第五回 日仏自治体交流会議

第五回 日仏自治体交流会議
トゥール市 2016年
10月5、6日
フランス共和国 マラコフ市の交流都市
日本国
広島市・長崎市
マラコフ市代表
分科会
1
ミシェル・シボ
経済・産業・観光
皆さまの発言に耳を傾けますと、どの市町村も公共機関も「住民が安心して快適に暮らし、観光
客が楽しめるように努力をしている」と思います。
そして、経済活動の中で、とりわけ観光が重要性をもっていることに気づきます。
2014年に高松の会議で既にこのテーマについて言及しましたが、時とともに、またその後に起き
た出来事によって、観光というテーマはさらに進展しています。
私が気が付いた事があります。今年、トゥール市に集まった都市の大部分が広島市と長崎市が設
立し、運営している平和首長会議のメンバーであるということです。
この平和首長会議は現在世界の161か国、7000を越える都市が加入しています。広島
市の代表者が参加していますから、他の分科会で平和首長会議について触れると思います。フラ
ンスではAFCDRP(フランス平和首長会議)が支部の役割を果たしています。
私の町、マラコフ市はパリに隣接し、この日本の象徴的な二つの都市(広島・長崎)と歴史的な
交流を続けてきました。
「平和の文化」の概念をもとに、歴史の記憶を継承する営みは平和首長会議のメンバー都市にと
って、重要な活動の一つです。
ここ15年来、私たちは他の都市、例えば、ダンケルク(フランス)、イープル(ベルギー)、オラド
ゥール-シュール-グランヌ(フランス)、ヴォルゴグラード(ロシア)、オバーニュ(フランス)、ラロッシ
ェル(フランス)、バルセロナ(スペイン)、パリ(フランス)、ハノーヴァー(ドイツ)、マンチェスター
(イギリス)などその他多くの都市と「記憶の継承」や「歴史にかかわる観光」について、具体的な
プロジェクトに参加してきました。
最近、「観光は産業だ」と言う表現をしばしば耳にします。観光は産業やサービス業全体のモーター
だと言えます。交通機関、飲食、ホテル、通信網、道路や施設の建設、安全管理など、すべてに
関連します。
しかしながら、平和でなければ、観光は不可能になり、観光に関わる様々な活動も
それにつれて減少していく危険性があります。エジプト、チュニジアなど、他にも例に挙げられる都市
がいくつもあります。
また、観光は観光客の時間の余裕や財政状況にも依存します。
従いまして、現実を見極め、世界の出来事を予測し、それがどのように私たちに影響を及ぼし、私
たちがどのように行動すべきかを専門家のみならず、「平和の文化」を広めるために市民も共に考え
ることが大事でしょう。
国連は私たちにその最初の手段として、「平和の文化憲章」を与えてくれました。
この7月には、フランスの司教たちが「ともに平和を築こう」と呼びかけました。
マラコフ市はこのプロセスに深く関わっています。
私たちの町は「平和の文化」の概念を理解し、日常生活の中でその理念を共有する方法について
養成を行っています。
広島市と長崎市はこの目的を具体化する手助けをしています。特に、今年オバマ大統領のような
世界のメディアの脚光を浴びる訪問客を迎える時は、その影響はもちろん平和首長会議のメンバ
ー都市にも肯定的な効果を及ぼします。
もう少し地味ではありますが、同じように貴重な活動が毎日、静かに行われています。
広島市と平和首長会議のメンバー都市は国連のUNITAR(The United Nations
Institute for Training and Research)と共に、原爆を生き延びた樹木の種を樹林するプロ
ジェクトを始めました。広島市はこの象徴的な種を希望する都市に送ります。
市の園芸部が種から発芽させ、苗木に育て、公園あるいは公共の土地に樹林します。
発芽や苗木の成長過程を見守り、それが市民の会話にもなり、プロジェクトを知っている市民はこ
の緑の遺産の世話をする意欲を持つでしょう。
平和の標識のようなこれらの木がネットワークとなり、世界中の観光客の目印となることも想像でき
ます。
このように、都市は観光経済が必要とする平和に貢献することができます。
ですから、ともに平和を耕そう(cultiver=耕す。culture=カルチャー・文化)ではありませんか。
フランスの司祭たちのアピールが市町村の首長やあらゆる地方自治体に共有されることを願ってい
ます。
ミッシェル・シボ
マラコフ市
代表