独 自 の 技 術 ・戦 略 を 持 つ 大 阪 市 のも のづ く り 企 業 社 65 大阪産業創造館 株式会社赤松電機製作所 「風」の力で環境保全。 飽くなき向上心で新製品を開発 工作機械から発生する塵や油煙を除去し、 空気にして排出します。これまでに開発した製 工場内をクリーンに保つ環境機器の開発・製造・ 品は一貫して、風を利用することにこだわって 販売を手掛ける赤松電機製作所。送風装置 きました」。 の工場として1925年に創業、業務用送排風 業界最高クラスの集塵効率、製品がバージョ 機の専業メーカーとして知られるようになった。 ンアップしても使い回せる部品の開発で実現 商品 新型オイルミスト除去装置「オニカゼ スーパーミ ストマジック」。フィルタ交換不要で欧州の環境規 制RoHSにも適合している。 やがて新しい事業にも着手し、ガス湯沸器用 したメンテナンスコストの削減で、オニカゼヘビー のファンやモーターの製造を開始。しかし、バ スモーカーはヒット商品となり、類似品が市場 ブル以降はメーカー側から生産コストの削減を に多数出回った。しかし、赤松氏は気にも留め 迫られるようになる。「生産コストが減ると、製 ず、顧客からのニーズを汲み取り、より完成度 品の質を落とさざるをえない。だからといって の高い製品の開発に奔走した。その集大成が、 粗悪品をつくるくらいなら、撤退した方がマシ 「オニカゼ スーパーミストマジック」だ。濾過フィ だと判断しました」と赤松氏。決断するとすぐ ルターを使用せず、部品交換を必要としない にガス湯沸器事業から手を引き、数年前からパー 装置は業界初。画期的な製品を開発した同社 株式会社赤松電機製作所 トナー企業と進めていたオイルミスト(油煙)除 だが、赤松氏は「今も新製品の開発を進めて 去装置の製造へとシフト。自社開発の「オニカ いるところ」と次の一手を考えている。現状に 大阪市東成区深江北1-17-24 http://www.akamatsudenki.co.jp/ TEL 06-6975-2621 ゼヘビースモーカー」を完成させた。「風の力を 満足せず、要素技術に磨きをかけ、さらなる顧 代表取締役 客満足を追求する。その姿勢こそが同社のオ 新製品を発表するたびに、他社から追随される 立場になるが「ライバルがウチの製品を模倣して いる間に、こちらが一歩先へ進むんです」と語る。 活かした濾過フィルターで、油煙をクリーンな ンリーワン企業たる所以だ。 赤松 昭次 氏 朝田金属工業株式会社 携帯部品で世界シェア1割握る 「深絞り加工」のパイオニア 商品 昭和3年の創業以来、金属加工の中でも特に 弱電部品の多くが樹脂製にシフトする中、弱 難易度が高いとされる「深絞り加工」を得意分 電部品の技術を自動車部品に活かし、新たな 野に、製品を提供し続ける朝田金属工業。深 活路を見出した。エアバックやシートベルト、ABS、 絞り加工とは、薄い金属の板を継ぎ目のない容 エンジン周りの電装部品などでシェアを広げ、 器状に成形する加工法で、曲げ、圧縮、伸びな 売上げの4割以上を自動車部品が占めるまで どの変形を伴うことから極めて高度な技術を要 になった。最大の強みは量産体制を敷いている する。「80年にわたる経験に裏付けられた当社 点。社内設備のオートメーション化により、夜中 の技術は他社が容易に真似ることはできません」 のうちに機械1台で150万個の生産が可能だ。 と坂井専務が語るように、大手メーカーも「朝田 大手企業も認める品質を支えるのが現場で 扱う製品は家電部品、電池ケース、モーターケー ス、自動車部品、デジカメ、アルミ外装部品、カメ ラ部品など幅広い。 金属工業だから頼むことができる」と信頼も厚い。 働く従業員。「品質は、現場でつくる」をモットーに、 創業当初は化粧品のキャップや口紅ケースを 既製品であっても、その改良に創意工夫を重ね 製造していたが、その後モーターケース、電池ケー ている。また、熟練の技術者が若手に教育する スをはじめとする弱電部品を手掛けるようになっ 研修にも力を入れ、大阪初の女性技能士も誕 朝田金属工業株式会社 た。なかでもモバイル用振動モーターケースの 生した。「若手が切磋琢磨して技術を磨く風土 生産量は膨大で、世界に流通する携帯電話の がある。うちの現場、良い雰囲気ですよ」。オンリー 大阪市西成区長橋1-5-12 http://www.asada-kinzoku.com/ TEL 06-6632-1212 1割以上に同社製品が組み込まれているという ワン企業の技術を受け継ぐ若い力が育ちつつ 代表取締役専務 ある。 「当社と同レベルの技術を持つ会社は私の知る 限り日本で3社。追随してくる会社も多く、歩み を止めることはできません」。 から驚きだ。 坂井 康恩 氏 安積濾紙株式会社 創意工夫で世界へ伝えたい知恵の輪、フィルタの技 「濾紙」は漢字で書くとピンとこないが、身近なもの きれいな水が大量に要る。そこで創業の地として選ん える炭素繊維混抄濾紙の油圧フィルタ、不織布に抗 ではコーヒーフィルタや油こし紙などの家庭用品から だのが現在の東淀川区。全国に大手濾紙メーカーは 菌防かび加工した吸水材、活性炭や酸化チタンなど 大きなものはプラント用濾過フィルタに至るまで、幅広 3社あるが、大阪のような都市圏で工場を維持し続け を利用した脱臭紙、機能性粉体や反応性薬剤を組 い分野で活躍している。安積濾紙の主力商品は内 ているのは同社だけ。「活力のあるまちには、学校も み合わせた機能紙などがあり、その顔ぶれは実に多 燃機関用フィルタで、売上げの3、4割を占めている。 あれば商店街や工場も必要。単なるベッドタウンになっ 彩だ。「よりクリーンな機能性の付加、交換時期が長 「クルマ向け以外は本当に多種多様。最近は、空気 てしまったら、街の魅力は失われると思います。だか 寿になるメンテナンスフリーなどが近年のユーザーニー 清浄や脱臭などのフィルタが増えていますね」。 らうちは、大阪市内で頑張り続けたいんです」。 ズ。ニッチ市場に密着した細かい仕事を積極的に取 1919年創業の伝統あるメーカーで、当初は電力変 少子高齢化の時代となり、今後市場の大きな拡大 り込んで、特色ある製品をつくることが他社との差別 圧器の中に入っているトランス油(絶縁油)用濾紙を は期待できない。そこで力を入れているのが、顧客ニー 化に繋がる」と、オンリーワン技術にさらに磨きをかけ 国内で初めて開発し、全国の電力会社へ一手に納 ズに密着したオーダーメイドに近い付加価値商品の る考えだ。 品していた。紙すきと同じ工程で製造される濾紙には、 開発である。最近の新製品では、静電気の発生を抑 安積濾紙株式会社 (2007.7月掲載企業) 商品 大阪市東淀川区小松4-2-15 http://www.azumi-filter.com/ TEL 06-6328-0437 代表取締役社長 安積 覚 氏 「これからの課題は濾過にプラスアルファの機能を加えて、 付加価値の高い競争力のある商品開発をしていくことです」 家庭用から産業界まで、濾 紙の活躍する分野は多岐に 渡る。同社で取り扱う商品 群は大きく分けて12分野、 品目にすると数万点にのぼる。 株式会社井上模型製作所 試作品・デザインモデルにおける素材加工を極めた技術 昭和46年の創業以来、樹脂加工をはじめとし しかし、「今はどこも同じような設備を使っている 高めるために、一人に1台CADを扱う作業環境を た数多くのワーキングモデル・デザインモデルを製 ので技術レベルにそれほど差がつきにくく、展示 整備し、最初から最後まですべての工程を一人で 作してきた井上模型製作所。現在では、5軸加工 会に行くと、これまでウチで秘密にしてきた技術で こなす体制を整えている。そのため、あらゆる角度 を柱とするアルミ・亜鉛・真鍮などの金属の切削を つくられた製品が並んでいたりするわけです。それ から精密に切削する「5軸加工」など、他社の追随 中心に、高精度、高速の加工を実現する環境・設 ならかたくなに技術力を隠すよりも、ある程度は を許さない高い技術力を持ち合わせている。 備に注力している。24時間自動運転可能で多数 公開することで新たな販路開拓をめざそうと方向 「情報を開示しなければ、問い合わせすらもらえ の対象物を同時に加工できるマシニングセンタや、 転換したんです」と井上氏は語る。 ない。こちらが情報を閉ざせば結局、本来得られ 季節によって機械精度に差が出ないように温度 もっとも「大きな差はない」という同氏のコメント るはずの情報も入ってこないんです」。これまで無 管理を徹底している。 は「おごらず、謙虚であれば技術力は自然と高まる」 縁だった航空宇宙関連の仕事も舞い込んできた。 商品開発の第一段階である試作品の製作業界 というポリシーから来ている謙遜だ。井上模型製 方針転換の効果は、いたるところに現れている。 は、体質的に秘密主義だという。 作所では従業員各々のスキルとモチベーションを (2007.8月掲載企業) 商品 株式会社井上模型製作所 大阪市北区池田町1-43 http://www.inouemokei.co.jp/ TEL 06-6351-9228 常務取締役 井上 佳宣 氏 釣具のルアーから、5マイ クロメートルの精度が要求 される家電まで、同社の技 術を駆使した切削部品。 「HPや営業活動で、直接提案に取り組むことで営業スキ ルが向上し、多様な仕事に対応することで、社員のモチベー ションも高まっているんです」。 株式会社X線技術研究所 環境有害元素を測定する 蛍光X線検査装置を開発 商品 近年、さまざまな場面で環境への配慮が求められて 環境対応によるニーズの拡大を敏感に察知。かねて いる。国内では2003年7月以降に販売されている新 から親交のあったX線の要素技術を専門とし小型分 車には「カドミウム、鉛、水銀」などの有害元素の使用 析装置の開発を行ってきた大学教授からの依頼で、 が禁止されており、EU圏内においては規定の有害元 中小製造業をターゲットにした分析装置の製造、開 業務用コピー機よりも小さいX線検査装置は、従来品に 比べ測定時間を1/5に短縮した。独創的かつ市場性の あるビジネスを表彰するNBK大賞で高度技術部門賞を受 素を含む電気・電子機器製品の輸入禁止が予定さ 発を行う企業を立ち上げた。 れている。こうした世界規模での流れに、製造する 従来品は体に有害なX線の漏れを考慮して、専用ルー 側は各法規に適合した商品開発が重要課題となり ムを必要とするものも多く、冷却のための液体窒素 つつある。 が必要なうえ、操作が複雑で専門家にしか扱えない 2004年3月に起業したX線技術研究所は、それら規 ものだった。そこで同社は、分析装置に液体窒素を 制有害元素の含有量を測定するX線分析装置の開発・ 使わず、X線が漏れない遮へい構造を採用。誰でも 販売を手掛けている。 簡単に操作できる小型で低価格なX線検査装置の 「X線というと医療用のイメージが強いですが、元素 開発に成功した。最も苦労したのは微妙に形状や材 分析にも有効です。ただ、今までは部品段階で、有 質の違う、さまざまな部品の測定を可能にすること。 株式会社X線技術研究所 害元素の含有に気を遣う必要がありませんでした。 実証実験は1年間にも及んだが、その甲斐あって、 そのため市場が小さく、製品開発が進まなかったため、 でき上がった分析装置は中小製造業に売れ行き好 大阪市淀川区木川東3-5-21 第3丸善ビル http://x-tec.jp/ TEL 06-6886-2761 高価な製品しか流通していなかったのです」。 代表取締役 調だ。今年はさらに土壌の分析装置も開発。数年後 しかし、X線機器の販売に長年携ってきた志村氏は、 には売上げ20億円をめざしている。 (2006.1月掲載企業) 志村 尚美 氏 「教授とは彼が大学生の時からの付き合い。お 互いX線一筋という長年の経験を活かした製品 づくりをしたいと思っています」。 エヌ・エス・ケー ニシダ工業株式会社 あらゆる空間演出を可能とした デザインマテリアル企業 エヌ・エス・ケー ニシダ工業は100年以上の 商品 表面に薄い酸化皮膜をつくった建材で、事務 歴史を誇る建築金物製造・販売の老舗企業だ。 所や店舗の内装材として使用されている。 1986年、社長に就任した西田氏は、衰退し 「この建材には一度表面を溶かす加工をする つつあった伸銅業の廃業を決意。特殊装飾ガ ので、せっかく付けた模様が消し飛んでしまう ラスやオブジェの製作など新規事業に着手し、 弱点がありました。当社はアルミに関しては素 社内の体質改善に取り組んだ。 人でしたが、溶かし方の改良を重ね、問題を バブル期には、パチンコ店などに多く使われ 解決しました」。しかし、製品は完成したものの、 「アルミストーン(写真上)」はアルミの軽さを活かし てタイル風に貼り付けることも可能。高級ブランドショッ プの内装にも多数の使用実績がある(写真下)。 たステンレス製の鏡面研磨加工品の製造で経 売上げが伸びない日々が続いた。そんな時、 営は順調だったが、その後、過当競争による 顧客から「色を増やしてはどうか」との提案が 価格破壊で需要は激減。そのためサンドペーパー あり、シルバー1色だった建材に、淡い色彩の や不織布を回転させて金属板に模様を付ける カラータイプも誕生させたところ、内装業者か バイブレーション研磨品の技術開発に力を入 らの製造依頼が急増。現在、短納期を実現す れた。さらに、当時同社の主流だったステンレ る製造体制を整えて、競合他社との優位性を エヌ・エス・ケー ニシダ工業株式会社 ス素材をアルミへシフト。1998年、表面に和 打ち出している。 紙や天然石の風合いを持つ建材「アルミストー 最近では大手百貨店の全面改装で採用さ 大阪市西成区玉出西1-18-16 http://www.nsk24.com/ TEL 06-6661-9800 ン」を開発した。 れるなど、外装用としても脚光を浴びている。 代表取締役 これはアルミ板にバイブレーション研磨をかけ、 (2004.12月掲載企業) 西田 康夫 氏 「オンリーワン技術を生み出すには、一度ひらめ いたアイデアを根気良く温め続けることが大切 だと実感しましたね」。 株式会社オー・イー・ティー CO2の削減、省スペース化等顧客のニーズに対応した 高周波誘導加熱装置を開発 金属に電流(渦電流)を流すことで発生する できる装置として、全国の家電メーカー工場で 今は効率が5倍ぐらい上がりました」と新たな 熱を利用してあらゆる用途で利用される高周 使用されたが、生産拠点が海外に移り、コスト 販路に広がっている。 波誘導加熱装置。同装置の設計・製造・販売 重視になったこともあり、家電メーカーからの 3年程前から開発してきたモーターの新生産 方式も量産が決まり、今後は海外にも生産ラ を手掛けるのが接続技術(異種金属のろう付、 受注は減少した。 ベアリング等の焼きばめなど)を得意としている しかし、近年はCO2削減をはじめとする環境 オー・イー・ティーだ。会社の設立は1999年だが、 問題が重要視され、大手企業も設備に対し 業界で長年のキャリアを持つ松本氏は25年 省エネ等の効率化を求められ、高周波誘導加 前から装置の技術開発に取り組んできた。 熱装置が再び脚光を浴びる様になる。 同社が独自に開発した「ハンド式」という加 「ハンド式はロボットに持たせて、自動車のボディ 熱装置は、元々冷蔵庫の配管や部品が納まっ の部分加熱用として使用されています。従来 た狭い庫内で使用し、必要な部分のみを加熱 は温風を使うため時間が掛かったのですが、 株式会社オー・イー・ティー インの増設を計画していることから国際特許 を共同で出願している。 (2005.11月掲載企業) 商品 大阪市城東区永田3-5-7 http://www.oet.co.jp/ TEL 06-6968-3456 代表取締役 松本 圭司 氏 「ウチの製品を入れてない工場はないですよ。大阪中の企 業に飛び込み営業でまわったからね」と豪快に笑い飛ばす アイデアマン。 4機能一体型装置。高周 波加熱装置本体と制御ボッ クス、操作ボックス、循環 式冷却装置を組み合せた 省スペースタイプだ。 オーエムジー株式会社 機能性光学材料を、メガネからカメラ分野にまで展開 大きな煙突がそびえ立ち、歴史を感じさせる 域を持つことを30年間、肝に銘じ続けてきま カメラをはじめとする光学機器に、同社製のガ たたずまいの本社工場では、原料の調合から した」。ことに1985年の急激な円高時には会 ラス製品は欠かせない存在になった。すでに 加工まで一貫生産によってガラス製品ができ 社は存亡の危機に立たされたが、「ピンチこそ 取得した特許は5件。現在も、公設の研究機 上がり、それぞれの工程で職人たちがじっくり チャンス。挑戦的で継続性があり、発展・応用 関と共同開発に取り組むなど次代の要素技 とガラスと向き合っている。堤氏が大手メーカー が利く奥の深い要素技術の開発を」と社員を 術の開発に取り組んでいる。 を脱サラし、父が営むガラス製造会社に入社 奮い立たせ、光学的に均質なガラスの製造技 「人間と光とガラスをキーワードに21世紀の したのは30年前。当時は、売上げの95%をサ 術の確立に取り組んだ。一貫生産メーカーの 光の時代を支えていきたい」。めざす高みはま ングラスレンズに頼っており、「付加価値の少 強みを活かし、原料の比率や、調合した原料 ない仕事に危機感を抱いた」という。職人集 をかき混ぜる撹拌、溶融の方法など各工程で 団によるガラス製造でナンバーワンをめざすた 試行錯誤を重ね、高品質の製品を送り出すノ めに「多品種少量生産にこだわり、独自の領 ウハウを構築。今や、光通信関連やデジタル かく はん だまだ上にある。 (2006.8月掲載企業) 商品 オーエムジー株式会社 大阪市平野区加美鞍作2-16-13 http://www.omg-opt.co.jp/ TEL 06-6791-2761 代表取締役 堤 高志 氏 鉛を使わないなど早くから 環境に配慮してきた。独自 の技術力を武器に、海外で の見本市にも出展している。 「市場でヒットする確率を増やすため、一つの要素技術で 最低3つの分野の商品化を考えます」。ペンダントやブロー チなど工芸の世界での商品化も選択肢の一つだ。 オーサカゴム株式会社 ゴム製品の明日を追い続ける、 創業85年の老舗メーカー 1923年の創業以来、工業用ゴム板の老舗メー 商品 熟産業なので、大きく下げもしないが伸びも期待 カーとして確固たる地歩を固めてきたオーサカゴム。 できない」のが実情。そこで同社では、ゴムの特性 売上げの柱となっているのは、「工業用ゴム板」「消 を活かしつつ、他種の素材との複合化などによって、 防用吸管」「玄関マット」の3製品。とりわけ消防車 新機能を持つ次代の製品開発、用途展開をめざ の吸水口に結合する吸管(ホース)では、国内シェ し取り組んでいる。開発コンセプトは「環境と安全」 ア65%を誇るトップブランド。 だ。 通常、消防車の吸管には相当な減圧力がかか 具体的にはあらゆる分野で使用されるゴム板 るため、ゴム管に繊維、ワイヤーを織り込んで十分 について、有害物を一切含まない製品をいち早 な強度を持たせている。また一刻一秒を争う火事 く開発し、特に環境規制の厳しい欧州を中心に 場では、消防士の作業にタフに追随しなければな 輸出される機器部品材料向けに対応している。 らない。「消防士の技能を競う全国大会で、上位 「安全」のコンセプトでは立ち作業での疲労を軽 に入賞する消防署の多くが、当社のホースを選ん 減する床材マットや、転倒や衝突時の衝撃を和 でいます」。玄関マットは、大手レンタルマット会社 らげる階段や壁コーナー材など、従来から用い オーサカゴム株式会社 1社のみにOEM製品を供給しているが、品質に対 ている素材、成形法にとらわれず、新しい市場 する評価は高く、日本での実用化創世記から長 のニーズをしっかり捕えた製品の開発を積極的 大阪市天王寺区烏ヶ辻1-9-5 http://www.osaka-rubber.co.jp/ TEL 06-6771-0391 たかむ 年の信頼関係が続いている。自社製品の生産量 に進めている。創業85年の老舗企業だが、マイ 代表取締役社長 で半分以上を占める工業用ゴム板に関しては「成 ンドは若さにあふれている。 2年前の社長就任以来、新商品の開発に精力 的に取り組んでいる。「新たな用途提案などで市 場ニーズに対応していきたいですね」。 (2006.12月掲載企業) カラーゴムの取り扱い数は業界随一。特に「オー サカゴムの白はきれい」と業界でも折り紙付きだ。 八尾 巍 氏 大阪冶金興業株式会社 形状が複雑な金属部品を製造、 MIM事業のパイオニア ミ ム 商品 MIMとは、直径100分の1mm以下という小さな金 携帯電話の部品などにも使われています。高精度 属粉を金型に射出して成型する技術だ。鋳物より で大量生産でき、表面処理もしやすい技術が重要 もはるかに精度の高い成型が可能になるという。 視されるようになったのです。またステンレスやチタ 大阪冶金興業は、もともと金属の熱処理業(金属 ンなど加工が困難な金属でも可能です。今のとこ に熱を加えることで性質や硬さを変える技術)を営 ろは産業機械や自動車部品への用途が大半なの んでいた企業で、現社長はその二代目。 ですが、いずれはあらゆる分野にニーズがひろがる 「子供の頃から工場を遊び場にしていた私は自然 粉末冶金技術を用いると、金属の細部までデザ インをほどこすことが可能になった。 でしょう」。 と金属加工に興味を持ちました。そして、学生時代、 同社がめざすのは、製品を開発する時「材料から チタン合金の熱処理の研究をしていた時に『粉末 ブレンドする」というトータルなものづくりだという。「い 冶金』という分野に興味を持ったのが、後のMIM事 ままで、新しい金属製品を製作するには、規格に沿っ 業参入のきっかけになりました」。 た部品を機械メーカーがチョイスして設計するといっ 同社がこの事業の特許を海外の企業から取得し た大量生産的なつくり方が多かったんです。しかし、 たのは1989年のこと。 つくり手のコンセプト、そしてユーザーのニーズを反 大阪冶金興業株式会社 「最近、我々の身の回りにある金属製品は、非常 映した製品を開発するには、その製品に合った性 に複雑な形状をしたものが多いでしょう? この技 質の材料を自分たちで選んでいきたい。これからの 大阪市東淀川区瑞光4-4-28 http://www.osakayakin.co.jp/ TEL 06-6328-1345 術は、金属部分のデザインに対する高度な要求に 日本のものづくりは、そういう高度な次元に突入し 代表取締役 ていくのではないでしょうか」。 金属加工の分野も技術部門では20∼30代の社員が中心だという。し かし、同社には定年制がない。「先輩の姿が若い人の精神的な支えにな り、抑え役にもなる。いくつになっても企業内での役割は必ずあるもので も対応できるため、例えば腕時計の金属ベルトや (2004.3月掲載企業) 寺内 俊太郎 氏 オービー工業株式会社 究極の精度でOA機器を支えるプラスチック成形部品 1955年、すべり軸受け(潤滑剤を含ませた材料 名という規模にまで成長しています」と副社長の大 ています」。 を用いたベアリング)の販売商社として創業。70年 川氏は語る。 このノウハウが活かされるのが金型づくりの工程だ。 代にはギアなどのプラスチック部品の成形加工を 同業者は国内に多数存在するが、OA機器部品を 精度の高い金型を一発で出せる業者でないと赤字 始め、家電や繊維、工作機械向けの部品製造で業 こなせる企業は数社。なぜならOA用の精密ギアは、 になる厳しい世界であるため、ごく限られた専業メー 務を拡大してきた。また、扱いが難しいとされる金 パソコンなどから送られてくるデジタル情報を寸分 カーに淘汰されていったという。さらに同社では、精 属などの異素材を組み合わせるインサート成形品で の狂いなく動力として機械に伝達できる究極の精 度を維持するために「職人的経験値だけでは不十分」 もオービー工業は高いシェアを確保している。 度が求められるからだ。そのためメーカーが要求す と、4種類の検査機械を自社で確保している。 製造業の中国シフトが顕著になった1993年、香 る品質基準は高いが、納入コストは厳しい。この相 「2010年までにはグループ全体で売上げ50億円を 港に工場進出した。「社長の大村が覚悟を決めて、 反した命題をこなせる能力こそが同社の武器とい 目標にしたい」と、今後も高い技術力を武器に、国 日本製の機械を4台持って海を渡ったのです。この える。「仕事の中で数々の失敗の積み重ねがあり、 内外の大手企業から信頼を勝ち取っていく考えだ。 賭けが吉と出て、今や海外工場3ヵ所で社員840 それらがすべて経験値となってデータベース化され オービー工業株式会社 (2007.11月掲載企業) 商品 大阪市中央区谷町9-1-22 NK谷町ビル 13階 http://www.ob-kogyo.co.jp/ TEL 06-6766-1611 代表取締役副社長 大川 清 氏 「中国が技術力で日本に追いつきつつありますが、顧客満 足を追求する日本人独特の繊細さは真似ができませんね」。 PCプリンター用のギア は、寸分のひずみが大 きな誤差となるため、 高い精度が求められる。 大森工業株式会社 国内初の繊維用熱転写紙メーカー 色鮮やかなTシャツのプリント模様や肌着のブランド シェアで生産している。また、靴下のサイズ表示はブ ない技術力を確立しているからだといえよう。 マーク、あるいは靴下のサイズ表示。これらは熱転写 ランド商品に限ると日本国内で90パーセント以上のシェ 平成19年には品質と効率を重視した本社新工場 という技術を利用してプリントされている。大森工業(株) アを誇る。 を竣工し、現在までの蓄積したノウハウを活かした食 はこの分野のリーディングカンパニーとして、バラエティ 同社をオンリーワンたらしめているのは、卓越した 品用フィルムケース事業も本格的にスタートした。地 豊かな製品を全国に送り出している。創業は大正 技術力と、長年蓄積してきた独自のノウハウである。 球環境に優しい生分解フィルムの活用やラミネート 15年で、昨年80周年をむかえた。現社長森藤氏の 熱転写紙をグラビア印刷する機械は自社で開発・生 技術の特許も取得し、今後の印刷技術との相乗効 祖父である先代がイギリスに渡り、メーカーが廃棄し 産しており、印刷用インクもオリジナルブレンドだ。バ 果が大いに期待される。 た転写紙を集めて技術を独学で習得し、国内初の ブル崩壊後、日本の繊維産業の多くが生産拠点を 自社のメーカーとしての方針でもある独自性の追 繊維用転写紙の開発に成功したという。現在、スポー アジア諸国に移転する中、転写紙の生産を海外企 求と国内生産での付加価値の高いものづくりのこだ ツウェアやテニスボール、靴下、車載用エアバッグ表 業にシフトせず、同社がオンリーワンの座を譲らない わりを基本とした新たな挑戦が始まっている。 示、消防用ホースなど、多彩な分野に転写紙を高い のは、業界の先駆者として、一朝一夕では模倣でき (2002.10月掲載企業) 商品 大森工業株式会社 大阪市都島区高倉町3-4-14 http://www10.ocn.ne.jp/ ohmori/index.html TEL 06-6922-3131 代表取締役社長 転写された絵柄は洗濯や 摩擦など、厳しい条件にも 耐える。太陽光や水によっ て色や絵柄が変化するもの、 蓄光プリント、発泡プリント など応用の幅も広い。 森藤 憲嗣 氏 35歳の時、株主総会前日に社長就任を言い渡されてか ら17年。21世紀を機に経営理念を「幸福創造企業」に刷 新、多くの人に喜ばれる企業をめざす。 奥野製薬工業株式会社 「頼まれたら断らない」姿勢で、 研究開発力を磨き続ける 今年で創業102年を迎える。道修町で漢方 論文発表をおこない、20数年来にわたって毎 薬の小分け業からスタートした後、工業薬品の 年2回ずつ社内の技術情報誌を発行するなど 製造・開発に転じ、現在はめっきを中心とした 情報発信に努めている。蒔いた種から「困った 表面処理部門、品質改良剤等の食品部門、ガ ときは奥野製薬工業に」と案件が持ち込まれる ラスなどに使う無機インキ(ガラスカラー)を中 ことが多い。携帯デジタル音楽プレーヤー向け 心とした無機材料部門が事業の3本柱になっ の表面染色技術も手掛けたものの一つ。表面 ている。部門一つひとつを見ていくと高級車の の酸化アルミの皮膜にできる微小な穴に染料 ガラスやフロントグリル、携帯電話の基板、プラ を浸透させ、塞いで閉じ込めるプロセスを染料メー ズマディスプレイなど同社の技術が活躍する場 カーと共同で開発した。色合いだけでなく、表 は実に幅広い。それを実現しているのが「頼ま 面の微妙な凹凸による質感を求めるメーカーデ 商品 研究開発室は、各部門の研究者が横断的に情 報をやり取りできるように組織をまたいでオープン スペースになっている。 れたら断らない」という研究開発に対する姿勢だ。 ザイナーのこだわりを見事に実現させた。 開発した技術が他分野にも広げられる「孝行」 「いかに大きな仕事でも1社の仕事に抱き込ま 案件は5%程度にすぎないが「うまくいかなかっ れないようにすることも当社の方針」とオンリー 奥野製薬工業株式会社 たとしても、本気でとことん取り組めば、その過 ワンとしてのプライドをのぞかせる。「よそにはで 程で得られたノウハウがどこかで活きる時がくる」 きないけれど、奥野ならできるという目に見えな 大阪市中央区道修町4-7-10 http://www.okuno.co.jp/ TEL 06-6203-0721 と、奥野氏は「95%の無駄」の必要性を説く。 いパワーで勝負したい」と、今後も顧客の差別化、 代表取締役社長 社員の約3分の1は研究者。積極的に学会、 独自性のニーズに応えていく考えだ。 これからのテーマの一つは「環境」。「従来技術を 乗り越えなければ解決できない発想が求められる」 だけにまさに同社の出番だ。 奥野 和義 氏 オルファ株式会社 純国産にこだわる カッターの世界ブランド「オルファ」 商品 ポキッと折っては何度も切れ味が復活するカッ 国を数え、ヨーロッパなどの多くの国でも高級 ターナイフは日本発の世界標準商品であるこ 品カッターの代名詞としてシェアナンバーワン とをご存知だろうか。開発したのはオルファの の地位を築いている。多くのものづくりが海外 創業者、故・岡田良男氏だ。戦後間もないころ、 に移る中で、純国産にこだわり続ける。「目が デザイナーらが使う切る道具といえばもっぱら 行き届いてこそ品質が確保できる。国内でつくっ カミソリだった。四隅の角がすり減るまでは使 ているからこそ社員も製品への愛着が湧く」と えるのだが、「持ちにくいうえに刃を使いきら 岡田氏は海外での生産を促す外野の声も意 ないのはもったいない」と、ガラスの破片と板チョ に介さない。商品の数は200種類にも及ぶが、 コをヒントに、1956年「折る刃式カッター」が こんな商品が欲しいという顧客の要望をもと 滑りにくくし、握りやすい形状を追求した商品「ハ イパーL型」。創業来の基本色としてこだわり続け る黄色は、目立ちやすいセーフティカラーでもある。 誕生した。これが社名の由来でもある。その後、 に今も年間3、4種類の新商品を市場に送り 生地裁断用のロータリーカッターをはじめ、さ 出している。将来の売上げ目標を尋ねると「品 まざまな用途に向けた新商品を次々に編み 質、切れ味、耐久性を追い続け、オルファ独 出し、常にフロンティアとして疾駆。途中、大 自の新商品を開発し続けていれば、自ずと売 オルファ株式会社 手文具メーカーの参入などもあったが「カッター 上げは付いてくる」と一言。ひたすら真摯にも のことだけを考えているのはオルファだけ」と のづくりに向かう企業姿勢が、まさに「オルファ」 大阪市東成区東中本2-11-8 http://www.olfa.co.jp/ TEL 06-6972-8101 いう自負とあくなき品質の追求でトップブラン のブランド力を向上させ続けている。 代表取締役社長 ドの地位を不動にした。今や輸出国は約100ヵ (2006.9月掲載企業) 岡田 博 氏 長男が初代社長で、四男の博氏は3代目に当たる。フロアは 仕切りがなく、異なる部署の社員も同じフロアで働く。「それぞ れのやっている仕事が見えるから一体感が生まれる」のだという。 株式会社カメイ 創業111年の技術力でさまざまな用途のブラシを開発 カメイは創業111年を数える老舗のブラシメーカー。 開け、毛をU字型に折り曲げて穴の底まで植え込 ん」と岡田氏。ブラシというと掃いたり、磨いたり 売上げのうち約35%は化粧用ブラシで、残りを工 み針金で固定する。最後に毛先を揃えてでき上 という用途ばかりを思い浮かべがちだが実に多く 業用ブラシが占める。化粧用というのはアイシャドー がる。用途に合わせて毛の素材、穴開けの間隔、 の目的で使われている。例えば、芝刈り機に組み や口紅を塗る際に使うブラシで、筆の産地として 土台の材質や厚みも変わってくる。穴開けや植 込まれているブラシは芝を刈りやすくするために 知られる広島県熊野町から仕入れ、同社で検品。 毛の自動機を導入する一方で、この道40年とい 芝を起こし、プリンターでは静電気を起こさずに 「大手化粧品メーカーに卸し続けて40年になる」 う職人もおり、さまざまなニーズに応えている。中 紙を送る役割を果たす。最近も、工作機械上で という信頼を得ている。獣毛をプレスして毛束を でも得意なのは長尺物といわれる大きなブラシ。 鉄板を自在かつ円滑に動かすためのクッション 柔らかな曲線に仕上げるのが職人技。その品質 一番長いものではガラスをふき取る4メートルのブ 材として需要が伸びている。「まだまだブラシは用 には世界中のメイクブランドも注目している。 ラシがあるという。「少量多品種がうちの強み。1 途が広がる。合理化を進めながら幅広いニーズ 一方の工業用ブラシは自社工場で製造している。 本からのオーダーで仕事を受けるので、大きいロッ 工程は、まず土台となる木やプラスチックに穴を トで安価なものを生産する中国製とも競合しませ 株式会社カメイ 大阪市北区天神橋6-5-29 http://www.kk-kamei.co.jp/ TEL 06-6351-2857 代表取締役社長 岡田 実 氏 先々代の社長が急逝し、交代劇の末、8年前に社長に就 任。「100年の伝統の会社を何とか発展させ後に繋いで いきたい」と話す。 に応えていきたいですね」。 (2007.2月掲載企業) 商品 毛の細さも0.1mm程度か ら2mm程度のものまでさま ざま。ブラシの形状も円柱 のロールブラシや平ブラシ、 ホイールブラシなどがある。 株式会社カラーコスモ 環境経営に貢献するオンリーワン企業をめざして 企業の環境対策の課題に合わせた商品を提 現場を見て、要望にしっかりと応える商品を愚直 内に入り込む熱量の約6割を削減する効果が見 供している会社がある。199 4年に設立された に提供していくことこそが大切と確信しています」。 込めるデータもはじき出した。 カラーコスモだ。 顧客が抱える環境問題を把握し、時にはメーカー また「大阪ヒートアイランド対策技術コンソーシ 「『Quality of Life』をスローガンに掲げ、環境に とタイアップして商品開発にも乗り出す。優れた アム」に参加し、塗料の差別化に向けた評価シス 関する新規商品の商社活動に力を入れています」 既製品があれば世に広める努力も惜しまない。 テムづくりにも努めている。すべては、塗料の認 と語るのは、約半年前に社長に就任した熊口氏。 なかでも、同社が販売に力を入れている高反 取り扱う商品は主に環境・省エネ対策に効果的 射性塗料「スーパーサームJグレード」は開発元の 知を高め、環境対策に苦慮する企業へ提供した い一心からだ。 な樹脂製、ダンボール製パレットや、高反射性塗料、 大倉ケミテックのビジネスパートナーとして、データ 「環境経営」に貢献するオンリーワン企業をめざ 窓用熱線カットフィルムなど。同社は商社とはいえ、 による性能の裏づけを行い、それによる販売戦 すカラーコスモ。顧客のため、地球のため、さらな 売れ筋商品を大量に仕入れ、市場に流して利益 略も担当。さまざまな方法を用いて性能評価を る躍進を期待したい。 を得るビジネスを良しとしない。「顧客に足を運び、 実施した結果、9割以上の日射を反射し、建物 (2008.3月掲載企業) 商品 株式会社カラーコスモ 大阪市中央区高麗橋4-6-17 TEL 06-6205-4370 社長 熊口 泰道 氏 「今の我が社があるのは、先人たちの並々ならぬ努力の 積み重ねがあってこそ」と語る。 「スーパーサームJグレード」の性能評価のため、サー モグラフィによる温度分布データを計測。塗装し た部位の温度が著しく低いのがわかる。 株式会社共立物流システム 液体を低コストで運搬する 折りたたみ式コンテナを開発 商品 折りたたみ後 液体を運ぶ容器としてまず思い浮かぶのはド 他社製品の場合、液体の排出口が容器の側 ラム缶だが、共立物流システムはそのドラム缶 面についているため、どうしても中に液体が残っ の5倍の容量を持つ1tクラスの中型コンテナ てしまう。 製造における国内のパイオニアであり、トップメー 同社ではこれを解決するために、底面に排出 カーである。運ぶものは接着剤から調味料、さ 口をつけ、加えてコンテナ内にポリエチレン製 らには劇物までと幅広く、納入先は年間700 の袋を入れて扱えるようにした。スムーズに排 折りたたみ前 金属性の容器の内側に液体を包むポリ袋が入っている。 ポリ袋の底面についた排出口に手動でパイプとバルブ を繋ぐ構造で、高粘度の液体でもしっかり排出できる。 社を超える。コンテナ本体の素材もプラスチック、 出ができるうえ、直接内容物がコンテナに触れ ステンレス、布、ダンボール、フィルムなど目的 ないので、運搬後の清掃の手間も省けるとい に応じてさまざまで「お客様の目的に対して最 うわけだ。 適な運搬手段を考えるのがうちの役割」と企 開発期間の2年間で5回の改良を加え、いか 画に徹し、生産は提携工場に任せることであ に簡単に作業できるかを工夫した。「組み立て らゆるニーズに応えてきた。 るまでにかかる時間は1分半」で納入先からは 単にものを出し入れして運ぶドラム缶と違い、 コスト削減に繋がると好評だ。滅菌の袋を使え 株式会社共立物流システム 中型コンテナにはさまざまな工夫がある。例え ることから、食品、化粧品メーカーからの引き ば、折りたたみ構造もその一つ。容器が空に 合いが特に多く、発売後3年余りですでに 大阪市中央区瓦町1-6-10 JPビル4階 http://www.kpds.co.jp/ TEL 06-6227-0210 かんき なる帰りは折りたたむことにより、たくさん運べ 1200台を出荷している。国内特許だけでなく 代表取締役社長 るため、運送コストを抑えることができる。また 国際特許も取得し「いずれは中国をはじめとす 自身が企画段階からかかわったこともありトップ セールスで売込む。「認知が広がれば今後かなり の売上げが期待できる」と見込んでいる。 る海外にも売り込みたい」と力が入る。 (2007.6月掲載企業) 神吉 清二郎 氏 恵和株式会社 液晶ディスプレイの美しさを決める 光拡散シート 商品 薄型テレビやパソコン、携帯など、ディスプレ ズを混ぜ、シート上にコーティングをすることで、 イの主流となった液晶。その画面には通常、 他社には真似のできない明るさと美しさを実現。 機能別に5∼6枚のシートが貼られている。恵 「もともとはタッチパネル用のシートとして開発 和がトップシェアを握る「光拡散シート オパル したものだったのですが、顧客からの『光拡散 ス」は、その中で光をムラなく均一に通すため シートに使いたい』との提案を受けて、瞬く間 の重要な役割を担っている。「液晶の美しさを にエース商品に大化けしたのです」。平成元 左右する部材であると同時に、最終工程で調 年に製品化されるやわずか3年で、国内市場 整役を任される始末屋です」と北川氏。という の4割を占めるようになったことからも、製品 のも、納期が迫っている中でも、顧客から「こ の優秀さがうかがえる。 の部分が明るすぎるから上手く調整してほしい」 質・量ともに世界トップに立つ恵和だが、「液 といった厳しいオーダーがよく出る工程だから 晶が成熟期に入る前に、次の主力商品を開 だ。そこを微妙なコーティングの調整でお化粧 発していきたい」と、新たな布石を打ち始めて 直しをおこなうのが、同社の腕の見せどころと いる。無偏光シートや太陽電池シートなどに設 恵和株式会社 なっている。 備投資をおこなっているのはそのため。「中小 光を拡散させ、高輝度に見せる秘密は、世 企業の身分をわきまえて、小さくても付加価 大阪市東淀川区上新庄1-2-5 http://www.keiwa.co.jp/ TEL 06-6327-1545 界5ヵ国で特許を持つ独自のコーティング技 値の高い市場をこれからも狙っていきます」と、 センター長 競争力に磨きをかけることに余念がない。 「当社の商品開発は、顧客ニーズに対応する典型 的なマーケットイン。数々の失敗を重ねる中で、光 拡散シートのようなヒット商品が生まれてきました」。 術にある。バインダー(接着剤)にポリマービー 恵和の光拡散シートは国内市場で4割、全世界で2 割のシェアを握る。液晶のトップメーカー、シャープ の亀山モデルにも同社のシートが採用されている。 テクノラボマーケティング 北川 武秀 氏 株式会社コイケ 印刷用製版技術から液晶関連業界へ新境地を拓く コイケはグラビア印刷用ロールを始めとした各種ロー 量の失敗でも一からやりなおす必要があるため、納品 ルムのほかに、アクリル板に絵柄や写真が彫り込まれ ル加工(めっき・研磨)を得意とする企業。円筒ロールの まで時間が掛かる問題を抱えていたのだ。「導光板は たアクリルアート板作成用版の事業も始めている。そし 研磨、めっきに関しては銅・クロムメッキ分野に精力的 非常に精巧な加工技術が必要とされますが、当社のノ て、近年の印刷用製版業界低迷から、新たにインクジェッ に取り組んできた。 ウハウを活用すれば従来より精度の高いものができる ト出力を始めとするサイン・POP関連の出力事業もスター 1957年創業以来、この技術で業績を伸ばしてきたが、 のではないかとひらめいたんです」。同社のグラビア印 トさせた。従来難しかった白色出力も、同社のインクジェッ 常々小池氏は印刷業界の先行きに不安を感じていた。 刷製版技術を用いた画期的な技術を開発したことで、 ト出力機は白インキ搭載機種のため、顧客のニーズに この印刷用ロール加工技術を何か他の用途に使う事 競争の厳しい液晶業界において、低コスト・短納期・高 幅広く応えることができる。「これからも技術革新に励み、 ができないか? と技術の転換を考えていた時、取引先 精度・高輝度といった多数の要望を実現。ロール・平板 液晶ディスプレイ製造会社や、POP・サインディスプレイ からある相談が持ちかけられた。その会社は液晶テレビ (特許取得)製作両方への対応も可能にした。 関連企業に積極的にアピールしていきたいと考えてい やカーナビ・携帯電話といった液晶バックライトの導光 現在は母体事業を大切にしながら、新規事業開発を ます」。 板製作用金型をエッチングで製作していたのだが、微 活発におこなっている。最近では液晶用等の機能性フィ 株式会社コイケ (2005.5月掲載企業) 商品 大阪市都島区大東町1-10-4 http://www.koike-gp.co.jp/ TEL 06-6922-2220 代表取締役 小池 章雄 氏 「企業は安定した主力事業の確立に向け、日々研究・我 慢を繰り返し、独自のノウハウを身に付けることが大切です」。 ロールに2度、銅メッキをほ どこしてダイヤカットで表面 を形成する導光板用金型。 再度、銅メッキをして剥離 すると完成。 小池鉄工株式会社 大きいものから小さいものまで粒ぞろいの丸剤たち トータル製丸システム 1935年創業の小池鉄工は医薬品、食品製菓などの 漢方などを扱う製丸機をつくる際は、自然の物だけにサ そこで生まれたのが、高性能金属異物選別機「メタコン 粉体原料を球形に成型する高性能製丸機を製作してい イズの数値化が難しく、今まで製作してきた中で一番、 バスター」。食品・医薬品の粉粒体に混入している微小 る。丸粒生産の最初の工程に該当する粉体原料に水・ 骨が折れましたね」と小池氏。創業以来、安定した経営 金属異物を自動で選別除去できる機能を持ち、従来機 エキスなどの液体を添加・混練して粘土状にする機械を を続けていたが、消費税が5%に引き上げられた時、同 と比較して確実性が高いのが大きな特長だ。発表当時 はじめ、大小の美しい丸粒ができる製丸機はもちろん、 社の経営に大きな影響を及ぼした。製薬メーカーが商品 は食品製造の際に生じた異物混入事件が頻発していた 製丸後の乾燥・選別・艶出し・最終工程の容器への充填 の価格を見直した分、設備投資を控えるようになり、同 ため、各企業から問合せが殺到したが、不況下というこ に至るまで、すべての工程に対応する機械を開発している。 社への発注が激減したのだ。「ひるんでいる場合ではあり ともあり、品質は認められつつも売上げには結びつかなかっ 「トータル製丸システムとして全工程の機械がつくれるの ませんでした。大手企業は儲かっている時に開発研究に た。「これからは製造よりも検査をする機械が求められる は当社だけ。大粒なら20mm、小粒なら1.5mmまで対応 取り組みますが、我々中小企業は小回りが利く分、時間 時代です。逆風に負けず、今までに培ってきた技術力で 可能です。また、医薬品は薬事法に基づいて製造販売 さえあればそれを新規の機械開発に充てることができる 開発に一層力を入れるつもりです」。 じゅうてん するため、丸剤は常時一定の大きさであることが原則です。 んです」。 (2004.2月掲載企業) 商品 小池鉄工株式会社 大阪市東成区深江南2-5-26 http://www.nps-net.com/koike/ TEL 06-6981-0419 常務取締役 小池 秀直 氏 「新しい機械の完成までのハードルが高ければ高いほど燃 えてきますし、思索で過ぎて行く時間も楽しく感じるもので す」。 昔ながらの置き薬などに多 い丸剤。後ろは大粒のガム。 合同インキ株式会社 非接触認証用アンテナで、 脱「インキ」に活路 商品 ETC(高速道路の自動料金収受システム)を 商品にICタグを普及させることができる」と坪 支える基盤技術が、離れたところから情報を 井氏。同社の事業の柱は印刷インキ製造だが 読み取るRFID (Radio Frequency Identification) 「成熟産業で今後の伸びは期待できない」と、 と呼ばれる非接触認証機能だ。タグ部分にデー 十数年前から化学分野で新規事業の創出に タが記憶されており、そのデータは電波で読み 挑んできた。技術者に一人1テーマのアイデア 取り器へ伝わる仕組みだ。バーコードに代わる を課しており、その内容は「他社がまったく取り 商品情報の管理手段となるICタグとしても利 組んでおらず、だれもこんなことをしたくないと 用が期待されるが、コストがネックとなり普及 いう分野」。年間に新たに出されるテーマは数 は遅れているのが現状だ。コストの多くを占め 十件になるが「出てきたアイデアについてはす RFIDのアンテナ。扱える情報量は膨大で、商品の 受発注業務の簡素化、生産履歴追跡システムへ の応用まで活用が期待される分野は大きい。 るのがアンテナ部分となる複合剤の生産工程で、 べて開発に取組む。そのうちものになるのは 時間を要するため生産効率が低い。合同イン 10にひとつ」。数ある案件から、模倣品と区別 キは、紫外線で瞬時に印刷可能な凸版印刷 するために塗る偽造防止インキや、見る角度 の手法に着目し、当初、山形大学から技術を によって色が変わる偏光インキなどのヒット商 合同インキ株式会社 移転して導電性の高い特殊剤の開発に成功 品も育ちつつある。現在、新規事業は全売上 した。 げの10%に満たないが、RFID用アンテナをは 大阪市生野区鶴橋1-6-6 http://www.godoink.co.jp/ TEL 06-6716-2851 現在、開発は最終段階で「システムができあ じめ、「スター候補」は多く、「近い将来50%に 取締役生産部長 持っていきたい」と、「脱印刷インキ」をめざして アイデアの源泉は「自由であること」。部下には「同業界の 人と話をしても新しい発想は生まれない。他の業界の人 とたくさんの人間関係を築くこと」とアドバイスしている。 がれば50円のコストが5分の1になり、多くの いる。 (2007.12月掲載企業) 坪井 良平 氏 株式会社コオエイ カップ飲料を高速処理する 自動化装置を開発 商品 最近コンビニなどでよく目にするのが、カフェ のため容器の材質・形状を問わず、デリケート の持ち帰りコーヒーに似たチルドタイプのカップ かつ高速に処理できます」。最速機種だと毎 飲料だ。各種組立装置を製造するコオエイの 分300個のカップを処理することができ、生産 主力商品は、このカップ飲料用のストローアプ 効率の向上に寄与する。 リケーター。これは、飲料が充填されたカップ こうした高機能にも関わらず、同社の設備は にストローを貼り付け、オーバーキャップをかぶ 他社製品のおよそ2分の1という省スペース設 せ賞味期限を印字する機械。杉本氏は自社 計。しかもコストパフォーマンスに優れていると 製品の強みを、「高機能・低価格・省スペース」 いうことで、大手飲料メーカーがこぞって同社 と説明する。「製造ラインに直線式ではなくロー 製品を採用している。「標準化でコストダウンを タリー式を採用しているため高速化が可能で、 図り、そのメリットを顧客に還元するのが経営 ストローの貼り付けと印字をカップに応じた任 理念のひとつ」と同氏。 意の位置に打てます」。 また、100円ライターの組み立て装置やベイ 設備の核となるロータリーポジショナーは同 モジュールベースマシン、牛乳ビン外観検視機 株式会社コオエイ 社自慢のオリジナル商品。カラーセンサーやバー など、同社の主力商品は時代ごとに変化して コードリーダーを駆使して、顧客が指定するマー きた。中小企業の強みである決断力の速さを 大阪市平野区加美南2-1-26 http://www.kooei.co.jp/ TEL 06-6794-5066 カーを読み取り位置決めをする。「容器テーブ 活かし、周辺分野で新たな需要を開拓し、技 代表取締役 術転用を図っていく考えだ。 「常に最先端技術に目配りをして、変革の波に 取り残されないようにしていれば、時代にマッチ したエース商品が自ずと育ちます」。 ルを回転させ位置決めをする方式を採用。そ カップ型飲料のストロー貼り付け、賞味期限印字、 キャップかぶせをおこなうストローアプリケーター。 任意の位置決めができるのがウリ。 杉本 茂 氏 有限会社国誉アルミ製作所 スピードを優先し複合加工で安価な製品づくり ヘラ絞りとは、金属の円筒をろくろのように回転(スピ かないので、他社ではできない製品を製造できるのが強 の投資を行い、最先端の設備を整えたんです。5年間で ニング)させながら、ヘラで圧力を加えることによって、 みです。試作品や小ロットの製品なら金型なしで製造し 売上げは倍増。当社はバブルを知らない代わりに現在 丸みを帯びた製品に絞り上げる加工技術だ。ロケットの ますから、初期費用が削減できます。おかげで北海道か の不景気でも堅調に成長しています」。 部品から照明器具などの日用品まで幅広い産業分野 ら九州まで全国に得意先が拡がりました」。 逆境をバネに社運をかけて新事業に踏み切った時代 で利用されている。もっぱら職人技による勘と経験が頼 通常ヘラ絞り技術は門外不出だが、同社ではインター を読む眼と決断力。そして先代の思いを引き継ぐ覚悟。 りの作業だったが、国誉アルミ製作所では20年前にヘ ネットなどで詳細に技術を公開しており、積極的に工場 こうした要因をクリアしたからこそオンリーワンと呼ばれ ラ絞り技術の精度と生産性を高めるため、NC※スピニ 見学なども受け入れている。そうした努力が結果的に顧 る企業になれたのだ。現在は浄水システムや水のリサイ ングマシンを導入し、西日本では最大規模の会社に成 客開拓や信頼獲得に繋がっている。「当社の創業は クルシステムなどの環境ビジネスへも事業展開中。こち 長した。「さらに当社では、スピニングマシンだけではで 1958年で、近年までアルミの鍋などを製造していました。 らの分野でもオンリーワンになれるか、今後の躍進が期 きない工程をプレスや3次元レーザー溶接加工機を使っ それがバブル期に中国から安価な鍋が入ってきて苦境 てフォローしています。これだけの設備は全国でも数社し に立たされた時、先代社長が思い切って2億5千万円も 待される。 (2003.7月掲載企業) ※ NC(Numerical Control)工作物の位置や運動を数値化し機械に命令することにより、熟練工に近い高度な加工工程のほとんどを自動化できる。 有限会社国誉アルミ製作所 大阪市平野区加美東3-3-8 http://www.kokuyo-al.com/ TEL 06-6791-1964 代表取締役 境田 哲 氏 積極的な投資を始めた時、競合他社から「国誉は倒産する」 と言われましたが、結局、彼らの方が淘汰されてしまいまし た。背水の陣で挑んだのが効を奏したと思います」。 商品 汎用性の高いNCスピニングマシン を使いこなし、平均年齢の若い工場 でもベテランに負けない精度と生産 性を誇る。金属の筒のくびれを絞り 上げる技術は、今やベテランだけの 技ではない。 小堀鐡工株式会社 精密機械の大敵 微細バリ処理に効果てき面 小堀鐵工は1929年に各種機械部品の製造 品に存在する微細バリとは、加工面にできる メーカーとして創業した。紡績機械に付属する ごく小さなトゲのこと。これは、機械の故障に 数多くの試作品をつくったものの失敗の連続 消耗品の生産を皮切りに、戦時中は航空機 繋がるため部品加工時の処理が大きな課題 でした。砥石でできている研磨用ブラシは、鉄・ エンジンの部品、また高度経済成長期には大 とされている。「この製品は、特定の工作機械 ステンレス用とアルミニウム用の2種類。これ 手自動車メーカーの部品製造など、高い技術 に容易に取り付けることが可能で、複数の軸 だけでも完成までに半年、全体には数年の歳 力で柔軟に社会の変化へ対応、1968年以降 が高速で正・逆回転し、鉄やアルミなどの被 月を費やしました。しかし、これが完成品では は、穴開け機械の多軸アタッチメントやドリル 削面を360度均一にバリ取りできるのが特徴 ありません。今後も、生産ラインの小型化に対 を開発し、製造・販売してきた。 です。また、 応した小型の『トルネーダー』を開発するなど、 現在、同社が力を入れている省力合理化機 微細バリの処理だけでなく、従来の手作業に 顧客のニーズに呼応するための更なる開発を 械部門で開発した製品が、微細バリ取りヘッ よる研磨の省力化も実現できました」。 継続するつもりです」。 ド「トルネーダーTL型」。精密機械を形成する部 完成するまでの開発段階にはかなりの苦労 があったという。「失敗は発明の母と言いますが、 (2004.4月掲載企業) 商品 小堀鐡工株式会社 大阪市城東区成育4-11-18 http://www.kohori.co.jp/ TEL 06-6931-6966 きよ たか 代表取締役社長 研磨用ブラシ 小堀 淨孝 氏 ←ブロックの角に残るトゲ ←バリが取れて なめらかに なっている 「不況の折柄、中小企業から大ヒット商品は生まれにくい 状況ですが、粘り強く開発を続けることで、新しい価値を 持つ製品を開発・提案できる企業になりたいですね」。 「トルネーダーTL型」で加工 した部品。従来の人力によ る研磨と比較すると、作業 時間やバリ取りの仕上がり に格段の差があるという。 株式会社佐原工業所 卓越した技術力で生産する 高品質・低コストのワイヤーハーネス 商品 佐原工業所は大手電器メーカーの下請け工場と ト生産の需要に対応できる要因となっている。また、 して、1956年に創業。ポータブル携帯ラジオの部 確かな技術と無駄のない生産ラインを確立するこ 品からテレビへと、請負先の事業とともに生産す とでコスト面をカバーし、他社が参入できない企業 る商品は変化を遂げた。現在では、あらゆる機器 基盤を築いた。 に使用する電線と回路をコンパクトに束ねた「ワイヤー しかし、ここに至るまでにはさまざまな苦労があっ ハーネス」の加工に特化した企業として、業界内で た。「納期を短縮するために、材料の的確な選択と 高い評価を得ている。 迅速な手配をはじめ、従業員各自が図面を見て、 同社がこの製品の加工に取り組んだのは1980 完成までの作業を瞬時に把握できる役割分担の 年頃。「従来の製造法は半田付けでしたが、自動 体制を強化しました」。また、市販のチェッカーを改 圧着機を導入することでハーネス加工の効率と商 良して圧着・圧接不良の品質検査ができる体制を 品の精度をアップさせました。それでも電線に各端 整えた。 子を圧着する方法に技術者の技が必要なので、そ 現在では、米国の大手航空会社の航空機内に れが今でも大量生産できない細かいハーネス加工 用いる座席の配線やニューヨークの地下鉄、国内 株式会社佐原工業所 に活かされています」と佐原氏。1985年、一大ブー の新幹線の配線に使用するワイヤーハーネスも手 ムとなったゲーム機の配線の製造を機に自動圧接 掛ける。「今後は、電子制御化が進む産業用機器 大阪市旭区赤川4-14-16 http://www.sahara-harness.co.jp/ TEL 06-6922-2524 装置※を導入。このことが、生産の海外シフトが のハーネス加工やこの商品の需要が増えるであろ 代表取締役 猛スピードで浸透していく現在でも、多品種・小ロッ うセキュリティ業界にも参入していく予定です」。 (2004.8月掲載企業) ※自動圧接装置 電線の先端を剥いて、剥きしろにコネクタを圧接させる、ハーネス加工機器。 パチンコ台の中の配線や航空機内にある電話のコードに 使用するワイヤーハーネスなど、多品種・小ロット生産に特 化した企業らしく、加工している商品は実に多彩である。 佐原 祐三 氏 「人材を大切にするという志を守り通したことが、 事業が長続きした要因だと思います」。 株式会社サワダ製作所 水面計、液面計で 国内トップシェアをめざす 商品 サワダ製作所はボイラ向けの水面計専業メーカー 氏が会社に入ったのは8年前。社長になってから として50余年の実績を誇る。ボイラは電力会社や の4年間は「私がいなくても会社が成り立っていく 工場で発電、冷暖房、殺菌などの用途に幅広く使 ようスタッフの力を活かせる会社」をめざし、水平 われており、法律で計器の設置が義務付けられて 型の組織づくりと目標管理に基づいた評価制度 いるため市場は安定しているが、高温高圧という の定着に力を注いできた。経営理念に営業・製造・ 厳しい環境に耐える安全性と過去の実績が求め 技術の「三位一体」を掲げ、部署横断の会議では「前 られるため新規参入が少なく、限られたマーケット 言撤回あり」「意見への非難はしない」といったルー の中で競合する2社とシェアを競い合っているのが ルを設けることで活発に意見を出し合う風土がで 現状だ。同社の強みは顧客に対するすばやくきめ き上がってきた。 細かい対応力。30年以上にわたり過去の顧客納 ボトムアップ型の組織が定着し始めると、現場の 入資料を蓄積しており、見積もりから納品まで即 ニーズを知る営業から新商品のアイデアも上がっ 時に対応するほか、古い型式の製品でも部品の てくるようになった。その一つが「水面計用LED照 交換に応じたり、クレームがあった際にはすぐに現 明器」。熱に弱いLEDに耐熱の工夫を凝らすことで、 株式会社サワダ製作所 場に直行し、代替品に交換する安心感が高い評 暗いところや遠方からの視認性を高めかつ長寿命 価に繋がっている。 化を図った製品だ。組織づくりの成果に手ごたえを 大阪市淀川区田川北3-3-11 http://www.sawada-obk.com/ TEL 06-6302-0737 創業者であり80歳を超えてもトップダウンで会社 感じ始めている同氏は「これからも安心感を売り続 代表取締役 け、国内シェアナンバーワンをめざす」と自信を深 大学では社会福祉学を専攻し、医療機関でソーシャルワー カーとして勤務した経験を持つ。生産改善理論の「TOC(制 約理論)思考プロセス・ジョナ」の有資格者でもある。 を引っ張ってきた先代の父親を引き継ぐべく澤田 めている。 ボイラ向けの水面計のほかに、薬品や油などのタ ンクに使われる液面計の製造も多く手掛けている。 澤田 浩一 氏 (2007.9月掲載企業) 株式会社三共合金鋳造所 高熱を低温で制する世界初の凍結鋳造システムを開発 金属の鋳造には通常、樹脂を混ぜた砂の鋳型が 凍・崩壊し、もとの砂に戻る。周辺環境にやさしい 2003年に約1億円をかけて冷凍機などの設備投 使われる。1000℃以上の高温で融けた金属を流し だけでなく、使用後に産業廃棄物として埋め立て処 資をおこない、日々の仕事の中で実証実験を繰り 込むと、鋳型からはガスや悪臭が吹き出し、固化し 分されている廃砂量も100分の1以下に削減できる。 返し、2006年春にはついに商品として出荷できる た金属を取り出す際にはハンマー等で鋳型を壊す もともとこの技術は、大手冷凍機メーカーの前川 レベルにこぎつけた。現状では、凍結鋳造で製造で ため、工場からは振動・騒音・粉塵が絶えない。「宅 製作所が鋳物業者向けに考案したものだが、肝心 きる鋳物は、厚さ数センチ程度の薄くて小型の製品 地化が進む西淀川区で鋳物業を続けるには、環境 の鋳物業者は、「水分を含んだ鋳型など論外」と誰 が限界。それもある程度ロットがまとまらないと、メリッ 対策が急務の課題。凍結鋳造システムはその解決 も取り合わなかった。高温で融解している金属に水 トが出せない。「当面の目標は、凍結鋳造品の受注 策でした」と、松元氏は技術開発の経緯を語る。 分が触れると、水蒸気爆発が起きるからだ。しかし、 を増やすこと。もうひとつはこの製造法を普及させ 凍結鋳造は、樹脂は使わず砂と水だけでつくる 実験プラントを見た松元氏は、「まだ実用段階では るために技術提供活動をすることです」。環境にや 「無添加」の鋳型が特徴。マイナス40℃の冷気で凍 ないが、チャレンジする価値はある」と直感し、前川 さしい世界初のオンリーワン技術で、鋳物業界にイ 結させた鋳型なので、鋳物ができたあとは自然に解 製作所と共同開発に乗り出した。 ノベーションを巻き起こしてもらいたい。 株式会社三共合金鋳造所 商品 大阪市西淀川区佃5-10-7 http://www.ksh-sankyo.com/ TEL 06-6472-3571 常務取締役 松元 秀人 氏 「鋳物の歴史は5000年もありますが、凍結鋳造法は開発 してまだ3年。これからの成長を期待していてください」。 砂に5%の水を混ぜ、マイ ナス40℃の冷気で凍らせ てつくる鋳型は、人や環境 にやさしく低コスト。まさに オンリーワン技術だ。 株式会社サン・シー・サービス SARSや院内感染を防ぐ強い味方! 驚くべき天然植物抽出エキスを開発 近年、SARSや院内感染、O-157といったウイルス 代表の角野氏は、人工的につくりだす化学物質の 抗菌液など、多様な分野で商品化が実現できた。 問題が話題となり、菌・ウイルスが人体に及ぼす影 効果に限界を感じて1987年に独立。「マイナスイオ 現在、その効果に着眼した各分野のメーカーから 響力に驚いた方も多いだろう。直接、体をむしばむ ンや森林浴効果に代表される自然の力を商品に活 の問合せが殺到している。また、SARSや院内感染 ものだけに、その解決策を見つけるのが世界各国 かすため、研究を続けてきました。その結果、独自 を防ぐ抗菌水は、中国をはじめとしたアジア諸国か で急務となっている。 の配合・抽出方法で、天然植物抽出エキスが開発 ら注目され、実際に病院内で使用されている。 サン・シー・サービスでは、このような菌・ウイルスに できたんです。化学的な抗生物質に頼り過ぎている 「人体無害の抗菌・消臭液を」という想いが、国際 対して幅広く作用する、天然植物抽出エキスを主 現代社会で、人間の免疫力を下げない天然複合 レベルで評価されるオンリーワン商品を生んだのだ 成分とした商品の研究・開発を11年前から進めて 成分の大切さが再認識されるはずです」と同氏。検 ろう。今後は成長が期待できるマウスケアやペット きた。 査データを蓄積し続けた結果、天然植物が持つ殺菌・ 業界への参入など、幅広い業界へのアプローチを 大手化学系会社の研究所で、洗剤などに使用さ 抗菌力を使用して、消臭液、消臭キャンディ、カビ・ 試みている。 れる界面活性剤などの原材料開発を手掛けてきた ハウスシック症候群防止液、化粧品、介護用除菌 (2003.12月掲載企業) 商品 株式会社サン・シー・サービス 天然植物抽出エキスを用いた抗菌水を ふりかけると、カビもここまで撃退できる。 大阪市福島区吉野1-10-16-803 http://www.scss.co.jp/ TEL 06-6449-1867 代表取締役社長 使用前 使用後 角野 博光 氏 大手化学系会社の研究所で、数々の商品開発に携わる。人工的 な製品には限界があると感じて約20年前に独立。「自然の持つ無 限の力を、社会に取り入れるための研究を今後も続けていきます」。 抗菌水を専用器「クリーン・スイーパー」で空気中に噴霧すること により、防カビ、除菌、消臭、ウイルス分解への効果を発揮する。 株式会社SANYO-CYP 常に新技術に挑み続け、 提案する製版会社の地位を確立 印刷業という業態の中でも、オフセットと呼ばれる 商品 の地位を確立してきた。 印刷の前工程となる製版の部分を担うSANYO-CYP。 近年、特に事業の幅を広げたのがUV印刷への 高精細で品質を安定して印刷するため、機械が置かれ ている地下室は常に温度と湿度が一定に保たれている。 製版とは、パソコン上で文字や写真をレイアウトし 取り組みだ。紫外線を照射してインキを瞬時に乾 たデータを受け入れ、印刷機にかける直前のフィ 燥する技術で、フィルム、金属などインキの浸透が ルム出力まで加工する作業のこと。その中に写真 ない素材への印刷に利用される。印刷では最も要 などで出したい色を印刷時に最適に再現できるよ 求レベルが高いとされる大手化粧品会社のパッケー う調整する仕事がある。印刷にかけると元のデー ジ印刷の仕事も獲得するなど、「UV印刷が事業の タに比べて色の出具合が微妙に変わってしまうこ 柱になりつつある」という。またこの技術をグラビア とが多いが、同社では通常使われる基本の4色の 印刷やフレキソ印刷に応用し、従来は不可能とさ 組み合わせとは別の3色や独自につくった補色を れていた低コストな色校正の可能性を追求している。 株式会社SANYO-CYP 加えるなどして、出したい色に極限まで近づけるこ 現在取り組んでいる開発テーマは5つ6つあるが、 とができるのが強みの一つとなっている。「製版は その多くを若手に任せている。「若手が開発を成 大阪市中央区龍造寺町8-15 http://www.cypnet.co.jp/ TEL 06-6763-3382 印刷業の下請けとされるのが常識の業界」にあっ 功させることで、他の若手にとっても大いに刺激 取締役 て社長の山村氏は30年ほど前から「ガラスに印刷 になる」いい循環を生み出すためだ。現在は、液 校正部 ができないかなど、業界内からは正気の沙汰では 晶画面などへの電子分野での印刷技術の開発に ないと言われるような」新たな研究開発に挑み、 も挑戦中で「オフセット印刷技術を維持しながら、 提案型の製版会社として業界内で評判になり、そ 新たな分野を育てたい」と息子の健司氏も将来を 「ものづくりはモノをつくるのではなく人を育てるこ とが大事」。社員には3年に1度、好きな場所へ旅 行に行けるよう会社負担で休暇を取らせている。 見据えている。 山村 健司 氏 (写真右下) 小林 利光 氏 (写真左下) 松田 佳之 氏 (写真左上) 速水 祐介 氏 (写真右上) 三和鍍金工業株式会社 環境にやさしいめっき工場を実現する 「現代の名工」の職人技 商品 電子回路や自転車などの製造業が集積する 剤が多いと、陽イオンと陰イオンの作用で液中 大阪では、古くから600社余りものめっき工場 に金属の汚泥が増えてしまい、定期的に汚れ がひしめいていた。ところがこの20年で製造工 た液を廃棄しなければなりません。新技術では 程の多くが中国などに流出し、300社弱へと これを防ぐために、汚泥の原因となるイオンを 減少。1934年創業の三和鍍金工業の池田 イオン交換膜で分離し、めっき液に汚泥が溜 氏は、「こんな時代だからこそ、海外生産では まらない仕組みを完成させました。これを使えば、 できない当社独自の技術を伸ばして、高品質・ 約10年も同じ液を使い続けることができます。 高付加価値の製品づくりがしたい」と技術開 また、そのぶんコスト削減にも繋がっているん 発に力を入れている。 です」。 同社ならではの技術として、業界で高く評価 そのほか、めっき工程にはさまざまな問題が されているのが、「イオン交換膜(イオンを選択 発生するが、腐食を防止するためには欠かせ 透過させる膜)を使用しためっき工程」。同社 ない金属である六価クロムもその一つ。非常 の常務と大阪府立産業技術総合研究所が共 に毒性が強く、近年、排水規制や環境基準値 三和鍍金工業株式会社 同で開発した、画期的な新技術だ。 が定められるようになった。現在は、他社に先 「一般的にめっき工場では、製品の光沢を良 駆けて、毒性の少ない三価クロムを代用する 大阪市東成区深江南2-1-23 http://www4.ocn.ne.jp/ znni/ TEL 06-6971-5833 くしたり、表面をなめらかにするために、めっき など、環境問題にも力を入れている。 代表取締役 液の中に添加剤を加えるのですが、この添加 (2006.3月掲載企業) スーパーや空港などで使われているカート、台車 などさまざまな大きさのキャスター部のめっきを担 い、国内トップシェアを誇っている。 池田 伸一 氏 「6年前から、六価クロムの代わりに三価クロム を使う亜鉛めっきを始めましたが、これからます ます環境への配慮が重視されます」。 株式会社島津機械製作所 日本が誇る食文化をアイデア機械で次代に伝える 大型の巻き寿司製造機で国内約7割のシェアをもつ んでは戻るプラスチック素材「ポリプロピレン」の容器を使っ ン」は、今年から全国販売をスタート。同時に巻き機能 島津機械製作所。先代時代、コロッケにパン粉を付け て手のひらの弾力が生み出す微妙な握り加減をつくり を応用してフィルム包装等さまざまな用途に使えるマシー る機械を日本で初めて開発し、以来、食品向け装置を だしたのは「おむすびぺこりん」。いずれも現在、スーパー ンへと進化中だ。次なるターゲットは蒸気調理マシーン。 手掛けるようになった。ある時、寿司製造業者から「機 などの食品製造の現場で重宝がられている。 加熱蒸気で調理する為、焦げ付き、表面の乾燥がなくジュー 械で巻き寿司をつくれないか」と持ちかけられた。炊い アイデアの着眼点は、機械に人の手の代わりをさせる シーに仕上がる。「常にたくさんのアイデアが頭を駆け巡っ たご飯をばらして海苔に載せ、ベルトコンベアを使って という発想だけでなく「食べる人が口に入れる食感まで ている」という同氏が取り組む目下のテーマは、新しいア 巻く発想を形にすると、これが大ヒット。その後、にぎり を想像して、どういう機械をつくれば本当においしいも イデアを生み出す人材の育成。「頭の良し悪しではない。 寿司ロボットの開発を経て、次に目を向けたのがおむす のができるかを考える」ところにまで至る。「財産は私の頭」 食べることが本当に好きなことが第一条件」。それは、 びだった。パック容器にご飯を詰め、機械の中で転がす と言い切る島津氏は、次々と斬新な発想で新しい食品 日本の素晴らしい米食文化を残したいという強い想い 際の遠心力を使って「外はしっかり中はふっくら」の手で 機械を世に送り出している。 の表れでもある。 握るおむすびを再現させたのが「おむすびころりん」。へこ 昨年から開発に取り組んできた「生春巻き成型マシー 株式会社島津機械製作所 大阪市淀川区田川3-6-24 http://www.shimadzukikai.co.jp/ TEL 06-6889-2280 代表取締役社長 島津 義則 氏 パン粉付け機の販売代理を任せていたメーカーに技術を まねられ、シェアを奪われた際、特許の重要性に気付いた。 以来、取得した特許は約50件にも上る。 (2007.4月掲載企業) 商品 蒸気オーブン。 加熱蒸気内は無酸素状態 であり、食品が酸化し難く、 焦げ付き、表面の乾燥が なくジューシーに仕上がる。 食品の味、香りが損なわれ ず保存性も高い。 株式会社新日本テック 微細精密加工技術で金型の性能を支える 自動車から家電まで、大量生産が求められる部品、 いるなか、最も硬いダイヤモンドを金型工具の先端部 ネタを提供し続けられる理由について「積極的に展示 製品づくりには金型が欠かせない。新日本テックは、 に用いることで、切削能力を向上させた。「独自技術 会に出展し、そこで集約された顧客ニーズにどうすれ 中でも携帯電話向けなどの小物精密金型部品の製 の開発に力を入れることで、社員のモチベーションも上 ば応えられるか挑戦を続けているため」と話す。 作を得意とし、設計からの金型一式製作を手掛けて がります」。 展示会には、「顧客のことを知り、仕事の意味を考え いる。取引先から求められる多様な条件に対し、「寿 元々スライドファスナーのメーカーとして創業した同社 る良い機会になる」と、営業担当者だけでなく現場の 司屋のように、鮮度の高いネタを時代やニーズに合わ だが、先を見越してファスナーの製造工程で実績のあ 技術者も参加し、来場者の応対に当たる。工場見学 せて出していきたい」と和泉氏。 る研削加工の技術を活かし、金型部品の製作に乗り も積極的に受け入れており、現場の社員にも外部の 旬のネタの一つが、ダイヤモンド金型工具だ。同社は 出したのが約30年前のこと。以来、「最新微細加工シ 目を常に意識させている。「見学した人に会社の前向 このテーマで経済産業省の戦略的基盤技術高度化 ステムの積極導入」、「加工技術の高度化」、「微細加 きな気持ちが伝われば、それが新しい仕事に繋がる」。 支援事業にも参画し、大阪府経営革新計画承認企 工による新しい価値の創造と発信」という3要素を重 きれいに磨かれた床からは、社員全員の心で仕事を 業にも認められている。金型材料の硬質化が進んで 視し、金型づくりに取り組んできた。常に顧客が欲する 取るという気持ちが伝わってくる。 商品 株式会社新日本テック 大阪市鶴見区浜2-2-81 http://www.sntec.com/ TEL 06-6911-1183 代表取締役社長 砥石で磨き上げるプロファ イル研削による鏡面加工。 これにより金型の長寿命 化、金型製品の高品質化 が実現する。 和泉 康夫 氏 専門的な内容も例え話を用いながら丁寧に説明してくれる。 「わかりやすく事業の内容を情報発信することが大切です」。 株式会社新日本プロセス広芸社 技術革新と設備投資で躍進を続ける スクリーン印刷のパイオニア企業 1935年にスクリーン印刷※を母体事業とし 地の伸縮が激しいため一般的な印刷用の製 て創業した新日本プロセス広芸社は、大手家 版処理では対応できませんでした」。そこで同 電メーカーののぼりやたれ幕など販促品を生 氏は、技術者と毎日話し合い、独自のシルク 産していた。「当時のスクリーン印刷は、すべ 印刷用データ処理プログラム、版の設定、カラー 商品 色鮮やかな3D販促ツール。 印刷上ではタブーとされ ているモアレ現象をうまく 利用した。 て手作業で、1色刷っては次の色の型合せをし、 チャートなどを作成。 1枚ごとに調整しながら印刷していたため、一 また、生産現場に若手社員を積極的に登用 つの製品を仕上げるのに相当な時間と労力 し、勉強会を開催。起こりうる印刷トラブルを がかかりました。そこで82年に機械化に踏み切っ 予見することで、どんな状況にも柔軟に対応 たところ、大幅に作業効率がアップ。その後、 できるオペレーターを育成してきた。 販促品や屋外広告の多色使いや大型化にと 「最近では、印刷物に波状の模様が発生する もない、16色刷りが可能で国内最長の印刷 モアレ現象を利用し、3Dの販促品も開発しま 機を導入、設備投資による技術革新を行って した。今後はスクリーン印刷の老舗として技術 きました」。 をさらに向上していきたいですね。地球環境や 株式会社新日本プロセス広芸社 そんな印刷の歴史とともに歩んできた同社 町の美観にも配慮した販促ツールづくりをめ は今から13年前、他社に先駆けて生地にカラー ざします」。 大阪市福島区吉野5-11-33 http://www.sn-p.co.jp/ TEL 06-6461-6751 写真を直接印刷する新技術の開発に取り組 (2005.4月掲載企業) んだ。「布は紙と比べてインクが滲んだり、生 ※スクリーン印刷 印刷の一種で版に絹(現在はナイロンなどの化学繊維)のスクリーンを利用するもの。 代表取締役社長 井筒 濱子 氏 「社員一人ひとりがやりがいを持って働ける職場 づくりと、それぞれの人格を成長させるために日々 取り組んでいます」。 鈴木油脂工業株式会社 さまざまな用途に対応、技術の蓄積から 生まれた高機能マイクロカプセル 鈴木油脂工業は工業用ベルトワックスなどを 商品 拡大 「ベルトワックスや業務用手洗い洗剤の製造 主力商品として1950年に設立した化学メーカー。 過程で蓄積した乳化技術を活かし、使用する 拡大 1967年には、機械作業現場で付着した油汚 油の選択やかき混ぜる速度などを調節しながら、 れを落とす業務用手洗い洗剤の製造・販売を 粒子の大きさや内部の容積を自在に調整する 開始、現在も主力商品として全国で約70% 技術を確立。約3年の歳月をかけて、『ゴッドボー のシェアを誇っている。 ル』の商品化に成功しましたが、製造するカプ そんな中、同社が20年前から開発に力を入 セルによって調合温度や材料の配分量などが れているのが、産業技術総合研究所 関西セ 細微に異なるだけに、苦労は絶えなかったで ンターで開発した水と油を乳化させてつくる数 すね」と鈴木氏。 ミクロン※の球体容器「マイクロカプセル」だ。 現在は、大手化粧品会社に採用され、汗を 同センターにスタッフを派遣していたことがきっ 吸い化粧崩れを防ぐファンデーションが好評を かけで開発に参加し、独自の製造法を構築。 得ており、他社から共同研究の申し入れも相 同カプセルは熱に強く、吸水性・吸湿性に優 次ぐなど、他業種の産業界からも注目されて 鈴木油脂工業株式会社 れており、薬品や顔料など、内包した素材を少 いる。「今後は、高級化粧品や医薬品分野に しずつ放出する特性を持っている。また、さま 特化した営業をおこない、さらなる改良に力を 大阪市東淀川区井高野2-1-37 http://www.syknet.com/ TEL 06-6349-2312 ざまな用途に対応できることから、商品化に 注ぎたいですね」。 代表取締役 向けて専用工場を設立した。 (2005.8月掲載企業) 他社製品に比べ、数倍の値がつく高品質なゴッ ドボールは、超微粒子で形成した球形容器。内 部に多くの空洞がある多孔質構造だ。 鈴木 隆夫 氏 研究者や他社の営業マンと積極的に交流し、 1970年代後半には技術部を開設するなど、徹底し た技術志向で時代に即した化学製品の開発に成 ※ミクロン 長さの単位。1ミクロン=100分の1ミリ。 株式会社精宏 使い捨てポリエチレン手袋の元祖! 進化を続ける「サクラメン 手袋」 R 現在、ポリエチレン手袋といえば、食品や印刷、 になることもない。きっと喜ぶだろう」と、すぐに ン手袋は、燃やしてもダイオキシンは発生せず、 医療、美容、半導体製造、そして介護などの多 金型を製作し、製造準備に入ったという。今で 環境ホルモン問題もクリア。10名の検査員が 岐にわたる分野で、広く愛用されている。最近 は業界で「サクラメン」の商標で知られている。 全枚数をチェックして、出荷時には大腸菌ゼロ では、衛生面への配慮が高く、病原菌騒動で その品質・安全性には定評があり、現在、海外 を保証するなど、安全性に対する徹底ぶりは他 製造現場での衛生問題が注目されたこともあり、 にも輸出している。最大の強みは、自社工場 に類を見ない。使い捨てポリエチレン手袋は、ユー その需要は高まっているという。同社がポリエ 内のみによる生産体制だ。「7年前に完成した ザーから低コストを求められる。それだけに、中 チレン手袋の製造に着手したのは昭和32年。 工場では、巨額の設備投資をして衛生管理環 国を中心としたアジア圏での製造に頼るケース アメリカから送られてきたポリエチレン手袋のサ 境を確立しました。また、現在に至るまで、うち が多い。しかし、コスト面以上に、品質・安全性 ンプルを手にした故先代社長が、日本で「売れ で働く人たちは全員正社員。すべてを私自身 を追究する同社の頑固なまでの姿勢が、確か る」と確信したのがきっかけ。「使い捨て手袋が の眼の届く範囲で製造することを心がけていま な評価を得て経営基盤を支えているのだろう。 あれば、印刷業の人たちの手がインクで真っ黒 す」と、薦田氏は語る。また、同社のポリエチレ 株式会社精宏 大阪市淀川区十八条3-15-8 http://www.sakuramen.co.jp/ TEL 06-6350-4187 取締役社長 薦田 裕子 氏 品質と安全性に対する先代社長のこだわりを引き継ぎ、 薦田氏も自ら製造に携わっている。 (2003.2月掲載企業) 商品 「サクラメン 手袋」の特徴は、 手に装着後、すそ部分を 数箇所引っ張ると手首に フィットすること。従来の「外 れやすく、作業しづらい」と いう欠点は解消された。 R センカ株式会社 独自の技術でバイオ・環境産業へ進出 1950年創業。戦争の傷跡がまだ色濃かった当時、 社の製品を利用されているようですが、イタリアやフラ 落ちしない。また、このカチオンにはバクテリアやカビな 染みが点々とついた白いシャツを着ている人がたくさ ンスのどのブランドがそうだ、とはっきり言えないのが どに対する抗菌作用があるんです。私たちはカチオン んいた。それを見た創業者が「洗濯のときに色移りし 残念ですね」と林氏。 を研究するうち、繊維産業はもちろん機能性ポリマー ない、染料固着剤(フィックス剤)を開発しよう」と思い 同社の技術の礎となっているのは「カチオン」と呼ば や印刷、廃水処理などの環境技術、果ては農芸品か 立ったのが創業のきっかけだった。それからさまざまな れるプラスの電荷を持った界面活性剤に関する長年 ら化粧品に至るまで、さまざまな可能性を発見し、そ 改良が加えられたが、現在もフィックス剤はセンカの にわたる研究だ。 の多くを実用化して製品として出荷しています。早くか 主力商品として販売されている。 「ほとんどの染料はマイナスイオンの性質を持っている。 ら産学連携も手掛け、現在も大学などと盛んな人的 「この商品のシェアは国内で70%以上。世界全体で 染料の粒子が繊維の表面の凸凹に入り込むことによっ 交流を行っています。当社の本当のオンリーワンは、 も相当の市場を占めているはずですが、最終製品とし て繊維に色がついて見えるわけですが、カチオンは繊 商品そのものでなく、長年の研究の積み重ねで築き て消費者の目に付くことはあまりないでしょう。例えば、 維に入り込んだ染料の粒同士を結びつけて大きくし、 世界的に有名なアパレルブランドもかなりの確率で当 上げた独自の商品開発力だと自負しています」。 繊維の孔から出て来られなくするわけです。だから色 (2003.8月掲載企業) 商品 センカ株式会社 大阪市鶴見区放出東1-17-34 http://www.senkajpn.com/ TEL 06-6968-9101 取締役会長 現在は医療品から化粧品 の分野まで幅広く事業を 展開中。だがほとんどの技 術はカチオンの研究に源を 発しているという。 林 晴次 氏 130名を超える全社員と、年に一度は1対1で話し合いの場を 持つ。「インターネットやメールも素晴らしいですが、人と人が相 手の目を見ながら直接話し合うことも大切ではないでしょうか」。 ソマックス株式会社 成形品の最高品質を保つ金型洗浄機 工業製品の製作現場では、樹脂などの素材を金型で成型 開発したものの、結局それらは市場に受け入れられなかった。 する技法が数多く用いられており、また「生産工場は中国に そんな時、ある企業から、金型の補修の依頼が舞い込んだ。気 商品 移しても、金型だけは国内で」とこだわり続けるメーカーも多い。 乗りはしなかったが、立ち上げた会社を守っていくために請け これまで熟練した作業員の勘と労力に頼ってい た金型洗浄が、手作業による金型の損傷のリス クもなく簡単にできる洗浄機「クリピカエース」。 それほどまでに、金型はモノづくりの原点を担っているのだ。し 負うことにした。それから数年間、金型補修の仕事に注力する かし、常に加工技術者たちを悩ませ続けた問題が、ショット(製 間に、着実に顧客が増えていった。「でもそのうちに『もっと簡 品の打出し)数に比例して増加する金型の汚れや破損だ。こ 単に、化学の力を使って補修ができないだろうか』という気持 れまで、さまざまな金型洗浄・補修技術が開発されてきたが、 ちが強くなってきたんです」。一度は反発した化学の世界に再 ユーザーを完璧に満足させるものは皆無だった。 挑戦しようという意気込みもあり、毎日数時間の睡眠で研究 冨田氏は昭和50年、それまで10年間勤務していた父の会 を続けた。そして平成3年、ペースト状の溶接材「モルペット」が 社を辞めた。「父の会社はアルマイト処理やめっき加工を世界 完成したのと同時にソマックスを新たに設立。抵抗熱を利用し で初めてライン加工し、当時業界では画期的な企業だったん て金型の欠損箇所を補修するというこの革命的な商品で、同 ですが、その頃、私が興味を持っていたのは一般消費者向け 社はたちまち業界の頂点に立った。金型洗浄のために開発さ の商品を開発することでした。でも、今になって父の会社で学 れた洗浄機「クリピカエース」は、発売以来、その性能に追随す ソマックス株式会社 んだ化学や機械、電気の知識が、その後の仕事に役立つこと る他社製品は存在しないという。 になるとは」と振り返る。 「化学を実用化する会社をつくりたい」という冨田氏の願いは今、 大阪市東成区玉津1-7-17 http://www.somax.co.jp/ TEL 06-6976-1108 独立した冨田氏は、胸ポケットに入る超コンパクトな折り畳み 自身の努力と優秀なスタッフたち、数千もの納入企業からの 代表取締役 傘、無電池・無燃料で発熱するライターなどのアイデア商品を 厚い信頼などによって、見事にかなえられた。 経営者というより研究者といった印象の冨田氏。 子供の頃から好奇心旺盛で、教科書なしで開発 するのが好きだという。 (2002.9月掲載企業) 冨田 和巨 氏 ダイヤ工業株式会社 販路の業界転向が奏功、変幻自在の 天然石模様材ダイヤチップを開発 商品 ダイヤ工業が開発した「ダイヤチップ」は原料 る製品が完成したものの、今までにない商品 を極めて薄く加工した装飾模様材。アイテムは だけに営業をかけても受け入れてもらえないと 約60種類に及び、色彩と粒子の調合次第で いう状況が続いた。そこで既存の顧客だけで 重厚な石目模様や大理石模様などを自在に なく、国内外問わず多業種にわたって毎月数 表現できる。家電製品、化粧品容器、風呂の 千通ものダイレクトメールを送ったところ、浴槽 浴槽から日用雑貨などあらゆる商品に活用さ や日用雑貨などの関連企業から注文を受け れている。「創業当初は家屋によく使われてい 始めた。 たじゅらく壁(土壁)の素材を取り扱っていまし 「現在は、模様材を使用した製品が世の中に たが、時代の流れで壁材はビニールクロスが たくさんありますが、当社のダイヤチップはその 主流になりました。これ以上の飛躍は望めな 中でも硬度が高く、耐熱性・耐候性・耐久性 いと、壁装材業界から樹脂・塗料業界へと商 がある製品だからこそ認められているのだと 売のターゲットを変更し、ダイヤチップに注目し 自負しております。当社はメーカー兼商社。社 さこう 主力商品のダイヤチップのほかに内装床材に使う柔軟性模様材 (ナシジフレーク)や見る角度によって発色が変化するダイヤホロ グラムなど、確かな技術力で多彩な商品を世に送り出している。 たんです」と 酒向氏。 員全員が商品知識に精通することで、ニーズ ダイヤ工業株式会社 高温で成形加工する樹脂の装飾に対応でき に合わせた商品の使い道を提案できるように るよう、開発の過程では耐久性の向上や色落 徹底しています。現状に満足することなく、ま 大阪市平野区平野馬場1-19-10 http://www.daiya-ind.com/ TEL 06-6791-0330 ちの防止(皮膜の強化)に力を注ぎ、弱点を克 だ石目調が浸透していない中国・アメリカや欧 代表取締役 服していった。その後、高温加工にも耐えられ 米へと事業を拡大していきたいですね」。 「辛抱強く商品開発と営業を続けた結果、採用基 準が極めて厳しい大手化粧品会社にも製品を採 用していただけたことが本当に嬉しかったですね」。 さこう (2004.6月掲載企業) 酒向 敏雄 氏 株式会社タイヨウ 「逆転の発想」で高付加価値ベルトを少ロット生産 タイヨウは工業ゴム・プラスチック製ベルト加工 込む。業界では「ベルトの駆け込み寺」と頼りにさ 品工場、遊戯機械の分野で、同社のギャップレス 品の販売商社として、1976年に創業。「価格競 れているだけに、引き受けた仕事が「できない」は 成形ベルトが高いシェアを誇っている。モットーで 争に明け暮れる商社では飯が食えない」と小林氏 禁句。「できる方法を考えろ」と、自らが技術開発 ある「逆転の発想」で、大手ベルトメーカーから頼り は考え、樹脂コンベアの普及にともなって加工業 部長として、社員に発破をかけ続けている。 にされるオンリーワン企業を築き上げた同氏は へと転身を図ってきた。「大手メーカーの傘下に入 同社の名を一躍高めたのが、独自の押し出し成 2003年に「素人が組み立てられるベルトコンベア」 ると制約が生まれるので、小さいながらもずっと独 形技術を駆使したギャップレス加工だ。従来は突 というユニークな発想でコンベアキットを開発、食 立独歩の営業を続けてきました。今やどのメーカー 起物をベルトに取り付けるには、熱融着しか方法 品産業機器功労賞を受賞している。 さんも、ベルトづくりで困ったらうちの門をたたきま がなかったのだが、それではベルト本体と突起の 「人と同じことを考えていたらダメ。今年は設備投 す」。 間に段差や隙間ができるため、汚れの付着要因 資も積極的に行い、攻めの営業に出るつもりです」。 メーカーの生産ラインでは技術的につくれない、 として衛生面に問題があった。同社は連続成形 さらなる高みのオンリーワンをめざすつもりだ。 採算も合わない特注ベルトの注文ばかりが舞い 加工を可能にしたため、現在、魚類養殖場や食 株式会社タイヨウ (2007.3月掲載企業) 商品 大阪市住吉区山之内2-5-15 http://www.taiyocorp.co.jp/ TEL 06-6607-1581 代表取締役 小林 秀光 氏 目標は従業員35名の少数精鋭企業。「50名になると、社 員全員の名前を覚えられないと思うので、それぐらいがちょ うどいいんです」 段差や隙間のないギャップ レス成形はどこも真似がで きないオンリーワン技術。 養殖生け簀の投餌機ベル トでは99%のシェアを誇る。 タイヨーテクノ株式会社 「流体のろ過技術」を核に地球に優しい装置を開発 タイヨーテクノは、油や空気などの流体を利用 用のオイルフィルタ、半導体製造装置に使用 適な組み合わせによるろ材を考案し、処理コ した自動化装置に必要な油空圧機器の大手メー される真空ポンプのシール油浄化装置などを次々 ストを大幅に低減できる装置を開発した。印 しめ みず カーのメンテナンス会社として30年前に設立 に手掛けた。こうした流体制御やろ過分野に 刷時に使用される液体(湿し水)の浄化再生 された。機械・装置やその周辺部では、圧力を おける技術力が今、環境分野に活かされてい 装置、半導体・液晶関連業界で洗浄液など用 伝えるための作動油や、摩擦を減らすための る。 途が広がっている代替フロン剤、フッ素系溶 潤滑油など多くの油が使われているが、機械 中小製造業がコストのかかる廃水処理に手 剤を再利用できる独自のフィルタ(特許出願済) を常に最高の状態で動かすためにはこれらの を焼いている現状に着目し、開発した油水分 を組み込んだ装置、さらにその浄化再生シス 油を常にきれいな状態にしておくことが求めら 離装置もその一つだ。開発のポイントは2つ。「新 テムを活用した洗浄装置を製品化するなど、 れる。同社はろ過技術に着目、1978年に海 たな廃棄物を生み出す手法は使わず、かつコ 活躍の場はますます広がっている。 外フィルタメーカーと技術提携し、フィルタの製 ストを抑えること」。既存の物理的なろ過技術 造を開始。発電所などで使われる高速回転機 に対する豊富な知識とノウハウを活かし、最 (2006.7月掲載企業) 商品 タイヨーテクノ株式会社 大阪市西淀川区佃6-6-13 http://www.taiyo-techno.co.jp/ TEL 06-6477-2593 代表取締役社長 機械・化学の知識はもとよ り生物学的な知識も求め られる。環境改善を実現す るための研究者の活躍の 場は幅広い。 横山 嘉一 氏 「今後はフィルタ技術を核に環境分野でニッチトップをめざ していきたい」。 タイヨー電機株式会社 異業種の提携から生まれた 常識破りの高精度レーザー式欠陥検査装置 生産ラインの自動制御を皮切りに、電子・電機 ています」と濱田氏。 制御機器の製造分野で卓越した技術力を誇るタ ある非破壊検査の技術者とともにこの装置の イヨー電機。同社が外部の技術者と提携して開 研究開発に着手したのは2003年のこと。欠陥を 発したのが「レーザー式欠陥検査装置LD-01」だ。 検証する技術を確立するまでは、製造業である 商品 レーザー式欠陥検査装置「LD-01」。超高速高感 度受光器とコントロールユニットで、従来CCDカメ ラでは検出困難とされた欠陥(同色異物、透明異 物、光沢表面上の欠陥等)の検出も可能になった。 自動車、精密機器、薄型テレビ等の各種部材の 同社と検査を専門におこなってきたパートナーと 新規開発品における新素材や加工法では従来 の間で、何度も衝突が繰り返された。しかし、「オ の検査手法のCCDカメラや目視では対応できな ンリーワン製品をつくりたい」という目標は同じ。 いケースが増えているが、この装置はこれらの課 約半年の期間を経て、お互いの視点を理解し合 題を解決できる装置として各方面で反響を呼ん うことで装置の完成に至った。「これまでFPDの部 でいる。 材メーカー、精密機器メーカーへ納入してきました。 「現在、弊社では半導体設備関連の売上げが総 今後は、本装置を進化させて欠陥を2次元から3 売上げの約70%を占めています。今まで大手電 次元、すなわち面から立体的に捉える検査にも 機メーカーからの受託開発が多かったため、受身 対応し、顧客のニーズに応じてレーザーと各種セ タイヨー電機株式会社 の営業になりがちでしたが、6年前から『主体性を ンサを組み合わせたハイブリットシステムの提供 持った企業へと会社の体質を改善する』という目 もおこなっていく予定です。来期の目標は2∼3 大阪市北区菅原町11-10 オーキッド中之島ビル6階 http://www.taiyo-ele.co.jp/ TEL 06-6314-1110 標を設定したことにより、外部と連携し、オンリー 億円ですが、最近金属、自動車関連メーカーの 代表取締役社長 方からの引き合いも増えてきたりとこれからの展 「共同開発の過程で相手との衝突は付き物です。 まず相手をよく理解するよう努めることが、異業 種同士のアライアンスを成功させる秘訣ですね」。 ワン製品を生み出す取り組みを積極的におこなっ 開が楽しみですね」。 (2004.7月掲載企業) 濱田 安幸 氏 鷹羽産業株式会社 特殊印刷の革命児 「タカノハ印刷テクノロジー」 商品 特殊印刷機器メーカーである鷹羽産業が設計・製作 たため、最初の2ヵ月は試行錯誤の連続。持ち前の反 した「タカノハ印刷テクノロジー」は超高速、高精度を誇 骨精神と創意工夫で、見事にオフセット印刷国産第1 る画期的な印刷機。印刷対象を選ばず、平面はもちろ 号機を完成させた。完成当初は、「技術は確かに素晴 ん、従来困難を極めた凹凸面、曲面、3次曲線面への らしいが、ニーズが追いつかない」と言われ、販売台数 同社の技術が冴える建材製品への精密多色高 速印刷例。本物のレンガの風合いを損なわずに 転写した高付加価値製品である。 精密で美しいグラビア印刷※1がセールスポイント。また、 は伸び悩んだ。しかし、コストダウンや環境対策といっ インキの数値管理も可能でオペレータは不要。無人化、 た時代の潮流と共に需要が増え、新規の精密機器を 省力化を実現した。油膜の上からの印刷、水に浸って 開発するために同社を訪れる企業も急増したという。 いる箇所への印刷、20ミクロンの極細線の印刷など 現在、ホースの表面に印刷できるパイプ印刷機器の 多様なニーズにも対応している。 分野で国内約80%のシェアを占めているだけでなく、 同社の創業は昭和47年。当時は、輸出梱包の木箱 携帯電話の電子部品や医薬品など多様な業界でも同 に生産国名などを刻印する米国製の印刷機器の西日 社の印刷技術が活かされている。「この印刷機は従来 本販売代理店だった。得意先から機器の全自動化の のスプレー塗装方式や凸版印刷※2とは異なる凹版 改良依頼を受け、米国の本社に打診したところ、「自 印刷ですので、塗料が飛散して大気を汚染することが 鷹羽産業株式会社 分たちの製品が絶対である」という高圧的な態度から ありません。この特性と今までの技術の集積を応用して、 意見の相違が生じ、自力で印刷機器の開発に取り組 今後はメッキ塗装の分野にも進出したい」と夢は広がる。 大阪市住吉区山之内3-8-11 http://www.takanoha-net.com/ TEL 06-6693-2703 んだことが現在の技術を誕生させるきっかけだった。 代表取締役社長 (2003.10月掲載企業) 阪本 行 氏 「できないものはない、できるまで考え抜く」という職人 気質と「自社の生産力を考慮して一定量以上の仕事の 受注はしない」という堅実な経営理念が成功の要因。 代表の阪本氏は印刷機器に関しての知識が皆無だっ ※1グラビア印刷 画線部の凹部分にインキを埋め込み、非画線部の印刷インキをかき取って、画線部を紙に転写する方式。 ※2凸版印刷 伝統的な印刷方式の一つで、凹凸のある版の凸部にインキを付け、加圧して紙などにインキを転移して印刷する方式。 株式会社武内製作所 高精度三次元切削で提案型金型製造40年 メーカーが開発・設計したものを商品化する際、 カーをはじめ自動車、精密機械、光学機器、 どに独自に積み上げたノウハウがぎっしり詰まっ まず試作品をつくって検証やテストを行う。量 各種工業品メーカーなど、さまざまな企業の実 ています」と武内氏。詳しい内容は企業秘密 産に向けての方策や問題点を探り、改良を加 用模型やデザイン設計を支えてきた。 だが、特別な技術・加工方法を有する同社では、 えてから生産ラインに乗せるためだ。そのため また、数ある試作品メーカーの中で、同社の 通常難しいとされる鋭角をつくる加工や、厚 の試作金型の成型や切削加工を行うのが、 強みはサブミクロン(10000分の1mm)単位と みのある素材の切削もお手のもの。 試作品一筋40年の武内製作所だ。 いう超精密・高精度の機械制御による切削加 「今後は『試作品』をつくるだけでなく、自社商 同社は、メーカーの注文どおりに商品をつく 工技術。加工の難しい樹脂の切削においても、 品の開発にも力を入れたい」と語る同氏は、 るだけでなく、樹脂・非鉄金属に関する豊富な 1000分の5mm単位までと、金属と同等の水 現在、あるメーカーと共同で初の自社商品と 知識をベースに新規材料の提案を行うことが 準での加工が可能だ。 なる自動車部品の開発を進めている。 できるのが特長で、日本における試作金型づ 「使っている機械は他社と変わりませんが、治 くりの草分けともいうべき存在。大手家電メー 具(加工の作業効率を上げるための工具)な 株式会社武内製作所 (2007.1月掲載企業) 商品 大阪市淀川区田川北1-13-35 http://www.takeuchi-gr.co.jp/ TEL 06-6308-8191 代表取締役社長 武内 新吾 氏 試作の段階では、メーカーから商品情報を明らかにされな い場合も多いが、「指示されたとおりつくるだけでなく、より 良いものをつくるために素材の提案も行っています」と語る。 複雑な三次元切削もお手 のもの。図面に忠実になる ことはもちろん、いかに「早 く、安く、最適な材料でで きるか」が腕の見せどころだ。 株式会社田中 業界初の「航空機用チタンボルト」製造に成功 1984年、米国のシアトルに、ステンレスボルトを販売する目的で、 か持ち直し、幾度かの新技術開発と日米での特許取得などを繰 グ社という巨大企業と長年にわたり技術交流を行い、世界に先 (株)田中は現地法人を設立した。ところが翌年のプラザ合意によっ り返しながら、現在のような他に類を見ないトップ企業へと発展し 駆けるような製品を開発できたのか。そのことについて田中氏は「ネ て活動の休止を余儀なくされ、ビッグビジネスへの夢は一瞬にして てきた。80年代に入り、同社の米国進出の夢は破れたものの、現 ジ業界ではコストダウン化の努力はしても、新技術開発に取り組 かき消えたかに見えた。しかし撤退直前の86年2月、世界最大の 地での営業活動の際、ボーイング社が、新しい航空機に用いるた むところは稀なんです。ウチは業界の異端ですから」とこともなげ 航空機メーカー「ボーイング社」からある課題が持ち込まれ、それ め、比強度が高く、耐摩耗性、耐腐食性に優れたネジを探してい に言う。同社では数年前に大規模な事業所を開設。プラズマ浸 に応えるための技術開発を新たな目標とすることで、以来16年間、 ることを知った。そこで「チタン」という、ネジの世界では未知ともい 炭処理に使う大型炉も、これまでは他社製品を使っていたが、現 同社は大きな飛躍と成長を遂げてきた。 える新素材を用い、研究機関や大学などの協力を得ながら研究 在は自社開発にも着手している。そのエネルギーの源を尋ねると「世 プラズマ浸炭(しんたん)処理技術を開発し、ネジの分野に大き 開発に取り組んだ。チタンネジの開発に成功した同社は、2001 の中から求められているものに応え続けることが技術者の使命で なイノベーションをもたらした同社は、ボルトやナットを製造・販売 年8月、ボーイング社が求めるすべての要素を、その処理技術で あり、それに熱意を傾ければ、必ず成功が得られるという信念が するこの分野の草分け的存在だ。戦後の一時期はデフレ不況な 完璧に満たした。 あるんです」と自信に満ちた答えが返ってきた。 どで会社が消滅しかけたこともあったが、経営努力によって何と そもそも、なぜ従業員数20数名のこの小さな会社が、ボーイン (2002.7月掲載企業) 商品 株式会社田中 大阪市住吉区帝塚山中1-10-6 http://www.sdc-tanaka.co.jp/ TEL 06-6672-3701 代表取締役会長 田中 弘一 氏 「他ではできないことに挑戦し続けるのは、生来の反骨精神 の成せるワザかも」と笑う田中社長。ネジ屋のイメージを覆して、 若者が魅力を感じるような会社にしたいという願いもある。 航空機の機体には最近、炭素繊維強化樹脂が多用されつ つあり、田中の技術に大きな期待が寄せられている。セイコー の腕時計の外装にも同社技術が採用されている。 株式会社東洋タイマー製作所 ものづくりの精鋭部隊に 支えられた機械式工業用タイマー 商品 スイッチのON/OFF作業を時間で制御するのが工 ているのは、センサー制御機器では耐えられないシ 業用のカムタイマー(機械式タイマー)だが、コンピュー ビアな環境だ。 タの登場により電子計測機器が普及し、制御の主 このカムタイマーは、一本の軸上に複数個のカム(円 流は時間制御からセンサー制御へと移行してきた。「国 盤)を並べ、軸を一定周期で回転させ指定の時間 内で残ったのは当社のみ。年間500∼700台出れ に複数制御を行うもので、ON/OFF周期は速いも ばいいというニッチな市場ですが、カムタイマーにし ので1回転1秒から、長いものでは1週間周期のも かできない仕事は必ずあるので、誰かがつくり続けな のまである。「数値盤面1周分の時間設定はいろい ければなりません」と、北村氏は使命感を口にする。 ろですが、いずれも一周の500分の1以内の誤差を このカムタイマーが使われるのは、暑い、水浸し、 クリアしています」と精度も高い。 振動が多いなど、過酷な環境がほとんど。艦船に オンリーワン技術といえるのが、この数値盤の中 搭載する製品には、発泡にも耐えられる防爆性ま 心を正確に穴開けするドリル技。中心が少しでもず で求められるという。また、「カムタイマーは故障して れると、計測タイムの誤差は大きくなってしまう。「東 も最後は手回しで動かすことができる」という安全 大阪の町工場の職人さんにお願いしているのですが、 株式会社東洋タイマー製作所 担保があるので、船舶ボイラーのタイマー発火装置 素材や穴のサイズに応じて、ドリルの刃先を微妙な などにも使われている。このほかにも、発電所、水門、 加減で研ぎ上げる技がキモ」と、その職人技に脱帽 大阪市中央区高津3-3-22 http://www.tyt.co.jp/ TEL 06-6643-0850 上下水道施設、核関連施設、食品工場、各種プラ する。大阪のものづくりの精鋭部隊に支えられた小 代表取締役 ント、ガス生成工場など活躍分野は幅広い。共通し さなタフガイ製品である。 「市場は小さくても、なくなると困る製品。機械 式時計の職人技に近い世界なので、なんとか技 能伝承にも尽力していきたい」。 (2007.10月掲載企業) 円周に高低差がついたカムを回転させることで ON/OFFを切り替えるのが「カムタイマー」。30年 以上現役で働いている製品もある。 北村 久雄 氏 ナカシン印刷株式会社 業界初、留め具まで再生紙の 事務用保存袋を開発 商品 1945年の創業以来、マチ付き封筒や紙袋の 必要な投資だと思い、開発に踏み切りました。2 製造・販売を行ってきたナカシン印刷。1982年 年間で完成の目処は立ちましたが、紙製の留め には、長年手作業で生産していた留め具に紐を 具を貼り付けている接着剤が高温で溶けたり、 巻き付けて封をする事務用保存袋の全自動製 紐を強く引っ張ると袋から外れてしまうなどの問 袋機の開発に日本で初めて着手し、コストの削 題が発生。そこで、さまざまな接着剤を混ぜて何 減と品質の安定化に成功した。 度も試作を重ね、3年がかりで実用化にこぎつ その後、増加する後発メーカーとの競争力を強 けました」。 化するため、環境問題を意識した再生紙の保存 また、製造工程で出るゴミもすべて再生紙の 袋を製作。しかし、「再生紙使用という看板を掲 原料にできるよう、接着剤も環境に配慮した材 げながら、紐をくくる留め具の部分にリサイクル 料を使用。1998年には特許を取得し、事務用 できない金具やプラスッチック、塩化ビニールを 保存袋の国内総生産量の約50%を占める企 使用しているのはおかしい」との意見があり、紙 業に成長した。 を材料とした留め具の製造機と、それを保存袋 「環境庁をはじめとする官庁や大手損保・製 ナカシン印刷株式会社 に貼付する機械の開発を1996年に開始した。 薬会社で採用が決まるなど、徐々に売上げが 「開発費は思っている以上に増え、資金的に苦 伸びて年間生産量は100万枚に達しています。 大阪市東住吉区今林2-12-16 http://www9.ocn.ne.jp/ nakashin/ TEL 06-6754-9001 しい思いもしましたが、10年後、15年後も品質・ 日本国内に留まらず、環境問題の意識が高い 代表取締役 ドイツへの販売も検討中です」。 「当社の製品は時代の先端を担う商品であると 自負しています。製造工程でリサイクルできない ゴミを出すものは真のエコ商品ではありません」。 価格ともにこの業界のトップであり続けるために (2005.2月掲載企業) 紙玉付事務用(環境型)保存袋のサイズは角0∼角 3封筒まで。紙玉の接着強度は既存の金具や塩化 ビニールの留め具と比較しても、ほとんど差はない。 中本 美夫 氏 日澱化學株式会社 使用産業分野は無限大、加工でんぷんのパイオニア企業 「加工でんぷん」とは、じゃがいもやトウモロコシから精 繊維を束ねる接着剤に活かされ、IT産業が急成長す いくまでミーティングを繰り返し、高品質・低コストな製 製されたでんぷんをさまざまな方法により変性し、そ ると同時に生産量が大幅にアップ。 品を供給できる体制をつくっている。その結果、工業 の特性を活かしながら用途別に変化させたもの。戦 「ところが、21世紀に入った途端、業界全体で過剰 用が全体の5割を占め、多数の企業から受注を獲得。 前は、でんぷんの分解物であるデキストリンや可溶性 生産による半導体ショックが起こり、当社も多大な影 ガラス繊維を束ねる接着剤の生産量に至っては国内 でんぷんを繊維用糊剤として製造・販売していたが、 響を受けました。その時の教訓としてブームに踊らさ 外の約50%のシェアを占めている。 現在は、酵素などを用いて変性した加工でんぷんを れず、良い意味で市場のスピードに合わせた安定供 「現在、食品用では麺やパン類、調味料、冷凍・冷蔵 食品や工業分野に供給し、その数は約300種になる。 給を行っていけるよう、社内全体で細かな業務の見 食品などに使用する多くの加工でんぷんを供給して 日澱化学は1917年の創業後、このデキストリンを 直しを図りました」。工業用は特殊な注文が多く、手 いますが、今後は、人の健康に貢献する安全性をより 日本で初めて国産化し、開発・生産一筋に歩んで来た。 間もコストもかかるため他社はなかなか手を出せない 追求した商品を開発し、工業用ではIT・電子機器分 1980年代には、繊維用途で培ってきた技術力が、パ という。一般にこの分野では9割が食品用だが、同社 野へのアプローチをさらに強化したいですね」。 ソコンや携帯電話の電子基板に使われているガラス は研究開発と営業のスタッフでチームを組んで納得 日澱化學株式会社 大阪市中央区瓦町2-2-7 山陽日生瓦町ビル http://www.nichidene.com/ TEL 06-6231-1326ひ し き 代表取締役社長 日紫喜 紀雄 氏 「環境にやさしい加工でんぷんは昨今、再評価され、無限 の可能性を秘めています。更なる技術革新で新たなでん ぷん力を発掘します」。 (2005.6月掲載企業) 商品 多彩な加工方法で医薬品、 化粧品、紙加工品など、さ まざまな分野に商品を供給。 「道行くすべての人が私た ちのお客様ですね(笑)」。 ニチレイマグネット株式会社 多彩なマグネット製品を通して社会貢献を 世界で初めてシート状の磁石「マグネシート 」を開 のだ。当時の初心者マークといえば鉄板やプラスチッ 上がるばかり。「アイデアが湧き出て止まらない」と、 発したニチレイマグネット。39年前、創業者である前 ク製が主流。「最初は、そんなものが車に引っ付くは マグネットを貼る対象の用途開発にも乗り出したのだ。 橋氏が苦労の末に生み出した製品だ。それまでの ずがないと信じてもらえませんでした」。最終的には「落 たとえば大手建設メーカーが採用する「マグペイント」 磁石といえば「黒くて固い」が常識で、発表当時は「そ ちたら私が責任を取る」と気炎を吐き、高速道路で は、壁素材に防錆技術を施した鉄粉を混入し、壁そ んな紙のような磁石があるのか」と誰もが疑ったとい 走行実験を繰り返して信用を勝ち取った。今では累 のものをマグネットが貼れるボードに変身させる製品。 う。軽くて柔軟性があり、取り扱いが簡単なマグネシー 計数千万枚を出荷する大ベストセラー商品となって これを使えば、親子一緒に壁で遊ぶこともできる。「教 トは、現在ホワイトボードやサインボード、ノベルティな いる。 育に、生活に、環境保全に役立つ製品を通して社 ど身近なところで幅広い用途に使われている。 同社のマグネットに関する特許保有数は300余り。 会に貢献するのが当社の使命」と語る同氏。マグネッ マグネシートを開発した3年後の昭和47年、同社を 製品アイテム数は1万点以上。まさにマグネット市場 ト製品が活躍する新しい分野 一気に世に広める転機が訪れた。自動車用の初心 を創り出したオンリーワン企業といえる。しかし同氏 待したい。 者マークをマグネシートでつくり、大ヒットを記録した は満足するどころか、マグネットにかける情熱は燃え R の開拓に今後も期 (2008.4月掲載企業) 商品 ニチレイマグネット株式会社 大阪市城東区今福南3-1-51 http://www.nichilaymagnet.co.jp/ TEL 06-6934-2721 代表取締役 昭和44年に世界で初めて 「マグネシート 」を開発。 1年後には表面着色化に も成功し、「マグネカラーシー ト」の販売も開始した。 前橋 清 氏 R 「今のわが社があるのも、素晴らしいご縁のおかげ」。マグ ネットに賭ける強い想いが大切な出会いを引き寄せたの だろう。 株式会社ニッタモケイ あらゆる業界の 商品開発を支える試作品ビジネス ニッタモケイは家電製品をはじめとする工業 が成功の要因です」。 製品の試作品製造に独自の技術を持ち、小ロッ さらに近年は、コンピュータで入力したデータ ト生産に対応した樹脂を使う真空注型※やア を基に、液状の紫外線硬化樹脂にレーザーを ルミ金型による射出成型など、さまざまな技術 照射して成形する光造形や切削加工法による で新製品開発のトータルサービスを行っている。 複雑な形状の製作も可能になり、1,000分の 「現在、大手家電メーカーを中心に100社と直 1mmまで寸法精度を高めた試作品の製作も手 接取引しており、顧客が求める試作品を短納期・ 掛けるようになった。 ローコスト・高精度で製作・販売できることが他 「多種多様な技術力を蓄積できた理由は、大 社との差別化に繋がっています」と新田氏。 量生産の事業に手を染めず、手堅く工業製品 家電製品の試作品技術を確立したのは、戦 の試作品づくりに絞り込んだこと。そして大手 後まもない頃。先代である母親が、樹脂を加熱 家電メーカーの積極的な商品開発に歩調を合 商品 切削加工品や光造形品、アルミ金型を使った射 出成型品など、多彩な技術力を物語る試作品 の数々。 して形状をつくり出す真空成形技術を完成させ、 わせて、最新の加工技術に果敢に挑戦し、技 従来の木型から効率的な樹脂型への製造転 術者を育成したこと。この2点に尽きますね」。 株式会社ニッタモケイ 換を果たした。「柔らかい樹脂は、変幻自在に 今後は、環境問題に貢献する電化製品、高 形を変えることができます。この技術を用い、曲 齢化社会に不可欠な介護用品、ロボットの試 大阪市淀川区三津屋中1-1-6 http://www.nm-e.co.jp/ TEL 06-6304-3862 線の形成が困難とされてきた掃除機やジューサー 作品づくりを三本柱とした事業展開をおこなう 代表取締役 ミキサーの試作品を完成させ、好評を得たこと 予定だ。 「父親が顧客で母親が弊社、製品は二人から生ま れる子どもたちです。我が子のように製品に限りな い愛情を注ぎ、精度の高い試作モデルを提供したい」。 (2004.5月掲載企業) ※真空注型…シリコンゴムを金型の代わりに複製用の型として用い、真空にした空間の中で、樹液を流し込んで複製品を製作する技術。 新田 久美子 氏 日本カイノール株式会社 21世紀のための高機能繊維。 キーワードは環境 商品 カイノールとは一般名でノボロイド繊維と呼ば 大抵ではなかった」と有田氏。カイノールのもう れるフェノール樹脂繊維で、もともと米国企業 一つの特長は、手を加えることで炭素繊維や、 によってNASAのロケット向け外装材に使うた さらには活性炭繊維にもなれること。「近年の めに開発された。36年前に日本の企業が工 環境、安全意識の高まりで、三変化できるカイ 業化に成功し、その後日本カイノールが事業 ノールに追い風が吹いています」。耐熱性が高 を引き継ぎ、世界で唯一の特殊繊維メーカー く、燃やしても元の形態をとどめ、かつ柔軟性 として現在に至っている。カイノールの最大の を保つカイノール繊維は、アスベストの代替材 特長は、76%という炭素含有率の高さ。その 料としても使われている。また活性炭繊維は、 高さゆえの防炎性、耐熱性が大きな強みで、 グラムあたり1500∼2500m2と有害物質を取 防災安全商品に始まり、自動車のブレーキ、 り除く機能に優れ、浄水器や空気清浄機のフィ クラッチをはじめ工業資材向けへと用途を広 ルターとして重宝されている。「時代に合わせ げていった。オンリーワンであることは強さの裏 て用途を広げてきましたが、カイノールの活躍 に弱さもはらむ。「当社でしか扱っていない素 が本格化するのはむしろこれから。環境をキー 日本カイノール株式会社 材のため、競合品との比較優位性について理 ワードに5年後には現在の2倍に売上げを増や 解してもらうまでにデータによる検証を一から します」と強気の青写真を描いている。 大阪市北区芝田2-2-17 和光ビル4階 http://www.kynol.co.jp/ TEL 06-6376-1600 していかないといけない。結局、開発にこぎつ (2008.2月掲載企業) 断熱性、保温性にすぐれているカイノール繊維。 安全作業服や耐熱服などに広く利用されている。 社長 有田 喜一郎 氏 原料供給を行っている親会社も数十億円規模 の大型設備投資でカイノールの需要増に対応す ると言う。「期待が大きい分、責任を感じます」。 けるまでに3∼5年は要する。先人の苦労は並 株式会社野村鍍金 設計から加工まで、生産機器部品を 一貫製造できるめっき専門会社 めっき専門会社として90年以上の歴史があ 向上しても、施すロール部分の素材や質も製 とも、同社の躍進を後押しした。 る野村鍍金は、製鉄や液晶ディスプレイ用フィ 品に大きく影響する。それなら自社でつくってし 現在は、産業機械の分野で培った技術を見 ルムなどの大手メーカーを顧客に持つ。「溶鋼 まおう」と、1950年代後半からロールに用いる 込まれ、超伝導加速空洞やロケットの部品開 の注入口やフィルム原料を延ばして巻き取るロー 鉄芯も製造するようになった。大型ロールの設 発にも着手。また、新しい表面コーティング素材 ルの表面には、めっき加工が施されています。 計から製造、めっきや研磨まで一貫して手掛け の開発も手掛け、技術シーズの発信にも積極 機械そのものの耐久性を高めたり、製品の質を ることができるのは、世界中の同業者を探して 的に取り組んでいる。「撥水性にすぐれた加工 保ったり、その役割はさまざまですが、生産現 も同社だけという。「製作機械をいち早く導入 技術『テフメタルコート』や、世界トップクラスの 場を陰で支えているという自負があります」と野 して設備投資をしたことも、優位に立てた要因 硬度を誇る素材『タフ・カーボン』は今までとは 村氏。一般的な硬質クロム以外に、ニッケル、銅、 です」。加えて、複数業者と取り引きすることで お付き合いのなかった、新しい分野にも提案し 樹脂など、顧客のニーズに合わせてめっき素材 技術ノウハウの流失を恐れる顧客を中心に、ワ たいですね」。 を開発・改良してきた同社だが、「めっき技術が ンストップで受注できる体制が重宝がられたこ 株式会社野村鍍金 (2008.1月掲載企業) 商品 大阪市西淀川区姫島5-12-20 http://www.nomuramekki.com/ TEL 06-6473-1355 代表取締役社長 野村 修平 氏 30代の若さで就任した4代目社長。長い歴史で培われて きた職人技を大切にしながら、開発や提案のできる人材 の育成に力を注ぐ。 製紙やフィルムの製造に欠 かせないロール。直径4m の大型ロールを設計、製作 から表面処理加工まで一 貫しておこなう。 服部ヒーティング株式会社 独自技術で「暖」を追求!「遠赤外線超薄型パネルヒーター」 服部ヒーティング工業(株)は、日本で初めて遠 ら遠赤外線の研究を始めました。私のモットーは、 アイデアがひらめいた時には、何日も研究室に 赤外線で使用するニクロム材のインゴット(ぐるぐ 世界中の誰も考えない新しい商品を世に送り出 こもり、自ら製品デザインまで手がけるほどの熱 る巻かれた導線)を成形・加工して、超薄型パネ すことです」と、創業者の服部氏は語る。その言 中ぶりだ。 ルヒーターを開発したオンリーワン企業。その特徴 葉通り、コピー商品はいっさい手掛けず、今まで 「遠赤外線は昔から人間生活に溶け込み、人間 は、高温加熱による発煙・変形がなく、熱による にない商品の実用化にこだわってきた。「『火』は はその魅力的な効果の恩恵を受けてきました。 膨張を少なくする構造だ。現在は、この遠赤外線 人を暖めてくれる。そして、人の心を暖めてくれる。 当社はこの遠赤外線の応用技術にこだわり続け、 パネルヒーターを活用し、医療、健康、美容・理容、 ヒーターに求められる機能が『暖』ならば、ファン さまざまな業界が求める最先端のニーズを吸収し、 食品などの分野で幅広く製品を展開しており、す の音を消すなど、私はより快適な暖かさを求めま さらに人の健康や環境問題にも目を向けています」。 でに申請・取得した特許は100以上あるという。 した。その結果が、遠赤外線の追究につながっ 遠赤外線の源である太陽に感謝しつつ、「why 「『火』『水』『土』は人間が生きる上で欠かせない ていったのです」。何よりも自社の強みは、大手 (なぜ)」からのものづくりをめざしている。 もの。私はその中でも『火』を選び、18歳の頃か 企業に負けない、商品開発のスピードだという。 (2003.1月掲載企業) 商品 服部ヒーティング株式会社 大阪市都島区高倉町2-3-15 http://www.hattori-jp.com/ TEL 06-6922-3388 代表取締役社長 遠赤外線超薄型パネルヒー ターを駆使してつくられた「理 科学用超均熱ホットプレー ト」。温度分布にムラがなく、 数々の研究機関、企業な どに導入されている。 服部 榮市 氏 「私の名前には、『火』が2つも入っている漢字がある。今 の仕事には、何かしらの宿命を感じますね」。 PDM株式会社 研究機関と共同で金属・樹脂製品用の 断熱剤を開発 PDMは、非鉄金属材料の卸商社を営む丸紅 造協力を得て、断熱剤「ヒートバスターTK2」の 金属が、金属の成分解析・技術評価を目的に 開発に成功。熱を拡散し、気化による除熱作 1998年に設立した関連会社。米国製の断熱 用で断熱をするため、薄板金属などを溶接する 剤の販売もおこなってきたが、取引先の溶接 際に金属や樹脂へ塗布することで、高熱によ 業者の声がきっかけとなり、オリジナルの断熱 る歪みや劣化を防ぐ。今までは、熱に弱い周辺 剤をつくろうと、大阪府立産業技術総合研究 部品があれば溶接を諦めていた自動車製造や 商品 「ヒートバスターTK2」は有害成分を含まず、塗布 も除去も簡単なジェル状。変色や金型補修時の 熱変形の防止に効果的。 所の研究員の技術支援により開発に着手した。 配管工事の現場のほか、入れ歯のワイヤーを 梶田氏はまず、既製の断熱剤をコンピュータ 修繕する際にも高温に弱いアクリル製の歯茎 で成分解析し、得た結果を応用して、膨潤性 を保護できることから、歯科技工士にも使用さ 樹脂などからなるオリジナル断熱剤の開発をめ れており、用途は幅広い。 ざしたが、コンピュータでの成分分析では特定 「今回の開発で、私は研究員から成分解析な できないものが使用されており、研究は難航。 ど技術面での支援が得られ、研究員は製品開 しかし、1年半の歳月を費やし分析を続けた結果、 発に必要な市場の情報を私から入手でき、お PDM株式会社 研究員の長年の経験から、コンピュータで見つ 互いが持つ長所をうまく活かせました。今後は けることのできなかった成分を特定できた。そ 販路拡大を目的に歯科技工業や工業関係の 大阪市住之江区安立2-5-19 http://pdm.digital-bz.com/ TEL 06-6673-0788 の後、多種類の膨潤性樹脂の中から製品化に 技術者への宣伝を強化していく予定です」。 代表取締役 最適なものを絞り込み、大手化学メーカーの製 (2005.9月掲載企業) 梶田 雄三 氏 化学に関しては門外漢だったため、開発当初は 高校2年の化学の教科書で基礎知識を習得。 研究所へ足繁く通い、開発を成功させた。 株式会社広瀬製作所 新技術の開発で世界トップを走り続ける 工業用ミシン部品のリーディングカンパニー ミシンのカマとは、下糸を巻いたボビンケースを装 は、滑りが良く油を引かなくても焦げ付かない素材 着する部品のこと。外ガマと内ガマからなる二重構 としてフライパンなどに使われているテフロン加工 造で、外ガマが回転することで縫い目をつくっていく。 を施したカマも。また、数前には非鉄素材を採用す つまり、カマがなければミシンとしての機能を果たせ ることで、世界で初めて無給油式ミシン用のカマ開 ず、それが滑らかに回転しなければ、糸を引っ張り 発に成功した。 すぎたり、糸がほつれたりと、縫製結果に多大な影 「従来の給油式ミシンは、油がカマの回転を手助 響を及ぼすことから、ミシンの心臓部と呼ばれる重 けする反面、布を汚す恐れがありました。無給油式 要部品だ。 ならその心配がないものの、回転が円滑でなけれ 明治初期創業の広瀬製作所ではタバコ自動巻き ばミシンとして致命的。そこで、鉄に特殊プラスチッ 機などを開発し製造していたが、戦後、工業用ミシ クをはめ込むことで、無給油でも滑りが良いカマを 商品 カマの形や仕様は、縫製する素材やミシンの種 類によってさまざま。同社では約1000種類のカ マを製造している。 ンのカマメーカーとして再スタートを切った。工業用 開発しました」。 だけに縫製スピードが速く、カマの回転数も1分間 そんな技術力のほか、国内外に大型工場を構え に最高10000回転が求められる。 る生産能力の高さもあって、世界で約70%のシェ 株式会社広瀬製作所 それだけ高速で、しかも円滑に回転させるには、高 アを占めている。 度な素材開発技術や外ガマと内ガマの隙間が30 「最近は、カマに次ぐ商品として新たに防犯・健康 大阪市西淀川区佃4-5-12 http://www.hirosemfg.co.jp/ TEL 06-6476-3900 ミクロンという設計条件をクリアできる研削技術も 関連機器の製造も始めました。今後も常に新技術 取締役社長 に挑みながら、さらなる利益率アップとシェア拡大 2001年に三代目社長に就任。就任後、社員か らの提案制度を設けるなど、新たな試みにも積 極的に取り組んでいる。 必要だ。そのため常に新素材の開拓に努め、中に をめざしていきます」。 広瀬 恭子 氏 (2005.12月掲載企業) 豊菱産業株式会社 高機能、低コストを同時に実現した廃水汚泥処理装置 土木建築の現場を悩ませる課題の一つに廃水汚 り、産学連携で開発した装置の原理は学術的には シンプルなもの。汚泥は一定時間ごとに高圧水を 泥処理がある。汚泥は産業廃棄物として処分する 評価されたが、「開発コストがかさみユーザーニーズ 逆流させて振るい落とし、これを毎分10cmの速度 必要があるので、手間やコストは相当なものだ。造 には程遠かった」という。そこで、コスト削減のため で動く桟付きの排出装置が受け皿となって運び出す。 船会社で商事部門を担当していた毛利氏は、勤め に凝り固まっていた考えを一新させることにした。こ 「開発に要した10年間に、水中で汚泥がどのように ていた会社の破たんを機に、約30年前に独立。土 だわった点は、「確実に・速く・安く」というユーザーニー 沈殿し、分離し、混ざるのかをつぶさに見てきた。そ 木建築機械の部品メーカーとしての基盤を確立した。 ズ。それに応えるべく、発想を練り直し、水の中で自 の経験をシステムに反映させた」と同氏。フィルター しかし、土木現場で出される大量の汚泥処理に悩 然に沈殿する汚泥を集め、運び出すという手法に には特殊な素材を用い目詰まりを防いで、繰り返し む業者の姿を目の当たりにし、廃水汚泥処理装置 行き着いた。処理方法は、汚泥槽にフィルターを浸 使えるようにし、「使い捨て」という業界の常識にも の開発に着手。その後、工作機械向けに用途を特 漬して、ミクロン単位の細かい汚泥までを凝縮し、 挑む。すでに大手家電メーカーなどでテスト採用され、 化し開発を進めた。当初は、既存の装置と同様、遠 付着させる「ザブフィルターシステム」とベルトコンベ 高い評価を得ており、手応えを感じている。 心分離による除去法を考案していた。その方法によ ア型の「自動沈殿物排出装置」を入れるだけという 豊菱産業株式会社 (2006.4月掲載企業) 商品 大阪市淀川区西中島4-11-21 新大阪コパービル4階 http://www.horyo.co.jp/ TEL 06-6304-1215 代表取締役 毛利 豊重 氏 だいぶ遠回りして製品化に至った今回の教訓から「技術 におぼれず、ユーザーが何を求めているのか常に検証し開 発に当たるべき」と話す。 従来のフィルターの目詰ま り問題を解決したことで低 コストを実現。用途も各種 洗浄液から上下水処理、 化学薬品液まで幅広い。 株式会社松井製作所 プラスチック成形の周辺合理化機器でシェアナンバーワン 家電製品をはじめ、私たちが日ごろ囲まれてい 引き起こすおそれがある」だけに、成形加工の中 工の乾燥装置に活かせると判断。一気に事業の る製品の多くはプラスチック成形加工によってつく でも最も重要な役割を担う。20年前、エアコンの 柱に育て上げた。現在は、乾燥装置のほかに輸 られている。成形加工は原料となるペレットを高温 除湿乾燥に使われていた蜂の巣構造(ハニカム 送装置、金型温度調節機、配合装置、粉砕機な で溶かし、成形機を通して金型に送り込まれ、冷 構造)のローターを世界で初めてプラスチック成形 ど品揃えは多彩だが、松井氏は「自分たちがもと やして固めるのが大まかな工程だが、その工程の 加工機器に応用。空気が通る部分の表面積を大 もと持っている技術をもとに商品化したのではなく、 間には効率良く加工をおこなうためのさまざまな 幅に広げることで空気を効率的に乾燥させる方 常に成形メーカーが困っていることは何かを探り、 機器が使われている。 法を確立し、業界のスタンダードに育てた。 必要な技術を開発し組み合わせてきた」とユーザー 松井製作所はこの成形の周辺合理化機器の販 創業は1912年。当初は医療機関向けのステン ニーズありきの姿勢で臨んできたことを強調。「今 売台数で35%のトップシェアを誇る。例えば、ペレッ レス製品などをつくっていたが、1960年代に入り 後も省エネや省資源などメーカーの求める機能を トの水分を取り除く工程で使われる乾燥装置。「乾 プラスチック全盛の時代を迎えるや、医療機関向 満足させることを追求したものづくりをしていきたい」 燥不良が後に完成品の強度不足や寸法誤差を けで蓄積した温度管理技術をプラスチック成形加 と話している。 商品 株式会社松井製作所 大阪市中央区城見1-4-70 OBPプラザビル17階 http://www.matsui-mfg.co.jp/ TEL 06-6942-9555 代表取締役 松井 宏信 ペレットを乾燥させる除湿 熱風乾燥機と、成形機ま でペレットを運ぶ吸引輸送 機を組み合わせたMJ3シリー ズ。同社のベストセラー商 品だ。 氏 オフィスの机は自由席。社長も例外ではない。「この方がコ ミュニケーションも活発になります」。 マツオカ株式会社 非接触ICチップで、 全自動麻雀卓の技術革命にリーチ マツオカは西日本を主力市場に、関西で7∼8 「RFIDは、そういう使い方をするために開発された 割のシェアを握る麻雀卓製造販売の中堅企業。 技術ではない」と門前払いの連続。「諦めずに問 1945年の創業以来、全国数十万台と言われる 合せを続けていたら、ある商社とICチップメーカー 麻雀卓市場で、競合他社との激しいシェア争い が請け負ってくれて開発が始まりました」。 を繰り広げてきた。 試行錯誤の積み重ねで、レディオが完成したの ヒット商品が出ると、勢力図が次々に塗り変え はそれから4年後のこと。累計4,000台を出荷す られる全自動麻雀卓の世界で、台風の目となっ るヒット商品に成長した。点数やゲームの勝敗な ているのが、同社が2002年に発売した点棒自 どが記録できる、同じRFタグを埋め込んだデータカー 動計測卓「レディオ」である。点棒にICチップを埋 ドを各プレイヤーが使用することで、顧客管理や 商品 限られた狭いエリアの中で、複数のタグを高速に読 み取り、また静止状態でも正確な計測能力を維持 し続ける機能は他社に真似のできない特許技術。 め込んでおり、電波によって点数を自動計算する。 競技者同士の成績ランキング化など、新しい麻 業界には以前から点棒を自動計算する麻雀卓 雀の魅力を開拓しつつある。 があったが、重量測定か電極接触かのいずれか 同氏はこの技術を「異業種のさまざまな分野で に限られていた。しかしこれらの方式は、使って 転用が可能」と考えている。「例えば高価な商品、 マツオカ株式会社 いるうちに手垢などの汚れが付着して計測能力 部品の在庫管理などを、パソコン画面でリアルタ が不安定になるのが弱点だった。 イムに把握できるなど応用範囲は無限大です」。 大阪市東成区大今里南4-1-4 http://www.mahjong.co.jp/ TEL 06-6971-5841 松岡氏はこれを、「話題のRFID※方式で正確に (2006.11月掲載企業) 計測できないか」と思い付いたが、専門家からは ※RFID ICチップとアンテナを組み込んだ「RFタグ」と、情報を書き込む「リーダーライター」との間で情報交換を行い、 物品の自動認識を行う技術。磁気カードなどと違い、非接触で認識できるのが特長。 常務取締役 松岡 功 氏 専門家の否定的な見解にもめげず、粘り強く開 発を続けた結果が大逆転に。「解決すべき難問 の連続で体を壊すほど悩みました」。 株式会社松岡工芸 創意工夫から生まれた各種合成樹脂の 染色・レーザー加工技術 商品 1971年創業の松岡工芸は、各種合成樹脂の染色・ 氏。言葉の中に「どのような要望にも対応してみせる」 レーザー加工技術を持つオンリーワン企業。アクリル と技術者としての自信がただよっている。 板の表面にデザインを施した製品は過去に存在し もともとは医院や薬局で必要不可欠な調剤台や たが、表面に埃が付着しやすく、美しさが損なわれ 錠剤ケースなど、調剤設備器具の製造が同社の売 る難点があった。同社が開発したレーザーの内面照 上げの約80%を占めていた。しかし、手作りの製品 射技術を用いれば、アクリル板の内部に染色ができ と比較して、質は劣るが廉価な成型品の需要が増加。 るため、表面は平板で埃の心配は解消され、永く美 方向転換を迫られたことを契機に新しい技術開発 しさを保つことができる。また、環境保全にも配慮し に取り組んだという。「技術開発の過程での失敗は た天然染料を使用する染色加工技術により、どんな 数えきれません。アクリル板は何枚も割りました。パ 色でも染めることが可能だ。染色加工で使う機械は ソコンを操作して製作するので、一日中画面を凝視 すべて自社製。既存の鉄板を加工する機器を自ら し、マウスを握り締めていました。その結果、目は疲 の手で改造して、アクリルなどの合成樹脂に対応で れて、マウスが鉄のように重く感じたこともあります」。 きるようにした。「プラスチックの女王」と呼ばれるア 同社では努力の末に掴んだ特殊技術を紹介したダ 株式会社松岡工芸 クリルを染色したこの製品は、ガラスを超える透明 イレクトメールを各方面に配布するなど、PRにも注力 感と宝石を思わせる鮮やかな色合いが特長。「デザ している。無限の可能性を秘めた加工技術から生ま 大阪市生野区巽南5-14-6 http://www.puraban.com/ TEL 06-6792-0789 イナーの発想、企画力をプラスすれば、染色アクリル れる新しいビジネスの広がりに、同氏は大きな期待 代表取締役(取材当時) を寄せている。 「大手メーカーが引き受けることができない少量の注文も受けて、 小回りが効く強みを最大限に活かしています」。今後、新しい技 術に関しては二人の息子に任せて、後方支援に徹したいと語る。 の用途は多方面に広がると思います」と代表の松岡 (2004.1月掲載企業) 同社の染色・レーザー加工技術で製作した作品。固くて割れにく く、長時間光を当てても熱を帯びないアクリルの特長を活かした 商店向けの看板やディスプレイ、表札などの製作実績を持つ。 松岡 吉盛 氏 株式会社マツラ 60年間蓄積したノウハウで、困ったときに頼られる金型メーカーに 射出成形用金型メーカーであるマツラの工場 カッターもその一つ。メーカーの規格品では微細 う評判が定着しており、最近では材料配合や加 に入ると、まず圧倒されるのが、6台並ぶ大形横 な精度に対応できないため、多くを自社で製造 工が難しいと言われる廃プラスチック製品の金 型マシニングセンター(以下MC)の存在感だ。金 している。鏡面加工のための自動の砥石往復装 型製作にも力を入れる。現在も、仕入れから検 型メーカーで使われるMCの9割は作業性に優れ 置も独自に開発した。海軍の特攻隊で終戦を迎 品まですべてに目を通すという同氏。「どういう る縦型MCと言われる中で、横型にこだわるのは「縦 え、兄と裸一貫で創業したのが昭和21年。以来、 角度からどのくらいの回転で切削すれば良いか」、 型では削った後の切粉が切削面にたまり、加工 地道に信頼を獲得し得意先を広げてきた。とこ 若手の技能労働者から日々、ぶつけられる疑問 に悪さをする。横型なら切粉が落下するため、 ろが、バブル経済の破綻を境に、大手メーカーが に的確に答える。「60年もの間、金型を地道に 24時間無人でのフル稼働が可能になる」と松良 金型生産を中国に移し、ピーク時に1万2,000社 手掛けてきたノウハウが命」。熱い経営者がいる 氏。「考えることが大好き」で、精度の高い金型 あった金型メーカーは25∼30%減少した。しかし、 限り日本の金型産業の地位が揺らぐことはなさ づくりを実現するためのアイデアが現場のあちら 日本のものづくりの力が再評価され、国内回帰 こちらで活かされている。例えば、金型切削用の の動きは顕著だ。「困ったときにはマツラへ」とい 株式会社マツラ そうだ。 (2006.6月掲載企業) 商品 大阪市鶴見区諸口1-1-83 http://www.eonet.ne.jp/ matsura/ TEL 06-6913-3515 代表取締役社長 松良 平三郎 氏 戦時中は、海軍の特攻隊で鍛えられた人間力が、現在も 経営に活きているという。「社員に食べさせてもらっている 気持ちを常に忘れない」。 1億円を投資して導入した 最新鋭の横型MCは、1週 間休みなく稼働し続けるこ とができ、短納期というニー ズにも応えている。 株式会社三木製作所 独自に開発した金型成型法と 異業種が持つ技術の融合で新ビジネスを創出 樹脂製金型は、金属と同レベルの耐久性・耐摩 占めていた大手自動車メーカーからの金型製造 天然石調や木目などこれまで難しいとされてきた 耗性を持つ特殊樹脂でつくられた金型。この特 の受注が激減したんです」。慣れない商いと不況 壁材への彫刻技術の高精度化を実現。異業種 殊樹脂は金属より柔らかいうえ、金属と同じ圧力 の重圧に耐えかね、出社拒否をするまでに追い 交流会で知り合った企業と共同で、着物や金網 をかけても潰れないほど頑丈。さらに高速加工が つめられた時、ある建材メーカーから欧州の高級 などと建材を融合させた新感覚のインテリア建材 でき、従来の金属製建材金型と比較して、納期 自動車の金型として使用されていた特殊樹脂を の製造・販売も開始した。 は3ヵ月から3週間に短縮、コストは2分の1に抑え 建材製品向けに改良できないかと打診を受けた。 「経営者となってから、常に前向きな危機感を持 ることができる。三木製作所は約10年前、この金 樹脂加工の経験は皆無に等しく、研究は手探り ち、次の一手を生み出してきました。今は施工事 型の開発に着手した。「当時、機械工学をテーマ 状態で始まった。しかし技術者気質が「他社の追 例を増やして商品の認知度を高める期間です。こ にフィリピンの大学で技術指導をしていましたが、 随を許さない商品がつくれる」という開発意欲に れからも異業種の人たちと交流を深めつつ、建 帰国後父親の引退とともに社長に就任しました。 火をつけ、半年後に製品が完成。その後、何トン 材業界に刺激を与える製品づくりに励みます」。 その途端にバブルが崩壊、総売上げの約90%を ものアルミ板を廃棄しながら金型の試作を重ね、 (2004.11月掲載企業) 商品 株式会社三木製作所 大阪市西淀川区大野1-7-28 http://www.age.ne.jp/x/mikiss/ TEL 06-6473-3414 代表取締役 きんらんどんす 京都西陣の金襴緞子メー カーや静岡の金網メーカー とのコラボレーションから生 まれたユニークな金属製の 内・外装材の数々。 三木 繁親 氏 「研究過程で困難は付き物。諦めないうちは失敗ではあり ません。このしつこさがオンリーワン技術を会得できた要因 かも知れませんね」。 三元ラセン管工業株式会社 特殊素材ベローズを 低コスト・短納期で自在に加工 商品 同社は、「フレキシブルチューブ」と呼ばれる水道や 社員全員でISOに関する勉強を進めた。会議室を借 ガス用のチューブ、そして「ベローズ」という薄い金属 り、休日を返上して勉強会を開く。現場が一からマニュ の蛇腹状のパイプなど「管」に特化したメーカーだ。 アル作成に取り組んだ結果、実践に則した「生きた チタンなど最新の特殊材の加工に長けており、振動 マニュアル」が完成。そして2000年2月1日、ついに や高温、真空といった過酷な条件下で利用されるベ 念願のISO9001を取得。取得にかかる費用も通常 ローズを数多く製造している。具体的な納品先は企 の半分以下に抑え、取得の過程で社員全員がISO 業秘密だが、製品は原子力施設や宇宙開発施設 について熟知したという。「ISOを取得したことにより 最新の特殊材加工も得意で、原子力施設や宇 宙開発施設に使用する部品も製造している。 でも利用されているという。同社の「オンリーワン」は、 大手企業との商談が急増し、顧客が飛躍的に増え ベローズ1個の注文からでも顧客が希望するサイズ ました。しかし何より嬉しいのは、『自主的に勉強す の商品が低価格・短納期で製造できること。従来は る習慣』が社風として定着したことです」。この後、 製品ごとに個別の金型が必要だったため金型にコ 溶接や非破壊検査の資格を取得する社員が続出し ストがかかっていたが、汎用金型によってどんなサイ た。ほとんどの従業員が多能工として効率的に働き、 ズのベローズでも製造できる技術を開発し、コストを 営業社員も検査員の資格を持っているため顧客か 三元ラセン管工業株式会社 大幅に圧縮。また通常40日程度の納期を約半分に らの信頼度が高い。業績は右肩上がりだが、同氏 まで圧縮した。 は今後もあまり会社を急成長させず、会社の技術 大阪市城東区永田1-2-37 http://www.mitsumoto-bellows.co.jp/ TEL 06-6968-2037 ISO9001を独力で取得したという点でも、同社は 力を高めながら従業員の満足度や働き甲斐を向上 取締役社長 ユニークだ。コンサルタントなど外部の力を借りず、 させ、魅力的なモノづくり企業の新しいあり方を模索 している。 (2003.3月掲載企業) 高嶋 博 氏 「社内の雰囲気の良さ、工場の清潔さはどこに も負けない自信があります」。 明興工業株式会社 飽くなき挑戦で、 テフロン基礎技術・加工技術を極める テフロンとは、多様な産業分野で活躍してい 同社が手掛ける製品は自動車の部品と部品 る万能樹脂で、日本に輸入され始めた1960 を繋ぐパーツなど、普段目には触れることのな 年代には「白いダイヤモンド」と呼ばれるほど貴 いものばかりだが、それがなければ製品が機能 重 しないといった重要なものが多い。そのため、 な資源だった。その樹脂にいち早く注目した棚 これまでIT関連製品、半導体、自動車など、時 田氏は、会社勤めのかたわら、独学でテフロン 代の潮流となる業界に合わせた設備投資はも の知識を吸収し、1966年にテフロン加工メーカー ちろん、切削・射出成形の技術や、金属にテフ である明興工業を設立した。 ロンを溶着させる特殊技術の開発など、経営 「テフロンはプラスチックの一種ですが、従来 革新を続けてきた。結果、現在に至っても、加 の石油製品とは異なり、ホタル石という自然素 工技術の難しさと原価の高さがネックとなるこ 材を原料としています。安全性が高く幅広い用 の業界で、確実な地位を守り続けている。 商品 成形加工品の数々。自動車メーカーをはじめとす る顧客の要望に個別に対応している。 途に使えますが、原価はほかの樹脂の20倍で、 「今後、大手企業が不況のあおりを受け、小ロッ しかも非常に柔らかいため加工が難しい。失 ト生産を行う可能性は大いにあります。その時 明興工業株式会社 敗すれば、経営に支障をきたすというプレッシャー に負けない高い技術力と、従来の加工部品に との戦いは並大抵ではありませんでしたが、そ 新たな機能を付加した自社ブランドの開発を 大阪市西区靭本町1-9-15 近畿富山会館2階 http://www.meikou.jp/ TEL 06-6459-0415 れよりも『必ず面白いものができる』という可能 めざしたいですね」。 代表取締役社長 性に賭け、加工技術の向上に専念しました」。 (2005.3月掲載企業) 棚田 三 氏 自らが提唱する信頼・期待・感謝の「成長の循環」 をモットーに、社内の人材育成に励み、技術力 の向上に結び付けた。 山本化学工業株式会社 日米医療学会で承認を受けた新健康アイテム「バイオラバー」 ゴムの中に均等に細かい気泡体をつくる技 波長の合う金属は、人の体に好影響を与える された数多くの実験データに裏付けされており、 術を持つ、山本化学工業の「テクニカルラバー」 のです」と山本氏。石灰石を主成分とした合成 「魔法のじゅうたん」として医療現場で使用され は、トライアスロンで着用するウェットスーツの素 ゴムに蜂の巣状の独立気泡体をつくり、そこに ている。また、通信販売や小売店でも、肩こり 材として、世界で90%以上のシェアを誇る。そ 特殊金属粒を練りこむと、電磁波(波長4∼25 解消グッズとして密かなブームを呼んでいる。 の技術を活かして開発された新素材が「バイオ ミクロンの赤外線)が発信される。これが、体か 今後は世界に向けて「バイオラバー」を発信する ラバー」であり、ガン治療や糖尿病の改善に役 ら出されている電磁波と共鳴することにより、 計画で、アメリカのガン研究の学会で発表する 立つと注目を集めている。 体の中の水分子やたんぱく質分子が均一化・ という。現状に慢心せず、ひたすら前へ突き進 「金やプラチナを使ったピアスは、アレルギー反 活性化され、代謝機能と自然治癒力が高まる む姿勢こそ、同社がオンリーワンたる所以だろう。 応を起こしにくいでしょう?『体にいい』と金箔 というのだ。ガン細胞と戦うナチュラルキラー細 をお酒にいれたりもしますよね。人の体は、常に 胞の活性化や、糖尿病患者の血糖値の低下 細胞から電磁波を出しています。その電磁波と など、その効果は、約5年間の開発期間中に出 (2003.6月掲載企業) 商品 山本化学工業株式会社 大阪市生野区中川5-13-11 http://www.yamamoto-bio.com/ TEL 06-6751-6134 代表取締役社長 山本 富造 氏 「バイオラバー」 ベッドに敷く大型タイプのシー トから、マッサージに便利なハ ンディタイプまで揃っている。 13代続く同社は、脱脂粉乳からつくる合成ボタン、消しゴムつき鉛筆、ウェッ トスーツなど、時代に合致したヒット商品を一定のサイクルで発信し続け ている。「世の中にないモノに興味を抱く性格は『DNA』なんでしょうね」。 和光化学工業株式会社 ガラス塗装びんのリーディングカンパニー 商品 塗装業者がよく使う塗装技術は主に2通りある。1つは、 備も高く評価され、さまざまな企業からの工場見学依頼 スプレーでミスト状の塗料を素材に噴きつける「スプレー塗 が後を絶たない。「塗装機メーカーから購入した機械を独 装」。そしてもう1つの方法が「静電塗装」。塗料に電圧を 自の技術に合わせて改良したり、生産効率を高めるため 加えてマイナスイオン化し、素材にプラスの電力を流しな にラインの改造を繰り返すというような、同業他社にはマ がら塗料を吹き付けることで、素材の表面に均一に塗料 ネできない思い切った改革を進めていけるのは、私自身 を付着させる技術である。塗着効率はスプレー塗装が がもともと塗装業出身ではないからでしょうね」と米田氏。 35%前後に対し、静電塗装は90%前後と環境面において 同氏が社員からの意見箱として設置している「らくらく提 も注目すべき技術だ。和光化学工業は、国内で唯一、ガ 案箱」には、アルバイト社員を含む「現場の声」が、毎週多 瓶の口が透明なのは、リサイクル可能なガラス瓶。和光 化学のガラス容器塗装は「美しい」だけではなく、化粧 品の内容物を保護する「紫外線防止塗装」効果もある。 ラス瓶に静電塗装する技術を持っている。同社は設立当初、 数寄せられる。一つひとつの小さな問題にも即座に対応し、 金属素材の静電塗装を手掛けていたが、ある化粧品メー 社員との信頼関係を築いていく。「技術開発も大事ですが、 カーから「ガラス容器に静電塗装はできないか」という注 まずは『人』ありき、ですよ」。同社が次にめざすのは「環境 文を受けた。そもそも不導体であるガラスに静電塗装を施 保全」。「塗装ガラスは100%リサイクル可能なんです。こ すのは不可能なはず。しかし、先代社長は「受けた注文は れを『人と自然に優しい物作り』として世の中に浸透させ 和光化学工業株式会社 絶対断らない」と開発プロジェクトを発足。70年、世界で ることが、私達の課題ですね」。これからは広報活動にも 初めてガラス容器の静電塗装に成功した。現在、同社が 力を注ぎ、一般向けの「リサイクル教育」もおこなっていく 大阪市平野区加美東2-2-28 http://www.wakokagaku.co.jp/ TEL 06-6792-5525 塗装する化粧品ガラス瓶の国内シェアは高い。技術のみ 予定。ガラスリサイクル産業のリーダー的存在として、今後 会長 ならず、塗装工場とは思えないほどクリーンな社内環境整 の活躍が期待される。 2代目社長となった米田氏は、就任する際「元気で・ 明るく・おもろい」を自社のスローガンに取り入れた。「『気 持ち』があって初めて『モノ』が生まれるんです」。 (2002.6月掲載企業) 米田 禎孝 氏
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