平成18年度CFP®受験対策 ラストスパート用レジュメ 2006 【タックスプランニング】 ▼サンプル版 ~ 途中でページが省略されている部分があります ○ 法改正・税制改正のまとめ ○ CFP®試験頻出ポイント集 株式会社 住まいと 保険と資産管理 http://www.fpcom.net http://www.mylifenavi.net CFP®、CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®、およびサーティファイド ファイナンシャル プランナー®は、 CFP ボードの登録商標で、ライセンス契約の下に NPO 法人日本 FP 協会が使用を認めています。 ※このレジュメのプリントアウトに際しては、ファイル→印刷 の「拡大/縮小」の項目において、 「1 枚あたりのページ数:2 ページ」に設定して A4 用紙に印刷することをおすすめします。 株式会社 住まいと保険と資産管理 ○ CFP®ラストスパート用レジュメ 2006 「タックスプランニング」 目次 法改正・税制改正のまとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P3 1、国税と地方税、所得税概論・・・・・・・・・・・・・・・・・・P28 1-1 国税と地方税・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P28 1-2 所得税のしくみ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P29 2、各種所得の計算・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P33 2-1 総合課税(1)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P33 2-2 総合課税(2)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P44 2-3 分離課税・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P50 3、損益通算・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P58 4、所得控除・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P64 5、税額控除と定率減税・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P69 6、申告と納付・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P72 7、個人住民税、個人事業税・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P77 8、法人税概論/企業会計と課税所得・・・・・・・・・・・・・P83 9、損金・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P87 10、 法人成りのメリット・デメリット・・・・・・・・・・・・・・・P92 11、 消費税概論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P97 2 株式会社 住まいと保険と資産管理 ○ 法改正・税制改正のまとめ(平成16~18年) ここ数年、個人に係る所得税の改正(増税)が頻繁に行われています。 今後もその方向であることが明確になっています。 このレジュメは、改正の流れを掴んでいただきたく最低3年分の改正事項を掲載しております。 以下、平成16~18年度の税制改正のうち、相続税・贈与税関連を除き 主なものをまとめました。 平成18年度改正の主なもの [個人所得課税] ● 税源移譲に伴う改正 三位一体改革の一環として、所得税から個人住民税(国から地方)へ3兆円の税源移譲 に伴い平成19年度分以降の所得税・住民税の税率構造を改めます。 <所得税> ~平成18年度まで~ 課税所得 税率 ~平成19年度以降~ 課税所得 税率 ~330万円 10% ~195万円 5% 330万円~900万円 20% 195万円~330万円 10% 900万円~1,800万円 30% 330万円~695万円 20% 1,800万円~ 37% 695万円~900万円 23% 900万円~1,800万円 33% 1,800万円~ 40% <住民税> ~平成18年度まで~ 課税所得 税率 ~200万円 ~平成19年度以降~ 課税所得 税率 5% 200万円~700万円 10% 700万円~ 13% 一律 3 10% 株式会社 住まいと保険と資産管理 ● 定率減税 景気対策のために暫定的な税負担の軽減措置として導入された定率減税を 平成19年1月(個人住民税は6月)徴収分から廃止します。 《所得税》 【平成17年まで】 ☆ 所得税の20%相当額 【平成18年】 ☆ 所得税の10%相当額 20%相当額が25万円を 超える場合は 25万円 10%相当額が12万5千円を 超える場合は 12万5千円 《住民税》 【平成17年まで】 ☆ 住民税の15%相当額 15%相当額が4万円を 超える場合は4万円 【平成18年】 ☆ 住民税の7.5%相当額 【平成19年】 ☆ 廃止 【平成19年】 ☆ 廃止 7.5%相当額が2万円を 超える場合は2万円 [法人関連税制] ● 研究開発税制 試験研究費の総額に係る税額控除制度について、比較試験研究費を上回る部分の 税額控除割合に5%を加える措置を講じます。 研究開発税制における増加試験研究費の税額控除及び研究開発税制における 試験研究費の総額に係る税額控除制度の上乗せ措置は廃止します。 適用期間・・・平成18年4月1日から平成20年3月31日までの間に開始する 事業年度について適用します。 ● 情報基盤強化税制 産業競争力の向上に資する設備等で情報基盤の強化を促進するものの取得等をした 場合に、「基準取得価額の50%相当額の特別償却」と「10%相当額の特別税額控除」を 選択適用できる制度を創設します。(なお、IT 投資促進税制は廃止となります。) 適用期間・・・平成18年4月1日から平成20年3月31日までの間に取得等をする 対象設備について適用します。 4 株式会社 住まいと保険と資産管理 ● 中小企業投資促進税制 中小企業の生産性向上のための設備等(一定の機械装置・電子計算機・貨物自動車 ・内航船舶)の取得等をした場合に「7%相当額の特別税額控除」と「通常の減価償却に 取得価額の30%を上乗せする特別償却」の選択適用ができる制度について対象資産に 一定のソフトウェア等を加えるとともに適用期限を平成20年3月31日まで延長します。 ● 交際費等の損金不算入制度について (1) 交際費等の400万円の定額控除額が認められる法人の対象は、 資本金1億円以下の中小法人。 (2) 定額控除額(400万円)までの損金不算入割合は10%。 (3) 平成15年4月1日~平成20年3月31日までの間に開始する事業に適用されます。 (平成18年度改正で延長されました) ☆ 交際費等の損金不算入額は以下のとおりです。 資本金 交際費等の支出額 損金不算入額 1億円以下の法人 400万円以下の部分 10% 400万円超の部分 全額 全額 全額 1億円超の法人 (4) 損金不算入となる交際費等の範囲から ・ 1人あたり5,000円以下の飲食費(役職員間の飲食費を除く)を除外します。 ⇒つまり、損金算入できること。 5,000円の判断は基本的に消費税抜き。 ただし税込経理を行っている企業は消費税込みでの判断になる。 ● 同族会社の留保金課税の見直し 中小企業の財務基盤強化を後押しするため要件の抜本的見直しを行います。 (1) 「一定の同族会社に対する留保金課税の停止」の取り扱い <平成18年3月31日までに開始する事業年度>⇒今まで留保金課税不適用の条件 ① 設立後10年以内の中小企業者 ② 中小企業新事業活動促進法の経営革新計画の承認を受けた中小企業者で経営革新の ための事業を実施しているものの平成15年4月1日~平成18年3月31日までの間に 開始する事業年度。 ③ 前期末自己資本比率(自己資本(同族関係者からの借入金含む)/総資産)が50%以下 の中小法人(当期末資本金1億円以下)。 5 株式会社 住まいと保険と資産管理 <平成18年4月1日以後に開始する事業年度>⇒これ以後の留保金課税不適用の条件 中小企業新事業活動促進法の経営革新計画の承認を受けた中小企業者で経営革新の ための事業を実施しているものの平成18年4月1日~平成20年3月31日までの間に 開始する事業年度。 (上記①と③は廃止) (2) 同族会社の判定基準の改正 <平成18年3月31日までに開始する事業年度> 3株主グループによる株式の保有割合が50%超。 (判定は当該事業年度終了時の現況で行う) 同族会社となる持ち株割合 50%以下 自己 資本 比率 50%以下 50%超 50%超 同族会社ではない 適用なし 留保金課税 <平成18年4月1日以後に開始する事業年度> 1株主グループによる株式の保有割合が50%超。 (3) 留保控除額の改正 <平成18年3月31日までに開始する事業年度> ①~③のうち最も多い金額 ① 所得基準・・・所得等の金額×35% ② 定額基準・・・年1,500万円 ③ 積立金基準額・・・期末資本金の25%相当額-利益積立金 <平成18年4月1日以後に開始する事業年度> ①~④のうち最も多い金額 ① 所得基準・・・所得等の金額×40%(中小法人は50%) ② 定額基準・・・年2,000万円 ③ 積立金基準額・・・期末資本金の25%相当額-利益積立金 ④ 自己資本比率基準額・・・自己資本比率が30%に達するまでの額 (自己資本比率が30%未満の中小法人のみ) 【サンプル版】のため、次のページより合計 21 ページが省略されています。 6 株式会社 住まいと保険と資産管理 ○ CFP®試験頻出ポイント集 1.国税と地方税 所得税概論 1-1.税の種類 [国税と地方税] (1) 国税 ・・・所得税、法人税、相続税、贈与税、消費税、登録免許税、印紙税など (2) 地方税 道府県税 ・・・道府県民税、事業税、不動産取得税など 市町村税 ・・・市町村民税、固定資産税、都市計画税など [直接税と間接税] (1) 直接税・・・所得税、法人税、相続税、地価税、都道府県税、市町村税、固定資産税、 自動車税など(納税義務者=担税者) (2) 間接税・・・消費税、酒税、たばこ税など(納税義務者=担税者) (3) 直間比率・・・国の租税収入総額に占める直接税と間接税の割合をいう。 [課税要件] (1) 納税義務者・・・実際に納税を行う義務のある人。 (2) 課税対象・・・課税の対象となる物、行為、事実をいう。 ・ 所得税、法人税・・・稼いだ所得 ・ 相続税、贈与税・・・相続、贈与により取得した財産 ・ 消費税・・・資産譲渡、商品やサービスの購入、消費など (3) 課税標準・・・税額計算の基礎となるもの、税率を掛けるもとの金額。 ・ 所得税、法人税・・・一定の方法により計算した所得金額。 ・ 相続税、贈与税・・・一定の方法により評価された財産価額。 ・ 消費税・・・対価の額 (4) 税率・・・課税標準に対して適用する比率。 ・ 比例税率・・・課税標準の大きさに関係なく一定。 ・ 累進税率・・・課税標準が大きくなるとともに税率も大きくなる。 7 株式会社 住まいと保険と資産管理 1-2.所得税のしくみ [所得税の概要] (1) 暦年単位課税 個人が1月1日から12月31日までの1年間に得た所得に対して課税される。 (2) 所得とは・・・所得の金額=収入金額-必要経費 (3) 納税者本人が税額を計算して申告・納税を行う申告納税方式(10%~37%の4段階) (4) 超過累進課税 (5) 総合課税と分離課税(量的担税力と質的担税力) ① 原則的には、所得を10種類に分類してそれぞれの所得金額を算出し、 これらを合計して累進税率を課す。これを総合課税という。 ② 土地等・建物の譲渡所得、株式等に係る譲渡所得(申告分離課税選択分)、 山林所得、退職所得については別に単独で税率を課す。これを分離課税という。 (6) 主な非課税所得 ① 老人等の少額預貯金等一定の利子や財形貯蓄の利子のうち一定のもの ② 公的傷害年金、公的遺族年金等 ③ 生活用動産(30万円超の宝石・書画骨董等は除く)の譲渡 ④ 給与所得者の通勤手当(月額最高10万円)、職務上で通常要する旅費等 ⑤ 身体の障害に起因した損害保険の保険金、心身の損害についての慰謝料・ 賠償金等 [所得税の納税義務者と納税地] (1) 居住者 国内に住所を有しまたは現在まで引き続き1年以上居所を有する個人で、次の2種 ① 非永住者・・・ 国内に永住する意思がなく、かつ現在まで引き続き5年以下の期間 国内に住所または居所を有する個人(国内源泉所得および国外源泉所 得のうち国内で支払われたもの、国外から送金されたものが課税対象) ② 非永住者以外・・・ 非永住者以外の居住者(すべての所得が課税対象) (2) 非居住者 居住者以外の個人で国内源泉所得のみ課税対象となる。 (3) 納税地 国内に住所があればその住所が原則的な納税地になる。 8 株式会社 住まいと保険と資産管理 【チェック問題】 1. 法人税、所得税、消費税は全て国税である。 2. 不動産取得税は、不動産を取得した法人及び個人について課税されるが、所有権に係る 登記の後でよい。 3. 所得税は固定資産税と同様に賦課課税方式によって課税される。 4. 所得税は原則として超過累進課税である。 5. 退職所得は総合課税されず、他の所得と分離して課税される。 6. 譲渡所得にはその内容により総合課税となるものと分離課税となるものがあるが、 株式等に係る譲渡所得は分離課税となる。 7. 公的な年金収入については、政策上の見地から所得税については非課税とされている。 8. 固定資産税は道府県民税であるが、毎年10月31日現在における所有者に対して課税 される。 9. 居住者は、すべての所得に対して課税される。 10. 非居住者には、日本の所得税が課税されることはない。 11. わが国の税体系は所得税を基幹とした間接税中心の租税構造である。 9 株式会社 住まいと保険と資産管理 【解答、解説】 1.× 法人税、所得税は国税だが、消費税は4%が国税、1%が地方税である。 2.× 不動産取得税には所有権の有無に係る登記の有無は関係ない 3.× 固定資産税は賦課課税方式、所得税は申告納税方式である。 4.○ 株式等に係る譲渡所得など所得金額にかかわらず一定税率であるが、「原則と して」は超過累進課税となっている。 5.○ 退職所得は分離課税である。ただし退職所得の場合、税率は総合課税の税率を 適用する。 6.○ 譲渡所得の内、株式等に係る譲渡所得と土地等・建物に係る譲渡所得については、 分離課税となる。 7.× 老齢年金については雑所得として課税される。 8.× 固定資産税は市町村税である。ただし一定以上の大規模な償却資産については 道府県固定資産税として道府県税となる。また、1月1日現在における所有者に課税。 9.× 居住者でも非永住者に該当する場合は、国内源泉所得および国外源泉所得のうち 国内で支払われたもの、国外から送金されたものが課税対象となる。居住者のうち 非永住者に該当しなければ、すべての所得が課税対象となる。 10.× 非居住者であっても国内源泉所得については課税対象となる。 11.× 所得税・法人税・相続税は直接税である。 納税義務者と税負担者が同一人である税を直接税という 10 株式会社 住まいと保険と資産管理 ◎ ポイントのポイント! ★ 問題の出され方としては、「固定資産税の課税事業者は都道府県である。○か?×か?」 などの出題方法が多いのですが、CFPレベルではその知識、単独で回答できるものより 他の税金との関係や課税主体、税金全体の流れを理解した上での設問となっています。 ☆税率を掛けるまでの計算、税率を掛けた後、納付税額までの計算など・・・ 一つ一つ現在位置を確認しながら各種問題を解くようにしてください。 11 株式会社 住まいと保険と資産管理 2.各種所得の計算 2-1.総合課税 (1) [利子所得] (1) 利子所得の金額=収入金額(源泉徴収前の金額) (2) 利子所得となるもの ① 公社債の利子 ② 預貯金の利子 ③ 公社債投資信託(中期国債ファンドやMMF等)の収益の分配金など (3) 非課税になるもの ① 老人等の貯蓄に係る利子・・・元本350万円までの少額預金、郵便貯金、 少額公債の利子 ※ 2006年から老人(65歳以上の人)は対象から外れ、遺族基礎年金、 寡婦年金を受け取ることのできる妻や身体障害者手帳の交付を受けている人 が対象となる。 ② サラリーマンの財形貯蓄に係る利子・・・元本合計550万円までの財形住宅貯蓄、 財形年金貯蓄 ※ 財形年金貯蓄のうち、郵便貯金、郵便年金、保険商品にかかるものは 元本385万円まで。 ③ 当座預金の利子 ④ 納税準備預金の利子 (4) 利子所得は支払を受ける時、20%源泉徴収(所得税15%、住民税5%)されて課税は 終了する。確定申告はできない。(源泉分離課税) (5) (参考) 利子所得に該当しない利子 ① 役員等の勤務先預け金の利子・・・・・・・・雑所得 ② 学校債、組合債の利子・・・・・・・・・・・・・・・雑所得 ③ 割引債の償還差益・・・・・・・・・・・・・・・・・・雑所得 ④ 定期積金、相互掛金の給付補てん金・・・雑所得 ⑤ 抵当証券の利息・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・雑所得 ⑥ 友人、知人等に対する貸付金の利子・・・雑所得 12 株式会社 住まいと保険と資産管理 [配当所得] (1) 配当所得の金額=収入金額-株式等の元本を取得するための負債の利子 ※収入金額は源泉徴収前の金額 (2) 配当所得の収入となるもの ① 法人から受ける利益の配当。 ② 協同組合から受ける剰余金の分配。 ③ 相互保険会社から受ける基金利息。 ④ 公社債投資信託以外の証券投資信託の収益の分配など。 (3) 課税されない配当所得 ① オープン型証券投資信託に係る特別分配金 ② 元本350万円以下の老人等の証券投資信託の収益の分配 (なお老人(65歳以上の人)は2006年から対象外) ③ 元本550万円までの財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄に係る証券投資信託の 収益の分配(財形年金貯蓄のうち郵便貯金、郵便年金、保険商品に係るものは 元本385万円まで) (4) 課税方式 <未上場株式等の場合> ① 原則は総合課税(20%源泉徴収の上、要確定申告)で、配当控除の適用がある。 ② 1銘柄1回の配当が10万円(中間配当は5万円)以下の場合は、 少額配当(20%源泉徴収のみで確定申告不要、配当控除なし)を選択できる。 住民税は非課税。 <上場株式等の場合> 【配当等に対する源泉徴収率軽減の特例】 ① 平成15年4月1日以後に支払いを受ける一定の上場株式等の配当等について、 所得税の源泉徴収税率が20%から15%に軽減されます。 ② また平成15年4月1日以後5年間については優遇税率となります。 平成15年4月1日~平成15年12月31日 所得税10%(うち3%は地方交付税へ) 平成16年1月1日~平成20年3月31日 所得税7% 住民税3%(計10%) 平成20年4月1日以降 所得税15% 住民税5%(計20%) 【上場株式等の配当所得に係る「申告不要特例」の適用上限額の撤廃】 ① 平成15年4月1日以後に支払いを受ける一定の上場株式等の配当等では、 少額配当申告不要制度適用対象となる1回の支払い金額の適用上限が撤廃 される。 13 株式会社 住まいと保険と資産管理 ② つまり1銘柄1回の支払い金額が5万円(計算期間1年以上の場合は10万円) 超であっても、源泉徴収のみで納税が完了できる申告不要を選択できる。 ③ 総合課税を選択し、配当控除を利用することも可能である。 注: 「大口株主」(発行済株式総数の5%以上を保有する株主)については、 上場株式等であっても従来通りとなる。 (所得税20%が源泉徴収、所得税・住民税とも確定申告による総合課税、 少額配当申告不要制度選択可) 【住民税における少額配当に係る非課税措置の廃止】 平成16年1月1日以後に支払いを受ける上場株式等の配当等については、 住民税の少額配当(1銘柄1回5万円以下、1年計算の場合10万円以下)の 非課税措置は廃止となる。 (5) 配当所得に該当しない配当 ① 人格のない社団、財団から受ける収益の分配・・・雑所得 ② 保険会社から受ける契約者配当金・・・生保、損保保険料控除計算の際、 支払保険料から控除 ③ 土地信託の信託配当・・・内容に応じて、不動産所得または譲渡所得 14 株式会社 住まいと保険と資産管理 [不動産所得] (1) 不動産所得の金額=総収入金額-必要経費 (2) 不動産所得の収入金額となるもの ① 不動産(借地権等を含む)の貸付 ② 船舶・航空機の貸付 ③ ネオンサイン設置使用料など (3) 総収入金額と計上時期 ① 通常の地代、家賃等 支払日が定められている場合・・・その定められた日 請求があったときに支払うべきと定められている場合・・・請求をした日 支払日が定められていない場合・・・実際に支払いを受けた日 ② 権利金、礼金・・・資産の引渡しのあった日 ③ 更新料・・・契約の効力発生の日 ④ 敷金、保証金のうち賃借人に返還を要しない部分・・・返還がないことが確定した つど、確定した金額 (4) 必要経費 ① 租税公課 貸地、貸家にかかる固定資産税、都市計画税、印紙税、不動産取得税、 登録免許税等。 (所得税、住民税は必要経費にはならない) ② 貸家の修繕費などの管理費 支出した年度の必要経費として計上。 ※資本的支出は除く ☆ 資本的支出・・・資産の使用可能年数を延長させ、または資産の価値を 増加させるための支出。 ☆ 修繕費・・・・・・資産の現状維持、管理のための支出。 ③ 貸地・貸家にかかる借入金の利息 その年に属する期間に対応する部分を必要経費として計上。 ※業務開始前の期間に対応する部分は土地や建物の取得原価に算入する。 ④ 資産損失 不動産所得、事業所得、山林所得を生ずべき業務用固定資産の取り壊し、 除却、滅失などにより生じた損失。 ☆ 事業として営んでいる場合 ・・・資産損失の金額(保険などで補てんされる部分を除く) ☆ 事業として営んでいない場合 ・・・損失額のうち不動産所得の金額に達するまでの金額 15 株式会社 住まいと保険と資産管理 ⑤ 建替えに伴い支払った立退料、取壊費用 土地を譲渡するための取壊費用は譲渡所得の計算上、譲渡費用となる。 ⑥ 貸家にかかる損害保険料 ⑦ 一定の親族に対して支払う家賃など ⑧ 事業専従者控除額、青色事業専従者給与額 ⑨ 貸家にかかる減価償却費 (5) 事業的規模かどうかの判定 不動産の貸付け アパート等10室以上または独立家屋5棟以上で事業としての貸付けとなる。 16 株式会社 住まいと保険と資産管理 [事業所得] (1) 事業所得の金額=総収入金額-必要経費 (2) 事業所得の内容 農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業等の事業から生ずる所得。 事業とは・・・対価を得て継続的に業を行っていること。 (3) 総収入金額 総収入金額・・・その年において収入すべき金額が確定したもの。 ※商品を掛けで販売した場合には、本年中に代金の支払いがされなくても、 販売した年において総収入金額に計上する。(発生主義) (4) 必要経費 事業所得の総収入金額を得るためにかかった費用で、債務が確定したもの (償却費は除く)をいう。 ① 売上原価 年初商品棚卸高+本年商品仕入高-年末商品棚卸高 ② 租税公課 事業税、固定資産税、自動車税、印紙税等(所得税、住民税、延滞税等は 必要経費に算入できない。) ③ 借入金の利子 ④ 貸倒損失 売掛金や貸付金などの債権の全額が回収できない事が明らかな場合。 ⑤ 減価償却費 建物や機械装置などの取得価格を耐用年数にわたり各年の必要経費 として配分する手続き。 ☆ 定額法・・・(取得価格-残存価格)×定額法の償却率=1年分の償却費 ※残存価格=取得価格の10% ☆ 定率法・・・(取得価格-減価償却累計額)×定率法の償却率 =1年分の償却費 ※償却方法は納税者が選定して届ける。届けなかった場合には定額法になる。 ※1998年4月1日以降に取得した建物(本体のみ)は定額法のみの適用となる。 ⑥ 一定の親族に対して支払う家賃など その親族が負担した必要経費相当額。 17 株式会社 住まいと保険と資産管理 ⑦ 事業専従者控除額 白色申告者に一定の要件を満たした親族がいる場合に専従者1人につき 50万円(配偶者は86万円)を必要経費に算入できる。 ※ただし、 (不動産所得、事業所得、山林所得の合計額)÷(事業専従者人数+1) を限度とする。 ⑧ 青色事業専従者給与額 「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出した者に一定の要件を満たす 親族がいる場合、届け出た金額の範囲以内で金額が適正ならば給与、賞与を 必要経費として控除できる。 ⑨ 一定の要件を満たす親族 事業を営む者と生計を一にする親族(15歳以上)が、 その事業に原則その年を通じて6ケ月を超えて従事すること。 (5) 事業所得の課税方法 原則として他の所得と合計して総合課税の対象となる。 18 株式会社 住まいと保険と資産管理 [給与所得] (1) 給与所得の金額=収入金額-給与所得控除額 (2) 給与所得の収入金額となるもの ① 残業手当、住宅手当、家族手当などの諸手当 ② 不動産所得・事業所得・山林所得の計算上、必要経費とされた事業専従者控除額 や青色事業専従者給与 (3) 給与所得の収入金額にはならないもの ① 出張旅費や転任に伴う転居旅費などの職務遂行上のための旅費で通常必要と 認められるもの ② 通勤手当のうち通常必要と認められるもの(最高月10万円まで) ・ 片道35km以上45km未満・・・20,900円 (ただしその運賃相当額が20,900円超の場合は運賃相当額。10万円を限度) ・ 片道45km以上・・・24,500円 (ただしその運賃相当額が24,500円超の場合は運賃相当額。10万円を限度) (4) 給与所得控除額 ・ 180万円以下・・・・・・・・・・・・・・・収入金額×40%(最低65万円) ・ 180万円超360万円以下・・・・・収入金額×30%+18万円 ・ 360万円超660万円以下・・・・・収入金額×20%+54万円 ・ 660万円超1,000万円以下・・・収入金額×10%+120万円 ・ 1,000万円超・・・・・・・・・・・・・・・収入金額×5%+170万円 (5) 給与所得の課税 ① 給与所得者は原則として年末調整により所得税額を精算し、確定申告不要となる。 ② 2ケ所以上から給与支給されている場合、給与収入(支給総額)が2,000万円超の 場合などは、確定申告が必要となる。 19 株式会社 住まいと保険と資産管理 【チェック問題】 1. 利益の配当、剰余金の分配、公社債投資信託の収益の分配などが配当所得の収入と される。 2. 申告不要とできる少額配当は所得税で申告した場合でも住民税は非課税であり、所得税 で申告した場合は配当控除の適用を受けることができる。 3. 所得税において源泉分離課税を選択した配当所得には配当控除の適用はない。 その一方で住民税については非課税である。 4. 勤労者財形貯蓄(貯蓄型の場合)のうち、住宅財形と年金財形についてあわせて 元利合計で550万円までの利子は非課税である。 5. 借地権の設定などによる受ける権利金で、土地の価額の1/2を越える場合は不動産 所得ではなく、譲渡所得となる。 6. 不動産の貸付であっても事業的規模である場合は事業所得となる。 7. 不動産所得については事業的規模に関係なく、記帳要件等を満たせば青色申告特別 控除として45万円若しくは55万円の控除が認められる。 8. 不動産所得の計算上、借入利息はすべて必要経費とすることができる。 9. 給与所得者の場合、給与所得と退職所得以外の収入が20万円未満の場合は確定申告 をしなくてもよい。 10.年末調整において適用し忘れた各種控除がある場合、確定申告において控除を受ける ことはできない。 11.次の貸家の取得価額はいくらか。 取り壊した貸家の帳簿価額 300万円 新築貸家の建築費用 5,300万円 新築のための借入金利子 100万円 20 株式会社 住まいと保険と資産管理 【解答、解説】 1.× 公社債投資信託の収益の分配金は利子所得となる。公社債投資信託以外の証券 投資信託の収益の分配は配当所得。 2.○ 配当控除は、確定申告で配当所得を総合課税で申告した場合のみ適用することが できる。 3.× この場合、住民税については非課税とされず総合課税される。 4.○ 財形貯蓄の非課税限度額や少額預貯金等の利子(マル優)などの非課税制度に ついては「金融資産運用設計」を参照。 5.○ 6.× 事業的規模に関係なく不動産所得である。 7.× 事業的規模でなければ、青色申告特別控除は10万円となる。 8.× 借入利息についてはまったく新規に不動産事業をはじめる場合には取得原価を 構成するものもある。 9.× 10.× 所得は20万円未満ではなく20万円以下。収入と所得のひっかけにも注意。 確定申告でしか控除できないものは、所得控除では雑損控除、医療費控除、 寄付金控除がある。税額控除では配当控除や適用1年目のいわゆる住宅ローン 特別控除などがある。 11. 解答5,300万円 最初の資料に「取り壊した貸家」とあるので、すでに不動産事業 を開始している。この場合の借入れ利子は必要経費。 「新規事業」か「継続事業」かで取り扱いがことなるので注意が必要。 21 株式会社 住まいと保険と資産管理 ◎ポイントのポイント! ★ 確定申告不要制度を選択したうえでの配当所得の正しい金額の算定。 ★ 利息・税金・建築価額いろいろなものがごちゃまぜになった中での正しい取得価額の算定。 その後の減価償却計算や譲渡所得の計算に影響を及ぼすので重要度大。 ★ 給与収入金額から給与所得額の算定。 ★ 不動産所得の計算で収入に計上すべき正しい金額の把握。 係争があった場合・賃上げ交渉が難航している場合など実務に即した設問が多い。 【サンプル版】のため、次のページより約 60 ページが省略されています。 22
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