JP 2005-530820 A 2005.10.13 (57)【 要 約 】 本発明は単独の及び医薬として又は獣医学的に許容される担体を伴う硫酸に共有結合され た二水和デヒドロエピアンドロステロン、そのアナログ(単数又は複数)又は塩(単数又 は複数)を含む、及び約0.1μm∼約100μmの粒子サイズを有する、粉末製剤に関 する。本製剤は喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺の炎症、SARS、及び他の呼吸疾患又は状 態を治療する又は予防するために使用されうる。本製剤はジェット製粉により調製され、 そして呼吸腔又は他の経路をとおしてデリバリーされうる。本製剤は装置及び治療用キッ トにおいて提供される。 (2) JP 2005-530820 A 2005.10.13 【特許請求の範囲】 【請求項1】 剤及び医薬として又は獣医学的に許容される賦形剤を含む粉末医薬組成物であって、こ こで、上記剤は以下の化学式(I): 【化1】 10 {式中、RはH又はハロゲンを含む;5位のHはアルファ若しくはベータ配置又は両方の 配置のラセミ混合物で存在する;及びR1は多価無機又は有機ヂカルボン酸を含む。}で 20 表される化合物又はその医薬として若しくは獣医学的に許容される塩を含み、ここで、前 記化合物は二水和物結晶である;ここで、前記乾燥粉末医薬組成物は呼吸に適する又は吸 入可能なサイズの粒子である、前記粉末医薬組成物。 【請求項2】 前記多価無機酸はSO2OM、リン酸塩又は炭酸塩であり、ここで、上記多価有機ヂカ ルボン酸は琥珀酸塩、マレイン酸塩又はフマル酸塩であり;ここで、MはH、ナトリウム 、カリウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、リチウム、アンモニウム 、アミン、アルギニン、リジン、ヒスチヂン、トリエチルアミン、エタノールアミン、コ リン、トリエタノールアミン、プロカイン、ベンザチン、トロメタニン、ピローリヂン、 ピペラジン、ヂエチルアミン、スルファチド; 30 【化2】 又はフォスファチド; 40 【化3】 {式中、同じである又は異なる、R2及びR3は直鎖の又は分枝の(C1−C14)アルキル 50 (3) JP 2005-530820 A 2005.10.13 又はグルクロニド; 【化4】 10 を含む。}を含む、請求項1に記載の粉末医薬組成物。 【請求項3】 前記医薬として又は獣医学的に許容される賦形剤は、ラクトース、ヒトタンパク質、ウ シ血清アルブミン、ゼラチン、免疫グロブリン、ガラクトース、D−マンノース、ソルボ ース、トレハロース、スクロース、サイクロデキストリン、ラフィノース、マルトデキス トリン、デキストラン、グルタミン酸一ナトリウム、グリシン、アラニン、アルギニン又 はヒスチヂン、トリプトファン、チロシン、ロイシン、フェニルアラニン、ベタイン、硫 酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、グリセリン、エリスリトール、グリセロー ル、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、プロピレングリコール 20 、ポリエチレングリコール、プルロニクス、界面活性剤、及びそれらの混合物から選ばれ る1である、請求項1に記載の粉末医薬組成物。 【請求項4】 前記医薬として又は獣医学的に許容される賦形剤はラクトースである、請求項3に記載 の粉末医薬組成物。 【請求項5】 前記剤は以下の化学式(II): 【化5】 30 40 で表される化合物を含む、請求項1に記載の粉末医薬組成物。 【請求項6】 前記医薬として又は獣医学的に許容される賦形剤はラクトースである、請求項5に記載 の粉末医薬組成物。 【請求項7】 前記粉末医薬組成物は噴霧器、乾燥粉末吸入器、粉吹き器又はエーロゾル若しくはスプ レイ生成器を用いてデリバリー可能である、請求項1に記載の粉末医薬組成物。 【請求項8】 前記粉末医薬組成物は、微小化、霧吹き、超臨界流動体製粉又はジェット製粉により生 50 (4) JP 2005-530820 A 2005.10.13 成される、請求項1に記載の粉末医薬組成物。 【請求項9】 前記粒子の80%超は直径が約0.1μm∼約100μmである、請求項1に記載の粉 末医薬組成物。 【請求項10】 前記粒子の80%超は約0.1μm∼約50μmである、請求項9に記載の粉末医薬組 成物。 【請求項11】 前記粒子の80%超は約0.1μm∼約10μmである、請求項10に記載の粉末医薬 組成物。 10 【請求項12】 前記粒子の90%超は約0.1μm∼約5μmである、請求項11に記載の粉末医薬組 成物。 【請求項13】 アデノシンA1受容体の阻害剤、アデノシンA2b受容体の阻害剤、アデノシンA3受容体 の阻害剤、アデノシンA2a受容体刺激剤、抗炎症剤、抗菌剤、抗敗血症剤、腎臓活性維持 又は回復剤、及び肺の血管収縮、炎症、アレルギー、喘息、妨げられた呼吸、呼吸促迫症 候群、痛み、のう胞性線維症(CF)、肺の高血圧、肺の血管収縮、気腫、慢性閉塞性肺 疾患(COPD)、アレルギー性鼻炎(AR)、SARS、及び肺癌の治療のための剤か ら選ばれる治療用剤をさらに含む、請求項1に記載の粉末医薬組成物。 20 【請求項14】 噴霧器又は乾燥粉末吸入器及び請求項1に記載の粉末医薬組成物を含むキット。 【請求項15】 前記予防又は治療の必要のある患者に治療的に有効な量の請求項1に記載の粉末医薬組 成物を投与することを含む、喘息の予防又は治療方法。 【請求項16】 前記予防又は治療の必要のある患者に治療的に有効な量の請求項1に記載の粉末医薬組 成物を投与することを含む、慢性閉塞性肺疾患の予防又は治療方法。 【請求項17】 患者の組織におけるアデノシン値を減少させる又は枯渇させるために上記治療の必要の 30 ある患者に治療的に有効な量の請求項1に記載の粉末医薬組成物を投与することを含む、 患者の組織においてアデノシンを減少させる又は枯渇させる方法。 【請求項18】 患者は気道炎症、アレルギー、喘息、妨げられた呼吸、のう胞性線維症、慢性閉塞性肺 疾患、アレルギー性鼻炎、急性呼吸促迫症候群、微生物感染、SARS、肺の高血圧、肺 の炎症、気管支炎、気道閉塞又は気管支収縮を患う、請求項18に記載の方法。 【請求項19】 患者の組織におけるアデノシン値を減少させる及び障害を予防する又は治療するために 上記予防又は治療の必要のある患者に治療的に有効な量の請求項1に記載の粉末医薬組成 物を投与することを含む、患者の組織におけるアデノシンの高い値又はアデノシンに対す 40 る感受性に関連する障害又は症状の予防又は治療方法。 【請求項20】 前記障害又は症状は、気道炎症、アレルギー、喘息、妨げられた呼吸、のう胞性線維症 、慢性閉塞性肺疾患、アレルギー性鼻炎、急性呼吸促迫症候群、微生物感染、SARS、 肺の高血圧、肺の炎症、気管支炎、気道閉塞又は気管支収縮である、請求項19に記載の 方法。 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 発明の背景 50 (5) JP 2005-530820 A 2005.10.13 本願は2002年6月17日出願の米国仮特許出願第60/389,242号に基づく 優先権を主張する通常出願である;及び2003年6月11日出願の米国仮特許出願(代 理人書類番号02486.0077.PZUS00)に基づく優先権を主張する通常出願 である。 【背景技術】 【0002】 発明の分野 本発明は医薬として又は獣医学的に許容される担体及び多価無機若しくは有機ヂカルボ ン酸に共有結合されたデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)又はその医薬として若 しくは獣医学的に許容される塩を含む呼吸に適する乾燥粉末製剤に関する。上記乾燥粉末 10 化調剤の製剤及びデリバリーの、並びに喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)又は重篤急 性呼吸症候群(SARS)の如き、(細菌を含む)微生物若しくはウイルスが引き起こし た呼吸疾患を含む他の呼吸疾患若しくは症状の治療の方法。 【0003】 背景の記述 さまざまな疾患及び状態に関連する、喘息及びCOPD並びに他の呼吸病は一般集団に おいて非常によくあり、及びアフリカ系アメリカ人の如きある民族群においてはよりよく ある。呼吸病は微生物感染又は(SARSの如き)ウイルス感染を含む。多くの場合、そ れらは肺の状態を悪化させる炎症を伴う。例えば、喘息は産業化国において最もよくある 疾患の1である。米国においては、それは全健康介護コストの約1%の原因となる。過去 20 十年にわたる喘息の有病率及び死亡率における警戒すべき増大が報告されており、及び喘 息は今後十年において顕著な職業性肺疾患になると予想される。産業化国における喘息の 増大する死亡率はこの疾患の治療におけるベータアゴニストに対する信頼に帰することが できるが、喘息の根元的な原因はほとんど理解されていないままである。 【0004】 喘息は気道の変動性の、多くの場合可逆性の閉塞により特徴付けられる症状である。こ のプロセスは肺の炎症、及びいくつかの場合肺のアレルギーに関連する。多くの患者は「 喘息発作」といわれる急性エピソードを有し、一方、他は慢性状態に悩まされる。喘息の プロセスはいくつかの場合過敏性の患者による抗原の吸入により誘発されると考えられる 。この状態は一般的に「外因性喘息」といわれる。他の喘息は状態について内因性の素因 30 を有し、そのためそれは「内因性喘息」といわれ、及びアデノシン受容体(単数又は複数 )により仲介されるもの、免疫IgE仲介応答により仲介されるアレルギー状態、及びそ の他を含む、異なる起源の状態から成りうる。全ての喘息は、この状態の特徴である1群 の症状を有する:気管支収縮、肺の炎症及び減少した肺界面活性物質。現存の気管支拡張 薬及び抗炎症薬は現在商業的に入手可能であり、及び喘息の治療のために処方される。最 もよく知られる抗炎症薬、コルチコステロイドはかなりの副作用を有するが、にもかかわ らず通常処方される。喘息の治療に入手可能な薬物のほとんどは、より重要には、少数の 患者においてほとんど有効でない。 【0005】 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は気道における気流の持続した閉塞を引き起こす。CO 40 PDは、一般的に慢性気管支炎、気腫又は両方により引き起こされる気流閉塞により特徴 付けられる。通常、上記気流閉塞はほとんどの場合不可逆性である。慢性気管支炎では、 気道閉塞は異常な気道粘液の慢性及び過剰な分泌、炎症、気管支痙攣、及び感染から生ず る。慢性気管支炎はまた、慢性の咳の他の原因が除外される、少なくとも2の連続した年 における少なくとも3ヶ月間の慢性の咳、粘液生成又は両方により特徴付けられる。気腫 では、末端の細気管支における構造的要素(エラスチン)が破壊され、気道壁の崩壊及び 「新鮮でない」空気を吐き出すことの不能を引き起こす。気腫では、肺胞の永続的な破壊 がある。気腫は、末端の細気管支について遠位の気空間の異常な永続的な拡大、それに伴 うそれらの壁の破壊により特徴付けられ、及び明らかな線維症は伴わない。COPDはま た二次的な肺の高血圧の発生を与えうる。二次的な肺の高血圧それ自体は、肺動脈中の血 50 (6) JP 2005-530820 A 2005.10.13 圧が異常に高い障害である。重篤な場合、心臓の右側は高圧に対して血液を汲み出すため に通常より激しく働かなければならない。これが長期間続く場合、右心は拡大し、及びあ まり機能しなくなり、及び流体が足関節(浮腫)及び腹中に集まる。最終的に左心が衰え はじめる。肺疾患により引き起こされる心不全はcorpulmonaleと呼ばれる。 【0006】 COPDは特徴的に中年の及び老年の人々に影響し、及び全世界で罹患率及び死亡率の 主な原因の1である。米国では、それは約1400万人に影響し、及び米国における死の 第四の主な原因、及び障害の第三の主な原因である。しかしながら、罹患率及び死亡率は 上昇している。米国におけるこの疾患の見積もられた有病率は1982年以来41%上昇 しており、及び年齢を合わせた死亡率は1966年∼1985年の間で71%上がった。 10 これは(22%減った)全ての原因からの、及び(45%減った)心血管疾患からの年齢 を合わせた死亡率における同期間にわたる低下とよい対照をなす。1988年において、 COPDは米国における112,584の死亡の原因であった。 【0007】 しかしながら、その主な原因はタバコの煙への暴露であると考えられているので、CO PDは予防可能である。長期喫煙はCOPDの最もよくある原因である。それは全ての場 合の80∼90%の原因となる。喫煙者は非喫煙者よりも10倍COPDで死ぬ傾向にあ る。上記疾患は生涯非喫煙者においては稀であり、彼らにおいては環境のタバコの煙への 暴露が少なくともいくつかの気道閉塞を説明するであろう。他の提案された病因子は気道 高応答性又は過敏症、環境空気汚染、及びアレルギーを含む。COPDにおける気流閉塞 20 は通常喫煙を続ける人においては進行性である。これは初期の障害をもたらし、及び寿命 を縮める。喫煙を止めることは非喫煙者についての値まで肺機能における衰えを復帰させ る。他の危険因子は:遺伝、副流煙、仕事での及び環境での空気汚染への暴露、及び子供 のころの呼吸感染歴を含む。COPDの症状は:慢性の咳、胸緊張、呼吸の短縮、呼吸す るための増大した努力、増大した粘液生成、及び喉の頻繁な障害物除去を含む。 【0008】 COPDの症状を緩和する、再燃を予防する、最適な肺機能を保持する、及び毎日の生 活活動及び生活の質を改善するために入手可能なものは現在ほとんどない。多くの患者は 彼らの人生の残りの間慢性的に投薬を使用し、再燃の間に増大した用量及び追加の薬物を 必要とするであろう。COPD患者のために現在処方される投薬は:即効性β2−アゴニ 30 スト、抗コリン性気管支拡張薬、長期活性気管支拡張薬、抗生物質、及び去痰薬を含む。 COPDの現在入手可能な治療の中で、抗コリン性薬物、β2アドレナリン性アゴニスト 、及び経口ステロイドの投与からは、その進行に対して短期有用性はあるが、長期効果は ないことがわかった。 【0009】 短期及び長期活性吸入β2アドレナリン性アゴニストは短期気管支拡張を達成し、及び COPD患者においていくつかの症状の除去を提供するが、上記疾患の進行に対して意味 のある維持効果を示さない。短期活性β2アドレナリン性アゴニストは増大する運動許容 量のように、COPDを有する患者において症状を改善し、及びある程度の気管支拡張、 及びいくつかの重篤な場合においては肺の機能における増大さえも産生する。より新しい 40 長期活性吸入β2アドレナリン性アゴニストの最大効果は短期活性β2アドレナリン性ア ゴニストのそれと同等であることがわかった。サルメテロールは、肺機能においてわずか な変化のみを産生する又は全く変化を産生しないが、症状及び生活の質を改善することが わかった。しかしながら、呼吸困難においては、β2アドレナリン性アゴニストは増大し た死の危険性、悪くなった喘息の制御、及び肺機能における悪化に関連している。アルブ テロールの如き、β2−アゴニストは狭くなった気道を開くことを助ける。β2−アゴニ ストの使用はCOPD患者にとって生命を脅かすものでありうる逆説的な気管支痙攣を産 生しうる。さらに、β2−アゴニストの使用は変えられた拍動速度、血圧及び心電図結果 の如き心血管効果を産生しうる。稀な場合には、β2−アゴニストの使用はじんま疹、血 管性水腫、発疹及び口腔咽頭の水腫の如き過敏性反応を産生しうる。これらの場合、β2 50 (7) JP 2005-530820 A 2005.10.13 −アゴニストの使用は止められるべきである。気管支拡張薬臭化イプラトロピウム又はフ ェノテロールでの喘息及びCOPD患者の持続的な治療は、必要に基づいて提供される治 療と比較されるとき、肺機能におけるより速い衰えをもたらし、それゆえ、それらは維持 治療に好適でないことを示した。一方、β2アドレナリン性アゴニストの最もよく知られ る即時の悪い効果は振せんであり、それは高用量では血漿カリウムにおける降下、律動異 常、及び減少した動脈酸素分圧を引き起こしうる。β2アドレナリン性アゴニストの抗コ リン性薬物との組み合わせはいずれかの薬物単独と比較してほとんど追加の気管支拡張を 提供しない。しかしながら、約90日間の、標準の用量の吸入β2アドレナリン性アゴニ ストへのイプラトロピウムの追加はいずれかの薬物単独に優って安定なCOPD患者にお いていくらかの改善を産生する。抗コリン性剤はCOPDを有する人々において、β2ア 10 ドレナリン性アゴニストより、抗コリン性剤との組み合わせでより大きな気管支拡張を産 生することがわかった。概して、振せん及び律動異常の如き、β2アドレナリン性アゴニ ストでの悪い効果の発生は抗コリン性剤でよりも頻度が高い。したがって、抗コリン性薬 物もβ2アドレナリン性アゴニストもCOPDを有する全ての人々に効果を有しない;混 合された上記2の剤も効果を有しない。 【0010】 抗コリン性薬物はCOPDを有する人々において短期気管支拡張を達成し、及びいくつ かの症状の除去を産生するが、吸入製品でさえも改善された長期予後を産生しない。ほと んどのCOPD患者は、臭化イプラトロピウムによりいくらか緩和される気道閉塞の少な くともいくらかの計測を有する。「肺健康研究」は男性及び女性喫煙者において初期のC 20 OPDの肺活量計測の徴候を見つけた。5年間にわたり比較された3の治療は、臭化イプ ラトロピウムは患者の肺の機能的有効容積における低下に対して顕著な効果を有しなかっ たが、喫煙休止は肺の機能的有効容積における低下の遅延を産生したことを見つけた。し かしながら、臭化イプラトロピウムは心臓の症状、高血圧、皮膚発疹、及び泌尿器の停留 の如き重篤な悪い効果を産生した。臭化イプラトロピウムの如き抗コリン性気管支拡張薬 、及びテオフィリン誘導体は狭くなった気道を開くことを助ける。長期活性気管支拡張薬 は気道の収縮を除去することを助ける、及びCOPDに関連する気管支痙攣を避けること を助ける。テオフィリンはCOPD患者において小さな気管支拡張効果を有するが、一方 、それらはいくつかのよくある悪い効果を有し、及びそれらは、15∼20mg/lの血 液濃度が最適効果のために必要とされることから小さな治療レンジを有する。悪い効果は 30 、悪心、下痢、頭痛、被刺激性、発作、及び心臓不整脈を含み、及びそれらは非常にさま ざまな血液濃度で起こり、及び多くの人々においては、それらは治療的範囲内で起こる。 上記テオフィリンの用量は喫煙習慣、感染、及び扱いにくい他の治療にしたがって、個々 に調節されなければならない。テオフィリンは喘息において抗炎症性効果を有することに ついて請求されているが、特により低い用量では、それらの気管支拡張短期効果はプラセ ボとは統計的に異なるように見えるが、誰もCOPDにおいて報告していない。テオフィ リンの悪い効果及び頻繁なモニタリングの必要性がそれらの有用性を制限する。抗コリン 性剤は肺機能における低下に影響するという証拠はない、及び粘液溶解剤は悪化の頻度を 減少させることが示されているが、肺機能に対して可能性のある悪い効果を伴う。β2ア ドレナリン性アゴニスト、経口コルチコステロイド、及び抗生物質の長期効果は未だ評価 40 されていない、及び今までのところ他の薬物は上記疾患の進行又は生存に影響することが 示されていない。 【0011】 経口コルチコステロイドは安定なCOPD患者における基礎の機能的有効容積における いくらかの改善を誘発するが、一方で、体系的なコルチコステロイドは少なくともいくら かの骨粗しょう症を産生し、及び明白な糖尿病を誘導して、有害であることがわかってい る。経口コルチコステロイドのより長期の投与はCOPDにおいて有用でありうるが、そ れらの有用性はそれらの実質的な悪い効果に対して重くなければならない。吸入コルチコ ステロイドはヒスタミンに対する気道高応答性に対して実質的な短期効果を有しないが、 例えば、前気管支拡張薬機能的有効容積において、肺機能に対する小さな長期効果を有す 50 (8) JP 2005-530820 A 2005.10.13 ることがわかっている。COPD患者のフルチカソン治療は中程度の及び重篤な(しかし 軽いは含まない)悪化における顕著な減少、並びに肺機能及び6分間の徒歩距離における 小さいが顕著な改善を示した。経口プレドニゾロン、吸入ベクロメタゾン又は両方はCO PD患者において効果を有しなかったが、経口コルチコステロイドは肺の機能を改善した 。粘液溶解剤は悪化の頻度及び期間に対してささやかな良い効果を有するが、肺機能に対 して悪い効果を有する。しかしながら、N−アセチルシステインも他の粘液溶解剤も、悪 化の頻度におけるより大きな減少を証明するにもかかわらず、重篤なCOPD(機能的有 効容積<50%)を有する人々においては顕著な効果を有しない。N−アセチルシステイ ンは胃腸の副作用を産生した。低酸素血COPD及びうっ血性心不全の患者に投与される 長期酸素治療ははじめの500日間ほどは彼らの死亡率に対してほとんど効果を有しなか 10 ったが、男性における生存率はその後増大し、及びその後5年にわたり一定のままであっ た。しかしながら、女性においては、酸素は研究をとおして死亡率を減少させた。19. 3年間の低酸素血COPD患者(予想される機能的有効容積<70%)の持続的な酸素治 療は死の危険性全体を減少させた。しかしながら、今日までのところ、生活スタイルの変 化、喫煙休止及び(低酸素血症における)酸素での長期治療のみがCOPDの長期過程を 変化させることがわかっている。 【0012】 抗生物質はまた病んでいる肺におけるさらなる損傷及び感染を避けるために呼吸感染の はじめの徴候でしばしば与えられる。去痰薬は気道から粘液分泌物をゆるめ、及び排出す ることを助け、及び呼吸を容易にさせることを助けうる。 20 【0013】 さらに、他の投薬はCOPDに関連する状態を管理するために処方されうる。これらは :(過剰水分保持に関連する右心不全を避けるための治療として与えられる)利尿薬、( 心拍の力を強める)ヂギタリス、鎮痛剤、咳抑制剤、及び睡眠ピルを含みうる。投薬のこ の後者のリストはCOPDに関連する症状を緩和することを助けるが、COPDを治療し ない。 【0014】 したがって、COPDの症状を緩和する、悪化を避ける、最適な肺機能を保持する、及 び毎日の生活活動及び生活の質を改善するために現在入手可能なものはほとんどない。 【0015】 30 重篤急性呼吸症候群(SARS)はアジア、北アメリカ、及びヨーロッパにおいて最近 報告されている呼吸疾患である。一般的に、SARS患者ははじめに100.4°F超( >38.0℃)の熱を経験する。これに頭痛、全身の不快感、及び体の痛みが伴う又は続 く。何人かの患者はまた呼吸症状を経験する。続く2∼7日間、SARS患者はまた乾燥 した咳を発展し、及び呼吸困難を経験しうる。SARSは主に親密な人対人の接触により 広がるように見える。SARS患者の大部分はSARSを有する他の者を世話した若しく は共に住んだ又はSARSを有する他の患者からの感染物質(例えば、呼吸分泌物)と直 接接触を有した関係者であるように見える。SARSが広げられうる可能性のある方法は 、感染飛沫で汚染された他の人の皮膚又は物に触り、及びその後、眼(単数又は複数)、 鼻又は口を触ることを含む。これは、SARSを患うだれかが彼ら自身、他の人又は表面 40 付近に飛沫を咳をして付ける又はくしゃみをして付けるとき起こりうる。 【0016】 疾患制御及び予防(CDC)センター及び他の研究室の科学者はSARSを有する患者 において以前に認識されていないコロナウイルスを検出している:SARSの原因の主要 な仮説である、SARS−CoV(ウェブサイト<http://www.scienc emag.org/cgi/rapidpdf/1085952v1.pdf>を参照の こと)。SARS−CoVの配列はシークエンスされており、及びリーダー配列を除いて 、全ての配列はウイルスRNAに直接的に由来した。SARSコロナウイルスのゲノムは 長さが29,727ヌクレオチドであり、及びゲノム構成は他のコロナウイルスのそれと 同様である。予想されるポリメラーゼタンパク質(ポリメラーゼ1a、1b)、スパイク 50 (9) JP 2005-530820 A 2005.10.13 タンパク質(S)、小膜タンパク質(E)、膜タンパク質(M)、及びヌクレオカプシド タンパク質(N)に対応するオープンリーディングフレームが同定されている(ウェブサ イト<http://www.cdc.gov/ncidod/sars/pdf/nu cleoseq.pdf>を参照のこと)。 【0017】 世界中の研究員はSARSの治療を開発するために半狂乱で働いている。現在、SAR Sに関連するSARS−CoVコロナウイルスを止めるのに有効であることがわかってい る治療はない。SARSを治療するために現在使用される又は考えられる抗ウイルス薬は リバヴィリン、6−アザウリヂン、ピラゾフリン、マイコフェノール酸、及びグリシルリ ジンを含む。しかしながら、全てのこれらの薬物は重篤な副作用を有する(例えば、グリ 10 シルリジンの副作用は上昇した血圧及び低下したカリウム値を含む)。抗炎症薬メチルプ レドニゾロンでの治療はSARS患者においていくらかの改善を達成することが示されて いる(So, L.K., et al., “Development of a s tandard treatment protocol for severe ac ute respiratory syndrome”, Lancet 361(93 69):1615−7,2003)。したがって、SARSの症状を緩和するために現在 入手可能なものはほとんどない。 【0018】 デヒドロエピアンドロステロンは非糖質コルチコイドステロイドである。5−アンドロ ステン−3ベータ−オール−17−オンとしても知られるDHEA及びDHEAの硫酸化 20 形である硫酸DHEA(DHEA−S)はACTHの放出に応答して霊長類及びいくつか の非霊長類種において副腎皮質により分泌される内因性ホルモンである。DHEAはいく つかの内分泌プロセスにおいて重要なアンドロゲン及びエストロゲンステロイドホルモン の前駆体である。DHEAの現在の医薬的使用は制御された臨床試験に、及び食物補給物 としてに限定され、及び中枢神経系(CNS)における、及び精神科の、内分泌の、婦人 科学の、産科の、免疫の、及び心血管の機能におけるDHEAの値で役割を有すると考え られる。 【0019】 DHEA−S又はその医薬として許容される塩は妊娠後期における子宮頸成熟及びオキ シトシンに対する子宮筋系感受性を改善すると考えられる。DHEA−S及びその医薬と 30 して許容される塩は痴呆の治療において、高脂血症、骨粗しょう症、潰瘍の治療に、並び にステロイド依存性喘息の如きアデノシンの高い値又はそれへの高い感受性に関連した障 害及び他の呼吸及び肺疾患に有効であると考えられる。デヒドロエピアンドロステロンそ れ自体は臨床試験において以前に静脈内に、皮下に、経皮に、膣に、局所に、及び経口で 投与された。しかしながら、前調合研究において、DHEA硫酸ナトリウムの無水物形( DHEA−SNa)は湿気に不安定であることがわかり、及びその二水和物形(DHEA −SNa)は通常の湿気の条件下でより安定であることがわかった。 【0020】 知られるように、化合物の物理化学的特性及び安定性にしばしば影響するさまざまな操 作が医薬プロセッシングの間に医薬剤に対して行われうる。デヒドロエピアンドロステロ 40 ン硫酸ナトリウム二水和物の延長された粉砕は結晶性における減少及び水和水の損失を産 生した;後者は貯蔵安定性を減少させ、及びその分解産物であるDHEAを生成した。 【0021】 したがって、適切な呼吸に適する特性に加えて優れた分散性及び棚安定性を示すであろ うデヒドロエピアンドロステロン化合物、それらのアナログ及び塩の粉末調剤について必 要性がある。上記調剤は非常に効果的な及びコスト効果的な様式で上記デヒドロエピアン ドロステロン化合物、アナログ及び塩をデリバリーすることを可能にさせるであろう。 【0022】 米国特許第5,527,789号は、患者にデヒドロエピアンドロステロン(DHEA )又はDHEA−関連化合物、及び上記DHEA又はDHEA−関連化合物により誘導さ 50 (10) JP 2005-530820 A 2005.10.13 れる心不全と闘うためのユビキノンを投与することにより患者において癌と闘う方法を開 示する。 【0023】 米国特許第6,087,351号は患者にデヒドロエピアンドロステロン(DHEA) 又はDHEA−関連化合物を投与することにより患者の組織中のアデノシンを減少させる 又は枯渇させるin vivo方法を開示する。米国特許第6,087,351号は、微 小化活性化合物の呼吸に適する乾燥粒子を含む固体粒状組成物は乳鉢と乳棒で乾燥活性化 合物をひくこと、及びその後微小化組成物を400メッシュのスクリーンをとおして大き な塊を粉砕する又は取り除くことにより調製されうることを開示する。また、活性化合物 から成る固体粒状組成物はエーロゾルの形成を促進するのにはたらく分散剤を場合により 10 含みうる;及び好適な分散剤は好適な割合(例えば、重量で1:1の割合)で活性化合物 と配合されうるラクトースである。 【0024】 DHEA及びDHEA−SはCOPDを治療するために示されている(2003年6月 3日出願の米国特許出願第10/454,061号、及び2002年4月21日出願、2 002年10月31日公開の国際出願番号PCT/US02/12555)。 【発明の開示】 【0025】 発明の要約 本発明は剤及び医薬として又は獣医学的に許容される担体又は希釈剤を含む粉末医薬組 20 成物に関し、ここで、上記剤は多価無機又は有機ヂカルボン酸に共有結合された二水和デ ヒドロエピアンドロステロン(DHEA)化合物を含む。好ましくは、前記乾燥粉末医薬 組成物は呼吸に適する又は吸入可能な大きさの粒子である。好ましくは、上記剤は二水和 硫酸デヒドロエピアンドロステロン(DHEA−S)であり、ここで、上記硫酸塩はDH EAに共有結合される。好ましくは、上記乾燥粉末医薬組成物は上記粒子の約80%超が 直径約0.1μm∼約100μmである粒子を有する。上記デヒドロエピアンドロステロ ン化合物又はそのアナログは単独で又は粉末、液体若しくは気体の担体との組み合わせで 配合される、化学式(I)及び(II)の化合物を含む。上記医薬組成物はさらに賦形剤 を含みうる又は含まない。上記調剤は、同じ組成物中で又は別々の組成物の接合投与によ り、他の治療用剤(単数又は複数)と共に患者に投与されうる。 30 【0026】 好ましくは、上記剤は二水和物形のDHEA−S(DHEA−S・2H2O)である。 DHEA−Sの二水和物形はDHEA−Sの無水物形より安定である。DHEA−Sの無 水物形はDHEA−Sの二水和物形より熱不安定である。好ましくは、上記担体はラクト ースである。好ましくは、上記剤は粉末形である。好ましくは、上記剤は結晶形である。 より好ましくは、上記剤は結晶粉末形である。 【0027】 本発明の他の局面は、上記予防又は治療の必要のある患者に治療的に有効な量の上記粉 末医薬組成物を投与することを含む、喘息の予防又は治療方法である。 【0028】 40 本発明の他の局面は、上記予防又は治療の必要のある患者に治療的に有効な量の上記粉 末医薬組成物を投与することを含む、慢性閉塞性肺疾患の予防又は治療方法である。 【0029】 本発明の他の局面は、上記治療の必要のある患者に患者の組織におけるアデノシン値を 減少させる又は枯渇させるために治療的に有効な量の上記粉末医薬組成物を投与すること を含む、患者の組織におけるアデノシンを減少させる又は枯渇させる方法である。 【0030】 本発明の他の局面は、上記予防又は治療の必要のある患者に患者の組織におけるアデノ シン値を減少させる及び上記障害を予防する又は治療するために治療的に有効な量の上記 粉末医薬組成物を投与することを含む、患者の組織におけるアデノシンの高い値又はそれ 50 (11) JP 2005-530820 A 2005.10.13 に対する感受性に関連する障害又は症状の予防又は治療方法である。 【0031】 好ましくは、上記患者は気道炎症、アレルギー、喘息、妨げられた呼吸、のう胞性線維 症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性鼻炎、急性呼吸促迫症候群、微生物感 染、SARSの如きウイルス感染、肺の高血圧、肺の炎症、気管支炎、気道閉塞又は気管 支収縮を患う。 【0032】 好ましくは、上記乾燥粉末調剤は上記乾燥医薬剤から出発し、上記剤の粒子サイズを約 80%超の粒子が直径約0.1∼約100μmである粉末調剤を形成するよう変えて、例 えば、製粉、例えば、流動体エネルギー製粉、ふるい分け、ホモジェナイゼーション粒状 10 化、及び/又は他の既知の手順により変えられて、調製される。 【0033】 本発明に係る粉末調剤は単独で又は粉末化、液体又は気体の担体若しくは駆出剤と共に 、装置からの直接投与により呼吸腔をとおしてデリバリーされうる。本明細書中に示され る製剤は疾患;例えば、数ある中で、気管支収縮、アレルギー(単数又は複数)、喘息、 肺の炎症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性鼻炎、ARDS、のう胞性線維 症、癌及び炎症の如き、呼吸及び肺の疾患と関連するものの治療に好適である。 【0034】 本発明の他の局面は、喘息、COPD、肺の炎症、呼吸障害若しくは症状の予防若しく は治療の又は患者の組織におけるアデノシンを減少させる若しくは枯渇させるための医薬 20 の製造における、デヒドロエピアンドロステロン化合物又はそのアナログ又はその水和化 形の使用である。本発明の他の局面は上記患者に粉末医薬組成物をデリバリーするための 装置を含むキットである。好ましくは、上記装置は上記粉末製剤を含む、加圧されうる、 噴霧器又はエーロゾル化器である。好ましくは、上記キットはさらに上記調剤を有する1 以上のカプセル、カートリッヂ又はブリスターを含み、ここで、上記カプセル、カートリ ッヂ又はブリスターは使用前に上記装置に挿入されるであろう。 【発明を実施するための最良の形態】 【0035】 好ましい態様の詳細な説明 用語解説 30 上記用語「剤」は、本明細書中で使用されるとき、化学化合物、化学化合物の混合物、 合成化合物、治療用化合物、有機化合物、無機化合物、核酸、オリゴヌクレオチド(オリ ゴ)、タンパク質、生物学的分子、巨大分子、脂質、油、充填剤、溶液、細胞又は組織を 意味する。剤はDHEA、その誘導体又はその医薬として若しくは獣医学的に許容される 塩である活性化合物(単数又は複数)を含む。剤は活性化合物を含む調剤を調製するため に添加され、及び医薬の又は獣医学的な使用において製剤又はキット中で使用されうる。 【0036】 上記用語「気道」は、本明細書中で使用されるとき、空気に暴露する患者の呼吸系の部 分又は全体を意味する。上記気道は、非限定的に、数ある中で、咽喉、気管、鼻の通路、 洞、呼吸腔、肺、及び肺の内張りを含む。上記気道はまた気管、気管支、細気管支、末端 40 細気管支、呼吸細気管支、肺胞管、及び肺胞のうを含む。 【0037】 上記用語「気道炎症」は、本明細書中で使用されるとき、患者の気道上の炎症に関連す る疾患又は症状を意味する。上記気道炎症はアレルギー(単数又は複数)、喘息、妨げら れた呼吸、のう胞性線維症(CF)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性鼻炎 (AR)、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、微生物又はウイルス感染、肺の高血圧、肺 の炎症、気管支炎、気道閉塞、及び気管支収縮により引き起こされ又は伴われうる。 【0038】 上記用語「担体」は、本明細書中で使用されるとき、意図される異なる投与経路に好適 である、気体、液体、固体担体、及びそれらの混合物の形態の生物学的に許容される担体 50 (12) JP 2005-530820 A 2005.10.13 を意味する。好ましくは、上記担体は医薬として又は獣医学的に許容される。 【0039】 上記組成物は状態又は疾患の治療のための本分野において知られる他の治療用化合物の 如き他の剤、治療用組成物において利用されることが知られる他の剤に加えて、抗酸化剤 、香味剤、着色剤、充填剤、揮発性油、緩衝剤、分散剤、界面活性剤、RNA不活性化剤 、駆出剤及び保存剤を場合により含みうる。 【0040】 「組成物」は、本明細書中で使用されるとき、本発明において使用される活性化合物及 び担体を含む乾燥粉末製剤を含む混合物を意味する。上記組成物は他の剤を含みうる。上 記組成物は好ましくは医薬の又は獣医学的な組成物である。 10 【0041】 「有効な量」は、本明細書中で使用されるとき、治療的な又は予防的な利点を提供する 量を意味する。 【0042】 上記用語「予防する」又は「予防」は、本明細書中で使用されるとき、それが患者に疾 患症状又はそれに関連する状態を有することを避けさせうるように、患者が疾患又は病的 な状態症状を得る前になされる予防的処置を意味する。 【0043】 上記用語「呼吸疾患」は、本明細書中で使用されるとき、呼吸系に関連する疾患又は症 状を意味する。例は、非限定的に、気道炎症、アレルギー(単数又は複数)、喘息、妨げ 20 られた呼吸、のう胞性線維症(CF)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性鼻 炎(AR)、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、肺の高血圧、肺の炎症、気管支炎、気道 閉塞、気管支収縮、微生物感染、及びSARSの如きウイルス感染を含む。 【0044】 「標的」は、本明細書中で使用されるとき、上記活性化合物(単数又は複数)が影響す る及び疾患又は症状に関連する器官又は組織を意味する。 上記用語「治療する」又は「治療すること」は、本明細書中で使用されるとき、上記処 置を投与された患者が疾患又は他の症状の症状を表すであろう見込みを減少させる処置を 意味する。 【0045】 30 本発明は医薬として又は獣医学的に許容される担体又は希釈剤と共に、DHEA、及び /又はその医薬として又は獣医学的に許容される塩を含む粉末製剤を提供し、ここで、上 記調剤粒子の約80%の割合、例えば、約80%超の粒子は直径約0.1∼約200μm である。本発明における使用のために好適なDHEA、そのアナログ及びその塩の例は以 下に示される化学式(I)及び(II)により示される。1の群は以下の化学式: 【化1】 40 {式中、RはH又はハロゲンを含む;5位のHはアルファ若しくはベータ配置又は両方の 配置のラセミ混合物で存在しうる;及びR1は上記化合物に共有結合された多価無機又は 50 (13) JP 2005-530820 A 2005.10.13 有機ヂカルボン酸を含む。好ましくは、上記多価無機又は有機ヂカルボン酸はSO2OM 、リン酸塩又は炭酸塩である。好ましくは、上記多価有機ヂカルボン酸は琥珀酸塩、マレ イン酸塩、フマル酸塩又は好適なヂカルボン酸塩である。 【0046】 Mは対イオン、例えば、H、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、アルミニウム、亜 鉛、カルシウム、リチウム、アンモニウム、アミン、アルギニン、リジン、ヒスチヂン、 トリエチルアミン、エタノールアミン、コリン、トリエタノールアミン、プロカイン、ベ ンザチン、トロメタニン、ピローリヂン、ピペラジン、ヂエチルアミン、スルファチド 【化2】 10 又はフォスファチド 【化3】 20 {式中、同じであり又は異なりうる、R2及びR3は直鎖の又は分枝の(C1−C14)アル キル又はグルクロニド; 30 【化4】 40 を含む。}を含む。}の化合物及びそれらの医薬として許容される塩により示される。 【0047】 R1はDHEAに共有結合される酸性又は塩基性化合物でありうる。R1が酸性化合物で ある場合、上記塩は上記剤に塩基を添加することにより形成される。好ましくは、上記塩 基は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の如き、上記剤の塩の形成をもたらしうる好適 な塩基である。R1が塩基性化合物である場合、上記塩は上記剤に酸を添加することによ り形成される。好ましくは、上記酸はフマル酸、マレイン酸、乳酸の如き有機酸又は塩酸 、硝酸、硫酸等の如き無機酸の如き、上記剤の塩の形成をもたらしうる好適な酸である。 【0048】 好ましくは、上記剤は二水和物形のDHEA−S(DHEA−S・2H2O)である。 50 (14) JP 2005-530820 A 2005.10.13 DHEA−Sの二水和物形はDHEA−Sの無水物形より安定である。DHEA−Sの無 水物形はDHEA−Sの二水和物形より熱不安定である。好ましくは、上記担体はラクト ースである。好ましくは、上記剤は粉末形である。好ましくは、上記剤は結晶形である。 より好ましくは、上記剤は結晶粉末形である。 【0049】 本発明は医薬組成物において二水和物形のDHEA−Sを用いること、及び二水和物形 のDHEA−Sは無水DHEA−Sより、特に50℃以上の如き高温で、優れた安定性の 予想されない特性を有することのはじめての報告である。ラクトースと混合された無水D HEA−Sはラクトースと混合された結晶二水和DHEA−Sよりはるかに安定でない。 この発見は本明細書中ではじめて報告される(実施例3及び5を参照のこと)。 10 【0050】 上記式(I)の例示的な化合物は、数ある中で、R及びR1はそれぞれHであり、及び 二重結合が存在する、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)そのもの;RはBrを 含み、R1はHを含み、及び二重結合が存在する、16−アルファブロモエピアンドロス テロン;RはFを含み、R1はHを含み、及び二重結合が存在する、16−アルファ−フ ルオロエピアンドロステロン;R及びR1はそれぞれ水素を含み、及び二重結合が存在し ない、エチオコラノロン;RはHを含み、R1はSO2OMを含み、及びMは上記に定義さ れるスルファチドを含み、及び二重結合が存在する、硫酸デヒドロエピアンドロステロン ;RはHであり、R1はSO2OMであり及びMは上記に定義されるナトリウム基であり、 及び二重結合が存在する、デヒドロエピアンドロステロン硫酸ナトリウム二水和物を含む 20 。式(I)の化合物において、Rは好ましくはハロゲン、例えば、ブロモ、クロロ又はフ ルオロを含み、R1はHを含み、及び二重結合が存在する、より好ましくは、式(I)の 化合物は、RはHを含み、R1はSO2OMを含み、Mはスルファチドを含み、及び二重結 合が存在する式(I)の化合物である、16−アルファ−フルオロエピアンドロステロン を含む、及びより好ましくは、式(I)の化合物は以下の化学式(II): 【化5】 30 のデヒドロエピアンドロステロン硫酸ナトリウムの二水和物形(DHEA−S・2H2O 40 )である。 【0051】 式(I)及び(II)の化合物は当業者に明らかであろう既知の手順又はそのさまざま な変形にしたがって合成されうる。例えば、米国特許第4,956,355号;英国特許 第2,240,472号;EPO特許公報第429,187号;PCT特許公報第91/ 04030号;M. Abou−Gharbia et al., J. Pharm. Sci. 70, 1154−1157(1981);Merck Index Mo nograph 番号7710;11th Ed.(1989)を参照のこと。 【0052】 本発明において使用される化合物はそれ自体で又は医薬として及び獣医学的に許容され 50 (15) JP 2005-530820 A 2005.10.13 る塩の形態で投与されうる;これらの全ては「活性化合物」といわれる。医薬として又は 獣医学的に許容される担体又は希釈剤の例は、気体、液体又は固体形のラクトース及び他 の不活性又はG.R.A.S.(一般的に安全と考えられる(generally re garded as safe))剤を含む、本分野において知られる生物学的に許容さ れる担体を含み、ここで上記調剤の最終形態は圧下に置かれうる粉末又は駆出剤及び/又 は共溶媒を伴う粉末としてである。 【0053】 上記粉末化調剤はデヒドロエピアンドロステロン、そのアナログ、その塩又はそれらの 混合物を含む乾燥生成物から出発して、上記剤の粒子サイズを変えて直径約0.01μm ∼約500μmの粒子サイズの乾燥製剤を形成し;及び直径約0.01μm、0.1μm 10 又は0.5μm∼約100μm又は200μmの少なくとも又は約80%、約85%、約 90%、約95%又は約100%超の粒子を含む上記製剤の粒子を選択することにより調 製されうる。上記粒子サイズは望ましくは約200μm未満、好ましくは約0.05μm 、約0.1μm、約1μm、約2μm∼約5μm、約6μm、約8μm、約10μm、約 20μm、約50μm、約100μmの範囲内である。好ましくは、直径約0.1∼約2 00μmの上記製剤の選択された粒子。より好ましくは、直径約0.1∼約100μmの 上記製剤の選択された粒子。さらにより好ましくは、直径約0.1∼約10μmの上記製 剤の選択された粒子。さらにもっとより好ましくは、直径約0.1∼約8μmの上記製剤 の選択された粒子。またさらにもっとより好ましくは、直径約0.1∼約5μmの上記製 剤の選択された粒子。 20 【0054】 上記乾燥剤の粒子サイズはその後上記製剤の吸入に際して肺内への実質的な量の上記剤 の吸収を許容するよう変えられうる。上記医薬の粒子サイズは既知の方法により、例えば 、製粉又は微小化により減少されうる。典型的に、上記剤についての粒子サイズは好適な 平均粒子サイズまで、好ましくは約0.05μm、約5μm範囲(吸入)又は約10μm ∼約50μm(鼻のデリバリー又は肺の点滴注入)で、単独で又は調合成分と共に上記乾 燥剤を製粉することにより変えられる。流動体エネルギー製粉としても知られるジェット 製粉が使用されることができ、及び既知の装置を用いて問題の粒子サイズを与えるための 手順の中で好ましい。ジェット製粉は好ましいプロセスである。上記粒子の大きな割合が 所望される狭い範囲内にあろうが、これは一般的に全ての粒子について真実ではないであ 30 ろうということが理解されるべきである。したがって、粒子範囲全体は上記に示される好 ましい範囲より広いものでありうると予想される。好ましい範囲内の粒子の割合は特定の 製剤の必要性に因り、約80%、約85%、約90%、約95%超等でありうる。 【0055】 上記粒子サイズはまた数ある中で、ふるい分け、ホモジェナイゼーション、及び/又は 粒状化により変えられうる。これらの技術は別々に又は互いに組み合わせで使用される。 典型的に、製粉、ホモジェナイゼーション及び粒状化が適用され、続いて乾燥した変えら れた粒子サイズ調剤を得るためにふるい分けされる。これらの手順はそれぞれの成分につ いて別々に適用されうる又は上記成分は共に添加され及びその後調合されうる。 【0056】 40 使用されうる配合成分の例は、非限定的に、賦形剤、保存剤、安定化剤、粉末流動性改 善剤、粘着性改善剤、界面活性剤、他の生物活性剤、着色剤、芳香剤、抗酸化剤、充填剤 、揮発性油、分散剤、香味剤、緩衝剤、嵩高剤、駆出剤又は保存剤を含む。1の好ましい 製剤は上記活性剤及び賦形剤(単数又は複数)及び/又は駆出剤(単数又は複数)を含む 。 【0057】 上記粒子サイズは乾燥大気中のみでなく、上記活性剤を中間段階で溶液、懸濁物又はエ マルジョン中に置くことにより変えられうる。上記活性剤は上記剤の粒子サイズを変える 前又は後に、溶液、懸濁物又はエマルジョン中に置かれうる。この態様の例は上記剤を好 適な溶媒溶液中に溶解し、及び適切な温度まで熱することにより行われうる。上記温度は 50 (16) JP 2005-530820 A 2005.10.13 結晶が形成するのを許容する、前決定された期間、適切な温度の付近で維持されうる。上 記溶液及び未熟な結晶はその後、本分野において知られるようにある期間、第二の温度で それらを維持することにより上記結晶を成長させるために第二のより低い温度まで冷却さ れる。再結晶化が完了し、及び上記剤の結晶が十分に成長したとき、上記結晶はその後室 温に到達させられる。上記剤の粒子サイズはまた十分な溶媒(単数又は複数)中の溶液、 懸濁物又はエマルジョンから行われる、サンプル沈殿により変えられうる。 【0058】 スプレイ乾燥も上記粒子サイズを変えるのに有用である。「スプレイ乾燥された又はス プレイ乾燥の」により意味することは、「前スプレイ調剤」と本明細書中でいわれる溶媒 又は組成物中の上記剤の均一な混合物が細かい滴として加熱された大気又は冷たい流動体 10 中に霧吹き器、例えば、2の流動体ノズル、回転ディスク又は同等の装置を介して導入さ れるプロセスにより、上記剤又は組成物が調製されることである。上記溶液は、それが上 記溶液中での、及び最終的には粉末化調剤中での材料の均質な分布を確実にするよう均一 である限りは、水性溶液、懸濁物、エマルジョン、スラリー等でありうる。加熱された気 体又は空気の流れにスプレイされたとき、それぞれの滴は乾燥して固体粒子になる。上記 剤の冷流動体へのスプレイは霧吹きされた滴の速い形成をもたらし、それは上記溶媒の蒸 発に際して粒子を形成する。上記粒子は集められ、及びその後残っている溶媒は一般的に 吸引内でサブリミネーション(凍結乾燥)をとおして除去されうる。以下に議論されるよ うに、上記粒子は例えば、乾燥前に温度を上げることにより成長させられうる。これは、 以下に、より完全に議論される、特定の大きさ及び特性の粒子を有する細かい乾燥粉末を 20 産生する。好適なスプレイ乾燥法はまた以下に示される。例えば、その関連する部分を本 明細書中に援用する、米国特許第3,963,559号;第6,451,349号;及び 第6,458,738号を参照のこと。 【0059】 本明細書中で使用されるとき、上記用語「粉末」は、上記粒子が肺の意図された領域に 達しうるように、比較的自由に流動する及び吸入又は乾燥粉末装置中で容易に分散され、 及び続いて患者により吸入されることができる、細かく分散された固体粒子から成る組成 物を意味する。したがって、上記粉末は「呼吸に適するもの」であり、及び肺のデリバリ ーに好適である。次の剤又は調剤の粒子サイズが約10μm超であるとき、上記粒子は、 それらの十分な割合が鼻腔中に沈積するであろう、及びそこをとおして吸収されるであろ 30 う大きさである。 【0060】 上記用語「分散性」は、上記分散された粒子が患者の肺内に呼吸され若しくは吸入され 又は鼻腔の壁を通して吸収されうるように、乾燥粉末製剤が空気の流れ中に分散され、す なわち、懸濁されうる程度を意味する。したがって、20%のみ分散可能な粉末は粒子の 質量の20%のみが肺への吸入のために懸濁されうることを意味する。本製剤は好ましく は約1∼99%の分散性を有するが、他もまた好適である。 【0061】 上記乾燥粉末製剤は、本分野において知られるように、非限定的に、平均粒子サイズ、 粒子サイズの範囲、微細粉末画分(FPF)、平均粒子濃度、及び質量中央値空気力学直 40 径(MMAD)を含む、いくつかのパラメーターに基づいて特徴付けられうる。 【0062】 好ましい態様においては、上記剤は二水和物結晶形のDHEA−Sである。上記DHE A−Sははじめに結晶化され二水和物結晶形になる。上記結晶はその後それを粉末形にす るためにジェット製粉にとおされる。上記調製物はさらに、別々にふるい分けられ又は製 粉され及び粉末化結晶二水和DHEA−Sと混合されるラクトースを含みうる。 【0063】 好ましい態様においては、本発明に係る乾燥粉末製剤は上記に示されたそれらの平均粒 子サイズに基づいて特徴付けられる。上記粉末化剤又は調剤の平均粒子サイズは慣用の技 術により質量平均直径(MMD)として計測されうる。上記用語「約」は、絶対値が上記 50 (17) JP 2005-530820 A 2005.10.13 絶対値の約10%の範囲内の誤差を有しうることを意味する。本発明に係る乾燥粉末化調 剤はまたその微細粒子画分(FPF)に基づいて特徴付けられうる。上記FPFは粉末の エーロゾルパフォーマンスの計測であり、ここで、上記画分値が高ければ高いほど、良い 。上記FPFは、乾燥粉末吸入器(Dryhalter(商標), Dura Phar maceuticals)をとおしたガラススロートを有する多段階液体インピンジャー (MLSI, Astra, Copley Instrument, Notting ham, UK)を用いて決定される、6.8μm未満の空気力学質量中央値直径を有す る粉末として定義される。したがって、本発明に係る乾燥粉末製剤は少なくとも約10% のFPF、好ましくは少なくとも約20%、及び特に好ましくは少なくとも約30%を好 ましく有する。いくつかの系は40∼50%の次数の非常に高いFPFを可能にしうる。 10 【0064】 上記乾燥粉末化製剤はまた本発明に係る剤を含む粒子の濃度に基づいて特徴付けられう 3 る。好ましい態様においては、上記粒子は約0.8g/cm 未満のタップ濃度を有し、 3 3 約0.4g/cm 未満のタップ濃度は好ましく、及び約0.1g/cm 未満のタップ濃 度は特に好ましい。乾燥粉末粒子のタップ濃度は、本分野において知られるように、Ge oPyc(商標)(Micrometrics Instuments Corp)を用 いて計測されうる。タップ濃度は、一般的にそれが中に囲まれうる最小球エンベロープ容 積で割った粒子の質量として定義される、エンベロープ質量濃度の標準の計測である。 【0065】 他の好ましい態様においては、上記乾燥粉末化調剤の空気力学粒子サイズは一般的に実 20 施例において概略されるように特徴付けられうる。同様に、上記粒子の質量中央値空気力 学直径(MMAD)は本分野において周知の技術を用いて評価されうる。上記粒子はそれ らの一般的な形態学に基づいても特徴付けられうる。 【0066】 上記用語「乾燥」は、上記調剤が、上記粒子が吸入装置内で容易に分散可能であり、エ ーロゾルを形成するような、水分内容量を有することを意味する。いくらかの凝集は特に 長い貯蔵期間の際には起こりうるが、本発明における乾燥粉末化製剤は好ましくは実質的 に活性な化合物を含む。多くの乾燥粉末製剤について知られるように、粉末調剤中の材料 のいくらかの割合は凝集しうる、これは活性のいくらかの損失をもたらす。したがって、 上記乾燥粉末化製剤は少なくとも約70% w/w、すなわち、存在する総化合物の%の 30 活性化合物を有し、少なくとも約80% w/w活性化合物は好ましく、及び少なくとも 約90% w/w活性化合物は特に好ましい。より高く活性な化合物又は剤も企図され、 及び本方法により調製されうる、すなわち、約95%超及びそれより高い活性。存在する 総化合物の計測は化合物に因るであろう、及び一般的に、活性分析等に基づいて、本分野 において知られるようになされるであろう。上記剤の活性の計測は化合物に因るであろう 、及び当業者に理解されるであろうように好適な生物活性分析についてなされるであろう 。 【0067】 スプレイ乾燥において、個々のストレス事件は霧吹き(せん断応力及び空気−液体界面 ストレス)、冷却又は熱変性、場合により凍結(氷−水界面ストレス及びせん断応力)、 40 及び/又は脱水のために起こりうる。凍結防止剤及び凍結乾燥防止剤はそれぞれ、凍結不 安定化、並びに脱水及び長期貯蔵不安定化に対抗するために凍結乾燥の間に使用されてい る。凍結防止分子、例えば、糖、アミノ酸、ポリオール等は氷結晶化に関連する高濃度の 凍結しない液体中で活性化合物を安定化させるために広く使用されている。これらは上記 調剤中に必要とされない。 【0068】 活性化合物を含む乾燥粉末化調剤は賦形剤を含みうる又は含まない。凍結防止剤及び凍 結乾燥防止剤を含む「賦形剤」又は「保護剤」は一般的に希釈剤として又はスプレイ乾燥 段階の間及びその後に上記活性化合物の流動性及びエーロゾル分散性を確実にする若しく は増大させるために、及び上記粉末化製品の長期流動性のために添加される化合物又は材 50 (18) JP 2005-530820 A 2005.10.13 料をいう。好適な賦形剤は一般的に比較的自由に流動する粒状固体であり、水との接触に 際して濃くならない又は重合化しない、患者の呼吸腔内に置かれたとき基本的に無害であ る及びその生物学的活性を変えるような様式で上記活性化合物と実質的に相互作用しない 。 【0069】 好適な賦形剤は、非限定的に、ヒト及びウシ血清アルブミンの如きタンパク質、ゼラチ ン、免疫グロブリン、単糖(ガラクトース、D−マンノース、ソルボース、フルクトース 、グルコース等)、二糖(ラクトース、トレハロース、スクロース、マルトース等)、サ イクロデキストリン、及び多糖(ラフィノース、マルトデキストリン、デキストラン、ス タチオース、デンプン、セルロース等)を含む炭水化物;グルタミン酸一ナトリウム、グ 10 リシン、アラニン、アルギニン又はヒスチヂン、及び疎水性アミノ酸(トリプトファン、 チロシン、ロイシン、フェニルアラニン等)の如きアミノ酸;ステアリン酸マグネシウム の如き潤滑剤;ベタインの如きメチルアミン;硫酸マグネシウムの如き賦形剤塩;三水酸 基の又はより高い糖アルコールの如きポリオール、例えば、グリセリン、エリスリトール 、グリセロール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、及びマンニトール;プロ ピレングリコール;ポリエチレングリコール;プルロニクス;界面活性剤;(脂質及び非 脂質界面活性剤)及びそれらの組み合わせを含む。好ましい賦形剤はトレハロース、スク ロース、ソルビトール、及びラクトース、並びにそれらの混合物である。賦形剤が使用さ れるとき、それらは一般的に約0.1、約1、約2、約5、約10∼約15、約10、約 15、約20、約40、約60、約99% w/w組成物に及ぶ量で使用される。ラクト 20 ース又は少量の賦形剤若しくは他の成分を含む製剤が好ましい。 【0070】 他の好ましい態様においては、本発明に係る乾燥粉末化製剤は実質的に賦形剤なしであ る。この場合における「実質的になし」は一般的に、上記調剤が上記剤以外の成分を約1 0%,w/w未満、好ましくは約5%,w/w未満、より好ましくは約2∼3%,w/w 未満、さらにより好ましくは約1% w/w未満しか含まないことを意味する。一般的に 、本発明の目的のために、上記製剤は駆出剤及び共溶媒、緩衝液又は塩、及び残りの水を 含みうる。1の好ましい態様においては、(以下に議論される、嵩高剤の添加前の)上記 乾燥粉末化製剤は、少量の緩衝液(単数又は複数)、塩(単数又は複数)及び残留の水を 伴って、主要な成分として上記剤及びタンパク質から成る。一般的に、この態様において 30 、上記スプレイ乾燥プロセスは以下に、より完全に概略されるように、乾燥前に温度上昇 段階を含む。 【0071】 他の好ましい態様においては、上記前スプレイ乾燥化調剤、すなわち、スプレイ乾燥プ ロセスにおいて使用される溶液製剤は、無視できる量のみの緩衝液又は他の化合物と共に 、溶液、例えば、水溶液中に活性剤を含む。賦形剤をほとんど又は全く含まない前スプレ イ乾燥化製剤は長期間にわたっては高く安定でない場合がある。したがって、前スプレイ 乾燥化製剤が作出された後、妥当な短い時間内にスプレイ乾燥プロセスを行うことが望ま しい。賦形剤をほとんど又は全く利用しない前スプレイ乾燥化調剤は高く安定でない場合 があるが、実施例中に示されるように、それから作出される乾燥粉末は驚くほど安定で及 40 び高く分散可能でありうる、及び一般的にそうである。 【0072】 本発明に係る調剤を形成するためにスプレイ乾燥される剤は上記剤及び場合により緩衝 液を含み、及び追加の塩を含みうる又は含まない。溶液中の上記緩衝液のpHの好適な範 囲は当業者により容易に確かめられうる。一般的に、これは生理学的pHの範囲内であろ うが、本発明に係る剤はより広い範囲のpH、例えば、酸性pHで流動可能でありうる。 したがって、前スプレイ乾燥製剤の好ましいpH範囲は約1、約3、約5、約6∼約7、 約8、約10であり、及びpH約7は特に好ましい。当業者に理解されるであろうように 、使用されうる多くの数の好適な緩衝液がある。好適な緩衝液は、非限定的に、酢酸ナト リウム、クエン酸ナトリウム、琥珀酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、二炭酸及び炭酸ア 50 (19) JP 2005-530820 A 2005.10.13 ンモニウムを含む。一般的に、緩衝液は約1mM、約2mM∼約200mMのモルで使用 され、約10mM、約0.5M、約1M、約2M、約50Mが特に好ましい。 【0073】 水、緩衝液又は溶媒が調製プロセスの間に使用されるとき、それらは既に示されるよう に追加的に塩を含みうる。 【0074】 さらに、本発明に係る乾燥粉末化製剤は一般的に実質的に「安定化剤」なしである。し かしながら、上記調剤はそれ自体肺の呼吸系に対する予防又は治療効果を有する追加の界 面活性剤を含みうる。これらの活性剤は肺界面活性物質の損失を補いうる又は一般的には 他の機構によりはたらく。本発明に係る乾燥粉末化製剤はまた一般的に実質的に微小球形 10 成重合体なしである。例えば、WO 97/440113;米国特許第5,019,40 0号を参照のこと。すなわち、本発明に係る粉末は一般的に上記活性剤(単数又は複数) 及び賦形剤を含み、及び構造の又は他の目的のための重合体の使用を必要としない。本発 明に係る乾燥粉末化調剤はまた好ましくは安定である。「安定性」は2の事柄、時間にわ たる生物学的活性の保持及び分散性の保持の1を意味することができ、好ましい態様は両 方の領域における安定性を示す。 【0075】 本発明に係る乾燥粉末化製剤は一般的に時間にわたり生物学的活性、例えば、貯蔵に際 して物理的及び化学的安定性並びに完全性を保持する。生物学的活性の損失は一般的に剤 の粒子の凝集、及び/又は酸化のためである。しかしながら、上記剤が賦形剤の粒子の周 20 りの凝集体であるとき、生ずる凝集体は高く安定で及び活性である。当業者に理解される であろうように、上記プロセスにおいて使用される過激な温度のために、スプレイ乾燥の 結果として生物学的活性のはじめの損失がありうる。しかしながら、一旦これが起こった ら、上記粉末が作出される時間から計測されるように、さらなる活性の損失は無視できる 程度であろう。さらに、本発明に係る乾燥粉末化調剤は時間にわたる高いFPFの保持、 時間にわたり観察される最小限の凝集、ケーク化又は塊化により定量されるように、時間 にわたり分散性を保持することがわかっている。 【0076】 本発明に係る剤(単数又は複数)は本分野において知られる方法により作出される。例 えば、米国特許第6,087,351号;第5,175,154号;及び第6,284, 30 750号を参照のこと。前スプレイ乾燥組成物は液体又は固体調剤として安定性のために 調合されうる。スプレイ乾燥のために、上記液体製剤は一般的に本分野において知られる ように、緩衝液交換(又は除去)及び/又は濃縮のために、必要に応じて、ダイアフィル トレーション及び/又は限外ろ過にかけられる。上記前スプレイ乾燥調剤は約1mg/m l、約5mg/ml、約10mg/ml、約20mg/ml∼約60mg/ml、約75 mg/mlの剤を含む。緩衝液及び賦形剤は、存在する場合、上記に議論される濃度で存 在する。上記前スプレイ乾燥製剤はその後上記剤を熱い空気若しくは気体に分散させるこ とにより又はそれを冷たい若しくは凍った流動体、例えば、液体若しくは気体にスプレイ することによりスプレイ乾燥される。上記前スプレイ乾燥製剤は本分野において知られる ように、例えば、ろ過された加圧空気を用いて2流動体又は超音波ノズルを介して、例え 40 ば、流動体中へ霧吹きされうる。スプレイ乾燥装置が使用されうる(Buchi;Nir o Yamato;Okawara;Kakoki)。一般的に、冷たい流動体が使用さ れるとき上記ノズルヘッドが凍ることを避けるために、例えば、上記ノズルを発熱テープ で包むことにより上記ノズルをわずかに熱することは好ましい。上記前スプレイ乾燥製剤 は約−200℃∼約−100℃、約−80℃の温度で冷たい流動体中へ霧吹きされうる。 上記流動体は液体窒素若しくは他の不活性流動体の如き液体又は冷却される空気の如き気 体でありうる。超臨界流動体に加えて、エタノール中のドライアイスが使用されうる。1 の態様においては、これは必要とはされない場合があるが、霧吹きプロセスが起こるとき 上記液体を攪拌することは好ましい。 【0077】 50 (20) JP 2005-530820 A 2005.10.13 微小化技術は嵩張る薬物を好適なミル内に入れることを含む。上記ミルは例えば、DT Industries, Bristol, Paから商標STOKES(商標)の下 で商業的に入手可能である。簡単に述べると、上記嵩張る薬物は囲まれた腔内に入れられ 、及び動く内部の部分、例えば、プレート、刃、ハンマー、ボール、小石等からの機械的 力にかけられる。あるいは又は上記嵩張る薬物を打つ部分に加えて、上記腔を囲む囲いは 、上記嵩張る薬物が上記動く部分に対して力をかけられるように折り返し又は回転しうる 。いくつかのミル、例えば、流動体エネルギー又は空気ジェットミルは内部部分に対する 接触のために囲まれた腔内で上記嵩張る粉末を空気内に押し込む高圧空気流を含む。一旦 上記薬物のサイズ及び形が達成されたら、上記プロセスは停止されることができ、及び適 切なサイズ及び形を有する薬物は回復される。しかしながら、一般的に、所望の粒子サイ 10 ズ範囲を有する粒子はエルトリエーションにより連続した基礎で回復される。 【0078】 上記粒子のサイズを減少させるために使用されうる多くの異なる型のサイズ減少技術が ある。粒子のサイズを約100μmまで減少させうるカッターミルの使用を用いるカッテ ィング法がある。粒子のサイズを約50μm未満まで減少させうるエンド−ランナーミル の使用を用いる圧縮法がある。粒子のサイズを約1μmまで減少させうる振動ミル又は粒 子のサイズを約8μmまで減少させうるハンマーミルの使用を用いる衝撃法がある。粒子 のサイズを約1μmまで減少させうるローラーミルの使用を用いる摩擦法がある。粒子の サイズを約10μmまで減少させうるピンミル、粒子のサイズを約1μmまで減少させう るボールミル、粒子のサイズを約1μmまで減少させうる流動体エネルギーミル(又はジ 20 ェットミル)の使用を用いる混合された衝撃及び摩擦法がある。当業者は日々の実験をと おして粒子サイズ減少法及び上記組成物の所望の粒子サイズを作る方法を決定することが できる。 【0079】 超臨界流動体プロセスは上記剤の粒子サイズを変えるために使用されうる。超臨界流動 体プロセスは超臨界溶媒の速い膨張による沈殿、気体抗溶媒プロセス、及び気体飽和溶媒 からの沈殿を含む。超臨界流動体はその臨界温度(Tc)及び臨界圧(Pc)超の温度及び 圧で適用される又は液体状態の圧縮された流動体が適用される。臨界温度付近で、気体様 ∼液体様の流動体濃度及び輸送特性における大きな変動は臨界圧(0.9∼1.5Pc) 付近で比較的穏やかな圧変化から生じうるということが知られる。液体はほとんど圧縮不 30 可能であり、及び低い拡散率を有するが、気体はより高い拡散率及び低い溶媒力を有する 。超臨界流動体はこれらの特性の最適な組み合わせを有するよう作出されうる。それらの 液体様溶媒力にカップリングした(流動体濃度における大きな変化が圧における比較的小 さな変化によりもたらされ、溶媒力を高く制御可能にしうることを示唆する)超臨界流動 体の高い圧縮性及び液体よりよい輸送特性(液体と比べてより高い拡散率、より低い粘性 、及びより低い界面緊張)は(薬物の如き)溶質を含む溶媒と超臨界流動体との間の質量 移動(混合)を制御するための方法を提供する。 【0080】 粒子形成のために超臨界流動体を使用する及び最近注意を引いている2のプロセスは: (1)超臨界溶液の速い膨張(RESS)(Tom, J. W. Debenedet 40 ti, P. G., 1991, The formation of bioero dible polymeric microspheres and micropa rticles by rapid expansion of supercriti cal solutions. BioTechnol. Prog. 7:403−4 11)、及び(2)気体抗溶媒(GAS)再結晶化(Gallagher, P. M. , Coffey, M. P., Krukonis, V. J., and Kl asutis, N., 1989, GAS antisolvent recrys tallization:new process to recrystallize compounds in soluble and supercritical fluids. Am. Chem. Sypm. Ser., No. 406;Ye 50 (21) JP 2005-530820 A 2005.10.13 o et al.(1993);Krukonis et al.の米国特許第5,36 0,478号;Gallagher et al.の米国特許第5,389,263号) である。RESSプロセスにおいて、(それから上記粒子が形成される)溶質は超臨界C O2中にはじめに溶解され、溶液を形成する。上記溶液はその後、例えば、より低い圧の 気体媒体中へノズルをとおしてスプレイされる。超音波速でのこのノズルを介した上記溶 液の膨張は上記溶液の速い減圧を引き起こす。この速い膨張並びにCO2濃度及び溶媒力 における減少は上記溶液の過飽和及び続く実質的に汚染物質のない粒子の再結晶化を引き 起こす。しかしながら、薬物を含む極性化合物は超臨界CO2中でほとんど溶解性を示さ ないので、RESSプロセスは極性化合物からの粒子形成に適さない場合がある。共溶媒 (例えば、メタノール)は極性化合物の溶解性を高めるためにCO2に添加されうる;し 10 かしながら、これは生成物純度、及びそうでなければRESSプロセスの環境親和性の性 質に影響する。RESSプロセスはまた大きな圧力滴に伴うJoule−Thompso n効果により引き起こされる上記ノズル中の粒子蓄積のために及びCO2の凍結のために ノズルはめ込みに関する操作の及びスケールアップの問題に悩む。 【0081】 上記GASプロセスにおいて、溶液中の又は溶液を形成するよう慣用の溶媒中に溶解さ れた問題の溶質(典型的に薬物)は、典型的にオリフィス又はキャピラリー管の如き慣用 のスプレイノズルをとおして超臨界CO2中にスプレイされ、超臨界CO2は上記スプレイ 滴中に拡散し上記溶媒の膨張を引き起こす。CO2膨張された溶媒は純粋な溶媒より低い 溶解キャパシティを有するので、上記混合物は高く過飽和になることができ、及び上記溶 20 質は沈殿させ又は結晶化させられる。上記GASプロセスは上記RESSプロセスに優っ て多くの利点を有する。上記利点は上記RESSプロセスに比較してより高い溶質ローデ ィング(スループット)、溶媒選択の柔軟性、及びより少ない操作的問題を含む。他の慣 用の技術に比較して、上記GAS技術はそのプロセスパラメーターの設定においてより柔 軟であり、及び多くの構成成分を再利用する可能性を有し、及びそれゆえ、より環境的に 許容可能である。さらに、このプロセスにおいて使用される高圧(2,500psigま で)はまたプロセスされた薬物粒子に滅菌媒体を可能性として提供しうる;しかしながら 、このプロセスが実現可能であるためには、上記選択される超臨界流動体が少なくとも部 分的に有機溶媒と混合可能であるべきであり、及び上記溶質は好ましくは上記超臨界流動 体中で不溶性であるべきである。 30 【0082】 Gallagher et al.(1989)はバッチ容積のニトログアナヂン溶液 を膨張させる及び溶解された溶質の粒子を再結晶化させるための超臨界CO2の使用を教 示する。Yeo et al.(1993)により開示される続く研究はCO2へ有機溶 液をスプレイするためにレーザーで穴をあけられた25∼30μmキャピラリーノズルを 用いた。100μm及び151μmキャピラリーノズルの使用もまた報告されている(D ixon, D. J. and Johnston, K. P., 1993, F ormation of microporous polymer fibers a nd oriented fibrils by precipitation wit h a compressed fluid antisolvent. J. App 40 . Polymer Sci. 50:1929−1942;Dixon, D. G. , Luna−Barcenas, G., and Johnson K. P., 1994, Microcellular microspheres and mic roballoons by precipitation with a vapor −liquid compressed fluid antisolvent. Po lymer 35:3998−4005)。 【0083】 溶媒の例は二酸化炭素(CO2)、窒素(N2)、ヘリウム(He)、酸素(O2)、エ タン、エチレン、エチレン、エタン、メタノール、エタノール、トリフルオロメタン、一 酸化二窒素、二酸化窒素、フルオロフォルム(CHF3)、ヂメチルエーテル、プロパン 50 (22) JP 2005-530820 A 2005.10.13 、ブタン、イソブタン、プロピレン、クロロトリフルオロメタン(CClF3)、六フッ 化硫黄(SF6)、ブロモトリフルオロメタン(CBrF3)、クロロヂフルオロメタン( CHCIF2)、ヘキサフルオロエタン、四フッ化炭素二酸化炭素、1,1,1,2−テ トラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン、キセノン 、アセトニトリル、ヂメチルスルフォキシド(DMSO)、ヂメチルフォルムアミド(D MF)、及びそれらの2以上の混合物から選ばれる。 【0084】 霧吹き気体流速、霧吹き気体圧、液体流速等を含む霧吹き条件は一般的に約0.5μm 、約1μm、約5μm∼約10μm、約30μm、約50μm、約100μmの平均直径 を有する液体滴を作るよう制御され、平均サイズ約10μm及び約5μmの滴は好ましい 10 。慣用のスプレイ乾燥装置が一般的に使用される(Buchi, Niro Yamat o, Okawara, Kakoki等)。一旦滴が作出されたら、それらは水を除去 すること及び上記活性剤、賦形剤(単数又は複数)、及び残りの緩衝液(単数又は複数) 、溶媒(単数又は複数)又は塩(単数又は複数)を残すことにより乾燥される。これは本 分野において知られるように、凍結乾燥、すなわち、滴としてではなくケークとして凍結 することによるような、さまざまな方法でなされうる。一般的に、及び好ましくは、吸引 は、例えば、凍結が起こるのとおよそ同じ温度で適用される。しかしながら、吸引の適用 のわずかに前に又は間に凍結した粒子の温度を上げることにより上記剤に対する凍結スト レスのいくらかを和らげることは可能である。「アニーリング」といわれるこのプロセス は剤の不活性化を減少させ、及び1以上の段階でなされうる、例えば、上記温度は吸引の 20 乾燥段階の前又は間の1以上の回、増大されることができ、好ましい様式では少なくとも 2の熱増大を利用する。上記粒子は吸引の適用前に、ある期間、一般的には熱平衡が達成 されるための十分な時間、すなわち、サンプルサイズ及び熱交換の効率に因り1∼数時間 、インキュベートされることができ、その後吸引が適用され、及び他のアニーリング段階 がなされる。上記粒子は結晶構造に関連しない水の大部分を除去するために十分な時間、 温度、吸引強度、サンプルサイズ等に因る実際の時間凍結乾燥されうる。 【0085】 球化は実質的に球の粒子の形成を含み、及び本分野において周知である。薬物を球化す るための商業的に入手可能な機械が知られ、及び、例えば、LCI Corp.(Cha rlotte, N. C.)からのMarumerizer(商標)及びVector 30 Corp.(Marion, Iowa)からのCF−Granulatorを含む。 上記機械は放出ポートを有する囲まれた腔、円形プレート及びプレートを折り返す手段、 例えば、モーターを含む。ミキサー/粒状化装置からの嵩張る薬物又は薬物の湿った顆粒 は回転プレート上に飲み込まれ、回転プレートはそれらを囲まれた腔の内壁に対して押し 付ける。上記プロセスは球形の粒子をもたらす。使用されうる球化への代替のアプローチ は制御された条件下でのスプレイ乾燥の使用を含む。スプレイ乾燥技術を用いて粒子を球 化するために必要とされる条件は当業者に知られ、及び関係引用文献及びテキスト、例え ば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, Twentieth Edition(Easton, Pa.: Mack Publishing Co., 2000)中に示される。 40 【0086】 好ましい態様においては、第二の凍結乾燥段階が約0℃、約10℃、∼約20℃、∼約 25℃の温度で追加の水を除去するために行われ、約20℃が好ましい。上記粉末はその 後慣用の技術を用いることにより集められ、及び必要とはされないが、嵩高剤が、所望の 場合、添加されうる。一旦作出されたら、本発明に係る乾燥粉末製剤は乾燥粉末吸入装置 により容易に分散され、及び続いて上記粒子が肺の標的領域内へ浸透するように患者によ り吸入されうる。本発明に係る粉末は治療的に有効な量の活性剤を含む単位投与量に調合 され、及び患者へのデリバリーのために、例えば、呼吸及び肺の障害の予防及び治療のた めに使用されうる。 【0087】 50 (23) JP 2005-530820 A 2005.10.13 本発明に係る乾燥粉末製剤は、例えば、治療される障害の型、個々の患者の臨床状態、 上記活性剤が予防又は治療目的のいずれのために投与されるか、投与量中のその濃度、以 前の治療、患者の病歴及び上記活性剤への彼の/彼女の応答、投与方法、投与計画、主治 医の裁量、及び実施者に知られる他の因子を考慮に入れて、優れた医療実施に一致した様 式で調合され、及び投与される。本特許の目的のための活性化合物の「有効な量」又は「 治療的に有効な量」は予防的な及び治療的な投与を含み、及び上記活性剤の個性に因るで あろう、及びしたがって、上記考慮により決定され、及び処置される患者の関連する好ま しい生物学的応答を増大させる及び維持する量である。上記活性剤は患者に一度に又は一 連の処置にわたり、好ましくは1日1回好適に投与され、及び診断以後からいつでも患者 に投与されうる。「単位投与量」は本明細書中で治療的に有効な量の微小化活性剤を含む 10 単位投与量容器を意味する。上記投与量容器は気体流への分散により上記乾燥粉末化製剤 のエーロゾル化を許容し、エーロゾルを形成するための好適な吸入装置内に合うものであ る。これらはカプセル、フォイルポーチ、ブリスター、バイアル等でありうる。上記容器 はプラスティック、ガラス、フォイル等を含むいくつかの異なる材料から形成されること ができ、及び使い捨てであり又は充填されたカプセル、ポーチ、ブリスター等の挿入によ り再装填可能でありうる。上記容器は一般的に上記乾燥粉末調剤を有し、及び使用のため の説明書を含む。上記単位投与量容器は上記粉末を患者にデリバリーするであろう吸入器 と関連しうる。これらの吸入器は患者による吸入のために好適な、上記粉末が分散される チャンバーを場合により有しうる。 【0088】 20 本発明に係る乾燥粉末化製剤はさらに、例えば、埋め込み、パッチ等のために他の方法 で、例えば、維持された放出組成物として調合されうる。維持された放出組成物の好適な 例は形付けられた物品、例えば、フィルム又はマイクロカプセルの形態の半浸透重合体マ トリックスを含む。維持された放出マトリックスは、例えば、ポリラクチドを含む。例え ば、米国特許第3,773,919号;EP 58,481号を参照のこと。L−グルタ ミン酸及びガンマ−エチル−L−グルタミン酸塩の共重合体もまた好適である。例えば、 ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)についてSidman et al., Biopolymers 22:547−556(1983)を参照のこと。Lange r et al., J. Biomed. Mater. Res. 15:167− 277(1981);Langer, Chem. Tech., 12:98−105 30 (1982)を参照のこと。また酢酸エチレンヴィニル及びポリ−D−(−)−3−ヒド ロキシブチル酸も好適である。Langer et al., supra;(EP 1 33,988)を参照のこと。維持された放出組成物はまた既知の方法により調製されう るリポソームに閉じ込められた剤をも含む。例えば、DE 3,218,121号;Ep stein et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:3688−3692(1985);Hwang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4030−4034(1980); EP 52,322;EP 36,676;EP 88,046;EP 143,949 ;EP 142,641;日本国特許出願 83−118008;米国特許第4,485 ,045号及び第4,544,545号;EP 102,324を参照のこと。全ての引 40 用される技術の関係する節は本明細書中に援用する。通常、上記リポソームは脂質内容量 が約30mol.%コレステロール超である、約200∼800オングストロームの小さ な単層のリポソームであり、選択される割合は最適な治療のために調節される。 【0089】 好ましい態様においては、本発明に係る乾燥粉末化製剤は吸入されない場合もあり、比 較的新しい注入装置及び粉末の注入方法を用いて乾燥粉末として注入されうる。この態様 においては、上記粉末の分散性及び呼吸適性は重要ではなく、及び上記粒子サイズはより 大きいもの、例えば、約10μm、約20μm∼約40μm、約50μm∼約70μm、 約100μmでありうる。本発明における乾燥粉末化調剤は注入のために再構成もされう る。本発明に係る粉末が優れた安定性を示すとき、それは希釈剤を用いて液体形に再構成 50 (24) JP 2005-530820 A 2005.10.13 され、及びその後非肺投与経路で、例えば、注入より、皮下に、静脈内に等使用されうる 。生理的食塩水、他の緩衝液、塩、及び非水性液体等を含む、既知の希釈剤が使用されう る。本発明に係る乾燥粉末を再構成し、及びそれを鼻の若しくは肺内の投与のための又は 吸入のための、肺のデリバリーのための液体エーロゾルを形成するために使用することも 可能である。本明細書中で使用されるとき、上記用語「治療する」は治療的な及び維持の 処置、並びに予防の及び妨げる措置をもいう。処置を必要とする者は既に上記障害につい て診断されている者、並びに上記障害を有しやすい者及び上記障害が妨げられるべき者を も含む。連続的な処置又は投与は1以上の日の間処置における中断がない、少なくとも毎 日の基礎の処置をいう。断続的な処置若しくは投与又は断続的な様式での処置若しくは投 与は連続的ではないが、性質が周期的である処置をいう。本明細書中の処置の型は連続的 10 若しくは断続的又は他の好適な様式のものでありうる。上記乾燥粉末化製剤は、例えば、 ふるい分け、凍結乾燥、スプレイ−凍結乾燥、スプレイ乾燥、及び凍結乾燥等により得ら れうる。これらの方法は改善された効果のために混合されうる。当業者に知られるであろ うように、フィルターはふるい分けのために使用されうる。上記剤の粒子サイズの変化及 び選択は単一の段階で、好ましくは、以前に示されるように所望の粒子サイズを得るため に有効な条件下で微小化することにより行われうる。 【0090】 上記乾燥粉末化製剤はその後、上記剤の流動性が保たれる限りは、温度、湿度、光、圧 等の制御された条件下で貯蔵されうる。貯蔵における上記剤の安定性は選択された期間選 択された温度で計測されることができ、及び速いスクリーニングのために条件のマトリッ 20 クスは、例えば、2∼8℃、30℃及びときどき40℃で2、4及び24週間行われる。 調剤が安定であるべき時間の長さ及び条件は、上記、バッチ当たりの作出される量、貯蔵 条件、製品のターンオーバー等を含む、いくつかの因子に因るであろう。これらの試験は 通常38%(rh)比較湿度で行われる。これらの条件下で、上記剤は一般的に18ヶ月 間にわたり約30%未満、ときどき約20%未満又は約10%未満の生物学的活性しか失 わない。本発明に係る乾燥粉末は約50%未満、いくつかの場合約30%未満、及び他の 場合約20%未満のFPFしか失わない。 【0091】 本発明に係る乾燥粉末製剤は、患者にデリバリーされる乾燥粉末における剤の濃度を減 少させるために使用される、嵩高剤又は担体の如き、調合成分と混合されうる。これらの 30 成分の上記調剤への添加は必要とされないが、しかしながら、いくつかの場合、単位用量 当たりのより大きな容積の材料を有することが所望されうる。嵩高剤はまた分散装置内の 上記粉末の流動性及び分散性を改善するために又は上記粉末の取り扱い特性を改善するた めにも使用されうる。これはいくつかの粒子サイズ減少プロセス(例えば、スプレイ乾燥 )の間の嵩高剤又は担体の使用とは区別される。好適な嵩高剤又は賦形剤は一般的に(水 吸収を避けるために)結晶であり、及び、非限定的に、ラクトース及びマンニトールを含 む。ラクトースが、例えば、約99:約1:約5:活性剤対嵩高剤の量で添加される場合 、約1:99、及び約5∼約5:及び約1:10∼約1:20が好ましい。 【0092】 本発明に係る乾燥粉末製剤は他の薬物を含みうる、例えば、治療用剤の組み合わせは共 40 にプロセスされ、例えば、スプレイ乾燥されうる又はそれらは別々にプロセスされ及びそ の後混合されうる又は1の成分はスプレイ乾燥されることができ、及び他はされないがそ れは本明細書中で可能にされる他の様式の1でプロセスされる。薬物の組み合わせは、当 業者に理解されるであろうように、上記薬物が投与される障害に因るであろう。本発明に 係る乾燥粉末製剤はまた調合成分として賦形剤、保存剤、洗剤、界面活性剤、抗酸化剤等 をも含みうる、及び好適な方法により上記剤を気道に輸送するどんな方法によっても投与 されうるが、好ましくは呼吸に適する製剤として呼吸系をとおして、より好ましくは上記 剤の粒子、及び場合により、他の治療用剤及び配合成分を含むエーロゾル又はスプレイの 形態で投与される。 【0093】 50 (25) JP 2005-530820 A 2005.10.13 他の態様において、上記乾燥粉末化製剤は本発明に係る乾燥医薬剤及び1以上の界面活 性剤を含みうる。本発明において使用される上記活性化合物の取り込みを高めるために好 適な界面活性剤又は界面活性成分は、数ある中で、界面活性タンパク質A、界面活性タン パク質B、界面活性タンパク質C、界面活性タンパク質D及び界面活性タンパク質Eの合 成及び天然に加えて全長及び切り取られた形態、(ヂパルミトイル以外の)ヂ飽和フォス ファチヂルコリン、ヂパルミトイルフォスファチヂルコリン、フォスファチヂルコリン、 フォスファチヂルグリセロール、フォスファチヂルイノシトール、フォスファチヂルエタ ノールアミン、フォスファチヂルセリン、フォスファチヂン酸、ユビキノン、リソフォス ファチヂルエタノールアミン、リソフォスファチヂルコリン、パルミトイル−リソフォス ファチヂルコリン、デヒドロエピアンドロステロン、ドリコール、スルファチヂン酸、グ 10 リセロール−3−フォスフェート、リン酸ヂヒドロキシアセトン、グリセロール、グリセ ロ−3−フォスフォコリン、ヂヒドロキシアセトン、パルミテート、シチヂンヂフォスフ ェート(CDP)、ヂアシルグリセロール、CDPコリン、コリン、リン酸コリン;及び 界面活性成分のための天然担体媒体である天然の及び人工の層状体、オメガ−3脂肪酸、 ポリエン酸、ポリエノン酸、レシチン、パルミチン酸、酸化エチレン又はプロピレンの非 イオン性ブロック共重合体、ポリオキシプロピレン、モノマー及びポリマーポリオキシエ チレン、デキストラン及び/又はアルカノイル側鎖を有するモノマー−及びポリマー−ポ リ(ヴィニルアミン)、Brij 35(商標)、Triton X−100(商標)、 及び合成界面活性剤ALEC(商標)、Exosurf(商標)、Survan(商標) 、及びAtovaquone(商標)を含む。これらの界面活性剤は調剤中で単独の成分 20 界面活性剤又は複数の成分界面活性剤の一部として又は上記活性化合物に共有結合された 添加物として使用されうる。 【0094】 本発明の調剤における使用のための他の治療用剤の例は、上記に挙げられるものに加え て、アセトアミノフェン、アニレルヂン、アスピリン、ブプレノルフィン、ブタビタール 、ブトルプファノール、サリチル酸コリン、コデイン、デゾシン、ヂクロフェナック、ヂ フルニサル、ヂヒドロコデイン、エルカトニニン、エトドラック、フェノプロフェン、ヒ ドロコドン、ヒドロモルフォン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ケトロラック、レヴ ォルファノール、サリチル酸マグネシウム、メクロフェナメート、メフェナミン酸、メペ リヂン、メタドン、メトトリメプラジン、モルフィン、ナルブフィン、ナプロキセン、オ 30 ピウム、オキシコドン、オキシモルフォン、ペンタゾシン、フェノバルビタール、プロポ キシフェン、サルサレート、サリチル酸ナトリウム、トラマドール及び麻酔性鎮痛薬の如 き鎮痛薬である。Mosby’s Physician’s GenRxを参照のこと。 数ある中で、アルプラゾラム、ブロマゼパム、ブスピロン、クロルヂアゼポキシド、ク ロルメザノン、クロラゼペート、ヂアゼパム、ハラゼパム、ヒドロキシジン、ケタスゾラ ム、ロラゼパム、メプロバメート、オキサゼパム及びプラゼパムを含む、抗不安剤もまた 有用である。数ある中で、クロルヂアゼポキシド、アミトリプチリン、ロキサピン、マプ ロチリン及びペルフェナジンの如き精神のうつに関連する抗不安剤。非リウマチ性アスピ リン、サリチル酸コリン、ヂクロフェナック、ヂフルニサル、エトドラック、フェノプロ フェン、フロクタフェニン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケ 40 トプロフェン、サリチル酸マグネシウム、メクロフェナメート、メフェナミン酸、ナブメ トン、ナプロキセン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、サルサレート 、サリチル酸ナトリウム、スリンダック、テノキシカム、チアプロフェニン酸、トルメチ ンの如き抗炎症剤、ヂクロフェナック、フルルビプロフェン、インドメタシン、ケトロラ ック、リメキソロンの如き(一般的に術後処置のための)眼の治療のための抗炎症薬、ベ クロメタキソン、ブデソニド、デキサメタゾン、フルニソリド、トリアムシノロンの如き 非感染性鼻適用のための抗炎症薬等。アルプラゾラム、ブロマゼパム、ヂアゼパム、ヂフ ェンヒドラミン、ドキシルアミンを含む、不眠症の治療、アミトリプチリン HCl(エ ラヴィル)、アミトリプチリン HCl、ペルフェナジン(トリアヴィル)及びドキセピ ン HCl(シネクワン)を含む三環系抗うつ薬の如き治療のために利用されるものの如 50 (26) JP 2005-530820 A 2005.10.13 き催眠薬(抗不眠症/睡眠誘発剤)。精神安定薬の例は、数ある中で、エスタゾラム、フ ルラゼパム、ヘラゼパム、ケタゾラム、ロラゼパム、ニトラゼパム、プラゼパム、クアゼ パム、テマゼパム、トリアゾラム、ゾルピデム及びソピクロンである。ヂフェンヒドラミ ン、ヒドロキシジン、メトトリメプラジン、プロメタジン、プロポフォール、メラトニン 、トリメプラジン等を含む鎮静薬。 【0095】 アミトリプチリン HCl;クロルヂアゼポキシド、アモバルビタール;セコバルビタ ール、アプロバルビタール、ブタバルビタール、エスチオルヴィノール、グルテチミド、 L−トリプトファン、メフォバルビタール、メトヘキシタール Na、ミダゾラム HC l、オキサゼパム、ペントバルビタール Na、フェノバルビタール、セコバルビタール 10 Na、チアミラール Na、及び多くの他のものの如き、鎮静薬及び他の状態の中で小 不全及び振せんの治療のために使用される剤。エナドリン HCl(例えば、重篤な頭部 損傷の治療のため;見捨てられた状態、Warner Lambert)の如き、頭部外 傷(脳損傷/虚血)の治療において使用される剤、細胞保護剤、及び閉経、閉経症状(処 置)の治療のための剤、例えば、エルゴタミン、ベラドンナ、アルカロイド及びフェノバ ルビタール、閉経血管運動症状の治療のための剤、例えば、クロニヂン、混合されたエス トロゲン及びメドロキシプロゲステロン、エストラヂオール、エストラヂオールシピオネ ート、エストラヂオールバレレート、エストロゲン、混合されたエストロゲン、エステル 化エストロン、エストロピペート、及びエチニルエストラヂオール。月経前症候群(PM S)の治療のための剤の例はプロゲステロン、プロゲスチン、性腺刺激放出ホルモン、経 20 口避妊薬、ダナゾール、酢酸ルプロリド、ビタミンB6である。情動の/精神の治療のた めの剤、抗うつ薬及び抗不安剤の例はヂアゼパム(ヴァリウム)、ロラゼパム(アチヴァ ン)、アルプラゾラム(キサナックス)、SSRI’s(選択的セロトニン再取り込み阻 害剤)、フルオキセチン HCl(プロザック)、セルタリン HCl(ゾロフト)、パ ロキセチン HCl(パキシル)、マレイン酸フルヴォキサミン(ルボックス)、ヴェン ラファキシン HCl(エフェクサー)、セロトニン、セロトニンアゴニスト(フェンフ ルラミン)、及び他の大衆(OTC)医薬である。 【0096】 上記組み合わせ治療用調剤は多くの慣用の技術を用いて製造されうる。より下部の呼吸 腔における最大沈積のために適切なサイズ範囲(すなわち、約0.1μm∼約10μm) 30 の第一の粒子を作るために、上記プロセスにおけるいくつかのポイントで好適なミル内で 、例えば、ジェットミル内で上記活性化合物及び適切な場合(すなわち、順序立った混合 が意図されない場合)担体を微小化することが必要とされうる。例えば、DHEA及び担 体を乾燥混合し、適切な場合、その後上記物質を共に微小化しうる、あるいは、上記物質 は別々に微小化され、及びその後混合されうる。混合されるべき化合物が硬さ及びもろさ の如き異なる物理的特性を有する場合、微小化に対する抵抗性は変化し、及びそれらは壊 されて好適な粒子サイズになるために異なる圧を必要としうる。それゆえ、共に微小化さ れたとき、上記成分の1の得られた粒子サイズは不満足なものでありうる。そのような場 合、はじめに上記異なる成分を別々に微小化し、及びその後それらを混合することが有益 であろう。 40 【0097】 分子レベルでの混合を得るために、好適な溶媒、例えば、水中に、順序立った混合が意 図されない場合担体を含む、上記活性成分をはじめに溶解することもまた可能である。こ の手順はまたpH値を所望の値に調節することを可能にさせる。これらの限界外のpHを 有する製品は気道の刺激及び収縮を誘導しうるので、吸入製品についてのpH3.0∼8 .5の医薬として許容される限界は考慮に入れられなければならない。粉末を得るために 、上記溶媒はDHEAの生物学的活性を保持するプロセスにより除去されなければならな い。好適な乾燥法は吸引濃縮、オープン乾燥、スプレイ乾燥、凍結乾燥及び超臨界流動体 の使用を含む。DHEAのいくらかの分解が起こりうるので、数分超の50℃を超える温 度は一般的に避けられるべきである。乾燥段階後、上記固体材料は、必要な場合、粗い粉 50 (27) JP 2005-530820 A 2005.10.13 末を得るためにひかれ、及びその後、必要な場合、微小化されうる。 【0098】 所望の場合、上記微小化粉末は、それが意図される吸入装置内に導入される前に、例え ば、乾燥粒状化により流動特性を改善するためにプロセスされ、優れた取り扱い特性を有 する球状凝集体を形成しうる。上記の場合、患者の呼吸腔に入る粒子が主に所望のサイズ 範囲内であるように、上記装置は、上記凝集体が実質的に上記装置を出る前に脱凝集され ることを確実にするよう配置されるであろう。順序立った混合物が所望される場合、上記 活性化合物は、所望の場合、特定の粒子サイズ範囲内の粒子を得るために、例えば、微小 化によりプロセスされうる。上記担体はまた、例えば、所望のサイズ及び特定の表面対重 量率の如き所望の表面特性又はある特質を得るために、及び順序立った混合物における最 10 適粘着力を確実にするためにプロセスされうる。順序立った混合物の上記物理的必要性は 周知であり、前記必要性を満たす順序立った混合物を得るさまざまな方法があり、及び当 業者により容易に決定されうる。 【0099】 本発明に係る乾燥粉末製剤は呼吸に適するサイズの粒子、すなわち、肺の気管支及び肺 胞への、吸入、鼻の投与又は肺の点滴注入に際して鼻、口、喉頭又は肺をとおるのに十分 小さいサイズの粒子の調剤として呼吸腔内に投与されうる。一般的に、呼吸に適する粒子 は約0.1μm∼約100μmに及び、及び吸入可能な粒子は大きさが約0.1μm∼約 10μm、∼約5μmである。ほとんどの場合、吸入されるとき、エーロゾル中に含まれ る呼吸に適さないサイズの粒子は咽喉中に沈積し、及び飲み込まれる傾向があり、そのこ 20 とは上記エーロゾル中の呼吸に適さない粒子の量を減少させる。鼻の投与のために、約1 0μm∼約20μm、約50μm、約60μm又は約100μmの範囲の粒子サイズは鼻 腔における保持を確実にするために好ましい。 【0100】 上記粒子のサイズ及び形は適切な粒子形態を決定する及び確実にするために知られた技 術を用いて分析されうる。例えば、当業者は顕微鏡下で上記粒子を視覚的に観察し及び/ 又はそれらをメッシュスクリーンにとおすことにより粒子サイズを決定しうる。粒子の視 覚化についての好ましい技術はスキャニングエレクトロンマイクロスコピー(SEM)及 びトランスミッションエレクトロンマイクロスコピー(TEM)を含む。粒子サイズ分析 はレーザー回折法を用いて起こりうる。レーザー回折による粒子サイズ分析を行うための 30 商業的に入手可能な系はClausthal−Zellerfeld, Germany (HELOS H1006)から入手可能である。 【0101】 本発明に係る乾燥粉末化製剤は、エーロゾル又はスプレイ作出器の如き、固体粒状エー ロゾルを作出する装置でデリバリーされうる。これらの装置は、上記に説明されるように 、呼吸に適する粒子を作出し、及びヒト又は動物投与のために好適な割合の前決定された 計測された用量の医薬を含むエーロゾル又はスプレイのある容積を作出する。固体粒状エ ーロゾル又はスプレイ作出器の1の例示的な型は細かく砕かれた粉末の投与に好適な粉吹 き器である。後者はまた鼻からの吸入の様式で鼻腔内に取られうる。粉吹き器において、 上記粉末、例えば、本明細書中に示される治療を行うのに有効な計測された用量の剤はカ 40 プセル又はカートリッヂ中に含まれる。これらのカプセル又はカートリッヂは典型的にゼ ラチン、フォイル又はプラスティックから作られ、及び原位置に穴をあけられ又は開かれ うる、及び上記粉末は吸入に際して上記装置から引き抜かれる空気により又は手動で操作 されるポンプの方法によりデリバリーされる。粉吹き器において使用される乾燥粉末製剤 は上記剤単独又は上記剤を含む粉末配合から成りうる、及び上記剤は典型的に上記製剤の 0.01∼100% w/wを含む。上記乾燥粉末化調剤は一般的に約0.01% w/ w、約1% w/w、約5% w/w、∼約20% w/w、約40% w/w、約99 .99% w/wの量で上記活性化合物を含む。しかしながら、他の成分、及び他の量の 上記剤もまた本発明の制限内に好適である。 【0102】 50 (28) JP 2005-530820 A 2005.10.13 好ましい態様においては、上記乾燥粉末化調剤は噴霧器によりデリバリーされる。これ は彼ら自身の努力の下に上記粉末医薬組成物を吸入する又は呼吸することができない患者 又は被験者に特に有用である手段である。重篤な場合、上記患者又は被験者は人工呼吸器 をとおして生存を保たれている。上記噴霧器は弱塩水の如き、いかなる医薬として又は獣 医学的に許容される担体をも使用しうる。上記噴霧器は、上記粉末医薬組成物が気道にお ける患者又は被験者の標的にデリバリーされる手段である。 【0103】 本発明に係る調剤はまた異なる投与方法及びデリバリー経路のために調整されるさまざ まな形態で提供される。企図される調剤は、例えば、皮膚、口、鼻、膣、肛門、眼、及び 他の体の腔をとおした、皮内の、維持された放出製剤としての、包膜内の、血管内の、吸 10 入による、鼻の、肺内の、器官への、埋め込みによる、坐剤による、クリーム、ジェル等 としての、本分野において知られる全てのデリバリーに好適な賦形剤及び他の剤を含む経 皮製剤である。1の態様においては、上記乾燥粉末化製剤はエーロゾル又はスプレイの如 き、呼吸に適する製剤を含む。本発明に係る乾燥粉末製剤はバルクで、及び単位形態で、 並びに本分野において知られるように開かれ又は穴をあけられうる、埋め込み、カプセル 、ブリスター又はカートリッヂの形態で提供される。デリバリー装置、及び別々の容器内 に、本発明に係る乾燥粉末化製剤、及び場合により他の賦形剤及び治療用剤、並びに上記 キット成分の使用のための説明書を含むキットもまた提供される。 【0104】 1の好ましい態様においては、上記剤は懸濁物計測用量吸入(MDI)調剤を用いてデ 20 リバリーされる。上記MDI製剤はヒドロフルオロアルカン(HFA)の如き駆出剤を用 いるデリバリー装置を用いてデリバリーされうる。好ましくは、上記HFA駆出剤は10 0万当たり100部分(PPM)以下の水を含む。N. C. Miller(In: Respiratory Drug Delivery, P. R. Bryon(e d.),CRC Press, Boca Raton, 1990, pp.249− 257)はMDI懸濁物中における結晶成長に対する水内容量の効果を概略する。水に暴 露されたとき、無水DHEA−Sは水和し、及び最終的に大きな粒子を形成するであろう 。この水和プロセスは水内容量を有するHFA駆出剤中の無水DHEA−Sの懸濁物中で 起こりうる。この水和プロセスは強い粒子内結合の形成のために結晶成長を促進し、及び 大きな粒子の形成を引き起こしうる。対照的に、上記二水和物形は既に水和されており、 30 したがってより安定である、及びしたがって上記二水和物形はさらにより大きな粒子を形 成しないであろうから、MDI中で無水物形より好ましい。DHEA−Sが二水和物形よ り低いエネルギーを有するHFA駆出剤との溶媒和物を形成する場合、このDHEA−S 溶媒和物は最も安定で、及びそれゆえMDIについてより好ましい形態であろう。 【0105】 1の好ましい態様においては、上記デリバリー装置は上記調剤の単一の又は複数の用量 をデリバリーする乾燥粉末吸入器(DPI)を含む。上記単一用量吸入器は1の適用に十 分な調剤で無菌的に前ロードされる使い捨て可能なキットとして提供されうる。上記吸入 器は加圧吸入器として提供されることができ、及び上記製剤は穴をあけることができる又 は開くことができるカプセル又はカートリッヂ中にある。上記キットは場合によりまた別 40 々の容器内に、異なる調剤のための他の好適な添加物の中で、他の治療用化合物、賦形剤 、(配合成分はもちろん治療用剤としても意図される)界面活性剤、抗酸化剤、香味及び 着色剤、充填剤、揮発性油、緩衝剤、分散剤、界面活性剤、抗酸化剤、香味剤、嵩高剤、 駆出剤及び保存剤の如き剤を含みうる。本発明に係る乾燥粉末化製剤は気管支収縮、アレ ルギー(単数又は複数)、肺癌及び/又は炎症に関連する疾患又は症状の治療及び/又は 予防において単独で又は組成物若しくはさまざまな製剤の形態で利用されうる。疾患の例 は、数ある中で、気道炎症、アレルギー(単数又は複数)、喘息、妨げられた呼吸、CF 、COPD、AR、ARDS、肺の高血圧、肺の炎症、気管支炎、気道閉塞、気管支収縮 、微生物感染、(SARSの如き)ウイルス感染である。明らかに、本製剤は患者を苦し める疾患を治療するために投与されることができ、及び上記は単に例である。典型的に、 50 (29) JP 2005-530820 A 2005.10.13 上記乾燥粉末化製剤は上記疾患又は症状を減少させる又は改善させるための剤について有 効な量で投与されうる。 【0106】 上記乾燥粉末化製剤は、好ましくは呼吸に適する粉末、エーロゾル又はスプレイとして 肺(単数又は複数)に直接的に投与されうる。当業者は本特許の教示にしたがってどのよ うにして治療される患者の体重により投与される乾燥粉末化製剤の量を滴定するのか知る であろうが、上記剤は好ましくは約0.05∼約10μM、及びより好ましくは約5μM までの剤の細胞内濃度を得るために有効な量で投与される。駆出剤は圧下で使用されうる 、及びそれらはまた共溶媒をも有しうる。本発明に係る乾燥粉末化製剤は、経皮の又は体 系の経路、経口で、腔内に、鼻内に、肛門内に、膣内に、経皮に、頬内に、静脈内に、皮 10 下に、筋内に、腫瘍内に、腺内に、移植により、皮内に、及び埋め込み、遅い放出、経皮 放出、維持された放出製剤としてのもの及び標的組織に達する前の上記剤の破壊を避ける ために1以上の巨大分子で覆われたものを含む多くの他のものを含む多くの方法の1でデ リバリーされうる。この剤により処置されうる被験体は一般的にはヒト及び他の動物、及 び特に脊椎動物、及びこれらの哺乳類の中で、及びより特には及び小さな及び大きな、野 生の及び家畜化された、海洋の及び農場の動物、及び好ましくはヒト及び家畜化された及 び農場の動物及びペットを含む。 【0107】 以下の実施例は上記に示される発明を用いる方法をより完全に示すために、及び本発明 のさまざまな局面を行うために企図される最もよい様式を設定するために役に立つ。これ 20 らの実施例は本発明の真の範囲を制限するために役立つのではなく、例示の目的のために 示されるということが理解される。本明細書中に引用される全ての引用文献の関連部分は それらを全体として本明細書中に援用する。これらの実施例において、μMはマイクロモ ーラーを意味し、mMはミリモーラーを意味し、mlはミリリットルを意味し、μm又は ミクロンはマイクロメーターを意味し、mmはミリメーターを意味し、cmはセンチメー ターを意味し、℃は摂氏の度数を意味し、μgはマイクログラムを意味し、mgはミリグ ラムを意味し、gはグラムを意味し、kgはキログラムを意味し、Mはモーラーを意味し 、及びhは時間を意味する。 【実施例】 【0108】 30 実施例 実施例1 無水DHEA−Sのエアージェット製粉及び呼吸に適する用量の決定 DHEA−Sはそのクラスに関連する安全性の懸念を共有するとは予想されない吸入コ ルチコステロイド治療の代わりに1日当たり1回の喘息治療として評価される。DHEA −S、硫酸ナトリウムデヒドロエピアンドロステロン(NaDHEA−S)又は硫酸ナト リウムプラステロンの固体状態安定性はバルクの及び製粉された材料の両方について研究 されている(Nakagawa, H., Yoshiteru, T., and F ujimoto, Y. (1981) Chem. Pharm. Bull. 29 (5)1466−1469;Nakagawa, H., Yoshiteru, T. 40 , and Sugimoto, I. (1982) Chem. Pharm. B ull. 30(1)242−248)。DHEA−Sは最も安定で及び二水和物形とし ての結晶である。上記DHEA−S無水物形は低い結晶性を有し、及び非常に吸湿性であ る。上記DHEA−S無水物形は、それが貯蔵の際に水を集めない限りは安定である。湿 気なしの部分的に結晶の材料を保つことは特別の製造及び包装技術を必要とする。強い製 品のために、湿気に対する感受性を最小限化することは開発プロセスの間重要である。 【0109】 (1)DHEA−Sの微小化 無水硫酸DHEAをジェットミル(Jet−O−Mizer Series #00, 100−120 PSI窒素)を用いて微小化した。約1gサンプルを1回ジェットミル 50 (30) JP 2005-530820 A 2005.10.13 にとおし、及び約2gサンプルを2回ジェットミルにとおした。それぞれの製粉ランから の粒子を、DHEA−Sが不溶であり、及びSpa85界面活性剤が凝集を避けるために 添加されたヘキサン中に懸濁した。生ずる溶液は3分間超音波処理され、及び完全に分散 されたように見えた。上記分散された溶液を小容積サンプラー(SVS)取付けを伴うM alvern Mastersizer X上で試験した。分散された材料の1のサンプ ルを5回試験した。製粉されていない材料の中央値粒子サイズ又はD(v,0.5)は5 2.56μmであり、及び%RSD(比較標準偏差)は5の値について7.61であった 。1回のジェットミル通過についてのD(v,0.5)は3.90μmであり、及び%R SDは1.27であり、及び2回ジェットミル通過からのD(v,0.5)は3.25μ mであり、及び%RSDは3.10であった。これは、DHEA−Sはジェット製粉され 10 て、吸入に好適なサイズの粒子にされうることを示す。 【0110】 (2)HPLC分析 微小化薬物の2のバイアル(A;1回通過;150mg)及び(B;2回通過;600 mg)はジェット製粉微小化の間の薬物分解を決定するために入手可能であった。バイア ルA及びBからのDHEA−Sの計量した等分をアセトニトリル−水の溶液(1:1)中 の製粉されていないDHEA−S(10mg/ml)の標準溶液と比較した。製粉されて いない薬物標準溶液(10mg/ml)のHPLC分析についてのクロマトグラフィーの ピーク領域は23,427の値を与えた。バイアルA及びBからの微小化DHEA−Sの 計量した等分(5mg/ml)をアセトニトリル−水の溶液(1:1)中に調製した。バ 20 イアルA及びBについてのクロマトグラフィーのピーク領域は、それぞれ、11,979 及び11,677であった。明らかに、ジェット製粉微小化プロセスの間に薬物の検出可 能な分解はなかった。 【0111】 (3)噴出(又は放射(Emitted))用量試験 DHEA−S粉末をNephele管中に集め及びHPLCにより分析した。試験され る3の乾燥粉末吸入器(Rotahaler、Diskhaler及びIDL’s DP I装置)のそれぞれについてそれぞれの気流速度で三重実験を行った。Nephele管 を1の端でガラスフィルター(Gelman Sciences, Type A/E, 25μm)と合わせ、ガラスフィルターを今度は試験されるそれぞれの乾燥粉末吸入器 30 からの薬物の噴出される用量を集めるために気流ラインにつなげた。Nephele管の 他の端で試験されるそれぞれの乾燥粉末吸入器の吸い口を受けるための開きを有する、シ リコンアダプターを確保した。30、60又は90L/分の所望の空気流をNephel e管をとおして達成した。それぞれの乾燥粉末吸入器の吸い口をその後シリコンゴムアダ プター内に挿入し、及び空気流を約4秒間続け、その後上記管を除去し、及びエンドキャ ップをそれぞれの管の端上に回して閉めた。フィルターを含まない管のエンドキャップを 除去し、及び10mlのHPLCグレード水−アセトニトリル溶液(1:1)を上記管に 添加し、上記エンドキャップを再び取り付け、及び上記管を1∼2分間振った。上記エン ドキャップをその後上記管から除去し、及び上記溶液をフィルター(Cameo 13N Syringe Filter, Nylon, 0.22μm)をはめ込んだ10m 40 lプラスティックシリンジに移した。上記溶液の等分を後のHPLCを介した薬物分析の ためにHPLCバイアル内に直接的にろ過して入れた。噴出用量実験をゼラチンカプセル (Rotahaler)又はVentodisk blister(Diskhaler 及びsingle−dose DPI(IDL))のいずれかに置かれる微小化DHEA −S(約12.5又は25mg)で行った。微小化DHEA−S(バイアルBのみが使用 された)をゼラチンカプセル又はブリスターへの設置のために計量したとき、微小化粉末 の数個の凝集体があるように見えた。30、60及び87.8L/分の空気流速度で行わ れた噴出(放射)用量試験の結果は表1∼4中に示される。表1は3の異なる流速でのR otahaler実験についての結果を含む。表2は3の異なる流速でのDiskhal er実験についての結果を含み、及び表3は3の異なる流速での複数用量実験の結果を含 50 (31) JP 2005-530820 A 2005.10.13 む。表4は上記実験の結果を要約する。 【0112】 【表1】 10 20 30 【0113】 40 (32) JP 2005-530820 A 2005.10.13 【表2】 10 20 30 【0114】 40 (33) JP 2005-530820 A 2005.10.13 【表3】 10 20 30 【0115】 40 (34) JP 2005-530820 A 2005.10.13 【表4】 10 20 30 40 【0116】 (4)呼吸に適する(respirable)用量試験 呼吸に適する用量(呼吸に適する画分)研究を入口円錐(インパクター前分離器はここ で置換された)、9段階、8回収プレート、並びに3のスプリングクランプ及びガスケッ 50 (35) JP 2005-530820 A 2005.10.13 トO−リングシールにより共に結合された8のアルミニウムステージ内のバックアップフ ィルターから成る、標準のサンプラーカスケードインパクター(Andersen)を用 いて行った、ここで、それぞれのインパクターステージは複数の精密な穴をあけたオリフ ィスを含む。空気が上記サンプラーをとおして引かれるとき、それぞれの段階における複 数の空気ジェットが空気で運ばれる粒子をその段階の回収プレートの表面に向かわせる。 上記ジェットの大きさはそれぞれの段階について一定であるが、それぞれの続く段階にお いてはより小さい。粒子がある段階で衝突されるかどうかはその空気力学直径に因る。そ れぞれの段階で集められる粒子サイズの範囲は段階のジェット速度、及び前の段階のカッ トオフポイントに因る。はじめの段階で集められなかった粒子はプレートの端の周りの空 気流にしたがって次の段階へいき、ここで、それは衝突され又は次の段階へとおされ、及 10 び上記ジェット速度が衝突に十分になるまで続く。カスケードインパクター試験の間の粒 子のはずみを避けるために、個々のインパクタープレートをヘキサン−グリース(高吸引 )溶液(100:1の割合)で覆った。上記に注意されるように、上記インパクタープレ ート上の粒子サイズカットオフポイントは異なる空気流速度で変わった。例えば、段階2 は60L/分で6.2μm粒子超、及び30L/分で5.8μm粒子超のカットオフ値に 対応し、及び段階3は5.6μm超の90L/分での粒子サイズカットオフ値を有した。 したがって、同様の、すなわち、5.6∼6.2μmに及ぶカットオフ粒子値は比較でき る空気流速度で好ましく使用される。乾燥粉末吸入器を試験するための米国Pharma copeiaにより推奨される設定はガラススロート(改変された50ml丸底フラスコ )に取り付けられた吸い口アダプター(この場合シリコン)及び先端を前分離器及びAn 20 dersenサンプラーに導くガラス遠位首(誘導ポート)から成る。前分離器サンプル は吸い口アダプター、ガラススロート、遠位ガラス首及び前分離器からの洗浄物を含む。 5mlアセトニトリル:水(1:1の割合)溶媒をカスケードインパクター実験を行う前 に前分離器内に置き、カスケードインパクター実験を3の異なる乾燥粉末吸入装置で及び 3の空気流速度、30、60及び90L/分で二重で行った。カスケードインパクタープ レート上に集められた薬物をHPLCにより分析し、及びブリスター内に残った薬物の量 、装置(Diskhalerのみ)内に残っている薬物の量、シリコンゴム吸い口アダプ ター、ガラススロート、ガラス遠位首及び前分離器に保持された用量の呼吸不可能な量、 1のサンプルについて混合される全て、及び呼吸に適する用量、すなわち、30及び60 L/分の空気流速度についてフィルターインパクタープレートをとおった段階2及び90 L/分の実験についてフィルターインパクタープレートをとおった段階1を決定すること から成る、薬物質量バランスを、それぞれのディスクハラー(Diskhaler)及び 複数用量カスケードインパクター実験について行った。 【0117】 30 (36) JP 2005-530820 A 2005.10.13 【表5】 10 20 30 【0118】 以下の結果は噴出用量及びカスケードインパクター実験に由来する。カスケードインパ クター実験において達成された低い呼吸に適する用量値は凝集した薬物粒子のためであり 、それは試験された最も高い空気流速度でさえも分離されえなかった。薬物粒子の凝集は 粒子サイズ減少のために使用される機械的製粉プロセスの間に積み重なった静電荷の結果 であり、及びこの状況は続く上記粒子の水分吸収によりさらにいっそう大きくされるとい うのが私たちの意見である。より少ない静電荷の又はより小さい吸湿性のDHEA−Sの 完全に水和した結晶形(すなわち、二水和物形)を産生する微小化法は凝集について減少 した可能性を有する自由に流動する粉末を提供するはずである。 【0119】 40 実施例2 無水硫酸DHEAのスプレイ乾燥及び呼吸に適する用量の決定 (1)薬物の微小化 1.5gの無水硫酸DHEAを100mlの50%エタノール:水に溶解し、1.5% 溶液を作出した。上記溶液を55℃の入口温度、40℃の出口温度のB−191 Min i Spray−Drier(Buchi, Flawil, Switzerland )で、100%アスピレーターで、10%ポンプ、40ミリバールの窒素流及び600ユ ニットのスプレイ流でスプレイ乾燥させた。スプレイ乾燥させた生成物をヘキサン中に懸 濁し、及びSpan85界面活性剤を凝集を減少させるために添加した。上記分散物を完 全な分散のために3∼5分間冷却しながら超音波処理し、分散された溶液を小容積サンプ 50 (37) JP 2005-530820 A 2005.10.13 ラー(Small Volume Sampler(SVS))取付けを有するMalv ern Mastersizer X上で試験した。 【0120】 2のバッチのスプレイ乾燥された材料は5.07±0.70μm及び6.66±0.9 1μmの平均粒子サイズを有することがわかった。それぞれのバッチの分散の光学顕微鏡 による視覚による検査は、スプレイ乾燥が小さな呼吸に適するサイズの粒子を作出したこ とを確実にした。平均粒子サイズはそれぞれのバッチについて、それぞれ、2.4μm及 び2.0μmであった。このことは、DHEA−Sはスプレイ乾燥され、吸入に好適な粒 子サイズになりうることを示す。 【0121】 10 (2)呼吸に適する用量研究 カスケードインパクター実験を実施例1に示されるように行った。4のカスケードイン パクター実験を、3はIDL複数用量装置で、及び1はDiskhalerで、全て90 L/分で行った。カスケードインパクター実験の結果は以下の表6中に示される。 【0122】 【表6】 20 30 40 【0123】 これらの実験におけるスプレイ乾燥された無水材料は微小化された無水DHEA−Sに 比較して呼吸に適する用量における2倍増大を作出した。増大した呼吸に適する用量がジ ェット製粉に比較してスプレイ乾燥で得られたことが明らかであるが、%の呼吸に適する 用量はまだ低かった。これはおそらく無水物形の水分吸収の結果である凝集のためであっ た。 【0124】 実施例3 DHEA−S二水和物(DHEA−S・2H2O)の空気ジェット製粉及び呼吸に適する 50 (38) JP 2005-530820 A 2005.10.13 用量の決定 (1)DHEA−S二水和物の再結晶化。無水DHEA−Sを90%エタノール/水の沸 騰混合物中に溶解する。この溶液をドライアイス/メタノール浴中ですばやく冷やし、D HEA−Sを再結晶化させる。上記結晶をろ過し、冷エタノールで2回洗浄し、その後全 部で36時間室温で吸引乾燥器中に置く。乾燥プロセスの間、上記材料を大きな凝集体を 壊すためにスパチュラで定期的に混合する。乾燥後、上記材料を500μmふるいにとお す。 【0125】 (2)微小化及び物理化学試験。DHEA−S二水和物を40PSIのベンチュリ圧、8 0PSIのミル圧、25の供給設定及び約120∼175g/時の生成物供給速度でジェ 10 ットミル中で窒素ガスで微小化する。表面領域を、Micromeritics Tri Star表面領域分析器を用いて吸収気体(P/P0=0.05∼0.30)として窒素 を用いて行われる5ポイントBET分析を用いて決定する。粒子サイズ分布をMicro meritics Satum Digisizerを用いてレーザー回折により計測し 、ここで上記粒子は分散剤としてナトリウムヂオクチルナトリウムスルフォ琥珀酸を有す る鉱油中に懸濁される。薬物物質水内容量をKarl Fischer滴定(Schot t Titroline KF)により計測する。純粋な水を標準として用い、及び三重 についての全ての比較標準偏差は1%未満である。粉末を滴定媒体に直接的に添加する。 微小化前及び後のDHEA−S二水和物の物理化学特性を表7中に要約する。 【0126】 20 【表7】 30 【0127】 計測される唯一の顕著な変化は粒子サイズにおいてである。水の顕著な損失又は不純物に おける増大はなかった。微小化された材料の表面領域は3∼4ミクロンの中央値サイズを 40 有する不規則な形の粒子と一致する。微小化は固体状態化学における計測される変化なし に、吸入に好適な範囲まで粒子サイズをうまく減少させる。 【0128】 (3)DHEA−S・二水和物のエーロゾル化。単一用量Acu−Breathe装置を DHEA−S・二水和物を評価するために使用する。約10mgのストレートのDHEA −S・二水和物粉末をフォイルブリスター中に充填し、及び密閉する。これらのブリスタ ーを、ガラスツインインピンジャースロートを有する30∼75L/分の範囲の流速のA ndersen 8段階カスケードインパクター内で作動させる。Andersenイン パクターの段階1∼5を共にすすぎ、微細粒子画分の見積もりを得る。複数の段階から集 められた薬物の1の分析へのプーリングは上記方法をもっとより感受性にさせる。この一 50 (39) JP 2005-530820 A 2005.10.13 連の実験の結果は図1中に示される。 【0129】 全ての流速で、二水和物は実質的に無水の材料より高い微細粒子画分を産生する。上記 二水和物粉末は単一用量吸入器を用いてエーロゾル化されるので、そのエーロゾル特性は 実質的に無水の材料より顕著に優れているということを結論付けることは非常に妥当であ る。より高い結晶性及び安定な水分内容量は二水和物の優れたエーロゾル特性に寄与する 最もありうる因子である。DHEA−S・二水和物のこの独特の特徴は以前の文献におい て報告されたことはない。 【0130】 二水和物形でのDHEA−Sのエーロゾルパフォーマンスにおける改善は顕著であるが 10 、ストレートの薬物物質は最適な調合でない場合もある。より大きな粒子サイズを有する 担体を用いることは典型的に微小化薬物物質のエーロゾル特性を改善する。 【0131】 実施例4 ラクトースあり及びなしの、無水DHEA−S及びDHEA−S二水和物安定性 はじめの純度(時間=0)を高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)により無水DH EAについて及びDHEA−S二水和物について決定した。DHEA−Sの両形態をその 後50:50の割合でラクトースと配合し又はストレートの粉末として使用し、及びオー プンガラスバイアル中に置き、及び4週間まで50℃で保った。これらの条件をその長期 安定性結果を予想するために調剤にストレスを与えるために使用した。DHEA−S(無 20 水物又は二水和物)のみを含むコントロールバイアルを密閉し、及び4週間まで25℃で 保った。サンプルを取り、及びまた0、1、2、及び4週間でHPLCにより分析し、D HEAの形成により決定される、分解の量を決定した。 【0132】 1週間後、密閉されたガラスバイアル中の50℃で貯蔵されたラクトースと配合された 実質的に無水のDHEA−S(名目上50% w/w)は茶色の色合いを得、それはラク トース配合についてはより濃い。この色変化に、図1中に示されるようにクロマトグラム における顕著な変化が伴う。主な分解物はデヒドロエピアンドロステロン又はDHEAで ある。図2から定性的に、上記配合におけるDHEAの量は他の2サンプルより高い。上 記サンプルにおける%DHEAを定量的に見積もるために、DHEAピークについての領 30 域をDHEA−S及びDHEAピークについての総領域で割る(結果については表8を参 照のこと)。上記配合についての分解のより高い速度はラクトース及び実質的に無水のD HEA−Sの間の特異的な相互作用を示す。DHEAにおける増大と並行して、加速され た貯蔵における上記粉末の茶色は時間にわたり増大した。加速された貯蔵における材料は 化学分析のためのサンプル計量の間の凝集により証明されるように時間と共により粘着性 になる。これらの結果に基づいて、実質的に無水のDHEA−Sをラクトースと調合する ことは不可能である。ラクトースは乾燥粉末調剤について最もよく使用される吸入賦形剤 であるので、これはかなりの不利益である。実質的に無水の形態で続けることはストレー トの粉末に限られる調合又は新規賦形剤を使用するためのより幅広い安全性研究に取りか かることを意味しうる。 【0133】 40 (40) JP 2005-530820 A 2005.10.13 【表8】 10 【0134】 図 2 と 比 較 し て 、 5 0 ℃ で の 1 週 間 の 貯 蔵 後 生 成 さ れ た D H E A は 実 質 的 に な い (図 3 を 参 照 の こ と )。 さ ら に 、 上 記 材 料 は 色 に お け る 変 化 を 示 さ な い 。 D H E A − S ・ 二 水 和 20 物の水分内容量は50℃で1週間の後実質的に変化しないままである。8.8%の出発値 に対して、加速された貯蔵後の水内容量は8.66%である。この安定性プログラムの過 程の間に計測された%DHEAは表9中に示される。 【0135】 【表9】 30 40 【0136】 図1及び2並びに表8及び9を比較することにより、DHEA−Sの二水和物形はさら なる研究への進行のためにより安定な形態であることがわかる。実質的に無水の材料のそ れに優る、DHEA−S・二水和物のラクトースとの優れた融和性は特許又は研究文献中 で報告されていない。この物質の溶解性は噴霧溶液についての開発作業の一部として次の 節で報告される。 【0137】 実施例5 DHEA−S二水和物/ラクトース配合、呼吸に適する用量及び安定性の決定 50 (41) JP 2005-530820 A 2005.10.13 (1)DHEA−S二水和物/ラクトース配合。等しい重量のDHEA−S及び吸入グレ ードのラクトース(Foremost Aero Flo 95)を手動で混合し、その 後500μmのスクリーンにとおし、前配合を調製する。上記前配合をその後残りのラク トースと共にBelArt Micro−Mill中に置き、DHEA−Sの10% w /w配合を作出する。上記ブレンダーをインペラースピードを制御するために可変電圧源 に配線する。上記ブレンダーの電圧を全電圧の30%、40%、45%及び30%をとお して、それぞれ1、3、1.5、及び1.5分間循環させる。上記配合の内容量の均一性 はHPLC分析により決定された。表10はこの配合についての内容量均一性サンプルの 結果を示す。標的値は10% w/w DHEA−Sである。上記配合内容量は標的値及 び内容量均一性への近接について十分である。 10 【0138】 【表10】 20 30 【0139】 (2)DHEA−S・二水和物/ラクトース配合のエーロゾル(エアロゾル)化。約25 mgのこの粉末をフォイルブリスター中に充填し、及び密閉し、及び単一用量装置を用い て60L/分でエーロゾル化する。2のブリスターをそれぞれの試験について使用し、及 び微細粒子画分についての結果(段階1∼5についての材料)を表11中に示す。 【0140】 40 (42) JP 2005-530820 A 2005.10.13 【表11】 10 【0141】 この予備的な粉末配合についてのエーロゾル結果は呼吸薬物デリバリー系に十分である 。より高い微細粒子画分は粉末配合及びブリスター/装置配置の最適化で可能である。試 験2の全粒子サイズ分布は表12中に示される。 【0142】 20 【表12】 30 【0143】 このエーロゾルについてのDHEA−Sのこの中央値直径は∼2.5μmである。この 直径はレーザー回折により微小化DHEA−S・二水和物について計測される中央値直径 より小さい。不規則な形の粒子は、それらの最も長い寸法が空気流フィールドに沿って整 列する傾向があるので、より小さな粒子として空気力学的に行動しうる。それゆえ、上記 2の方法の間の相違を見ることはよくある。回折計測はインプット材料についての質コン トロール試験であり、一方、カスケード衝突は終了した生成物についての質コントロール 試験である。 【0144】 (3)DHEA−S二水和物/ラクトース配合の安定性。このラクトース調剤はまた50 ℃の加速された安定性プログラム上に置かれる。DHEA−S内容量についての結果は表 13中にある。コントロールは室温で貯蔵された配合である。 【0145】 40 (43) JP 2005-530820 A 2005.10.13 【表13】 10 20 【0146】 どの条件についても時間にわたるDHEA−S内容量における傾向はなく、及び全ての 結果は内容量均一性試験について集められたサンプルの範囲内である(表13を参照のこ と)。さらに、色変化又はクロマトグラムにおいて観察される不規則性はない。上記配合 は化学的に安定であるように見える。 【0147】 実施例6 DHEA−Sの噴霧製剤 DHEA−Sの溶解度。「DHEA−S・二水和物の再結晶化(実施例4)」にしたがっ 30 て調製される、過剰のDHEA−S二水和物を溶媒媒体に添加し、及びいくらかの定期的 な振騰を伴って少なくとも14時間平衡化させる。上記懸濁物をその後0.2ミクロンシ リンジフィルターにとおしてろ過し、及び即座にHPLC分析のために希釈する。冷蔵し たサンプルを調製するために、上記シリンジ及びフィルターを使用前少なくとも1時間冷 蔵庫内で貯蔵する。 【0148】 純粋な水の吸入は咳刺激を産生しうる。それゆえ、最もよく使用される塩であるNaC lを伴う噴霧製剤にハライドイオンを添加することが重要である。DHEA−Sはナトリ ウム塩であるので、NaClは通常のイオン効果のために溶解性を減少させうる。NaC l濃度の機能としての室温(24∼26℃)での及び冷蔵された(7∼8℃)DHEA− 40 Sの溶解性は図4中に示される。 【0149】 DHEA−Sの溶解性はNaCl濃度と共に減少する。貯蔵温度を低くすることは全て のNaCl濃度での溶解性を減少させる。上記温度効果は高いNaCl濃度でより弱い。 三重については、∼25℃及び0%NaClでの溶解性は16.5∼17.4mg/mL に及び、2.7%の比較標準偏差である。冷蔵された0.9%NaClでは、三重につい ての範囲は1.1∼1.3mg/mLであり、8.3%の比較標準偏差である。 【0150】 固体及び溶液状態におけるDHEA−Sの間の平衡は: NaDHEA−S固 - 体 ⇔DHEA−S +Na + 50 (44) - JP 2005-530820 A 2005.10.13 + K=[DHEA−S ][Na ]/[NaDHEA−S]固 体 である。 【0151】 固体におけるDHEA−Sの濃度は一定(すなわち、物理的に安定な二水和物)である ので、上記平衡式は単純化される: - + Ksp=[DHEA−S ][Na ] 【0152】 この推定に基づいて、DHEA−S溶解性対全ナトリウム陽イオン濃度の逆数のプロッ トはKspに等しい傾きの直線である。これは室温での及び冷蔵された平衡について、そ れぞれ、図5及び6中に示される。 10 【0153】 上記相関係数に基づいて、上記モデルは室温及び冷蔵温度の両方でデータに妥当なフィ 2 ットであり、ここで、平衡定数はそれぞれ、2236及び665mM であった。溶解性 を最大限にするために、NaCl値は可能な限り低くされる必要がある。噴霧溶液につい ての最小ハライドイオン内容量は20mM又は0.12%NaClであるはずである。 上記溶液についてのDHEA−S濃度を見積もるために、使用の間の噴霧器における1 0℃温度滴が仮定される(すなわち、15℃)。平衡定数対絶対温度の逆数の間を差しは 2 さむと、15℃でのKspは∼1316mM であろう。DHEA−Sのそれぞれのモル は上記溶液についてのナトリウム陽イオンのモルに寄与し、それゆえ: 【0154】 20 - + - + - Ksp=[DHEA−S ][Na ]=[DHEA−S ][Na +DHEA−S ] - 2 + - =[DHEA−S ] +[Na ][DHEA−S ] 【0155】 - 2 これは二次方程式を用いる[DHEA−S ]についての解答である。1316mM のK + - spでの20mM Na の溶液は27.5mM DHEA−S 又は10.7mg/mL である。それゆえ、0.12% NaCl中の10mg/mL DHEA−S溶液は追加 試験への進行への優れた候補製剤として選択される。この式についての見積もりは噴霧器 からの水蒸発のために濃度効果についての説明とはならない。 【0156】 0.12% NaClでの10mg/mL DHEA−S溶液のpHは4.7∼5.6 30 に及ぶ。これは吸入製剤のための許容されるpH値である一方で、20mMリン酸緩衝液 を用いる効果が評価される。緩衝された及び緩衝されない溶液についての室温での溶解性 結果は図7中に示される。 【0157】 上記調剤中の緩衝液の存在は特に低いNaCl値での溶解性を抑制する。図8中に示さ れるように、緩衝された溶液についての溶解性データは緩衝されない溶液についてと同じ 平衡線に入る。緩衝液での溶解性における減少は追加のナトリウム陽イオン内容量のため である。 【0158】 溶解性を最大限にすることは重要な目的であり、及び製剤を緩衝することは溶解性を減 40 少させる。さらに、Ishihora and Sugimoto((1979)Dru g Dev. Indust. Pharm. 5(3)263−275)は中性pHで のNaDHEA−S安定性における顕著な改善を示さなかった。 【0159】 安定性試験。10mg/mL DHEA−S製剤を短期溶液安定性プログラムのために0 .12% NaCl中に調製する。この溶液の等分を透明ガラスバイアル中に充填し、及 び室温(24∼26℃)で及び40℃で貯蔵する。サンプラーをDHEA−S内容量、D HEA内容量、及び外見について毎日チェックする。それぞれの時点について、二重サン プルをそれぞれのバイアルから引き抜き及び希釈する。この研究の長さにわたるDHEA −S内容量は図9及び10中に示される。 50 (45) JP 2005-530820 A 2005.10.13 【0160】 加速された条件では、上記溶液はより速い分解速度を示し、及び2日間の貯蔵の後濁っ てくる。室温で貯蔵された溶液はより安定であり、及びわずかな沈殿物が3日目に観察さ れる。上記研究を3日目に止める。DHEA−S分解は図10に示されるようにDHEA 内容量における増大を伴う。 DHEAは水中で不溶性であるので、製剤中の少量のみで、濁った溶液(加速された貯 蔵)又は結晶沈殿物(室温貯蔵)を作出する。このことは、なぜDHEA−S溶解性の初 期の視覚的な評価が化合物の溶解性を非常に実際より小さく見積もるのかを説明する:少 量のDHEAは、実験者をしてDHEA−Sの溶解限界が超過されていると結論付けさせ るであろう。これは有望な商業的調剤ではないが、上記溶液は臨床試験における再構成の 10 日のために容易に安定であるはずである。以下の節は本調剤のエーロゾル特性を示す。 【0161】 噴霧器試験。DHEA−S溶液をPari ProNeb Ultra圧縮器及びLC Plus噴霧器を用いて噴霧する。実験設定についての概略図は図11中に示される。上 記噴霧器を5mLの溶液で充填し、及び噴霧を、アウトプットが視覚的にわずかになるま 1 で(4 /2∼5分)続ける。噴霧溶液をUSPスロートを有するCalifornia Instruments AS−6 6−段階インパクターを用いて試験する。1分間の 噴霧時間に続いて、上記インパクターを8秒間30L/分で作動し、サンプルを集める。 実験の間の全ての他の時間に、エーロゾルを約33L/分でバイパスコレクターをとおし て引く。回収装置、噴霧器、及びインパクターは移動相ですすぎ、及びHPLCにより分 20 析する。 【0162】 0.12%NaCl中の5mLのDHEA−Sは上記噴霧器において使用される。この 容積は臨床試験における使用のための実際の上限として選択される。はじめの5の噴霧実 験の結果は以下に示される: 【0163】 【表14】 30 40 50 (46) JP 2005-530820 A 2005.10.13 【0164】 噴霧器#1は約5分間で乾燥するまで作動し、一方、噴霧器#2は4.5分間未満かか る。それぞれの場合、噴霧器中に残る液体容積は約2mLである。この液体は噴霧器から の除去後はじめは濁っており、その後3∼5分以内に透明になる。この時間後でさえ、1 0mg/mL溶液はそれらの中に少量の粗い沈殿物を有するように見える。上記液体中の 細かい空気泡がはじめの濁りを引き起こすように見える。DHEA−Sは界面活性(すな わち、泡を促進する)であるように見え、及びこれは上記液体中で空気泡を安定化させる 。10mg/mL溶液中の沈殿物は、薬物物質の溶解性が噴霧器環境中で超過されている ことを示す。それゆえ、表15中の追加の噴霧実験はより低い濃度で行われる。 【0165】 10 表15は「用量」直線性対溶液濃度の追加データを示す。 【表15】 20 【0166】 噴霧器#3は乾燥に達するまで4.5分間未満かかる。バイパスコレクター中の質量を 図12中に開始溶液濃度に対してプロットする。 【0167】 30 半定量的に、0∼7.5mg/mLの優れた直線性があり、その後集められた量はレベ ルオフし始めるように見える。冷却による溶解性減少は10mg/mL溶液の計算に含ま れる一方で、薬物及びNaCl内容量に対する濃度効果は無視された。それゆえ、沈殿物 が噴霧液体の過飽和を介して形成することは可能である。図12中のデータ及び噴霧後の 10mg/mL溶液におけるいくつかの粒子の観察は、概念臨床試験調剤の証明のための 最も高い溶液濃度は約7.5mg/mLであることを示す。 【0168】 エーロゾルサンプルは粒子サイズ分析のためにカスケードインパクター内に引かれる。 溶液濃度又は噴霧器ナンバーとの粒子サイズ分布における検出可能な傾向はない。全ての 噴霧実験についての平均粒子サイズ分布は図13中に示される。エーロゾル粒子サイズ計 40 測はこの噴霧器についての公開された/広告された結果(すなわち、中央値直径∼2μm )と一致する。 【0169】 in vitro実験が、噴霧製剤は呼吸に適するDHEA−Sエーロゾルをデリバリ ーしることを示す一方で、上記調剤は不安定であり、及び連続噴霧4∼5分かかる。それ ゆえ、安定なDPI製剤は顕著な利点を有する。DHEA−S・二水和物はDPI製剤の ための最も安定な固体状態として同定される。 【0170】 DHEA−Sについての臨床試験のための最適な噴霧製剤は0.12% NaCl中の 7.5mg/mLのDHEA−Sである。上記製剤のpHは緩衝系なしに許容可能である 50 (47) JP 2005-530820 A 2005.10.13 。DHEA−Sの水溶性はナトリウム陽イオン濃度を最小限にすることにより最大限にさ れる。緩衝液なしの最小塩化ナトリウム値はこの目的を達成する。これは噴霧の間に沈殿 - しないであろう20mMのCl での最も高い薬物濃度である。この調剤は室温で少なく とも1日安定である。 本発明は現在好ましい態様について示されているが、さまざまな改変が本発明の本質を 逸脱せずに成されうることが理解されるべきである。 【0171】 全ての出版物、特許及び特許出願、並びにウェブサイトは、それぞれ個々の出版物、特 許又は特許出願がそれを全体として本明細書中に援用することを特に及び個々に示される のと同等に、それらを全体として本明細書中に援用する。 10 【図面の簡単な説明】 【0172】 【図1】図1は流速の関数についての単一用量Acu−Breathe吸入器からデリバ リーされるストレートの微小化DHEA−S・2H2Oの細かい粒子画分を示す。結果は DHEA−Sとして表される。実質的に無水の微小化DHEA−SについてのIDLデー タもまたこの図中に示され、ここで、検出可能な質量がインパクターに入らなかったので 、30L/分の結果を0に設定した。 【図2】図2は50℃で1週間のストレート及びラクトース配合としての貯蔵後の実質的 に無水のDHEA−SバルクのHPLCクロマトグラムを示す。コントロールは室温で貯 蔵されたストレートのDHEA−Sであった。 20 【図3】図3は50℃で1週間のストレート及びラクトース配合としての貯蔵後のDHE A−S・2H2OバルクのHPLCクロマトグラムを示す。コントロールは室温で貯蔵さ れたストレートのDHEA−S・2H2Oであった。 【図4】図4は2の温度でのNaCl濃度の関数についてのDHEA−Sの溶解度を示す 。 【図5】図5は24∼25℃でのナトリウム陽イオン濃度の逆数関数についてのDHEA −S溶解性を示す。 【図6】図6は7∼8℃でのナトリウム陽イオン濃度の逆数関数についてのDHEA−S 溶解性を示す。 【図7】図7は室温で緩衝液あり及びなしのNaCl濃度の関数についてのDHEA−S 30 の溶解性を示す。 【図8】図8は緩衝液あり及びなしの24∼25℃でのナトリウム陽イオン濃度の逆数の 関数についてのDHEA−S溶解性を示す。 【図9】図9は2の貯蔵状態でのDHEA−Sの溶液濃度対時間を示す。 【図10】図10は2の貯蔵状態でのDHEAの溶液濃度対時間を示す。 【図11】図11は噴霧実験についての概略図を示す。 【図12】図12は噴霧器中に置かれるはじめの溶液濃度の機能についてのバイパスコレ クター中に沈積される(内に残される)DHEA−Sの質量を示す。 【図13】図13はDHEA−S噴霧溶液についてのカスケード衝撃による粒子サイズを 示す。示されるデータは全7噴霧実験の平均である。 40 (48) 【図1】 【図3】 【図4】 【図2】 【図5】 【図7】 【図6】 【図8】 JP 2005-530820 A 2005.10.13 (49) 【図9】 【図11】 【図12】 【図10】 【図13】 JP 2005-530820 A 2005.10.13 (50) 【国際調査報告】 JP 2005-530820 A 2005.10.13 (51) JP 2005-530820 A 2005.10.13 (52) JP 2005-530820 A 2005.10.13 フロントページの続き 7 (51)Int.Cl. FI テーマコード(参考) A61K 47/04 A61K 47/04 A61K 47/12 A61K 47/12 A61K 47/18 A61K 47/18 A61K 47/26 A61K 47/26 A61K 47/34 A61K 47/34 A61K 47/36 A61K 47/36 A61K 47/40 A61K 47/40 A61K 47/42 A61K 47/42 A61P A61P 9/12 A61P 11/00 A61P 11/00 A61P 11/06 A61P 11/06 A61P 11/08 A61P 11/08 A61P 31/04 A61P 31/04 A61P 37/08 A61P 37/08 9/12 (81)指定国 AP(GH,GM,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT, BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IT,LU,MC,NL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA, GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ, EC,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,M W,MX,MZ,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM ,ZW (74)代理人 100108903 弁理士 中村 和広 (74)代理人 100082898 弁理士 西山 雅也 (72)発明者 レナード,シェリー エー. アメリカ合衆国,ニュージャージー 08648,ローレンスビル,ミレリック アベニュ 14 8 (72)発明者 ジョンソン,キース エー. アメリカ合衆国,ノースカロライナ 27707,ダーラム,ブリストル ロード 3959 Fターム(参考) 4C076 AA25 AA93 BB21 CC03 CC10 CC15 CC31 DD38A DD41A DD51A DD67A EE23A EE30A EE39A EE41A EE42A FF04 4C084 AA17 MA13 MA43 MA56 NA10 ZA341 ZA421 ZA591 ZB131 ZB351 4C086 AA01 AA02 DA09 MA01 MA04 MA13 MA43 MA56 ZA34 ZA42 ZA59 ZB13 ZB35
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