2006/11/20, 27 土の保水(地下水上部の水分分布) 毛細モデル 土の保水を,毛管の束とみなす.小さな管径ほど,より強く 保水され,地下水より上方でも水分を保持する. 高さ z 上部ほど小さな隙間で保水 (界面の曲率が小さい) 小さな隙間ほど強く保水 地下水 体積含水率 θ 隙間の大きさ r の割合 θ 水分保持曲線(水分特性関数) ローム 体積含水率 f(r) 割合 砂 粘質土 h∝ 1 r Log r 土中水圧力 - h 大きな間隙から排水 負圧(サクション) 大 体積含水率 θ 異なる土の水分保持曲線 粘質土 砂質土 水に溶けている成分 zカルシウム,カリウム←母材の塩基分 zアンモニア,硝酸,リン酸 ←腐植や生物の分泌物 z肥料 (N, P, Kその他) 養分 土中水の圧力 log ⎜h⎜ pF = log h 地域環境資源論 z陽イオン Ca2+, Na+ z陰イオン NO32-, PO42- 負圧の大きさ 1 2006/11/20, 27 水に溶けている養分 z 陽イオン Ca2+, Na+ z 陰イオン NO32-, PO42- 養分をひきつける荷電物 質の存在(粘土鉱物,腐 植) 植物の養分 腐植栄養説 z 根が有機物を吸収して生育 ギリシャのアリストテレス,ルネッサンス 時代へても支配的な学説 z 植物の利用には,濃度がある範囲内である必要 濃度が高すぎると浸透圧が高く,給水が困難。 植物のしおれ点 0.1モル (海水0.5モル) z 乾燥地の土中水濃度 0.1モル わが国の降雨後 0.01モル z テーヤの成功 大量の施肥,厩肥を投入した輪作体系に より,大幅な収量増加。 腐植は生命の産物 リービッヒの無機栄養説 ローズ,ギルバートの圃場実験 z 処理(堆肥量,耕うん法)の異なる小区画の圃場 を使って,いろいろな処理の効果を比較。 z 窒素は肥料として必要。 z 厩肥をした区は収量は高いが,化学肥料でもそ れに劣らない収量をうることができる。 z 腐植は炭素の給源ではない。 z 炭素の給源は空気中の二酸化炭素 z 動植物の腐敗によって生じるアンモニアが雨に 溶けて土中に供給される。 z 人造化学肥料の提案 リービッヒ理論の弱点 z 窒素肥料に対する誤った見解 「農業における進歩は,厩肥からの開放である」 経験と理論 z 経験則の一般化の落とし穴 「腐植の多い土は肥沃である」という経験則。 「腐植が多いとなぜ土は肥沃なのか」 科学(サイエンス) 化学 vs. 自然科学 z 化学では,純粋な系間の相互作用を研究するこ とが可能 (他の条件すべてを一定にして,ある要 因を変化させ,その効果を調べる)。 z 自然科学では,からみあった諸要因のもとで,対 象にアプローチしなければならない。 。 いろいろな側面からのアプローチ,数多くの測定 が必要。 z 経験則の一般化の落とし穴 窒素肥料を施用しないで肥沃性を保っている土を 見て,空中のアンモニア吸収を結論。 土中の荷電物質とイオン交換 NH4+ Soil イオンを多量に 交換できる土ほ ど肥沃性が高い. Ca2+ 地域環境資源論 2 2006/11/20, 27 土の中の荷電物質の大きさ いろいろな形の粘土鉱物 粘土鉱物の永久荷電(同型置換) 土の中の荷電物質 粘土鉱物の永久荷電(同型置換) pH依存荷電 粘土鉱物は,同型置換量とその位置で分類。 酸性 アルカリ性 結晶端面では,荷電が表面に突き出している。 重金属の特異吸着 地域環境資源論 3 2006/11/20, 27 イオン交換 粘土鉱物のpH依存荷電 NH4+が吸着された 分,K+が外液に追い 出される。 腐植のpH依存荷電 z粒子近傍(ニ重層内)では,電気的中性が保たれる。 z外液が変化すると,新たな平衡にむけてイオン交換が 生じる。 イオン交換 イオンの吸着のしやすさ Soil-K + + NH 4+ R Soil-NH 4+ + K + z価数が大きいほど吸着しやすい。 Ca2+ > Na+ ⎡Soil-NH +4 ⎤⎦ ⎡⎣ K + ⎤⎦ K=⎣ ⎡⎣Soil-K + ⎤⎦ ⎡⎣ NH 4+ ⎤⎦ z水和半径が大きいほど吸着しやすい。 イオン半径 nm 水和半径 nm 外液のNH4+が増加 Soil-K+減少,Soil-NH4+増加,K+増加 拡散二重層 拡散二重層の厚さ Li+ 0.060 0.24 Na+ 0.095 0.18 K+ 0.133 0.13 拡散二重層の厚さ z濃度が小さいほどイオンは拡散する。 吸引力 拡散 拡散 反発力 濃度 大 濃度 小 地域環境資源論 4 2006/11/20, 27 拡散二重層の厚さ 粘土とイオンの吸引力 z価数が小さいほどイオンは広がる。 Ca2+ < Na+ qq 静電気力 ∝ 1 2 2 距離 2+ 濃度 2+ Ca2+ Na+ モンモリロナイト バイデライト 表面の荷電に対してイオンは 拡散できない。 ベントナイトの構造 重金属の特異吸着 大 拡散二重層 小 小 透水性 大 zリン酸の吸着 火山灰土のアロフェンに強く吸着 z内海や湖の富栄養化 リン酸は土壌に吸着しやすい。 窒素は,還元状態(水田)では,アンモ ニア態(NH4+)となり,土壌に吸着され やすいのに対し,酸化状態(畑)では, 硝酸態(NO32-)となり,排出されやすい。 zイオン交換と植物の養分吸収 地域環境資源論 粒子表面からの距離 z銅 (Cu),カドミウム(Cd),亜鉛(Zn),水銀 (Hg),鉛(Pb),ヒ素(As),ニッケル(Ni),クロ ム(Cr) z選択的な特異吸着 pH依存荷電の非晶質の粘土との特異吸 着 z土壌のpHの溶解度 Cu, Zn, Cd, Mn, Feの溶解度はアルカリ化 で減少。 z土壌の酸化・還元と重金属の形態 土の研究と地域性 zトンプソンのイオン交換の発見 北西ヨーロッパの比較的若い土(モンモリ ロナイト) zマトソンによる非晶質性のアルミニウムや 鉄の役割の発見 z腐植栄養説とヨーロッパの地域性 z土は多様な成分からなる複雑な系である。 z科学(サイエンス)として,土の現象をどの ように普遍化するか? 5 2006/11/20, 27 拡散二重層の重なり z粒子間距離が小さいほど拡散二重層が重 なる。 粒子間の反発力が大きくなる 粒子間に水を吸い込もうとする力が 大きくなる 土中水の負圧が大きくなる 地域環境資源論 6
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