電力は国境を越える! ~脱原発はドイツを電力輸入国にする?~

国境を越える電力
~脱原発はドイツを電力輸入国にする?~
ドイツ社会研究
A0752055
外国語学部 ドイツ語学科
高橋 利恵子
電力貿易とは?

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国境を越えた送電線を設置することで他国で発電された
電力を自国で消費したり、自国で発電した電力を他国へ
輸出したりすること。
日本:取引なし
島国という立地条件の悪さ
 近隣諸国との市場形成が困難
 東西における電圧・周波数の差異


EU:活発な取引を行う
大陸という恵まれた立地条件
 EUの政策としての電力市場自由化

世界では国境を越えて
電力が消費されている
3.11による脱原子力発電の姿勢

福島原子力発電所の事故を受け、世界各国で脱原発
の動きが活発化する

ドイツの積極的な取り組み
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4月15日
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6月30日

7月8日
メルケル首相、早期に脱原発へと政策転換する
ことを発表
ドイツ連邦議会(下院)にて改正原子力法案が
可決
ドイツ連邦参議院(上院)にて改正原子力法案
が可決
改正原子力法案とは?

2022年までに現在保有する原子力発電所17基全てを
運転停止とするドイツが掲げた方針

福島原発事故後、現在は旧式の8基を停止中

残る9基は順次閉鎖する
2015年 1基ずつ停止
2017年
2019年
2021年
2022年
3基ずつ停止
KERNENERGIE IN DEUTSCHLAND
ドイツの脱原発宣言に対する報道①
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Deutschland muss jetzt Atomstrom
importieren.
(ドイツは今から原発による電力を輸入しなければならない)

Deutschland verdoppelt Stromimport aus
Frankreich.
(ドイツはフランスからの電力輸入を2倍にする)
大手のマスコミでは批判的な報道が目立った
ドイツの脱原発宣言に対する報道②

何故批判的なのか?
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フランス、チェコ共に輸入超過
原発を多く保有する国
脱原発による電力丌足を
電力輸入で賄うと・・・
フランス、チェコの
原発で発電された電力を消費!?
ドイツの電力事情①
国内電力生産量(2010年)・・・ 621,000 GWh
 国内電力消費量(2010年)・・・ 604,000 GWh

電力輸入量
 電力輸出量

(2010年)・・・
(2010年)・・・
42,000 GWh
59,000 GWh
実際、ドイツは電力輸出国!!
STROMAUSTAUSCH IN DER EU
ドイツの電力事情②
国内電力生産量(2010年)・・・ 621,000 GWh
 国内電力消費量(2010年)・・・ 604,000 GWh

604,000GW(年間消費量)
365日(1年間)
約1650GW
(1日の消費量)
約1650GW(1日の消費量)
24時間
約70GW
(日中必要な出力)
ドイツの全発電施設出力量は・・・
(原子力発電は含めない)
131.4GW
ドイツの電力事情②
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何故電力を自国で賄えるのに輸入超過させるのか?
フランス
チェコ

電力の大半が原発による大型発電
出力調節が難しい
余剰電力が多く作られる
ドイツはフランス・チェコからの電力を買い取っている
依存ではない!!
周辺国が余剰電力を買い取ることで
価格や市場の調節を図っている
日本における電力貿易の導入
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クリアすべき課題
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国内の電圧・周波数の統一
まずは国内における電力融通を実現
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発電=国内事業というステレオタイプからの脱却
欧州、米州の実例
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近隣諸国との経済的協力関係
国境を越えて、新たな電力市場を形成
内向きから外向きの政策へ!!