価格破壊 1995年│かかくはかい│ ☞物の 値段が 下落する現象。とくに1990 年代のバブル 経 済崩壊後、不況下の消費の低迷、急激な円高による輸入急 増、流通システムの変化などで、低価格競争が生じた。 「価格破壊*」の四文字は、1994年以降、流行語になった。商店の 店頭やスーパーマーケット、ディスカウントストアの広告には、 「超 目玉」 「激安」「9割引」の文字が並んだ。2割3割は当たり前という現 象だ。定価が消えているのである。価格破壊は、ティッシュペーパー や洗剤など日用品、卵など食料品、衣類や電化製品、旅行というあら ゆる商品に広がった。そのため、適正な商品の価格があるのかないの か、わからなくなっていた。 商品の価格は、もともと需要と供給のバランスで成り立っているが、 1990年代の不況下での供給過剰と消費低迷が続き、低価格競争が進 行した。価格破壊の要因の一つは、規制緩和に伴い、流通の仕組みを 変えたことにある。商品生産から販売までの流通業者のいくつかを省 略することで低価格を実現した。ディスカウントストアは、大量・一 括・現金で商品を仕入れる。また、大手のスーパーやコンビニが独自 に商品開発を行い、メーカーと共同で生産し、プライベート・ブラン ド(PB)として販売することで 低価格を生み出した。こうし 180 *価格破壊 この四文字が最初に使われたのは、 城山三郎『価格破壊』 (1969年「週刊読売」連載 /角川文庫)という小説である。小売業が小売価 格を決められない問題を取り上げている。 直下地震 1995年│ちょっかじしん│ ☞内陸部の活断層で発生する地震をいう。1995年の阪神・ 淡路大震災は、野島断層のずれによって大都市を襲った直 下型地震。以後、各地に活断層の存在が明らかになった。 1995年1月17日午前5時46分、マグニチュード(M)7.3の兵庫県南 部地震が発生した。この地震による激甚災害は、阪神・淡路大震災と 命名された。 震災による死者は6400余名、兵庫県の家屋被害(全壊・全焼・半壊・半焼) は22万8412棟(44万8930世帯) にのぼった(兵庫県資料)。ピーク時の避難 者数は31万6678名(1995年1月23日)、避難所は1153か所に及んだ。早 朝に発生した地震のため、窒息・圧死が77%であった(現・厚生労働省資料)。 経済的損害は約10兆円とされている。被害の大きかったのは、とく に野島断層に沿った地域であった。古いビルなどの建造物が横倒しに なったり阪神高速道路神戸線が倒壊したり、阪神電鉄の車両の横転な ど、大都市を襲った地震による被害の大きさは、多くの人々が都市直 下地震の恐ろしさを実感することになった。 阪神・淡路大震災は、ボランティア活動、義援金、公的支援、避難所、 避難者の生活支援、災害対策上の問題などについて、教訓と課題を提 起してきた。 ボランティア活動は、1年間 182 *新潟県中越地震 2004年10月23日に新潟県中越 地方を襲った直下型地震で、死者68名、住宅全壊 は3000棟余り。山間部で起きた地震で、土砂崩れ や山崩れがあった。 空中浮遊 1995年│くうちゅうふゆう│ ☞1995 年、地下鉄サリン事件を引き起こしたオウム真理教 が、修行の中で人が空中で浮揚していることをアピールし洗 「空中浮遊」が話題になった。 脳していたことから、 地下鉄サリン事件は、1995年3月20日、東京の数か所の地下鉄車 内で神経ガス「サリン」が散布され、乗客や駅員を死亡・負傷させた 無差別テロである。事件から2日後、新興宗教団体のオウム真理教に よって引き起こされた事件であると見て、山梨県上九一色村の教団本 部* を強制捜査した。同年5月16日には麻原彰晃(本名・松本智津夫) ら教 団幹部を逮捕した。その後の取り調べの中で、地下鉄サリン事件をは じめいくつもの事件を引き起こしていたこともわかってきた。 オウム真理教は、ヨガ道場から活動を広げ、1987年に宗教団体と して設立された。89年には東京都から宗教法人として認証されてい る。90年、「真理党」として衆議院議員総選挙に大量の立候補者をた てて臨むが、全員落選する。しかし、これと前後にして布教活動を活 発化させ、マスコミにもしばしば登場し、 「空中浮遊」ができるとい う超能力者であることを教団の看板にしてきた。麻原は信者から「尊 師」とか「グル」と呼ばれた。教団の幹部には、弁護士資格や医師免 許を取得する者もいた。オウ ム真理教の活動に対して、各 184 *教団本部 オウム真理教の宗教施設をサティア ンと称した。上一色村の施設で、サリンなどの化 学兵器を製造していた。教団は、各地に支部をつ くり、海外のモスクワなどにも支部を置いた。
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