特集 鉄道と航空

apan
Railway & Transport Review
第十九号(1999年3月)
成田はハブ空港になれるか
論説
特集
日本の国内航空の目覚ましい発展は、参入規制という保護政策と、財政危機
に陥った国鉄の低迷の結果でもあった。鉄道と航空の運賃差がなくなった現
在、旅客は所要時間やサービスの差を見て交通機関を選ぶ。鉄道がJ R として
再生し、新しい高速列車が投入された幾つかの区間では航空から旅客を奪い
返した。参入規制が緩和された結果、航空会社相互間の競争も激化した。多
様化する需要を前に、航空会社も鉄道会社も多くの課題に直面している。
鉄道と航空との市場競争
―鉄道高速化と航空の対応
塩見 英治
中央大学教授
35年が経過した日本の空港鉄道の経験
廣田 良輔
鹿島建設(株)専務取締役
ヒースロー・エクスプレス
ポール・ル・ブロンド
英国空港株式会社鉄道戦略部長
オスロの空港連絡高速鉄道
オーヴェ・ナルヴセン
ノルウェー国鉄空港連絡高速鉄道会社
広報部長
鉄道利用による空港発着能力の最適化
マリー・ピエール・ボリー
パリ空港公社
経営戦略部門マネージャー
フランス国鉄の空港連絡高速鉄道
航空と鉄道の結合の新しいあり方を開拓
するフランクフルト空港
ロバート A. ペイン
フランクフルト空港国際広報部長
香港新空港連絡鉄道
アラステア J. バッジ=リード
もう一つの視角から
香港都市鉄道公社
技術プロジェクト部長
新幹線電車の台車
岡本
勲
日本最初の空港連絡鉄道東京モノレールが浜松町・羽田空港間に開通してか
ら3 5 年が経ち、国内七空港に鉄道の乗り入れが実現した。羽田と成田の空港
連絡鉄道実現に至る経過をたどりながら、最近の連絡鉄道建設における助成
措置を説明し、これからの空港連絡鉄道のあるべき姿について論ずる。
ロンドンの大ターミナル、パディントン駅とヒースロー空港を結ぶヒース
ロー・エクスプレスは、1998年、英国空港会社(BAA)
によって開業し、利用
者数は急速に伸びている。B A A の鉄道部門責任者が新空港連絡鉄道の概要
と、今後の発展方向について解説する。
1998年10月に開業したオスロ空港連絡高速鉄道は、最高時速210kmで運転可能
なノルウェー最初の高速鉄道であり、同国では30年以上の空白を経て初めて建
設された鉄道でもある。オスロ市街から5 0 k m も離れた新空港は、この鉄道に
よって在来空港と変わらない時間で同市と結ばれ、トンネル漏水による暫定的
迂回運転にもかかわらず、すでに空港への旅行者の40%が利用している。
ヨーロッパにおける主要空港は飽和点に達しようとしており、発着枠の有効
利用のために航空旅客の一部を鉄道に転移させることは、空港当局にとって
重要な戦略である。1994年に完成したパリのシャルル・ドゴール空港のTGV
駅は、この戦略に基づいて、当初から空港公団によって設計された。
欧州統合市場の中心に位置し、道路、鉄道、内陸水路と綿密に結ばれたフラ
ンクフルト空港は、とりわけ航空と鉄道の協同輸送の先駆者と自認してい
る。1 972年に開業したフランクフルト空港駅は、当初近郊通勤型の列車のみ
が発着していたが、現在は長距離都市間列車が頻繁に発着し、ドイツ各地と
空港を結んでいる。今年春には空港第二駅が開業し、高速列車 I C E が乗り入
れて、航空と高速鉄道との継ぎ目のない輸送体系が実現する。
香港政庁が全額出資して設立した都市鉄道公社は、新空港連絡鉄道建設にあ
たり、増資、配当支払いの延期、不動産事業収益、借入金の四つの方法で所
要資金を確保した。空港連絡の専用列車と、近郊通勤列車の両方を同一線路
上で運転するために綿密な配慮が払われ、また市内駅で航空会社のチェック
インを行うため、車両と駅設備には特別の設計がなされた。
少女時代を東京で過ごし、いまパリ大学(ドーフィーヌ校)で日本語を専攻す
る学生となった著者が語る巨大都市東京の魅力。
東京の一ガイジン
ジョアンナ・レヴィー
今日の鉄道技術 6
鉄道と航空
鉄道総合技術研究所
鉄道総研の専門家による先端鉄道技術解説シリーズの六回目。新幹線の高速
運転を支える台車技術を詳細に説明する。
トピックス
1998年9月から11月まで
書 評
The Privatisation of Japanese National Railways: Railway Management, Market and Policy
by Tatsujiro Ishikawa and Mitsuhide Imashiro
Japanese Urban Railways: A Private-Public Comparison
by Fumitoshi Mizutani
写真特集
日本と世界の空港連絡鉄道
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