確認[qualification]と呼ばれている。
妥当性確認は、たとえば「洗浄の妥当性確認」のように、より広い意味で使われる。一般
に妥当性確認は、特定の工程があらかじめ定めた目標を一貫して満たすことを保証する文
書化された証拠の確立が目的である。
洗浄工程の場合:洗浄された設備で加工される次のロットの製品が、食品接触部に悪影響
を与える恐れがある微生物、化学物質、異物、環境の残留物に汚染されないことを確認す
ること。
Verification:検証
HACCPプランの順守を判定するためのモニタリング、方法、手順、テスト、その他の評
価の適用。(CAC)
注記:ISO 9000-2000では、この措置は妥当性確認[validation]と呼ばれており、混乱
を招くかもしれない。
より広い意味では、監査、レビュー、検査、調査、テスト、照合などを含む活動を表すこ
とがある。これらは、製品、工程、サービス、文書などが、品質、特に、たとえば HACCP
プランに見られるような食品の安全に関して、指定された要求事項を満たしているかどう
かを示す。
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W
Wet cleaning:ウェット洗浄
(CIPに対するものとしてのCOP。特にCIPを参照)
ウェット洗浄は、設備や加工環境の洗浄を意味する。製品が露出せず、使用する水の量と
拡散が制限される場合にのみ実施される洗浄の手順ウェット洗浄の主な目的は、微生物の
有無にかかわらず汚れを取り除くことである。
注記:目的は、基本的に、使用する水の量を可能な限り減らすこと、また洗浄後、すばや
く可能な限りドライな状態にさせることである。これは特に、アイスクリーム、チーズ、
冷蔵製品の加工区域における、リステリア菌数の増加リスクを減少させることを目的とし
た手順である。
これは、『Controlled wet cleaning』とも呼ばれる。
Z
Zoning:ゾーニング
プラントにおける異なる衛生レベルの作業区域を物理的、または視覚的に区分けする。
関連する用語と説明。以下は、EHEDGにおける使用の提案である。
Controlled environment:コントロールされた環境は、すべてのゾーニングを指すが、高
度衛生事例との関連がより強いと思われる
すべてのプラントや工程において,部分的な影響が常に関与することから、明確にゾーニ
ングすることはできない。最も重要なことは、工程と消費者の安全要求事項を考慮した、
ゾーニングが,危害の発生予防のための衛生管理プログラムに適合することである。
高レベルの衛生(High hygiene) = 高度管理または高リスク
IDFの説明:汚染や微生物の増殖が起こりやすい製品や材料の加工、処置、処理、保存が
行われる,プラント内の重要な衛生区域。
次の製品と材料が加工または貯蔵される、プラント内の区域。自然のままのもの、または
すぐに消費できるもので、健康にきわめて影響を受けやすい消費者(高齢者,乳幼児等)向
けのもの、あるいは冷蔵設備のある流通過程で扱われ、リステリア菌などの病原微生物が
増殖しやすいもの。
注記::「高リスク区域」も、たとえば新鮮な肉や鶏肉、生カカオ豆、生乳、野菜などを扱
う、病原菌が増殖する区域に用いる場合がある。これらの区域は、他の加工区域に高リス
クをもたらすため、病原菌の拡散を防ぐ適切な仕切りを設けるべきである。
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中レベルの衛生(Medium hygiene) =中レベル管理または中リスク
汚染されやすいが健康に影響を受けにくい消費者向けの製品、また、流通過程において、
微生物の増殖が不可能な製品の加工区域。さらに、高レベルの衛生区域に至る中間区域で
あるが、ある種の仕切りを通過しなければアクセスできない区域を指す場合がある。
基本レベルの衛生(Low(Basic)hygiene) = 基本レベル管理または低リスク
前記に比べて低いレベル(基本的)であるが、最低限のGHPは適用しなければならない区
域。基本レベルの衛生区域は、乾燥材料に関するEHEDG Doc. 26が示すように、さらに細
かく分割できる。
製品が汚染されにくく、最終包装で保護される区域。原料が、熱加工処理(CCP)の前に手
で扱われる区域となる場合がある。
例
全ゾーニングの洗浄に関連して、次の表に例をいくつか示すが、これらはガイドラインに
過ぎない。各事業所は、産業団体、消費者団体、関係機関、法令に基づいて、独自のゾー
ニング計画を作成しなければならない。
洗浄に関するゾーニング計画の例:
高レベルの衛生
中レベルの衛生
基本レベルの衛生
ウェット洗浄
冷蔵パスタ生産な
瓶詰め区域
新鮮な生乳の受乳
どわずかなケース
UHT充填
殺菌前の調合
アイスクリームと
冷凍食品の充填/
盛りつけ区域
ドライ洗浄
乳児用調製粉乳充
乾燥スープ、コーヒ 倉庫
填区域
ーの充填、チョコレ
ート成型
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参考文献
(1) 3-A Sanitary Standards, http://www.3-a.org
(2) British Standards Institute(英国規格協会)。BS EN ISO 14698-1:2003:Cleanrooms
and associated controlled environments. Biocontamination control. General principles
and methods(クリーンルーム及び関連制御環境。微生物汚染制御。一般原則及び方法)。
(http://bsonline.techindex.co.uk)
(3) British Standards Institute(英国規格協会)。BS 5283:1986:Glossary of terms
relating to disinfectants(消毒剤関連用語集)。(http://bsonline.techindex.co.uk)
(4) コーデックスCAC/RCP1- 1969, Rev. 3-1997, Amd. (1999)、Recommended
International Code of Practice : General principles of Food Hygiene including Annex
on HACCP System(推奨される国際作業規範:HACCPシステムの付録を含む食品衛生の
一般的原則)。以下でダウンロード可能。
ftp://ftp.fao.org/codex/standard/en/cxp_001e.pdf
(5) EHEDG Doc.26『乾燥粒子材料の加工プラントの衛生工学』、2003年11月。
(6) EN ISO 9000:2000。Quality Management systems. Fundamentals and Vocabulary.
(品質マネジメントシステム。基本と用語)
(7) IDF:International Dairy Federation/Fédération International de Laiterie (国際酪
農連盟), Diamant Building, Boulevard Auguste Reyers 80, 1030 Brussels
www.fil-idf.org
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