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1 柴田教授夜話(第 25 回)「ミニマリスト登場」 2015 年 7 月 9 日 ミニマ

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柴田教授夜話(第 25 回)「ミニマリスト登場」2015 年 7 月 9 日
■ミニマリストとは、必要最小限の生活用品しか所有しない生き方 (ミニマリズ
ム) を信念として貫く人間のことらしい。その急先鋒である佐々木典士 (ささき
ふみお) 氏は、著書『ぼくたちに、もうモノは必要ない。断捨離からミニマリス
トへ』の中で、なるべく余計な物品を所有しない生活スタイルを提唱している。
数日前、佐々木氏への取材を中心にミニマリストの生活風景を紹介する NHK の
テレビニュース番組『おはよう日本』を観て、目が点になった。
■同番組は、佐々木氏が自宅の一室のフローリングにちょこんと正座して、小
さなお膳で食事を摂る様子を映し出していた。床に家具らしきものは置かれて
おらず、壁にはカレンダーも見当たらなかった。別のシーンでは、小綺麗な集
合住宅に設置された共同調理場で作った料理を自室に持ち帰って食べる女性の
姿もあった。食材を共同管理の冷蔵庫で保存すれば、自室の空間はさらに広く
なる。トイレや風呂場は共同利用なのかな?調味料や食器類はどこに保管して
いるのかな?と想像は膨らむばかりである。
■私は物を捨てることが下手糞な人間である。自宅には夥しい書籍、レコード、
CD、映像ディスクなどが溢れかえり、職場の自室にはそれらに加えて数え切れ
ない病理標本やパラフィンブロックが積み上げられている。自宅でその光景を
みかねた家内が娘と一緒に『断捨離』を決行しようと思い立ったとき、私の必
死の嘆願に耳を傾け、決行を断念してくれたのは有り難いことだった。とある
有名な俳優が、何よりも大切にしていた大量の映画 DVD を、女優で掃除好きの
奥方が全て破棄してしまったときの、彼の悲しげな表情が忘れられない。彼に
同情を寄せる私を見て、家内が日本のあちこちで世間を騒がせている『ゴミ屋
敷の主』と私を重ね合わせたかどうかは知らない。訊くのも怖いが…。
■必要最小限の生活用品しか所有しない考え方は、前回話題にした「所有権を
放棄しアクセス権のみを購入する」ストリーミング方式 (『定額制電子音源聴き
放題』
『定額制電子書籍読み放題』) に通じるものがある。手元にレコードも CD
も印刷物も持たないポリシーの背景には、一体何が横たわっているのか。生ま
れながらにして豊かな時代に育った世代は、溢れかえる物品や情報を取捨選択
する必要に迫られている。これと対照的に、太平洋戦争の前後に貧しく質素な
幼少期を過ごした人々は『勿体ない』を口実に物を捨てたがらない。彼らに育
てられた我々の世代も親の影響を色濃く残している。では太古の昔から人は所
有することに執着してきたのか?答えは No!である。石器時代、移動しながらの
狩猟生活を送っていた人々に物品を所有する余裕はなかった。所有意識が芽生
えたのは、最後の氷河期が終わった 1 万年前、人類が定住生活 (農耕の発生とど
ちらが先かは統一見解に至っていない) を始めて以降である。ならば、国境を線
から面にして共同利用できる空間にすれば国家間の諍いは減るかも知れない。
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