遺伝の法則(PDF:196KB)

生物1学習指導案
1.単元名 遺伝 遺伝の法則
2.単元目標
(1)メンデル法則を中心に遺伝の規則性について理解し、生徒どうしで学び合うことができる。
(2)遺伝子と染色体との関係を連鎖や伴性遺伝を通して考え、自分自身に起きている現象であることを理解する。
(3)
「遺伝」の仕組みを図やモデルを使って説明でき、遺伝現象を確率的にとらえ、思考することができる。
(4)遺伝子の本体が DNA であることが明らかになってきた過程とその構造について説明できる。
3.指導の立場
(1)生徒観
2組は大学進学を志望するクラスである。センター試験を受験するクラスとして、課題や授業に真剣に取り組む。クラ
スの雰囲気が明るく、発問や指導にもきちんと答え、クラス全体が集中して学習しようとする雰囲気を持っている。実験
に対しても真剣に取り組み、納得のいくまで考えて答えを出そうと努力する。しかし、ミクロメーターの計算や浸透圧の
計算など数式で考察したり、グラフでまとめる単元は得意ではない。これから学ぶ「遺伝」は数学的センスが問われる内
容が多くなる。現2年生は、中学で遺伝を学んでない。それゆえ、遺伝の仕組みの基本は高校2年生で初めて学習するこ
とになり、戸惑う生徒も多い。また、計算が中心になり、遺伝は難しい・複雑で分かりにくいという印象を持つ生徒が多
い。
授業のスタートを誤った生徒は大学入試問題の時に苦労することになる。
この単元では基本事項をきちんと定着させ、
配偶子形成の仕組みを理解していく必要がある。それが身に付けば、あらゆる応用問題に強くなることができる。
(2)教材観
中学校の学習の中で、
「遺伝」分野は詳しく取り上げられていない。そのため高等学校ではまず、メンデルの法則を中心
に、遺伝の規則性など基礎的な知識、理解を中心とした学習から行う。遺伝の法則は確率的な現象に基づいているもので
あり、数学的な思考も必要となるため、生徒は苦手意識を持ちやすい。しかし一方で、数学的思考は、
「生物」の領域では
ほとんど扱われないため、生徒が理解した時に達成感を感じることができる。また、自分自身が持つ形質も両親からの遺
伝子を受け継いだ「遺伝」の結果であることから、身近な現象としてとらえ、興味を持ちやすい。
(3)指導観
生徒の興味・関心を引き出せるためにできるだけのヒトの遺伝子の例を多く取り入れ、興味・関心を出せるように心が
けていく。また、遺伝子の法則性を学ぶときには、演習活動を多く取り入れ、演習に取り組む楽しさ・達成感を感じさせ、
化学的に思考するおもしろさを伝えたい。さらに、
「遺伝」は数学的な確率論に基づくため、表計算ソフトを利用し、数学
的に処理することで、結果の表現の方法、考察の手順を整理させたい。また、
「遺伝」は確率論に基づく一方で、生命の素
晴らしさを感じさせたい。また、他行のデータと重ねることにより統計学的思考を生場世帯。そのために、実感するのが
難しい染色体の構造や遺伝子の動きなどにも理解しやすいよう、具体的な教材を使ってモデル化し、例えたり、視覚的に
うったえたりしていくよう心掛ける。さらに、パソコンでデータ処理する手法を学び、数学的発想を育てたい。
4.指導計画
第1編 生命の連続性 第3章 遺伝 【16時間】
1.遺伝の法則
(4時間)
(本時3時間目)
2.いろいろな遺伝
(2時間)
3.遺伝子と染色体
(8時間)
4.遺伝子の本体
(2時間)
5.本時案
(1)題目
遺伝の法則
(2)目標
・交配実験により、配偶子形成後染色体が半減し、受精により再びもとの染色体構成に戻るという現象を遺伝子構成と
ともに理解する。
・遺伝子が別々の染色体にあるとき、互いに関係することなく一遺伝子雑種と同じ法則で遺伝することを理解する。
1
(3)学習過程
学習活動
指導内容
○基本的な一遺伝子雑種の考え方 ○各純系も両親から優性形質を持つF1 の自家
を復習する。
受精によって誕生するF2 の表現型の分離比が
3:1であることを確認する。
・分離比が3:1であるということは、優性形
質が出現する可能性が3/4であることを確認
する。
○注目する形質、遺伝子を確認す ○発問をしながらリード文をしっかりととら
る。
えているか確認する。第一子を一緒に作りなが
○二つの形質について、表現型の組 ら、受精の仕組みをイメージさせる。
み合わせを考える。
○優性形質と劣性形質の2つの組み合わせな
○F2 の考えうる遺伝子型をあげる。 ので、全部で4通りであることを確認させる。
○ペアを組み、染色体モデルを使っ
て F1 の染色体を作る。
○染色体モデルを使い、染色体(大)と染色体
○ペアで F1 の遺伝子型を持つ両親 (小)を一枚ずつ差し出し、F1 の染色体構成
となり、手順に従って実験を行う。 を作らせる。F1の表現型と遺伝子型を作らせ
・結果をプリント及び教室のコンピ る。
ュータに入力する。
○実験手順を説明し、意図を理解させる。
○F1 のつくる配偶子の遺伝子型の ・前で演示を行い、その後、作業に入らせる。
分離比から交雑表を描き、理論値を
もとめる。
○コンピュータ上に表計算プログラムを立ち
○確率が一遺伝子雑種の計算と一 上げ、入力時にリアルタイムで結果が表示され
致することを確認する。
るようにする。表示にはプロジェクタを用い
る。
○表示された結果を基にF2 の表現型の分離比
を確認する。
・クラス全体の実験値をモニターに出し、グル
ープとの結果と比較させ、サンプルが多いほど
統計上理論値に近づくことを確認する。
○まとめをする。
時間
7分
基本的な一遺伝子
雑種の考え方を理
解しているか。
3分
3分
<染色体モデルの
利用>
・紙製染色体
10 分
モデルを使い、互
いに説明できてい
るか。
【技能】
<コンピュータ利
用>
12 分
○二つの遺伝子がお互いに関係することなく、 10 分
独立に遺伝する(一遺伝子雑種の法則に従う)
ことを確認させる。次回の予告を行う。
2
評価・備考
<授業用プリント
の利用>
確立について数学
的に考察できてい
るか。【思考・判
断・表現】
レポートに自分の
言葉で考察できて
いるか。