11月号

学校だより
おおとり
大鳥小
学校教育目標
はばたく子
◆やさしい子
平成26年11月4日
発行
【大鳥小学校Webページ】
検 索
http://www.edu.city.yokohama.jp/sch/es/ohtori/
〒231-0806
中区本牧町1-251
学校長 藤原 雅二 TEL 621-7700
◆たくましい子
◆かしこい子
脇役の大切さ
校長
藤原
雅二
気が付けば11月に入っており、平成26年も後2か月となりました。月日の経
つのは本当に早く、子どもたちの成長を嬉しく眺めているうちに、私も「老兵はた
だ消えゆくのみ」の存在になりそうです。せめて気持ちだけは若い衆に負けないよ
うに精進したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
さて、5年生の赤城宿泊体験学習は快晴の中、全ての活動を充実して行うことがで
き、大成功に終わりました。初日のウォークラリーとリンゴ狩りに始まり、夜の部
はナイトウォークやキャンプファイヤーで大いに盛り上がり、最終日はかまどの炎
と格闘しながらのカレー作りでチームワークを十分に発揮しました。特に鹿俣山登
山や玉原高原ハイキングでは、今年最も良いお天気に恵まれ、素晴らしい景色を堪
能しながら歩くことができました。登山の疲れも吹き飛ぶほどの頂上の景色だった
ようです。林間学園の方も「こんなに良い天気が3日間も続くなんて今までにない
ことです」とおっしゃっていました。めあてのCHEERFUL(元気・明るい)
を全員が意識して見事に達成することができました。
集団で行動するときにはよく“5分前行動の励行”と言われますが、5年生の皆
さんは随所で“15分前行動”を実践していましたので活動に遅れが全くありませ
んでした。これは我々大人も大いに見習わなくてはいけないことだと感じ入りまし
た。
ここまで頑張ってきた実行委員の皆さんも手応えを感じたようで、帰校式での晴
れやかな笑顔が素敵に輝いていました。大鳥小学校では、BSFや各活動の実行委
員などで主役になる方がたくさんいます。もちろん、リーダーがそれぞれに大変な
苦労をしながら創意・工夫を重ねて、素晴らしい活動にしています。そういった頑
張りが光り輝き、みんなから熱い賞賛を得ることができます。しかし、みんなが常
にリーダーという訳ではありません。リーダーだった人が、ある時は陰で支える人
になることも当然あります。私はこの“脇役”も大変重要なポジションであると考
えます。
(次頁へ)
【 1 】
(前頁より)
皆さんは俳優の福本清三さんという方をご存知でしょうか。名前は分からなくて
も、テレビや映画で見たことのある方は沢山いらっしゃると思います。時代劇で言う
ところの“斬られ役”である福本さんは「五万回斬られた男」と言われるほど数多く
の映画やテレビに出演しています。水戸黄門などでご覧になった方も多いと思いま
す。そして2003年に公開された、トム・クルーズ主演のハリウッド映画「ラスト
サムライ」に出演しました。その時の英語版公式サイトでは「kirareyaku」と紹介さ
れているそうです。映画ではトム・クルーズの護衛役を演じ、何度話しかけても全く
答えない不気味な役柄でトム・クルーズに負けない存在感を発揮し一躍有名になりま
した。その演技が認められ「ハリウッドに来ないか」とトムに誘われたそうです。し
かし、その後も福本さんは日本で“斬られ役”を淡々と続けます。決して奢らず、騒
がず「役があるだけでありがたい」と言いながら黙々と続けているそうです。出演し
てもセリフはほとんどなく、主役の人に斬られてあっという間にスクリーンから消え
てしまう福本さんが、初めて主役を演じたのが映画「太秦ライムライト」です。福本
さんはこの映画で、今年8月にカナダのモントリオールで開催された第18回ファン
タジア国際映画祭で、見事主演男優賞に輝くのです。その時のインタビューでは「ご
選考くださった方々には大変失礼なお話ですが、これは何かの間違いではないかと思
われ、落ち着かない気持ちで一杯です」といかにも福本さんらしいコメントを残して
います。私もこの「太秦ライムライト」を観て、福本さんの凛とした生きざまに共感
し、周りを引き込むオーラに真の大人を感じました。
決して楽ではない“斬られ役”を長年続けてきたのは、ひとえに映画、特に時代劇
が好きだったからでしょう。その役者魂の魅力からでしょうか、福本さんを慕う裏方
や俳優は大変多く、大御所と呼ばれる方からも「そろそろ、また斬らせてよ」とお願
いに来ることが多々あるそうです。私が福本さんのことを凄いなあと思うところは、
たとえ社会的な地位や名声を得ることはなく、誰に注目されることがなくても、自分
の選んだ役者稼業を地道にこつこつとやり続けていくところです。私は「世の中は、
こういった地味な方々の努力と脇役魂の上に成り立っているんだなあ」と感じていま
す。
新たな教育改革では、グローバル人材の育成が急務であると述べられています。優
れた才能や能力のある人間を伸ばす教育、社会的リーダーを育てる教育が求められて
いるのです。もちろんそれはそれで素晴らしいことだと思いますが、誰もがリーダー
になれるわけではありませんし、誰にも特別な才能があるわけではありません。リー
ダーを陰で支え活動をより良い方向にもっていく脇役の存在は大変重要です。華々し
いスポットライトが当たらなくても人は生きていきますし、充実した人生を送ること
は可能です。社会の片隅でまっすぐに生きる人々のほんのわずかな誇りや生きがいを
大切にしたいものです。グローバル化の行きつく先が格差社会や弱肉強食ではなく、
真の意味で脇役が光る協調を基盤とした社会になってほしいですね。
【 2 】