2015 年版 カンボジアにおける問題点と要望 1/2 貿易・投資円滑化

2015 年版
カンボジアにおける問題点と要望 1/2
カンボジアにおける問題点と要望
区分
意見元
9 輸出入規制・関 日製紙
税・通関規制
日製紙
14税制
16雇用
No 問題点
問題点内容
(1) 通関手続の不透
明・遅延
・税関での通関に際し、不明瞭な根拠で遅れが生じる事が多々ある。結果、一時 ・基準の明確化、文書化を進めてほしい。 ・カンボジア法
的に税金の仮払いが増加して資金繰りが苦しくなったり、操業の遅れが生じたり
する。
要望
準拠法
(対応)
・カンボジアは WTO 関税評価協定に加盟しており、2009 年 1 月に経過期間を終えている。
・電子通関システム(ASYCUDA)はカンボジアのシハヌークビルやラオス・ビエンチャン国境などにしか導入されておらず、申請には国境税関まで出向か
なければならない。システム自体がシャットダウンしたり、紙面申請での手続きが残っていたりする。(2012 年 9 月 6 日付ジェトロ通商弘報)
・2013 年 11 月、第 9 回日カンボジア官民合同会議において、カンボジア側から、2013 年 1 月にリスト化を決定しており、すべての公共サービスの料金及
び所要時間などについて各省庁へリスト作成を指示していると回答。
・2014 年 6 月 28 日、カンボジアは、「税関手続の簡素化及び調和に関する国際規約の改正議定書」(改正京都議定書)に加入。
(2) 免税輸入承認の恣 ・適格投資プロジェクトにおける設備や原材料の免税輸入に関して、カンボジア ・基準の明確化、文書化を進めてほしい。 ・カンボジア法
意性
開発評議会(CDC)の担当官の裁量により免税輸入の承認範囲・認可に要する
期間が異なる。
日機輸
(3) 不正輸入品の取締 ・不正な輸入品による市場の不公平な競争環境。
り不足
関税を正しく申告し、正しく納税している企業が不利となる。
・国境の管理強化により、不正な輸入業者
の取締り・摘発と罰則の強化。
日製紙
(1) 付加価値税登録の ・付加価値税の登録が義務化されているにも関わらず、登録していない企業が
多く、適切な納税が出来ない。
不徹底
・政府主導で各企業の登録を推進してほし ・カンボジア法
い。
日製紙
(2) 根拠が不明確な税 ・カンボジアにおいては、同じ年度について税務調査が合計 3 回あるが、調査官 ・迅速・正確な税務申告のためにも、細かく ・カンボジア税法
務調査指摘事項
による指摘事項について、根拠が明確に示されなかったり、論理・解釈が税法 適切に税法を整備し、又税務調査を行う
に基づくものではなかったりするケースがある。
調査官についても、定期的に適切に研修
を行うことにより、知識の更新・改正法規の
フォローアップを図り、スムースな税務申
告(調査)のスキームを徹底してほしい。
電線工
(3) サービス WHT(源 ・WHT(約 10%)は本来、サービス受領者が、サービス提供者の代わりに代金の ・ルール通り、WHT 還付をできるように税 ・Prakas 599 on the
enterprise’s deductible
泉徴収税)の未還 一部を源泉して、国税局に納める。但し、国税局からの還付がない実態のような 務局(GDT)に要請する。
withholding taxes
付
ので、WHT 負担をサービス受領者に二重に負わせる契約が多い。
(Prakas 599)
※サービス受領者が弱い立場にある場合、WHT を二重負担しないと、契約を
断られるケースがある。例:どうしても入居したい賃貸物件による賃貸料 WHT
の二重払い。
日製紙
(1) 最低賃金水準の急 ・縫製・製靴業セクターの最低賃金については、2013 年 5 月に月額 60 ドルから ・より多くのカンボジア人が雇用され、カン ・カンボジア法
激かつ頻繁な引上 80 ドルに、2014 年 2 月にも 100 ドルに引き上げられたにも拘らず、2015 年 1 ボジア国にとっても健全な速度で持続可
げ
月から当該賃金が再度 128 ドルに引き上げられる。頻繁かつ急激な賃上げは 能な経済成長をもたらす様な適度な間
当初想定していた投資計画に重大な影響を与え、ひいては投資家心理を冷え 隔・レベルでの最低賃金レベルの改定に
込ませることになる(新規投資の抑制・既存投資の撤退等)。
留めてほしい。
(対応)
・カンボジア政府は、最低賃金の引き上げは一定期間毎に行われる調査に基づき、地域的文化、国民生活を保障される価格を調査した上での決定を想
定しており、労働省内に WG を設置し、雇用者・労働者双方の意見を踏まえ今後も議論していくとのこと。
貿易・投資円滑化ビジネス協議会
2015 年版
区分
意見元
No 問題点
問題点内容
カンボジアにおける問題点と要望 2/2
要望
準拠法
・2013 年 12 月、労働諮問委員会は今後 5 年間の縫製・製靴業の工場労働者を対象とした月額の最低賃金の引き上げ(14 年 95 ドル、15 年 110 ドル、
16 年 126 ドル、17 年 143 ドル、18 年 167 ドル)を発表。17 年には 13 年に比べて 2 倍増となる。
・カンボジアの月額法廷最低賃金は、2014 年 100 米ドル(前年比 12.5%増)、2015 年 128 米ドル(28%増)、2016 年 140 米ドル(9.4%増)となっている。
19工業規格、基準 電線工
安全認証
(1) 電線の工業規格の ・電線規格が非常に曖昧に定義されているので、電線を購入する立場の人(電 ・現在、規定されている複数の規格を一つ ・Ministry of Industry,
Mines and Energy
定義の不明確
力公社含む)が電線を横並びに評価できていない。他メーカーの製品仕様の
に統一する(例:IEC)。
No. 701
比較ができていないので、同一仕様の比較検討が難しい。市販製品だと、同一
Prokas on
規格で販売する事が義務付けられていないので、原産国と価格でしか比較する
Establishment of
事ができない。
Specific Requirement of
条文の抜粋【In case a matter is not stipulated in the Technical
Electric Power Technical
Standards, IEC Standards shall be applied. If it is not covered in the
Standards of The
IEC standards, ISO Standards shall be applied. If it is not covered in
Kingdom of Cambodia
the ISO Standards, internationally recognized standards shall be
applied, subject to the approval by MIME.】
24 法制度の未整 日機輸
備、突然の変更
(1) 法制度の未整備・ ・法律の完成度がまだまだ未熟である事と、運用事例も少ない事から、新たな仕 ・中長期的には法制度の整備をお願いす
運用手続きの不透 組みやシステムを導入する場合に、どの様な法的な手続きが必要となり、どの
る。
明
省庁の担当であるのかが非常に曖昧。
・短期的には政府直轄の相談窓口等の設
また、担当省庁との交渉においても、前例がないものについては、その審査に 置により、迅速な事業判断が行えるような
非常に時間が掛かる。
仕組みを作って頂きたい。
かつ法律を改定する必要がある場合、時間の関係で事業をあきらめざるを得な
いケースもある。
26その他
(1) 電力供給・価格見 ・一部地域で電力引き下げが起きている等電力供給に関しての見通しが分から ・今後の電力供給及び価格見通しと発電所
通しの不透明
ないと共に電力問題の解決が見えない。
計画等について明確に教えて頂きたい。
・電力問題は産業発展阻害要因となるため
重要であることを認識して頂きたい。
(対応)
・カンボジアは電力需要の 56.3%をタイ、ベトナム、ラオスからの輸入に依存しており、計画停電も含め停電が頻繁に生じており(特に乾期の 4∼5 月が不
安定)電力供給が不安定である。また電力料金が隣国に較べて割高となっている(1kWh 当り 0.2 ドル)。
・2013 年 11 月、第 9 回日カンボジア官民合同会議において、カンボジア側から、次の通り回答。
①電力料金は現行 5 か年計画(2010 年∼15 年)で作成しているので、中間である今年の料金が急激に下がることはない。プノンペンの電力料金につい
ては、中国の借款による発電所からの電力を引いており、地方よりある程度安くなっている。
②2013 年に火力発電所の計画が 95%完成しており、水力発電所の計画が 85%進んでいる。
③今後、2014 年は乾季により電力の不足が見込まれるが、2015 年は現在建設中の発電所が稼働する予定であり、国内で必要な需要を全て賄うことが
できる見込み。
・カンボジア電力公社(EDC)では、今後の電力政策として、水力発電および石炭火力発電を二本柱とする方針であり、2020 年までに予想されるピーク
時の瞬間消費電力量を 1,538MW と見込み、2017 年以降は国内発電と輸入で 1,672MW を供給可能なため、需要をカバーできるとしている。
日商
貿易・投資円滑化ビジネス協議会