120年の歴史

120年の歴史
ロバート・ボッシュ生誕の地
1861年9月23日、創業者ロ
バート・ボッシュがドイツ南
西部ウルム近郊のアルベッ
クに生まれる
1886年、ボッシュの最初の作業場
1886年11月15日、ボッシュは、シュツットガ
ルト ローテビュール通り75B番地にあるビ
ルの1Fに「精密機械と電気技術作業場」
を開設する
1887 年、低圧マグネトー点火
装置を初めて開発
1887年、ロバート・ボッシュは
機械会社からの依頼により最
初の定置ガソリンエンジン用
低圧マグネトー点火装置を開
発。その後1902年に高圧マグ
ネトー点火装置が開発される
と、この発明は世界を席巻す
ることになる
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1888年、自転車で営業
にまわるロバート・ボッ
シュ
会社設立から最初の数
年間、ボッシュ社は機
械の組立作業を主な収
益源としていた。迅速で
良心的な仕事ぶりは顧
客から好評であった。ロ
バート・ボッシュが客先
をまわるための足は当
時の最新鋭の乗り物で
贅沢品とされていた自
転車だった
1897年、ド・ディオン・ブートン三輪車
1897年、ボッシュは初めて低圧マグネトー
点火装置を自動車に取り付ける実験を試
みた。最初は、ド・ディオン・ブートン三輪
車のイグニッションを交換して試された。ダ
イムラー社とメイベック社へのプレゼン
テーションの結果は、彼の遺した書簡の中
に誇らしげにこう書き残されている−「マグ
ネトー点火装置は一分間に100回の割合
で着火し、一分間に600回までは一度も停
止することはなかった」
1901年、最初の自社工場
「私は家主になりました!」
1900年、ロバート・ボッシュ
は友人にこう手紙を書き
送っている。ボッシュはシュ
ツットガルトのホッペンラウ
通りに土地と建物を購入し、
1901年、従業員45名の最初
の自社工場を建設する
マグネトー点火装置、10万個
を突破
マグネトー点火装置は世界的
な成功を収めていた。1906
年、記念すべき10万個目のタ
イプD6のマグネトー点火装置
が製造される。業績の向上と
ともに、ロバート・ボッシュは当
時としては画期的な一日8時
間労働を526名の従業員のた
めに導入した
1906年、新労働時間規則
1906年7月16日、ロバート・
ボッシュはドイツ企業家の
先駆者の一人として、当時
としては画期的な一日2交
替の8時間労働制を526名
の従業員のために導入し
た
アメリカ合衆国に建てられた最初の
工場
輸送料や税金による負担を軽減す
るために、1909年、アメリカ マサ
チューセッツ州スプリングフィールド
にボッシュのアメリカにおける最初の
工場「ボッシュ マグネトー カンパ
ニー」が設立される
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1910 年、「メフィスト」広告
ポスター
第一次世界大戦前の最も
有名な広告ポスターのひ
とつ「メフィスト」が、シュ
ツットガルトの広告会社プ
ロパガンダ社により作成さ
れた
1913年、最初のボッシュ・
ヘッドライト
ボッシュは1910年の終わ
りに、スパークプラグ付き
高圧マグネトー点火装
置、ヘッドライト、オルタ
ネーター、ガバナースイッ
チなどの電気制御による
電装品から成る完全なシ
ステムを紹介した最初の
自動車部品メーカーであ
る
1913年、スパークプラグ
の広告ポスター
ルシアン・ベルンハルド
によって制作されたス
パークプラグの広告ポス
ター。ボッシュの商標ロ
ゴである「アンカーマー
ク」の初期のデザインが
描かれている
ボッシュ・ホーン
1921年、ベルリンの自動
車展示会でボッシュ・ホー
ンはセンセーションを巻き
起こした。この2年後まで
に約10万個のボッシュ・
ホーンが生産され、ボッ
シュの名はホーンの代名
詞になった
ボッシュ・サービス・ステー
ション
1920年代始めには、自動
車台数の増加に伴い顧客
へのメンテナンス・サービ
ス・ネットワークが必要とな
り、ボッシュ・サービス・ス
テーションが設立された
自動車用バッテリーの図式
ボッシュとバッテリーは切り離
して考えることはできない。車
両用バッテリーの生産は、
1922 年のオートバイ用バッテ
リーを皮切りに、1927 年には
自動車用バッテリーも生産さ
れるようになった。この再充
電可能なエネルギー源はエン
ジンを始動するのに不可欠な
ものとなった
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1926年、ボッシュ・フロント・ワイ
パー
1908年にはすでにプロシアのハ
インリッヒ公爵が、いわゆる「ワイ
プ・ルーラー」で特許を取得して
いた。しかし、その後何年かの間
に実用化されたすべてのワイ
パーは、日常の使用に耐えられ
るものではなかった。ボッシュ・ワ
イパーは効果的かつ信頼性が高
く、その使用目的を満足する初め
てのワイパーであった。その特徴
は、それまでの吸気動力ではな
く、電動モーターによる作動方式
を採用した初めてのワイパーで
ある
1927年、最初のボッシュ・ディー
ゼル インジェクション ポンプ
低燃費を実現したディーゼル ユ
ニットを搭載する今日の貨物輸
送車は、ロバート・ボッシュ社の
広範な研究成果を抜きには考え
られない。ボッシュ社は初の
ディーゼル インジェクション ポン
プを開発し、標準化させ、ディー
ゼル式の成功への道を開いた
のである
ブラウプンクト・カーラジオ
1930 年から始まったベルリン・
1932年、最初のボッシュ・ドリル イデアル社との技術協力のも
小さな電動エンジンによって、 と、1932年、ボッシュはヨーロッ
まったく新しい応用分野がボッ パで最初のカーラジオを
シュ社に開かれた。それは工
Blaupunkt(ブラウプンクト)という
場、作業現場、家庭における作 商品名で生産開始した。1936年
業工程を大幅に軽減するもの のこのモデルは初期モデルと構
であった。「ハンドル付きエンジ 造は似ているが、より小型で大
ン」と称されたポータブル型電 量生産された製品である
動工具の登場である。この初
の電動ドリルは、ボッシュ社の
工場の製造過程でまず使用さ
れた
1936年、見習い工の製作した
部品をチェックするロバート・
ボッシュ
ロバート・ボッシュは見習い工
最初のボッシュ製冷蔵庫 に良い教育を受けさせること
ライプチヒの春の見本市 が重要であると常に考えてい
で、ボッシュは家庭用電 た。1913年、ボッシュは見習い
化製品市場への初参入と 工のためのワークショップをす
なる冷蔵庫を登場させ、 でに設立していた
産業界や消費者を驚か
せた
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乗用車用ボッシュ・ディーゼ
ル噴射装置
1936年、ボッシュ社はディー
ゼル噴射装置を車両に導入
した。これにより、小排気量、
高回転型な乗用車用エンジ
ンでの、低燃費が可能になっ
た。この乗用車用ディーゼル
噴射装置はメルセデス・ベン
ツ260ディーゼルのシリーズ
に初めて装着された
シュツットガルトにあるロバー
ト・ボッシュ病院
1936年、ロバート・ボッシュは
彼の75才の誕生日と会社設
立50周年の記念に、長年の希
望であった病院を寄贈した。こ
の病院は、1940年4月にはベッ
ド数360まで拡張し、1973年に
は近隣の新しい建物へ転居し
た。
創業者ロバート・ボッ
シュ死去
1942年3月12日、創業
者ロバート・ボッシュ死
去。享年80才
ボッシュ・燃料噴射装置
1950年、グ−トブロート社は近
代的な小型車を市場に披露し
た。この車は「スペリア600」と
呼ばれ、ヨーロッパで初めての
ボッシュ製燃料噴射装置が標
準装備されていた。この燃料
噴射装置は 2 年後にはメルセ
デス・ベンツ 300SL をはじめと
した大型エンジンに導入され
た。1967 年、ボッシュ社は初
の電子制御式燃料噴射装置を
全世界に発表した。
「ノイツァイト(新時代)」
1952年のシュツットガル
ト生産拠点
1952年、シュツットガルト
の商業地区にあったボッ
シュ社の生産拠点。濃い
色の建物がボッシュ社の
自社工場である
1956年、最初のボッシュ・冷
凍庫
「いつでもとれたて」という宣
伝文句で、ボッシュ社は最初
の冷凍庫を売り込んだ。重さ
110kgのこの冷凍庫は最大
130リットルの冷凍食品を18℃の温度で一定に保存す
ることができた。1959年に生
産開始してから、ボッシュ社
はホテル、仕出し業者、食品
小売業者向けに冷蔵庫並み
の大きなサイズの冷凍庫や
冷凍庫付き冷蔵庫を製造・販
売し、この事業を拡大して
いった
1958年、最初のボッシュ・
洗濯機
1950年代、ボッシュ社は
1952年のキッチン用電化製
品の発表に続いて、洗濯機
の生産を開始し、次々と家
庭用電化製品の領域を広
げた。1958 年からは、この
量産化を開始した。その
後、絶え間ない開発を続
け、1960年には全自動洗
濯機を、また洗浄と乾燥を
ひとつにした一体型洗濯・
乾燥機を1967 年に発表し
た。
ロバート・ボッシュ財団の本部
が置かれる、ロバート・ボッ
シュが住んだ家
シュツットガルトのゲンスハイ
デの丘には、ロバート・ボッ
シュが自身と家族のために建
てた邸宅がある。1986 年か
ら、この家には1964 年に創立
されたロバート・ボッシュ財団
の本部が置かれている。財団
はロバート・ボッシュ社の株式
の約90%以上を保有している
当時の「ノイツァイト」広告
1951年、今から55年前にヨーロッパ初
の電気フードプロセッサーとして登場し
た「ノイツァイト(新時代)」。
新しい時代をむかえ、女性の家事を助
け豊かな暮らしを提供したいとの思いを
こめた製品でした。そのその意志は現
在の「MUMシリーズ」にも生かされてい
ます。
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1964年、最初の皿洗い機
1964年に登場したボッシュ
製皿洗い機は当初、目立た
ない存在であった。皿洗い
機が一般家庭の台所で普
通に見かけられるようにな
るには、さらに20年の月日
を要した。今日では、ロバー
ト・ボッシュ・ハウスゲレーテ
(住宅機器)GmbHは22以上
のモデルタイプの皿洗い機
を製造している
1967年、電子制御ガソリン噴
射装置「ジェトロニック」
国際車両博覧会(IAA)でボッ
シュは低燃費と低排ガスを同
時に実現し、運転性能を高め
る、燃料噴射装置「ジェトロ
ニック」を発表した。他の通常
のキャブレターと比較して画期
的だったのは、電子制御装置
の働きで各シリンダへ常に適
量の燃料を噴射することを可
能にした点であった。この装置
を搭載した最初の自動車は
VW 1600TLであった
1971年、本社がシラ
ヘーエへ移転
事業の拡張に伴い、製
造やオフィスワークの
本社拠点として、シュ
ツットガルトの商業地
区にあった建物ではす
でにスペースが足りな
くなっていた。そのた
め、ロバート・ボッシュ
GmbHは本社の新しい
建設用地として、シュ
ツットガルト郊外、ゲー
リンゲンの小高い丘に
あるシラヘーエを選ん
だ。新社屋は1971年に
完成した
1972 年、ロバート・ボッシュ包装機
会社(現在の包装機械事業部門)
の創設
ボッシュ・グループの比較的新し
い事業部門の1つは包装機械事
業部門である。ドイツ、オランダ、
インド、アメリカ合衆国、ブラジル
などを拠点に、薬品、化粧品、食
品、製菓などを適切に包装する機
械が作られている。
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1976 年、ボッシュ・旋回式
アームロボット
オートメーション技術部門では
工業用ロボットの製造も行
なっている。ボッシュ社はオー
トメーション技術部門の下に 7
つの事業部を設け、1997 年に
は世界中の従業員4700名で
16億5千万マルク(約1,018億
円)の利益を得た。
(換算レート:1DM=61.71円)
ABS
1978年、ボッシュ社は世界
初のABSを市場に導入し
た。このシステムは急停止
や滑りやすい路面での制
動時のホイール・ロックを
防ぐものである。ABS に加
え、ボッシュ社は駆動輪が
スピンするのを防ぐトラク
ション・コントロール・システ
ム ASRを1986 年より導入
した。写真はスウェーデン
北部でのテスト走行風景。
1979年、ボッシュ「モトロ
ニック」
BMW 732i は燃料噴射お
よび点火の電子統合制御
システム、ボッシュ「モトロ
ニック」を標準装備した初
めての車である。モトロ
ニックはアクセル ペダル
の踏み込み量やエンジン
温度のような、点火の工
程ごとに計算される数多く
のデータから、最適な燃
料噴射量や点火時期など
のパラメーターを制御す
る。このシステムはそれま
でのシステムより低燃費、
低排ガス、運転性能の最
適化を実現している。
1989 年、ブラウプン
クト社の「トラベルパ
イロット」
ヒルデスハイムにあ
るボッシュ社の子会
社、ブラウプンクト社
はカーラジオの生産
だけでなく、最先端
のカーナビゲーショ
ンシステムを開発
し、成功を収めてい
る。この「トラベルパ
イロット」ナビゲー
ションシステムは、近
年ではヨーロッパの
多くの乗用車に標準
装備されている。
1995年、エレクトロニッ
ク・スタビリティ・プログ
ラム(ESP)
エレクトロニック・スタビ
リティ・プログラム
(ESP)は、ボッシュの最
も新しい技術開発分野
であり、走行の安定性
確保に貢献する。危機
的な状況下ではABSと
ASRをサポートし車の
操縦性を維持するため
に各車輪の減速や加
速を制御する
1997年、ブラウプンクト社
電話機能付ラジオ
この装置は通常のカーラ
ジオ用の差込口に取り付
けられ、カーラジオと携帯
電話の機能を併せ持つ。
ハンド・フリーの状態でハ
ンドルを握ったまま電話
をかけることができ、さら
に音声認識システム
(VOCS 08)により、音声
による指示で様々な機能
を使いこなすことを可能
にしている
自主独立と社会貢献こそ
ボッシュ・スピリットの根幹
1886年、ドイツ・シュツットガルトで25歳の若き機械工が、今や全世
界で24万2千人以上のスタッフを擁すボッシュ・グループの原点である
「精密機械と電気技術のための工場」を開設しました。翌1887年、
ボッシュは最初の自社製品として、定置型ガソリンエンジン用の「低
圧マグネトー点火装置」を考案し、1902年には画期的なエンジン性能
の向上をもたらした「高圧マグネトー点火装置」と「点火プラグ」を
開発。自動車産業の歴史とともにボッシュは着実に成長を遂げ、その
発展に多大な貢献を果たしました。以来、今日まで、ボッシュは独立
独歩の事業展開を信条とし、既存の発想にとらわれない数多くの独創
的な最先端技術を開発してきました。
第一次世界大戦後、すでに自動車産業界の中核となる基盤を築きつつ
あったボッシュは、事業のさらなる多角化を図ります。1928年に最初
の電動工具を発売し、1932年にはユンカース社を買収、ガス製品へも
進出しました。1933年には家庭用電化製品の生産を開始。こうして自
動車機器テクノロジー、産業機器テクノロジー、消費財・建築関連テ
クノロジーなど様々な分野で展開する、現在の総合電気電子機器メー
カーへの第一歩を踏み出したのです。
独立性を尊ぶ精神は、1937年にそれまでの株式会社から「有限会社
(GmbH)」へと会社組織の形態を変更したことにも表れています。こ
れは自己責任で完結する有限会社ならば、利潤追求に左右されること
なく、長期的な視野に立った経営を貫徹できるという、創業者の意志
を反映したものでした。今日、ボッシュが多岐にわたる事業で、長期
的な研究開発が可能なのは、この創業当初の精神を変わらず保持して
いるからにほかなりません。
ボッシュのもうひとつの特徴に社会貢献活動があります。ボッシュは
創業者の精神を継承し、ロバート・ボッシュGmbHの株式の92%を保有
し、その配当を基金に充てている「ロバート・ボッシュ財団」を通じ
て、慈善事業や社会貢献を具現化し、自社の利益をすべて社会へ還元
しています。自主独立とサービスすなわち社会への貢献。この二つが
ボッシュの歴史と文化を形作る基本原則なのです。
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