Ca2+ の吸着に着目したpH緩衝能を持つ 土中の石灰溶液の移動予測

Ca2+の吸着に着目したpH緩衝能を持つ
土中の石灰溶液の移動予測
土壌圏循環学研究室
506158 森崎 大樹
はじめに
建設残土を石灰で固化(処理土)
石灰溶液(アルカリ性)が流出
緩衝作用の高い関東ロームを敷土して流出を抑制
処理土
地下水
処理土
関東ローム
目的
1.関東ロームの緩衝能をCa2+の吸着でモデル化
2. 石灰溶液の浸透実験結果から関東ロームの吸着特性を決める
3.溶解度で処理土を表現
4.石灰溶液の浸透と処理土からのCa2+移動を予測
非分解性の吸着性化学物質の移動
溶質量変化
 2Cl
Cl
ρb  C a  C l

D

V
 t
t
z 2
z
吸着相 土中水
分散項
吸着濃度 Ca2+[mmol/g]
Ca2+濃度に注目した移流分散式(CDE)
移流項
0.5
吸着の最大値(CECの限界)
0.4
0.3
吸着の増加(CECの増加)
0.2
0.1
0
0
0.0045
0.009
0.0135
Ca2+溶液濃度[mol/L]
ラングミュラー吸着等温線
Ca2+の吸着特性で
pH緩衝能を表現する
K d  Cl
Ca 
1    Cl
土のpH緩衝能の原理
石灰溶液(高pH)
OH-と反応して緩衝作用
Soil-O- + H+
Soil-OH
陽イオン交換容量(CEC)の増加
2(Soil-O-)+Ca2+
(Soil-O-)2Ca2+
Ca2+が土に吸着する(イオン交換)
Ca2+の吸着量が多い=緩衝作用が大きい
関東ローム
20cm
13
11
実験結果
9
計算結果
pH
石灰溶液(0.0135mol/L)を
Jw=115 cm/hで浸透
関東ローム
7
5
3
流出液のpHを測定
1
0
14
10
pH   log
2[Ca 2 ]  107
35
70
ポアボリューム(積算流量/カラム内水分量)
カラム内の水が入れ替わった回数
カラム下端からの流出液のpH変化
関東ローム(内部分布)
※PV=ポアボリューム
カラム内の水が入れ替わった回数
0
位置[cm]
-5
-10
12PV
23PV
35PV
46PV
-15
-20
0
0.005 0.01 0.015 0
Ca2+濃度[mol/l]
0.25
0.5
Ca2+吸着量[mmol/g]
7
9
11
pH
・石灰溶液が吸着しながら浸透していく様子がわかった
・緩衝能が急になくなることがわかった
13
処理土-関東ローム
13
Jw=127 cm/hour
11
pH
9
7cm
処理土
固形の石灰
1cm
関東ローム
が含まれる
7
実験結果
計算結果
5
3
1
0
溶解度を処理土に与えた
※固形の石灰量は乾土当たり0.5%
50
100
150
200
ポアボリューム(積算流量/カラム内水分量)
カラム内の水が入れ替わった回数
カラム下端からの流出液のpH変化
処理土-関東ローム(内部分布)
※PV=ポアボリューム
カラム内の水が入れ替わった回数
0
位置[cm]
-2
初期分布
31PV
63PV
-4
95PV
-6
-8
0
0.00005
0.0001 0
Ca2+濃度[mol/l]
0.05
0.1
0.15 0
0.02
0.04
0.06 7
Ca2+吸着量[mmol/g] 石灰濃度[mmol/g]
9
11
pH
固形の石灰が上部から溶け出して、吸着しながら
浸透していく様子がわかった
13
埋設現場
現場の断面図
処理土
関東ローム層
シルト層(吸着なし)
境界条件
:NoFlux(水が流れない)
:一定フラックス0.4cm/day
730日後(約24ヶ月)
関東ローム層に吸着なし
濃度大
730日後(約24ヶ月)
関東ローム層に吸着あり
濃度小
関東ロームに吸着が
ある場合は2年経っても
Ca2+の流出が起きない
ことが分かった
おわりに
・ラングミュラーの吸着等温線を用いると
石灰溶液に対する緩衝能を表現できる
・石灰溶液の関東ロームにおける浸透と
処理土からのCa2+の流出を表現できた
・埋設現場でのCa2+の移動を表現できた