大川精工株式会社 大川木工機械用刃物の技術を 活用し海苔の品質向上に貢献! 資源 地域 福岡県中央会は、中小企業が地域の産業資源を活用して、売れる新商品・新サービ スの開発・事業化等を行なう「地域産業資源活用事業計画」の認定からフォローアッ プまでの支援を行なっています。今回は、「大川木工技術を活用した海苔の品質向上 を図る海苔加工機械用裁断刃物の開発と販路開拓」の取組みで九州経済産業局より認 定を受けた大川精工株式会社をご紹介いたします。 大川精工株式会社は昭和47年に森田政勝社 クリークの汚れが開発のきっかけ 長が大川市で創業、平成15年に株式会社として 社長が大川市および柳川市の河川(クリーク) 法人化した刃物製造研磨会社です。社長は全国 の汚染に着目。その原因は海苔加工工程で細胞 でも数少ない労働大臣認定の「一級超硬刃物研 が破壊されることで生じる汚水ではないかと考 磨技能士」の資格を有しています。 えました。 同社は木工製品の生産に欠かすことができな そこで、長年培ってきた木工機械用刃物の切 い機械刃物の生産および研磨を営む中で蓄積し 削・研磨技術およびノウハウを使えば海苔の細 た技術およびノウハウを活かし、海苔の品質が 胞を破壊せず、きれいに切れると考え、海苔加 向上する新たな海苔加工機械用裁断刃物を開発 工機械用刃物の開発に着手しました。 しました。 最適な角度で「引切」する 木工機械用刃物のノウハウを活用 本製品の切刃【写真1】は支点をずらすこと 大川の木工機械用刃物の特長は、木工製品の特 で刃先を長くしています。また、押切ではなく 性に合わせた刃物づくりを行ってきたことです。 引切することできれいに切ることができます。 日本一の木工産地である大川では組子を含め さらに、受刃【写真2】を細長い傾斜穴の構造 た建具や箱物、棚物、脚物など多様な家具製造 としたことで切刃と受刃が常に一定の最適な角 に必要な刃物の切削・研磨の技術・ノウハウが 度となり、はさみのように交差し切断すること 蓄積され、少量多品種の刃物を提供し続けてき ができます。このため従来の押切りによる裁断 ました。 では潰れていた細胞をきれいに切ることができ 金属、プラスチックに比べて、木は生物由来 ます。 の多様さがあり性質にバラツキがあります。多 その結果、①海苔のつやが良くなり、品質等 種多様な木材を取り扱う大川木工産地の木工機 級が上がる、②歩留まり、生産効率が向上する、 械用刃物は細胞を破壊せずに切削することに長 などのメリットがあります。 けており、今回の海苔加工機械用裁断刃物の開 導入した海苔生産者からは「つやが出た」 「手 発にも活かされています。 触りが違う」 「海苔の等級が上がった」等喜びの 海苔の加工工程 摘み取り 14 NEWS FUKUOKA 2015.3 洗浄 裁断 ノリ漉(す)き 声が寄せられています。 当面は有明海エリアの海苔生産者を中心に販 路を開拓します。また、九州以外の地域の海苔 に適した刃物の開発や海苔以外(肉ミンチ用な ど)の刃物開発等も予定しており、今後も同社 の技術力を生かした事業の拡がりが期待されま す。 他社の刃物により裁断された海苔の細胞 【写真1】当社切刃 【写真2】当社受刃 当社の刃物により裁断された海苔の細胞 企業支援 ウォッチ 設置時(※海苔は摘み取り、 洗浄を経て細かく裁断される) 定書交付式。向かって左から高田氏(大川信用金庫)、 認 森田健司専務、岸本氏(九州経済産業局長)、森田社長、 野村氏(中小機構) 、内田(中央会) 企 業 概 要 乾燥 結束 企業名:大川精工株式会社 所在地:福岡県大川市大字三丸1115の1 TEL:0944-87-5510 FAX:0944-86-5837 URL:http://ohkawaseiko.jimdo.com NEWS FUKUOKA 2015.3 15
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